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大阪府が誇る異形スギ! ~大沢のスギ~

巨樹巡りで大阪に来たなら、ここへ寄らなきゃいけません。
そう思うのは、大阪府随一のスギ巨樹であり、驚く異形のスギだからです。

大阪府三島郡。
都市としての大阪府ではなく、京都府へと抜ける山間部にそのスギ巨樹はそびえています。

府道79号線、ゴルフ場の西側に道路からもわかりやすい看板が立っています。
担当も、その存在を知ってはいたものの、近くであることと「山中」であることを理由に、なかなか訪れる機会がなかった場所。
しかし、所用で府道を走行中、その看板を見つけてしまったのです。


大沢のスギ 2


あぁ、これはもうすぐに訪問せよ!ということなんだと思い、意を決して訪れたのですが期待通りの素晴らしいスギでした。
担当が、意を決することが必要な理由。
いうまでもなく、クマです。

いくら大阪府とはいえ、油断することはできません。
それに、ネット上の写真を見ても本気の(?)山中の様子。
その上、担当の地元茨木市(三島郡とは、高槻市とともに山で続いている)でも近年はクマの目撃情報が出ているために、用心せずにはいられません。

その上、異形のスギにブルっと震えることと予測されるため、意を決するのです。


大沢のスギ 1


大阪府の天然記念物。
推定樹齢800年、堂々の巨樹古木です。

大阪府には、他府県に誇る二大巨樹である薫蓋樟野間の大けやきがあります。
双方、押しも押されもせぬ巨樹ですが、今回紹介するのはスギであり、なによりもその偉業が印象に残るものです。

大阪府も、南部は林業の歴史があり、当地北部も森林地帯となっています。
しかし、全国的に多く存在するスギですら巨樹が存在しない大阪府。
その北部に、このような見事な巨樹が存在することは、前述の二大巨樹とともに知られるべきものだと感じます。


大沢のスギ 6


出逢った瞬間に、本当にここは大阪府なのか?と思ってしまうほどに荒々しい姿を見せる大沢のスギ。

おどろおどろしくうねる枝は、京都府の伏条台杉や岐阜県の巨大株杉を想起します。
大阪府のホームページによると、落雷などで幹が欠けた後に枝が育った、ことによるこの異形だそうですが、それにしても凄すぎる。

山深い他地域であったとしても、このような姿は驚くものですが、何度も言うようにここは大阪府。
よくこの姿が800年間残ったものだと思います。

ここは個人所有の山林のようで、地権者さんのご厚意で公開されている様子。
天然記念物登録をうけているから、公開しないといけないんだと思いますが、代々の地権者さんなのか、暴れ木として除伐されるか他の有用樹種を育てたいようなところのはず。


大沢のスギ 9


そう思っていましたが、府のホームページはこうも記載されています。
「集落の境に四つの神木があり、その一つがこのスギ」
なに?!四つの神木?!、そこが非常にきになるところですが、やはり昔から神木とされてきたために残ったようですね。

それが方角を見てのことだったのか、他の理由でそう考えられたのかはわかりませんが、神木にふさわしいのは言うまでもありませんね。

主幹を失ったことで、大スギの生命の危機感が一気に噴き出したのでしょうか。
幹から四方に枝を伸ばし、さらに伏条更新を進めているのではと推察される、扁平かつ幅広い大枝が地表から伸びあがっています。


大沢のスギ 7


巨樹には共通することですが、なんともいえない生命力を感じます。
それは単幹の巨樹であっても同じことですが、それ以上にこのような姿からは、一層の命のほとばしりが見えるようです。

しかしながら、府のホームページにはこう続いていました。

「2本が寄り合って1本になったものらしい」と。

それは伝承なのか調査の結果なのか。
おそらく調査結果なのかと思います。
一時期、樹勢が衰えていたようです。

樹木医さんが入り、診断したことによるものなのでしょう。
現在では、根をいためないように柵を設けられています。


大沢のスギ 5


こんな感じで。

訪問時、正直がっかりしたんです。
いや、遠目には感激し畏敬の念を抱いたことは言うまでもありません。

しかし、すぐにこのフェンスに気が付き、カメラアングルが限られるうえもう少し全体を眺めたいという欲求が生まれるからです。
しかし、そこは巨樹訪問のマナー。
後世にもこの見事な姿を残していくためにも、柵を超えていくわけにはいきません。
そう思っていたものの、よく見てみると入られるじゃないの!


大沢のスギ 11


いやぁ、妙に背の高い柵だと思ったんです。
しかも木製の柵との2段構え。
その理由は動物による土壌侵食の予防でした。

読んでよかった。
外側の柵の中に入って、と書いてある。喜んで!!

ということで柵の内側でその姿を撮影することができたのですが、さらに中の木製柵からは立ち入らないようにしましょう。
どこの巨樹でもそうですが、一部では柵を超えていく方も少なくありません。
巨樹訪問を多くアップロードされている方の中にも、そういう方もいらっしゃいます。

もちろん、担当も入りたい。
でも入らない。
ルールだから。守るための。

だから、今回は担当との大きさ比較はありません。


大沢のスギ 8


これほどの巨樹ですし、近づけないのは残念ですがこころよきかたは、どうか外側からの見守りをお願いします。

先のように、もしこの大スギが合体木だとしてもその存在価値に変わりはありません。
周囲の人工林の木々が頼りなく見えるほどの圧倒的な存在感は、神木としての雰囲気は十分です。

伏条更新が多くみられるウラスギのように見えますが、日本海側と言えない、いやどちらかといえば太平洋側である大阪府で、しかも多雪地帯でもない当地でどのようにしてこの樹形になったのか、考えたくなるのは無粋でしょうか。

樹木医さんが入る前の姿は、残念ながら知りえないのですが、どうももっと鬱蒼とした人工林だったようです。

大沢のスギ 13


大スギの周囲はほかの木々は少なく、柵を設置後に鳥による散布で芽生えたと思われる雑木が見られるものの、非常に「きれいに」保たれています。

訪れる人が多かった、ということではないのでしょうが、もしかすると周囲の人工林の若木の生長が良すぎて、十分な光や水分などの摂取ができていなかったのかも知れません。

担当が訪問した時も、昼間であり大スギ周囲には樹木がないのに若干暗めに感じたのは、日当たりとその周囲の木々の雰囲気なのかもしれません。
実際に暗いわけではありませんが、明るい斜面でないことは確か。

それに、道路から数分で到着できることもあり、それほどの緊張感無くたどり着けることも、怖がり(基、慎重!)な担当であっても暗さをさほど感じない理由でしょう。

とはいえ、やはり冒頭のクマ対策はしておきましょうね。
この異形に感じる身震いならいいですが、クマとの遭遇での身震いだけは避けたいものですから。

大沢のスギ 18


近寄れないことへの残念さではなく、近寄りがたい偉大な姿を見せる大阪府一のスギ巨樹。
若木に囲まれ、以降も元気に。そして1000年の樹齢を重ねた時、どのような姿でどのような賛辞を受けているのかを楽しみにしつつ、現在の姿をお伝えしておこうと思います。

この山中なら、腐朽による予防伐採ということもありませんから、寿命を全うするまで大切に残していきたいものです。

これからは、大阪府の三大巨樹として知られるように、ここにその異形を残しておきます。


大沢のスギ 16


大沢のスギ所在地

大阪府三島郡島本町大沢(個人所有ですが、訪問可能)

駐車場なし、路上駐車になりますのでゴルフ場への往来時間をさけることをおすすめします。


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巨樹で帰るは道半ば・・・ 〜延命寺の夕照もみじ、のその奥に・・・〜


どうでしたか、前回の夕照もみじは?!
なにぶん、今の今まで「これぞ、紅葉!」という木をお伝えできていなかっただけに、自分としては渾身の(笑)記事になったと思っています。

さて、その渾身の紅葉をお伝えしたあとですが、延命寺はそれだけでは帰れなかったのです。
この時は、数年越しの念願である夕照もみじに会うために早朝に家を出たために、比較的参詣の方も少なく(といっても早朝からみなさんこられますね・・・)時間にも余裕があったので、毎度のせかせかとした巨樹巡りとは違い、夕照もみじの奥の山にも足を延ばして見る事にしました。

延命寺さん自体も、街中から少し上がったところにあるので清々しく静かないい雰囲気だったのですが、その奥に続く道が、実は夕照もみじに負けず劣らず素晴らしい景色を見せてくれるのだということを知ることができたのは、とっても大きな収穫でした。
その道のりを写真とともに追ってみましょうね。

夕照もみじから奥へと続く小道を行くと、イチョウを始めカエデなどが多く茂る池に出るのです。
なんだ、夕照もみじよりもこっちの方が人気あるやん!、というくらいに先程熱心に写真に納めていた古木よりも人を集めている景色がそこにありました。

延命寺の夕照もみじ7


写真が逆さまなのではありません。
わざと、です。
実際の周辺の景色は是非、ご自身の目で確認していただくとして皆さんが集まって写真を撮っておられたのは、この景色が見えるからなのです。
そうです、水面に映る景色です。
言いすぎかもしれませんが、これは本年元日に掲載させてもらった有名な逆さ富士状態!!
風も無く、まるで鏡の様な水面に美しい緑や赤、黄色の色と灯篭が映り込んで何とも言えない雰囲気を見せてくれます。
こりゃ、皆さん熱心になるはず。
それで、ですね。良いのは、映り込みだけではないのです。
ココにいるのは早朝。
どんどんと陽が昇ってくるわけです。するとどうなるか・・・
本当に、驚く位に数秒毎にこの景色が変るのです。
移り変わる、といいたくなるほどに陽の光を浴びると、葉や幹の色が刻一刻とその濃さを変え、ついさっき目に入ってきた景色とは全く異なる様相を見せるのです。
こんな体験、なかなかできないと思うと本当にその場を離れられず困ったほどです。今さらながら、自然の美しさってすごい!

そんな景色になんとか背を向けて更に奥へと登ります。
すると、これまた見事な紅葉が迎えてくれます。

延命寺の夕照もみじ12

真っ赤から少し山吹色っぽいもの、そして黄色に近いものでほぼ一面覆い尽くされる様な感じで、緑の要素のない「赤い世界」に入る入口の様。
そう感じながら歩をすすめていくと、本当にこんな景色があるんだ!と自分の目を疑いたくなるような「赤の世界」が目の前にあるのでした。

延命寺の夕照もみじ9


自分の目を疑ってしまうほどの赤。
丁度太陽を透かして見える位置を進むために、葉緑素の薄れた木々の葉が、自分たちの体を光に透過させた芸術の様に、頭上に迫ります。
そう、本当にトンネルをくぐる様な錯覚、といえば大袈裟かもしれませんが、ある瞬間から景色の見え方がまるで「スイッチを入れたかのように」変るのです。
風光明美な観光名所などを写真家の方が撮影されている者には見受けられますが、「こんな色は、肉眼ではないなぁ・・・」と思ってしまうくらいに美しい写真があります。
自身の写真の下手くそさを紛らわすためにそう感じるのでしょうが、溜息が出る様なウソみたいに美しい景色の写真ありますよね。
本当に、そんな景色と言いたい位のスイッチなのです。

そしてそのトンネルは、徐々に赤の世界へと続きついには、別世界に迷い込んだような空間に出会います。

夕照もみじ 8


やっぱり、下手くそですがご勘弁。
本当は、写真の方が綺麗に感じるところですが、この時ばかりは肉眼で見る景色は、地面の土の色までが赤い絨毯の様で、頭上から差し込む陽光は赤いスポットライトを浴びている様な感覚。
そんな小道を歩くのです。
ひんやりしているはずの早朝の空気が、何故かこの空間だけは温かく感じてしまうのは赤の世界のマジック。

いやぁ、夕照もみじだけに夕刻にこだわっていたのがむなしい程に素晴らしいこの景色。
いや、夕刻ならばどんな表情なのか楽しみな位に素晴らしい景色です。
まるで命そのものの躍動というか、次の春に向けた鼓動を感じる様なそんな世界。

異常気象だと確信を持ってしまう様な今年の気候。
12月下旬なのに紅葉は残っているわ、業務中も上着を脱ぐほどの陽気になるわ、ラジオからは春の花が咲いているニュースがながれるわ。
以上と言わず何という、ですが秋の楽しみが長かったのは、唯一の得でした。
いやいや、ここへ訪れたのは前年以前ですが、やはり早起きは三文の得以上の素晴らしい景色を見る事が出来ました。
もしかすると、こちらへおいでの際は流谷八幡神社のイチョウにも足を延ばされることでしょうが、是非朝には延命寺さんへお廻りください。
少し遅くなると人出も多くなり増すので、先がおすすめ。

是非、時間に余裕を持って撮影と紅葉を楽しんでください。
久しぶりに自然の景色に驚いた訪問でした。

延命寺の夕照もみじ10


しかし、このままではスキーにいけないよ。
紅葉もいいけど、そろそろ雪、お願いします。
お天道様・・・

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朝だから見える景色もある 〜延命寺の夕照もみじ〜

さぁ、ちょっと何やかんやあって時間の空いてしまっていた巨樹巡りの記事、今回は地元大阪府からお届けします。
いや、地元といっても同じ府県内というだけで、実際には自宅から1時間半はゆうにかかるので、十分他府県エリアほどの距離なのですが・・・

しかしそれでも、どうしても時季外れのこの12月も終わりに近づく中でここを記事にしておきたかったのには理由があります。
この2015年は、12月に入っても異常に暖かくていまだに所々でイチョウやカエデの紅葉(黄葉)が見られるという、考えられない状況なのですが、普段ならもう首をすくめて裸ん坊の樹木を見ているところです。

そんなだからこそ、今年最後の巨樹の記事にはここで締めくくりたかったのです。
その場所とは、大阪府の南部に位置する河内長野市。
以前に、大蛇に襲われんばかりの根を持つ「流谷八幡神社のイチョウ」をお伝えしましたが、そこからそう遠くはないところに位置する、「延命寺の夕照もみじ」をお伝えしようと思います。

延命寺の夕照もみじ1

延命寺は、真言宗の古刹ですが一般的には紅葉スポットとしてのほうがはるかに有名ではなかろうかと思います。
門をくぐる手前から、すでに様々な色の紅葉が目に飛び込んできます。
まさか、これから驚くほどの紅葉のトンネルをくぐるとも知らずに、この入口の緑と赤の対比ですら、長い時間佇んでいたくなる雰囲気を感じさせるのは、さすがに名所。
そんな延命寺に1000年という時間座しているといわれる古木が、この夕照もみじです。

延命寺の夕照もみじ4

もみじ、と一言に言っても「紅葉」するものをモミジという場合や、もみじという名前のついた木があったりとややこしいのですが、分類上はメープルカエデなどの大きなグループの中の一員です。
木材でも、「モミジ」といって販売されているものもありますが、おそらくカエデではなかろうかと思うのも荷もしばしば出会います。
こういうところが、興味をそそる部分である事は言うまでもありませんが・・・

この有名なもみじに会うには、感動的なシチュエーションかと創造していたのですが、意外とあっさりと、門をくぐって右斜め上を見上げた丘の上に、控えめに枝垂れた姿を見せていました。
巨樹巨木というイメージがどうしても先行してしまうので、1000年というフレーズの圧倒感を若干創造していたのか、もちろん杉の巨樹のように太く長いわけでもなく、奇形であるわけでもないので、知名度を考えると意外とすんなり受け入れられるスケールのように感じます。

延命寺の夕照もみじ2

もみじの周辺は、さすがに根と樹木の保護目的だと推察するきっちりとした柵が設けられていますので、それなりの由緒だということを物語っているわけですが、それでも解説版はこんなに簡素。
それでも、巨樹巡りのなかでのお決まり文句である「弘法大師お手植え」の文字が見えることを思うと、やはり相当な昔からあることだけは確かなようです。

しかし、まず言っておかなくてはならないのは、「夕照もみじ」の名前通りに「夕焼け時」がもっとも美しいのかもしれませんが、諸事情から早朝に会いに行ったために、沈みゆく太陽を受けたその美しさ、という絵はありませんのであしからず・・・

それでも、古木とはこういうもの!と言わんがばかりに枝を伸ばし、それを支える幹は向こう側が見通せるほどに空洞化とともに幹の割れが進み、コケや落ち葉を受け止めるその姿が、なんともいえず、これまたいいのです。

延命寺の夕照もみじ3

もちろん今の時代から、どうしてこんなに崖のほうにせり出したのか、2股というほどに分かれるメリットがあったのか?!など、疑問はいろいろと出てきますが、そんなことは抜きにして、単純にその命が冬へと向かう準備を始めている姿が、どこか冷たい朝の空気とともに、自分の脳に自分の存在というものを問いかけてきているような気になりました。

とはいえ、私のイメージでは「見上げんばかりの、ふりかかるシャワーのようなもみじ」を想像していたので、ありがたくはあるのですが、「なるほどぉ・・・」という気持ちも若干あったことはありました。

延命寺の夕照もみじ5

それでも、様々な角度から眺めたり、その幹や苔むした上の色とりどりの葉を見ていると「紅葉」のイメージにとらわれすぎていたなぁ・・・と視点の狭さを感じるのでした。

しかしながら、みなさんこの「もみじ」を目指してこられると思うので、小高くなったこの場所に上がってこられるのですが、実際はこの丘の下から夕陽に映える姿を眺めるのは一番いい?!と、朝からして夕方の姿を想像するのでした。

この写真がちょうど真下から少し離れたところから撮ったものです。

延命寺の夕照もみじ11

緑の葉に覆われていて、下からは幹をうかがい知ることができないので、「普通の紅葉」に見えてしまうのが若干残念ではありますが、やはりありがたいものは有り難い気持ちで拝むのが常。

1000年の紅葉だと思って見上げる姿は、どこか特別に見えてくるもの、ですね。

あ、記念撮影を忘れてはいけません。
弘法大師空海さんがお手植えなさったという(本当なら、相当植えてまっせ、全国で。いや、ロマンロマン・・・)そのモミジの体躯と一緒に収まる中年は、まだまだ紅葉色には早いと自負していますが、人々をいい意味でひきつける力をいただくために、一枚!

延命寺の夕照もみじ6

ちょうど画面右横にお堂があるために、ちょっと斜めからしか査定できないこともあり、空の明るさばかりが強調されてしまっていますが、こういった対比も素人写真ならではで、良いものということでご勘弁を・・・

残念ながらやはり「朝映え」はしていませんでしたが、十分に古木の紅葉を楽しませてもらいましたし、古刹と古木というのは、どこか喧騒を忘れさせ心を落ち着かせてくれる力があるようです。
紅葉する巨樹という、どうしても伝えきれていないカテゴリーであるそれも記事にしたかった理由の一つですがしかし、まだこの先に、早朝に訪れてよかった!、紅葉の時期に紹介したくなる、その「三文の徳」以上の大判小判のような紅葉の美しさを味わうことになるとは、この時は全く知ることなく・・・


延命寺の夕照もみじ所在地

大阪府河内長野市神ケ丘492

この時期だけだったかもしれませんが、門に行く手前の道から先は一般車は進入禁止になっていますので、車では入っていくことはできないようです。
周辺にはパーキングは見当たらなかったので、駅や少し離れたところに駐車してくるしかなさそうです。(途中若干道幅も狭い。)
実際、9時頃にはハイカーさんたちが大挙をなして訪れていましたので、通常は徒歩での探訪になるでしょう。


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木と人は共にあるもの 野間の大けやき 平成26年度改定版


今年は暖かかったせいか、山々が色づくのが遅い様に感じ、色とりどりの木々の眺めも永く楽しめているように感じます。

いつもは休日もバタバタとするこの時期、気が付くともう道路上の散っていく紅葉を見るばかりで、ライフワークの巨樹訪問においても時間が取れない時期なので、イチョウにせよカエデにせよ、いい写真が少ないのが巨樹の記事に足りないところ、といつも感じてはいるのですが、こればかりは時期的な物なのでどうしようもなかったところに、今年のながぁーい秋で、やっとこさ一日フルに休日を使える日を作り「今日は巨樹の紅葉狩りだ!!」と意気込んで、「ここへは、秋にいくんだ!」と決め込んでいた紅葉の巨樹中心に廻ることにしたのです。

まだ見ぬ巨樹も訪れたいのですが、ひとつ気になっていたのが以前に訪れたことのあるケヤキも、よく考えれば色づいているはず・・・ということ。
街路樹がそうであるように、あの樹もきっと色づいているはず・・・・
そういう期待を込めて、都会の紅葉を抜けて山道に入ったのです。

目的地はここ。
西日本最大のケヤキの巨樹で、インターネットのマップにも記載されている「野間の大けやき」です。

野間の大ケヤキ 秋バージョン 7

山間に位置するとはいえ、大阪府に存在することとドライブの好きな私のよく通るコースにあることも関係し、以前から何度も訪れているにも関わらず、黄葉の写真はなくそれに、最近になって大けやきのそばにカフェもできた、という事でこの機会に寄ってみよう!と思ったわけです。

結論・・・、遅かった。

野間の大ケヤキ 秋バージョン 3


まだ市内では、イチョウは青い葉を残しているものもあり、けやきは丁度よく色づいているにもかかわらず、大けやきはもうほとんど散っているではありませんか!!
このアングルだと、黄色い葉が輝いて映る予定だったのにぃ。

なんじゃそりゃ・・・せっかく来たのに・・・・
と少し肩を落し掛けましたが、奥にある大けやき資料館の隣の駐車場に車を入れて、とりあえず秋の巨樹の撮影に入ろうとしたのですが、そこに漂ってくる何ともいい香り・・・・・・・・・・

野間の大ケヤキ 秋バージョン 1

こんな大きな看板出てたら、イヤでも覗きたくなるってもの。
コーヒーにもちょっとうるさい(というか、好きなだけ・・)な私には、巨樹のそばでいただくコーヒーの味がどんなものか、気になってしかたありません。
それにこのネーミング。
「ありなし」というのは、この大けやきに由来します。それに関しては以前の記事を見て頂くとして、おしゃれなコーヒーを我慢することはできず、撮影もそこそこにいただくことにしたのです。

うーん、美味しい。少し涼しげな空気と和やかな雰囲気、周りには季節抜群のこの時期に京都の山を越えてツーリングに来られているライダーさんもくつろいでいたりして、ほんとほっこりします。

野間の大ケヤキ 秋バージョン 2

そんな調子で飲んでいたもので、コーヒーの写真は撮っていません。あしからず。
しかしながら、このカフェは実は企業が営業しているのではなく、人口の減少を懸念し、地域の振興もかねて地元のNPOの方たちが運営しているというのです。
なおさら旨く感じてくるコーヒー。販売されている女性スタッフも物腰柔らかくてとてもいい印象です。
ちなみに、子供にはサイダーがあります。うー、子供は飲まれへんでぇー、と言えないこの巧さ。
しかし、昔を知っている私としては、すっかりと「いい意味」で変わった巨樹の周りの活気は、聞かずとも皆さんの取り組みが実を結んでいることを見て取れました。
黄葉は少し遅かったけれども、違った心の収穫をもらってとてもほっこりしました。
木とその周りの人のいい関係。素晴らしいです。
やっぱり、木のそばには人が、人のそばには木があるんですねー。

野間の大ケヤキ 秋バージョン 4

そんな活性化されている大けやきの周りでは、また次の取り組みが行われていました。
わざと何ができるのかは聞かずにおきましたが、スギ材の良い香りを漂わせて、皆さんでワイワイと何やらこしらえている。

野間の大ケヤキ 秋バージョン 5

また、よさげなスペースができそうです。
こりゃまた来ないといけないな・・・

巨樹や古木は、保存が目的になるので、維持はされどもこのように盛り上げていこう!とはなかなかならないのではないかと思います。
管理はされていても、整備され近寄れないだけになってしまうと何か寂しいものですが、ここは本当にあったかい感じがしました。
是非、時間をとって「撮影andお茶タイム」を楽しんでほしいと思います。

今回は、この近くにあるイチョウの巨樹を撮影することに成功しましたから、黄葉を撮影するという趣旨も何とかクリアできましたし、満足の一日でした。

次回訪れるまでに、けやきの周りがまたどのように変わっているか、楽しみです。
大阪にお越しの際は、ゆっくり時間をとってレンタカーでお越しくださいね。
豊能郡にある、「天王のアカガシ」や「安穏寺のイチョウ」、「倉垣天満宮のイチョウ」などとともに、一日巨樹ツアーしてください。
もちろん、3時の休憩はここですよ!
(カフェはこちらのページから営業日を確認して向かってください。)

野間の大ケヤキ 秋バージョン 6




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太田不動尊のムクノキ


やっぱり世の中、知らないことだらけ。
といいますか、灯台もと暗し。結構知ったようなつもりになっていても、まだまだ知らないこといっぱいです。
それも地元で、しかも木の事で知らなかったというのはちょっとしたショックです。

今までに水尾の樟(伯光神社のクス)を紹介していますが、我が茨木市においてはその一つのみ。
弊社のすぐ近く、初詣にも御参りする佐奈部神社にも道路際に保存樹に指定された立派なクスが存在しますが、今回は太い巨樹ではなく、ちょっと変わった?木をお届けしましょう。

こんな木が茨木にあったなんて・・・

太田不動尊のムクノキ 7

ビックリ、しませんか?!
うん、この写真だけでは伝わりにくいと思います。
一本の立木の傍に、枯れて倒れたのであろう老木が一本横たわっている。

そう、普通はそう見るでしょう。普通は。

しかぁーし!!私にはピーンときました。
これは、幹別れして横にのびているのでは・・・・・・・
その通りでした。

太田不動尊のムクノキ 3

この根元の部分でどう見ても繋がっています。
この角度からして、太さから見て、奈良の高井の千本杉の様な途中からの合体木ではないでしょう。
とすると、この異様な成長の仕方。
なんとも興味をそそるではありませんか。

そう思ってみると、やはり指定されていましたよ、茨木市の保存樹木に。

太田不動尊のムクノキ 2

指定第2号。
知らなかった。
それも普通ではあまり見かけない、社寺に多い木ムクノキでした。

実はここを知ったのは偶然か必然か?!現在弊社が納材しているお客様のお宅のすぐ近く、通り道なのです。
初めて訪れた時、素通りしそうになった私に「おい、どこ見とんのや!!」と言ったかどうかはわかりませんが、一方通行の道路を通り過ぎる間際に目を惹かれたのが最初。

幹が太いわけではないのに、何か気になってみてみるとなんと、地を這う幹があるではありませんか!!

ここは茨木市でも古くからの交通の要所であった「西国街道」という、現在の国道171号線に当たる主要道沿いの広場です。
歴史的にはそちらの方が重要なのか、ムクノキの解説板はありませんが、西国街道の解説板が設置されています。

太田不動尊のムクノキ 1

一般的に樹木というものは、天に向かって伸びるものだと想像しますよね?!
まぁ、「普通」という言葉が使えるのであれば、ふつうはそうです。

しかし、そんな言葉が通用しないのが自然の世界。
どうしてそんなことになったんだ、と聞くほうがアホだと思うくらいに自然のものは予想できないものが多く存在します。
そう、この一本(?!)をみて私が瞬時に想いだした事があります。
それはこちら。

逆カシワ


なんじゃこりゃーーーーーーーーーーー。

ムクノキの記事がかすんでしまうくらいの迫力のこの樹木は、岩手県にある「勝源院の逆カシワ」といいます。

もう、出会った瞬間からドキドキです。
だって、まぁ巨樹巨木は見上げるのが基本。大きいなぁ・・・と首を反らせるスタイルで驚きに浸るのですが、この逆カシワの場合は「どうしてこうなったの?!」という、いつもながらの馬鹿げた疑問符と驚きのエクスクラメーションマークが一緒に頭の中をぐるぐると回ってしまいます。

この逆カシワに出会っていなかったら、今回のムクノキはもしかすると「太い幹が枯れて倒れているなぁ・・・」位にしか思わなかったことでしょう。
車で走っていると、そうまじまじと見る事ができないので余計にです。
逆カシワとこのムクノキ以外に立派に育ったこんな木がまだあるのかもしれませんね。

ムクノキというのは「ニレ・楡」という樹木の仲間です。
楡の仲間で代表的なのはケヤキでしょう。

社寺にも多く使われていますし、銘木といえばケヤキ!というようなイメージも多いので、「ニレ科」というカテゴリーでありながらその科の名前の樹種であるニレよりもメジャーであるケヤキ。
ニレの方が「ケヤキに似ている」として代用材という名で市場に出ていますから、なにか可哀想な感じもしてきますが、それは人間の価値観で見た場合の話。
スポットライトの当たらないものが劣っているなんて言うことは決してありません・・・とはいうものの、木材としてのアピールポイントになかなかたどり着けないのも実際のところ。
もう少し私たちがニレを応援?!してやらないといけません!!

太田不動尊のムクノキ 5


脱線しました・・・
実はムクノキも、木材としての主な需要というのはそうありません。
流通量も非常に少ないです。
しかしながら、材よりも大きな特徴をもっているのがその「葉」です。
表面が珪酸質の毛で覆われているその葉っぱは、昔から研磨剤として重宝されてきたそうです。
黄楊(つげ)の櫛や鼈甲(べっこう)、木地の仕上げ磨きに使われていたといい、大阪は枚方市にある「田中邸のムクノキ」はまさしくそれで、鋳物製品を磨くのにその葉が用いられていたらしく、代々鋳物師として続いてきた田中邸にあった木ですが、現在は道路から眺める事が出来ます。

田中様邸のムクノキ

そういった特徴があることと、「ムクノキ」という名称が、甘い果実をムクドリが好んで食べるからだ、とか樹皮がむけるからだ、とか葉で剥くからだというものや「実黒(みくろ)」の転訛だという説もありますが、一般的には最初の「ムクドリが食べるから」説が多く語られていますね。
その方が可愛くていいというもんです。
もちろん、ムクドリだけではなく他の野鳥にもその恵みは分け与えられるものですが、ムクノキは社寺の境内に散見されることや街道沿いに残っている場合があります。

そう、この太田不動尊のムクノキも初めに書いている様に西国街道という旧主要道だった場所に残っている物で、やはり街道沿いに植えられたという伝承は正しいものだということです。

太田不動尊のムクノキ 9


現代の様に原動機の交通手段がない時代には、街道の一里塚に緑陰樹として植えられていたそうです。
納得ですね。
茨木市には他にも「岩作大明神のムクノキ」が存在しますが、私にとってはこの太田不動尊のムクノキはなかなかのインパクト。
是非見てもらいたいムクノキです。

太田不動尊のムクノキ 8


ニレ科の樹木は他にも、信長が安土から京に至るまでの街道に一里ごとに塚を築き、一里塚としてエノキ(榎)を植えさせた、という言い伝えも残っていますから、今も街路樹として多く見かけるケヤキも、もしかするとそのニレ科の名残にならっている?!のかもしれません。(本当はもっとちゃんと根拠があるはずですが、こういう言い伝えを想像していくのも樹木の楽しみの一つです。)
茨木市の指定によると、同じ場所にエノキも存在する様ですが、訪れた時はその事を知らず、見つけることはできませんでした。
次回には調べておきたいと思います。

太田不動尊のムクノキ 6


日本では関東以西に多いムクノキ。
最後にその学名を紹介しておきましょう。

Aphananthe aspera

Aphanes=目立たない
anthe=花

という意味からきている名称だそうですが、目立たないというのはケヤキ以外のニレ科の樹木を象徴しているようで、失礼乍「言いえて妙」的なところがありますが、花よりもやはり実に注目されがちなムクノキ。
その独特な木肌や材としての木目にも注目してみませんか?!

後から思うと巨樹巨木記事としては珍しく縦アングルの写真の無い紹介記事でした。

太田不動尊のムクノキ 4



太田不動尊のムクノキ所在地

茨木市太田二丁目3−681

駐車場はありません。一方通行沿いですが、進入前が少し広くなっていますから邪魔にならないように駐車すればよいかと思います。



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ! 

大阪府内一の樟 薫蓋樟と対面


弊社に来ていただくお客様のなかには、結構な比率で巨樹や名木に会いに行っていらっしゃる方がおられます。
当然旅行がてら、ということもあるでしょうが、その土地の著名木をお目当てに行かれる方もいらっしゃいますね。

私も外出時にはできるだけ下調べをして、有名な木には会いに行く様にはしているのですが、よく考えるとまだ「地元大阪」の著名木のうちの重要な一つは取り上げていませんでした。
過去に超地元、茨木市は弊社近くの「水尾の樟(みずおのくす)」や、吹田の線路沿いにひっそりと立つ「弥栄の樟(やさかのくす)」、それに樟以外では超希少であまりにも有名な「野間の大けやき」を紹介していますが、実はまだ府内最大の巨樹であり、全国でも有数の巨樹であるものをご紹介していません。


それは、この巨躯。


薫蓋樟 8


 写真左のおばさんと比較すると、その大きさに驚きます。










そう、この巨躯を大阪の街の中で普通にみられる事で有名な「薫蓋樟(くんがいしょう)」です。
いわずもがな大樟(おおくす)なんですが、さすがに国指定天然記念物で大阪緑の百選に選ばれる大阪一の木だけあり、迫力が違います。


薫蓋樟 2

























神社の境内にそびえているんですが、巨躯を拝む前にくぐり門(?!)があるので、遠くからは正確にその容姿の全景を拝む事はできません。


薫蓋樟 1



 鳥居の奥がくぐり門です。











そのため、その巨躯の存在を意識しながら近ずくわけですが、わかっていても対面の前にはいつもビビります。
その威圧感というか、少なくても数百年〜千年単位で存在しているその異形と畏敬の念に、少し身が震えるのです。
ですので、必ずその姿の前で一礼し、尚且つ社寺仏閣の場合はご神体にもお参りさせていただくのです。
そうすると、少し近づきやすくなるような気がします。


その儀式を今回も踏襲し、鳥居前で一礼しくぐり門の背後で立ちはだかる影に向かってもう一礼して門をくぐろうとしたのですが、やはり凄い迫力!!
それが今回の薫蓋樟の一番の特徴。


薫蓋樟 5















薫蓋樟 3









 少し横手から見ると形がわかるでしょうか?

 うにょうにょ伸びてます。












普通はこの手の巨樹は、根を踏むことや根周りの土が踏み固められることを防止するために、防護柵や展望デッキが施されていることが多いです。
その方が当然木にとっては良いのです。
屋久島の縄文杉の様に、巨樹に近づける事から心ない一部の人間によって、「記念に」や「お守りに」といいその皮を剥がれ、見るも無残な裸状態にされるような惨状を受けてからでは遅いからです。
実は木は、皮をはがされると弱り、最悪枯死してしまいます。
ですから、皮を剥ぐなんて殺人ならぬ「殺木行為」なんです。

一昔前は、あの縄文杉でさえもその巨躯に触れることができたというのに、人間はなんと愚かなのかと悲しくなった想い出があります。

そんな事情があるのですが、府内一番であり、全国でも有数の巨樹であるにもかかわらず防護柵の類がないのです。
というかもう、くぐり門を押し倒しそうな位に幹を張り出し、社殿との限られたスペースに鎮座しています。
ですから、容易に触れることが可能なのです。

その為、くぐり門を抜けようかというところからその異形の一部が顔を覗かせるのですが、瘤状になったその部分が今にも飛び出してきそうな感じがして、門をくぐるまで若干の逡巡を与えます。


薫蓋樟 6




 行く手を阻むかのようにくぐり門につきだすその異形。









それを超えると、頭上には通常の100年生クラスの樟の幹、いやそれ以上の太さの枝が張り出していて、常緑の緑の葉が美しい印象を与えます。


薫蓋樟 9



 巨樹にはいつもある由緒書き。










薫蓋樟 10



 これらを読むのも、訪れる楽しみの一つです。










この薫蓋樟、推定樹齢は1000年以上といわれているそうです。
それは納得です。

しかし、この薫蓋樟の近くには、ポツポツと100年生位の樟をみることができます。
この神社の鳥居のすぐ横にも、市が指定している保存樹である樟があります。
普通に見るとすると、そこそこ大きな木なのですが薫蓋樟と同じ場所にあると、その迫力も薄れます。
おそらく他の場所にもあるのか、若しくはあったのかは定かではないですが、昔は大きな樟が結構自生していたのではないかと思われます。
薫蓋樟はおそらく別格だったのでしょうが、有用な形状のものはもしかすると木材として伐採されたのかなぁ・・・と考えていました。


この薫蓋樟。
緑豊かで、損傷もこれといっては大きいものも見当たりませんので、まだまだ元気だと想像しています。


薫蓋樟 7


 大きくなったその腕に、肘掛がこしらえられていました。











大阪が全国に誇れるシンボルとして、野間の大けやきとともに、後世に残していきたい貴重な財産です。
みんなで大切に保存したいものですが、その巨躯に触れられる数少ない巨樹でしょうから、生命の力を頂きに静かに、根に注意しそっと触れてみるのもいいかもしれません。
きっと、何かを語ってくれることでしょう。
大阪においでの際は一度旅程に入れてみてくださいね。


薫蓋樟 4




 大先輩に一礼!!!













薫蓋樟所在地(地図に必ず載っています。)

大阪府門真市大字三ツ島1387 三島神社内

参詣用駐車場あり

また、徒歩で15分ほど南に行くと稗島のくすという樹齢400年といわれるくすにも出会えます。

*弊社記事では、くすのきの漢字表記を「樟」としています。通常は「楠」が知られていますが、正確には樟脳のくすのきを表す時は「樟」を。楠の場合は日本には分布しない楠木(なんぎ)を意味するときに用いられると考えられますので、あえて「樟」と表記しています。



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