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銀杏

言い出したくて我慢できないこと・・・ライトアップの巨樹 〜菩提寺のイチョウ ライトアップ再訪!!〜

コロナウィルスの影響がやまない中、緊急事態宣言にて行動などの自粛が呼びかけられ続けています。
人と接することができないというのは、本当につらいものです。
普段の仕事や出張でも一人で行動することあ多い私ですから、休日の外出時間や外食などの折には楽しく会話し、人の話も聞きたいのですが、どこでもそのようにふるまえるのは、もう少し先になりそう。

でも、そんな時だからこそ緑映える自然の中で、適度な距離を保てる場所にいられると非常に心安らぎます。
私にとっての場所はやはり巨樹の所在地。
現在は移動自粛の為に訪れることは少ないものの、広い自然の中で巨樹に対峙するくらいは問題がないはずですから、こんな時ほど巨樹へ訪れたくなります。

そんな巨樹の魅力を感じるのは私だけではないことを実感したのはここ。


菩提寺のイチョウ 黄葉バージョン 12


朝焼けとはまた違う色合いに白んできた夕暮れ時。
大イチョウのライトアップの火が灯り始めました。
ここは過日に紹介した菩提寺のイチョウのある場所。
黄葉時期のわずかな期間にライトアップが行われることは、前回の訪問時にも知ってはいたものの、なかなかピンポイントでその時期に訪れることが叶わない為に、いつ行けるのかと思っていたところでした。

とそこへ、わずかなことで遠方へ外出しなければならない用事が出来、もうこの際にどうせ日帰りで夜になるのだから、仕事の後に寄ってみよう!と思い寄ってみると運よく開催中!!

仕事続きの毎日で紅葉シーズンを楽しめていなかっただけに、イチョウはもとより豊かな山の緑に赤や茶や黄色の色合いが眩しくて、ワクワクが止まりません。
しかも夜に向かうその薄暗さと、通路や木々を照らすライトの明かりが11月下旬の寒さを感じさせない温かさを演出してくれています。

菩提寺のイチョウ 黄葉バージョン 1


子供の時、新しいおもちゃや欲しかったものが手に入ると、とにかく自慢したくて仕方ありませんでした。
喜びが我慢できないというか、人に知ってもらいたいという承認欲求というのか?!
そんな感覚が、このイチョウのライトアップに訪れた際に感じた感覚です。

その理由は、夜の巨樹もいい!!からです。

既に太陽の姿は見えなくなっているものの、まだその残光に焼かれた余韻が空に残っている時刻。
ライトを浴びる大イチョウの姿が黄色に包まれていました。


菩提寺のイチョウ 黄葉バージョン 2


あぁ、もう少し早ければ黄色いシルクをまとったような姿に出逢えたのか・・・と思うように地面に散る黄葉の葉。
しかし、短いライトアップ期間を考えるとそうでもなく、また散った葉が下からも黄色味を演出している為に、黄色い絨毯が敷き詰められているようにも感じます。

いや、久しぶりに見てもこの「象の鼻」は健在ですね。

以前に訪問しているだけに、どのアングルで撮影しようか・・・と考え込まずともよく、じっくりとその姿を眺めて歩く事が出来ました。

少しづつ暗くなっていく周囲。
カメラのシャッターをきっていくものの、映る写真は意外と明るい。
少しはライトアップによる赤黄色い色味が出るころなんだけども・・・

菩提寺のイチョウ 黄葉バージョン 4


そう思いながら、移ろいゆく時間にカメラを構え続けていました。
じっくりとその美しさを鑑賞したい気持ちと、どうして目で見ている美しさがカメラで描写できないのか?!という気持ちとが交錯し、落ち着かない私。

それに引き換え、周囲におられる人たちはイチョウを眺めながらも、悠々とシャッターをきっている。
そうです、ライトアップが催されているので私だけではなく、驚くほどの人が来ているのです。
混んでいる、ということではなく前回は静かで広大な敷地の中で私一人。
それに対して今回は、駐車場にはひっきりなしに車が入っては出ていくし、点々と三脚を固定し撮影している人がいる。

菩提寺のイチョウ 黄葉バージョン 9


十数分で帰路につく人たちがいるのは、地元の住民の方。
中には、「やっぱり前の方がよかったなぁ・・・」という声もあり、毎年来られていることを想像させます。
風によって聞こえてくる中には、「昨日よりもちょっと進んだな!」とか言っておられる方もいて、数日のイベントにどれだけの人がおとずれているのか、また地元で愛されているのだということがよくわかりました。


菩提寺のイチョウ 黄葉バージョン 6


前の方がよかった、というのは台風で折損した部分の話の様で、以前はさらに迫力と貫禄があったということのようです。
2回目の訪問である(基本、数回訪れることはない)私にとっては今の姿でも十分に驚きなのですけどもね。

もともとがその巨大で特殊な様相を呈しているイチョウですが、その姿が美しさを伴い夜の帳に黄色い炎として浮かび上がるのはもうすぐでした。


菩提寺のイチョウ 黄葉バージョン 8


草原に菜の花が咲いているような地面に対して、まばゆい光を放つ黄葉。
日光による黄色ではなく、その黄葉の葉が内側から発光してまばゆい光を放っているような感覚。
あぁ、貴重な時間ここに居られてよかった。
そう思いながら、一瞬一瞬が過ぎていきます。

冬を迎えるその空気が、一層黄色みを強調しているようにも感じます。


菩提寺のイチョウ 黄葉バージョン 19

背景が完全に黒になり、橙の光に照らされて本来の葉緑素の緑色を感じるのか、黄色みが薄れると感じる一面もあるものの、周囲のスギ林から隔離され唯一の存在となったようにすら感じさせるイチョウ。
昼までは背景の明るさで見えづらい細かな凹凸が目立つようになります。

木枯らしが吹くたびに、黄色い吹雪が舞いライトアップの明かりによる幻想的な空間を、一層盛り上げてくれます。

そんな中、ふと空を見ると小さくお月さんが見える。
明るいライトでわかりづらかったものが、凝視するうちに輝いて見える。

月、そんなところに居たんだ。

菩提寺のイチョウ 黄葉バージョン 14

気が付いた時には、既に右側の枝葉に隠れる寸前。
慌ててイチョウを入れながらシャッターをきりました。
そうしたら、人工的なライトの明かりではなく、まるで月明かりに照らされている様で、そしてイチョウの存在だけが浮かび上がるような印象を受け、とっても美しかったのです。

これだけの迫力を持つ巨樹のライトアップに訪れたのはおそらく初めてでしたが、昼間とは全く異なる空気感と美しさに感激しました。
日中の明るさももちろんいいのですが、巨樹以外は見えずひたすら浮かび上がる巨樹に見とれる。

そんな時間を日没から3時間!堪能しました。
日中の撮影でも2時間いたんだから、そりゃそうだ!と自分では納得なんですが、周囲の人たちはすぐに入れ替わっていく。

子連れからカップル、または祖父母と孫など様々な人たちがおとずれます。
こんな幻想的な場所の近くに住めるっていいなぁ、豊かだなぁ・・・そんな気持ちになります。

そばで見るイチョウも素晴らしいのですが、通路にはカエデも燃えています。

菩提寺のイチョウ 黄葉バージョン 10

黄色、赤、緑が黒の中で彩色を競い合っている。
とても鮮やかな競演です。

本当に、この時期に訪れる事が出来て良かったと思いました。
設営し公開して下さっている方々に感謝の念が堪えません。
いつまでも、皆がこの美しい情景を眺める事が出来るよう願っています。

最後に、普段はその姿を詳しく伝えるために接写写真が多くなりがちな巨樹の写真とは反対に、ライトアップだからこそ美しい一枚で報告を終わりたいと思います。


菩提寺のイチョウライトアップ、ありがとうございます!!

菩提寺のイチョウ 黄葉バージョン 7



追伸:普通なら、夜にこの場所は恐怖以外の何物でもない山中。この賑やかさでは前回お伝えしたクマも姿を見せないことと思いますが、会場入口から少し外れた登山道入り口には、「これでもか!!、怖いぞ!!」とビビらせる気満々の注意喚起看板が立っています。

皆さんも前回の記事同様、油断することなく訪れることをお伝えしておきます。
この顔、見てくださいよ・・・・・・・

菩提寺のイチョウ 黄葉バージョン 11


菩提寺のイチョウ ライトアップ

黄葉の時期に不定期で開催されている模様。
岡山県勝田郡奈義町高円1532

広い駐車場有


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木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:30コメント(0) この記事をクリップ! 

河内の財産、流谷八幡神社の銀杏(いちょう)


いつも注釈が必要になりますが、決して拙記事は巨樹ブログではありません(笑)。
ただ、そこに巨樹があるから・・・それだけで引き寄せられるのです。

あんまり書くと、入れ込み具合が半端でない事がバレてしまいますので、この辺にしておきますが、今回はたまたま行きつく事が出来た見事な木を紹介したいと思います。(それよりもっと商品である木を紹介しないといけないんだけど・・・・)

先日、所用で大阪の南、和歌山にほど近い河内長野市に出かけていました。
出かけるまでは思いだせなかったのですが、河内長野の看板を見てふと、「そうや、木あったんちゃうかな・・」と頭に以前に見た写真がふわふわと浮かんできたもんですから、こりゃ向かわないと損!!
大阪とはいえ、私の街茨木市からはかなり南下し、山の中へと続く道を走らないといけない場所にお目当てはあるので、逃してなるものか!!と奮起して向かう事にしたのです。
実は今回向かった事にはもう一つ理由があったのですが、それは後の写真でわかります。

はっきりいって、ほとんどどこ走ってるのかわからない状態であったくらいに私には不案内な場所である河内長野。
ホントにええ加減な地図だけで到着できるのか、結構不安でしたがわかりやすい場所だった為に、すぐに到着できました。
大阪の北摂方面からだと高速か、国道170号線をどんどん南下し先ずは河内長野市に入ります。
途中、河内長野駅の辺りで国道371号線(高野街道)に乗り換え、更に南下。
美加の台駅を過ぎたあたりで本線から外れ?!て右折し天見川沿いのルートに入ります。そこから少し走ると天見駅近辺にでます。
そうすると、そこには「八幡神社」の看板が立っています。少し細く見える進入路を入りすぐ左折して川を上っていくと、眼前に大きな紅い端が見えます。
そう、そこが目的地の流谷八幡さんでした。

流谷八幡神社 8














流谷八幡神社 14






 とても緩やかに時間が流れるように感じられる風景です。

 心なしか、風が気持ち良く感じられるのも、こういった場所ならではでしょうね。











とはいいつつも、仕事の加減もあり、夕方に到着したので焦りまくって車を停め目的の巨樹に向かいます・・・と思ったら、すぐ目の前にも聳えてた。

流谷八幡神社 19







 駐車スペースのすぐ前に聳える杉の木。

 枝ぶりも立派に参拝者を出迎えているようです。












流谷八幡神社 18








 境内の資料によると、この杉と川を隔てた柿の木にしめ縄が永く保たれるとその年は豊年だと伝えられているそうです。











道路際からのアングルでは普通に素直に伸びた杉ですが、これが生い茂った葉をのけてみると2株の様にみえるので、隣の株と合体しているのか、はたまた分岐したのか、道路から下り、川の方に出ないと見えないため確認はできませんでしたが、やはり道路からの眺めからは想像できないくらいのあの杉独特の「畏怖を覚える」枝と皮の荒々しさが目に飛び込んできますので、木は不思議です。

流谷八幡神社 15







 葉が囲んでいて暗くて巧く写りませんが、道路からは想像もできないのアラクレぶりです。













流谷八幡神社 20
























携帯のカメラをいろいろといじるも、やはり綺麗には撮影できずで残念ながら、こんな時に限ってカメラを携帯していなかった自分に無念な苛立ちを感じつつ、そそくさと夕刻のお参りに向かうのでした。

いきなりの杉に気をとられていましたが、朱の橋の渡り始めに境内の由緒書きが整備されています。

流谷八幡神社 16



 綺麗に保たれています。地元の方々が手入れしてくださっているのでしょう。








時間を気にしながら朱の橋を渡り境内を目指すとまた、私の眼前に被写体が立ちふさがるではありませんか!!

流谷八幡神社 13







 樟でしょう。
写真では伝えにくいですが、結構な大きさです。
巨樹とは言いにくいまでも、立派な幹は直に触れられる幸せがあります。











流谷八幡神社 12




 傾斜している石垣に生えています。

 どうしてこんなところに生えたのか?!当然、種が芽生えたからですが、やはり植物が生きていく環境は厳しいですね。

 人間なら、こんな踏ん張り続けないといけない場所は、きっと選ばないだろうな。








念の為、大きさを確認しておきましょう。

流谷八幡神社10






 因みに、ジャンパーを私だと思って下さい。
 太さわかります?!ふかふかの温かい樹皮でした。














流谷八幡さん、なかなか先には進ませてはくれませぬ(笑)。

さて、第二関門を突破し、いよいよボスのお出ましです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


のはずが、「んん!?」どこやろか?見当たらん。そんな巨樹ならわかるはずやろし、何せこの時期「色」ですぐ見つけられるはずやのになぁ・・・
と思っていると、地域の方が奥から歩いてこられる。
こういうところでは、話しかけないと損!しっかり挨拶し、「ところで○●巨樹はどこでしょう?!」と尋ねると意気消沈なこんな答えが返ってきました。

おっちゃん「あそこやんか、ほれ。あの奥・・・それ。みえてるやろ?」
私「見えん・・・」
おっちゃん「けど、もうあかんでぇ。みな散ってしもうとるわ」
私「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、え、そうなの?!」

はい、散ってました。
周辺の山は紅く色づいていたというのに、見事に散ってました。
そう、私がこの日に訪れておきたかった理由は「黄葉」を拝むためだったのです。

流谷八幡神社 7
























これが、樹齢400年と言われる銀杏です。
大阪府指定天然記念物の文字が見えます。

流谷八幡神社 1














金色の絨毯の様に、私の足元を覆う銀杏の葉。
あぁ、もう少し早ければ・・・・悔やまれるその想いを時間は待ってはくれず、しかしながら、その落ち葉の間から覗く異様なまでの根に目を奪われるまではそうは時間がかかりませんでした。

流谷八幡神社 4














流谷八幡神社 5
























崖、と言えるくらいの斜面に根を張り巨躯を支えるその姿は、もし葉があったなら、相当な景観だったことと容易に想像できる位に素晴らしいものでした。
綺麗に葉を落としたその姿は、次の季節を静かに待つ僧のような威厳を持っていたように感じました。

流谷八幡神社 3
























銀杏はシーラカンスの様に「生きた化石」と言われます。
一度は絶滅したと思われていたものが、再発見されたことと古代に繁栄していた17種の仲間のうち、イチョウ綱イチョウ科イチョウ属という植物上の分類を通して唯一つの、原生する種類であり氷河期をも乗り越えて、ルーツを守り続けてきている樹種だからです。
今では大阪においては特に良く目にする銀杏ですが、実はとても永い時間を生き抜いてきた種であるのです。
大先輩ですね。
その銀杏の見事な巨樹が大阪府河内長野市にあります。
例のごとく、根の保護のためきちんと周りを囲まれていますが、これからも元気に、また、次は黄葉を楽しめる時期に会える事を楽しみに、惜別のあいさつを交わし、河内の地をあとにするのでした・・・・

流谷八幡神社 4














流谷八幡神社の銀杏他所在地

大阪府河内長野市天見2211

参拝用駐車スペース若干あり



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!