本物の無垢木材　～茨木市戸田材木店・セルバの木の虫ブログ～:材木屋の独り言

2025年05月01日

いざという時、担う人はもういない・・・

先日ミャンマーにておきた大地震の影響で倒壊したビルについての、小さな新聞記事を読みました。

タイと中国の共同企業体が施工したそうですが、中国企業のSNSからは建設当初の投稿が早々に削除されたとか、そんな話も聞こえていて施工や品質に問題がなかったのか、関心が集まっていました。

地震からの早期復興と、自身による影響を報じるその記事にも注目しているのですが、それ以上に目を引いたのが文面の最後にあった文字。

タイと中国の共同企業体での施工ですから、原因究明は共同体での調査チームによるものになるのがいっぱんてきかとおもいますが、最後にあったのは「調査に際し、日本のような知見のある国に助言を求めるべきだ」というところです。

彼の国が悪いのではなく、それでも国家発注などのプロジェクトに競り負ける日本。
いや、競る土俵ではないところで負けていることも多々あるでしょう。

地域に話をうつすと、社寺の建築でも競争があります。
入札見積もりですが、一般的なヒノキではなくスギを多用して入札を勝ち残る業者がいる、と聞きました。
ヒノキで当然のところを、スギを使って材料費を安く抑えて発注を得る。

今回はそれとは異なるでしょうけれど、品質に問題がなかったかなどは似た部分があるのかもしれません。
また、高速鉄道の受注でもそんなイメージです。
そして、海外にて聞いた話のひとつに、奇抜なデザインのビルの建設についての入札でも、日本の企業は安全性を担保するために必要な構造を造るために提案した金額が、他国の提案した安全基準の低い見積もりが採用され、日本はとてもそのような提案ができない、と入札で落札できなかったことを安堵したという話。

日本も現在は、多くの不正や試験違反が目立ってはいるものの、多くはしっかりとしたモノづくりや精神で仕事に臨んでいるはず。
安さを求めすぎたり過剰な競争は、最低限必要なものづくりの関係性を壊し、そして各業種での大切な担い手がいなくなる・・・

そう、いざという時担う人はもう、いないんです。
そんな状況が目に見えている。
なぜなら、弊社の周りでも真面目に取り組んでいるお会社からなくなっていくんだから・・・・

安易な産直も、流通の中の担い手をなくすことになるかもしれない。

独りや一社ではなにもできないかもしれない。
でも、いざという時に・・・いや、いざという時のために今を一所懸命生き抜いていかねばならないと、記事を見て改めて思いました。

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2025年04月06日

去年の3月は泣いていた・・・今年の4月は？！・・・

過日、きのむしラジオ関係で拙記事を読みかえそうとしていたとき、たまたま見つけた昨年の記事。

恨み節、投稿してました（汗）。
その理由は、事件編と未明編をご覧ください（笑）。

その記事というのは、他でもないスキーの話題なのですが今年は本当に雪には恵まれ過ぎていましたね。
久しぶりに旧ホームグラウンドでも3mを超える積雪になり、大雪で各地に記録的な影響を与えた年になりました。

それでも担当の印象では、日本海側に非常に激しく降雪し、都市部も冷え込んで積雪したものの、ニュースで報道するほどの雪ではなかったように思います。

十数年前の大雪の日は、担当の住む大阪の自宅でも積雪し、小さかった息子が雪だるまを作ったりしていましたから、それを考えると今年は大阪での積雪は都市部では見られなかったので、やはり局地的な影響が大きいのではないかと思ってしまいます。

ただ、雪が多いということは水に恵まれるという事でもありますから、山に浸透しゆっくりと自然界をはぐくんでくれることと思います。

話は戻り、本当に昨年とは大違いの積雪。
1月で50cmと表記していた昨年ですが、今年は2m以上でしたし十分にスキーを堪能できました・・・・と言いたいところですが、もうシーズンが終わってしまうさみしさは毎度のことです。

弊社のシンボル桜もかなり咲きはじめ、確実な春を告げています。

担当も、週末ついに最終滑走を終えました。
東京や大阪で25℃というような暑さを記録した翌日に10℃を切るような気温低下というような、本当に異常な気象のおかげで大雪も融雪が急激にすすみ、各スキー場も雪崩の危険性により、雪が多くても営業終了になるというシーズンでした。

昨年もそういえば、癒しのスキー場の最終営業日には大雪になったかとおもえば、ホームグラウンドの近くでは昨日まで100cmの積雪が翌日には80cmになり、リフトの手前で雪がなくなりスキー板を担いでリフト乗り場へいく、という状況になり即クローズという場面もありました。

異常気象は樹木にも影響があり、樹木に影響があるということは土や食物、そして海や魚にも影響があるということ。
夏の気象なども心配になる冬でした。

明日からはもう雪の事は考えずに、業務に戻ります（笑）。
そして週末には、大工さんの鉋削り大会である、削ろう会大阪交野大会への出店をしますので、もしお時間ある方は会場2階の弊社ブースにお立ちよりくださいね！

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2025年03月16日

ゲレンデのカフェテラスで・・・ならぬ、ゲレンデのリフトで・・・！

先日、やっと行くことができました！

今年はいつも以上に冬の業務予定が多く、プレゼン作成や資料作りに追われ続けていた休日でしたので、ウズウズとしていたところ。
漸く贔屓のスキー場へと足を運ぶことができました。

当日は若干暖かかったものの、みっちりと練習に打ち込むことができました。

滑ってはリフトの繰り返し。
１分少々で滑り降りて６分リフト乗車、みたいなサイクルを延々と繰り返していた時、目の前に突然現れたのです。

スキー場では、他の人が履いている私では高くて買えない様な板や、足の形状の問題もあり憧れるも足を通せないブーツのメーカーなどが気になることがよくありますが、この時ばかりは驚きました。

いつもど次のリフトに乗車しようとしていたところ、視線の端っこに映った見覚えのある配色に、驚いて二度見。

体が無意識に反応したその配色は、一か月に数回と見る、そして家内以外の家族はほぼセリフをそらんじることのできるほどのヘビーローテーション映画である「わたスキ」のそれ。

そうです！

世代の人ならば驚かずにはいられない、あれと遭遇したんです。

間違いない！サロットだ！！

目前のリフトに乗車するお兄さんの履いているスキー板。
伝説の（？！）スキー映画である、私をスキーに連れてってで主人公たちが履いているスキー板（ブーツ等）メーカーがサロット。

そう、「池上君？サロットが大変なんだ！」、「サロットが？！」のサロットです！！（笑）

もうその名称をタイピングしているだけで興奮してきますが、スキー映画の金字塔と信じてやまない名作に出てくるメーカーのものを、限定販売で売り出した時のものでした。

知ってはいたものの、現実に見ることができるなんて。
それも自身のよく行くスキー場で。

リフト乗車中、後ろから間違いないかを何回も確かめるも、好きな映画で目に焼き付いているものを間違えるはずもなく、何度も見返しては興奮していたのです。

リフトの数分間が終わる直前、これはお声掛けせねば・・・という思いになり降車直後にお兄さんにお声掛けしました。

「すいません、、、、サロットですよね？！」

お兄さん、慣れた感じでそうですよ、と。

「写真、いいですか？！」というお願いに、当然そうなるよね！、くらいの雰囲気で「どうぞ！」とながれて、念願の実物サロット。

持ち主さんは、バッジテストなどにも挑まれるそうで、板も数本所持してらっしゃるそうで、やはりサロットの時には声を掛けられる、とのことでした。

そりゃ、興奮しますよね。ドンピシャ世代には。

もしかして、これから「ツアーコースで万座へ？！」とか、名セリフが浮かんでくるわけですがとにかく興奮。
頭をめぐるセリフたちとともに、冷静に写真を撮らねばと思ったり。

板の感触や滑り心地をたずねたり、いつもこのスキー場に来られていたのか等の質問で暫し談笑。
自分がいるスキー場（それもこの日は特にマイナーな）で、サロットと出会うなんて思っていなので、ワクワクが止まりませんでした。

様々なスキー場を開拓して回っている、との事でしたので再会は叶わないかもしれませんが、世代をときめかせる力に、改めて影響力の大きさを感じた一日でした。

後日段ですが、仲間にこのことを話をしたところ、中にはヘビーローテーションでみている、という仲間もいて自分以外にそれほど見ている人がいるんだ、といつも以上に親近感がわいたのでした。

今年は3月でも3mほどの積雪量。
いつまで楽しませてくれることでしょう。

サロットかぁ・・・・（ペチペチペチ・・・）

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タグ：: スキー

muku_mokuzai at 13:17│コメント(0)

2025年03月13日

寒波終われば、花粉襲来？！

今年は寒波の大雪だったから、こりゃ四月もスキーか？！困ったなぁ(^^ゞ・・・と思っていたものの、例年4月上旬まで営業しているところも、知る限り3月30日までで終了となっているではないですか・・・

あたたかくなってきたとはいえ、まだまだハイシーズンという気分だったのに、あっという間にシーズンオフが近づいてくる・・・（涙）

そして、シーズンオフが近づいてくるとともにやってくるのが、花粉情報。
テレビも、視聴率がとれるからだろうけれども、しつこい位に「今年の飛散量は・・・」とか連日放送していますね・・・
少しまえですが、新聞記事にもありました。

「花粉襲来」

襲ってくるという表現になったのですね・・・
「撒き散らす」ともされています。
確かに、みなさんには襲われる位の感覚なのかもしれません。
担当は、物心ついたときから製材のオガ粉や、某県産のスギの香り（当時は生木しかなく、刺激臭に感じるものがあった）で、一年中鼻水を垂れていたものだから、花粉症と言い出した時は「春だけなのに、どうしてそんなに騒ぐのか？！」と思っていましたが、国民病と言われるまでになりましたね。

花粉症といいますが、花粉だけが純粋に悪なのではないと言われますね。
少し前のテレビでも放送されていましたが、その他の物質との結びつきで刺激される場合もありますから、とにかくスギをやり玉に挙げるのは、そろそろ控えてほしいところ。

とはいえ、原因の大きな一つですし急激にあたたかい日が増えることで一層花粉を「まきちらす」とされています。
そりゃ、スギやヒノキにしても樹木たちにとっては生きる手段。
沢山の生きる方法を残さないといけないと、頑張っているのかもしれません。

もしかしたら、異常気象や道路舗装で生長できる場所が限られること等を察しているのだろうか。
欧州の森林関係の本を読んでいると、まことしやかに木々の生存戦略が疑似的に記載されていますが、そこまでではないにしろ、多くの花粉を飛ばすには樹木としての根拠があるものだと想像します。

ニュースや新聞記事でも、森林の公益的機能を取り上げるときは、保水だ二酸化炭素の吸収だと言いますが、それはすべて人間側が期待しているだけのこと。
どこか木々に「させている」感が否めませんが、木々は人の事を考えてそうしているのではありません。

建築材料も、昔の様な材料と工法が受け入れられなくなったのは、しなければいけない仕事や工法ではなく、施主や社会が求めるものを、とりあえず形にするというように変わってしまい、そしてそこに人間側の都合や期待が大きくこめられているのだと思います。

木材利用も、今の様な無駄遣い（感じる）をしていると枯渇することになるでしょうし、その時には環境だ二酸化炭素だと言えなくなる様な気がします。

宮崎駿信者、というわけではないですがやはりこういった話題で思い浮かぶのは、風の谷のナウシカや天空の城ラピュタ。

土や水など環境への負荷の代償に、巨大な蟲や腐海の存在。
しかし、最終的には腐海が人の出した汚れを浄化してくれている、というアニメのナウシカのシーンは忘れません。

飛躍しましたが、自然を支配しているような現代人。
上から見たように、海や樹木や森林を語りますがそんなことを続けていると、将来は本当に蟲たちとの共生時代になるかもしれません。

その時までに、蟲笛位は使えるようになっておけねばなりませんね・・・・

小さな花粉から大きな妄想を膨らませる、そんな新聞記事でした。

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muku_mokuzai at 12:31│コメント(0)

2025年03月07日

工藝は教養～見ておくべき手仕事～

過日、滑り込みで行ってきました。
何年振り？いや、10年ぶり？位の美術館。

日ごろ、美術工芸に触れる機会がない中で、めちゃくちゃ刺激を受けました。
そのきっかけは、先日ご来店いただきました人間国宝さん。

大お師匠さんの展覧会が開催されている、とお話を伺っていてずっと予定を調整していてやっと、たどり着いたんです。

市井の材木屋には程遠いものだと思われる、工芸の世界。
その中でも人間国宝で、没後展覧会の開催されるほどの方。
普段の仕事の中では、ほぼ関係性がない間柄と思われるかもしれませんが、意外と工芸家さんにも材を使ってもらったりしていますので、担当も興味津々。

特に、今回は人間国宝の作家さんのお師匠様の展覧会とあって、ワクワクドキドキの訪問となりました。

もちろん、館内は撮影禁止なので写すことはできませんが、まぁ溜息。

すごい。
そりゃすごい。
当たり前なんですが、はぁ～・・・というばかり。
もちろん、中にはどのように細工されているのだろうとか、レーシングカーの時のように下回りをのぞき込んだりするのですが、使われている素材もすごくて、ため息。
ナラの板目で？！、しかもこの細かい目！！っていうふうに、ちょっと声に出ていたのではないかというくらいの驚きの作品たち。

入場の方たちも多く、皆さん熱心にみられていました。

工藝品は身近ではないかもしれないけれど、弊社の誠昌酒㐂もそうですが、美術品や工藝品は教養の一つだと思います。
それを愛でるのか、それとも学ぶのか、または美しいと思い楽しむのか、若しくはそこから作者や時代背景を考察するのか、はたまた手が届かないと思い眺めるのもいいでしょう。

素晴らしいものでも、すべての人が教授できるわけではありません。
時間と財、そして理解のある人のみに手が届くものかもしれません。
しかし、そこから学ぶのは自由。

人間国宝さんの考え方や生き方、そして伝えようとしたこと（伝える意識はなくとも）を受け止めたいという気持ちになること。
それも、眺める価値。

自身の知らない世界がまた一つ広がりました。
とにかく感激の一日。

帰りはゆっくりと京都の街並みを歩き、ゆっくりと流れる川とともに時間の流れを感じる散策としました。
やはり、たまには美術工藝品にふれなくては・・・・

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タグ：: 人間国宝

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2025年03月04日

マネできるのが日本人、真似だけで終わらないのも日本人だったはず ②

旧時代的人間の担当ですが、だからこそ現在の日本が気になる、といえば大げさながらやはり、自分たちの業界も含めて後退しているように思えてなりません。

前回の懸念は、建築や林業でもそうです。

建築では、加工機械による手仕事の真似で、組み上げの形はマネできるようになりました。
しかし、どうしてそうしなければならないのかという、根本的な考えや理由は考慮されなくなりました。
入力が済めば、加工に人間は関与しないから。
入力担当は技術担当ではないから。

林業もスイスやドイツの良い面や成功例はたくさんあるでしょう。
でも、よい面ばかりではないところもあるはずで、全てを鵜呑みにし当てはめるのではなく、古くに堂塔建築を受け入れたように、自分たちの土地ややり方や動植物に当てはめて、自分たちのものにしなければならないと感じています。
目指しているものも違うはずですし、同じでも土や気候や樹種も違うのですから。

自分たちに落とし込んでいくこと。
そしてそこには人にしかできない、感情のぬくもりがある考察があること。

担当の好きな言葉に、

「そもそも手が機械と異る点は、それがいつも直接に心と繋がれていることであります。機械には心がありません。これが手仕事に不思議な働きを起させる所以だと思います。」

があります。

これは、有名な柳宗悦氏の言葉であり、担当が多くの薫陶を賜った手仕事を大事にされていた大工工務店会長さんが、直に教えてくださった言葉でもあります。

まさしく、これではないかと思います。
どんどん人が排除される仕事の現場。
効率よく、短時間でコストを抑えて大量に・・・
その間に、多くのものを得てそれ以上の「心」を失っていったのかもしれません。

そしてもうひとつ、

「近代風な大都市から遠く離れた地方に、日本独特なものが多く残っているのを見出します。ある人はそういうものは時代に後れたもので、単に昔の名残に過ぎなく、未来の日本を切り開いてゆくには役に立たないと考えるかも知れません。しかしそれらのものは皆それぞれに伝統を有つものでありますから、もしそれらのものを失ったら、日本は日本の特色を持たなくなるでありましょう。」

やはり、そうなのかもしれない。
納得してしまいます。

日本は日本の特色を持たなくなる。

大規模林業や後先ない皆伐を促進し、大規模利用や強制的な国産材利用を進めると、数十年後にははげ山になる。
あくまでも、現在の持論ですが今までもそんなお話をしてきました。
日本の特色を見失った林業政策。

近い将来になるか、機械で同じ形が作られるようになる時代の野球バットもそうでしょう。
データは人間の感覚以上に数値表現できるかもしれない。
でも、それは心と繋がらず、日本の特色、職人の特色を持たない「モノ」になってしまうことでしょう。

手仕事が良くて機械が悪いではありません。
真似ることだけではなく、本質を理解し機械を使うことや手で行わねばならないことや、その継承を忘れてはいけない、ということです。

継承が最もむつかしい。
それは、弊社の活動でも痛感しています。
しかし、それを忘れては真似だけで終わってしまう。
工業界には今、その影響が出てきているのではないかと思います。
森林林業、木材業界、そして建築業界においても大きな波がある。

だからこそ、手仕事を応援したい。
手仕事に、自社も自身も加わりたい。
そう思っています。

もうすぐ弊社で、新築住宅の手刻みが始まります。
そこで十二分に「手が心と繋がっていること」をアピールし、真似だけで終わらない日本人の木材利用を見せたい、そう思っていますので、また経過をお伝えしますね。

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2025年03月01日

マネできるのが日本人、真似だけで終わらないのも日本人だったはず ①

日本人は優れた民族であり、特殊であるといわれることがあります。
担当は、そこまで特異に感じてはいませんがそれでも、昔は一般的に勤勉でよく働き（24時間戦えますか？的な。）、そのうえで古くから宗教や文化などの受容性が高く、そして受け入れたうえで独自の生活に取り込んでいける。

それが日本人の特徴、といわれる場合もあります。
担当も、昭和一桁（銭形のとっつぁん・・・）的な人たちに鍛えられてきたため、24時間戦うタイプです・・・

なので、以降は「24時間タイプのたわごと」としてくださいね、、、

「24時間戦う」ことを美談とするわけではなくて、少し違和感を感じることが多い最近のことが気になっています。

テレビはほとんど見ない担当ですが、その分新聞記事はとても気になります。
特に、樹木や木材関係の記事は無意識に目が「木や樹」という文字を追うくらいに、異常な注意力（笑）。
まれに、間違えて「本」の字を二度見してしまうほど・・・

少し前では、バット職人さんのお話。

バット職人さんも経験はもちろんのことですが、木材を見極める力や選手との対話も非常に重要で、数値化されない希望やあいまいなニュアンスも、木の特徴とともにバットという形にしていく技法。

その素材については「音をきけ」とされるそうですね。

確かに、木材はそのものが奏でる音により、その性質が推測できるものですがそれができても、選手の希望通りのバットにできるかはまた別。

本当に職人の技。

それは決して AI や機械などには代用できないもの。
なぜなら一定のデータではないから、と考えています。
それには時間や経験とともに人間として、その個人が学び更新し続け対話することの器を広げなければならない、と思います。

昔の堂塔建築もそうだったのでしょう。

それに対して、現在の建築も単なる真似に過ぎないと感じます。
木造の場合は、単に木という素材の組み立てだけになっている。
それは、形だけを真似しているから。

気になるニュースはお家芸である、自動車産業にも。

どうしてこれほど高級車が増え価格も上がっているのに、昔ほどワクワクもしなければ不正が多いのか・・・
働き方改革で、就業時間を減らし無理に働かないようにしているためか？！、と邪推したりします。
なんせ「24時間タイプ」だから。

いや、それだけじゃなくてやはり真似事になってきているのではないか、と思ってしまいます。
建築も自動車も。

根本的なものを失っている？
真似をしたとしても、それを自分たちの生活様式や価値観に落とし込んで独自のものとしてきたのが日本人、そう理解していました。
でも、もう真似するだけの人間性になってしまったのか・・・

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2025年02月17日

冬の戸田先生番外編 ② ～プロ相手に気合の木の話～

前回のひと段落の気持ちを切り替えて、気合で臨んだのが今回。

いつも気合入っていないのか？ということではなく、今回は建築のプロである手刻み大工さんや一級建築士さん、そしてお一人が伐採をされる（想いのある）樵さんということで、森林林業とその利用の各分野で特に活躍されている方が多く、インパクトありつつも面白く樹木と木材の事を知ってもらおうと、気合いを入れていたのでした。

昨年も同じ会でお話をさせてもらい、好評だったという噂（汗）での第二回になったわけですが、ありがたいことに沢山の人に集まっていただけました。
今回話題の中心にしたのは、誤解をとくこと。

木材には、様々な誤解があります。
中には、ベテランの材木屋さんや熟練の大工さんでも誤解し続けているものも多々。

それと共に注意したいのが、誤解というよりも誤った情報が商業誘導目的で流布されている、という側面があります。
弊社も注意しなければならないところでもありますが、明らかに「情報源の一部のみ」をきりとっていたり、異なる説明のものを引用し、あたかも自社の木材が優れているかのように見せていたり。

今回はそんなお話も含めての講師でした。

と言いながら、実はいつもの「きのむしラジオ」の様に脱線しまくってしまって、予定の講義資料の半分しか進まないという状況。
コレはあかんのだろうか・・・

とも思うものの、一つの事を説明するのに補足をしていると、その補足にも例外や注意が必要で、そんなこんなで話に枝葉が多くなってくると収集がつかなくなってくるんですね。

悪い癖というか、全てきちんと伝えたいと思っているからというか。

2時間15分ほどの時間、ぶっ続けで聞いてもらったので仕事終わりに眠たい方もおられたでしょうし、中には知っている情報があり退屈な方もおられたかもしれません。
時間配分と共に、まだまだ未熟さを感じます。

講義内容については、次回のお楽しみということにさせてもらいましたが、一度に大量の情報は受け取れません。
なので、また次回続きをしたいと思いますので、どこかで皆さんにもお話ができればと思っています。
それまで待てない方の為に、このあと懇親会も参加させてもらいました。
というよりも、今回の講師料は懇親会無料！（笑）。

良いと思います。
いつも有意義な講義内容の会を担当も享受していますので、今回は担当の番。
もちろん、楽しめましたしやりがいがありました。

さて、この冬はあと二つ。
また、スイッチ切り替えて資料づくり！頑張るぞ！

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タグ：: 戸田先生; 番外編

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2025年02月14日

冬の戸田先生、番外編 ① 林業研究会他の皆様をご案内

昨年の12月から現在進行形で、非常に過密、否過激なスケジュールで動いている担当。
もう、ブログの更新もままならない状況に陥っています。

その理由は、連続してご依頼いただいている講師の役目。
年始からでも今数えると、よくこなしたな（業務も普段通りにやりながら）と思える回数。

もちろん、毎日あるわけでもないのですが、その時その時によりテーマも異なれば内容も異なり、伝える「濃さ」も異なります。
そのための資料作りや準備が非常に時間と手間がかかり、もう（いつもどおり）夜中にブログ書くということすらできない状態が続いています。

という言い訳と弱音なんですけれども直近のものをご紹介すると、某県林業研究会他に所属の皆様のご案内。

担当が、国の発行する紙面である森林・林業白書に掲載されていることから、是非お話を聞きたいというご連絡を頂き、弊社を視察案内しながら取り組みのご紹介と木材需要や流通、街と山との関わり方などの木材コーディネーターとしての活動もお話しました。
森林・林業白書

弊社をご案内したり、活動についてお話する機会は毎度あるんですが、今回は一層その活動や取り組みの内容と、どのようにしてその活動を導いているのかなどを、地域性や実現可能性も含めてお話するというところが、いつもと違うところでした。

色々なセミナーや勉強会に行きますが、そこでの講師の多くは自身の成功体験や、その地域特有の事情での達成事例をお話されることが多くあります。
しかし、お話を聞く方はどのように自分たちの地域で、どうやっていけばいいのかというヒントを探している場合があるので、聞いている方には単に自慢話を聞いているだけという状況に陥ることもあります。

それを踏まえながらもお伝えする皆さんが、それぞれ山主さんであったり施業されていたりと、山側の視点が多いような状況で、おこがましくも山から流通のお話をさせてもらうという流れだったのですが、なんとかやり遂げる事ができました。

遠方からのお越しでしたので、帰路に就く時間の都合上半日少々のご案内でしたが、後日の感想ご連絡において、学びがあったことやお伝えした山と街のかかわりを実践したいというお話、また今度は自分たちの地元に呼びたい、というお話もあったようで一安心。

ずっと行ってみたかったところだった、と言って頂いたのも有難いことです。

本当に前日まで資料の整理や準備にかかりきりだったことが報われました。

今回は時間が限られ、用意したプレゼンも非常に駆け足になってしまったので、今度はゆっくりミカンでも食べながら皆さんと交流したい、そう思ったご案内でした。

と、ひと段落のつもりがそうではなく。
その数日後に、今度は建築の各業種のプロのみなさんに木のお話をする、という講師をこなすため、ひと段落の気持ちを一瞬にして切り替えて（汗）、次の講師へと早変わりするのでした・・・・

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2025年01月24日

となりの、ではない人間国宝さんがご来店いただきました！

ちいさな街の、銘木屋さんでもない零細材木屋に、とっても驚きの事態が。

ちょっとしたつながりから、なんと人間国宝さんがご来店されるという名誉（笑）となったのです。
人間国宝。
言葉は知っていますが、非常に遠い存在。
そして、おそらくは非常に近寄りがたい存在。
そう思っていました。

先日いらっしゃったのは、関西のテレビ番組にある「となりの人間国宝さん」ではなく、本物の人間国宝さん。

ちょっと急なご連絡だったので、大至急で見ていただける材を掘り起こし・・・（汗）
木工芸に従事していらっしゃるその方は、意外なほどに親近感がわく方でした。

今回は、弊社の様子や在庫をご覧になる予定でのご来店。
特別、商品を所望されたわけではないのですが、興味をもっていただいただけで非常に光栄。

とにかく木が好き、そして自分が好きな木と手元に来てほしい木だけを在庫している材木屋ですから、お気に召すものがあるのかどうかと心配するところ・・・？！ではないのです。
中には弊社にしかないであろうと思うのもや、特殊ではないけれど木が好きな材木屋だからお手伝いできそうなお話もあり、ちょっと貢献できるのかと嬉しくなった次第。

まぁ、お仕事をする機会はほぼないでしょうけれども、零細材木屋にご足労いただいただけでもありがたいこと。
ご紹介いただいた某会長様にも感謝です。

人と人のつながりの大切さ。
いつも感じていますが、雲の上の存在の方がご来店くださることもつながりの一つと実感して、一層の精進が必要と思った人間国宝さんのご来訪でした。

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2025年01月20日

嬉しさ半分、悲しさ半分・・・以上のゲレンデリポート

大雪寒波で大変な雪国の皆様には非常に申し訳ないのですが、今年はたくさんの雪でスキー場は喜んでおられますね。

先日、ほぼ無睡眠でのスキー強行してきたのも、数年来の積雪量が心を掻き立てるからにほかなりません。
旧ホームグラウンドなど、最近は150cmも積もろうもんならば喜んでいたところ、すでに260cmを超えています。
10年前に一度そのようなことがあってから見たことのない数字。
しかも、新誂したばかりのゴーグル！！
そりゃ、寝ずにしてもいかないわけにはいかないです（笑）。

喜び勇んで向かった期待をきっちりと満足させてくれた雪の量。
そして、私が少ない経験の中でもっともアットホームでよい場所だと感じる某スキー場であったことも、日ごろのいろいろなうっぷん（汗）を吹き飛ばしてくれるようでした。

実は過日、仕事もかねていたために宿泊にて行っていたため、2日目は近場の別スキー場にもよらせてもらいました。
こちらも期待していたものの、かなり残念なことが起こってしまいました。

コーストコースが鋭角に合流する地点。
そこで、危険な飛び出しがあったのです。
というよりも、何度も繰り返して。それも一か所ではなく様々なところで・・・

新雪バーンが続く上級者コース（というよりスノーボーダーコース？！）と一般コースの合流地点。
ここを、急斜面から一気に合流地点を横切り飛び出し。

それも4人が続けて・・・

一般コースには少ないながらも子供さんや家族連れもおられるところ、猛スピードで・・・・

当人たちは非常に楽しそうにしているのですが、目撃したほうは冷や汗。
幸い、人が少ないこともあり衝突の危機は生じませんでしたが、見ていられません。

地形を利用して縦横無尽にコース取りできるのも、そのスキー場の強みなのですが規制されていないからといって、危険な行為を繰り返すスノーボーダーには本当にがっかり。

最近は、街を走る車でもにらみつけられたり、文句を言われたりする場面が増えたように思います。
社名入りの車で無茶な運転をするわけがないのに、何が不満なのか・・・と思うのですけれども、そんなことが多くなった気がします。

嬉しいスキーのはずが、至極残念な気持ちになった新年でしたが、今年はすいすいと滑るように気持ちの良い一年を過ごしたい、そう思うお正月の続きでした。

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タグ：: スキー

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2024年12月15日

材木屋、天然林に学ぶ　追記～人がかかわる天然林とは？～

前回の芦生天然林の様子、少し伝わったでしょうか。

針葉樹人工林材の扱いが一般的な街の材木屋さんが、およそ100年は人がかかわることのなかった天然林を歩き、学ぶこと。
当日は、人工林との違いというところまではお話できませんでしたが、弊社がほかのメンバーに見てほしかった部分は、歩くことができたのではなかったかと思います。

その数日後、実はまた異なる天然林に行っていたことを、補足としてご紹介します。
どうして、前回の芦生天然林に行く必要があったのかということ、紅葉狩りや観光ハイキング目的ではなく、繰り返しになりますが材木屋さんが針葉樹人工林以外を学ぶため。

今では、人工林＝森であり利用促進が叫ばれています。
しかし、人工林だけが森でも山でもありません。

人がかかわった人工林と、人がかかわることのなかった天然林の違いをみることで、新しい森林や森への見方ができるのではないかということが、狙いの一つでした。
そして、今回の森はまた違って「人がかかわっていた天然林」です。

天然林、というと全く人の関りがないと思われるかもしれませんが、そうではない場合がほとんど。
ここも、人がかかわってきた後に自然の力で現在の姿になっている場所です。

11月下旬の日本海側ですが、やはり紅葉がきれい。

でも、着目するのはそこではなくて、近畿の日本海側の山林の一部で、このような広葉樹林が「育って」いること。
そして、そこは人がかかわってきた場所であること。

人がかかわるというと、どうしても植林でスギやヒノキを一生懸命に植えて、間伐して育て上げられた場所、という印象を持っていませんか？
イメージというのは非常に重要でありながらも、見方を左右してしまう大きなファクター。

ここの場合は、人と森の関りが深かった時代の森のその後です。

古くは薪をいただき炭を焼いていた場所。
町を見下ろすほどの標高の場所なのに、こんなところで行われていたのかと思ってしまうほど。

そして、一見すると雑草もなく美しい広葉樹林と感じるかもしれませんが、そこが敢えての見どころです。

岩がごろごろと転がる地表面。

肥沃な土地、という場所ではありません。
雪も積もるため、木々の根際はおおむね大きく曲がっています。

それだけじゃありません。

木々以外に、低木やそのほかの草木がないことがわかるでしょうか。

この状態をきれいに整備されている、と思うこともあるでしょう。
日本で規定されている林業としては、しっかりと下刈りがされていて美しく補助金もきちんともらえる山、と見えるかもしれません。

しかし、本当はそうではありません。

この「きれいさ」の原因はシカが作ったもの。
一見見通しが良いものの、木々の次の世代が育ちにくい状況である場所です。
マツが残っていたり、数種の広葉樹がゆっくりと育っている、興味深い森なのですが人の関りがなくなったことから、現在ではシカの関りが大きな課題になっている場所。

天然林というのがいつも良い場所、正しい場所ではなくて、人がかかわった後放置された場所がどのようになるのかの一つの答えで、天然更新はしているものの、この次の時代にはシカが好まない木々しか見えない森になるかもしれない。

針葉樹人工林しか見ていないと、気が付かない場面。
そこは、芦生天然林と同じような視点で見てもらいたい場所。

でも実は、ここに行くことができたのは関わる人がいるからです。
今、一所懸命にこの場所を活かしていこうとされている方がいらっしゃって、皆さん笑顔でこの場所を見ていらっしゃる。

大きな木材を生産できるわけでも、道があって原木を出してくるわけでもない場所ですが、広葉樹薪を生産したりしながら、この場所に思いをもって通っていらっしゃる。
お話して、とてもいろいろな考えを持っていらっしゃって刺激をもらいました。

50年で伐期だとか、育ててきた材が安すぎるとか、針葉樹人工林の考え方一択が当てはまらない、広葉樹の森。
今後どのようになるのか楽しみですが、人工林だけではなくこのような天然更新の森にも人がかかわり、森づくりをされている。

こういった森にも視点を得て、材木屋さんも自身が扱う木材のことや森林のことへの新しい目線が得られればと思うので、いずれここも皆で学べればいいな、と思うところでした。

もうそろそろ、材木屋さんも針葉樹人工林以外の話をしないとね！

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2024年12月11日

材木屋、天然林に学ぶ！

いきなりですがみなさんの、材木屋さんへのイメージをお聞かせください。

丸太を製材している、材木のプロ。
いろんな材木のことを知っている。
山の木のことも当然わかっている。

そんなイメージありますか？！

もし上記に当てはまるのならば、若干お詫びせねばなりません。
現在の材木屋さんでは、上記に当てはまるお店はほんの一握り。
丸太を製材するのは製材所さんであること、そして昔ながらの製材所さんもどんどんなくなっていること。
いろんな材木のことを知っているお店、そんなのほとんどありません。
求められるものが画一化し、専門的知識が必要ないものばかりを扱うようになり、材木のことを知らずとも利益を得られる（少し悪い言い方をしますけど）形態になっていること。

山の木のことなど、知るほどに商売がしづらくなるから知る必要もない。
材木屋さんの現状は、このような感じ。

自身の業界なんだから、担当の思うように書いてもいいですよね！
もちろん、一部の熱心な方たちは除いて、の話の一般論ですが。

中に出たように、「専門的知識が必要ないものばかりを扱う」ということで、特殊な木材やましては山のことなど気にする必要がない木材業界。

そこに敢えて踏み込もうとしている、わずかなメンバーが大阪木材仲買協同組合の中にあるんです。

弊社も所属する団体の中の、小さなクラブ活動
その中でも、今回は「山の中に学びを得たい！」との志のあるほんの一握りの方たちと、100年手つかずの天然林をめぐることとなった様子をお届けします。

京都府北部。
滋賀県に接する芦生天然林。

ガイドさんなしでは立ち入ることのできないその場所に、ガイドツアーを申し込みのりこんだのは11月も中旬。
いつもならば、紅葉も終わりを迎えているはずの時期ながら、山々は美しい情景を見せてくれる異常気象のたまもの。

嬉しくはないものの、車窓から覗く景色にしばしうっとり。
山はいいですよねぇ・・・・

基、今回は業界の勉強もかねての天然林です。
芦生の森は、一度は見ておくべきと称される植生を持つところ。
標高差とその土地柄から、様々な植生を見ることのできる、近畿では稀有な場所なのです。

材木屋さんが何故天然林に？！という理由は後述しますが、とにかく気持ちいい。

この枯葉を踏みしめる「カサカサ」という音。
そして、少し冷たい空気。

冷えるという冷たさではなく、心地いい冷涼感。
山中特有なんだと思います。
山の木々の発する空気と、肌で感じる気温や風、そして聞こえる音や陽光と香り。
すべてが季節を表現し、五感に伝わってくる。

これが森林の持つ力。

参加者の皆さんがどのように感じたかはわかりませんが、材木屋が扱う木材の始まりはこのような山であること・・・・

あ、すこし嘘でした。

こんな山から出てくる木材を扱うことは稀有。
一般的な材木屋さんで常時扱うのは、植林人工林のスギヒノキ。

なので、実は日常見る樹種とは全く異なるんです。
しかし、それが学びの原点。

広葉樹を扱うことは少なくても、紅葉する広葉樹を見ることは日常。
その幹の表情や葉、そしてその特徴を見ながら進む森林は、非日常。

普通に見えるスギ林も、日常に森林へ行くことのないメンバーにとっては新鮮。
しかし、ここで見るべきは同じスギでもいつもとは違うスギ。

その名のもととなっている芦生の森。

アシウスギといわれる、特徴的なスギが茂る森林は紅葉以上の勉強の場。

当日は、そのアシウスギを担当が解説しながらの場面を想像していたものの、敏腕ガイドさんの流ちょうな説明に聞きほれている間に詳報できず（汗）。

先頭を歩くガイドさん。

某アイドルグループの元センターを務めた方と、全くの同姓同名という、通称「日吉のあっちゃん」がみんなのペースを見ながらも、見どころを逃さず引き込んでいくガイド話術に皆感嘆。

のぼりがキツイ、と言われるコースでしたが年齢制限ギリギリの諸先輩がたも、なんなく登れるのはおそらく「あっちゃん」の話術とペース配分のおかげ。

今回の企画は、人工林ばかりに目が向きがちな木材利用の立場のメンバーに、天然林の様子を感じてもらうことが一つの目的で、一般の方の場合にはその区別はないのかもしれない場面でも、ところどころに見える特徴的な景色を見ながら進みます。

人工林の場合は、ことさら暗くなる林内や間伐ということにばかり集中してしまいますが、それが天然林ではどのような景色なのかを、改めて感じる場面です。

クマの痕跡などを確認しながら、少なくとも100年ほどはほぼ人の影響を受けない（人為的介入がゼロではない）この特異な場所が、どのような植生でどのような木々が生息しているのか。

木材になるかならないか、ではなくて天然林の姿とはどのようなものかを学習するには絶好の場所だったと思います。

中には、一般的には自然の象徴というか、水資源をはぐくむ象徴とされるブナの林などもあります。
ブナ自体は極相化する場面であったり、比較的冷涼な地域の印象がある樹種ですが、京都府でありながらも標高差が大きく植生が豊かな場所では落葉により陽光を享受できるアシウスギとともに共生している姿を見ることができます。

材木屋さんの一部では、ブナも耳にすることですが日本のブナを木材として活用する場面は非常に稀。
そんなこともあり、立木のブナを見る機会も少ないメンバーは、非常に興味深そうにしていました。

戦後の植林で「山が使える」状況になったとか、二酸化炭素を吸収固定しながら肥大生長が早いエリートツリーなどとはことなり、人の思惑から一世紀ほど離れた存在である芦生天然林。

何もかも自然が一番、ではなく自然のなかで100年経過するということの現実を見ることのできる機会。

担当がどうして同業仲間に天然林を感じてほしかったのか。
それが凝縮している景色。
人工林を利用する、というような一辺倒な考えとは異なる考え方をもっている材木屋さんを増やしたい。そんな想い。

そんな天然林トレッキングの中でも一つの見どころがここ。

林内で最大のカツラだそうです。

担当の中では巨樹というサイズには到達はしていないものの、立派なカツラ。
それに、お手本のように美しい沢のほとりにたたずんでいます。

これをもって、水の好きなカツラの生態も知ることができますし、この生育環境こそがこの樹体をはぐくんでいるのだということが、大きな学びになるんです。

まっすぐと育成されたスギではない、落ち葉の中の巨樹。

この空間の空気感が、果たして伝わっただろうか・・・

敢えて、そんなことまでは口にしませんが、きっとこの音や冷たさや明るさなどが、参加の皆さんの心に残ったはず。

普段は目にすることのないカツラの巨木を目に残し、帰路に就くトレッキング。

早朝からの行程はあっという間。
皆さん、満足の秋の山行き。

材木屋さんが天然林に足を運ぶのは、人が支配したものが自然ではなく、人の手が入っているものが木々ではなく、また人がかかわるものだけが木材ではなく、そして人がかかわらないものだけが自然ではない。

関わらない場所がどのような姿を見せ、自身の木材としての人生にどのようにかかわるのかを考える。
関りがないと思うことも自由だし、何かを感じることがあるかもしれない。

人がかかわることがないということを、はっきりと認識できる場所をガイドさんと行くことができる経験は、日常では味わえないこと。

それが商売に生きるかではなく、知ることの意味を感じてもらうためのツアー。

針葉樹扱い中心の材木屋だからこそ、敢えて紅葉の広葉樹林を歩く。
そして天然林を学ぶ。

その意味を、少しは具現化できたツアーだったかと思います。
天然林に学ぶ材木屋。
そんな人が、少しづつ大阪にも増えているんですよ(^^♪

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2024年11月25日

戸田先生と愉快な仲間たちの伐採授業 2024年度、開校！

今年もやってきました、この季節。

寒くなってきましたね。
弊社にとってはようやく、山本番の季節。
そう、戸田先生の季節です（笑）。

夏に大阪研修を済ませた飛騨の赤松が育てる、森・人・伝統建築企画。
冬からは新年度の開始です。

というのも、伐採授業がメインになる冬は、今年進級した2年生の参加もありまた新たなスタートになるからです。
それに伴い、毎年11月に企画を知らない生徒さんに向けて、伐採の事前授業の中で企画の趣旨説明もするのですが、これにはいつも心新たになりますね。

例年よりも、若干多い生徒さんに囲まれた授業当日。
企画趣旨とともに、企画の始まりとなった赤松のお話をします。

当初との変化は、より一層に森林遷移のお話をするようになったこと。
活動当初から目指してはいたものの、敢えて多くは語りませんでした。
企画当初、地元新聞社さんには熱く語ったものの一文字も想いを記載してもらえなかった（どころか、収奪しに来た、くらいの勢いだった・・・）思い出がありますが、その時からずっと思い続けている森林遷移と森づくりについて、今年は一歩進めるべく、仲間たちと話ていました。

人のかかわる森林遷移は、簡単そうですが意外と簡単ではない、前例の少ない、もしくはないものになるはず。

その舞台として、経済性に大きくは左右されず毎年きちんと変化を追えるステージとして、とてもありがたい場所でもある演習林。

今年の舞台は例年とは異なる、ヒノキ若齢木林。

生徒さんの調査では、土壌成分が痩せているところにある程度の密度でヒノキとそれ以外の広葉樹と、実生のものが生えてきている状態。

ここを、目標をもって誘導していく森にする。
単一的な考えではない、多様な森づくり。

まさしく、森に関わることになるのですが、もちろん伐採もします。
その利用も考えます。
伐って変えていくのです。

そのことも含め、思いを伝えるのが事前授業。

一般的な模範伐採とは別に、特殊伐採のお話もします。
例年伐採しているのは、少数の広葉樹と多くの赤松や曲がりのヒノキ。

一般的な伐採技術だけで済むものはほとんどありません。

しかも、曲がりを活かすことや伐採時に考えることなどは、経験を積んだ人間にしかわからないこと。
それを仲間が解説してくれる座学。

森林遷移や森に対するアプローチなどは、私の思いはもちろんですがこちらも別の仲間がしっかりと伝えてくれます。

特に、針葉樹の林業地とは異なる森づくり。
前例のないことに取り組む楽しさなどは、仕事にも生きる経験になります。

伐採の12月まで、もう少し内容を詰めていきます。

帰路につく頃には、朝よりも3℃も低くなる気温！

冬本番の伐採日は、久しぶりに積雪となるかどうか。趣味のスキーのこともあり、雪が恋しいものですが、今年も無事に伐採授業ができるように、今から心待ちにしています。

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2024年10月20日

試験書を出してください、って・・・

過日の公共建築物の腐朽の話題ではないのですけれど・・・・・

最近は、施工者と設計者の溝は埋まりつつあると思う。

いきなり何を言うのかといえば、昔は結構分断が激しかった建築業界。
設計者は現場を馬鹿にし、施工者のいる現場は設計者を卑下する。
担当の周囲ではお互いに、「あいつらは分かっていない！」と言っていた。

いや、確かに昔の設計者はわかっていない人がたくさんいた。
建築士試験には合格し、平面図と立面図くらいの作図とデザインは出来、建築確認申請作業ができる人がたくさんいた。

でも木造住宅のことや、まして木のことなど全く分かっていなかった。だから、熟練の大工さんほど設計者を毛嫌いした。
設計者も、いうことを聞かない現場を馬鹿にしていた。

今では少なくはなったけれど、やはりちょっとはその片鱗を感じることがあるのです。
その一つをご紹介して、木造住宅と木を知るにはプロでも時間がかかるということをお話したいと思います。

話の前提として、無垢材の欠点の一つは何かわかるでしょうか？

それは、強度が不明であることです。

いや、破壊試験でもすればもちろんわかるのですが、破壊しては使えない。
それ以外の方法でも推測はできるものの、その推測がすべてに当てはまらない。
樹種ごとによって違うだけではなく、同じ樹種でも地域や生育などにより千差万別で十把一絡げにはできない。
一本ずつがすべて異なるのです。

そこで登場するのがエンジニアリングウッド！、通称EWです。
「イーダブリュ」といえば集成材（これもわかりにくい言葉・・・）を指しますが、ここでは便宜上は建築に使用する梁や桁に使用されるもの、としておきましょう。

その集成材であれば、 E95-F315 などと数値表記がされています。

これが、集成材は強い！とされる根拠の一つ。
不定期発行している紙媒体である、木のビブリオ通信の第一回でも取り上げた話題ですが、無垢材は強度に非常にばらつきが大きいけれども、集成材はそのばらつきがなく平均的に強度を確保できる。
優劣がほとんどないのです。

現在の、いい意味で競い合うことない世界のように均一（汗）。

おっと、脱線しそうです。
集成材の強度のお話ではなく、今回設計者から求められたのは、意味の分からない要望だったのです。

「材の試験書を提出してください。」

それだけ。
無垢材使用を明記され、集成材ではない無垢材を使う構造物に対してそれだけです。
もともと指定されていた材料は、杉のJAS規格材。
それに対して、JAS（日本農林規格）の基準を満たしていればいいのか、それとも強度指定まであるのかを確認したいこととともに、納期がタイトだったために間に合わせるには材料転換の必要がある旨を伝えた時の返答が上記だったのです。

むむう～・・・

無垢材に試験書。
JAS材であればヤング係数は表示されます。
が、一般木材にはそれがありません。
今回は、JAS材が必要なのかそれとも補助金の関係でJASと記載しているだけなのか、若しくはスギを使いたい（国策、補助金、いろいろとあり）理由がわからなかったわけですが、試験書を要望されました。

杉以外でも、JAS材であれば曲げヤング係数の数値表記はありますが、それが必要なのか？！
なぜだろう。
今回おすすめしたのはベイマツJAS材でしたが、どう考えてもスギよりもベイマツの方が強度的数値は秀でるはず。
皆さんの中には、材木屋のくせに日本のスギをなぜすすめない！？と考える方もいらっしゃることと思いますが、求められていることが不明なうえ納期切迫、またプレカット加工のため材料決定後の確保の流れ（加工工場により入手に時間がかかる場合があるなど）からしても、そしてなにより強度を求められてもクリヤー出来る可能性が高い選択肢として、ベイマツなのです。

外国産材が悪いのではなく、すべての条件に対応できる準備をする選択肢の一つ。

もちろん、結果はベイマツJAS材でOKだったわけですが、最後まで何を求められての材指定かは不明のままでした。
過日の公共建築での隈研吾氏は、木材が弱いことや腐ることを克服した材料として、素材を選んだ結果でしたが、今回はその意図もわからないという始末。
ある意味いつもの事ではあるのですが、変わらない業界。

もちろん、お互いの距離があること、勉強や意思疎通の機会が少ないということもありますが、反対に情報過多で取捨選択しづらいということもあるでしょう。
同じことを思いますがやはり、「木材はダメだ」と思われたくないですし「木材は分かりにくい」というままではいけないと思います。

数値で分かりやすく、ではなくもっと生物材料として考慮するべきことを、分かりやすく伝えること。
それが非常に難しいから変わらないのかもしれませんが、材木屋に行って話を聞き、触り香りを嗅ぐことや、森林で多様な学びの機会を得ることも有効だと思います。

弊社は次代のために、高校生にその機会を作るべく伐採授業をしていますが、その取り組みも広めていきたいところ。
ある意味、ブログを始めて今でも継続しているのはその情報発信でもあります。

知りたい人と発信する人がつながる機会。
その場を造り、意味の分からない木材利用から早く脱出したいと日々考えています。

きのむしラジオを通しても、生の声での発信をしていくつもりです。

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

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