2022年11月29日
無垢の材木屋の指物器 〜誠昌酒㐂（せいしょうしゅき） Toda Joinary 〜 発売！
無垢材大好きな材木屋に、また新たな木製品が仲間入りしました。
ずっとラインナップしたかったもの。
それは指物酒器。
数年前に、指物職人さんに出逢いその作品とお人柄が好きになり、ずっと製作をお願いしたいと思っていたものです。
それが、こちら！
無垢材が好き、そして木製品や家具も好きなものにとっては、それらは見れば見るほど欲しくなり、特に小物や生活雑貨などはコレクションしたい欲求に駆られてしまうために、今までは全てに見て見ぬふりをしてきました。
しかし今回の酒器は、本年より不定期で開催している弊社の交流イベントである「遊学酒席」にて、無垢材を届ける材木屋が自社の木材で作る木製品を使って、参加者に交流してもらうというきっかけ作りも込めて、作ることにしたものです。
同じく本年に追加樹種をご紹介した、ジェットストリーム芯対応！ノック式木製ボールペンの木輪（Kowa）もそうですが、自社の木材利用において出てくる小さな単位の木材や、原木利用などから発生したもの、又はどうしても薄く小さくなってしまっても手放せないものなどを、作品として活躍する場をつくる目的と実用性を兼ねた木製品となるように、想いを込めたものです。
そんな想いのある指物酒器、名付けて「誠昌酒㐂（せいしょうしゅき） Toda joinary 」。
この特異な七角形の印象。如何ですか？
四角形でも五角形でもない、七角形。
この形状、一度手にしてほしいのです。
掌の大きな男性であれば、中指の関節が全て角にかかるような形状に近く、手で自然に包み込むような形状になっているのです。
また、少し小さな手の女性でも、人差し指の第一関節を角にかけると、自然と対角側の頂点が口に向かうようになるために、注がれた飲み物が優しく口に流れてくるような印象です。
それでは、早速ラインナップ樹種を紹介していきたいと思います。
・楢虎杢（ならとらもく）＋楓（かえで）かんざし
誰もが知る樹種、楢（なら）。
しかし、その楢材の高樹齢木に表れる「虎杢」を見る事ができるものは非常に珍しい。
胡麻のような目と言われることもある虎斑（とらふ）とは異なり、材面にさざ波の様にゆらゆらと輝く表情を見せるのが虎杢。
栃（とち）に現れる縮み模様によく似ています。
木目が非常に細かい為、一目見ただけでは楢材であると分かりにくいのは、マイナスではなく反対にアピールポイント。
さりげなく、「それ、木の器？！何の木」という興味を引きながら虎杢のお話で盛り上がってもらいたいですし、ワインやウィスキーを熟成させる木である楢の酒器で、それらをあじわってもらうこともできますよ！
（一枚の板材を材料にしていますが、虎杢の出方には個体差があります）
・啄木黄蘗（つつきのきはだ）＋板屋楓かんざし
特殊用途での利用が多い為に、木材としての流通量は決して多くはない樹種「キハダ」。
弊社では、日本で産出するキハダを原木から購入しすべての工程に担当が関わって、無垢一枚物フローリングとしています。（記事では紹介できていませんが・・・）
その名の通り、樹皮に近い部分は黄色みが非常に強く、その部位は生薬として非常に有名。
木材の辺材部分にも黄色みを帯びているものの、芯材部分は材によっては若干緑褐色を思わせるような色合いと、角度によって金褐色では？！と思わせるような光沢をもっている、非常に美しい樹種。
広葉樹をはっきりと認識させる道管が大きめな木目ですが、見た目以上に軽量で、手触りや口当たりは非常に柔らかく温かみがあり、ゆったりとした時間におすすめ。
因みに、担当は焼酎を注いでいます（笑）。
キハダの樹皮は黄檗（おうばく）として、苦い胃腸薬として活躍します。
木材自体には、そのような成分を期待することはできませんが、酒が百薬の長であるように、キハダの酒器で飲むお酒が体調を整え一日の疲れをいやし、心地よい安らぎをもたらしてくれるかもしれませんね。
・ミャンマーチーク＋カリンかんざし
言わずと知れた、世界の名木チーク。
木材に求められる性質を、全て有していると言っても過言ではない樹種。
しかし、近年一般的に使うことができるものの多くは、植林で育てられた若木や辺材の多いもの。
チーク特有の雰囲気を感じられるものは少ないのです。
しかし、弊社の長期在庫の中の貴重な天然生のミャンマーチーク材からつくられた酒器は、深い茶褐色の色合いと艶のある木目が名木としての存在感を発揮しています。
特殊な杢はないものの、落ち着いた色合いに艶めく材面。
そこに、カリン材の紅いかんざしが彩を添えています。
落ち着いた大人の雰囲気が漂うような、シックな印象。
書斎の明かりを少し落として、お気に入りのブランデーをストレートで・・・
または、少し苦みを楽しむエスプレッソを一口ずつゆっくりと楽しむ・・・
そんなイメージが膨らむミャンマーチーク。
・天然尾州桧糸柾＋一位芯材かんざし
尾州桧とは、長野県木曽地方を主として産するヒノキのこと。
生長が緩やかな為、非常に年輪が細かく柾目に製材すると年輪が糸を引いたように見える状態を「糸柾」といいます。
その印象は、一言で言うと「清楚」。
広葉樹には強く主張する木目があり、他の針葉樹にも独特の色合いや年輪の表情がある。
しかし、尾州桧はひたすら主張しない。
まるでサウンド オブ サイレンス。
端正で非常に整っているがために、目立たないように思われますが酒器ではその端正な美しさに、とても目を奪われます！
「1/f ゆらぎ」を感じさせる不均一な均一性のリズムの木目と、一位材のかんざしの朱が全体を引き締め、非常に凛とした印象を強くしています。
ヒノキの中でも柔らかな木質の尾州材。
そのおかげか、どこか口当たり柔らかくまろやかに感じさせるのは、樹種の特徴が出ているように思えます。
伊勢神宮の御用木でもあり、ヒノキの中のヒノキである尾州桧の酒器で、お祝い事での乾杯や健康と幸多い一年を願うお正月の桝酒の代わりに、日本酒を注いでみてください。
もちろん、日々の一息のお茶や少し畏まったお茶席などにも邪魔しないしとやかさを持っていると思います。
・板屋楓杢＋モンキーポッド古渡芯材かんざし
カエデ。
弊社では幅広無垢フローリングの定番商品として、最初期より活躍してくれている想いの深い樹種。
日本では紅葉のイメージが強い「モミジ」の多くは、樹木名ではカエデ。
木材には派手さはないものの、非常に緻密な材質と稀に現れる鳥眼杢（バーズアイ）や泡杢が美しい樹種です。
そして本作の原材料も、それらの杢を見て取る事ができます。
まるで、泉の底からこんこんと湧き出る泉を眺めている様な、ゆったりとした水の流れの様にも見えます。
角を飾るかんざしに使用されているのは、「この木なんの木」で有名なモンキーポッド。
25年ほど前、木材としては殆ど流通していなかった当時に、弊社にやってきた材。おそらく、木材として供される最初期ではなかったでしょうか。
その「古渡」の、黒檀を思わせる漆黒の芯材を持つモンキーポッドと、杢のあるカエデをマッチング。
湧き出る泉のように、注いだお酒がいつまでの絶えることのない夢の酒器、とはいきませんが泡のように登り、そしてモンキーポッドの樹幹の様に広く広がることを縁起とし、持ち主によい風が吹くのではないかと期待している、そんな作品。
・一位＋共材辺材かんざし
その名から、競争や順位のつく場所にゲン担ぎとして使用されることもある樹種、一位（イチイ）。
しかし、ゲン担ぎ以上にその性質や木目は素晴らしく、古来から認められている木目や色合いの美しさと、針葉樹にしては適度に硬質さがあることで刃物の効きも良く、工芸品や文化財にも多く利用されています。
朱色から山吹色にも見える独特な色合いは、他の樹種では得難く個性的。
そこにストライプの様に薄黄色が流れているのは、夕焼けの雲の棚挽きの様に思えてくるのは、親心でしょうか（笑）。
誠昌酒㐂は、一枚の板をそのままつなぎ合わせて七角にしている為に、その木目のつながりが自然に見えることも大きな特徴ですが、一位では特に顕著にみる事ができます。
そして、乳白色のかんざしは共材、つまりは同じ一位からとったもので、わざわざ色の薄い辺材部分を選別したものを使っています。
一つの木材からできたものと思えない対照的なアクセントですが、切り分けられた木材が、指物師の手によって形を変え再び一つになる。
異なる樹種の組み合わせも良いものですが、ひとつのものを使い切る事や木材や樹木の美しさは、一元的なものではなく多面的で個性的であることの表れとして、実現したかった組み合わせでもあるのです。
以上がそれぞれの樹種のストーリー。
全てが、弊社で想いでのある材であることは、ボールペンである木輪（Kowa）でも同じ。
そして、手の届かない高級銘木をプレミアム価格で販売するのではなく、想いのある材をよろこんで毎日使っていただける価格でお届けしたいと思うこと。
百円均一でも器は買えます。木製のものも多くあります。
しかし、想いのある木材が指物師の手作業の技法によって生まれ変わるこの七角酒器は、大量生産ではできません。
そこに、木材を使い捨てではなく永く愛用してほしい気持ちと、指物という素晴らしい技法を身近に感じてほしい弊社の想いからできたものが、誠昌酒㐂。
そして、なかなか手に取る機会が無いだろうことから、弊社の不定期交流会である遊学酒席において、誠昌酒㐂はメインの酒器として試していただけるようにご用意しています。
まだオープンなイベントにはしていませんが、木の酒器で味わうひとときは、交流にも花を添えてくれるのです。
因みに、酒器の裏には弊社のロゴがさりげなく刻印されています。
ガラスのグラスも陶のぐい呑みもいいものです。
しかし、材木屋で木が好きで手仕事が好きであれば、美しい木の作品で酒が飲みたい！という気になるのも当たり前というもの（笑）。
今回は、そんな想いも形にしています。
しかも、重ねて収納できるので、樹種違いでコレクションしても収納場所に困りません！（笑）
木のおちょこは小さすぎて、何度も注いでいるうちに飲みすぎる、なんていうことも誠昌酒㐂では適度な量のため、心配なし！
そして、木材特有の柔らかな口当たりは、他の素材ではありません。
誠昌酒㐂を手に取ってもらって、ワインでも焼酎でも日本酒でも、そして日々のお茶でも口にしてみてください。
そして、飲まないときは飾って愛でてください。
そんな楽しみ方のできるのは、木であればこそ。
誠昌酒㐂をきっかけに、木のファンや指物のファン、そして木のモノへの愛情と素材となる木が育つ山や森林の事を考え、環境や生活にも目を向けるきっかけになれば、一層嬉しく思う材木屋です。
木が好きな材木屋が、木のボールペンに続きお届けする指物器、誠昌酒㐂。
ぜひ、身近に指物技法と木の美しさを！
樹種：楢虎杢（ならとらもく）、啄木黄蘗（つつきのきはだ）、ミャンマーチーク
尾州桧糸柾（びしゅうひのきいとまさ）、板屋楓杢（いたやかえでもく）、一位
仕上：PU塗装クリヤー仕上げ
寸法：全高 約88mm×最大出隅部対角 約67mm
価格：￥10,000/個（＊税別、梱包送料別途）
＊樹種により、様々な表情がありますが、楢は樹種の特性上黄変色している部分が見えることがありますが、異常ではありません。
＊全て手作業での細かな部材ですので、かんざしが若干かけているような隙間もありますが、使用には問題ありません。
・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ
＊2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）
木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。
・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html
・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp
ずっとラインナップしたかったもの。
それは指物酒器。
数年前に、指物職人さんに出逢いその作品とお人柄が好きになり、ずっと製作をお願いしたいと思っていたものです。
それが、こちら！
無垢材が好き、そして木製品や家具も好きなものにとっては、それらは見れば見るほど欲しくなり、特に小物や生活雑貨などはコレクションしたい欲求に駆られてしまうために、今までは全てに見て見ぬふりをしてきました。
しかし今回の酒器は、本年より不定期で開催している弊社の交流イベントである「遊学酒席」にて、無垢材を届ける材木屋が自社の木材で作る木製品を使って、参加者に交流してもらうというきっかけ作りも込めて、作ることにしたものです。
同じく本年に追加樹種をご紹介した、ジェットストリーム芯対応！ノック式木製ボールペンの木輪（Kowa）もそうですが、自社の木材利用において出てくる小さな単位の木材や、原木利用などから発生したもの、又はどうしても薄く小さくなってしまっても手放せないものなどを、作品として活躍する場をつくる目的と実用性を兼ねた木製品となるように、想いを込めたものです。
そんな想いのある指物酒器、名付けて「誠昌酒㐂（せいしょうしゅき） Toda joinary 」。
この特異な七角形の印象。如何ですか？
四角形でも五角形でもない、七角形。
この形状、一度手にしてほしいのです。
掌の大きな男性であれば、中指の関節が全て角にかかるような形状に近く、手で自然に包み込むような形状になっているのです。
また、少し小さな手の女性でも、人差し指の第一関節を角にかけると、自然と対角側の頂点が口に向かうようになるために、注がれた飲み物が優しく口に流れてくるような印象です。
それでは、早速ラインナップ樹種を紹介していきたいと思います。
・楢虎杢（ならとらもく）＋楓（かえで）かんざし
誰もが知る樹種、楢（なら）。
しかし、その楢材の高樹齢木に表れる「虎杢」を見る事ができるものは非常に珍しい。
胡麻のような目と言われることもある虎斑（とらふ）とは異なり、材面にさざ波の様にゆらゆらと輝く表情を見せるのが虎杢。
栃（とち）に現れる縮み模様によく似ています。
木目が非常に細かい為、一目見ただけでは楢材であると分かりにくいのは、マイナスではなく反対にアピールポイント。
さりげなく、「それ、木の器？！何の木」という興味を引きながら虎杢のお話で盛り上がってもらいたいですし、ワインやウィスキーを熟成させる木である楢の酒器で、それらをあじわってもらうこともできますよ！
（一枚の板材を材料にしていますが、虎杢の出方には個体差があります）
・啄木黄蘗（つつきのきはだ）＋板屋楓かんざし
特殊用途での利用が多い為に、木材としての流通量は決して多くはない樹種「キハダ」。
弊社では、日本で産出するキハダを原木から購入しすべての工程に担当が関わって、無垢一枚物フローリングとしています。（記事では紹介できていませんが・・・）
その名の通り、樹皮に近い部分は黄色みが非常に強く、その部位は生薬として非常に有名。
木材の辺材部分にも黄色みを帯びているものの、芯材部分は材によっては若干緑褐色を思わせるような色合いと、角度によって金褐色では？！と思わせるような光沢をもっている、非常に美しい樹種。
広葉樹をはっきりと認識させる道管が大きめな木目ですが、見た目以上に軽量で、手触りや口当たりは非常に柔らかく温かみがあり、ゆったりとした時間におすすめ。
因みに、担当は焼酎を注いでいます（笑）。
キハダの樹皮は黄檗（おうばく）として、苦い胃腸薬として活躍します。
木材自体には、そのような成分を期待することはできませんが、酒が百薬の長であるように、キハダの酒器で飲むお酒が体調を整え一日の疲れをいやし、心地よい安らぎをもたらしてくれるかもしれませんね。
・ミャンマーチーク＋カリンかんざし
言わずと知れた、世界の名木チーク。
木材に求められる性質を、全て有していると言っても過言ではない樹種。
しかし、近年一般的に使うことができるものの多くは、植林で育てられた若木や辺材の多いもの。
チーク特有の雰囲気を感じられるものは少ないのです。
しかし、弊社の長期在庫の中の貴重な天然生のミャンマーチーク材からつくられた酒器は、深い茶褐色の色合いと艶のある木目が名木としての存在感を発揮しています。
特殊な杢はないものの、落ち着いた色合いに艶めく材面。
そこに、カリン材の紅いかんざしが彩を添えています。
落ち着いた大人の雰囲気が漂うような、シックな印象。
書斎の明かりを少し落として、お気に入りのブランデーをストレートで・・・
または、少し苦みを楽しむエスプレッソを一口ずつゆっくりと楽しむ・・・
そんなイメージが膨らむミャンマーチーク。
・天然尾州桧糸柾＋一位芯材かんざし
尾州桧とは、長野県木曽地方を主として産するヒノキのこと。
生長が緩やかな為、非常に年輪が細かく柾目に製材すると年輪が糸を引いたように見える状態を「糸柾」といいます。
その印象は、一言で言うと「清楚」。
広葉樹には強く主張する木目があり、他の針葉樹にも独特の色合いや年輪の表情がある。
しかし、尾州桧はひたすら主張しない。
まるでサウンド オブ サイレンス。
端正で非常に整っているがために、目立たないように思われますが酒器ではその端正な美しさに、とても目を奪われます！
「1/f ゆらぎ」を感じさせる不均一な均一性のリズムの木目と、一位材のかんざしの朱が全体を引き締め、非常に凛とした印象を強くしています。
ヒノキの中でも柔らかな木質の尾州材。
そのおかげか、どこか口当たり柔らかくまろやかに感じさせるのは、樹種の特徴が出ているように思えます。
伊勢神宮の御用木でもあり、ヒノキの中のヒノキである尾州桧の酒器で、お祝い事での乾杯や健康と幸多い一年を願うお正月の桝酒の代わりに、日本酒を注いでみてください。
もちろん、日々の一息のお茶や少し畏まったお茶席などにも邪魔しないしとやかさを持っていると思います。
・板屋楓杢＋モンキーポッド古渡芯材かんざし
カエデ。
弊社では幅広無垢フローリングの定番商品として、最初期より活躍してくれている想いの深い樹種。
日本では紅葉のイメージが強い「モミジ」の多くは、樹木名ではカエデ。
木材には派手さはないものの、非常に緻密な材質と稀に現れる鳥眼杢（バーズアイ）や泡杢が美しい樹種です。
そして本作の原材料も、それらの杢を見て取る事ができます。
まるで、泉の底からこんこんと湧き出る泉を眺めている様な、ゆったりとした水の流れの様にも見えます。
角を飾るかんざしに使用されているのは、「この木なんの木」で有名なモンキーポッド。
25年ほど前、木材としては殆ど流通していなかった当時に、弊社にやってきた材。おそらく、木材として供される最初期ではなかったでしょうか。
その「古渡」の、黒檀を思わせる漆黒の芯材を持つモンキーポッドと、杢のあるカエデをマッチング。
湧き出る泉のように、注いだお酒がいつまでの絶えることのない夢の酒器、とはいきませんが泡のように登り、そしてモンキーポッドの樹幹の様に広く広がることを縁起とし、持ち主によい風が吹くのではないかと期待している、そんな作品。
・一位＋共材辺材かんざし
その名から、競争や順位のつく場所にゲン担ぎとして使用されることもある樹種、一位（イチイ）。
しかし、ゲン担ぎ以上にその性質や木目は素晴らしく、古来から認められている木目や色合いの美しさと、針葉樹にしては適度に硬質さがあることで刃物の効きも良く、工芸品や文化財にも多く利用されています。
朱色から山吹色にも見える独特な色合いは、他の樹種では得難く個性的。
そこにストライプの様に薄黄色が流れているのは、夕焼けの雲の棚挽きの様に思えてくるのは、親心でしょうか（笑）。
誠昌酒㐂は、一枚の板をそのままつなぎ合わせて七角にしている為に、その木目のつながりが自然に見えることも大きな特徴ですが、一位では特に顕著にみる事ができます。
そして、乳白色のかんざしは共材、つまりは同じ一位からとったもので、わざわざ色の薄い辺材部分を選別したものを使っています。
一つの木材からできたものと思えない対照的なアクセントですが、切り分けられた木材が、指物師の手によって形を変え再び一つになる。
異なる樹種の組み合わせも良いものですが、ひとつのものを使い切る事や木材や樹木の美しさは、一元的なものではなく多面的で個性的であることの表れとして、実現したかった組み合わせでもあるのです。
以上がそれぞれの樹種のストーリー。
全てが、弊社で想いでのある材であることは、ボールペンである木輪（Kowa）でも同じ。
そして、手の届かない高級銘木をプレミアム価格で販売するのではなく、想いのある材をよろこんで毎日使っていただける価格でお届けしたいと思うこと。
百円均一でも器は買えます。木製のものも多くあります。
しかし、想いのある木材が指物師の手作業の技法によって生まれ変わるこの七角酒器は、大量生産ではできません。
そこに、木材を使い捨てではなく永く愛用してほしい気持ちと、指物という素晴らしい技法を身近に感じてほしい弊社の想いからできたものが、誠昌酒㐂。
そして、なかなか手に取る機会が無いだろうことから、弊社の不定期交流会である遊学酒席において、誠昌酒㐂はメインの酒器として試していただけるようにご用意しています。
まだオープンなイベントにはしていませんが、木の酒器で味わうひとときは、交流にも花を添えてくれるのです。
因みに、酒器の裏には弊社のロゴがさりげなく刻印されています。
ガラスのグラスも陶のぐい呑みもいいものです。
しかし、材木屋で木が好きで手仕事が好きであれば、美しい木の作品で酒が飲みたい！という気になるのも当たり前というもの（笑）。
今回は、そんな想いも形にしています。
しかも、重ねて収納できるので、樹種違いでコレクションしても収納場所に困りません！（笑）
木のおちょこは小さすぎて、何度も注いでいるうちに飲みすぎる、なんていうことも誠昌酒㐂では適度な量のため、心配なし！
そして、木材特有の柔らかな口当たりは、他の素材ではありません。
誠昌酒㐂を手に取ってもらって、ワインでも焼酎でも日本酒でも、そして日々のお茶でも口にしてみてください。
そして、飲まないときは飾って愛でてください。
そんな楽しみ方のできるのは、木であればこそ。
誠昌酒㐂をきっかけに、木のファンや指物のファン、そして木のモノへの愛情と素材となる木が育つ山や森林の事を考え、環境や生活にも目を向けるきっかけになれば、一層嬉しく思う材木屋です。
木が好きな材木屋が、木のボールペンに続きお届けする指物器、誠昌酒㐂。
ぜひ、身近に指物技法と木の美しさを！
材木屋の指物器 〜誠昌酒㐂（せいしょうしゅき） Toda Joinary 〜
樹種：楢虎杢（ならとらもく）、啄木黄蘗（つつきのきはだ）、ミャンマーチーク
尾州桧糸柾（びしゅうひのきいとまさ）、板屋楓杢（いたやかえでもく）、一位
仕上：PU塗装クリヤー仕上げ
寸法：全高 約88mm×最大出隅部対角 約67mm
価格：￥10,000/個（＊税別、梱包送料別途）
＊樹種により、様々な表情がありますが、楢は樹種の特性上黄変色している部分が見えることがありますが、異常ではありません。
＊全て手作業での細かな部材ですので、かんざしが若干かけているような隙間もありますが、使用には問題ありません。
・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ
＊2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）
木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。
・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html
・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp
muku_mokuzai
