筋骨隆々 地蔵大松
お正月が明けて成人式も終わり、いよいよ本格的にスタートというように感じている方もいらっしゃるでしょうか?!
今年はだいたいのところが7日(月)からスタートだったようで、きっちりと一週間を過ごしてからの成人式連休でしたので、例年よりはお正月気分が抜けるのが早かったのではないかと思います。
さて、お正月といえば色々ありますが、最近はあまり目にしなくなった門松。
松は常緑樹であることと、「松竹梅」や神様のおりられるのを「待つ」と称され縁起物とされる事が多い樹種ですが、それがことさら巨樹となると「そういえば、そんなに大きな松みたことないなぁ・・・」というように感じるのではないでしょうか。
実際私がそうなのです。
どこでもみかける庭園樹としての松と巨木の松では全くまた異なるので、すぐ目につきそうなものですが、やはりスギやクスノキの巨木に隠れて、あまり表には出ていないようです。
といいますか、やはり数が違いますからいたしかたないところですね。
そこで今回は、お正月スペシャル(?!)ということで私が出会った数少ない松の巨樹の一つ、三重県の地蔵大松を紹介しましょう。
いきなりウネウネとしてますが、ほんと、この写真が示す通り、御堂と休憩スペース?がすぐそばにある為に、道路側の反対からは枝ぶりも含めた全体像をおさめにくいうえに、イメージ的には大阪の樟の巨樹「薫蓋樟」のように横方向に枝を伸ばしています。
針葉樹である松にしては意外に感じるくらいです。
当然、人の決めた標準樹形などに当てはまるほど、自然は大人しくないですよね。
これくらいに育ってみろ!!、そう言われている様に感じました。
訪問した日はとても天気が良かったのですが、私の写真の腕前の限界点である「空を含めた時に巧く写せない病」がこの時も絶好調?で、樹皮は陰になるわ、葉も殆ど黒いわで、後ろの風景ばかりが際立ってしまっていますが、その辺はご勘弁ください。
この地蔵大松、三重県の天然記念物に指定されているのですが、興味を引くのはその事よりもやはりその名前ですよね。
解説板にある様に、曽我氏と物部氏(あー、どこか昔に学校で聞いたような・・・・)が仏教信仰をめぐって対立し、物部氏が滅ぼされたため、それ以来仏教以外の礼拝を厳重に禁止したそうです。
そのため、当時地蔵菩薩を信仰していた現在の地蔵大松周辺の人々は、礼拝していた地蔵菩薩をそばの掘りに埋め、目印として松を植えたのが現在の地蔵大松だといいます。
目印に植えたにしては目立ちすぎるくらいに巨大に、且つ猛々しくなったものですね。
主幹の下部の方は、大きな岩の塊の様な感じに見えますし、水平に伸びる枝はまるで今年の干支「巳」の様です。
これらの写真だけでも、普通に考える「松の木」の概念を超えていると感じるのではないでしょうか?!
もうちょっとほっそりとしているか、幹から細い枝が伸びているかな、位のイメージではなかろうかと思うのですが、実際私と比べてみると改めてスケールがお分かり頂けるかと思います。
このアングルからすると、あんまり幹の扁平感もなく感じられますね。
何本もの支柱に支えられている所を見ても、その枝が四方に腕を伸ばしている様がお分かりいただけるのではないでしょうか。
しかし、支柱をしてもらう前でしょうか?若しくは病気か何かか、それとも樹齢の影響か、地蔵大松も樹木医の方の手当てを受けているようですね。
比較的大きな枝があったのであろう部分(上の写真の丁度私の頭上の辺り)などがカバーで覆われています。
何カ所か確認できるのですが、やはり巨樹には保護が必要なのかもしれません。
流行している松くい虫の被害も心配なところです。
それにしても、伝承の通りだと樹齢なんと1400年程という事になるようですが、うーむ、そこまでの樹齢にしてはとても元気に見えます。
ほんとに筋骨隆々、若者の様です。樹皮も美しいです。
しかし待てよ・・・
西岡常一棟梁によると、見た目に若々しく元気に見える大木の方が内部が空洞などの場合が多いそうです。
それに対し、今にも命つきそうな巨木の方がかえって内部までしっかりとしているそうですが、地蔵大松や如何に・・・
1400年の命をつないで、お地蔵さんの力によりここまでの姿に成長できたのでしょうか・・・
それもまたロマン!正確な樹齢など「へーーー」に過ぎません。
知りたいような気もしますが、巨樹を前にするとその存在だけで十分な気持ちになりますね。
もちろん、地蔵大松も地域の方に守られているのでしょう。
周りにはロープが張られていますので、決して立ち入らないようにしましょうね。
前回までの記事で書いたように、今年も有難い事に私の拙い記事を待って下さっている方からのお声をいただいています。
会うたびに、巨樹の記事楽しみにしてるよ!といって下さる方や、巨樹巨木写真展いつするの?!なんていう声も頂いたりしています。
まだまだそんな事が出来るような物ではありませんが、少なくとも記事上では少しでも巨樹巨木の魅力を伝えていきたいと思いますので、今年も「仕事してないんちゃうか!?」と突っ込みながらご覧いただければ有難いです。
こんな記事から繋がっていただける御縁もいくつか頂いていますから、ね。
よろしくお願いします。
地蔵大松所在地:
鈴鹿市南玉垣町5536−1
駐車スペースあり