本物の無垢木材　～茨木市戸田材木店・セルバの木の虫ブログ～:2023年10月

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2023年10月

2023年10月30日

旧家改修に、清廉な美しさ ~板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）幅広無垢一枚物フローリング床暖房施工~

伝統建築の旧家や古民家の改修のお仕事は、建築の勉強になるとともにそこに似合うフローリングをご提案する楽しみにあふれています。

以前に紹介した、ロックメープルの古民家改修もそうですが、スギの黒色塗装やとにかく針葉樹フローリングで和風感を、といったものとは全く異なる提案をすること。
それが楽しみなのです。

今回の旧家改修の主役もこちら。

ちょっと小さな玄関スペース・・・ではありません。
ここ、勝手口です。

めちゃくちゃ広いLDKスペースのキッチン部分から外へ出る、勝手口。
だから1mほどの幅なのですが、式台といわれる一段下がった板スペースがあり、そして三方に上り框。
全て無垢の一枚物。

印刷ではありません。
樹種はロックメープルですが、さすがに仲間だけあって、すんなりと板屋楓に馴染んでいます。

そう、今回の改修の主役は板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）の幅広無垢一枚物フローリングの中の、床暖房向け商品です。

当初から床暖房がご希望で、明るい色目をとの要望をきいていましたのですぐにおすすめしたのがこれ。

木目が目立たないカエデなのに、はっきりと表情が見えると思いませんか？
それは110mm幅の一枚物だから！

普通の床暖房向けはおおむね75mm幅。
その理由は、幅が広いほど木材は伸縮が大きくなるから。

床暖房という、熱をくわえられる環境下の木材には非常に厳しい状況で、出来る限り伸縮しないようにするには、幅を可能な限り狭くする方法が採用されます。
弊社も一般的にはそうです。

しかし、今回の板屋楓は乾燥方法にこだわり含水率を管理し、そして塗装でコーティングすることで伸縮を大きく抑制しています。

そのおかげで、本当に様々な木目と色合いを堪能する事ができます。

塗装の影響で、蛍光灯下では一部黄色っぽく見えるところもありますが、多くの部分は非常に淡い色合いで、端正かつ清廉な印象を受けます。
更にお伝えしておくべきは、その杢！

木目、ではなくて杢です。
銘木板などでは賞用されますが、今回は無垢フローリング。
フローリングに杢なんて、と思われるかもしれませんがこの板屋楓は凄いんです。

こんな泡のような杢や・・・

こんな縮み杢も・・・

旧家であり、広い今や居室に囲まれていて、さらに窓のある部分が北西側に位置する為に電気を消すと明るいとは感じないものの、この板屋楓の色合いと質感は、非常に明るさを感じさせます。

もちろん、杢の部分がキラキラ光るということもありますが、それ以上に全体から受ける印象が明るいのです。
無垢フローリングの定番である、オークも非常に雰囲気を持っています。

しかし、そのはっきりとした木目とは異なる柔らかさ、とでもいうのでしょうか。
そんな雰囲気を感じるのが板屋楓です。

とにかくその木目と色合いを感じてもらいたいと思いますが、二つほど、商品に関するご連絡。
幅広110mmですが、長さは910mmです。
一般的な1820mmの半分です。

それと、塗装はウレタン塗装です。
無塗装での供給は終了していますので、塗装品のみのご紹介となります。

その二点にご留意いただき、床暖房用の無垢フローリングの一枚物をご希望の方は、一度ご検討下さいね。

・板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）無垢一枚物フローリング90幅プルミエグレード施工写真はこちらから
・板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）幅広無垢一枚物フローリング130幅プルミエグレード施工写真はこちらから
・板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）幅広無垢一枚物フローリング130幅セレクショングレード施工写真はこちらから
・板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）幅広無垢一枚物フローリング130幅セレクショングレード分譲のおうちにも！の施工写真はこちらから
・板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）幅広無垢一枚物フローリング130幅ネイキッドグレードと無垢材あるれる施工写真はこちらから
・板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）幅広無垢一枚物フローリング130幅ネイキッドグレード施工写真はこちらから
・板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）幅広無垢一枚物フローリング130幅セレクショングレード大阪研修の家、施工写真はこちらから
・板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）幅広無垢一枚物フローリング90幅セレクショングレード、フリースタイルなおうちの施工写真はこちらから
・板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）幅広無垢一枚物フローリング130幅ネイキッドグレード、情熱溢れる大工さんの無垢材溢れる手づくりの家の施工写真②はこちらから
・板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）幅広無垢一枚物フローリング130幅ネイキッドグレード、情熱溢れる大工さんの無垢材溢れる手づくりの家の施工写真③はこちらから
・板屋楓（いたやかえで・ペインテッドメープル）幅広無垢一枚物フローリング130幅と150幅セレクショングレード、一枚物の贅沢なおうちの施工写真はこちらから
・カスクオーク150mm一枚物とネシアンチーク150mmプルミエグレードと、板屋楓の一枚物の無垢材のおうち！！はこちらから

＊板屋楓は、一部寸法とグレードで欠品が続いています。在庫も少なくなっていますので、一部入荷の予定がたっていない商品もありますのでご注意ください。

・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ

＊2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧　
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2023年10月26日

それが仕事の材木屋

先日、弊社のブログ記事をご覧になってのお問い合わせから、弊社へお客様がご来店。

いつもは、担当が名刺をお渡しするだけなのですが、今回はお客様からお名刺を先に頂戴するという異例の展開。
頂いたそれを拝見すると、某ゼネコンさんの一級建築士さん。

おぉ・・・
ちょっとビビった（笑）。
そんなお方が、以前からご丁寧な質問メールを頂戴していたとは。

いや、そんなお方だからこそ、だったんですね・・・

最初にお尋ねを頂いたのは、無垢材ではなく合板仕上についてのこと。
以前に紹介している、「片持ち階段のあるおうち」や「奏でる家」でご紹介した、ラワンベニヤの選別材仕上げをご覧いただいていました。

近年、本当に多いラワンベニヤ仕上げ。
ブログ記事で紹介できない事情のある物件も含めると、本当に多くのご依頼を頂いています。

今回も、ラワンベニヤ仕上げをご希望のところ、建築工事をご依頼の工務店さまから、バラつきがあり仕上が揃わないから避けた方が良い、との提示があったとか。
そりゃそうですね。
弊社でも、普通はそうお答えするでしょう。

ただ、弊社では数種類のラワンベニヤを在庫していて、且つ、板目の揃ったものの多い中から更に選別したものを常備していることから、数量は限られますがご要望の際に提供できるようにしています。
もちろん、正式にアナウンスしていません。
近しい大工さんや設計者さんのみです。

そんなことで施工した記事をご覧になってのお尋ねでしたが、その仕上げ具合以外に無垢材の事を知る場所がない、ということをおっしゃっていました。
もちろん、ベニヤについてもそうです。

どのような板目で、どのようなものを扱っているのかということ。そして、ベニヤのような製品だけではない無垢の木の種類や性質、樹種や使い方、扱っている材木屋さんのことまで、全てが情報として知りえる機会が無いのです。

ネット記事はいくらでもありますが、その情報を納得できる説明と実物で、自分の中に落とし込むことのできる場所が無い。
もちろん、疑問に思っていることを聞く人は更にいない。

建築では、この上ない資格である一級建築士さんなのに・・・

いや、一級建築士さんだからこそ、なのです。
僭越ですが、担当も二級建築士です。
資格試験も受験していますので分かりますが、樹木はもちろん、木材の事は殆ど習いません。
それも、担当が受験対策をして初めて知ったこと。

教えてもらわないから、絵（図面）は書けるけれど、トンチンカンな寸法や樹種、納まりを指定してこられるんだ、ということが分かったのです。

だからこそ、自分の存在意義がある、と思いました。

どんなに素晴らしい図面でも、そこに納まる木材が必要で、その木材を用意する材木屋が必要で、そしてその材木屋が相談に値する知識と在庫と、木に対する愛情をもって木のお話を伝える事ができるかが重要。
そう考えています。

知らなくてもいいんです。
木の事は、材木屋に。
そういえる木材業界でありたいですが、残念ながらそうではありません。
だから、弊社だけはそうありたい。
そのために、担当がいるのです。

それが、材木屋の仕事。担当の使命。

それを強く感じたお客様でした。
せっかく楽しみされている建築なのです。
木に関しては、ベストでお答えしたい。

納品は年末のようですが、いつでもご要望にお応えできる準備をしています。
これに限らず、大阪で、近畿で関西で無垢材のことは戸田材木店に、と思ってもらえるように、日々取り組んでいきます。

想い新たな訪問、ありがとうございました。

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2023年10月21日

針葉樹山にも、戸田先生！

先日、選木の様子をお伝えした本年の伐採企画。
曲がり木を中心に選木した山には、ナラやホオなどの広葉樹も育っています。
一般的に「山」といえば、針葉樹のスギやヒノキの人工林を想像するのではないかと思いますが、伐採するもののメインは針葉樹（といってもマツもある！）ですが、広葉樹の育つ山での活動です。

そして、そのステージとは別の場所でも、今年は活動を始めています。
そこは、私の地元である大阪府！

「え？大阪府で山？！林業と森林？！」

そんな声が聞こえてきそうです。
そのリアクションが欲しいんですけれど、大阪府の中でもごく少量ですが林業があり、そしてその林業の中でも非常に良質な木材を産する場所があるのです。

意外に思われるかもしれませんが、実は大阪府の一部の山主さんは長い間、しっかりと山を管理され質の高い保育をされてきました。

それは、様々な状況からも読み取る事ができます。
舞台となるのは、80年生以上で100年生のヒノキ！！やスギの育つ場所。

細く見えるでしょう？！100年生なのに細い、ということは生長が遅く年輪が密だということ。
イコール、木目が細かく手入れのされた良質な木材となる、ということです。
ここで、来年以降に使用する木材の選木を行います。

弊社は幾度も話題にしているように、伐期に到達した人工林を伐る、とか花粉症軽減のため、とか需要量以上に年々増え続ける成長量を利用する為というような、一般的な理由で伐採するわけではありません。

始めから、伐採する規模も違いますしね。

本当に必要とする人に、適切な山の保育や遷移を見据えながら、必要とされる分だけ伐る。
使わせてもらうのです。

だから、広葉樹も十分に活用しますし曲がり木を敢えて選んだりするのです。

大径木伐採の支障木となる、小径の雑木すら「めちゃ良い感じ！！」と興奮してくれる大工さんとともに。
大径木や通直な木材は誰でも価値を見出す事ができ、お金を生んでくれます。
経済的林とするならば、そこは非常に重要なところでしょう。
しかし、弊社の様な零細が企画する伐採では経済の規模など知れています。

それならば、自分が信じる理想の伐採と利用をしていきたい。
材木屋として。
使う人との相互理解と共感と、同じ想いと考え方があってこそできること。

時流に乗って国産広葉樹を利用しよう、こと小径広葉樹の使い道が無いからとか、チップに向けられる広葉樹がもったいないから使う、という動きがある中でその先の山の事までを考えた活用が出来るのは、山に材木屋が入って行っているから。

今年はいろんな場所に登場し、自身の想いを山に問う戸田先生。
10年後、50年後の山を夢見て今年の活動に明け暮れ始めています。

また遊びに行ってるで！、という陰口もなんのその（笑）。
遠い未来の夢に歩く場所は、大阪にも。
大阪での活動も正式に報告できる日を、どうぞお楽しみに。

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2023年10月18日

選木直前の記事に思ったこと

時系列が逆転しますが、先日の伐採選木へ赴く数日前のこと。

自身が投稿しようとした画面に流れてきた、SNS投稿の最初の記事がとても気になりました。
その内容とは、「（前略）一本の伐採作業におよそ50万円。費用をかけて伐採できない。」というもの。

その記事が指していたのは、枯損木の伐採について。

倒木などの危険性を伴うために、早期に伐採をしたいが市町村からの費用の捻出が難しいというような内容でした。
近年では、台風の時はもちろんの事、平時でも高樹齢の巨木で腐朽が進んでいるものや、記憶に新しいものは浅い根っこからねこそぎ倒木してしまうケースもあり、どのタイミングで伐採などの処理をするのかということが問題になることがあります。

腐朽などは、虫害によってもお凝ります。
それも自然のサイクルのうちの一つなのでしょうけれど、人や建造物に影響を与えるところであれば、何らかの対応が必要。
ということで、ネタになっていたのが上記のコメント。

虫害木の伐採が必要なものの、費用が掛かりすぎてできないというものでしたが、その費用に驚き。
いや、場所や内容、状況によってはかかるものです。
私が驚いたのは、一本50万円なら本年に弊社が伐採する本数、7本には350万円かかるということか・・・ということ。

伐採費用が高額なことに驚いたのではありません。
弊社こそ、そんな金額支払いできません。
そんな金額であれば、伐採チームも喜んで行ってくれるでしょう。

しかし、本年伐採させてもらいます7本には、そんな費用を捻出することはできません。
でも伐らせてもらいます。
仲間の協力あってこそ。
本当に感謝しています。

人が動くこと、そして機械を使うこととなると、必ず費用が発生します。
ネット通販で運賃無料という時代になって久しいですが、現実運賃はどこかが負担しているもの。無くなりはしません。

立木を伐採するにも、チェーンソーを使い技術を要し、伐採後に搬出運搬しないといけません。
50万円かどうかは分かりませんが、必ず費用が掛かるもの。

しかし、お金が出ないからできないのではなく、想いを共有するから動いてくれるチームがあり、その活動に賛同して立木から購入してくれる人が居る。
しかも、裏山の木などではなく、自身の居るところから300km以上も離れた所へわざわざ通って。

申し訳ないけれど、弊社は350万円を負担することはできません。
しかし、仲間がやりがいを感じ、担当と同じ方向の未来を見てくれていて、その先にあるものを共有してくれている幸せを感じています。
仲間も、そう思って協力してくれています。

お役所の皆さんが懸念する目先の50万円ではなく、50年、100年後の遷移を考えてお金ではない何かの為に伐採を行う担当と愉快な仲間たち。
絶対に今年も成功させます。
仲間のために。
そしてその活動を正しく伝え、伝えることで山の事や遷移の事、そして木材の事や建築の事、そのほかの樹木の事や環境の事まで、私たちが知っていることを次の世代に伝えていきたいと思います。

金額ではない何かの為に。
本年の伐採が終り翌年以降、皆さんにいろんな報告ができる時に、その成果を感じて頂ければ嬉しく思います。

山での選木をしながら、そんな決意を固めた今年の取り組み。
どうぞ、応援してやってくださいませ！

（本文の内容と写真の山は関係ありません。）

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2023年10月15日

戸田先生と愉快な仲間たちの伐採授業！ 2023年度選木からスタート！！

今年は壮大なんです。
本当に・・・

数年続いたコロナ禍が落ち着きだしたといわれた初春。
今年は動かねば！といういことで、いつものフィールドに赴いた報告をしたのが先日のように感じますし、今年の目玉（だけど、本題はそこだけじゃない）になるであろう馬搬の計画が具体化した5月も昨日の事の様に感じるものの、早いものでもう10月。

準備を整えつつ、先日今年の伐採木の選定作業に行ってまいりましたよ！

この選定作業の日を迎えると、いよいよもう少しで伐採授業本番の冬！という気持ちになります。
いつもの仲間たちも集合し、フィールドに入って選定を進めていきます。

今年初参加の大工さんたちと一緒に、フィールドを軽く一周しながら植生や育っている地松やヒノキたちを見てもらいました。

手仕事の大工さんですら、山から伐りだされた原木に関わることはあったとしても、立木から関わることは非常に稀。
そのために、普段は立ち入ることのない山林に入り、テンションアップ！だった様子。

一般的に、流通しているものとは異なる「良質材」や特殊材を求めて山に入ることはあるでしょう。
しかし、今回メインにしているのは曲がり木。

地松ももちろんそうですが、ヒノキですらS字カーブを描くような、一般市場ではとても受け入れられないと思うようなものを選木するのです。
燃やすため？チップにする為？間伐という名の正義の為？！・・

違います。
その曲りを活かすためです！

四角四面の通直材に仕立てるのではなく、育ってきたその姿を活かす事。
山林で見上げると、地松は当然ながらヒノキでさえ、その曲がり具合に愛おしさすら感じる樹形を見る事ができます。

いや、そう感じるのは普通ではありません。
普通はダメなのです。
針葉樹で通直でないものはダメなのです。
出荷するには・・・

しかし、そういった考え方とは全く異なる捉え方で、そこに生きている個性を活かすことを目指し、活かせる人とつないでいくことを目標としています。

その想いが伝わり、「どれがいい、じゃなくて全部良いです！どれをどう使おうか、ワクワクします！！」という感想を頂くくらい、担当と同類の（失礼！）職人さんが見るとそう思う木々たち。

無理やり伐る、のではなく遷移を考えて伐採することを視野に入れていますので、バランスを見ながらの選木ですが、「ダメな木を間引く」という間伐ではなく、遷移とともに活かすことのできる選木伐採であることが、戸田先生と仲間たちが目指す山の関わり方です。

もちろん、植生によっては無理に伐る事をしないこともあるでしょう。
樹種によっては、自然の遷移に任せることもあるでしょう。

立派なマツの根元に、こんなにかわいいヒノキの実生稚樹が育っている。
あるところでは、人の通るような場所なのに五葉松が実生で大きくなりつつある。

そんな場面を見ると、木材生産以上に人と山のかかわりを考えずにはいられないのです。

そういった考え方を、関わる人や授業を受けてくれる生徒たちにも伝えていきたいのです。
プロとして、そして大人として。

いつもいつも、多大な労力と時間を担当の企画の為に惜しみなく費やしてくれる「愉快な仲間たち」のおかげで今年も大きなプロジェクトを進めて行けそうです。

いつもの伐採授業はもちろんの事、学校サイドでのデジタル林業との融合、そして現代とは異なる時間軸を感じてほしい馬搬。
さらに、10年後や50年後、100年後のために記録を残す新しい仲間の彼（彼女？！）の力を借りて、今年は戸田先生と愉快な仲間たちの、次なるステージへの飛躍の年になると思います。

見えますか？空に浮かぶ、小さな存在！

様々な場面で協力して、さらに林産物の出口を作ってくれる工務店大工さんにも感謝しつつ、今年も12月の伐採まであと2ヶ月！
いや、正確には2か月後には終わってます。
その日を、生徒さんにも森林にも、大工さんにも、そして仲間たちにとっても素晴らしい一日にするために、戸田先生の2023年が走り出しました！

11月に行う伐採事前授業、そして12月の伐採授業と馬搬の様子もお伝えしますので、今年の戸田先生から目を離さないでくださいね！
そして、小さくしか進むことのできない・・・いや、だからこそ意味があるこのプロジェクトと協力してくれる仲間たちをどうぞ、応援してくださいね！

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タグ：: 戸田先生; 戸田先生と愉快な仲間たちの伐採授業

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2023年10月12日

新しい古民家に、　ロシアンバーチ無垢UNIフローリング　~母屋編~

長期出張やなにやらで、かなり更新にじかんがかかってしまいましたが、前回のピュアラーチはいかがでしたか？
めちゃくちゃ綺麗な木目にうっとりしませんでしたか？

立派な古民家の木材の雰囲気にも負けない、しっかりとした木目も魅力的だったと思います。
さて、今回は母屋です。

母屋には立派な和室があり、通り土間の奥にはさらに増築された新館があるという、贅沢極まりないつくり。
新館は、時代の潮流から新建材で仕上げられていて、それはそれで時代を感じる仕上がり。
しかし、やはり主役は母屋。

もう、この丸太梁を見ただけでも気分が上がります。
驚く太さではないものの、美しい曲線を描く梁は、直線の多い現代社会では非常に目を癒してくれます。
視覚的安らぎ、というんでしょうか。
まぁ、見慣れてきた住まい手には当たり前なんだろうけれど。

それでも古民家の良さは、現代ではなかなか目にできない、こういったところにあるんではないだろうかと思いますよね。
さて、本題はもちろんフローリング。

母屋の吹き抜け2階で採用いただいたのは、ロシアンバーチ。

90mm幅のネイキッドグレードです。

前回のピュアラーチも同じくネイキッドグレードでしたが、針葉樹のピュアラーチと比べての違いは節が少ないこと。
もちろん、無いわけではないのですけれど、目立たないということです。
小さなものは点在していたりしますし、場所によっては大きなものもありますが、全体的に目立たない。

写真を見ても、黒っぽく見える節が少ないと思いませんか？

ロシアンバーチのネイキッドグレードは、目立つ節ではなく赤白の色違いと心材部分の色素の濃い部分が多い、という印象です。

こんな感じ。

小節が点在しているところ、芯材のところ、そして入皮や変色部分がちょうどすべて見られます。
しかし、それが目立つというよりも違和感なく無垢材を感じさせる特徴になっています。

そして一般的な同等グレードのフローリングとの違いは、一つ一つのピースでしょう。

一見、違いがないように感じるのですが、安価で売り切られる（一時的に生産したイレギュラー）商品の場合は、短くカットされたピースばかりがつながれている場合が多かったり、変色といってもかなり強烈な個性のものがあったりします。

それに比べての違いは、短いピースはあるものの集中しているケースはまれであること。
そして、それが目立ちすぎないこと。

古民家の場合は、梁や建具などの特徴的な部材がおのずと主張してきます。

そんな中で、主張せずに引き立てる役がフローリングではないかと思います。

以前の古民家もそうでしたが、ロックメープル（カエデ）の美しい白色が古民家の雰囲気をさりげなく飾ってくれましたし、今回も非常に手を入れられたつくりの見事な古民家の中にあって、フローリングだけが目立つことなく納まっている。

意外と、そこが重要なのです。

もしここに、弊社の紹介するものとは異なりグレード選別などの無い、イレギュラー品であるオークのネイキッドグレードの組み合わせだと、自然素材は感じるかもしれませんがかなりにぎやかになってしまうことでしょう。
そういったことを考えてのロシアンバーチ、なのです。

乳白の木肌に、柔らかな太陽が映えます。

同じような白色系の木肌をもつロックメープルや板屋楓との違いは、それらに比べて比較的柔らかであること。
それは、材木屋だから感じるところかもしれません。

いえ、感じられるかもしれませんが、比較しないと気付かないかもしれないところ。
でも、なんとなくはわかると思うのです。
それは、意外とひんやりしないことも一つです。

硬質さが突出していないため、意外としっとりと感じる木肌。

それをなんとなく感じるのが、この手すり柱。

とっても似ているのですが、こちらは無垢の板屋楓。
見た目はわかりませんよね？！

しかし、触れてみると一層感じるのは、硬質さによるしっかり感。
フローリングでも同じです。
足ざわりというよりもしっかり感を求められる場合は、板屋楓がピッタリなのです。

細く感じる手すり柱ですが、そこは触れてもらうとわかるしっかり感で安心させられる。
人間の感覚って不思議です。

硬質だけど、漏れてくる光は非常に柔らか。
木って、いいですね（笑）。

古民家独特の雰囲気は、梁だけではなくこんなところも。

かっこいい組子と昔のガラス。
なんともいえない、時代と年月を感じるもの。

ザ！古民家。

非常に木目の細かな木目！、とみていたものの、近づいてみると部材によって色味が異なる・・・
何かと思ったら、何気なく神代杉使ってあるではないですか。

4枚建ての引き戸なのですが、すべてに衣装として使われている。
銘木全盛時代、非常に高級だっただろうと想像に難くない贅沢な引き戸。

何度も言いますが、本当にザ・古民家

雰囲気抜群の古民家改修。
しっかりと和室も残されていて、いい感じです。

何が似合うのかわからない。
そんな声をもらうこともある古民家改修。

前回と今回で、少しは参考になれば幸いです。

ロシアンバーチ関連の記事は以下をご覧ください。

・ロシアンバーチ幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・ロシアンバーチ幅広無垢つなぎ目V溝フローリングはこちらから
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ロシアンバーチの他にもつなぎ目V溝フローリングがございます。下記も是非ご覧ください。（樹種によっては、グレードの限られるものがございます。）

・ホワイトアッシュ幅広無垢一枚物フローリング
・カスクオーク（ナラ）幅広無垢V溝フローリング
・ブラックウォールナット幅広無垢V溝フローリング
・ロックメープル（カエデ）幅広無垢V溝フローリング
・ブラックチェリー幅広無垢V溝フローリング
・ノルデストウォールナット（クルミ）幅広無垢V溝フローリング
・欧州楓（ヨーロピアンメープル）幅広無垢一枚物フローリング

＊ロシアンバーチ無垢フローリングを採用頂くにあたって

ロシアンバーチフローリングは、水分や油分などでケバの立ちやすい樹種です。
それが樹種の特徴ではあるのですが、無塗装でも楓などの樹種とは手触りの風合いが異なりますので、必ずご覧になっていただいてから検討頂くことをお勧めします。

また、施工当初の白っぽい色合いは日光により変化していきます。
色合いの変化については、こちらをご覧ください。
オイル塗装のつなぎ目V溝フローリングを、北向き窓辺に7カ月放置した強制日焼け試験の結果はこちらから！

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＊2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

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2023年10月05日

新しい古民家に、ピュアラーチ無垢一枚物フローリング～離れ編 ~

「古民家」。

皆さん、この言葉にどんなイメージを持ちますか？
あ、すみません。古民家そのものじゃなく、リノベーションするときの床の話です（笑）。

今回は、古民家のリノベーションに使っていただいた床のお話。

上の質問をしたのは、殆どの場合の回答はスギ、若しくはスギに黒色着色塗装仕上げだからです。
この回答は、一昔前の設計者さんが枠材といえばナラ若しくは米栂、と書かれていたのと似ている気がします。

それしか選択肢としてご存知ないか、イメージが無いから。
稀に、黒光りした梁の印象に合わせてブラックウォールナット！という回答も頂きますが、予算的に難しいケースがほとんど。
それに、納まりや他の調度品、住まい方まできっちりと見えていなければ、コーディネートが難しいのがブラックウォールナット。

以前紹介のカフェの様に、庭が開け陽光が入る部分とシックな調度品、大工さんのかくれ技の光る物件などはお手本になるのですけれど。

今回は、それらとは異なり材木屋として古民家に合わせてほしい素材として提案した、ピュアラーチ（TENKARA）の施工を紹介します。

古民家にスギやヒノキの針葉樹が似合うのは当然です。
日本家屋の大部分の仕上げには、針葉樹は欠かせませんでしたからそこに新しい材を設えても、違和感がない。

それもわかるのですが、それと違うテイストとして以前に提案したロックメープルという、白色系広葉樹の選択肢もあり、針葉樹のみではないことを材木屋さんが提案しなければならないのですが・・・

ということで、提案した樹種はピュアラーチ。
天然唐松です。
なんだ、広葉樹じゃないじゃないか！と思うなかれ。
実は、後日紹介する母屋には広葉樹をご提案し、今回の離れはこのピュアラーチなのです。

ピュアラーチをおすすめするところ。
それは、なんといってもこの色艶と、節のある針葉樹の表情ながらも、スギとは異なり新しい個性を主張してくれるところ。

そして、硬過ぎずに柔らかすぎないところ。

針葉樹の古民家の印象を崩さずに、ある程度明るくそして印象的な空間にするには、このピュアラーチがおすすめ。
スギはスギでも、弊社おすすめの高樹齢杉埋め節や古希杉浮造りであれば別ですが、一般的なサンディング仕上げだと、どうしても歴史ある柱や梁の「時間の艶と色あい」に負けてしまうような気がします。

それが、天然生であるピュアラーチの光るような艶と木目は、古民家の迫力と素材感にはぴったりです。

見てくださいよ。
中には、このように驚くほど木目の細かなものが含まれています。

今回のネイキッドグレードは、様々な表情を含むグレードですが中にはこのように数百年の年輪を感じさせるものもあります。

年輪幅が1mm近辺というのは、数十年生の植林木などではでないもの。
数百年の歴史を持っている古民家には、おなじく材料も数百年生のものを・・・

良いものを使うから、長く残す事ができる。
そう思うのです。

室内には丸太も多く使われています。

昔ながらの木組みの民家。

木組みと手刻み加工の良さ、すごさは一言では言えませんが貼り付け留め付けの現代の工法と、まったく異なる手法であり技法と素材の100％を活かせるのが、木組み手刻みの伝統工法、そして古民家。

数十年の物件も古民家と称するそうですが、私は今回の様な丸太を使っていたりする、木組みの家こそ古民家の中の古民家だと思います。
そこは、材木屋だから木の使い方として理に適っていると思うからこそ、なのです。

今回お伝えしたのは離れ建築。

それでも、離れというにはもったいない仕上がり。いや、離れだからこそ何気なく楽しい仕上がりといえばいいのか、低かった天井を一部撤去し吹抜けにされているところや、限られたスペースで階段をかけ小屋裏にも上がられるようにされていて、間接照明やスポットライトが雰囲気を出してくれているところなんかも見逃せません。

ここでミニコンサートや、地域交流イベントなんかをやっても面白そう、と思わせるような空間。
仕上がっていました。

美しいところを沢山見てもらいましたが、ネイキッドグレードで忘れてはいけないのは、全ての表情が含まれるところ。

例えば節。

大きいものから小さいもの、抜けているものを埋めたものまでさまざま。
集中しているものもあります。

それから忘れてはいけないのが、マツと同じようにヤニツボがあること。

カラマツの艶は、その樹脂分と晩材（年輪の色の濃い部分）によるものですが、樹脂の元となるヤニを多く含んだ部分がヤニツボとなり、そしてその部分を埋める処理をしたパテが含まれています。

これも、材を有効活用しカラマツの個性その物の表情を知ってもらう部分。

これらすべてを含むネイキッドグレードは、材を贅沢にふんだんに使いづらかった時代に、節や丸身、変色部分まで上手に無駄なく使い切っていた古民家建築に通じると思います。

古民家改修の皆さん、是非ピュアラーチ一枚物フローリングオイル塗装、覚えてください。

古民家には今までの様々な住まい手と建築のストーリーがあり、そして素材にもストーリーがある。
そこにあわせるため、新しい素材にもこだわりませんか？

数百年生の原木からつくられるフローリングというのは、そう多くはありません。

弊社の百年杉柾浮造りフローリングでも、平均100年。

ピュアラーチが重ねてきた歴史ある年輪が、古民家に次の百年の年輪を刻むようです。
佳き古民家だからこそこだわれる素材感。

次の住まい手にも、きっと通じることと思います。
母屋のレポートは、次回の施工記事にてじっくりとお伝えすることにします！
お楽しみに！

・ピュアラーチ（TENKARA・カラマツ）幅広無垢一枚物フローリングは、こちらから
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＊ピュアラーチ幅広無垢一枚物フローリングを採用頂くにあたって

本文中にもありますように、ピュアラーチは天然林からの高樹齢木が原材料となっています。
中には、永年貯め込んだ樹脂をたくさん持っている物も含まれます。
製品加工段階では十分にチェックされてはいますが、木材の性質上、梱包されている状態にてフローリング同士が密着していますので、樹脂の多い部分が表面に析出してくる場合があります。
全てがそうではありませんが、採用においては、開梱時にフローリング表面に樹脂分が析出している可能性がある事を含みおき頂きますようによろしくお願いいたします。

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2023年10月01日

残された燭台～迎接寺跡のシイ～

つぶらな瞳、なんて言いますよね。
とても可愛らしい印象を受けますが、ツブラジイというシイの仲間の樹木も、同じような理由でその名がついたそうです。

しかしながら、今回目にしたのはけっしてつぶらではありませんでした。

京都府北部の京丹後市。
すぐそこが日本海という久美浜町の林の中に、つぶらではないツブラジイが「残って」います。
今では一般的な車両では立ち入ることのできない（結果的に細い林道は見えたのだけど）場所になっているその場所は、昭和44年までは集落があったというところ。

しかし、今では地図などでその場所へのアクセスを確認することは出来ません。

現在は使われていないのであろう施設に突き当たる車道から、西の林に足を踏み入れていきます。
人の手が入っている様子で、それとなく歩いていく事ができる。
木々の開けた場所もあり、林内という雰囲気は強くないものの、案内表示なども無く事前調査の位置情報を頼りに歩を進めていきました。

すると、木立の先に次第に大きな影を確認できるようになってきました。

ねじれた幹。
発達した板根。
風雨の影響に耐えていることを主張する腐朽部。
巨樹ならではの、大枝を失ったであろう樹形。

周囲がぽっかりと開けたところに現れるのが、迎接寺跡のシイ。
分類としてはツブラジイ（別名コジイ）とされるそれは、西日本でも突出する巨さであるとのこと。
その迫力は、はっきりと伝わります。

元は、この場所に迎接寺が存在したそうですが、既に場所を移され集落も無くなってしまったことから、完全に残された存在になったのがこのシイ。

以前の常瀧寺の大公孫樹や洞のカツラもそうですが、寺や集落の移転により残された巨樹は少なくありません。
冒頭でお伝えしたように、私が辿ったルートからでは今になれば集落や寺の存在を感じることはできません。

しかし、だからこそ迫力を感じるというか、人間とは違い動く事ができない植物が、そこで数百数千年を過ごしていることに畏敬の念を覚えます。

おそらく主幹であったであろう部分が折れているのか、その姿は数本の明かりを灯す巨大な燭台のようです。
着生した植物の命を灯し、そして自身の命を繋ぐ方がの明かりがあちこちに。

日本の中でも暖温帯に多く見られるものの、拙業界では材料として目にする機会は非常に少ない、というより殆どありません。

それは、比較的腐朽しやすいことであったり、製材後に狂いが出やすいことが理由です。

現在では、本来シイ類の大切な用途の一つである食料としての利用もない中では、目にしないことも当然かもしれません。

そんなシイだから残ったのか？御神木だったからなのか、それは分かりません。
しかし、写真から受けるよりもはるかに立派な姿は、幹周りおよそ8mで樹齢300年ほどと推定、といえばある程度想像できるでしょうか。

病気の影響か虫なのか。
森の中で見れば少しゾッとするような、こんなコブをはらんでいるシイ。
これも様々な状況を生き抜いてきた証。

樹木としての単幹寿命は決して長命な方ではないとされるシイ類ですが、カツラのひこばえのように萌芽をし、命を繋いでいく事ができる。
それを感じる事ができるいでたち。

生命力を感じるもう一つのポイントは、板根。
「ばんこん」と呼ばれ、熱帯雨林の植物などに多く見られる、根が扁平になり地表面高くに盛り上がっている様子の事です。

地下水を求めているのか地表をつかむためか。
それとも、自らのテリトリーを示しているのだろうか。

確実に、そこに意図を感じるそれは「生き物」であることを認識させるものです。

沖縄の植物ではさらにはっきりと見かけるものの、一般的には珍しい板根。
もちろん、それが一層の迫力を感じさせるのは言うまでもありません。

人の気配が全くなく、時折風に揺れて擦れる木々の葉の音だけが聞こえる林内。
シイの周囲はそれを中心に開けていて、様々な方向から姿を確認できます。

しかし、コブのある方は斜面になっているので、そうではない方向から見る場合とはまた異なった印象を受けます。
つまりは見上げるようなアングルになるので、一層根と幹の関係も顕著になるという形です。

私との比較でわかるでしょうか、その巨さ。

斜面下部にカメラを設置しているのですが、クスなどと同じようにくねくねと曲がりながらも、四方八方に小枝を伸ばしています。

地表を這う根も、まるで今にも脈動する毛細血管ではないかと思うほど、生きているようにうねり廻っています。

考えれば、このように近くに寄れるのは非常に有難いこと。
やはり、前回の志々島の大くすの様に、近づきたくてもそうできない場合が多くあります。

林内であることと、現在は京都府の所有ということなので、もしかするとそのうち柵ができるかもしれませんが、近寄ることのできる巨樹のありがたさを改めて感じます。

少し暗いですがご勘弁を。
私のそばの板根を見ると、その高さも分かりますよね。

幹にはコケが生してはいるものの、周囲がこれほど開けていることを考えると、やはり整備されているのだと思います。
人が去った後、知られずに山の主になる巨樹もある事でしょう。
いや、現在はインターネットの普及により、知られずのままであることは皆無かもしれませんが、人が居なくても、人が関わっている気配を感じる迎接寺跡のシイ。

写真以上の迫力が埋もれてしまわないように、拙記事にて記録したいと思います。
辿る道も消えていくかもしれませんが、忘れられることのないように。

迎接寺のシイ所在地
京都府京丹後市久美浜町湊宮

車は路上駐車になります。邪魔にならないところへ。

GISコード
緯度：35.63514319
経度：134.87718943

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木ぃクン