2014年01月25日
特殊加工 杉柾羽目板納まる
もう最初に製材と相談を始めてから9カ月位になります。
全く方向性のわからないところで材の提案から始まって、加工形状、寸法、形とその全てにおいて様々な意見を交わして、施工方法なども考慮した結果出来上がった羽目板の施工がついに完成しました。

見事な杉の柾目。
4mという長尺(長い材料)でありながら柾目という贅沢な木取り方法で得られる貴重な羽目板です。
杉、というと依然「安い無垢内装材」というイメージを持っておられる方もいらっしゃるのですが、杉の柾目の美しさというのは、松の柾目とはまた全く異なる美しさのあるもので、これぞ針葉樹の真骨頂と言うべきものだと思っています。

また、特筆すべきはこの色合い。
赤身と白太の自然な美しさは天然乾燥によるもの。
またそれは色合いだけではなく、清々しい杉本来の香りも残してくれています。

機械で急いで乾かしても色合いは調整できるかもしれませんが、水分と一緒に絞り出されてしまう杉が持つ、本来の有効な精油成分もしぼりとられてしまいます。
その点、天然乾燥では杉材において実証されているリラックス効果や安眠効果はそのままですから、寝室やリビング、いや場所を問わず、憩いの場である我が家にはぴったりの材だと思います。
杉はまっすぐに育つから「直(す)ぐい木」の転訛でスギだといわれたりしますが、それでも、柾目部分ばかりを多く集めるのは簡単ではありません。
それも乾燥材で、です。
これぞ、高樹齢 百年杉柾浮造り無垢フローリングを扱っているからこそできること。
また、柾目以外の部分も板目浮造りフローリングやデッキ材などで活用する事が出来るからこそ、これだけの柾目板が出来るのもまた同じ。

そして今回はその材質ばかりに注目してもいられません。
材質については私が自身を持って送り出すものの、その加工形状です。
以前に記事で試行錯誤中の経過をお伝えしたこともありましたが、「陰影を出しながらも、弧を描いていること」が今回の羽目板、いや正確には天井板の条件でした。
陰影を出す、ということは、まっすぐに板同士を嵌合していたのではいけません。
ではどうなるのか?!
これも以前にお伝えした「イナゴ天井」のような形で板同士が重なり合うように納めていけば、綺麗な陰影が出来るのではないか?!
ということで、その形状の試作と試行錯誤が始まりました。
色々と案を出し、実際にサンプルを作って出来上がりのイメージを見て、そして再度作り直し、ということを繰り返してこの天井板が完成しました。
また、形状で一番苦労したのが弧を描くこと。

全体像をお伝えできませんが、吹き抜けにそって天井が波のうねりのように動的な印象を与えるその貼り上り。
大工さん、流石です。
納まりや形状は企業秘密(うーん、格好いい!)ですが、頭では理解できるものの、本当にこんなにうまくできるのかどうか心配していたところ、なんとも圧倒的な完成度。
まるでお寺の本堂の様?!

実際にケヤキの太い大黒柱がたっていますから、それもあって物凄く木の存在感がありながあらも、鬱蒼と感じないのはやはり頭上の杉柾板の涼やかさでしょうね・・・
今回は若干の柾目の流れも許容できましたので、若干の目の流れも見られますが、そんなこと気にならない気にならない。

これこそ、材料の良さと大工さんの腕のなせる建築の凄さですね。
自身の提案した木材が、こんなに素晴らしく産声を上げる喜びはいつも格別です。
忙しい中、丁寧な無垢仕事をしてくださった高槻市の誠和住研様、有難うございました。
細部の割り付け(材料の使い方)、指摘するところなしでした(笑)。恐れ入りました。
このスギの赤白も徐々にあせてはいくことと思いますが、それとともに柾目の深い味わいが出てきてくれるであろうことを期待して・・・
百年杉柾無垢フローリングを始め、杉柾目天然乾燥造作材の別注も受け付けておりますので、ご相談はこちらまで。
