本物の無垢木材　～茨木市戸田材木店・セルバの木の虫ブログ～:2023年07月

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2023年07月

2023年07月28日

奏でる家、ついに！！　④　～アフリカンマホガニーとラワン縮杢合板編～

さぁ、いよいよ奏でる家の施工記事も最終回。

今日はもう少し、とってもきれいなアフリカンマホガニーの続きと、意外な魅力で人気のものを紹介します。

階段の一枚板や框材としてのアフリカンマホガニーは、ヨーロピアンメープル（欧州楓）フローリング
との紅白のコントラストが非常に綺麗でしたよね。

そのアフリカンマホガニーは、家具にも活用頂いているのです。

前回の施工記事で少し見えていた、キッチンの作業カウンター。
対面式のカウンターなのですが、その側面に使われているのはアフリカンマホガニー。
もちろん、見切り材もそうなのですが、側面の板材はその素材感を残すために、わざわざ表面を荒削りの鋸目仕上げのままとしています。

そのうえ、表面に設けられたスリット状のラインが、とっても可愛らしく心地いい雰囲気を出しています。

素材そのものに、味付けをしてくれるようなイメージに感じます。
そして、この仕上は家具以外にも使われています。

それは、家の顔である玄関。
玄関ドアの素材は、アフリカンマホガニーの平滑な仕上げで非常にしっとりとしているのですが、玄関ポーチを囲む壁面材には、同じくアフリカンマホガニーながら家具と同じスリット加工を施し、視覚的に異なる印象を与えてくれます。

同じ素材なので違和感が無いのは当然ですが、節や特徴的な木目が無くともしっかりと洗練された木質感を感じさせてくれる。
そう思いませんか？

そして、玄関ポーチの見どころはそれだけではないんですよ。
ぜひ、上を見上げてほしいのです！

といっても、施主様かそのお仲間しかそんなチャンスはもうないのですけれど、ポーチの頭上には、こんな景色が広がります。

えぇ～！！！
水面に投じた一石の波紋なのか、それともビロードの滑らかさなのか。
うっとりする、頭上に広がる雲海？！

いえ、見上げる幻想的なオーロラの様な模様を描いているのは、弊社在庫商品のラワン合板。

え？！ラワン合板。
ラワン？！
と思われるでしょう。

全然違いますよね。
あるお客様は、サクラの合板ですか？とおっしゃったくらいです。

ラワンと言う樹種は非常に多くの仲間の木の総称として使用されますが、そのなかでもちょっと特殊な木目で、しかも偶然に縮み杢の出たものを厳選していて得られた産物なのです。

それが、偶然にもアフリカンマホガニーとベストマッチ！
いや、計算されていたとしておきましょう（笑）。

素材感が主張しすぎないけれど、十分に魅力的。
奏でる家のポイントはそこです。

特別な素材を多用するのではなく、凝った加工で威張るのでもなく、無駄に思えるようなことを着実にこなしながら、華美ではなく自然にそこにあるように気が付かせないこと。

木のポテンシャルを、大工さんがさりげなく活かすこと。

そんなことも、大工工務店さんとなら可能です。
弊社が最初からお話に加われば、いろんな木の可能性を持たせながら、木の魅力とストーリーをお届けする事ができます。
だから、早い段階で素材からお話したい。
お施主様の事も含めて。

今回は、ご提案の余地を残してもらい弊社なりのお客様の事を想像した、木材選定にさせてもらいました。
なかなか木のお話をする時間をとる事ができない昨今。
弊社は以降も少しづつ、顔をストーリーの見える木の家のお手伝いを進めていきます。

奏でる家のお施主様、今回の完成おめでとうございます。
立地も環境も最高、しかもあの名建築に歩いてすぐなんて、私が住みたい・・・

これから家族のいろいろな音を奏でるであろう家。
その一瞬前の、静かで白い空間に初夏の鳥のさえずりが心地よく奏でられた、貴重な訪問でした。

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木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2023年07月25日

奏でる家、ついに！！　③　～アフリカンマホガニー編～

全貌が見えてきた「奏でる家」。
透き通るような透明感がある、とでもいいたくなる一階部分のヨーロピアンメープル無垢フローリング。
弦楽器を特集する雑誌でも、様々な樹種を紹介する中で巻頭に来るほど重要なのがメープル（カエデ）類。
そんなメープルとともに楽器材として重要視されるのが、マホガニー。

言わずと知れた、家具用材などとしても有名な樹種です。

前回も少し見えていましたが、この階段材がマホガニー。
しかも無垢一枚板を加工されています！

集成材ではなく、無垢の一枚板階段です！

と、お話をすすめたいところですが、マホガニーを見てもらう前に、お伝えしておくべきことが一つ。
樹木は産地などによって、様々な種類があります。
前回のヨーロピアンメープルも同じ。
今回紹介するマホガニーは、アフリカンマホガニー。

現在、一般的に入手できるマホガニーと称される木材の中で、担当が最も旧来のマホガニーに近いと思われ、木目や色合いが好きな樹種です。

楽器や家具として非常に重要視されてきた旧来のマホガニーとは、植物学上の分類は異なります。
旧来のマホガニーは、現在では資源としては枯渇に近いため、今利用できるものはこのアフリカンマホガニーか、同じくマホガニーとは異なるサペリという樹種、そして旧来のマホガニーから植林によって育てられたとされるフィリピンマホガニー。

コアなファンの中では正確に分類されていますが、それらマホガニーという名で呼ばれる中でも、その名称ではなくても木材として非常に魅力的なのが、アフリカンマホガニーだと思います。

南洋材、と言われるラワン類のように大きなサイズの木材を産することができるため、今回のように幅広寸法が必要な階段材として活用することもできます。

ストリップやオープンと呼ばれる階段。
裏も木口も見えるため、正真正銘の一枚板だとわかる仕上がり。
この廻階段の部分ももちろん無垢材！！
正直にいえば、２枚の板を幅はぎしているのですが、それでもほぼ90cmくらいの幅が必要な部材を2枚の板で作ることができる、ということがすごいです。

テーブル用の一枚板もありますが、同じ樹種の均一な仕上がりで納めていく階段のような部材だと、一枚板ばかり使うというわけにもいきませんから、なかなか難しい。
それが普通にできてしまうアフリカンマホガニー。

そのうえ、端正な木目と美しい赤みがかった色合いは、白く透き通るようなヨーロピアンメープルとの相性抜群！

それは、玄関からもわかりますよね。

玄関框、これもアフリカンマホガニーです。

白と赤。
いいと思いませんか？
昔から、無垢フローリングには同じ樹種で框を仕上げる場合もあるものの、全く異なる樹種や色合いで仕上げる場合もあり、そんなときに提案しているのが赤色系の樹種。

カリンやブビンガなど、派手に思われそうな樹種でも印象的でとてもきれいなことを知っているからです。
その上アフリカンマホガニーの場合は、マツなどのように樹脂による艶ではなく、角度を変えると材の「底」が光るような控えめな艶が見えるのが、奥ゆかしくて好きです。

リボン杢のようなものが出やすい樹種でもあるため、縞のように見えるところもあるので刺激的な木目が無くても印象的なところも、魅力じゃないでしょうか？

オークなどの場合は、木目で印象付けられるため木質感を演出しやすいのですが、メープルの場合はカットサンプルなどであると特徴がないと思われるときもあります。
そんな時、アフリカンマホガニーなどを対比として並べてあげるとはっきりとしますし、薄い色合いの樹種も印象が引き立ちます。

それでいて、カリンなどのように硬質ではなく（杢いがいのところは）加工しやすく、柔らかな印象なので温かみも感じます。

そうそう、材もいいんですけれど忘れてはならないのが階段部分の大工さんの仕事。

さりげなくこんなことしてます。

お～！
無垢材ならではのホゾを突き通して、さらにそこに栓を打ってある。
斜めの桁に階段板を合わせるのも難しいとおもうのですが、それに加えてこんなことを。

無垢材の家、自然素材の住宅を標榜するお会社は非常に多く見かけます。
〇〇杉の家、なんて文句も見かけます。
しかし、材料を売りにしているところはあっても、大工さんの技術まで紹介しているところは少ないはず。

鑿（のみ）や鉋（かんな）を使って無垢材の家を仕上げているお会社は、意外と少ないということです。
今回の奏でる家は、無垢材の家！と大きく打ち出しているわけではありません。たぶん。

でも、さりげない素材感と目立たない大工さんの工夫と技術でできているおうち。
言われなければ普通だけれど、見る人が見ればわかる。

「大工さん、こんな仕事までしてるんだ！」、とか「え？階段も無垢？一枚板なの？しかもマホガニー？！」という風に。
そこで、「いやぁ、じつはフローリングはあのメープルでね・・・」という風に、お話が弾むのでは！？なんて妄想するのです。

目立つのは材料でもなく大工仕事でもない、住まい手。
心地よく過ごせるうえで、気が付く人が気付く素材感や仕上がりがあると、材料屋さんとしてはとてもうれしく思うのです。
そんな仕上がりになったのでは？！
と思うのですが、こればかりは施主様次第。

住まい手との調和のとれた「生活の音」を奏でてくれるおうちとなっていれば・・・

おっと、これで終わりではないんです。もう少しだけ紹介したいところがあるんです。
次回、もうすこしアフリカンマホガニーと縮杢のラワン合板へと続いていきますよ！

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2023年07月22日

奏でる家、ついに！！　②　～ヨーロピアンメープル（欧州楓）編～

前回お伝えした二階部分だけでも、十分に見ごたえがあったと感じるのは担当の興奮具合からでしょうか。
一般的な教科書には沿っていないながらも、きれいな納まりは素材以上のセンスのお話。
センスを持ちながら、素材を活かしそして、素材だけを押し付けることもなく技術の押し売りでもない、ほかにはない仕事ができること。

やろうと思えばできるのと、言われずともやることは大きく違います。
無駄なこと、とおもうのではなくてできることの最高のものを当たり前にしていくこと。
そうやってくれるからこそ、素材も活きる。
そんな施工でした。

さぁ、今回はそんな施工とともにこのおうちを建築されるにあたって、材木屋としてのテーマの一つであった「施主様の個性を木材で表現できないだろうか」、というポイントを練りこんだ部分になります。
そう、題して「奏でる家」。

二階部分のナチュラルな雰囲気とは全く異なる、洗練の一階。
そんなイメージに見えますがどうでしょう。

とてもすっきりとしていながら、柔らかな木目がのぞく。
一階部分の床は、ヨーロピアンメープル（欧州楓）無垢フローリングの90mm幅セレクショングレードオイル塗装です。

ここでもう、ピン！とくる人が大勢のはず。
そうです、表題の「奏でる家」。

素材である木材と、お施主様の趣味である音楽を掛け合わせているのです。

音楽と木材は、実は大きく関係があります。
一つに楽器。

高価なことで有名なストラディバリウスや、ヴィンテージギターに使用されているスプルースやメープルなどの木材は、それだからこそ奏でることができる音ともいわれます。

残念ながら担当は、音楽の才能や楽器の知識は乏しいのですが、木材を扱っているとその性質による違いというのは大きく感じることがあります。
今回一階に採用のヨーロピアンメープルは、木目の美しさによる装飾的価値と、その樹種特有の音響効果との相乗効果により、用途が確立されている樹種なのです。

そんなヨーロピアンメープルを、今回はフローリングで提案させてもらいました。
おうちにいらっしゃる来客にもすぐに目につく一階。
そして、生活のメインの場である一階に、施主様の趣味である音楽に関係する木材をということで、紹介しました。
じつは、メープル(楓)は世界中に数百種類存在するといわれます。

そして、建築の中で一般的にメープルと言われているのは、ヨーロピアンメープルとは異なる種です。

ヨーロピアンメープルをおすすめしたのは、音楽や楽器つながりで同じ趣味のお客様ともお話が弾むきっかけになれば、という思いと一般的なメープルにはないどこかやわらかな表情を味わっていただきたかったから。

木材においての音の「反響」は、均一で硬質な材料のほうが優れているといわれる場合があります。
しかしそれだけではなく、見た目の美しさとともに適度な柔らかさを持っていることも大切。
装飾的な価値もあり、「カーリー」や「キルテッド」と言われる杢を採用することがありますから、味わっていただきたかったのは白いながらも単調にならない、特有の「宝石のような表情」でした。

採用していただいたのはセレクショングレード。

大きな節はなく、特有の葉節と呼ばれるものが点在することと、白色系の樹種では避けられない軽微な変色を織り交ぜたグレードです。
そんな中に、上の写真の右下のように縮杢が散見されカーリーメープルの名器を想起させるではありませんか！

セレクショングレードにすべてそんな表情があるわけではありませんが、お客様がそれを探すために床を凝視！なんて風景も面白いんじゃないだろうか、とも思ったりします。

もちろん、一階部分も二階と同様に美しく貼り分けられたデザイン貼り。

二階部分の最後でもお伝えした通り、見る方向や日差しの加減により千変万化の表情。
色合いだけではなく杢が見える方向であったり、葉節が子豚の鼻に見えたり（笑）するところなど、そしてさざ波のように光る部分がある。

弊社の定番のうちの一つ、ロックメープルも美しいものの、これほどの輝きはありません。
そちらは特有のシュガースポットと仕上がりの硬質な足ざわりや艶、どことなく針葉樹にも寄り添うことのできる多様な顔があります。

そういった意味でも、一応そのおうちの全体の表情やお施主様のことを考えて、都度ご提案しているつもりなのですが、今回はやはり音楽つながりを自分の中でのコンセプトとして提案したくて、勝手に「奏でる家」というネームでご提案していました。

ただ木材を売る、というのではなくお施主様のことを想像したり、テーマを持って木の持つストーリーをおつたえしていくことでご提案できることは非常に幸せです。

木材となった樹木を活かすことができますし、愛着のあるものはきっと大切にしてもらえるからです。
私の提案やテーマは勝手に自分で進めているものですから、それが正解ではないのです。
しかし、一つの木材が持つ背景はきっと大切なおうちの一部分となってくれるのではないかと思っています。

そんなテーマでおススメした樹種はこのヨーロピアンメープルだけではありません。
奏でる家は、このメープルに合わせてもう一つ、奏でる樹種があるのです。

階段に使われているこの樹種、集成材ではありませんよ。
次回はこの「もう一つの奏でる樹種」を紹介していきます。

・ヨーロピアンメープル（欧州楓）幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・ヨーロピアンメープル（欧州楓）幅広無垢一枚物フローリング、セレクショングレードの施工現場はこちらから
・ヨーロピアンメープル（欧州楓）幅広無垢一枚物フローリング、ノルデストウォールナットV溝との共演記事はこちらから

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2023年07月19日

奏でる家、ついに！！　①　～ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）編～

弊社 instagram では少しだけお伝えしていた「奏でる家」。
工務店さんにお施主様のことをお聞きして、これはおすすめしたい！と思っていた材料を使って建築されたおうち。

ただ木造建築であるのではなく、また無垢材の家といってむやみやたらに針葉樹の節を強調した家とも違う、自然素材の家だけれどカッコ悪くなく、且つ「本当の大工さん」が仕事をしないとできない木の仕事のおうちに仕上げられたと思います。

その意味は、少しづつお伝えしていきましょう。

弊社がお伝えする施工写真というのは、担当が現場に行って撮影しているものばかりです。
なので、素人写真の上、「ばえる」ものがないことが課題であるとともに、どうしても撮影のタイミングが難しい場面が多く、ゆっくりと良いアングルばかりを狙えない、ということを言い訳にしているので、今回も家具などのもっと「良い景色」があるもののお伝えは限られるのが残念なところ。

さて、いきなり2階です。

いや、担当にとってはいつものことなんですが、写真撮影のために現場を独り占めできないため、撮影できる場所を探していくと、とりあえずは2階から、がいつものパターン。

写真からは2階だとはわかりませんが、2階のフローリングはノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）無垢UNIフローリングの90mmを採用いただきました。

白い壁面とノルデストウォールナットの濃淡のある木目がいい感じのコントラスト。
オイル塗装されているため、無塗装とは違いはっきりとした木目の印象をうけるものの、オークなどとは違い柔和な木目が適度に広葉樹を印象付けてくれます。

採用いただいたのはネイキッドグレード。
節やパテ、色むらなどが混在する自然の表情をすべて含むグレードです。
大きな節と、各ピースの色差が目立つところもありますが、しかしそれがうるさくなりすぎないのがほかの樹種との違い。

白太と赤身の色の差が大きな、例えばスギなどの場合は色差も節も両方が多すぎると、空間に統一感がなくうるさくなってしまう場合があります。（弊社おすすめの古希杉浮造りなどは別ですけれど・・・）

プルミエグレードのV溝のように、節も色差もないものも美しいのですが、さりげなく「木の家」を感じる仕上がりにはこれくらいがちょうどいい、と感じるのですがいかがでしょう。

しかし、実はそう思うのはフローリングの影響だけではないんですよね。
そこに、大工さんがかかわっているんですよ、実は。
わかります？！

この写真でわかりますよね。
はい、貼り方です。
中心で二分割するように、貼り伸ばしたフローリングの間に直行する方向に一列。

ここが、うるさく感じにくい一つのポイント。
UNI（たて継ぎあり）は長さ方向に数枚の板をつないでいるために、表情の差が楽しめるものの通常の貼り方ではフローリング同士の溝の目地だけが単調に並ぶ、規則性に目が行きがちになってしまいます。

もちろん、無垢材ですからプリントフロアーのように同じ木目があるわけないのですが、目が慣れてくるのですよね。
それに比べると、特殊な色や特殊な見せ方をせずとも、貼り方だけで印象の変化を付けられるのは、こんな工夫をされているから。

もちろん、こんな事せずに貼り進めれば仕事もスピーディーなのですが、あえてくどくならない方法で無垢材を活かす見せ方を考える。
言われたことしかしないのと、考えて進めることは機械と人の大きな違いだと思います。
効率的に機械的に仕事をこなす時代。

だからこそ、考えて仕事のできる大工さんが建てる工務店さんの家、というのは価値があると思うのです。
あ、AIの時代だから考える施工機械ができるのかな・・・

それに見逃してはいけないポイントがもう一つ。

横方向の一本のフローリングを介してつながれる上下のフローリング。
よく見てください。

少しだけですが、長さ方向の溝の位置がずれているのがわかりますか？
90mm幅のフローリングの半分、つまり45mmずつ溝の位置がずれているんです。
いや、ずらしているんです。

弊社のフローリングの多くは、90mm、130mm、150mmのラインナップがありますから幅が違うだけで印象はことなるのですけれど、一番デザインを活かせるのが90mmかもしれません。
遊べる、というんでしょうか。

まさに「ばえる」見せ方？！
特別高級でも、特別目立つわけでもない感覚的なデザイン。
面白くないですか？
ヘリンボーンという貼り方がありますが、それほどには主張しない貼り方の妙。

手間かけてますね(^^♪
普通の大工さんなら「めんどくさい」で終わるところだと思いますが、どれほど変態大工さん（称賛）なのかわかるでしょう？！

因みに、廊下部分と部屋部分も貼り方向が変えられていて、ここでも視覚的な楽しみがあります。
人間って感覚が大事だと思うので、こういったことができることが自然素材の利点であり、無垢材の家ならではなんですよねぇ。

こんな感じで。

そうだ、ここでも一つポイントが。
違和感、ありませんか。この写真。

貼り方向ではなくて、色合いの。

あぁ、オイル塗装しているからでしょ？！、って思いますよね？
違いますよ～！

これが無垢材、なんですよ。
見る角度、方向によって色合いや木目に違いがみられる。
印刷シートや薄い単板張りフロアーでは見られないもの。

さらにわかりやすく。

ものすごく顕著ですよね、これ。
撮影していた担当も、説明用にピッタリ！とニンマリでした。

2階はおそらくゆっくりとくつろがれる場所となる、と想像。
無垢材の家でくつろぐイメージというと、国策の影響もありスギが提案されるケースが多いと感じます。
もちろん、スギもいいのですがその場合だと、今回のようなデザインにはならなかったのではないかと思いますし、和風なザ！無垢材の家！！という押し出しになっていたのではなかろうかと思います。

洗練された施主さんのイメージ（担当の勝手な・・・）もあり、スギの節ありじゃないなぁ・・・ということで提案をさせてもらったノルデストウォールナット。
素材の持つやさしさは、スギのそれにも引けを取らずにスタイリッシュさを味わえるところがポイントでした。

写真には出していませんが、高台の立地から見おろせる借景を楽しみながら、ゆっくりと音楽を楽しめる空間になる二階。
それには、硬質でしっかりとしたものよりも音のなじむしっくりとくる質感をイメージしました。
木々、それも春には桜が見られるという窓があるのだから、室内は敢えて無垢材で木をイメージしすぎないほうがいいんじゃないか、と。

あくまでもイメージなんですけれど。

でも、なかなか完成をイメージしづらいお施主様の、頭の中というわけにはいきませんが、イメージに少しでもプラスになるのかもしれないご提案。
そうなればという勝手な希望ですが、工務店さんも大工さんもおさまりは非常にきれいにしてもらっていますから、あとはお住まいの印象がどうなるのか・・・

次回以降の一階部分の仕上がりとともに良い印象であればいいのだけれども・・・
材料提案の仕事が果たせたのかどうかは、お施主様の感覚ですから弊社としては白地のおうちに素材の味付けをさせてもらった、という感じです。
こんなふうに・・・

もし住み心地のいいおうちへの、クルミの指す「一本の道しるべ」にかかわらせていただけているとすれば嬉しいのですが…

次回はいよいよ、一階部分。
「奏でる」一階のご紹介です！

・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングワイルドグレードオイル塗装はこちらから（好評につき、売り切りました。）
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングワイルドグレードオイル塗装、旧家改修現場施工はこちらから
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングワイルドグレードオイル塗装、T市設計者の家改修施工はこちらから
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングワイルドグレードオイル塗装、古民家の「ケ」施工記事はこちらから

ワイルドグレード以外のノルデストウォールナット無垢フローリングは以下をご覧ください！

・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢つなぎ目V溝フローリングプルミエグレード 130mm幅オイル塗装はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢つなぎ目V溝フローリングプルミエグレード 130mm幅オイル塗装の施工写真はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢つなぎ目V溝フローリングプルミエグレード 130mm幅オイル塗装の和室改修施工写真はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢つなぎ目V溝フローリング150mm幅の記事はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢つなぎ目V溝フローリング150mm幅の施工写真はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢つなぎ目V溝フローリングプルミエグレード 130mm幅オイル塗装のあたたかなマンションリノベの施工写真はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢一枚物フローリングネイキッドグレード、150mmオイル塗装の和室改修はこちらから
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングネイキッドグレードオイル塗装、手仕事の大工さんのリフォームの記事はこちらから

＊ノルデストウォールナット無垢フローリングを採用頂くにあたって

ノルデストウォールナットフローリングは、水分や油分などでケバの立ちやすい樹種です。
それが樹種の特徴ではあるのですが、無塗装でも楓などの樹種とは手触りの風合いが異なりますので、必ずご覧になっていただいてから検討頂くことをお勧めします。

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2023年07月16日

七夕過ぎても出逢える姫君～糸姫の栃～

材木屋として見ている木材の栃（以下、トチ）のイメージは、いまや高級品！です。
一般的には「いまや」は余計なのかもしれませんが、それこそがトチなのです。

樹木ではなく木材としての価値評価は、節がないということとともに、美観や耐朽性、多様な寸法が木取できるか、用途としての性質に耐えるかなどが指標でした。

でした、としたのは現在ではそれだけではないからです。

トチだけではなく、シナなどの木材がそうですが芯材もあまり着色しづらい樹種は、相対的に耐朽性が低いため汎用性が低いことと、それに伴う用途が限られ木目も華やかではないことから、今までの木材利用では重要とされてきませんでした。
それは担当の実感であり、古い書籍を見てもそのような記述ばかりです。

しかし、決してそう卑下されるものではないことは、近年の木材利用と人気を見れば明らかです。
どうしても、そんな材木屋目線の考えをしてしまうトチ。

木材として人気の理由の一つは、大きなテーブルサイズの木材ができるから。
弊社でもよくご来店いただきますが、ダイニングテーブル用の材として非常に人気なのがトチ。

大きな材がとれる、ということは巨木に育つということ。
今回は、そんなトチの巨木の一つであり、また美しい名称をもつものをご紹介します。

岐阜県郡上市。

関西地方からのスキー、スノーボード客も多く押し寄せるスキー場が集まる奥美濃地域。
そのスキー場への道すがら、山中に足を踏み入れた場所に、お目当てのトチは立っています。

担当は、普段この地域には冬にしか訪れません。
言わずもがな、スキーの為なのですがだからこそ、雪のないシーズンにそこに行くのが少し変な感じがします。
といっても、郡上市にもさまざま巨樹が存在していますので、まだまだ紹介したいところなのですが、今回はあまり好きではない山中の巨樹です。
山中、という表現は正しくないかもしれませんね、茂み？中という感じでしょうか。

グー〇〇マップでは、近くにある「西日本最大スケール」のスキー場の写真が表示される当地。
国道158号の道の駅大日岳をこえ、さらに北上。
マップ上では廃棄物処分場の東、長良川のすぐ東そばになるのが所在地。

文面ではわかりづらいのが、山中の巨樹。
実際には、道の駅近辺から林道を入るので地図表示ほどは茂みを行かずともよいものの、上の写真のような場所です。

そこにひっそりとたたずんでいるのが、糸姫の栃です。

実は、担当が訪れたのはもう10年前。
もしかすると、もうこの看板ではなくなっているかもしれませんが、平成時代の歴史を感じる解説板です。
巨樹の中で、訪問する人が多い場所や有名で観光名所化しているところなどは、老朽化の前に看板が立て変えられることも珍しくないのですが、ここはどうなっているのか気になります。

この毛筆っぽい書体が、どこか歴史を感じさせるのでしょうね。
それにもう一つ、文面を見ると「高鷲村」との表記。

現在、高鷲という名はスキー場の名称にも残っていますが、現在の郡上市。

さて、その郡上市のスキー場の谷間のようなところに位置する茂みをかき分け、進んだ先に現れるのがお目当てのトチ。

地上からすぐに分岐しているためか、幹回りは6mほどとさほどではないものの、巨さを感じます。
それ以外に担当の場合は、岐阜県＝熊！（すみません、でも本当）というイメージですから、夏に茂みに入るという行為自体で特別な感覚になっていることが理由なのかもしれません。

こんな場所で出逢う巨樹。
特別感がありますよ。
周囲は青葉、そしてすがすがしい緑の香り。
気化熱で冷えた空気に乗って鳥のさえずりが聞こえる環境は、ヴァーチャルでは味わえない感覚。

巨樹の記憶は、そういった環境とともに担当の記憶にきざまれるものなのです。

そしてもう一つ、巨樹感を思わせるのは主幹とは別に後ろに伸びる枝。
正確には、このトチのものかは定かではありませんが、それが樹木として広がりを感じさせるところがあるのかもしれません。

当地は一部、棚田状になった地形なのですが、このトチの上部には明治初期まで製糸工場があったそうです。
お察しの通り、トチの名称である「糸姫」というのはそこからとられたものであるのです。

製糸工場で働く「乙女たち（と解説板にある）」が、このトチの周りに集い話に花を咲かせたことから、糸姫の栃と称するというのです。
なんともロマンティック！！

実は、現地にいると枯損したであろう枝の空洞部分が、巨大蛸の目のように見え、伸ばしたそれぞれの枝が脚に見えて仕方ないので、全くロマンティックさはないのだけれど・・・

推定樹齢は250年ほどということですが、「乙女たち」が花を咲かせてから凡そ100年余り。
その間にどれほどトチが生長したのかはわかりませんが、枝に苔むす姿は巨樹の威厳を纏っているようですし、草木が生い茂るようになり、特定の訪問者（担当のような巨樹巡り）しか訪れることがないような状況になりつつあることを思うと、本当にひっそりたたずむ、という印象が強くなります。

岐阜県にはほかにも、以前に紹介した洞のカツラのように集落が移転し人のいなくなった場所に残った巨樹もあります。
もしかするとこのトチも、数年か数十年で忘れられた巨樹になるのかもしれません。

七夕は過ぎてしまいましたが、ここにいるともしかすると、製糸工場の乙女たちではなく、織姫がトチの枝に衣をかけて、長良川で水を浴びる姿が見られるのではと思ってしまいます。

さて、熊におびえながらの茂みではありますが最後のお仕事である比較写真を撮りましょう。
の前に、お断り。

訪れたのは盛夏。
エアコンの車内から出るとモワッとする熱気ですから、どうしても軽装で出かけたくなる。
こんなに茂みに入ると想像もしていなかったこともあり、半袖に短パンという恰好で挑んでしまいました。

熊には出逢わなくても、様々な虫もいますので皆さんはこんな格好では出向かないようにしましょうね
（汗）。
少し湿気のある緑の香りに包まれて、この後トチがどのような成長を遂げ、どれほどの人に出逢うのか興味が尽きませんが、出逢えたことに感謝し帰路につきました。

その途中も、夏用タイヤで走行している自分の車に違和感ばかりだったことは言うまでもありません。

糸姫の栃所在地

岐阜県郡上市高鷲町西洞

GISコード
緯度：35.99416667
経度：136.89333333

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タグ：: 巨樹; 巨木; 所在地; 岐阜県; トチ; 栃

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2023年07月13日

材木屋の常識は、樹木学者の非常識？　③

前回のお話に、少し注釈していましたが「芯持ち材は強い」のうち、梁材はどのような状態の芯持ち材なのか、ということが関係してきますので、話を根太の方に絞りましょう。

無理をしてでも、根太には芯持ち材を使えとされていたのは芯去り材よりも強度が高いと考えていたから。
大工さんも先輩材木屋さんも、「そりゃ、芯持ちやで」と言ってました。
当たり前、という感じです。

何故当たり前なのか、その正確な理由はついぞ聞く事ができませんでした。
でも、おそらく感覚的なことや見た目のはずなんです。
それは、今まで何度も話題にしてきた「アテ」でも同じことなんです。

樹木としての性質や組成などを全く知らずに、イメージで決めつけてしまう。

経験や感覚も非常に大切なので、学問だけでは分からないことが沢山有ります。
しかし、裏付けるには学問も必要だし、学問を知っていれば気が付くことや答えに近づくことができる場合も多くあります。

一般的に言われる「枝（節）は南側に出る」、もそうですよね。

そういう場合もあるでしょうけれど、そうでない場合がほとんど。
山の斜面で、しかも様々な樹木がある時も、単一樹種の時も単純に南に枝が多いケースは少ないでしょう。
そういう性質も無いと思います。
それを優先して生き残られるほど、自然環境は甘くないでしょうし適応することによって変化していきますから、人間の単純な尺度だけでは測れないもののはずです。

しかし、そういうこともきちんと知っている人もいればそうでない人の方が多い。
学舎さんが知っている常識が、市井の人たちには知られていない。

担当が疑問に思うことが、既に試験で証明されていて「え？もうわかってるんですか？！」ということもありました。
流通の世界と一緒で、情報も分断されているということでしょうね。

そこを正しくつないで、木材流通も正しく行う。
そして喜んでもらう。
そのために、少しでも多くの「材木屋の常識」を変えていかねばなりません。
次回以降のきのむしラジオのネタにもなるのかも？！

タグ：: きのむしラジオ; 材木屋の素朴な疑問; 木まぐれコラム

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2023年07月10日

材木屋の常識は、樹木学者の非常識？　②

前回の、材木屋さんの常識はいかがでしたか？

それらしい事例をあげましたが、材木屋さんでなければピンと来ないかもしれません。
前回のお話、担当なりには思うんです。

材木屋さんの常識、その1
「横に寝かせておくと、乾きが悪いから立てておかなければならない。」

これは、細胞が云々という理屈がもっともらしいですが、寝かせて天然乾燥させているものに、含水率の偏りがないことから、あまり関係ないように思います。
というよりも、それくらいのことで細胞内の水が動かせるのならば、人工乾燥は飛躍的に進歩していると思うのんですけれど、どうでしょう・・・

材木屋さんの常識、その２

「末口を下にして立てた方が、早く乾く」

これも、その1と似たような理屈ですが、木の生長により水を吸い上げる方向を下に向ければ、細胞内の水が流れていくというもの。
これが正しいならば、人工乾燥機は立てかけ式にしておけば、非常に乾燥が困難な杉の黒芯でも、容易に乾くかもしれませんよね。

細胞の中を、パイプの様にして水が通っていくイメージ。

こんな話、大学教授や樹木学の先生には一笑に付されるんじゃないだろうか。
材木屋は、何を言ってるんだ・・・と。

でも、昔からこういわれてきて、担当もそう聞いて育ってきたんですよ。
材木屋の常識。

ここでついでにもう一つ。

材木屋さんの常識、その3
「梁でも根太（ねだ）や垂木（たるき）でも、芯持ち材は強い！」

梁は建築構造部材の一つ。
根太と垂木は、建築の床下地部材です。
特に、現代の様に土台や2階梁の上にそのまま合板を貼ってしまうような工法ではない時代の根太や垂木には、コスト的に無理をしてでも芯持ち材を使え！とされていました。

それと同じように、現代でも構造梁は必ず芯持ち材が強度がある、と思われがちです。
梁については、もう少し難しい事情が絡んでくるので一言では言えませんが、人間でも「芯のあるヤツやなぁ」とか「芯が通ってる」なんていうと、どこか強さや実直さを感じませんか？

そんな影響があるのかないのか、、、
芯持ち材は強度が高い、と大工さんも昔からおっしゃっていました。

昔は60mm角の根太材が、曲がりくねってしまうのは「強さゆえ」の事だと思っていました。
でも、それらは人間が期待するイメージだと思います。

その理由は、次回に。

タグ：: 木まぐれコラム; 木材に関する素朴な疑問

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2023年07月07日

材木屋の常識は、樹木学者の非常識？　①

信じるものは、救われる。
儲けるという漢字は、信じる者と書く・・・

学校で授業をするときに、たまに使う文句ですけれどやはり人間は、なにか信じるものが欲しい生き物なのだと思います。
材木屋にも、「信じるもの」があるんですよ。

たとえば、何度も話題にしている「アテ」のこと。
アテは癖が強い為に、強度があると勘違いされがちですし、材木屋さんも多くの大工さんもそう信じています。

今回は、きのむしラジオの収録で思い出した、「材木屋さんの常識」を信じるかどうかについて触れたいと思います。

材木屋さんの常識、その1
「横に寝かせておくと、乾きが悪いから立てておかなければならない。」

木材を乾かしたり保管するときは、場合によっては横に倒して桟を入れておきます。

この言葉を先輩銘木屋さんから聞いた時には、「細胞の中の水分が、寝かしてたら溜まったままになる。立てて流してやらんと、均一に乾かん。」という理由でした。
優良材を扱う銘木屋さんがそういうんだから、みんなそう信じますよね。

しかし、細胞の中にある水分（この場合は自由水という、吸放湿などで木材の細胞内外へ移動できる水分と思われている）は、寝かしているからといって溜まりっぱなしになるものじゃないとおもいませんか？！
池の水じゃあるまいし・・・

それならば、倒している材の下側ばかりに水分が偏るのかな・・・・・・

材木屋さんの常識、その２

「末口を下にして立てた方が、早く乾く」

はい、そうかも知れない。
そんな気がする。

末口（すえくち）というのは、樹木であったときの先の部分。
つまりは、木材となれば樹木として立っていた状態と反対向きに立てかけろ、ということです。

たしかに、末口の方を下にして立てた方が水切れが早い様な気がする・・・
そう、気がする。

だって、土から水分を吸っているんだもの。
葉っぱの方にあがっていくんだもの。
その方向に逆らわない方がいいに決まっている！？

でも、それって本当にそうなの？！

タグ：: 木まぐれコラム; 木材に関する素朴な疑問

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2023年07月04日

ネット記事より新聞記事、それを補完のきのむしラジオ

このブログを始めた当初は、おこがましくも、今よりもネット記事の内容が粗雑であったり、木材に関してまったく間違った宣伝がされているものが多くあったように思います。

もちろん、現在も一部では迷信のようなお話や根拠のないものなど、多くの「？！」な記事や動画がありますが、多くの情報が氾濫する時代にはもう、情報を得る人がその情報をどれくらいよどみなくうけとれるかによって、伝わり方が変わるんではないかと思っています。

木材に限定すると、近年では温暖化防止や森林の循環利用とCO2削減などの名目での用途へ「利用」されることの多い、国産材利用。

その度に目にする、「安価な外材に押されて、国産材の需要は激減・・・」的な言い回し。

安価な外材に押されて・・・

それは本当なのか・・・

いや、何を基準に「安価」なのか。
そして、どこを比較して「安価」なのか。
外材（外国産材）と国産材は、同じ基準で比較された上での話なのか？！

ネット記事であれば、配信する人や企業の意図が含まれることがあり、情報の意図を考えることが必要だと思いますが、テレビや新聞などの「信頼できると思われる媒体」でも、必ずしも正確な情報だといいづらいことがあると感じます。

森林林業は、限られた記事や時間の中で語られるほど、単純な世界ではありません。
そこに木材業界や住宅産業ということにまで話をひろげると、何を基準に話しているのかがわからなくなることがあります。

材木屋の肌感でいえば、その「安価な外材」は戦後の需要旺盛期に始まり2000年代初期のホワイトウッドの台頭迄続いたような気がします。
特に、担当が身近に感じた外材は、ホワイトウッドでした。

杉材と比較されることの多いホワイトウッド。
拙ブログでも、幾度も取り上げてきましたが今回、改めて木材流通の観点から「ホワイトウッドとスギで見える、安価な外材」のお話を、きのむしラジオのネタにしています。

是非、街の材木屋の生の声から感じる近年で語る「安価な外材」の真実を聞いてみてください。

え？！そうなの？！という気付きがある？かもしれませんよ。

きのむしラジオ第6回URL

https://open.spotify.com/episode/6DreY3Gmvswa0z2PrL1mZ8?si=fFkxCmxxS3O9MVtYeINMRQ

タグ：: きのむしラジオ

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2023年07月01日

和の伝統を、次の百年へ輝かせる・・・　~石山赤松幅広無垢一枚物フローリングが光る玄関~

今回紹介する無垢フローリング施工は、旧家の素晴らしい建築の玄関エントランスの改修でした。

居室部分は畳の続き間が残され、昔ながらのお客様を迎えられる広々としたエントランスを、「マツ柄」の合板フロアーから本物の地松無垢フローリングへの貼替。

和室改修での地松フローリング採用は、以前にも紹介しましたし、モダンな新築現場への採用もご紹介しました。
今回の採用場所は玄関スペース。

部屋ではないものの、伝統建築のおうちではお客様を迎えるとっても大切な空間。
現在の建築では考えられない広さは、旧家でしか見られないものですが、この余裕が建築全体の重厚感も醸し出しているように思います。

ケヤキのウレタン塗装された上り框が、歴史と重厚感を感じさせます。
最初からこの色合いだったわけではなく、おそらく長い年月により出た経年変化のはず。
深みとツヤが、たまらなくいい感じ。

そこに、白い肌の石山赤松幅広無垢一枚物フローリングが施工され、現在では少しアンバランスに感じられるかもしれません。
現代社会では、この時間とともに経年変化した味わいを、施工の瞬間から似たような質感にしようとする場合があります。
違和感の無いように。

しかし、違和感が出るのは当たり前。
そこに、時間の経過でしか表せない味わいがあり、それが無垢材と過ごす価値でもあるからだと思うのです。

そして、その時間の経過による変化で、既存の建物に馴染んでいき一層の深みを出してくれると信じて提案するのが、石山赤松なのです。

フローリングとしての提案は様々あります。

しかし、旧家のこの雰囲気での提案は限られると感じます。
フローリングのみの貼替で、上り框が残されることも聞いていましたから、既存に合うものとなればこれしかない。

その理由は、写真では分かりにくい？！、いや分かってもらえるはずの「艶」なのです。
地松だからこそ出せる、樹脂分による艶。

逆光気味のこの写真。
フローリングの表面が、若干黄色く光っていることが見て取れると思います。

これが、地松の持つ艶であり、樹脂。
古くから、床を磨いて光らせることのできる脂分。

玄関框に負けない雰囲気と風格を備えていくことであろう、艶。
そう期待するのは、多くの古民家や伝統建築で目にしてきた、地松の姿です。

それは、現地でも見る事ができました。

玄関と和室との取り合い部分の差鴨居。

ザ！地松。

以前に紹介した、弊社が納材させて頂いた地松造りの家の梁もそうでしたが、深い艶と飴色の色合いへの経年変化は、ヒノキやスギとは全く異なるもの。

この色合いと変化をみてきたからこそ、伝統建築には石山赤松フローリングをおススメするのです。
10年後、20年後にこの梁に負けないほどの艶を光らせ、来客をしっとりともてなす玄関の一部分となることを期待して。

そして、そのころには違和感は全く無くなり、以前からずっと建築の中にあったような存在になる。

実は特徴的なこの艶は、一般的なフローリングとは仕上げが異なるからこそ出てくるもの。
地松が全て、こうなるわけではありません。

一般流通のマツフローリングや、パインフローリングではこのような艶にはならないことは、その経年変化を弊社ショールームで見て頂けます。
その秘密は、大工さんの鉋（かんな）かけと同じ理由。

現在の「無垢材の家」では、木を使った建築をアピールされる場合がありますが、その多くはサンダー仕上げ。
つまりはサンドペーパーによる研磨仕上げです。
もちろん、それでもきれいに仕上がるのですが、大工さんが鉋をかけた木材は、サンダー仕上げでは出すことのできない艶があるんです。

仕上の違いは、以前の木まぐれコラムと吸水試験を行った木まぐれコラムを見て頂けると一目瞭然。

それが必要かどうかではなく、その仕上げが経年の変化に大きくかかわる事と、特に地松の様に樹脂を含む無垢材の場合は、艶を引き出す事ができるかどうかにかかわってきます。

玄関から差し込む光が、そのまま映り込むような仕上がり。
これこそが、地松の性質を活かした仕上げであり、木の持つ力を引き出した仕上げだと思います。
無垢材だからこそ感じられる、経年変化の美しさを出すことのできる仕上げ。

それに加えて、石山赤松フローリングは超幅広の180mm幅。

一般的な無垢フローリングが90mm幅であることを考えれば、2枚分！！倍の幅です。

マツという樹種の樹形を想像できる方は分かるはずですが、180mmという幅で1820mm（一部910mm）の一枚物のフローリングを製作することがどれほど難しいことか。

しかも、マツは節（枝）が非常に多く出る樹種であることから、写真のように節のないものを産するのは、さらに難しい。
それがわかると、一層この石山赤松幅広無垢一枚物フローリングがどれほど貴重なのかがわかってもらえるのです。

何気ない美しさと貴重さを兼ね備えた、石山赤松幅広無垢一枚物フローリング。

マツ枯れなどの影響と、近年の建築用途で使われないことに起因する供給量の少なさから、一層貴重になるマツ。
弊社では、伐採企画などを通じてマツの利用と森林環境に関わることを通じて学び考える活動も行っています。
そこでも深くかかわる地松を、もっと知ってもらうためにも、マツの持つ力と美しさを伝えられる存在である石山赤松。

伝統建築にだけではなく、多くの木造建築に採用して頂きたいと思います。

・石山赤松（せきざんあかまつ）幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・石山赤松幅広無垢一枚物フローリング、和室改修現場への採用例はこちらから
・石山赤松幅広無垢一枚物フローリング、他にはない素材の家への採用例はこちらから

・石山赤松無垢一枚物羽目板（目透かし加工）はこちらから

・地松を知るための木まぐれコラム、うららに待つ（松）は桜に非ず・・・地松　～赤松と黒松　①～はこちらから
・地松を知るための木まぐれコラム、「超えた加工」は素材の性質を活かせるか？　①はこちらから
・地松を知るための木まぐれコラム、無垢フローリングの滑りを、オイル塗装で軽減します　①はこちらから
・日本の赤松、構造材「地松梁」の素材紹介はこちらから
・日本の赤松、総地松梁構造材の家の上棟はこちらから

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タグ：: 石山赤松幅広無垢一枚物フローリング; 無垢フローリング; 無垢フローリング選び; 幅広; 一枚物; 無塗装; 施工写真; 赤松; 地松

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