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杉柾目

特殊加工 杉柾羽目板納まる 


もう最初に製材と相談を始めてから9カ月位になります。
全く方向性のわからないところで材の提案から始まって、加工形状、寸法、形とその全てにおいて様々な意見を交わして、施工方法なども考慮した結果出来上がった羽目板の施工がついに完成しました。

杉柾特殊加工羽目板 7


見事な杉の柾目。
4mという長尺(長い材料)でありながら柾目という贅沢な木取り方法で得られる貴重な羽目板です。

杉、というと依然「安い無垢内装材」というイメージを持っておられる方もいらっしゃるのですが、杉の柾目の美しさというのは、松の柾目とはまた全く異なる美しさのあるもので、これぞ針葉樹の真骨頂と言うべきものだと思っています。

杉柾特殊加工羽目板 2

また、特筆すべきはこの色合い。
赤身と白太の自然な美しさは天然乾燥によるもの。
またそれは色合いだけではなく、清々しい杉本来の香りも残してくれています。

杉柾特殊加工羽目板 6


機械で急いで乾かしても色合いは調整できるかもしれませんが、水分と一緒に絞り出されてしまう杉が持つ、本来の有効な精油成分もしぼりとられてしまいます。
その点、天然乾燥では杉材において実証されているリラックス効果や安眠効果はそのままですから、寝室やリビング、いや場所を問わず、憩いの場である我が家にはぴったりの材だと思います。

杉はまっすぐに育つから「直(す)ぐい木」の転訛でスギだといわれたりしますが、それでも、柾目部分ばかりを多く集めるのは簡単ではありません。
それも乾燥材で、です。
これぞ、高樹齢 百年杉柾浮造り無垢フローリングを扱っているからこそできること。
また、柾目以外の部分も板目浮造りフローリングデッキ材などで活用する事が出来るからこそ、これだけの柾目板が出来るのもまた同じ。

杉柾特殊加工羽目板 5

そして今回はその材質ばかりに注目してもいられません。

材質については私が自身を持って送り出すものの、その加工形状です。
以前に記事で試行錯誤中の経過をお伝えしたこともありましたが、「陰影を出しながらも、弧を描いていること」が今回の羽目板、いや正確には天井板の条件でした。
陰影を出す、ということは、まっすぐに板同士を嵌合していたのではいけません。
ではどうなるのか?!
これも以前にお伝えした「イナゴ天井」のような形で板同士が重なり合うように納めていけば、綺麗な陰影が出来るのではないか?!
ということで、その形状の試作と試行錯誤が始まりました。
色々と案を出し、実際にサンプルを作って出来上がりのイメージを見て、そして再度作り直し、ということを繰り返してこの天井板が完成しました。

また、形状で一番苦労したのが弧を描くこと。

杉柾特殊加工羽目板 3

全体像をお伝えできませんが、吹き抜けにそって天井が波のうねりのように動的な印象を与えるその貼り上り。
大工さん、流石です。
納まりや形状は企業秘密(うーん、格好いい!)ですが、頭では理解できるものの、本当にこんなにうまくできるのかどうか心配していたところ、なんとも圧倒的な完成度。
まるでお寺の本堂の様?!

杉柾特殊加工羽目板 4


実際にケヤキの太い大黒柱がたっていますから、それもあって物凄く木の存在感がありながあらも、鬱蒼と感じないのはやはり頭上の杉柾板の涼やかさでしょうね・・・

今回は若干の柾目の流れも許容できましたので、若干の目の流れも見られますが、そんなこと気にならない気にならない。

杉柾特殊加工羽目板 8


これこそ、材料の良さと大工さんの腕のなせる建築の凄さですね。
自身の提案した木材が、こんなに素晴らしく産声を上げる喜びはいつも格別です。
忙しい中、丁寧な無垢仕事をしてくださった高槻市の誠和住研様、有難うございました。
細部の割り付け(材料の使い方)、指摘するところなしでした(笑)。恐れ入りました。

このスギの赤白も徐々にあせてはいくことと思いますが、それとともに柾目の深い味わいが出てきてくれるであろうことを期待して・・・


百年杉柾無垢フローリングを始め、杉柾目天然乾燥造作材の別注も受け付けておりますので、ご相談はこちらまで。

杉柾特殊加工羽目板 1




木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ! 

杉かぁ・・・・を杉かぁ!!!にするために・・・


モノや事というのは、時に偏見を持たれることがあります。
固定観念や偏った情報などによって起こる事がしばしばですが、お客様との打ち合わせでも稀にそういった事に遭遇します。

少し前もありました。
「○●や△△を使って、こういう形にするのはどうでしょう?!」
我ながらなかなかの提案だったようで、案自体は気にいっていただいたのですが、どうも樹種がお気に召さない様子。
「杉かぁ・・・杉ねぇ・・・」と聞こえる声。

イメージというのは厄介なものです。
建築業の方には特にですが、どうも杉と聞くと「安い材料」というイメージがある様で、提案は良くても材料が杉では今一つだというのです。
節があったり、色が揃わなかったり・・・
悲しい事です。

それを払しょくすべく、以前の記事でも杉の魅力をとりあげてみたのですが、そりゃ、ボロボロと節が抜けて材の色が黒く変色したような乾燥材があったりしますが、そうでないものもたくさんあります。
また、用途によって色々と製材し、節や目合いを作り出せるのが杉ですし、優れた本物の杉の色合いと目合いは、気持ちのいいくらい美しいものです。

それをお伝えするために、杉のフローリングにおいても「杉のフローリングでそんなに値段するの?!」とイヤミを言われながらもわかっていただけるお客様には、天然乾燥古希杉浮造り無垢フローリングや、更に稀少な天然乾燥百年杉柾浮造りフローリング高樹齢杉純白浮造り無節羽目板などをおすすめしています。
顕著な違いは、香りとその経年変化に現れますが、購入当時はなかなかわかりにくいものです。
もちろん、よりリーズナブルな杉埋め節幅広無垢フローリングもご用意していますが、材の樹齢や育ちはまた異なっています。

そうやって、目的に沿った製材ができ加工が出来るのが杉のいいところ。

今回は、その杉の良さを見込んで試作をしてみました。
某建築に提案している材です。

杉柾特殊加工羽目板 1










百年杉柾浮造りフローリングの原板となる杉の柾目材を利用して、杉柾羽目板の特殊加工を施してみました。
加工形状は現在お伝えできませんが、とても良い仕上がり。

もちろん、香りはすっきりとしていて木目も当然細く長くたなびく様な美しさ。

杉柾特殊加工羽目板 2










実物は予算との兼ね合いで目合い(木目の具合)をどのあたりのグレードに持ってくるかはわかりませんがこういった対応が出来るのも杉の良いところ。

この杉とともに、もうひとつ提案しているブラックチェリーの加工材とともに、杉柾の美しさを買ってもらったお客様のところへ杉宣伝部隊の出発です。

杉柾特殊加工羽目板とブラックチェリー










そのうち、弊社から提案する杉に関しては、杉かぁ・・・から「杉かぁ!!」の語尾の上がる材にしていくつもりです。
まだまだ杉の良さを伝えきれていません。もっともっと知ってもらわないといけませんね。



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!