空を見上げて
トップページ » 長野県
長野県

あぁ、またひとつ巨樹が逝く・・・小黒川のミズナラ、倒木の記事

今日、悲しい知らせを受けました。

日本一のミズナラ、小黒川のミズナラが地際付近から倒木している、ということ。
あまりのショックで、ネット記事を見たという方の連絡をフェイク記事であってくれ!、と祈ったほどです。

が、その知らせは本当のようです。
担当もすぐに確認に行くことはできない長野県ですが、ネット記事の下の方をみていると本当に信じがたい写真が掲載されていました。


小黒川のミズナラ、倒れる


数年前だったかに、大きな片枝を失い幹まで裂けている姿に再訪した時は、かなり心配したもののまだまだ元気だと思っていたのですが、残念ながらその命を終えたのです。

巨樹は、倒木の前に伐採されることもあり、巨樹巡りの際は大きな切株に往時の思いを馳せることも多いのですが、このように倒れた姿を見るのは悲しいうえに、とても複雑な気持ちになります。

寿命であり、それこそ天寿なのでしょうけれども、今回の様に同一樹種において日本一の幹周りを誇る個体が失われることは、やはり残念で仕方ありません。

往時の姿は非常に美しい樹形で、初訪問においては通行止めの道路の奥、大雪になりつつある場面での対面に感動し、その記憶も色あせることはないのですけれど、もう少しその姿をとどめてほしかった。


そして複雑な想いの理由は、担当が木材業界の組合誌において連載している「材木屋の巨樹木甦」の9月の寄稿が、実はこの小黒川のミズナラだったから、なのです。

原稿は5月に書き上げ、6月には出稿していました。
役場にも登録住所を問合せたうえ、組合員の皆さんに日本一のミズナラを紹介しようと思っていたところ、7月16日に倒木した様なのです。


出稿した記事の最後には、「今日も、日本一の看板を背負ってくれていることを、遠く大阪の地から願っているのです。」としています。
担当としては、元気でいてくれることを願ったはずのなのですが、今となっては何かが起こること(倒木、損傷)を避けたいという気持ちとともに、虫の知らせ的な胸騒ぎからでた一言だったのかもしれない、と思ってしまいます。

命あるもの、いつかは・・・

分かってはいるものの、悲しくて。
拙ブログで紹介してから十数年。
逢いに行けたことを幸せに思い、今まで頑張ってくれてありがとうと伝えたいと思います。

お疲れ様、小黒川のミズナラ。


・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ

*2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
*消費税10%への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。(ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。)


木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp
 
・無垢材と樹木が大好きな材木屋が配信する、きのむしラジオ | Podcast on Spotify
https://open.spotify.com/show/6HBMrFR3UFHaNLNfgdFE8l?si=ff6525ab5d0f464a
 



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:30コメント(0) この記事をクリップ! 

言い伝えか現実か?! 〜滑り落ちた巨樹 臥雲の三本杉〜

先月紹介した、日下野のスギは覚えていらっしゃるでしょうか。
天使の咆哮の如く、集落のある谷に向かって構える姿に圧倒されてしまうのです。

その記事の最後に、「数百メートルの距離にある」と書いたもう一つの巨樹。
それを今回紹介したいと思います。
連続して近くにある巨樹を紹介する意味は一つしかなくて、近くにあるのであれば一度で訪れたいから、です。
私も実はおかげさまで暇な人間ではないので、巨樹巡りをするといっても毎回貴重な時間(早朝5時に現地着とか・・・)を使って廻っている為、近くにあるのであればできるだけ「一筆書き」で廻りたいのです。

どうしても、拙記事は巨樹のページではないために多くの巨樹を掲載できず、近くに存在するものでも紹介していないものが数多くあります。
しかし今回は、前回の最後で対比させたように「人里と神域」の双方のスギという形で紹介したく、「臥雲の三本杉」をとりあげることにしたのです。

長野市街地から西、私の毎年恋焦がれてやまない白馬八方尾根方面へのみちすがらの山あいの、臥雲院という古刹が舞台。


臥雲の三本杉 11

巨木巡りに慣れている私にとっては良いドライブコースである山道も、街中ばかりを走る一般の方にとっては少々距離を感じてしまうかもしれませんが、道も細いわけでもなく時間さえあればゆっくりと到達できる長野市中条日下野地区。
目的地近くになると、斜面が開けた場所に写真の石碑とともに現れるのが、臥雲の三本杉です。

上の写真で左側に写っているものがまさしくそれなのですが、このアングルからはどのような性質の巨樹なのかを想像することはできないと思います。

杉の巨樹は様々なパターンで私を驚かしてくれますが、今回はその歴史に驚く巨樹なのであります。

あってほしくはないものではありますが、いつ起きるかわからない自然災害。
この山あいの地にも、およそ170年前に大地震があったそうです。
その時の史実を物語る存在として残っているのが、この三本杉だというのです。

臥雲の三本杉 8


近づいてみてもものすごく扁平で、ゴツゴツとした木肌と歴史を感じさせる痛みを受けた幹の状態などが、風格を思わせるものの、太さや存在感という観点でいうと、驚くほどのスケールではありません。

しかし、史実にある災害を伝える存在としての驚きは、単にそのものの大きさだけでは知ることができないのです。だからこそ、大切に、そして貴重な存在として人が語り継ぐことのできない永い歴史を称する存在として、そこにあるのだと思います。

この三本杉の驚くべき事実というのは案内板によると、180m上方から「滑り落ちてきた」ということです!


臥雲の三本杉 6


1847年の大地震の際、現在の地に滑り落ちてきたのがこの三本杉だというのです。
そして滑り落ちてきたために、斜面に不自然に傾いて立っている。
幹が扁平なのもその影響があるのかもしれませんね。

臥雲の三本杉 7


正面?!からみると、幹が襞のように割裂しているような印象を受けます。
そして、傷ついた幹を修復する樹木の特性として「巻き込み」をすることで、傷の部分を覆い隠すことがありますが、滑落と共に避けてしまった部分を包み込むべくしてこのような形状になったのではないだろうかと、推察しますが真相はわかりません。

むしろ、180mも滑落してこの状態で立っているものだと感心してしまいますが、それよりも、こんな巨樹を滑落させる大地震というのは、集落にとっての影響も相当なものだったと拝察します。
そしてこの状態を維持していることで「生き証人」として、史実を後世に残す存在でいてくれるありがたさを感じます。

臥雲の三本杉 1


もちろん、スギという樹種の性質を考えれば納得もできます。
幹が割裂しようとも、光合成し根を張ることができるのであれば残された主幹から成長をすることができるでしょうし、切山の大杉で顕著に見られるように伏条更新するほどの生命力ですので、根付くことができるのであれば生き残ることができたのかもしれません。

一部分からみると、600年ほどと推定される樹齢の割にはかなり老いている様にみえるものの、反対方向からみると印象は一気に変わります。


臥雲の三本杉 2


初めからこの傾斜に対応してきたかの様に、太く強く大きく見える幹。
そして羽をたたんで佇む孔雀の如く、細かく美しくみどり鮮やかに斜面下部へと延びる枝は、若々しくすら感じてしまいます。

人は見かけによらぬもの、といいますが巨樹もそうです。
この三本杉のように、一方向からみると太い幹でありながらも裏側は殆どが洞の様な状態になっているものも、各地で見られます。

長生きをして、これからも史実を伝えていってほしいと感じるも物の、生命力を感じるその美しい枝は、精一杯光合成のために斜面へ伸び、もし地面へ着いたのならば、そこから伏条更新で後世へ自分のうつし身を残そうとしているようにも見えるのは私だけでしょうか。


臥雲の三本杉 3


今の人里に自然災害の史実を伝え続けてくれる臥雲の三本杉。
私の様に訪れる人間をどれだけ迎えたのでしょうか。

そのたびに、どのような目で眺められているのかを感じながら、少しでも史実を感じてもらえるようにとその姿を保持してきたんだと思います。
巨樹は人間よりもはるかに長い時間軸の存在です。

だからこそ、貴重な存在に感じ大きさに圧倒され、どこか力を秘めているようにすら感じる。
その存在は様々な影響を与えます。
どれだけ人間が叡智を極めても、植物程の時間を生きることはできません。
人間が経験することのできない時間というものを、その存在で感じさせてくれる存在。それが巨樹なのかもしれません。


臥雲の三本杉 15


樹下に立っているつもりでも、その傾斜角でのけぞってしまうほどに傾いている幹。
直立していたであろう時代を想います。

しかし今は、この傾斜した姿こそがこの杉の存在そのものであり、知るべき史実。
時代は変わり災害も変化し環境も変わる。
三本杉が教えてくれる史実に対して、自分たちがどのように向き合っていくべきなのか。
訪れる人一人ひとりが考えるきっかけを持つことに、意味があるのかもしれません。


里にあり、人々に伝え続けてくれる存在、臥雲の三本杉でした。


臥雲の三本杉 14



臥雲の三本杉所在地

長野県長野市中条日下野3374 臥雲院の下にあり

邪魔にならない様、道路端に駐車できます。


 
・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ

*2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
*消費税10%への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。(ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。)


 木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp




木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:30コメント(2) この記事をクリップ! 

人里木霊す天使の咆哮 〜日下野のスギ〜

大阪の木材業界の方には少し知っていただいているかもしれませんが、担当は毎月発行される大阪中心の木材組合誌の紙面において、巨樹巨木のコラム記事を担当させていただいています。
ちょっとだけ、以前に紹介したことがありますが、そちらのほうも先月で連載三十回を超えました。
まだ三十回か・・・と思うくらいですが、もう四年になるほど続けさせていただいている(途中、紙面の都合で掲載されていない号もある)のは、非常にありがたいこと。

仲買たより

そして、ご覧いただいているブログ内の巨樹巨木の記事はなんと、今回で120回目!!
本当にそんなに投稿しているのかと、自分でも驚きますが、若干数回に分けての掲載などもありますので、単純に120本紹介しているわけではないのですが、そこまで巨樹の記事を掲載していることに、自分で少し誇らしく思ったりします。

というのは、単に巨木の写真と所在地などを掲載するページは多くあります(それはそれでいい。巨樹の存在や情報を伝えることが大事だから)が、私がしたいことは、いろいろな角度で、しかも材木屋が見る視点も加えての巨樹の紹介です。
巨樹巨木を前にして、材木屋目線でというのも非常に不謹慎なところではある(以前にも何度か、違法伐採未遂扱いされた経験あり・・・)のですが、枝の出方や周辺環境、木材を扱う上での木としての存在など、普通の方とは異なることを考えていることを、この記事や組合誌にて掲載をさせていただいています。


前置きが長くなりましたが、もう自分が何百本の巨樹に出逢ったのかわからなくなるほどの中で、出逢ったその瞬間に「これは・・・・」と口をつく形容詞を途中で失うような印象を受ける巨樹があります。
相対的に巨樹の数の多い杉の中にも、言葉を失い、その存在を受け入れる時間を大切にしたい!と思うような巨樹は多く存在します。


巨樹はもちろん、良質な木材を多く輩出し見事な山々を擁する長野県。
その中心地である長野市の西の山間に、山の神様を感じる杉の巨木が存在します。
その杉は神社の境内に存在するのですが、普通の神社ではありませんでした。

市内から山道をぬけ、集落が点在する中の山上に位置する大内山神社。
その境内に、日下野のスギという巨樹が存在します。

杉の木立を抜ける参道。

日下野のスギ 12


この石段を上ると境内、と思いながら歩を進めるのですが、登り切ったそこは自然の世界。
いや、神域という言葉よりももっと人に近い。
近いというよりも人の世界ではなく、人が存在する世界ではない、木々の世界とでも言いたくなるような、林立する杉各々が闊歩しているような、「根の階段」を上る道が続くのです。


日下野のスギ 13


杉並木らしく、足元は杉の葉でフカフカとしているのですが、地表はその葉で赤黒く頭上も写真よりもうっそうとしているので、杉だけが生きる世界に人が迷い込んでしまったかのような印象を受けてしまいます。

もちろん、現実的に階段状の歩道が設けられてはいるのですが、この状況で用意された道を歩むのは普通の人たち。
私のような変人は、あえてこの木々の用意した根の階段を上り、足でその地を感じ巨樹への礼拝の瞬間までの禊を行うのです。


登り始めてすぐ、その瞬間は訪れます。
目の前に現れる巨躯。
日下野のスギです。

日下野のスギ 14



第一印象は、立派!!

様々な巨樹に出逢っていると、自分なりにその巨さだけではない視点ができると思うのですが、この日下野のスギは山間部の杉巨樹として、期待以上のお立派な姿を見せてくれるものとして、納得のできる姿でした。

日下野のスギ 15

案内板には「樹形の整った杉の巨木」とありますが、ある意味見事に整っています。
巨樹としての威厳をもち、高く聳え他を寄せ付けない存在感を見せつけています。

目通り幹回りは11.4mとあるように、県内では国の天然記念物である「月瀬の大スギ」に次ぐ巨樹であるらしいです。
確かに、単純な大きさでいうならばそうでしょうが、その存在感は山の神。
パワースポットと称され、その存在感に神様の存在を感じるような「岩倉の乳房杉」に似ているようにも思います。
そちらは近くへ足を向けることはできませんが、こちらはすぐ近くでその存在を感じることができます。


日下野のスギ 2


少し枯れたような、それでいて力強く太い幹を誇示し猛々しく聳える姿は、山の神が宿るであろうと推察するにふさわしい姿。
もし、社殿がなくすぐ近くに道がなく、もちろん民家がないような山中であるとすると、もうその姿は合掌するしかないような、そんな存在であると感じます。

日下野のスギ 9


樹齢は千数百年以上という伝承のようですが、雪深い当地の気候に耐え幾度も枝を失ったのではないかと思しき幹。
苔の緑と赤茶けた杉の皮の色合いが、若さと歴史を共存させているように感じます。

社殿の隣に位置し、しっかりとその根を下ろしているように見えますが、実はこの幹のすぐそばは結構な斜度の傾斜になっています。
すぐ下には、まだまだ若い杉の木立が広がるのですが、眼下に彼ら若木を従え下界を見下ろす大天使の様だ、と神様というよりも若干キリスト教的(?!)な神聖さを感じます。

余談ながら、天使にも階級があるようでいろいろな呼称が使われますが、日下野のスギを例えるのならまさしく「大天使長」。
すこし偶像的になりますが、私の中では大天使長のルシファー(ルシフェル)なのです。

日下野のスギ 3


天使や悪魔といったお話は、いろいろなところに見られますが、一般的には堕天使として語られる場面の多いルシファー(ルシフェル)。
そのルシファーの姿(といっても拝謁したことはない・・・もちろん)と重ねてしまうのは、神聖な姿だけではないのです。
先の乳房杉に神聖さを感じるのは、記事にも書いたように「風穴」の存在が非常に大きいのです。

自分のいる世界が一瞬にして変わる。
そう感じさせるような風穴の力がある上に、近寄ることのできない神聖さが相まってのパワースポット感なのです。

それとは異なり、日下野のスギは「天使の咆哮」としか思えなような形相が、私に「大天使長・堕天使」である姿を想像させるのです。

それは斜面側に身を移すと鮮明になります。


日下野のスギ 4


幹の下部。
真円で高くそびえるはずの杉の一部に、突き出た・・・いや意図があってその内部より出でたような突出部。

天使が叫びをあげ、秘めていた思いを吐き出しているような、そんな「塊」を見ている感覚。

日下野のスギ 5


近くにいると、そんな意識に囚われます。
それが、神を感じるようなその姿から、どこか身近な存在であるような、禁断の果実を口にしてしまった人間の、少しの良心に寄り添って神に叫びをあげる天使の咆哮のように感じてしまうのは、無論私だけでしょう。

しかし、巨樹との出遭いで感じる印象というのは人それぞれですし、そうだからこそ巨樹は人々の心をつかむのだと思います。
クスの巨樹には「トトロ」のような妖精がいるのかもしれません。

しかし、異形の姿を見せるスギには神聖さではなく、どこか人間と同じような迷いをもった姿に見えて仕方がないのです。
近寄りがたくもあり、それでもどこか人の傍にあるような、不思議な感覚。


日下野のスギ 8


樹木や木材としての目線を向けるのは全く意味がないと思うのですが、あえて言えば幾度となく雪の影響などを受け、これほどの姿に成長するまでには過酷な時間を過ごしてきたことと思います。
幾本もの幹が空を刺す姿であり、暴れ狂うように枝を出す様は天使というようりも、やはり悩みぬく堕天使。

もしかすると、日下野のスギは神様ではなく煩悩うごめく人間世界を知る堕天使の姿かもしれません。


まったく話は変わりますが、実はこの場所は長野県のマリッジサポート課(そんなのあるんだ。すごい長野県!)がお勧めするデートコースにも掲載されているんです。
調べていて少し驚きました。
この姿をどのようにカップルが眺めるのか。
静かで少し暗くも感じる杉木立に、カップルの熱が冷めないのか。
やはり巨木をパワースポットとして合掌するのか・・・(頼むから根際に立ったり皮をはいだりしないでね・・・)
 
いや、その前に山道のドライブで彼女が車酔いしないのか?!と心配したり・・・

邪推を重ねる余地は多いものの、私にとっては見事な天使だった杉巨樹の一つ。
数百メートルの距離にあるもう一つの杉の巨樹、「臥雲の三本杉」が非常に人里感を抱かせるのと対極的な存在に、人の世と神の世の狭間を感じたのは、あくまでも私見の域を超えません。

奇しくも、この巨樹が神代に続く「神代杉」と称されていることを除いては・・・・・・


日下野のスギ 18


日下野のスギ所在地

長野県中条日下野(大内山神社境内)

わずかですが駐車可能(ほぼ人は来ないと思われる。)


・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ

*2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
*消費税10%への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。(ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。)


 木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:30コメント(0) この記事をクリップ! 

これぞ象の、脚ぞ想えし 〜贄川のトチ〜


2回にかけて「トチ」についてお話してきましたが、締めくくりはトチの巨樹のお話にしましょう。
あれだけテーブル材などの大きな木材ができるとお話してきたんですから、きっと大きな木があるはず・・・
そう考えながら山間などを見ていても、なかなか見当たらないものです。こと、私のいる地域大阪は、巨樹と言えば樟、といってもいい位に樟が多く(他では長野県の一部ではケヤキばっかりというのを経験しました)街中でも立派な木を見る事が出来るのですが、トチの木となるとなかなかお目にかかれません。

それもそのはず、トチの生育環境としては渓谷沿いに育ちやすいということなので、盆地である大阪近辺には巨木は見かけないのでしょう。
以前に「モミではなく栃(とち)の木は残った」という記事を書きましたが、その残ったトチが生育していた場所も、滋賀県の安曇川流域ということで、水のある場所でした。

今回見てもらうトチの木もすこし離れてはいますが、近くには川が流れています。やはり関係はあるのかな。

贄川のトチ 3

場所は長野県塩尻市贄川。
ここから有名な木曽路が馬籠まで続いていく、現在の国道19号沿いにご丁寧な見学駐車場という綺麗な看板が出ています。
とはいえ、歩道が整備されている区間を走っていると、道路際に聳え立っていると思しきトチを目当てに行く者には、民家のすぐそばに立っているこの看板は目に入りにくく通り過ぎてしまいそうになります。

贄川のトチ 2

道路際の説明板。
右に見える民家の進入路になっているため、まさか見学用駐車場だとは認識しづらいのです。実は一回通り過ぎてしまいました。
しかしながら国道沿いで駐車スペースを用意してくれているのはとても有難いです。
どの巨樹訪問においてもそうですが、ちょろっと眺めて帰る様な事は無いので、駐車スペースはいつも気になるところです。

有難い駐車スペースに車を停め(といっても、私が訪問したときは入り口にどっかりと積雪していて、流石に愛車のバンパーを除雪車代わりにそこに入ることが出来ずやむなく別に駐車したのですが・・・)改めて眺めてみると迫力があります。

贄川のトチ 13

雪景色でわかるとおり、冬が終わるころの為葉はありません。
これにあおあおと葉が茂っていれば、更に印象は変わったことと思いますが、それでも、山肌に太く大きく鎮座する光景は見事なものです。

贄川のトチ 7

ボコボコと隆起した幹は力強く、木材としての涼やかなトチの白さとは全く対極で、優しげなイメージを払拭されたような気分です。
そのごつごつとした樹皮にはカテコール系のタンニンがふくまれている事から、鞣革(なめしがわ)に使われるそうです。
またトチは、ナラなどのように薪炭材としての有用性は低いけれども、活性炭には白樺やハンノキとともに良いとされています。
また実に含まれる「サポニン」はシャボン玉の「シャボン」と同じ語源から来ており、その言葉のイメージ通りで、石鹸の代わりとして使うことが出来るといいます。

贄川のトチ 8

巨樹のこんなコブを見ると、不謹慎にも「どんな杢がでるんだろう・・・」と考えたりしてしまうのは、木が好きだとはいえ材木屋のサガ・・・
こんな明るい場所だとその想像もふくらみますが、神社境内や、薄暗い山の中の巨樹の場合はそんな想像をしていると、身震いしてきます。こんな感覚わかるでしょうか。

めちゃくちゃ綺麗な看板。最近新しくされたのだと思います。
落ち着いた赤紫地の木目のパネルに見やすくかかれています。ついつい、この看板の樹種は?!と思ってしまいますが、印刷とはいえローズウッド系の杢柄か、と読み進めると最後に「ウェンジ」の文字が・・・
何?ウェンジの柄なの?!と我が目を疑うも、よくよく読んでみると樹幹下の祠が「ウエンジン様」とよばれているそうな・・・
なんとも早とちりな勘違い。職業病ですな、これは。
トホホなオチでした。

贄川のトチ 5

さて、長野県の天然記念物に指定されている贄川のトチ。
その立派な体躯からすると指定は当然のこと。
しかし驚くのはその樹齢。
なんと約1000年とあります。
各地の巨樹である杉を含む屋久杉やクスノキ、巨樹になるイチョウなど様々ありますが、しかしながら前回までに書いたように比較的大きく育つトチが、この大きさで1000年ということに対して驚きました。
1000年もたてば更に巨大になっているのかと思っていたからです。
もちろん無尽蔵に大きくなるわけではないのですが、このトチの歩んできた1000年という月日がどんなものだったのか、ふと思い耽ってしまいました。

贄川のトチ 10

廻りが雪に覆われ、しかも結構な斜面のため、カメラアングルが限られていしまいますが、やっぱり正面のこのアングルが一番迫力がある様に思います。

斜面下から見上げるトチはまさしく、その名「橡」が示す通り「象の脚」の如く太く逞しく感じます。
まるで今踏みだされたかの様な、シワくれていますが力強い感じ。
前回まではトチと馬の関係を多く紹介しましたが、もしかするとこの見事な幹に象の逞しさを感じたのが「橡」のもとなのではないかという想像が巡りました。

しかし、本当のところはどうも、昔は「橡=つるはみ」と発し、ドングリの事を指して用いられていたようで、これがまさしく先のドングリに酷似した実から来た当て字なのではないかと邪推するのですが、どちらも楽しくなってきますよね。
名前と漢字の結びつきは面白い!

贄川のトチ 9

下に見える車の位置が国道です。
少し小さく見えますが、それだけ離れているということ。だからこそ、道路際ばかりを見ていると通り過ぎてしまいます。
この位置からトチを眺めると、ちょっと1000年生きてきたトチの気持ちになったような気がします。
斜面から一人巨樹になった自分の眼下に広がる川、そしておそらく車の無い時代には往来の人々を静かに見守ったであろうことを思うと、すこしその大きさに親近感を覚えました。

贄川のトチ 12

これがトチの真横から撮影した写真です。
眼前が国道とはいえ、大阪の様に車が車列を成しているわけでではなく、途切れては通るという程度です。
その道路の向こうに川を挟んで正面も雄大な山景色。
道路の整備されていない時代は、厳しい山道だったのかもしれませんが、今は至って静か。
ここから見る移り変わる時代はどうみえていたのでしょう・・・

さて、最後に恒例の背比べ。

贄川のトチ 11

トチの周囲には柵があるので少し離れていることと、正面がもっとも樹幹の幅を感じさせるのですが、カメラを上手く設置することが出来ずに、仕方なく横面に並びましたので、その立派さが伝わりにくいのが残念です。
実は訪問前に見ていた他の写真でも、「まぁまぁの大きさかな・・」位にしか思っていなかったこともあり、やはり贄川のトチは実際に会ってみてこそ良さのわかる巨樹なのかもしれません。

やっぱりこれだけの大きさに成長するトチですから、立派なテーブル材が取れるのも納得してしまいます。
でも、こんなに立派な木を見ると、「売りやすいか否か」という観点の善し悪しで判断する様にはならないですね。注目されて然るべき樹種だと思います。

流石に広い広い長野県下一のトチの木。
見事でした。
出来る事ならば新緑の季節にもう一度会ってみたい、そう思わせるに十分な存在感はやはり「万の実り」を予感させるからでしょうか・・・・・


贄川のトチ所在地

長野県塩尻市贄川1882
駐車場あり

近くには池生神社のトチノキや東漸寺のシダレザクラほかがある。
その他にも足を延ばせば様々あるが、長野県は目的地から少し脚を伸ばせば次の巨樹が現れる為、どこまでを行程に含めるのか相当悩むのが苦しいところ。




木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ! 

魅惑の杉ワールド外伝 〜日本第6位の杉 月瀬の大杉〜


さて、ずっと続いてきた杉のお話。
いろんな場面で杉の良さや、日本特有の木というキャッチフレーズで宣伝されている杉ですが、それだけではなく、結構掘り下げていきたくなる樹種だという面白さがわかっていただけたかと思います。

前回で一区切りの予定だったのですが、第二話で書いていた「古くから守られてきた木と地域の人たちとの深い絆」のお話を書ききれていませんでしたので、ここに外伝と称し、そのお話とともに「日本第6位の巨杉 月瀬の大杉」を紹介しておきたいと思います。

月瀬の大杉、もしかすると殆どの巨樹好きの方は訪れているかもしれません。色々な記事でも紹介されていますし、関西からも関東からも中部はなおさらのこと、「丁度いいところ」にあるために、訪れる人は多いのでしょう。
その巨杉が聳えているのは長野県と愛知県の南北の境位のところ、根羽村。
愛知側から巨木をたずねて山越えするもよし、長野側からスキーを(あえてスキーを!!)早く切り上げた道中で南下するもよし、どちらにせよ、高速道路からは少し離れた山あいのドライブコースのはずれに位置しています。


月瀬の大杉 7
























ドカーン。

思い描いていたのは、もう少し厳かでなんというか、「これかぁ・・・」という見つけた感があるのかと思っていましたが、意外や意外、本当に真横を車がすれ違うことのできる道路が通っています。当然ながら近くまで難なく車で行く事ができます。
こんなので大丈夫なの?!と心配になるくらいに身近にあるのです。
確かに山をかき分けて、草の根を踏みしめ「ホォーイホイ・・・ホーイ」なんて奇声を上げながらへっぴり腰で入っていかないといけない場所ではない事は有難いのですが、これは近すぎる。

と思っているとやはり解説板には、伐採の危機について書かれていました。

月瀬の大杉 1














江戸城本丸焼失による復興材として、また村内神社統合の後の伐採決議などを全住民の力を結集して保存されたとあります。

確かに、ものごっつい割には幹もまっすぐに近く、枝も上部にしかないので、用材としては魅力的だったのでしょう・・・
巨木に異型や枝分かれのものが多いのは、伐採する価値が無い(材料としての判断で)為に残ったもの達だからというのも理由の一つですから、住民の方々はよく守ってくださったことだと思います。

月瀬の大杉 5
























また、昔から虫歯に病むものが祈願すると霊験が著しく、大事変の起きる時は前兆として大枝が折れる、と語り継がれているそうです。
とても神秘的なお話。
大枝の折れるような大事変があっては困りますし、大杉自体も枝ぶりを維持してもらいたいので、このお話はいつまでも語り継がれるままであってほしいものです。

月瀬の大杉 3














それにしても、このサイズの写真では伝えきる事ができない(私の技術もない・・・)のですが、近くで見るとまるで一枚岩。
ごつごつしているというわけではないですが、生きている樹木というよりも、数万年、数億年前に隆起した岩石の様な肌です。

月瀬の大杉 2























幹の下方で二つに分かれていますが、分かれた片方がまるでちからコブを誇っているかのように道路側に伸びています。
男っぽい杉、といったら叱られるでしょうか?
でも、とても雄大で、なにか守ってくれそうなイメージを持つのは私だけかな・・・

月瀬の大杉 6














広場の裏側からのアングル。
こちらは杉らしいうねりというか、隆起したコブの様な部分もあり、巨木らしさを残していると言えますね。
それに、こちらから見ると前方の空が開けているために逆行の様な状態になり、光を背に受けた月瀬の大杉は更に頼もしく見えます。

それにしても周りが開けていて道路があり(確か、御手洗いも完備されていたと思う。)、静かでありながら村の生活も感じられるホンワカした雰囲気の中に包まれている月瀬の大杉。
人里の巨人、というよりもその存在自体が村の一部の様に違和感なく思えてきます。
昔から地元の人とともにあった巨杉。
これからも地元の人とともにあり続けてほしいものです。

最後に一緒に記念撮影を一枚。

月瀬の大杉 8














このカメラの位置からあそこまで、かなりダッシュです。
ギリギリの距離。
2回失敗。
カメラが少しこけているのはご勘弁。
それでも、月瀬の大杉の迫力が少しは伝わったかな?!

なかなか離れる事ができないのは巨樹に会うといつもの事ですが、先にも言ったホンワカした雰囲気が、なおさら夕焼けをうけて輝く青葉とともに私の足をひきとめた為に、帰路につく決断が出来なかった事が印象深い対面でした。

月瀬の大杉 4
























冬場の面会のため、長野方面に戻る道中のスキー場の連続する誘惑に駐車場へ吸い込まれそうになりながらも、分かれを惜しみながら帰路についた私でした。


月瀬の大杉所在地

長野県下伊那郡根羽村5814あたり

駐車場あり

153号線飯田街道からそれて民家を抜けるとすぐに気が付きます。街道からの看板もしっかりと目印になります。
また、更に南下すると愛知県寄りに並ぶ巨樹古木をたくさん見る事が出来ます。
愛知県側に抜ける方や、脚を伸ばせる方はここを最初の目的地として南下していく事もお勧めします。
(何があるかを説明しだしたら、外伝二話とか三話とか終わらなくなってきますので、とりあえず、今回はここまでに。)


木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ! 

清内路 小黒川のミズナラ

*小黒川のミズナラが倒木しているらしいです。
そんな話を耳にしネットを見ていると、清内路ホームページに倒木記事がありました。

今まで、日本一お疲れ様。
倒木を知った日の記事は別途こちらに掲載しています。
(以下は在りし日の記事です。)



ここ数年の気候の変化は、ホントに異常ではないかと思うくらいに変化が早い事と、季節に似合わない気候を示す時があり、戸惑うことが多くなりました。

さて、とても温かいというよりも暑いと感じるくらいの春になってきましたが、ここで少し涼しくなる様に(?!)この冬のまとめをしておきましょう。
今の温かさからは想像できませんが、この冬の巨樹探訪の折に決死の(少し大げさですが、多分後でわかっていただけるかと思います。)覚悟で会いに行った忘れられない巨木をご紹介しておきましょう。

長野県の南部、中央自動車道の園原の出口を大阪方面より下り(長野方面からは下りられないので注意。)、東に位置する国道256号線へ。実は東に向かわずとも、そのまま北へ上がる山越え?の様な道でも同じ様なところに出られることが後でわかりましたが、国道の方がわかりやすいでしょう。

最初は崖縁の対向2車線の道路を走っていくと256号線に当たるところで300°位のUターンをして256号線を北に上がっていきます。
グングン登ると、清内路の郵便局と清内路小学校が見えます。それを通り過ぎ少し行くと、川を隔てて256号線が大きく左にカーブしています。
そのカーブのところに、既に看板が立っているので、見失うことは無いでしょう。

清内路 小黒川のミズナラ 2













この看板が目印です。
清内路小黒川のミズナラです。

針葉樹である杉は、比較的巨樹にあえる確率も高く、その他クスノキにもたくさん会って来てはいるのですが、ミズナラはなかなかないですよ。
マニア心をくすぐるには十分なものです。

さて、こんな立派な看板があるくらいだから、もうすぐソコにどっぷりと構えているものだと、喜び勇んで看板に従い細い山道に入っていく私でしたが、勇み足には理由もあり、実はここに到着時点で既に午後の5時少し前。
空も暗くなり始め、雪がチラホラ・・・
撮影にはギリギリの時間!!という焦りも少々あり、先の道を急いだのですが・・・・

小川沿いからは一本道であるので、スイスイと登って行けましたが、登り始めると先程からの雪が一気に牡丹雪に変わってくるではありませんか!!!
んん〜、やばいかなぁ・・・・と少し弱気になり始める私。
というのも、今年は既に雪によって目前で(といっても、一本は4キロ先でしたが・・・)2本の巨樹に会うことが出来ずに涙をのんだ前例があるため、何としてもミズナラにはあっておきたく・・・しかし、その勢いをどんどん冷ましていくかのようにフロントガラスとサイドミラーに積もりゆく雪・・・

えぇい、大阪からここまで来て簡単にあきらめるか!スリップしても登ってやる!歩いてでも行くぞ!!と、再び闘志を燃やした矢先でした。
ありゃー・・・・・

清内路 小黒川のミズナラ 1














いつものパターン。想像通り(落胆)。
車中にて「なんでやねーん!!」と何回繰り返したか覚えてもいませんが、ひとしきり悔しがった後に、看板の下方に役場の電話番号がある事に気がつきました。(遅い!)
こりゃ、ダメでもともと。電話してみるか・・・
意を決して役場の担当さんに電話をかけてみたのでした。
(思い出しながらの再現です。)

役場「はい、役場です。」

私「すいませぇん、大阪からミズナラに会いに来たんですが、今、通行止めの看板の前にいます。入れないんでしょうか・・・」

役場「あぁー・・・雪ふってきてますよねぇ。昨日少し融けましたけど、先はかなり積もってましてね。」

私「もちろんスタッドレスですが入れないですか・・・」

役場「4駆ですか?!」

私「・・・2駆です・・・」

役場「あぁ〜・・・先週に私どもの車が4駆のスタッドレスで埋まってしまいましてね。ですので・・・」

私「そうですか・・・。でも、どうしても会いたいんです。自己責任で、それも危なくなる前に引き返しますので、行けそうなところまでいかせてもらえませんか?!」

役場「そうですねぇ。絶対にダメですとは申し上げませんので、そういった状況ですので、気をつけて向かって下さい。」

私「ありがとうございます!!」

勝手に突っ切って迷惑をかけるわけにいかないので、お断りをいれて、またファイトを燃やして出発の為に通行止めの看板を横へのけて、先へと進むことになったのでした。
上がっていくとホントに道路にも既に積もっていて、ところどころ凍結しだしていたので最新の注意を払い、一度タイヤが言うことをきかなくなったら(横滑りするとか・・)帰ろう!と心に決めて少しづつ登り、前方が開けたところにやっと出会えた、清内路小黒川のミズナラ!!

清内路のミズナラ 3













雪に佇むその姿だけで、感激!
当然雪が降る季節の為葉は落ち、天候も悪く、時間も夕刻ということで輝きは無いのですが、それでも山にたたずむその姿は、人がいない事も手伝って「よくぞここまで上がってこれたな。」とミズナラが迎えてくれている様に感じてなりませんでした。

清内路 小黒川のミズナラ 4














看板の説明にも納得の素晴らしい樹形だと思います。
それに、「この種としては日本唯一」というところがまたすごいところ。

ひとしきり感激したところで写真撮影に入ろうと、日が沈む時刻の確認をしようと携帯電話をみると、ガビーン(死語)!!圏外!!!!
そりゃそうですよね。いくら洞窟やゴルフ場でつながるとか言っても、通行禁止になっている山奥です。つながるはずないよね。
てことは、万が一埋まっても、日が暮れても連絡とれない、しかも通行止めで誰も入ってこない・・・
うひょーーーー、ホンマに危ない!
その事態を把握したとたん、雪が更に激しさを増してきたように感じ、いや、増しており車の屋根が一気に白くなっていきます。
こりゃいかん。

ということで、慌てて仙人に御挨拶。
そして写真を撮りながら、その巨体を眺めるのでした。

清内路 小黒川のミズナラ 5



 暗いですが、左にいるのが私です。









清内路 小黒川のミズナラ 8
























これをみると、風の影響なのか日当たりか、もしくは土地固有のものなのか、幹が旋回しているように見えます。

清内路 小黒川のミズナラ 10
























葉はないとはいえ、大きく張り出した枝と、その枝振りのバランスの見事なことは特筆です。
夏や秋にも訪れてみたいと思わせるに十分な存在であります。

清内路 小黒川のミズナラ 7














道路側と反対は川になっているので、あまり近づくことはできません。夏ならばまだしも、もし土が崩れては大変。と思いながらも裏に廻ってカメラを構える私は本当にどこか違うのかなぁ、と自分でも感じるところ。

清内路 小黒川のミズナラ 9




 無事たどり着けたことに感謝!









さらにミズナラの看板の奥には、「この奥に巨木あり」という、怪しげな看板があったのですが、さすがに身の危険を感じこれ以上は役場の方との約束を反故してしまうと想い、この時ばかりはアホさ加減を封印し、次回がある事を信じて一通り撮影を終え、この目と体で空気を感じ取り、かなり名残惜しく思いながらも、出会えたことに感謝しながらミズナラに別れをつげたのです。
帰り道もミッション車ならではのエンジンブレーキとハンドル操作でなんとか無事下りる事が出来、通行止めの看板も元通りに戻し終えて国道へ出たのでした。

もちろん、すぐに先程の役場に電話で一報をいれ、無事に下山したことをお知らせしたことは言うまでもありません。
寛大に接してくださった役場の女性に感謝です。

雪の中のミズナラの巨樹の存在感はたまらないものでしたが、事情があり冬にしか会いに行きにくい私の都合で、このような事になっていますが、皆さんはくれぐれも安全な時期に尋ねてくださいね。
雪のミズナラは私の写真だけにしてください。
ここだけではなく、冬の山は人間では越えられない危険が一杯です。私の様な事がないようにお願いいたしますね。
冬の巨木巡りなんて、する人いないか・・・私くらいですね。なら一安心です。

又一本、素晴らしい巨樹に会うことが出来た事に感謝の夕暮れでした。

清内路 小黒川のミズナラ 6














清内路小黒川のミズナラ所在地

山中のため、正確な住所は不明ですが、大体このあたりです。
長野県下伊那郡阿智村清内路974

駐車スペースあり



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ!