本物の無垢木材　～茨木市戸田材木店・セルバの木の虫ブログ～:2025年10月

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2025年10月

2025年10月28日

間伐材と無節材　～間伐材って？　①～

市産材で、しかも間伐材で無節材を納品する。
この材木屋が驚く非常に厳しい不可能に近い指定は、なかなか分かってもらえないかもしれません。

日本中の森林を手入れし、「木材利用のサイクル」を回すために間伐して利用すべきだから、間伐材を使うことが重要。
そう思うでしょう。

因みに、担当は必ずしもこの「サイクルを回す」という言葉と理念と現状には賛同していませんが、それ以上に間伐材とは何かということを考えることなく、イメージだけで伝えることにより非常に納材のハードルを上げていることは、理解されにくい真実です。

そもそも、間伐材はもったいないものと思っていませんか？
「伐られてしまったもの」だから、使わないといけない。

たしかに、それもあります。
しかし、なぜ伐られてしまうのでしょう。
第一には、残して育てる木を優先させるため。
若しくは、残さないように選別されたものを取り除くためや森林に光をあてるため。

だから劣勢の木を選んで伐る（という思考になる）。
そうすると、間伐された木から製材された木材はどのような状態でしょうか。

大体は、直径が小さく節が多く曲がりがある、木材でいうところのあまり良質なものにはならないものばかりが搬出される。
そりゃそうだ。
劣勢、劣るものを伐っているんだから。

その間伐材を製材するとどうなるか。
死節といって、板や角にすると穴になってしまうものや、虫穴、変色があり、曲がりや反りが大きくねじれや割れを生じることが多い。

商売として製材や木材販売をしていると、そのような材はどう思うでしょうか。
また、実際に使う立場だとどう思うでしょうか・・・・

材木屋さんはクレームの嵐、取替続出で商売になりません。
製材所も不良品といわれるものを販売できず困ってしまうでしょう。

およそ、そんな感じなんです。
だから、一般的にイメージする間伐材と「木材関係者のイメージする」間伐材では、考えることが異なるのです。

但し、上記は「サイクルを回す」場合の間伐材。
実際はどうかというと、そればかりではありません。

しっかりと手を入れられた森林からの間伐材の場合は、全く異なります。
間伐といっても、十分に生長し枝打ちを受け、良質な木材になるものもある。
それでも、主伐皆伐でなければそれも間伐、ではないでしょうか？

用語というのは非常に便利で伝わりやすい共通言語でありながらも、少し間違うと全く異なるものとして流布される危険性もあります。

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タグ：: 間伐材; 茨木市産材

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2025年10月25日

間伐材と無節材

ご注文、ありがとうございます。

現在、わが茨木市産の木材を使った製品のお仕事を二ついただいています。
その二つに共通している条件は、茨木市産材ということ以外に「間伐材」であること。

うん、いい響きですね。
間伐材は森を育てるために切られた木材だから、有効に利用するべき。
間伐材を使えば、その地域の森林は整備され明るい森になっていく。
間伐材を使うことは森を守ることにつながる・・・・・

そう思いますよね。
間違いではありません。
しかし、上記の概念にとらわれすぎていると使える材料も使えなくなる、いや流通しにくくなる、と思うのです。
流通はするかもしれませんが、必ずしも間伐材ではないかもしれない。

なぜならそこに関連するキーワードがもう一つあるから。
それは「無節材」。

読んで字のごとく、節が無い木材のこと。
人工植林地から産出される木材の中には、丁寧に育てられたものは節のない木材となります。（もちろん一本の木からは節のある部分もできる。これ大事！）
それが無節材。

そして今回のご注文の条件も、茨木市産で間伐材且つ無節材。
日本語を分かりやすく言うと、茨木市で間伐された木材の中の節のないもの。
そんなこと、言われなくともわかる！と怒られそうですが、では現実的にこの木材を入手することができるかどうかと問われるとどうでしょう。

材木屋の答えとしては、限りなく impossible 。
もちろん、沢山の中から一つだけというのであれば話は別ですが。

どうしてそんなことができないのか、と思われるでしょうか。
その理由はいくつか複層的な問題を紐解いていかねばなりません。

まずは茨木市の林業。

いや、林業といわれるものはほぼありません。
森林整備は一部行われていますが、一般的にイメージする林業ではありません。
林業ではない、ということは流通していないということに等しい。

そして無節材。
流通していない市産材のなかから無節材を作り出すことはもちろん不可能・・・

そして、市産材で何より不可能なのは、間伐材で無節材を作り出すこと。
それに関しては、次回お話したいと思います。

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タグ：: 間伐材; 茨木市産材

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2025年10月22日

林業の積み重ねもノーベル賞もの？

今年も、ノーベル賞を日本人が受賞されましたね！
若い時はそれほど関心のなかったノーベル賞。

偉い先生が世界で賞をもらう。
その程度のことでした。

でも、今なら少しは理解できます。そのすごさ、重要性。

とはいえ、はっきり言って研究の成果や難しい理論など説明できるはずもありませんから、拙ブログで取り上げるのは内容ではありません。
先の日曜日、ニュースバラエティー番組を流しながら仕事をしていた時、某コメンテーターさんがおっしゃった言葉が大きく胸に刺さりました。

「この受賞は、30年前に基礎研究を奨励した成果でもあると思います。（中略）そう考えると、現在の政策で30年後のノーベル賞受賞はあるのかどうかが気になるところでもありますよね。」（生放送のうろ覚えです。）

どうしてその言葉が「刺さった」のかというと、現在の森林林業政策や木材利用方針が、30年どころか70年前の貯金の食いつぶしのように感じていますし、現在の政策により30年後の森林は（材を目的とした場合に）収穫できるものがないのでは？！と感じるところに、心配になる共通点を感じたからです。

担当の誤解や取り越し苦労であればいい、と思うのですがどうも心配でなりません。

ものごとの基礎や本当に必要なことを無視して、効率や目先のことにとらわれがち。

化学や物理学にしても、実用的研究には費用を充てるものの、基礎的なものにはなかなか充てられない。
今回の受賞も、ずっと積み上げられながらもなかなか認められなかったもの。
継続してこられたからこそのはず・・・・

現在、スギやヒノキの優良な木材を得られるのは今まで長期間にわたり、管理し手を入れて関わってきたからこそ。
育てた50年以上の歳月ののたまものだと思うので、現在潤沢に使う事ができても、あるうちに尊べの精神でなければ次の世代に森を木材をつないでいくことができません。
そんな危惧もあり、材木屋が森に関わることも始めている先日の記事。

ノーベル賞の30年ごと木材利用また、森林の30年後を重ねて見た休日のニュース番組でした。

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2025年10月19日

ナラ7m一枚物カウンターと、トークに萌える出逢いは必然！

弊社の特徴。
それは、街の材木屋としては豊富な在庫と、それにより実物を見ることができる場所があること。

それは裏を返せば「場所の無駄」という諸刃の剣でもあるのですが、現在では一部の業態でしか見られない在庫を持つということにこだわった形式で生きていくことの決意でもあり、そして創業者の「在庫して、ちょっとだけ質のよいものを売る」という理念の続きでもあります。

ちょっとだけ、というのはまだ木材物資が潤沢ではなかった戦後木材流通事情にも関係しているのです。
木材流通の統制があった時代を挟み、市場での流通が仲買人により行われていた時代（現在のように一般小売のスーパーなどでの木材入手はできなかった）や、日本の木材の枯渇直前の状態による資材不足の時代に、その当時から全国の産地とのパイプにより直接買い付けを行い、そして在庫をするというスタイルを確立し、乾燥材のない時代に、在庫を少しでも乾燥させて販売するという理念を立てていたと聞いています。

今考えてもすごいです。

担当も、全国からの仕入れや在庫を続けえけていますが、それが80年近く前に確立していたところは想像ができません。
しかし、それを受け継いでいるからこそ今でも多くの在庫を抱えているのです。

さて、そんな在庫があるからこそ出逢いもあるわけです。

今回の案件は6mのカウンター材。
それも若干白めの木材でヒノキ以外のもの。特に広葉樹で・・・・

なぜか最近、長尺もののご依頼が多いのですが、さすがに今回は難しい。
以前は在庫していたトチも、近年の価格高騰で長尺や幅広など在庫しておける金額ではなくなってしまいました。

幅広で長いものもとれる最有力候補のトチがない・・・
必要寸法は6m×600mm幅の一枚物・・・
さて、どうする？
と考えた最終兵器、というかこれでいくしかない！のがナラ。

なにせ6mで通しのカウンターで、きちんとした高級店ということなので節だらけとか虫穴が、というものは出せません。

ここで、「へぇ～・・・」で済ませてほしくないんですよ！！（汗）
木材に詳しい同業者なら感嘆の声があがるはずの、ナラの一枚物の7m材なんだから。

何がすごいかって？
今までに、ナラ幅広厚板のコラムでもお伝えしているように、ナラ材は板目が非常に割れやすい樹種です。
しかも、タモのように枝下高さが長くないために、長尺の節無し材をとることは非常に難しく、特に国内では太い原木も柾目製材されることと、そんな長さで製材しておくことはない、いやそんな原木は天然記念物を製材する以外は存在しないはずだからです！！！！

本当に貴重、いや希少というかもう今後は絶対にありえないシロモノなんですよ！
分かりますか、この興奮！
とにかく、もう二度と無いようなこのサイズのナラの価値が伝わるかどうかが心配でしかたない（？！）んです。

写真手前、カウンターの上に置いているスギ板は2m材。
分かります？！この長さ！！

そのうえ、7mという長さなのにほぼ反りがなく、さらに乾燥による陥没やヘビ曲がりもないという、スーパースペシャル品！！！

筆舌に尽くしがたいとはまさにこのこと！
それを、ご要望の建築士さんにお伝えするのですが、担当が萌えすぎて正しい日本語が出てこない。
とりあえず、材は見ていただき納得はいただけましたが採用やいかに・・・・

ナラのお話は伝わったかどうか不明ですが、そんなアツい弁をふるう担当を、同行の大工さんが見ておられました。
「こんな材木屋さんがいるなんて・・・」というお言葉とともに、そのアツい想いを受け入れてくださいました。

そんなことでお話をしていると、「○○さんから、戸田さんのお話を聞きましたよ。」とおっしゃる。
ん？！○○さん？、あの○○さんですか？

なんと、数年前に知り合ったもののなかなかその後の出会いがなかった人と、今回同行の大工さんが非常に懇意な仲だとのこと。
驚きました。
これぞご縁。

担当のモットー、「出逢いは必然」。

とある忘年会の帰り際、名刺交換のみで終わったその人に、最近やっと会いに行くことができたのに、その方の親しい知人大工さんが今日、目の前に。

こんなこと、あるんですね。
本当に驚きました。

今後、いろいろとまたお話できるような機会をいただき有難い限り。
また素敵な現場への納入機会が増えそうで、楽しみです。

7mの希少なナラがつなぐご縁。
以降も続いていくことを期待し、もっと在庫を増やしていこう！とはにかんだ担当でした！
（基、もう置くところないので、皆さん買いに来てください・・・・・）

タグ：: ナラ; 楢; カウンター

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2025年10月15日

今年の取り組みは、育成木施業への模索第一歩

森のことなんてわからない素人が、偉そうに。

趣味で森に入られているんですね、それは気楽なことで。

材木屋のくせに、山の事を語るな。

自分で作業もしないのに、森林林業を語るのがイライラするんですよ！

今まで実際に受けてきた、貴重なご意見。
正直、めちゃくちゃへこむんですけれどね。

弊社は街の零細材木屋です。
もちろん、自社の山等あるはずもなくまた、森林施業を行っているわけでもありません。
しかし、森と樹木への想いはしっかりと持っています。
その想いで森へと関わっているつもりが、受け取り手によっては冒頭の様な事を言われる場面にも遭遇します。

しかし材木屋として今、小さな範囲の森に関わることができる方法で、自身の想っていることをすすめることが、50年・100年後に少しでもその時代にあった多面的に良質な森林になっていることを願って行動しています。

それが、「飛彈の赤松が育てる、森・人・伝統建築」企画。
通称、「戸田先生と愉快な仲間たちの伐採授業」。

授業としているのは、一緒に活動するのが高校生だから。

環境や森林林業、土木等を学ぶ生徒たちと一緒に森に入り、学校では教えてくれない立木伐採の方法（特殊伐採や広葉樹伐採など）や木材活用と流通、そして肝心な森づくりに関すること等を、毎年続けて学習の時間をつくっています。

材木屋が伐採、というと利用の為の主伐というイメージになる（実際、新聞取材でもそう書かれる）かもしれませんが、それとともに目指しているのは森林遷移。
成熟したある特定の樹種や、生長の過程で森づくりのプランからはずれるような樹木をメインに伐採し、森林の状況を人の手を少し入れることで変えていくこと。

実生の力で森が変わること。
その遷移という仮定に、少しだけ人間が関わり、そしてきちんと伐ったものを活用する。
そんな活動です。

その森林遷移を目指す活動に、今年からは「育成木施業」という観点が加わります。

非常に難しいテーマです。
また、「中途半端な事を言うな。お前にできるものじゃない！」と批判をうけるのを覚悟の上で、伐採に入らせてもらえる森を、伐採の後のことまで考えていく方法として、育成木という考え方を導入したいのです。

それに、材木屋単独ではなく、協力してくれる森の仲間がいるからこそできること。
皆で成し遂げる授業と育成木の実践。

戸田先生とゆかいな赤間たちの伐採授業 2025

もちろん、その成果はここで報告することはできないかもしれません。
正確な答えは、私が死んで以降のことになるはずですから。
だから、きちんと記録を残しながらすすめていくのが、課題の一つ。

とはいえ、数年前に関わった場所が驚くほど萌芽していたり、日表になる場所の生長がかなり旺盛だったりということは見てとれるので、継続して関われるフィールドがあることが非常に有難いことです。

継続して同じ場所を観察できる、ということは非常に重要。
変化を確認できるのですから。

今年をスタートとして、経済的伐採も同時並行しながら森林の変化をおっていきます。
経過はお伝えできると思いますので、「零細材木屋が夢見る育成木施業」の取り組みをどうぞ応援して下さいね！
（想いのある方による、活動で出て来る原木の活用等も大歓迎！もちろん、立木からの伐採購入も！）

こんなに森に関わりたい材木屋、いないと思うからもう少しあたたかく迎えてほしいんです、森林関係のみなさまへ(-.-)・・・

（定点観測地点設置）

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タグ：: 戸田先生とゆかいな仲間たちの伐採授業; 育成木施業; 飛彈の赤松が育てる; 森・人・伝統建築

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2025年10月12日

いつでも森は、ひとのため・・・

秋が感じられる気がしますが、いかがでしょう？
猛暑酷暑残暑と、ちょっと過剰なほど暑さを煽るような報道に違和感を感じている担当。

確かに、今年も日差しは超厳しかったです。
けれども、朝晩は9月の早いうちから涼しくなりました。
扇風機生活の担当が言うのだから間違いありません（笑）。

前置きはさておいて、秋が深まるにつれ報道も多くなってきたのが熊被害。
人的被害も多く伝えられてきたために、秋の熊活動期に向けての注意喚起もあるのでしょう。
特番まで見かけます。

と思っていると、過日に新聞コラムの記事にも熊のお話を見つけました。
が、そこにあったのは少し違和感を感じるお話。

熊出没の原因はどんぐりの不作。
そういわれるのが当たり前になっていますし、一時期はブナを守ることが熊を守る事にもなると、熊保護とブナ（の実）保護を訴えられたりしていました。
分からなくもないのですが、ステレオタイプな原因付け以外にもいろいろと理由はあるはずで・・・

今回記載があったのは、「スギなどの人工植林が森を変え、ブナやカシが育ちにくくなった」という記述。
一見、もっともらしい。
確かに、針葉樹人工林ではドングリは出来ない。
ブナ（類）もカシ（同）も一緒に育っているイメージが無い。

しかし、針葉樹人工林は単一か若しくはスギとヒノキの混植など、通直な針葉樹を育てることに特化した森林が多い。
そのため、基本的には広葉樹であるブナなどはほぼありません。
あってはならない、と言った方がいいのかもしれません。
除伐される上に、そもそも森林の目的が異なります。（混交林、将来木施業などは別）

また、意外にかんじるでしょうが人工林にも熊は出没していて、人工林が荒らされる被害が多く、その理由（木の皮をはぐだけではない、ほかの理由）を研究されていることも以前に目にしました。
人工林ばかりだから、必ずしも街中に現れるわけではないことが一つ。

それと先に例外視した人工林でも施業によってはブナ類が共生する場所もあります。
ブナ類の仲間は遷移後期種と言われる、成熟した木が多くなる森にも生きていけるものですから、混交する場面もあります。

人工林だからブナ類が「育ちにくくなった」ことはないんじゃないか、と肌で感じます。
弊社の活動フィールドである森にも、広葉樹の稚樹が沢山出てきている上に、そのような人工林の場合はギャップができると、ミズナラもすくすくと育ってきています。

確かに、人工林は森の姿を変えたかもしれません。
しかし、現在の「浴びるように木材を無駄遣い出来る（と材木屋が感じる）」豊かな緑の森になったのは、人工植林のおかげ。
現在も、「植えて伐って使って植える」の「サイクルを回しましょう！」と言われますが、この熊問題を考えてみると同じことの繰り返しでいいの？と思ってしまいます。
そもそも、今サイクル回ってるか？！とも・・・

ステレオタイプな答えではなく、多面的にとらえた場合にそれぞれにどのような現象があるのかを考えて、熊問題にも対処していきたいものです。
（アーバンベア問題は悠長にしていられませんが・・・）

何にせよ、人間中心の考え方から少しは森や樹種や動物を中心に考えてみることが必要。
森は、人間の為だけにあるんじゃないですからね。

森では競争も多いけれども共存もある。
叡智を極める人間だからこそ、もっと森とその生き物から学ぶことは多い、と思うのです。

いや本当にお伝えしたいのは、この連日の熊報道のせいで家人より「巨樹探訪を控えて！」と言われることに困っていることが、今回の熊報道を否定する（笑）ブログのきっかけになったことは、公然の秘密です・・・・・・

（写真の一部はサンデーモーニングニュースより）

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muku_mokuzai at 12:18│コメント(0)

2025年10月08日

里の景色は変わったか？　～尾開のクロガネモチ～

先入観。
それは本当に人の気持ちや考えを左右するものだと感じます。

巨樹探訪においても例外ではない、と感じます。
そして、それが良い印象を与える場合も数あります。

失礼乍、今回の訪問地は当初「とばして」行こうか、とさえ考えていたところ。
休日乍も仕事も兼ねた時間的なスケジュールの中で、いくら計算しても時間が足りない。そう考えて、当日の朝まで悩んだ所。

ところが、所用が思いのほか早く済んだことで今回の邂逅となったのです。
「巨樹」というのですからやはり、その幹周りの太さに感激することが印象に残る第一の感覚ではないか、と思うでしょう。
担当ですら未だにそうなのですから、間違いない筈。
しかし、だからこそ意外な出会いに感激するのは、その風景といでたちの美しさでした。

香川県との県境の山すそ、徳島県の北の阿波市に目当てのクロガネモチが存在します。
クロガネモチ自体、巨樹という言葉に相当するものを想像しづらいのではないかと思います。
庭木などに見られる樹種なうえ、木材としてなど見かけることが無い（弊社にはありますが・・・）ですから、太い木自体が存在しないように思えてきます。

もちろんスギやクス、イチョウのようなスケールの物は存在しません。
それを知って甘く見ていた私。

出逢ったその景色に感激したのは、暑い夏の最中だったこともあるのでしょうか・・・

抜けるような青空、とはこのことか・・・
正面中央のクロガネモチを中心に、空の青と雲が収斂されていくようです。

田んぼと空き地に囲まれ、遠くを見通せる場所に佇む尾開（おばり）のクロガネモチ。

注意していれば気が付くのでしょうけれど、マップに気をとられていると目の前が開けるまで全く気がつかず、その立地に目を奪われてしまいました。
その理由は冒頭にも書いた通り、期待以上だったから。

なぜなら、クロガネモチの幹周りは2.95m。
はっきり言って、巨樹には該当しないサイズ。
しかし、数値で判断してはいけませんね。

訪れたのは盛夏。
燃えるような暑さの中でしたので、陽光が影をつくり周囲が明るすぎるせいで、幹が非常にわかりづらいのですが、単幹でスラっと伸びた端正な姿にはうっとりしてしまい、しばし見とれてしまいました。

幹周りの迫力とは全く異なる、美しさに見とれることはそうそうありません。
もちろん、同じ徳島県が誇る「加茂の大クス」のように、巨大さと美しさを兼ね備えたものも存在しますが、圧倒的な迫力のない端正さの魅力はこのクロガネモチにあります。

痩身の女性モデルさんの美脚のよう、というといけないでしょうか・・・
たとえの良否は個人の想像ですので、スルーしていただきたいのですが、とにかく美しい。

そして、美しいのは幹とともに広く張り出す枝。

ところどころに瘤のようなものがあるのは、おそらく強風での折損でしょうか。
しかしそれ以外の枝が、これほどまでに旺盛か！というほどに四方八方に伸びています。

これは周囲に遮蔽物がなく、そのうえ競争相手もないために全天光を受けてのことでしょう。
競争相手がいる場合は樹高ももっと伸びたでしょうし、散乱光などを得る方向に向いていたかもしれませんが、幹にねじれも見られず本当に端正。

「枝分かれ」とはこのことか、とも感じる枝からまた枝が出ることで、クロガネモチの樹下では厳しい陽光が遮られ、非常に心地がいいのです。

しっかりとした葉は大きな木陰となり、そしてそこに風が流れてくるんです。
エアコンのような、冷たい風ではありません。
適度に湿り気もありでもカラッとした自然の風。

夏なのに湿っているわけないだろう！！と思ったあなた！
そうですよね、おかしいですよね。
しかし、担当が感じたのはおそらくクロガネモチの蒸散作用による気化熱自然冷却に風が流れ込んだ、まさしく自然の空調だと思います。

もちろん、陽光がないだけで非常に快適なんですがそれ以上にすがすがしい風。

本当に気持ちがいい。
体感もそうですが、周囲にひろげるだけではなく枝垂れる枝の美しさよ・・・

写真ではおつたえしにくいですが、頭上から伸びた枝が垂れ下がりながらもまた上に伸びる。
そして、その枝越しに見る剣山系の山々。

五感が満たされるとはこのこと。
山中や河川のそばではないものの、巨樹が与えてくれる包容力というか感情の癒しというか・・・

本当にほれぼれしてしまいます。
そんなに感激するのはクロガネモチが雌木だから？！かもしれません（笑）。

クロガネモチは雌雄異株で、本樹は雌木。
一般的に見かけるものは、赤い実をつける雌株ばかりだといわれていますが、当地も例外ではなく。
所見の美脚の美しさもやはりそのためか・・・（笑）

人に例えるかどうかは別として、樹下で包まれるような感覚はやはり、男性の担当からすると異性にあたる女性的、と感じてしまいました。
これも先入観と自身の価値観によるものでしょうけれど・・・

さて、盛夏に訪れたのは担当だけではありませんでした。

はじめは気が付きませんでしたが、よく見るとありとあらゆるところにセミの抜け殻が。
幹には下部から上部、枝に至るまでそこかしこに。

中には、そんな上に行かなくても・・・と思うものがいたり、もしくは案内板の裏の板面にて羽化したものなどさまざま。
木を見て森を見ず、ではないですが巨樹見てセミを見ず・・・

都会では目にしない光景ではないかと思うと、遠くに眺める山脈とともに心の癒しポイントの一つだと感じます。

そんな感じでめちゃくちゃリラックスモードに入っていたのですが、休日とはいえ仕事移動中のスケジュール。
移動の時間が迫ってきたこともあり、しぶしぶいつもの巨さ比較へ。

日差しが弱まった瞬間にパチリ！

もしスギだとしたら見向きもされないであろう幹回り。
しかし、樹齢は400年だそうです。

地域の人たちとともに、阿波市の景色を見渡してきたクロガネモチ。
そうか、担当が包まれていたのは400歳の雌株。
そりゃ年の功で安らぐはず？！！ですよね（笑）。

擬人化はおいておいて、やはり当地は安らぎます。
人間の五感が如何に重要か。

訪れた時の空気、情景、温度、そして現地の人との触れ合いや伝承など。
様々なものが五感に響き想い出となる。

もともとは暖地に多いクロガネモチ。

これしきの暑さはものともしない！と言っているかは分かりませんが、木陰の優しさの遠くにみる景色は、いまでも忘れられません。

クロガネモチの裏は法面になっているために、残念ながら降りることは遠慮しましたので、アングルが限られてしまい、裏からの眺めも気になるところではあるのですが、十分にその空気を堪能させてもらって満足の訪問記。

ものすごく時間を使ってしまい、スケジュールが・・・

この後は急ぎ足以上の快速になったことは秘密です・・・

それほどに、帰るに帰られない心地よさを与えてくれた尾開のクロガネモチ。
幹周りのサイズに左右されず、一度は訪れたい巨樹探訪の仲間の一つになりました！

尾開（おばり）のクロガネモチ所在地
徳島県阿波市市場町尾開日吉571-2

駐車スペースあり
（路上駐車ですので、近隣の迷惑にならないようにしましょう）

緯度：34.1045272
経度：134.2852701

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2025年10月04日

ジェットストリーム芯対応！ノック式木製ボールペン木輪～kowa～樹種により在庫僅少です！

人気の偏りか、それとも人の偏りか・・・

哲学的、ではなくて思うのです。
弊社の木材で作られる指物酒器である誠昌酒㐂（せいしょうしゅき）もそうなのです。
そちらも現在、イチイとイタヤカエデ、そして楢虎杢が品切れとなり、啄木黄蘗（つつきのきはだ）が在庫僅少の状態。

とてもありがたいことですが、担当の想像に反してお求めの樹種が偏るのです。
今回は、好評のジェットストリーム芯対応！ノック式木製ボールペンの木輪～kowa～が一部樹種で在庫僅少となりました！
ありがとうございます。

木輪～kowa～は、ジェットストリーム芯が使えることを最優先し、また同時に超希少木は使用しないというコンセプトで、弊社在庫の中の木材のもったいない切り落としなどを中心に制作したもの。

なので、製品価格には希少性のプレミアム料金は加算されていません。
大量生産でコストダウン！ということができないため、お安くはできませんが担当の好きなもったいない切り落とし達が選ばれた木製ボールペン。

価格の内のほとんどは外注費。
弊社、内製化しようと思えばできますがそうではないんです。
作家さんにお願いすることや得意分野を持つ同業にお願いすることなどを通し、個々の個性やできる得意分野の仕事を残したい、という思いも載せて制作している本商品。

そんななかで、今回はお近くにお住いのお客様より「全種類購入したい！」という、誠にありがたくうれしいお声をいただきました。
おおきに！

で、それも含めて在庫僅少品が出てきてしまいました。

絹朴と台湾樟の二種です。
絹朴は女性を中心に人気があり、特有の手触りと色合いで好調な売れ行き(^^♪
台湾樟は、やはりその特異な香りと担当の「これ、めずらしいんでっせ！」の言葉が、迷う気持ちに刺さるようで、こちらも在庫僅少。

本当に、台湾樟は弊社では在庫がありますがもう入荷はしない有用樹種。
香りもよく、「古き良き」を感じます。

正直、ノック式の木製用ジェットストリーム芯は非常に高価（金属芯だからか？）ですから、木軸ということと、樹種自体の希少性で高価にすることのない、日常使用のジェットストリーム木軸ペンをこの手に、という皆さま向けなのですが、もちろんプレゼントにも採用していただいています。

現在まで、樹種コンプリートしていただいた方はいらっしゃいません。
今回のお客様が初めて・・・
もうすぐ、樹種コンプリートは（再販売まで）不可能に！

木軸ペンでは非常に珍しい、「ノック式」でしかもジェットストリーム芯（で、超銘木では作らない）にこだわっているボールペン。
変態材木屋のこだわり満載の商品、全て集めるには今しかありませんよ(^^♪

ジェットストリーム芯対応！！ノック式木製ボールペン木輪～kowa～は以下ページから！

・ジェットストリーム芯対応！！　ノック式木製ボールペン木輪～ Kowa ～第二期製作分発売します！
・戸田材木店謹製！ジェットストリーム対応！！ノック式木製ボールペン　木輪（kowa）～完成発売編～

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2025年10月01日

経済活動がすべてか、自動車に想う今は昔・・・

物価高・・・
いや、賃金上昇の一局面か・・・

今回はたまにある、車好きの車系のボヤキになることでしょう・・・（汗）。

先月の首相候補が賃金100万円アップとか、すごいことをおっしゃっていましたが、世の中どうなっていくのやら・・・
木材は物価の優等生と昔から言われてきました。
現在でもその通りだと思います。
経済に翻弄されることはあろうとも、こんなに優秀な素材があるでしょうか…

だって、今の自動車の値上がりときたら・・・
そりゃ、大手メーカーの賃金も上がるよね。
大衆車の代名詞であったシビックやカローラのスポーツモデルが、90年代のスカイラインGT-Rを凌ぐ価格だもの・・・（涙）

今では、ネットサーフィンしなくても最近はAIが勝手にニュース配信してきますよね。
担当の車好き、特にスポーツカー好きは公然の情報とされているようで、今回もニュースが配信されてきました。

うちの愛車はＨｏ〇ｄａやぞ！（現在のふがいないそれじゃなくて！）、と独り言を発したことは別として、懐かしい青春の車種のエンジンを再販するというではありませんか。
それもメーカーがアップデートして。

現代において非常に知名度と人気の高いAE86。

昔はローレル（なつかし～！月桂樹でっせ！）とともに免許とりたて走り屋の手の届くFRMTの代表格！でしたね～。
担当も、友人のAEでよく出かけたものです。
後部座席を取っ払い（公道では真似したらあきませんよ！乗車定員変更必要！）、本物のパワーウィンドウ（手回しパワー・・・汗）装備の鉄板丸出しのリアシートは熱々でとても乗れたものでは・・・・・・・・
基・・・・

そんな時代の車のエンジンをメーカーさんが再販してくれるなんて、所有者としては乗り続けられる希望の道。
担当の愛車も95年生。（生まれ、ね！）

どんどん部品がなくなり、ディーラー車検は（部品交換不可能で）拒否される始末。
時代の流れに取り残されたごく一部の意見とはいえ、寂しい限り。
いくらGTレースに参戦しても、そのGTレースカーのベースとなった車種と合わせたCMをうっても、ベースとなる市販車のファンを大事にしないといけないと思うのは、古い世代だからだろうか。

しかし、Ｔｏ〇Ｏ〇Ａさんは今回のエンジン再販。

あの90年代に夢を成就させた某メーカーのカタログの想いは今は昔か・・・

スポーツカーは売れないし需要もない。
業績に影響することは理解できます。
今まで、拙記事でも取り上げてきた（2015年に集中・・・）ように、担当のような自動車に夢を見た世代は置いてけぼりなのかもしれないが、残クレなどを用いながら、新車価格は高くなっても旧車ユーザーも拾っていこうという姿勢に、さすがの世界のＴＯ●ＯＴＡを感じてしまいます。

ディーラーが買い替えを進めてきたわが愛車を思うと、メーカーへの想いも冷めてしまう。

穴が開くほど、一言一句覚えるほどに読みふけったDC2Rのカタログ。
すぐに買えるはずがないのに、「これで彼女と・・・」と試算したS13。
固唾をのみ震え感動した7分56秒はいずこへ・・・

消費行動が変わる現代。
担当のような思いをもって自動車に触れる人は一握りからも漏れるのかもしれません。
しかし、自動車だけではなく若者から年配まで夢を見られるような自動車が欲しい。
輸入車ではなく国産車で。
手の届く価格で・・・・

無理難題かもしれませんが、所得が100万円増えるよりも手の届く、夢を見られる車が欲しい。
ワクワクのない現代に、あの時代のワクワクを。

ほぼ一強の中、ほかの日本の自動車メーカーの今後はどうなるのか。
そのきっかけは、もしかしたら再販にあるのかもしれない！、と夢を語るのは旧車乗りの独り言なのかもしれません・・・・

弊社も、夢を見てもらえる会社になれるよう、木材と森のことを届け続ける、ファンをつくられる会社になろう・・・・！

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

木ぃクン