大阪府が誇る異形スギ! ~大沢のスギ~
そう思うのは、大阪府随一のスギ巨樹であり、驚く異形のスギだからです。
大阪府三島郡。
都市としての大阪府ではなく、京都府へと抜ける山間部にそのスギ巨樹はそびえています。
府道79号線、ゴルフ場の西側に道路からもわかりやすい看板が立っています。
担当も、その存在を知ってはいたものの、近くであることと「山中」であることを理由に、なかなか訪れる機会がなかった場所。
しかし、所用で府道を走行中、その看板を見つけてしまったのです。

あぁ、これはもうすぐに訪問せよ!ということなんだと思い、意を決して訪れたのですが期待通りの素晴らしいスギでした。
担当が、意を決することが必要な理由。
いうまでもなく、クマです。
いくら大阪府とはいえ、油断することはできません。
それに、ネット上の写真を見ても本気の(?)山中の様子。
その上、担当の地元茨木市(三島郡とは、高槻市とともに山で続いている)でも近年はクマの目撃情報が出ているために、用心せずにはいられません。
その上、異形のスギにブルっと震えることと予測されるため、意を決するのです。

大阪府の天然記念物。
推定樹齢800年、堂々の巨樹古木です。
大阪府には、他府県に誇る二大巨樹である薫蓋樟と野間の大けやきがあります。
双方、押しも押されもせぬ巨樹ですが、今回紹介するのはスギであり、なによりもその偉業が印象に残るものです。
大阪府も、南部は林業の歴史があり、当地北部も森林地帯となっています。
しかし、全国的に多く存在するスギですら巨樹が存在しない大阪府。
その北部に、このような見事な巨樹が存在することは、前述の二大巨樹とともに知られるべきものだと感じます。

出逢った瞬間に、本当にここは大阪府なのか?と思ってしまうほどに荒々しい姿を見せる大沢のスギ。
おどろおどろしくうねる枝は、京都府の伏条台杉や岐阜県の巨大株杉を想起します。
大阪府のホームページによると、落雷などで幹が欠けた後に枝が育った、ことによるこの異形だそうですが、それにしても凄すぎる。
山深い他地域であったとしても、このような姿は驚くものですが、何度も言うようにここは大阪府。
よくこの姿が800年間残ったものだと思います。
ここは個人所有の山林のようで、地権者さんのご厚意で公開されている様子。
天然記念物登録をうけているから、公開しないといけないんだと思いますが、代々の地権者さんなのか、暴れ木として除伐されるか他の有用樹種を育てたいようなところのはず。

そう思っていましたが、府のホームページはこうも記載されています。
「集落の境に四つの神木があり、その一つがこのスギ」
なに?!四つの神木?!、そこが非常にきになるところですが、やはり昔から神木とされてきたために残ったようですね。
それが方角を見てのことだったのか、他の理由でそう考えられたのかはわかりませんが、神木にふさわしいのは言うまでもありませんね。
主幹を失ったことで、大スギの生命の危機感が一気に噴き出したのでしょうか。
幹から四方に枝を伸ばし、さらに伏条更新を進めているのではと推察される、扁平かつ幅広い大枝が地表から伸びあがっています。

巨樹には共通することですが、なんともいえない生命力を感じます。
それは単幹の巨樹であっても同じことですが、それ以上にこのような姿からは、一層の命のほとばしりが見えるようです。
しかしながら、府のホームページにはこう続いていました。
「2本が寄り合って1本になったものらしい」と。
それは伝承なのか調査の結果なのか。
おそらく調査結果なのかと思います。
一時期、樹勢が衰えていたようです。
樹木医さんが入り、診断したことによるものなのでしょう。
現在では、根をいためないように柵を設けられています。

こんな感じで。
訪問時、正直がっかりしたんです。
いや、遠目には感激し畏敬の念を抱いたことは言うまでもありません。
しかし、すぐにこのフェンスに気が付き、カメラアングルが限られるうえもう少し全体を眺めたいという欲求が生まれるからです。
しかし、そこは巨樹訪問のマナー。
後世にもこの見事な姿を残していくためにも、柵を超えていくわけにはいきません。
そう思っていたものの、よく見てみると入られるじゃないの!

いやぁ、妙に背の高い柵だと思ったんです。
しかも木製の柵との2段構え。
その理由は動物による土壌侵食の予防でした。
読んでよかった。
外側の柵の中に入って、と書いてある。喜んで!!
ということで柵の内側でその姿を撮影することができたのですが、さらに中の木製柵からは立ち入らないようにしましょう。
どこの巨樹でもそうですが、一部では柵を超えていく方も少なくありません。
巨樹訪問を多くアップロードされている方の中にも、そういう方もいらっしゃいます。
もちろん、担当も入りたい。
でも入らない。
ルールだから。守るための。
だから、今回は担当との大きさ比較はありません。

これほどの巨樹ですし、近づけないのは残念ですがこころよきかたは、どうか外側からの見守りをお願いします。
先のように、もしこの大スギが合体木だとしてもその存在価値に変わりはありません。
周囲の人工林の木々が頼りなく見えるほどの圧倒的な存在感は、神木としての雰囲気は十分です。
伏条更新が多くみられるウラスギのように見えますが、日本海側と言えない、いやどちらかといえば太平洋側である大阪府で、しかも多雪地帯でもない当地でどのようにしてこの樹形になったのか、考えたくなるのは無粋でしょうか。
樹木医さんが入る前の姿は、残念ながら知りえないのですが、どうももっと鬱蒼とした人工林だったようです。

大スギの周囲はほかの木々は少なく、柵を設置後に鳥による散布で芽生えたと思われる雑木が見られるものの、非常に「きれいに」保たれています。
訪れる人が多かった、ということではないのでしょうが、もしかすると周囲の人工林の若木の生長が良すぎて、十分な光や水分などの摂取ができていなかったのかも知れません。
担当が訪問した時も、昼間であり大スギ周囲には樹木がないのに若干暗めに感じたのは、日当たりとその周囲の木々の雰囲気なのかもしれません。
実際に暗いわけではありませんが、明るい斜面でないことは確か。
それに、道路から数分で到着できることもあり、それほどの緊張感無くたどり着けることも、怖がり(基、慎重!)な担当であっても暗さをさほど感じない理由でしょう。
とはいえ、やはり冒頭のクマ対策はしておきましょうね。
この異形に感じる身震いならいいですが、クマとの遭遇での身震いだけは避けたいものですから。

近寄れないことへの残念さではなく、近寄りがたい偉大な姿を見せる大阪府一のスギ巨樹。
若木に囲まれ、以降も元気に。そして1000年の樹齢を重ねた時、どのような姿でどのような賛辞を受けているのかを楽しみにしつつ、現在の姿をお伝えしておこうと思います。
この山中なら、腐朽による予防伐採ということもありませんから、寿命を全うするまで大切に残していきたいものです。
これからは、大阪府の三大巨樹として知られるように、ここにその異形を残しておきます。

大沢のスギ所在地
大阪府三島郡島本町大沢(個人所有ですが、訪問可能)
駐車場なし、路上駐車になりますのでゴルフ場への往来時間をさけることをおすすめします。
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