本物の無垢木材　～茨木市戸田材木店・セルバの木の虫ブログ～:2023年08月

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2023年08月

2023年08月30日

日本の広葉樹無垢フローリング　～啄木黄檗（つつきのきはだ・キハダ）幅広無垢一枚物フローリング～　その②

さぁ、今日から本格的にキハダの紹介に入っていきます。

キハダは、弊社オリジナルの木製ボールペンである木輪~kowa~の製作当初のラインナップにもある樹種ですし、今までも幅広板などを紹介してきている通り、弊社ではなじみが深い樹種であり、担当の好きな樹種です。

実際にどこが好きなのか。
それは、その木目と少し特殊な色合い、そしてその香りです。

単純に木目をみれば、タモ材やクリ材の様に見えるかもしれません。
道管と呼ばれる組織がしっかりと視認でき、年輪の輪状にならんでいる環孔材ですが、前出の樹種とは異なるのはその色合い。

辺材部分は黄色に近い白褐色（内樹皮部分は鮮明な黄色）から灰褐色、芯材部分は材によって異なるものの、灰色がかった茶色から濃い茶褐色で、色の濃いものはクワやエンジュなどを想像させるもので、仕上げると艶もあり、非常に美しいと感じます。

実際、銘木業界では茶室材料としてのクワの代用材としてメグワという名称で流通していたこともあったり、クリの代用材ともされたという記述もあります。

中には、美しい杢がでたことで家具用材や指物用材、鏡台や火鉢、煙草盆などの装飾材となり床柱などにも使われることがあります。

ただ、文献によってはクワの模擬材として使用されるが、それ以外はパッとしないといったような記述もあります。

いや、そんなことはない。
樹木は人間と同じく、一つ一つに個性があり特徴があります。
特に担当はその特徴がとても気に入っているのですから、もっと優れた特徴をお伝えせねばなりません！！

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＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

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タグ：: 黄檗; キハダ; 無垢フローリング; 無垢フローリング選び; 日本の広葉樹フローリング; 一枚物; 無塗装; 幅広; 啄木黄檗; 木まぐれコラム

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2023年08月27日

日本の広葉樹無垢フローリング　～啄木黄檗（つつきのきはだ・キハダ）幅広無垢一枚物フローリング～　その①

一昔ちょっと前は、ブログは大きな発信手段だったように思います。
弊社ブログも、ホームページが無かった時代でも多くの地方からご覧いただき、ご注文を頂いていたものです。

その当時から、多くの文章量を投稿していたこともあり、「更新するのに、どれくらい時間かかるの？大変やね！」といってもらうことが多かったですが、本当に時間かかっています（汗）。
文章校正から写真の整理、情報の整理をして打ち込んでいくわけですが、本当に時間がかかる。

その渾身の記事で紹介するのは、お伝えしたい無垢材の事であり思いであり、そしてホームページには載らない（載せられない？）商品の事なのです。

年始にお伝えした絹朴幅広無垢一枚物フローリングを、覚えてらっしゃるでしょうか。
担当の好きな樹種であるホオですが、銘木以外での用途が知られていません。
非常に有用な樹種なのに、そして山には蓄積が多いにもかかわらず。

それを少しでも皆様に、と作り出したのが絹朴フローリングでした。

今回、その絹朴と同時に製作していながら、どうしても紹介する時間がとれずに夏を越してしまった、もう一つの大事な樹種を紹介します。

それはキハダ。

日本の広葉樹無垢フローリング啄木黄檗（つつきのきはだ）幅広無垢一枚物フローリング１

ホオが目立った木目が無いことに対して、キハダはケヤキやナラ（オーク）などと同じく環孔材と呼ばれる仲間のため、非常にはっきりとした木目を感じます。

今回、このキハダを無垢フローリングに仕上げようと思った理由はホオと同じく、原木があるものの特殊用途しか使われていないことと、銘木以外の流通がないということ。
少しずつ、その性質をご紹介していきますが、非常に魅力的ながらも一般的な材木屋さんには知られていない、非常に残念な樹種。

担当は大好きな樹種だけに、活かすしかない！！といういつもの「売り先も考えない」前のめり姿勢で臨んだ今回の製作。

日本の広葉樹無垢フローリング啄木黄檗（つつきのきはだ）幅広無垢一枚物フローリング２

弊社の広葉樹活用の基本、原木が売れずに安く手に入るからというものではなくて、山から出てくるものを自社に出来る形できちんと活かすこと。
それによって、流通を維持すること。

山から原木を出してくれること、技術をもって製材し乾燥してもらえること、そしてなにより価格以上に喜びを感じてもらえるおうちにさいようしてもらえること。
それらをつないでいくことが、単なる利用だけではない木と山を考えることになると思います。

次回から、キハダの魅力的なストーリーや性質をご紹介しながら、本格的に紹介を進めていきたいと思います。

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2023年08月24日

自然（素材）大好き！　野あそび隊、発信！！

先日の日曜日、川遊びに行ってきました。
といっても、担当も企画にかかわったイベントなのですが、とっても楽しく過ごせました。

集まったのは、兵庫県の北部にある糸井渓谷。
そう、あの巨樹があるところ・・・
おっと、その巨樹はまだ拙ブログでは紹介していないので、以降のお楽しみということで・・・

当日は、大人から子どもまでたくさんの参加者でにぎわった山間の渓谷。

この企画の趣旨は、自然に触れる機会の無くなった子供たちに、自然の中で遊ぶことや自然についてを体験しながら楽しく過ごせる一日にする、というもの。

企画があがったきっかけは、自然（素材）が好きな大人が集まっている山仕事のなかなのに、その子供たちですら里山でオンラインゲームに熱中している。
ゲームがわるいのではなくて、自然の中だからできることが沢山あるのに、ゲームじゃなくてもいいじゃない？」！ということ。

そして、ゲームでは得られない遊びや感覚を味わってほしい、という自然（素材）好きな一部の大人が企画したものなのです。

当日、面識のないみんなで調理の準備や下ごしらえをしたり、若しくは川を見てとりあえずはしゃぎ遊ぶ親子など、様々自由に時間を過ごしながら楽しみました。

中高生のお兄ちゃんたちも野菜カットに加わってくれて、お母さんに教わりながら切りそろえてくれました。
後に食べたカレーの美味しかったこと！
せせらぎとセミの声、そして暑い日差しに涼しい風の中での昼食は最高でした。

自然（素材）大好きな主催者は、紙皿の素材にもこだわり、そしてカレーだというのにプラスチックスプーンの購入を放棄し、みんなでお箸でカレーを食べるというこだわり（笑）。
面白くないですか？！

そして、食事の後は思いっきり川あそび！

街中は気温37℃以上というなか、暑さはあるものの川の水はとっても冷たくて、足をつけていると皮膚の表面が冷蔵食品の様にキンキンに！

そのおかげで汗は出ないし、とっても気持ちいい。

浅い川底には小魚がいて、じっと浸けた手足をパクパクとついばんでくる。

こそばくて気持ちいい。
とっても不思議な感覚。
川の流れもあり、五感に非常に心地よいのです。

おかげで高級ビールも美味しい！
もちろん、運転はしませんが家で飲むのもいいものの、こういうところでは格別ですね。

基！、今回は大人ももちろんながら子供さんに楽しんでもらう企画。
子供さんは？！、といえばゲームどころか滝つぼに飛び込んだり、無邪気に石を川面に投げ込んだり、魚を捕ったり（観察用、ね！）と、満喫している模様。

補足すると、実は電波が届かないのでオンラインゲームは出来ないんだけど。
でもそれは結果的なお話で、みんな十分に楽しんでもらったみたい！

もちろん、担当もお仕事の写真を撮ったりしながら楽しみましたよ。

え？なにがって？！

枝の出方の良い見本！！
と、林縁の写真を熱心に撮る姿は異常だったことでしょう。

しかしながら、自然素材を使う材木屋や大工さん、そしてそういった素材が好きなデザイナーさんや設計士さんからお客様まで、建築以外でも本当に大事な素材のことをあまりにも知る機会が無い時代。

商品となった素材はわかるものの、自然そのままを感じる機会は非常に少ない。
キャンプなどが流行していますが、私たちはそれぞれのやり方で自然に触れる「野あそび」の場をつくりたい。

そんな想いで始まった、愛称「野あそび隊」。
今後も活動していく予定です。

さて、今回私が一番心配していたのはやはりこれ。

微妙に小さく白い目が、かなりビビるこの看板ですが今回は無事下山できました。
みんなで居るから怖くない！（笑）。

この奥にある巨樹に行ったときは、徒歩中は決死の覚悟（汗）だったんだけれど・・・

その時の様子はまた以降にするとして、野あそび隊の活動の報告とともに、もし関西で参加できる人がおられれば、担当までお声かけ下さいね。
次回予定をご連絡致します！

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タグ：: 野あそび隊

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2023年08月21日

当たり前にみんなで一緒に！ロックメープル幅広無垢UNIフローリングと Tumiki ~natural cafe~

普通であること。
とっても簡単、というか当たり前であること。
見方を変えれば、そうじゃなくなるけれど気が付かないこと。

弊社ショールームでのお話でも、工務店さんからの提案いらいでもそうですが、やはり自然素材の家や無垢材の質感を活かした店舗などの場合、先ずはスギかヒノキを使うことから検討が始まります。
もちろん、それもいいのですがここもあそこもスギかヒノキ。

特に、節板を多用するとプロの目には「コスト重視」と映ることもあるので、注意が必要ですね。
というお話をすることがあります。

針葉樹仕上げには針葉樹。
当たり前のように考えられることに、あえて異なる素材を合わせてみる。
普通じゃないけれど気が付かない、そんな仕上がりになることもあります。

ここは、入口からスギのデッキ材が迎えてくれる、ヒノキやスギの自然素材ばかりのカフェ。
内部の仕上げも、ヒノキなどが現しで使われていますが、節の無いものばかりを使われているので、非常にさりげなくすっきりと仕上がっています。

当たり前に考えると、そのヒノキに合わせるにはやはりヒノキ！と思ってしまいますが、写真のフローリングはロックメープル幅広無垢UNIフローリングです。

一部分だけを写しているので、ヒノキとの対比が分からなくてすみません（汗）。

しかし、現地でみてもヒノキの無節の風合いを邪魔しない、ナチュラルな質感を醸し出してくれていると思います。

採用いただいたのはカフェですので、使用は土足。
今回はプレオープンで訪問したので、まだまだ非常に綺麗な状態でしたが、これからいろんなお客様とシチュエーションで、どんどんと変化していくと思います。

それでも、硬質で耐摩耗性の非常に高いロックメープルは、傷も大きな陥没になりづらく、土足使用に馴染んでくれるだろうと期待しています。

選んでいただいたのは、ネイキッドグレードの150mm幅。
節と一部にパテ、そして白色系の樹種は避けて通れない変色や色違いのあるグレードです。

とはいえ、若木のスギフローリングの様にたくさん節が集中しているというものではなくて、主には変色や色違いなどが多いため、ヒノキの赤白の色違いとも馴染みやすく、かつ白っぽい雰囲気はどこかヒノキやスギの白太部分の風合いを思わせる為、広葉樹でありながらも針葉樹仕上げにもマッチングするのがロックメープル。

色違いに違和感を持たれる場合はセレクショングレードやプルミエグレードをおすすめしますが、自然な表情が一目でわかるのはやはりネイキッドグレード。

もちろん、中には節の部分や根杢などで美しい模様や杢のでているところもあり、とても表情豊かです。

さて、こちらのカフェは Tumiki ～natural cafe～さんです。
長岡京市に8月18日からオープンなのですが、普通のカフェとはちょっと違います。

それは、オーナーさんの想いからつくられたということです。
その想いは、お店のメニューの中にあるこれです。

健康である喜び、食べられる喜び、普通だと思える有難さ。
普通だと思っていることが普通じゃない場合もある。

話は少し違いますが担当も、花粉症という言葉自体がなかった時代には、鼻炎持ちのために一年中鼻水を垂らしていることに白い眼を向けられていました。
普通は、風邪などでしか見られない症状が一年中。
普通は・・・

食べる、ということひとつをとっても、お蕎麦や卵などいろんなアレルギーがある。
そんな場合、家族の外出でも同じご飯を食べられないし、おかぁさんが用意をしていかなければならない。

そんな状況で、限られたお店だけでも同じものを食べ分け合える喜びというのは、とても幸せな瞬間だと思います。
気が付かないかもしれないけれど、気がつくときっともっと周りが幸せになること。

自然でナチュラルで、それでいて美味しいお料理をみんなで気にせず楽しめること。
それを普通にできることをかかげておられます。

このお店を選ぶことで、みんなが喜べること。
一つ、大切な事を感じた気がしました。

気にせず食べられる自然素材である上に、だからといって味がたんぱくだったり妥協したメニューじゃないところがとっても素敵です。

今日のランチのワンプレート。
普通にボリュームあって、めちゃ嬉しいです。

ヴィシソワーズ（ですよね？！）も、しっかりと量もあっておいしくていい感じでした。
また、レストランではあまりないように感じる、担当の大好きな「オリーブオイル＋塩（岩塩？）」もいい。

もちろん、クリームコロッケもお肉もご飯も美味しい。
今度はパスタも食べてみたい（笑）。
とっても心地いいランチでした。

因みに、今日のランチプレートメニューはこちら。

そして、お得情報も公開させてもらっておきます！
直ぐに使える、10％OFFクーポン（初回）あり！！

駐車場10台あり、またレンタルスペースもあるのでみんなで集まる場にも使えるし、もちろん流れで食事も、ということもあり。
いたれりつくせり。

お食事すると、レンタルスペースの割引があるとかないとか？！
お問い合わせください（笑）。

オーナーさんの想いが詰まった、たくさんつまった普通に素敵なナチュラルカフェ。

話題になる事と思います。
その前に、一番乗りでレポートさせてもらいました！

是非、皆さんでお食事に。
そして、少人数の場合は2階席希望して下さいね。

弊社納入のロックメープルは、ヒノキ厚板階段を上った上の階にいますので！

奥様方と、お子様連れも、いろんな形で訪れてほしい natural cafe 。

訪ねてみてくださいね！

Tumiki ～natural cafe～

京都府長岡京市井ノ内小西46-1
ランチ　：11:00~14:00
カフェ　：14:00~16:00
ディナー：16:00~20:30（11月~の予定。金、土、日のみ）
座席数　：31席
定休日　：月曜日
駐車場　：10台（店舗北、広海道交差点越えてすぐ、コンビニのすぐ南にあり。看板あります。）

・ロックメープル（カエデ）幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・ロックメープル（カエデ）幅広無垢つなぎ目V溝フローリングはこちらから
・ロックメープル（カエデ）幅広無垢つなぎ目V溝フローリング、玄関ホールの施工写真はこちらから
・ロックメープル（カエデ）幅広無垢一枚物フローリング 130mm プルミエグレード古民家のリビング施工はこちらから

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2023年08月18日

離島に鎮座の大社殿　～志々島の大くす～

巨樹巨木を訪ねる、という目的が同じでも移動手段や方法、心持ちや撮影の有無（動画も回すなど）という違いがあると思います。
もちろん、訪問するペースもさまざま。

担当の場合は休日も業務の時が多く、なかなか巨樹訪問メインで動くことのできる日、というものが取りにくいので、移動手段やスケジュールも入念に「下ごしらえ」していきます（笑）。
特に気を付けないといけないのが離島です。
フェリーの時間を逃すと、行くことも帰ることもできなくなってしまうので、普段のように「ここで遅れた時間を次で短縮！」なんて言うこともできないので、より計画的に進めなければならないプレッシャーがあります。

今回訪れたのは香川県西部の離島、志々島。

宮ノ下という港から、小型の連絡船に
定員いっぱいになると乗れず、また島民優先ということだったので、乗れなかったらどうしよう、と思いながらも余裕で乗船し一安心。

島まではおよそ20分。人口20人ほどという小さな島に到着。
本当はゆっくりと歩いていたいものなのだけれど、先に考えるのは巨樹撮影の時間と往復を合わせた所要時間。

帰りの船までおよそ2時間半。
いつもの撮影では、素晴らしい巨樹に出逢えた時には現地で2時間半なんてあっという間なので、帰りのフェリーまでに満足な撮影ができるか？！、という心配が先に立ち島を満喫するよりも先にとにかく巨樹へ！という気持ちで、速足になってしまいます。

今回目当ての巨樹は、相当撮影時間が必要なことは自覚しているのです。
事前に確認しているその姿が立派だから。

そのお目当てまでは、港から曲がり角のたびに看板（亀板？！）があり、迷うことができない程にありがたい案内で到達することができます。

家並みを抜け、墓所を通り過ぎるあたりから勾配が急になります。
まだまだ若いつもりで登り始めたものの、すぐに息が切れはじめ、そうかと思うと少し蹴上が異なる段差では足がひっかかかりそうになるほど、歩が進まない。

急勾配ではあるものの、まさかこんなにへばるとは・・・
お目当てまでの時間がないというのに・・・
と焦りながら歩いているのですが、そんなに距離はないのに、振り返るとさっきの港がこんなに見下ろせるんだから、どれほど上るかがわかるでしょうか。

勾配を登りきると、最後は夏に伸びてきた藪のような下りを抜け（この区間の虫が半端ない・・・。口呼吸から入ってきそう。）、平坦な場所が見えてきたと思うと、視界右手に現れるのが、志々島の大くすです！

おぉ！！！っ！！！（息切れ・・・）

お決まりの感嘆詞しか出てきませんでした。

まだ横からしか見ていないにもかかわらず、その姿が特別であることを感じさせるに十分な迫力。
そして、のちにその理由を紹介する立地環境。

額を流れる汗が、メガネのレンズに落ちないような角度で足元を確認しながらも急ぎ足で大くすの正面へと向かいます。
もう、その姿には「はぁ～・・・」のため息でした。

斜面中腹を見上げる位置に、雄大に構える大くす。

訪問時はちょうど大くすの背に、太陽を纏うような光景になり神々しさといったら素晴らしいものでした。
目視の場合は有難いほどの光景ながら、写真を撮りたい気持ちでカメラを向けるも、物凄い逆光になり上手に撮れないことがもどかしい。

それでも、ここからすべての枝先までをしっかりと見たいと思わせる光景に、しばらくは歩を進める気になれませんでした。

当然だけれども来てよかった。
ネット記事で写真は見ていたものの、やはり現地で出逢うのとは印象が異なります。

四方に驚くほど伸びた大枝、立派な幹回り、そして見上げるような位置に鎮座するありがたさ。
島に滞在する時間の制限が、一層特別な印象をもたせるのかもしれませんが、限られた時間の中でどれ程自分の中にこの光景を焼き付ける事ができるか、という思いを生むのかもしれません。

広げた枝ぶりはほぼ四方に20m以上。
加茂の大クスには及ばないものの、受ける印象は同等以上のインパクトがあります。

それに数値以上のインパクトは、その枝が地表面すれすれに・・・いや既に地表面に接しているように思う（近づけないので確証がない）その姿から受けるものです。
いくら広葉樹といえど、勝源院の逆カシワのような特殊な例を除いては、ある程度の高さまでは直立した幹の上部に枝が広がるはず。

しかしここでは上部の枝に比べて、地表面付近の枝が太く地についている。

その秘密は、大クス周囲の地表が崩れたことによって、主幹が埋もれたため本来は地表より離れていた大枝が現在の位置になったということだそうです。

なるほど、この地形は土砂崩れによるものだったのか。
そのおかげで、他に見ないような特異な姿になった大くす。

しかも、それが功を奏したとおもわれるのが向かって左側の枝。
地面についていると思われる枝は、もし現在の地表が形成されていなければ、見る事ができなかったかもしれません。

その理由はこれ。

その重さゆえか、若しくは何らかの原因（傷からの腐朽か外的要因か）で主幹付近で折れてしまっているのです。
完全に破断していないため、根系からの通水などのやり取りはされているとは思えど、ぽっきりといってしまっています。

いつ折れたのかは分かりませんが、地表すぐの枝は皮一枚で断絶することなく繋がっているのは、巨大な枝が地面に達したことからだと推察します。

その折れている枝にも、元気に葉が茂り折損していることを感じさせないのは、もしかするとウラスギよろしく伏状更新をしているからではないだろうか？！という邪推さえ誘うところが神秘的ではありませんか？！

もし、この左の大枝を欠損していたと考えると、素晴らしい樹形は現在の印象とは異なったものになっていたように思います。

現地で唯一残念だったことは、大くすの近くまで行く事ができなかったこと。
ネット記事では、大くすに寄り添ったり大枝の直下で記念撮影したりしていましたが、上の写真で分かるように、大くす周辺の木杭より手前に立ち入らないようにと看板があるのです。

てっきり木杭手前までは行けるものと思っていたために、巨さ比較も楽しみにしていたのですが、非常に残念でした。
もちろん、一日にほぼ3便（宮ノ下港より）しかないとはいえ、その度に数人から数十人が大くす周辺の土を踏み固めてしまい、樹勢が衰えることを思うと自分の写真のことなどどうでもいいことです。

といっても、やはり入る人が居るのはどの巨樹に訪問しても見かけるもの。
今回も、担当より前の時間の船での来訪者が、木杭の内側へも立ち入って入念に撮影をされていました。

実は、時系列で言うとこれが到着当初の写真。

てっきり地元の方がお世話されているのかと思ったら、お遍路さんの寄り道のようでした。

年配の男女でしたが、担当よりも相当立派な一眼カメラを双方もち、周囲の草むら（ここには季節になると美しい花が咲くといいます・・・）もお構いなく、遠近様々な位置からタイマーも使用し撮影をされていました。
（撮影の後は、この装束をちゃんと脱がれるところがあざとくて、一層失望・・・）

自分だけの写真を撮りたい。その気持ち、わかります。
しかし、入ってはいけないところには入らない。
情けない。
木杭の外にはロープもされているのです。

年配ゆえ（本当に立ち入られないかも定かではないし）、あえておこえかけはしませんでしたが、厳粛な想いで逢いまみえる感動を返してほしい・・・

ということで、担当で比較できませんので比較対象として登場してもらうことにしました。

気持ちを取り直して大くすに並んで森の切れ目をみてみると、向こうには橋が見えます。

あれは瀬戸大橋？！
ということは、こちらが東か。
大くすは東に向いて立っている、ということなのだと思います。

陽光を真っ先に正面で受け止める、そんな姿を見てみたいと思います。

鳥居を抱く大くすは、その大枝を広げた様子から荘厳な社殿のような印象を受けました。
平等院鳳凰堂のよう、といえば担当の想像が伝わるでしょうか。

担当のカメラではその全貌が入りきらず、苦肉の策でパノラマ撮影に挑戦してみました。

それがこちら。

写真右、大枝を支える支柱が密集する左位置に担当が立っているのがわかるでしょうか。

これが、大枝のほぼ横に位置するところなので、人と比較するとどれ程のスケールかがわかるかと思います。

背面に陽光をうけているのですが、こうしてみるとその樹形が水平線から登り行く太陽の様にも感じられ、一層の威厳を放っています。

街中の巨樹も素晴らしいものは多く存在します。
しかし、離島の山中にこれほどの巨樹が残っていること自体、有難いと思います。
少しのハイクで訪問できる、この場所に。

さて、そろそろ帰りの船の時間が気になってきます。
まだ余裕はあるものの、万一時間を間違っていると帰る事ができませんからね。

可愛いモチーフのあるベンチともお別れです。

しかし、ここでまた問題が・・・
往路に頑張りすぎた？こと以上に、しっかりと水分を採ってきたつもりが、御手洗いが無いことを心配した影響で、発汗により買える頃には口がカラカラ。

水分持参を勧告してもらってはいたものの、夏の気候と日差し、そしてなまった体の体力を削ったのは急勾配。

帰りの港に着いた頃には、塩水すら波打ち際を見ると飲んでしまおうか？！と血迷ってしまいそうになるほどに枯渇している状態。
しまったなぁ・・・、持ってくるべきだった・・・

帰路の船まではあと15分・・・
島には自動販売機もない・・・

炎天下、もうろうとし始め無駄を承知で周囲をｍａｐで見ていると・・・

お店、有るやん！！
15分で戻ってこられるか、急いで向かっているとすぐあった！！

この缶の絵。
一生忘れないでしょう（涙）。

助かった・・・
そんな気持ち。

その上、中に入るとものすごく良心的！

ありがとうございます！！！！！
冷蔵庫見ただけで、涼しく生き返った気持ち。

日影になる建物でさえ有難い上に、扇風機まで使用可能（ちゃんと消すこと。）。
しかも「冷たい」飲み物150円！
本当にありがとうございます。

後で気が付いたんだけど、目指していたのはここじゃなくてもう少し奥だったのですけれど、もう危機的な状況で何も確認せずに入ったのがこちらで、さらに奥には営業されているお店があるとのこと。
巨樹に訪れることしか頭にない担当、もう少し計画的に（甘く見ず・・・）せねばなりません。
みなさんは、気をつけましょうね。特に、夏場はきちんと水分持参で！

とにかく、なんとか船の時間迄に水分補給を済ませ（下船後に更に2本飲んだんだけど・・・）、帰路につきました。

ありがとう志々島。
そして大くす。

いろんな想い出が出来、結果的に期待以上の離島訪問になりました。
先ほどまでの、海水すら飲もうか、という枯渇とうって変わり潮風が心地よく感じる船尾から、小さくなっていく島を眺めながらの帰路になりました。

できることなら、もう一度訪れてみたい。
今度はもう少し涼しい時期に（汗）。

志々島の大くす所在地

香川県三豊市詫間町志々島

GISコード
緯度：34.27256483
経度：133.67923737

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2023年08月16日

休暇の仕事は整理整頓！

今年は、長く続いたコロナ禍の懸念が弱まり、旅行や帰省で移動される夏になっているようですね。

担当はといえば、ここ数年の盆正月は決まってすることがあります。
一昔前は、仕事を早く済ませて好きなワイン誌を片手に昼間からワイン！、というのが贅沢な休暇だったのですけれど、この数年はそうじゃありません。

休暇だからこそできること。
それは写真の整理。

この細かな明細（個人名や現場名を伏せています・・・）。
これが6ページあります。怖ろしい数です・・・
しかも、この明細に整理するまでに数日かかるのです・・・（汗）。
溜めてしまうからなのですけれど、ここまでしてから、さらに保存作業。

スマホに挿入のSDカードの記憶容量は24GB。
そこが写真でほぼいっぱいになるのが半年。
もちろん、内部ストレージもほぼ満タンで、動作が鈍い・・・

それとともに、デジカメの方も36GBで巨樹と施工写真がメインなのに、ほぼ半年で一杯。

スマホの方は、仕事の写真などもあるからですが、デジカメはいろいろなモードで撮影する為に、記憶容量を大きく占めています。
特に、巨樹と施工写真ともに、一件あたりで少なくとも40~80枚。
巨樹で多ければ180枚撮影したりするため、半年溜めるとゆうに数千枚以上？になり、全て見ていないとはいえ、移動保存させるのが一苦労。

内部ストレージがいっぱいで、動作は鈍い上に端末が高温で触れないときも・・・

しかし、この処理を早くしておくと三文の徳？！があるのです。
それは記憶の整理も出来ること。

撮影のその場で感じたことや、自分の目で見た感情。
そして香りや風、音などが画像で甦る。

撮影の苦労や汗などもね。

そうすることで、一定層のファンのいる（本当か？！）弊社の巨樹ブログや施工記事にも、一層の臨場感が出るのです。
次回に紹介する「埋もれたくす」もその一つ。
このお休みを活用し、写真整理をしながら臨場感あふれる写真と文章をお届けしたいと思いますので、ぜひご一読くださいね！

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2023年08月14日

真夏の体力測定？！　ウッドデッキでの木材の経年変化　④-2

前回の写真で針葉樹の変化、見て分かるほどになってきたと思いませんか？

さらに、みなさん大好きな屋外向け木材の筆頭、レッドシダー！
濃淡の差が美しく、屋外使用においても非常に長持ちするといわれるその素材はどうなっているのか・・・

こちらも、腐朽菌の影響はありません。
しかし、他の針葉樹と同じく表面の物理的劣化が起り始めています。

レッドシダーは非常に軽軟な部類の木材。
そのため、スギと同じく早材部分はすでに木質部を失いかけています。
木材としては当たり前の結果ですが、稀にレッドシダーを使っていれば屋外でもノーメンテナンスで長持ち、と言ったイメージを持っていらっしゃることがあるので、そうではないということです。

スギもそうですが、軽軟な木材の場合は腐朽に耐えやすい芯材を使いながら、出来るだけ厚みを大きくすることや、特に軽軟なものは水平用途（デッキなど）ではなく垂直用途に使うことなどを提案したいものです。
歩行や摩擦などでの木部の摩耗も減らせますしね。

また驚いたのは、薬剤注入木材です。

木口の白いものは樹脂ですが、表面の劣化もさることながら、露出させていなかった裏面に反りが大きく出て、避けるように割れ、そしてそこには白色腐朽菌が大きく進行しているではないですか・・・

防腐薬剤注入品ですよ・・・

弊社でも、薬剤注入指定の木材を販売します。
それは、試験により有効性が証明されている、いわば工業製品の様なものではないかと思います。
その有効性を期待して、天然木ではなｋ薬剤注入するわけですが、2年半でスギ辺材のような不朽の影響を受けている。
衝撃でした。

以前にも、古い在庫の薬剤注入品を屋外に設置する台として数年使用した後に撤去するとき、接地面がボロボロに劣化していたことを思い出しました。

薬剤も永久ではない。古くなると効力も落ちるし、もともと耐朽性の低い木材に薬品を注入する場合が多い為、薬剤の効能が無くなると・・・
そう思うと、やはり天然木の高耐朽木材を使いたい、と思ってしまいます。

それでは、高耐朽の木材とされるハードウッドはどうなっているのか。

並んでいるのは双方、熱帯雨林材。
（ハードウッドデッキの上での実験なのでややこしいですが、中央と右の短いものが試験材。）

細かなクラックはあるものの、木部の劣化はほぼありません。
凄いです。

そりゃ、20年以上という耐久性をうたっているものですから当然ですが、これが軽軟な木材とそうではないものの如実な違い。
木部の劣化が少ないこと。
非常に重要です。

いくら腐朽に耐える樹脂を持っていても、木部の劣化はすなわち崩壊ですから。

ひとつだけいうのであれば、ハードウッドは目立った木目が感じにくいもの。
だから、シルバーグレーになってしまうと木製デッキ材という質感は感じにくいかもしれません。

そこで、弊社が定番にしているのがクリ！
クリもやってますよ、実験。

こちらは割れは進んでいます。
しかし、木部の陥没するような表面劣化は針葉樹よりは少なく、なにより広葉樹独特の木目がはっきりと視認でき、さらに見る角度によっては本当に「シルバー」なグレーに光るように見えるのです。

それは、広葉樹特有の細胞組織の影響だと思いますが、そこが美しく「ウッド」な質感を非常に感じられます。

ということで、いろいろとみてきましたがいかがでしたか。
芯材と辺材での如実な違い、針葉樹とハードウッドの違い。そして最後にクリの木目（笑）。

費用と期待する性質とのバランスですし、今回は担当の知見の蓄積のための非公式試験ですので、科学的検証ではありません。
しかし、木材というのはこのように変化していくということを見てもらえたとしたら、実験は成功。

もちろん、今後も続けていき最後まで様子を見ていきますよ。

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タグ：: 屋外使用の木材; 木製デッキ材

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2023年08月11日

真夏の体力測定？！　ウッドデッキでの木材の経年変化　④-1

さぁ、いよいよ屋外曝露試験も2年半後の様子をお伝えすることになりました。
南面の直射日光のあたる、風雨が直撃する屋外に放置された木材達は、いったいどのように変化するのか。

今回は、その変化を一気にそれぞれの樹種で起こった特徴として見ていきましょう。
まずは、毎回話題にしているスギの辺材から！

前回お伝えした不朽の影響は更に進行し、もう表面の早材部分（年輪の色の薄い部分）はすでに亡くなってしまい、表面の劣化が大きくなっています。
腐朽菌による陥没も見られます。
もちろん、割れから浸透した水分により、内部にも腐朽菌が影響し一層の劣化が進むことになります。

では、比較対象の芯材部分は？

こちらは表面の紫外線劣化による、木部の風化は始まっていますが柔らかいとされるスギとしては、劣化スピードは遅いように感じます。
とはいえ、これは栄養満点で腐朽することが当然の辺材と比較してのこと。

一般的な施工では、2年半で大きな劣化があっては困りますので、期待通りと言うところでしょうか。
弊社としてもおすすめしている製品の性質がわかり、とりあえず一安心。

その他の針葉樹はと言うと、やはり一様に表面の紫外線劣化が進んでいます。
着色塗装をしてあるものも、そろそろ着色の効果が無くなりそうです。

針葉樹類は、やはり一様に軽軟なものが多く、柔らかい早材と比較的硬い晩材との差があるため、余計に早材部分が劣化しボロボロになってしまうイメージです。

因みに、木材の栄養部分をほぼなくし、さらに木の持つ水分も殆ど無い状態にすることで、腐朽菌などの影響を受けにくくした場合、針葉樹はどれくらい劣化しているか。

それがこちら。

木の中の水分が殆どない影響なのか、思ったほど割れはありません。（といっても、隣に置いている同じものはわれていますが、それは木目の影響によるもの）
それに、水分が無い為に腐朽菌もつきにくい為、そういった劣化はないものの、水分が無い分組織は弱い状態なので、表面の劣化程度は他の針葉樹と似ています。

一部では、グレーに変化するスピードが早かったり、樹脂跡のようなものが多く析出する場合もあることもポイントかもしれません。

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2023年08月08日

真夏の体力測定？！　ウッドデッキでの木材の経年変化　③

前回、早くも変化が見えた材は、やはりスギの辺材でした。
それが、試験開始から2年経過するとどうなったか？！

木口を見てください。
白くなっている部分が広がり、さらに右側には茶色くなっている部分が出始めました。

南の直射日光がきつく当たる分、雨に濡れたとしても非常に乾きやすい環境の為、腐朽菌の発達はかなり遅いのではないか（接地の裏面を除いて）と考えていましたが、そんな環境でもこれほど進行するのかと驚いた腐朽。

因みに、比較として真横に置いていたスギ芯材デッキ材はどうかと言うとこんな感じです。

同じ木口をみても、激しい劣化は認められません。
こうやって見ると、やはり芯材の持つ力はおおきいのだと思います。

しかし、誤解の無いように言っておかねばならないのは、辺材部分が劣化するのは当然だということ。
悪い、のではなく当然。

辺材は、樹木であるときに栄養分を溜めていたり生長を担う部分。
そのために腐朽菌が入りやすく繁殖しやすいのは当然で、虫害を受けやすいのもそのためです。
木材になると、単に色が違うだけと思われがちですが、まったく性質の違う部分だということを認識し、腐朽などの影響のない部分に使うべきなのです。

今回は、室内化粧用のスギ辺材を、敢えて過酷な試験に連れ出したのです。
辺材君、ごめんなさい。

そのスギ材以外はどうかというと・・・

前回出てきた、樹脂と思われる黒い筋がさらに顕著になっているものが増えてきました。

また、割れも更に進行しています。
しかし、スギ辺材に見られたような著しい劣化はなく、腐朽菌の影響も表面上は見て取れません。

これが以降どうなるのか。
そして、次回以降の変化が針葉樹と広葉樹やハードウッドデッキ材を、決定的に分ける違いとなる変化が出てきますので、次回お伝えする2年半後の様子をお楽しみに。

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2023年08月05日

真夏の体力測定？！　ウッドデッキでの木材の経年変化　②

さて、前回に試験を開始しますと書いていますが、実は試験を開始したのは2020年の1月。
そう、もう３年も前なのです！（汗）。

気の長い話になります、としていたのですが実はもう、３年半経過しているという事実。
そろそろ、お伝えしがいがある状況になってきたので、まだ3年ですが経過報告をしたいと思い記事にする次第です。

早速ですが、前回の健全な状態の材がどうなっていくのか。

おー！
見事なシルバーグレーになっています。
一番左は、オイル塗装をしていますので、着色が残っていますがその他は見事にグレー。

ひと夏を越え、強力な紫外線の洗礼を受けるとこうなります。

上記は全て針葉樹。
ひば、ヒノキ、スギ。
そしてそれぞれの割れが大きくなってきています。

材長が短いこともあり、木口割れが広がりやすいのは仕方のないところ。

さて次はこちら。

左から、スギ辺材、スギ芯材、レッドシダー、薬剤注入パインです。

これを見て、一番驚いたのが左のスギ辺材です。
もちろん、最初からかなり初期に変化が現れるはずと思ってはいましたが、如実に変化がありますよね。

表面の状態、他のものとは明らかに異なる。

このサンプルだけが、以上に表面の細胞の劣化が進んでいます。
その部分を拡大してみましょう。

こんなこと言うとかわいそうですが、細胞組織があらわになっている状態、と形容してしまうほど材面の平滑性は失われ、腐朽菌が繁殖し始めていることが分かります。
もちろん、濡れるのですが乾きも早いはずなのに、どうしてこんなに・・・

しかも、となりのスギ芯材のデッキ用加工材はそんなことないのに・・・

他に同じサンプルが無い為に確証は持てないものの、同様の条件での曝露ですのでやはり辺材は劣化が進行しやすい、と言えるのではないかと思います。
もちろん、推察ですよ。

その他の変化としては、デッキ材用ハードウッドもシルバーグレーになってはいるものの、表面などには大きな変化はなし。
一方、針葉樹のなかには樹種によっては樹脂を含むものの中には、材面に樹脂が析出するものが出てきました。
塗装ムラになる、と言われるのは目に見えなくてもこういった現象が起こっているからなのでしょうか。

これが、一年も経過する前なのですから、やっぱりみなさん木材は使いたくなくなりますかね・・・
木の事を嫌いにならないでね・・・

次回以降、変化の詳細をお伝えしていきます。

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2023年08月02日

真夏の体力測定？！　ウッドデッキでの木材の経年変化　①

私、人の話は信じない方です。

あ、勧誘とかそういうのではなくて、まことしやかな噂やそれらしい理由はあるけれど、本当かどうかわからないようなお話の事です。
特に、木材の事に関しては様々な憶測と、商品販促のための営業として有利に感じさせる広告、自身の贔屓にしているものを特別に感じさせる不公平な実験などなど・・・

特にインターネットの世界には、本当に信じていいのだろうかというものが沢山有ります。
もちろん、本当に納得できるものもあるのですが、どうしてもその真偽が気になるものもあります。

その中には、今までも信じられてきたけれど実際はどうなんだろう、という自身の疑問も含まれます。

なので、担当はとにかく実験することにしています。
自分で！

クリの土台角を販売し始めるときも、クリ材の耐朽性と耐蟻性、そしてその強度特性がはっきりと示されていなかったことが気になり、大学研究室とともに試験をしたほどですから・・・

今回は、そこまで大掛かりでも公共施設での試験でもなく、私的な好奇心を満たすための実験です。

実験開始２

でも、皆さんも気になりますよね？
担当みたいにいろいろと試す事ができる人はいいですが、材木屋さんでなければそうはいきませんもの。
もちろん、木材を使いたい！と言うときに数年試験してから・・・と言う人はなおさらいないはず。

その時の為に、担当自身の知見を深めておきたいのです。
実体験として。
材木屋として、きちんと本当に体験した木材の事をお伝えしたいから。

ということで、実験を始めるのは気になる樹種やよく知っている樹種、そしてその耐久性もよく知られているけれど、実際はどうなんだろうという樹種。
後日には、まず使うことはないけれどどのように変化するのか好奇心がわく、という樹種も追加してスタートします。

これがまた、気の長い話になるのですけれど・・・・

さぁ、実験スタートです。

実験開始１

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

木ぃクン