地域の人と1100年 〜根岸の大いちょう〜
あぁ、そんなこと言わないで(汗)。
そう思う方も多いのでは?!
担当もその一人です。
冬が近づくことで、「銀色のシーズン(スキー)」が到来する楽しみも大いにあるのですけども、時間のすぎるスピードが早すぎて自分の感覚が追いつきません。
樹木はどうなんだろう。
人間の様に、歳を重ねて時間が過ぎていくスピードが早くなるということがあるのだろうか。
もっとも歳を重ねていると言われる、この樹に聞いてみたいものです。
弊社としては、ふるくから繋がりを感じる場所、青森県。
もちろんそれは、当地の貴重な財産である青森ひばで、担当の自宅も土台に青森ひばを使用していますし、毎日の風呂には青森ひば油での「ひば風呂」ですので、毎日青森を感じていると言っても過言ではありません(笑)。
そんな青森県で、同樹種での樹齢一番の存在がこの「根岸の大いちょう」なのです。
イチョウは、各地に巨樹が存在し伝承樹齢が千年と言われるものも存在します。
当地のイチョウは、推定樹齢1100年。
1100年前の青森県はどんな様相だったのか。
寒さの厳しい当地で1100年を生き抜いてきた中で見た景色はどのようなものだったのか。
どうしてもその、時の流れが気になるところ。
実は1100年どころか、およそ30年ほど前にとても大きな出来事がありました。
それは、当初日本一の幹周りのイチョウの巨樹の称号を受けていたものの、その後の調査でその座を譲ることとなったのです。
そのいきさつがあってかどうか、先の案内板には「東北・北海道では一番目で、イチョウの木としては日本一」と、何が日本一なのかが濁されているような感じがしなくもない。
しかし、残念な対面にはなりません。
幹周り15mとされる巨さは、巨樹中の巨樹。
1100年の月日のためか、カツラの巨樹同様に主幹があった?!中央部分が欠落しているようで、その上真冬の訪問のために葉がないことから、広がりは感じにくい写真ではあるものの、十分に迫力があります。
1100年の月日の過ぎ去る力は、想像よりも大きいのでしょう。
ひこばえを形成して入るものの、大枝や太い幹は悉く枯れたり折れたりしている模様。
枝の欠損部分も目視で多く見られますし、イチョウを囲む柵のすぐそばには切り落とされたものだろうと推察できる、中心が枯れた大枝(幹?)が横たわっていることからも分かります。
それでも、命を繋いでいっているのだろうと思わせることがあります。
それは若干歩きにくい、大いちょうそばの参道の足元にあります。
鳥居から大いちょうに向かって右手。
細いイチョウがスクッと立っています。
樹木の事や、状況を観察することがなければただの単体の細いイチョウ。
しかし、よく見ると大イチョウから根が伸びている様子!
柵の下を潜るかのように根をあらわにしている大いちょう。
そしてその先には別個体であるかのような、もう一つのいちょうが・・・
これは大イチョウの後ろ側から撮った写真ですが、この写真の右側がそうです。
完全に別個体に見えます。
確定ではありませんが、おそらく大イチョウのDNAを持ったクローンであると思われます。
そう考えてみると、大イチョウの方には枝を伸ばしていないのは本体に対しての忖度?!
このような現象は、西日本最大のイチョウともいわれる「常瀧寺の大公孫樹」でも見られたもの。
植物の生命力の偉大さを感じるところです。
1100年生きてきたことも驚きなのですが、このような形でさらに先の数百数千年への布石を打っていると思うと、言葉がありません。
ちなみに当イチョウは、見る位置によって大きく印象を変えます。
鳥居側から見ると少しスリムに見えますが、90°転換するとものすごい太さなのです。
元日本一もうなずけるそのスケール。
景色に同化して少し分かりづらいですが、左にいる私がわかるでしょうか。
この角度が最もいいアングル。
もし、主幹が残っていれば更に迫力がましたに違いない姿。
そんな大いちょうですが、何よりも印象に残るのは地域の人たちとのつながり。
離れたところからの巨大さや、近づいてぽっかりと口を開けて見上げることももちろんいいのですが、その幹やひこばえをよく見てみると、至る所にお賽銭があるのです。
ある意味、どこかに引っ掛けることに意味があるのか?!と思ってしまうくらいに皆さん引っ掛けている。
だから、ほとんど5円玉なんだけど、稀に50円も!
それらは、ずっと置きっぱなしにされているような様子ではありませんでした。
きちんとお賽銭として管理されているのか、そして場所が開いたところに継続的に新しい「御縁」を求めた5円が収まるのかもしれません。
これだけ多くの地域の方が、このいちょうに逢いに来ているのかと思うと、物凄くこころが温まる気がしました。
多くは子宝や乳の出の願掛けなのかも知れませんが、きっと他にも様々な想いや願いが込められているはず。
巨樹は、ただ巨な存在ではありません。
その生育には多くの地域の人が絡み、歴史があり、いわくがある。
その場所に根付いて動かないからこそ、土地とともに歩んでいく。
私が好きなワインもそうですが、地域の個性を活かすことや土による大きな違いが如実に表れることを考えると、当地はイチョウの生育条件が非常にいいのかもしれません。
そう、ここ青森県には巨樹巡りでは外すことのできない、押しも押されもせぬ日本一がいるのですから。
その姿は、いつかまたお伝えすることにします。
今回は、地域に御縁深い大いちょうの雪の姿で、もうすぐ来るであろう冬の訪れをお届けしました!
(左下が担当です・・・小さい・・・)
根岸の大いちょう
青森県上北郡おいらせ町東下谷地6
駐車スペースは雪で確認できませんでした。
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