本物の無垢木材　～茨木市戸田材木店・セルバの木の虫ブログ～:2023年03月

トップページ » 2023年03月

2023年03月

2023年03月30日

無垢フローリングの滑りを、オイル塗装で軽減します！　①

無垢フローリングの表面仕上げ、気にされたことありますか？
表面仕上げというと、オイル仕上げかウレタン塗装か、もしくはスギならば無塗装か？！ということを想像しますが、今回は違います。

いや、その塗装のことなのですが、担当がまずお伝えしたいのは塗装の前の表面のことなのです。
一般的な木材の仕上げ方法としては、プレナー機で表面を平滑にし（これが仕上げにされる場合もある）、その後サンディング仕上げをするか超仕上げという刃物仕上げをするかです。
プレナーではなく、最初からモルダー機というもので切削と仕上げを兼ねる場合もあります。

この表面の仕上げの違いは、選択肢として気にされませんし、普通はそこまで紹介されていることはありません。
弊社では、そこに非常にこだわっているんです。

高樹齢杉シリーズの古希杉や百年杉柾の浮造り、そして埋め節フローリングのモルダー仕上げ。
それに、石山赤松の超仕上げ。

そして広葉樹フローリングのサンダー仕上げの違いは何か。

それらの違いは、もちろん外観にも影響するのですがもっとも重要なのは「塗装される下地になるかどうか」という点。
無垢フローリングで必ず気にかけられる点、それは汚れ。

傷は多少構わないとしても、汚れが残るのは気になる。
そういうご意見は多くあります。

その汚れを防止するのが塗装。
塗装の選択肢は上記のほか様々ですが、塗装をする場合はほぼサンダー仕上げにせねばなりません。

塗装下地は塗料の活着や浸透に配慮せねばなりませんから、モルダーやプレナー、超仕上げなどは浸透性が低くなりがちなためにおススメできないのです。

超仕上げなど、素の状態でめちゃくちゃ綺麗なのですが・・・・

塗装の活着や浸透性が低い、ということは汚れの防止効果が低い、ということにもつながりますが、そこはあまり大きな問題ではありません。
いえ、正確に言うと塗装できないわけではないので防汚性能はある程度確保できるものの、本当の課題はサンダー仕上げでないと「滑りやすくなってしまう」ということなのです。

・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ

＊2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧　
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp

・無垢材と樹木が大好きな材木屋が配信する、きのむしラジオ | Podcast on Spotify
https://open.spotify.com/show/6HBMrFR3UFHaNLNfgdFE8l?si=ff6525ab5d0f464a

タグ：: 無垢フローリング; 無垢フローリング選び; 幅広; 一枚物; オイル塗装; 無塗装; 滑りにくいオイル塗装

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2023年03月25日

きのむしラジオ、はじめました！

なんか、街の中華屋さんのお知らせみたいなタイトルになってますけど（笑）、街の材木屋が始めたのは「インターネットラジオ」。

今、密かに（と思っている・・・）はやっているらしい、ネット配信ラジオ。
放送局ではなくて、個人がインターネットで話題を配信していたり、企業が配信していたりしますが、いよいよ材木屋もはじめます。

ホームページ開設前から、YouTubeでの自社の取り組みや想いの配信を考えていたものの、コンテンツやその見せ方などを考えると、どうも納得のできるものを作る自信がなく、立ち止まっていたのが動画。
しかし、現在は動画だけではなく音声として様々な内容を発信する時代になっていますから、それなら！と聞き役になってくれる先輩のお力と影の編集担当協力者を得て、このたび「きのむしラジオ」と銘打って配信することになりました！

このアイコンが目印！
URLはこちら！！

きのむしラジオ | Podcast on Spotify
https://open.spotify.com/show/6HBMrFR3UFHaNLNfgdFE8l?si=ff6525ab5d0f464a

収録は思い立ったが吉日！ということで、アイコンや当初の配信内容を一気に決めていったものの、なかなかいい感じではないでしょうか。

アイコンに採用した木材はナラ！
えぇ！ナラなの？これが。と思うでしょう？
そうなんです。

高樹齢の地松や地栂にまれに現れる「蟹杢」のような、特異な杢をもつナラ。
この材には虎目（虎斑ではなくて）も出ていて、とっても美しいのですがなんといってもナラで見かけることは非常に珍しいこの木目は、普通の材木屋ではない雰囲気を醸し出すにはベストマッチ？！と考えて採用しました。

この木目は偶然の産物ですが、若齢木では現れませんから高樹齢木と生長の環境が作り出した、特別なナラなのです。

そして、肝心なラジオトークの内容は材木屋さんから見た木材や、木材業界のことから派生して環境のことや森林のこと、そして携わる人のことや仲間内でしか話さない裏話、そして個人的な想いなど多岐にわたります。

第一回のメインテーマはヒノキ！

材木屋さんには非常に身近かと思われるヒノキですが、実は街の材木屋さんではそんなに身近ではなくなっている？！んです。
国産材活用の時代なのに？と思われますよね？
ヒノキにもさまざまあって、使う場面もあるものの決して扱いの多いものではなくなっている現実。

そして、そこから見えてくる業界のことやヒノキに対するイメージなど、脱線しながら進めていきます。

たわいもないやり取りの中で、会話だからこそ出てくる想いなども生きた言葉として発せられています。
小さな材木屋が、どのような想いを持っているのかを、ブログの文章だけではない「担当の生の声」としてお届けします。

え？こんな声の人なの？！が、良い印象として聞こえますように・・・（汗）。

是非、チャンネル登録フォロー、よろしくお願いいたします！！

・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ

＊2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧　
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp

タグ：: きのむしラジオ

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2023年03月19日

まさかの登場、合板で・・・　～軽視される南洋材、アカシア～ ④

濃い色目で人気なブラックウォールナットの合板フロアーですが、そちらよりもむしろ落ち着いているというか、シックで主張のないところがとってもいい感じ。

自然な辺材（白太）が含まれていたりすることや、大径木からの生産を感じさせる柾目が主体で板目が混じる木目は、一般的な無垢フローリングのアカシアが「目粗な板目中心」であることを考えると、無垢材よりも値打ちがあるとさえ思えます。

そのうえ、無垢材にはない表面の耐汚染性や多少の傷にも耐える性質、そして床暖房対応という性能は、もう無垢のアカシアをおススメする理由がない、と思わせるものでした。

お部屋の質感を拝見したときに、「こりゃ、アカシアしかない！」と思った私の考えは正解！と自画自賛する仕上がり。
「ラワン時代」の建築には、ものすごくおススメ。

まさか、この樹種を合板フロアーとともに紹介することになるとは思いませんでしたが、自然環境が叫ばれる昨今。
今後は木材利用においても、今以上に植林材やプランテーションについての利用が注目されるでしょう。
しかし、そんな中でも木質に着目して商品にしている合板メーカーさんがあること。

それは、無垢材以外は木材じゃない！、銘木ではないものは一般木材で低質材、という偏見ではなく様々な材料を扱っているからこそわかる違いやメーカーさんの努力とこだわりを感じられる材木屋だからこそわかること。

産地によって木材の質や特徴が違う。
そんなことは、昔の大工さんや材木屋では当たり前のこと。

それを忘れかけている時代だからこそ、この合板フロアーが教えてくれることはとっても大きいと感じたのです。

一枚物のチークも、そしてこだわるからこそのUNIタイプの産地限定の芯材チークも、天然実生のチーク材もすべてを提案できる材木屋だからこそわかる違い。
どれがいい、ではなくてどうしたほうがいいかを考えること。

単なる利用ではない木材のこと。
そういったことを考えるきっかけになる合板フロアーのこと。

今回の施工記事から、そんなことも感じてもらうことができれば、弊社の立ち位置もしっていただけるのかな、とちょっと考えたアカシアの記事になりました。

・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ

＊2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧　
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp

タグ：: アカシア; 無垢フローリング; 無垢フローリング選び; 木まぐれコラム

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2023年03月16日

まさかの登場、合板で・・・　～軽視される南洋材、アカシア～ ③

アカシア材は、南洋材とまとめられる生長の度合いによる年輪がぼんやりとしている、褐色系の木材の特徴を持っています。
本来、硬くて粘りがあり衝撃にも強い（ここが、古代より椅子や調度品に賞用された理由だと思いますが）とされています。

現在では、文献のそういった記述からか、貴重な硬質南洋材で製作されてきたトラックボディーの素材の代用（集成材利用）にされたり、針葉樹よりも硬質でありながら安定的に大量に入手できるプランテーション樹種としての利点から、強度を求められる部分に利用が進んでいますが、年輪ははっきりしないとはいえ、もともと生長の早い樹種を人工乾燥で「カンカラカン」（一部の材木屋さんが完全乾燥を示す地域的な用語）にされてしまったものに、文献で期待するほどの強度があるのかは、使う人の判断になると思います。

ただ、年輪がはっきりとしないものの比較的重硬であるものの、素材の耐朽性は高くないという欠点がありました。
そこに目を付けた、基、着目した利用が薬剤注入保存処理。
硬質な木材の中には薬剤処理しづらいものも存在します。

そんな中で、硬質な割に薬剤処理しやすく入手も安定的という理想的な条件を持っていたアカシア。
そこに、トラックボディーや屋外使用木材、薬剤注入集成材や単板利用などの工業製品化による利用の道が開けたのだと思います。

工業製品化に非常にフレンドリーだった木材、ということになりますね。

ラワン材と称される仲間もそうですが、大径木に生長し節もなく、そして目立った欠点が少ない樹種は日本の木質材料の歴史を支えてきてくれた樹種です。
ラワンベニヤがそうですものね。

無垢材利用ではないものの、今でも多くの建築現場で使用されています。

昔は階段や造作材もすべてがそうでしたもの。

そして今回改修させてもらった現場は、その「ラワン時代」の名残を遺すおうち。
応接間と廊下、そしてキッチンを改修させてもらったのですが、壁の銘木合板や天井の仕上げなどに当時の面影があり、懐かしい！
私が育った祖父母宅も、ちょうど同じような仕上げでしたから、妙にホワホワするんですよね（笑）。

もともとのフロアーも、懐かしい「市松」フロアー。
表面の単板は美しいものの、数十年経過すると床下の湿気はなくとも接着層が剥離してしまっていました。

そうそう、今回の改修が無垢材ではないのは施主様の希望だからです。
そして、フロアーの剥離劣化の原因も床下の湿気ではなかったため、一般的に比較しがちな「合板はボロボロになるけれど、無垢材はそうならない」という宣伝でのリフォームではありません。

造園を生業とされ、無垢材や樹木の好きな施主さんですから床も無垢、と思うところですがそうではない。
そういうケースがあるという例での紹介なんです。
現在の合板フロアーが、今後数十年でどのように変化するかは見続けねばわかりませんが、きっと証人になってもらえそう。

そうこうして貼り進めての完成は、やはりいいものでしたね。

タグ：: アカシア; 無垢フローリング; 無垢フローリング選び; 木まぐれコラム

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2023年03月11日

まさかの登場、合板で・・・　～軽視される南洋材、アカシア～ ②

それを実感するのがこの比較。
無垢フローリングのオイル塗装と並べてみました。

前回お伝えしたのように、無垢フローリングでもアカシア材はあります。
ナラ材のフローリングなどが高騰している現在、安価な無垢フローリングとして一時多く流通したのがアカシア。

多くの地域でも植林が行われており、硬質なものは集成材として利用されることもあります。

そうです、硬質なものは・・・

ここもアカシアにとっては大きなポイントです。
アカシアは文献によると仲間は全世界に800種ほどあるといいます。
植林での生長が驚くほどよく、造林種として脚光を浴びるのがアカシア。
材木屋としては、生長がはやい樹種というのは未成熟材が多く寸法安定性に欠ける場合が多いと思ってしまうわけですが、芯材形成も早いうえに現在では無垢材としての利用のほかに、ゴムの木と同じように集成材やパルプ用材、チップ材や燃料としての利用も視野に入れられているということで、必ずしも無垢一枚物の用途をめざしているものではない、プランテーション樹種なのです。

そこに、環境が異なる土地という要因が加わった上に、人がかかわる植林という方法を経て算出される木材は、同じアカシアでも大きな違いがあるのです。

そう、ここが私の気になるところ。

同じアカシア材でも、産地により違いがある。
無垢材でも実感することを、このフローリングではその違いにこだわって材料選定されているところが、合板フローリングながら気に入っているのです。

本来アカシア自体は安物の木材というものではなくて、かの有名な「ファラオの椅子」がアカシア製であるというのは、非常に有名な話。
先のように、だからといって現在流通しているものが同様の材質で優れている、というものではありません。

どうしても、木材の流通においては「昔のこういうものに使われているものが現存している」として、その優位性を誇りますが、それらと現在のものは大きく異なりますし、産地も異なれば樹齢も違うし、人工植林で太らせたものと天然実生の大木があった時代のものとは大きく異なります。

そこが、私がアカシアの無垢フローリングを強くススメない理由（UNIタイプしかなく木質が優れているわけでもなく…）なのですが、実はこのメーカーは産地にこだわっているらしいのです。

昔から、東南アジアにて自社工場を持ち木質材料と無垢材素材を生産していたメーカーさん。
だからこそ、こだわることができたのだと思いますが、ほかの建材メーカーさんのアカシアとは異なるために、弊社が気になり産地を訪ねたところ「そこは戸田さんでも・・・・企業秘密なんですよ・・・すみません。まねされると困るので・・・」という担当さんの回答。

かなり永いお付き合いのメーカーさんで、いろんなことに応えてくれるのですがこの回答。
いいんです、それで。
そのこだわりが好きです。

メーカーさんがそう思うくらいに、自社製品に他社の扱うアカシアと違いがあると認識しているということ。
アカシア材は、産地による違いが非常に大きいと認識しているということの裏返し。！

もちろん、販売する営業さん全員にそこまでの知識はありませんが、材木屋としては微妙にうれしいところ。
工場生産の建材として違いを持たせにくいところ、表面のわずか0.2mmほどの素材にこだわるところ。

それに共感する人は日本中でも、ほんの一握り、もいるのかわかりませんが私は非常に気に入りましたし、もちろん品質も良く、今回リフォームに採用させてもらったというわけです！！

タグ：: 無垢フローリング; 無垢フローリング選び; アカシア; 気まぐれコラム

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2023年03月08日

まさかの登場、合板で・・・　～軽視される南洋材、アカシア～ ①

弊社が樹種を紹介するときは、ほとんどが無垢材として紹介しています。
それは、加工される前の状態やその性質を取り上げたのちに、使われる状態を紹介したいから。

弊社は無垢の木材だけではなくて合板や、時には木目のプリント物なども扱っています。
特に、フローリングについては無垢材でお客様の要望に応えられないとき、迷いなく合板フローリングをおススメします。

無垢材は好きだけれど、すべての人に無条件に「良い」ものではないとも思っています。

アレルギーのある方や精油などにも過敏に反応してしまうケースもありますし、どうしても機能面を重視したい場合もある。
しかし、そんなケースでもおすすめするものにはこだわりたい。
おススメするからには、それなりの理由が欲しい。
まぁ、担当のエゴの部分なんですが。

とはいえ、合板フローリングを製作しているメーカーさんも、もちろん商品を魅力あるものとして製作しているはずですから、ちゃんとおススメする理由があるものです。

近年は、フローリングのトレンドも様々で「ラスティック」と呼ばれる、無垢材の節や変色などのある部分の衣装を取り入れたものや、「プレミアム」という希少樹種の表面単板を使用したものなどがあり、本物の質感を非常にうまく再現していると思います。
挽板フローリングを初めて見た時も、同じような思いでした。

しかしその分、無垢材と比べると無垢材っぽくないと感じることもあります。

基本的に、用途は同じ床としてでも、合板フローリングと無垢フローリングは全くの別物ですが、見た目が似ているだけに比べてしまう。
そこをバランスよく表現しているのが、このアカシア。

一般的なデータでは、平均比重が0.78、幹回りは1～1.5mという比較的大きく生長する樹木。
大木になるものから草本までを広く含むマメ科の樹種。

しかし、樹木の書籍には材色は特に美しいものではなく、材自体に装飾をして用いられている、とあります。
本来は、装飾を施したりする素地の役目だったのかもしれません。
後述する有名な椅子も、そういった理由で使われていたのかも…

しかし今回のアカシア材の合板フロアーは、カタログでみるよりも実物のほうがはるかにいい！と感じた珍しいケースです。
ふつうは、とてもきれいに撮影されているカタログと比較すると、「あぁ、こうなっているのか。やっぱりね」と自分の中ではイメージダウンしてしまうのですが、ショールームで見た時これは全く違って「本物と一緒やん！」と思ってしまったのでした。

それは綺麗すぎないけれど、きれいに貼りあがる見た目です。
施工の写真を見てもらえればわかる通り、特段の節や変色などの特徴的な無垢材の見た目はありません。
しかしだからこそ、わざとらしさがなく無垢材特有のオイル塗装のような色と質感を感じられるのだと思います。

・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ

＊2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧　
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp

タグ：: 木まぐれコラム; アカシア; 無垢フローリング; 無垢フローリング選び

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2023年03月05日

門前の高僧、後世に名を遺す　～婆羅門杉（下之坊の大スギ）～

近年、ほぼ月イチで公開していたため、一か月飛ばしただけでかなり久しぶりのように感じているのは、私だけでしょうか。
先月は、長々続く広葉樹シリーズの最中だったため中断するわけにはいかずに進めていると、2か月ぶりの巨樹の記事となりました。

今回紹介するのは、非常にインパクト抜群な名称のスギ。

弊社のある大阪府の隣県、奈良県。
近そうに感じるのですが、実際は山を越えたり渋滞を抜けたりでなかなかな道のり。
そういうイメージからか、お隣という感じが薄いことは否めません

しかし、見事な巨木が多いこともある上に、趣味の車での走行の舞台であったり、もしくはモータースポーツの聖地である鈴鹿市へ向かうための交通の要衝でもあるのです。
その奈良県天理市の市街から離れた場所に、山門の如くにそびえているのが、その名も婆羅門杉！

2本の巨杉の並び立つここは、下之坊と称されている元寺。
「花の寺」としても有名な長谷寺の末社だそうですが、さすがに華やかさはありません。

天理市、といっても市街地から山間に入ったところだからということもあるのですが、それがかえってゆっくりと「婆羅門」に対峙する時間を与えてくれるのです。

奇異なその名の由来は、婆羅門僧正に由来するとされています。
十一面観音さまに願い事をし、再度婆羅門杉に願い事をすると叶えられると伝えられるそうですが、お百度と同じような行為なのでしょうか。

樹齢八百年、という表記から想像するほどの太さではない幹回り6.8mという数値ですが、ここで特筆すべきはやはりその姿。

杉は時折、想像を絶するような異形をなすことがありますが、それほどではないものの特異な形状。
二本あるうちの一方、北側は天理市のホームページによれば幹回り7.4m。
その数値ではなく見どころは、その枝ぶり。

奈良県天理市　下之坊の婆羅門杉23

どっしりとした幹の上部でたけだけしく分岐し、水平方向に伸びたのちに垂直に天を目指す大枝。

伸び方自体は特殊な状況ではないのですが、多雪地域や日本海側などに多い「ウラスギ」という形態では多くみられるものの、内陸部の奈良県でこの姿というのが非常に珍しいように感じます。

奈良県には、以前に紹介している八房杉や高井の千本杉など、異形のスギがありますのでその姿自体驚くことではないのかもしれませんが、植物の生育という観点で見たときには、特異な環境にあったのだろうかと思いを巡らせるに十分な形状をしている婆羅門杉。

もしかすると、婆羅門杉が生長過程にあったとき大雪のが続き、一生懸命に伸ばしていた枝にも着雪し、少しづつその重みに耐える行為を続けているうちに、枝の付け根に「アテ」が形成され現在の形状になった、と考えるのですがどうでしょう。

奈良県天理市　下之坊の婆羅門杉20

太陽光の影響や風など、生育環境には大きな影響を受ける樹木ですが、この枝はそのものにかかる荷重が鉛直方向に働き続けたことを示唆している、と考えたくなるに十分な楕円形をしています。

全体的に太くなるというのではなく、下垂するように枝の下側に「頬杖」よろしく不均一な形状を有している。
一材木屋である担当の邪推とは別に、枝に関する情報がもう一つあります。

それは、枝が折れる、ということ。

どの樹木も、巨樹巨木以外でも枝が折れることは珍しいことではありません。
しかし、巨樹ともなるとその枝一つでもかなりの大きさと重さになります。

特に、今回のように貴重な建築物や民家の近くにある場合は、折れた枝により被害を受けることになります。
近年の大型台風で、幹そのものを倒壊させられた例も幾つかあり、日吉の神社のタネスギのように大きな被害がない場合もあれば、岐阜県の大湫神明神社の大杉のようにたまたま道路側に倒木したようなケースもありますが、いずれにせよ事前対処するのか事後処理にするのかはその樹木に対して、どのようにかかわるのかを考えさせられます。

婆羅門杉においては前者の事前対処をされているのです。

小枝も含めて、日本の巨木からの落枝は多くあるようで、近年も大きな枝が折れて建物の屋根を損傷したそうです。

それを受け、以降は定期的に枝を除去するなどの対応をしている、と現地にいらっしゃった地元のご主人から教えていただきました。

切りたくて切っているのではなく、やはり仕方ないのだとおっしゃっていました。
ネット上にある婆羅門杉の写真には、以前の枝を茂らせていた姿も散見されますが、担当の写真と比較してみていただくとわかる通り、正面からも枝が切られた切断跡が確認できると思います。

山中の巨樹の場合や、増えてきている「ほぼ住人のいなくなった集落」においての残された巨樹の場合は、落枝や倒壊の危険を考えることはほぼないでしょう。
しかし、身近な巨樹の場合は数百年の樹齢を数える場合、そのかかわり方の中に信仰や畏敬の念に合わせて、万が一の場合にも備えなければならないのかもしれません。

巨樹巡りをしていると、期待していた巨樹が見当たらず伐採された「静かな株」だけが、私に年輪を誇っている場所がいくつもあります。

貴重な樹種や太さの場合にはもし、現存していればどれほど立派で敬われるべき姿なのだろうかと思うのですが、人が近くでかかわる以上は早期伐採という選択も仕方ない時もあります。

担当にとっての巨樹巨木は、単なる大きな植物ではありません。
ましてや、単なる訪問記でもなく記録でもありません。

その場所での空気を感じ、触れられる時には触れ、環境や気候を感じて土を踏みしめ、観察し想いを馳せ、そしてかかわる人たちや住まい人たちのお話を聞く。

生きた一人の人間が、数百年数千年の樹齢の生き物と対峙し、そこに代々かかわる人たちや環境の変化のことを知り考える。
その時間をかみしめるための巨樹巨木巡りだと思っています。

婆羅門杉の表す姿もその一つ。

奈良県天理市　下之坊の婆羅門杉６

担当は街の材木屋でありますが、単なるモノ売りではありません。
いや、そうではないと思っています。

自社記事で巨樹を紹介するのも、どこかそんな想いがあるからです。
木材の組合誌において巨樹コラムを担当していることもそうです。

木材、ではなく樹木であり、その樹木をはぐくむ山を知ることは翻って人間の生活や環境やそれに必要な物事を考えることになりうる、とちょっと哲学的？！なことを考える時もあります。
そんな考えの一つが今回の婆羅門杉の姿でもありますし、名称でもあります。

奈良県天理市　下之坊の婆羅門杉21

正面の枝が残っていたなら、これほど明るい写真ではなく印象が変わっていたことだと思いますが、これも現在の姿。

今後また数百年、どのように人と関わりどのような姿になっていくのか。

そんなことを想像し、また樹木や植物、木材に思いを馳せる。
そんな契機になる婆羅門杉でした。

婆羅門杉（下之坊の大スギ）所在地

奈良県天理市福住町265

車通りは少ないですが、ご迷惑の内容に駐車しましょう

・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ

＊2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧　
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp

タグ：: 巨樹; 巨木; 材木屋の巨樹木甦; スギ; 杉; 奈良県

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2023年03月01日

縮杢化粧合板仕上げと、片持ち階段の家完成！

やっぱりすごいなぁ、と思うことがあります。
専門性が発揮されるのを目の当たりにするとき。

今回、施工完成写真を撮影させてもらった現場は、いつもなら弊社の商品をメインに紹介するのですが、建築家さんの納まりやデザインなどが非常にきれいで、また商品以外の職人さんの仕事も美しく、こんな完成度のおうちに住まわれる方がうらやましいなぁ、と思ったため全体の写真掲載をお願いし紹介させてもらうところなのです。

まだ完全完成ではないものの、玄関を入ってすぐに目につくのが、この片持ち階段！

一般的には、階段は両側を壁に囲まれていたり、大きな木材で階段自体を支えているのですが、この階段には支えとなる材がありません。
片方の壁に引っ付いているだけで、そのほかの部分は「宙に浮いている状態」なのです。

え？！支えがなくて大丈夫なの？！と思いますよね？
私も思います（汗）。
自身が納品していながらも。
しかし、そこが大工さんと建築家さんの仕事。

実際に上ってみましたが、全く揺れることがないどころかしっかりしているし違和感がありません。

こういったことを、何事もなく完成させるところが手仕事のできる大工さんと、詳細なおさまりを考えられる建築家さんの妙だなぁ、と思います。

これはこのおうちに来られるお客様も、驚きのポイントであること間違いなし。

私は実は、このアングルが好きなんですけどね。

今回、壁は塗装仕上げになっていたのですが、その仕上がりも秀逸なのです。
大工さんの下地が良いことももちろんなんですけども、塗装したとは思えないような塗装、と言ったらいいのか・・・
素材そのものが、最初からこの色合いであったかのような質感なのです。

そして、その自然な風合いを曲線がさらに柔和な印象を与え、その先にある角の印象をさらに和らげてみせる。
いや、対比されてよりはっきりとするのかもしれません。

まるで絵画の額のように・・・

床は、自然な雰囲気の挽板フローリングのオーク節あり。
破綻のない凛とした壁仕上げに対して、素材感が引き立つ仕上がり。

挽板フローリングですから、1820mmで一枚物の表面仕上がりは、「うるさくない」自然な印象。

そして、通常であればフローリングに重点を置いて撮影することばかりなので、上を見上げることはそう多くはないのですが、今回の目玉（と思っている）は、実はこのフローリングではありません。

先の片持ち階段もそうですが、「うわぁ」という仕上がりを見せるのが、見上げた天井に配置されているラワンベニヤ。

近年、本来は下地といわれる隠れてしまう部分に使う部材を、あえて目につく部分に使用する化粧納めを多く目にします。
その一つがラワンベニヤ仕上げです。

釘やビスで止付けたい壁の下地に使用されていたりするものですが、クロスを貼ることなどで隠れる商品です。
それを敢えて表に出す手法。
実はあまり賛成はできませんでした。
が、どうでしょう！

なんという美しさ！！
こんなの、狙ってできるわけではないのですが、このように縮杢のある淡い紅色の材色のラワンベニヤがそろって施工できたのは信じられないほどです。

ラワンベニヤ仕上げをそれほど重視していなかった理由は、やはり表面が完全じゃないために欠点とされる部分が露出してしまうこと。
そして、無垢材として大量に使用されていたラワンという木材が、ベニヤになって重宝されるとは思えない昔ながらの感覚の弊害かもしれません。

もちろん、今回は通常のラワンベニヤではなく弊社在庫のキクイムシに対する防虫処理をしたラワンベニヤ「防虫合板」なのですが、そこに縮杢のある原木からできた単板ができ、そしてその制作の多くは弊社の倉庫に入庫したということ。

こんなベニヤはそうそうありません。

また、その表情も一般的なものとは若干異なって、少し柔らかな木目でまるで南洋桜と称される「マコーレ」という樹種のようです。

現場では、まるでバーチ（カバ）のようだね！、という声もいただきました。

実は製作家具も大工さんによるものなので、同じような仕上がり且つ木目なども考慮して製作されているのです。

本当に、ラワンベニヤとは思えない外観なのですが、これは今回の原木がたまたまこのような材質だっただけのこと。
毎度このようなものならば、積極的に採用を進めるのですが、こればかりは如何にベニヤとはいえ自然のものですから指定はできないのです。

防虫処理合板は、弊社の定番在庫ですからいつでも出荷可能ですが、すべてがこのようなものではありません。
その証拠に、床の一部にも同じメーカーの合板での厚み違いを採用してもらっているのですが、やはり表情は全く異なります。

どうですか、すっきりとしているでしょう。
木を触ったことのない大工さんの場合は気にならないかもしれませんが、私は上の写真の入り口付近が気になりました。

ちゃんと継ぎ目を部屋の内側に持ってきている、その小さなおさまり。
そういったところに気を配るからこそ、全体が美しく仕上がる。

そのことを体現しているお家だと思いました。

それと、少し前に弊社のインスタグラムなどで日本のひば材の加工をしていることを紹介しましたが、使われているのはこのおうち！
雨は直接かからないけれど、屋外使用に耐える木材選定をしたい、というご希望をいただいて決定した材。
それが使われているのはテラス部分の引き戸。

大型の木製ガラス建具の枠材として使用されています。

といっても、ほとんど目立ちません。
でも、それでいいんですよ。
縁の下の力持ちですから。

担当としては、是非目立ったほしいものの、さりげなく建築を支えるカッコよさ、というものを体現しているようでとってもクール！
近づいてみても、一般のお客様にはヒノキかな？！としか思えないもの。
そこに敢えて、日本のひばを使っていただけたこと。

うれしく思います。

さらに、遠目ではわかりにくいですが戸袋壁に施工されているのは、弊社が提案をした鋸目加工のヒノキ羽目板。

ヒノキの羽目板に、わざと鋸目の加工を施して粗く仕上げています。
その上に、大工さんがラインを入れることで粗いものの、どこか引き締まった印象に仕上げてもらうことができました。
建築家さんにもうけいれていただけたことで、屋外スペースの非常によいアクセントとすることができました。

これも、弊社がこのような仕上げはいかがですか？とご提案したことから始まったもの。
決まりはなかったのですが、だからこそ弊社と大工さんの思いで実現した仕上がりです。

建築家さんはいろんな方がおられますが、中にはこだわりや思いが強すぎて職人さんに敬遠される方もいらっしゃいます。
職人さんの気持ちもわかるのです。
してはいけないようなことに近い納まりや内容を希望したりすることは、職人さんにはタブー。

でも、固定観念にとらわれないこともある程度は必要。
実は現在も、建築家さん物件で担当は若干疲弊している最中なのですが、やはり今回のような詳細なおさまりやデザインと統一感を実感すると、建築家さんはすごい！と思います。

だれもがお願いできるものでハイかもしれないけれど、そのインスパイアを少しでも多くの人に伝えるべく、また自身の経験とスキルアップのためにもどんどんと今回のような納まりとデザインを吸収ししていきたいと思いました。

こんなお宅の納材で勉強させてもらえてよかった！

タグ：: 施工後のお宅にお邪魔しました

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

木ぃクン