本物の無垢木材　～茨木市戸田材木店・セルバの木の虫ブログ～:2022年10月

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2022年10月

2022年10月30日

私が苦手な樹種、カバザクラ　～さらに樺（カバ）を知る～　追記⑳ 「緋色の重鎮」オノオレカンバ補足

ついに到達！
祝二十回！（笑）

意外と私の心（脳？！）をつかんで離さない樹種。それは「カバ」。
ロシアンバーチに代表されるように、カバ材のフローリングは弊社の定番アイテムでもありますし、その優しい表情は、どうしても気になってしまう存在？！なのですよ。

だからこそ、今まで19回も続くコラム記事になったのだと思います。

前回の第19回は、イエローバーチとダケカンバを取り上げましたが、今回は非常に珍しいカバの仲間であるオノオレカンバについて、もう少し補足しておこう！と第20回を催すこととなりました！

もうこの時点でお分かりでしょう。

製材面に割れ止め塗装をされていますが、その影響以上にはっきりと現れた杢。
褪色しても輝き続ける杢は、いつまでも輝きを失わないダイヤモンドのようなもの。
それが全体にしっかりと出ています。

そして強くはないものの、緋色の木目を風に揺らぐ旗のように見せる木目。
樹種の特徴として、稀に言われるのはミズメに似ているということ。

確かに、同じカバですし重硬さ具合も非常に似ていますが、弊社にあるオノオレカンバはちょっと違うような気がします。

ミズメよりも非常に緻密な印象。

ミズメはどちらかというと朱色ともとれるような優しい紅で、マカバの緻密な芯材を持つものと非常に似ています。
しかし、オノオレカンバはもう少し桃色を帯びた緋色。

削った当初は辺材の色合いに白さを感じますが、それでも縮み杢の部分は若干黄色みを覚える印象。

そうそう、削ってみてというと、やはりその硬さがバリバリに発揮されます。
弊社のスタッフも、「これはプレナーでは無理ですよ・・・（切削加工を）やるんですね？！」と念を押すほどに硬質で厄介な杢。

見た目の色合いとは全く異なり、超重硬な上にこの杢です。
美魔女な奥様が、実はムキムキなボディービルダーだった！的な驚き・・・

基、本当にこの美しい淡さからは想像しがたい実重量と、もう触れた瞬間に「硬っ！！」という冷えるような手触りは、機械に突っ込むだけの加工は受け付けないことを物語るのです。

で、案の定です。

これでもじんわりと優しく加工したのですよ。
それでもやはりだめですね。
刃が引っかかるし、引っかかった部分は材面がガサガサになってしまい、「あたしに触るんじゃないわよ！！」的に（偏見か・・・）はね返される感じ・・・

でも、そこがまた美しいんだけど・・・

否。
回転刃物系の機会では、よほどの精度と良い刃物の機会でなければ加工は難しいかなぁと思います。
もちろん、杢が無ければそうは手こずらないはずですが。

ミズメはサクラとして敷居に多く用いられてきましたが、このオノオレカンバは櫛と印鑑。

印鑑というと、弊社の扱いの中ではツゲなのですが、カバ属の中でも硬質で緻密な材であるオノオレカンバは、精緻な彫加工にも耐えるという証拠の用途ですね。

その他、左官仕上げの木釘に使用されるというのを呼んだことがありますが、その理由と性質による仕上がりは定かではありません。
今度、左官職人さんのK住さん（お父さん）に逢ったら聞いてみよう(^^♪

さて、オノオレカンバは乾燥割れは出にくいと思われるものの、杢の影響かねじれはどうしても出てしまいました。
少しのびのび天然乾燥させすぎたかな・・・
弊社の倉庫で5年超の熟成です。

なかなか幅の広い板材や、長い材は流通しませんが、ひっそりと弊社倉庫で2mのオノオレカンバの板が寝ています。
ひとまず、その顔を見るために見本としてお披露目。
小さなサイズで出荷できるように、ネジレの大きな材をカットしました。
カットしたものですら、重量を感じる質感。

この見た目とのギャップがたまらなく魅力的！

今後は教材としても、そのすさまじい重さを体感してもらおうと思っています。
もちろん、オノオレを蒐集したいマニアにもお譲りします(^^♪

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

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タグ：: カバ; 樺; バーチ; ロシアンバーチ; 無垢フローリング; 無垢フローリング選び; 幅広; 一枚物; 無塗装; オノオレカンバ

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年10月27日

無垢フローリング～10mm真面目に、10mmに泣く・・・～

前回に続き、無垢フローリングのお話ですが、今回は担当の力不足！

まだまだ自社の無垢材のPRがうまくできていない反省を、記事にします。
それとともに、はっきりと目に見える形で違いを説明します。

今日、どうしてもお伝えしたいのは無垢フローリングにおける幅寸法の差。
それも、120mmと130mmの違いです。

一見、それほど大きな違いなどないと思われるかもしれません。
弊社では150mm幅なども扱っていますし、120mmより少し幅が広いだけ、そう思われることでしょう。

はっきりと言います。

全くの別物です。

本当に、まったく異なるものだと思ってください。
どうして異なるのかを今から説明しますよ。

フローリングは主に、半坪（1.65㎡）が1ケースくくりになっています。
それは、90mm幅でも130mm幅でも150mm幅でも同じです。
今回比較する130mm幅は7枚が1ケースで1.65㎡になります。
2ケースで、建築でよく使われる基準である「1坪」の広さのフローリングが貼れることになります。

さぁ、ここからが問題！

120mm幅の場合も1ケースの入数は7枚入りです。
写真のように、各寸法2枚を並べて見ると20mmの幅寸法の差が出ます。

これが7枚入りの1ケースになると70mmの幅の差ができることになりますね？
先ほどの、基準となる2ケースで比較すると140mmの差。

130mm幅は2ケースで3.3㎡になるのに対して、120mm幅は3.05㎡にしかなりません。
（写真では小数点を切り下げて表記しています。）

たった0.25㎡だと思うなかれ。

だって、2ケース買うと130mm幅1枚分以上の幅の差が出るのですよ。
130mm幅のほうが、内容量が多いということになります。

計算すると当たり前の事ですが、ここにマジックがあります。

フローリングを販売するときは、ケース単価での表示や平方メートル当たりの表示がありますが、ケースあたりの枚数が同じ場合は、入数だけ見ると130mmも120mmも変わらないように感じますが、120mm幅の方がグンと価格が安く表示されます。

そりゃそうです。

2ケースになると10％も少なくなるのだから・・・
弊社ショールームでは、実際に2ケースで20,000円とした場合の、それぞれのフローリングの価格比較もご説明していますので、フローリングご検討の際にはお話します。

でも、一般的にはそこまで説明されることはありません。
ケースあたり価格が安ければいいんだもの。

今年に入り、木材の価格が更に高騰していることもあり、弊社ではお見積りしたにもかかわらず、他社の120mm幅フローリングとの値差を理由に失注することが3度ありました。
もちろん、同じ規格であれば企業努力ですので構わないのですが、全ての場合で上記の様な違いは説明されていません。

弊社でも、稀に120mm幅を販売します。
それは、130mm幅を製作する過程でどうしても130mmに仕上がらない勿体ないもの。
それを120mmに仕立ててお届けする。
ただし、その場合もかならず上記の事を説明します。

そして、その分130mm幅のレギュラーサイズよりも面積が少ない分お求めやすい価格設定にします。
事情と理由を説明したうえで。

賢明な大工さんや工務店さんは、この違いを御存じです。

木造建築の基本グリッドである910mmの柱間サイズで無垢フローリングを貼っていく場合の「割り付け」において、130mm幅がもっとも割り付け易いこと。

先に130mm幅が7枚入りであることをお伝えしました。
130mmに7をかけると910mm。

分かりますか？
7枚入りが1ケースの意味が。

ぴったりと柱間寸法になるのです。
もちろん、いつもそれが必要になるわけではありません。

しかし、貼延ばせば延ばすほど、枚数の違いは大きく出てきます。
結局、120mm幅は130mm幅よりも多くのケース数を要しますし、たくさんのフローリングを貼る手間とケース数を多く購入しないといけないことを考えると、120mm幅が少し安くてもその分手間などに取られてしまって、結局は安いわけではない、というわけです。

こんなこと、販売する方は教えません。
売れればいいんだもの。

弊社はみせかけだけのそれは嫌なのです。
なぜなら、130mmに仕上げることがいかに大変かを知っているからです。

弊社は輸入商社の商品を横流し（わざと悪く表現します。）するだけの材木屋ではありません。
工場にも出向くし、担当者とも話をします。
原木や製材、乾燥も見ます。聞きます。
そして不良を報告します。

最も大きな違いは、自社でも丸太からフローリング製作をしています。
街の材木屋さんで、そんなことをしているところはないでしょう。
それも日本の広葉樹の幅広無垢一枚物フローリングを。

近々記事にする、絹朴に続く啄木黄檗無垢一枚物フローリングにて、「たった10mm」を紡ぎだすことが、どれだけ材料体積が無駄になるかということを知っているからです。
それに加えてもちろん、幅広である以上反りや伸縮のリスクもあります。

それでも、130mm幅を作るのは規格としてしっかりとしたモノづくりをしたいから。
勿体ないもの以外は、規格に沿ったモノづくりをしたいからです。
少なくとも、過日のおうちの様にその取り組みや姿勢に賛同して頂けるお客様がおられます。

関東から、おうちづくりの多忙なさなかに、関西の弊社の様なこだわりの零細企業を探し当ててくださるような方のために・・・

弊社が納得できる商品をお届けしたい。
それが原動力。

「価格がどうしても安くて・・・」

それは仕方がありません。
予算は必ずあるものです。

それでも、見せかけの価格で大切な床素材を決める事の無いように願います。
くれぐれも言います。
弊社では130mmに仕上がらない120mm品を販売し、130mm品を作り続ける大変さを知るからこそ、その違いをお伝えします。
「単純な価格表記」ではなく、どのような経緯で販売されているかも知ってもらわねば、適正な価格で原木を買うことも加工費を支払うこともできなくなります。

価格の理由を知ることの大切さ。
それを考慮して頂けるようになることを願って。

・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ

＊2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）

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タグ：: 無垢フローリング; 無垢フローリング選び; 幅広; 一枚物; 無塗装

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年10月24日

無垢フローリング、こんなのも普通に流通してるから困る。

これは、あかんやろ～・・・・

弊社が無垢材を沢山扱っている上に、無垢フローリングにこだわっているという情報をどこで得たのか（そりゃ、ホームページみるよね・・・）、たまに飛び込み営業に来られたりします。
無垢フローリングの営業に。

ホームページみたり、それこそブログでも見てきてくれれば弊社が「今なら・・・」とか、「60坪以上なら」とかの文句でスポット品の安物を買うわけがないことが分かってもらえると思うんだけど、それでも強心臓な営業さんは稀に訪れます。

今回の営業さんが持ち込んだのは、ナラ（オーク）のウレタン塗装フローリング。
木目もきれいで、白太もほとんどないという。

確かにきれい。
でも、ウチは特定のお客さま以外は無塗装の方が多いので、在庫でウレタン塗装を置いているのはわずかに3種ほど。

だから、ナラのウレタン塗装は購入しないんだけども、めげない営業さんは強気で語りかけてくる。
ナラは根上がりが激しいから、とか分かったような文句で。

ふ～ん、と聞きながらサンプルをてにとったところ、見つけてしまった。

この拡大写真で分かりますか？
木口面の写真ですが、表面にはウレタン塗装がかかっていて微妙に濡れ色になっているのですが、木口にかかる面（斜めに角をおとしているところ）の部分には塗装がされていません！！

これ、あかんヤツです。

いや、別に基準があるわけじゃないけど弊社の基準ではあかんのです。

というのは、ウレタン塗装は艶があります。
そのため、貼り上げた時に木口のこの部分（エンドマッチといいます。）の面の部分にも塗装がなければ、その部分だけが光らずに反対に凄く目立ってしまいます。

溝が目立つことは悪くないのですが、UNIのつなぎ目は塗装されているのに、フローリングのジョイント木口は塗装が無い、というアンバランスが非常に気持ち悪いのです。

因みに、弊社が通常扱っているウレタン塗装のナラフローリングと比較しますと・・・

左が今回の「特価」品。右が弊社取り扱いのレギュラー品。

ね？！右はちゃんと塗装されているでしょ？！

営業さんに、これは困りますよね？！と聞いてみました。
そうしたらなんと！

「そんなのもありますよ！そこは別に関係ないところですしね！」

という回答。

ああ、そうなのね。
もうそれが出てきたら、弊社にはご縁がありません。
サンプルをつき戻し、御引取願いました。

こういう、サンプルでは気が付かない（今回はたまたまエンドマッチ部分のサンプルだったから気付いた。）ことや、価格だけで購入するとものすごく後悔します。
と、弊社は考えています。
だからこそ、弊社では様々な特徴や作り手の取り組みを紹介するのです。

欠点、とされる部分まで。
がっかりされるのはつらいですからね。

皆さんも、強気の営業さんの場合はかならず、こういう細かいところもチェックしましょうね～！（笑）

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タグ：: 無垢フローリング; 無垢フローリング選び; 楢; ナラ; オーク; 無塗装; 幅広; 一枚物; オイル塗装

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年10月21日

ぬくもりのフローリング、眺望のマンションへ！　～ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢つなぎ目V溝フローリング～

オークなのか、それとも・・・

無垢フローリングを検討し始めると、ほぼ必ず迷うところである「オークか否か・・・」。
もちろん、スギ以外に眼中にない！という場合もあります。
その場合は、弊社の必殺（笑）「葉枯らし天然乾燥の、高樹齢杉シリーズ」の古希杉や百年杉柾をおススメするのですけど！

それ以外の方で、広葉樹を視野に入れると必ず「オークの壁」がありますよね。
ネットの記事でも、オーク（ナラ）の無垢フローリングを使用しておしゃれに仕上げられている画像が幾つも出てきます。

オークといっても、幅寸法や表面仕上げ、そして肝心なグレードによってもその仕上がりは大きく異なるのですけど、検討し始めの状況ではとにかくお洒落さんはすべてがオーク！と見えてしまうというお話も聞きます。
もちろん、オークカッコいいです。
過日の記事で、もしかすると一番好きな木かも？！と言及した位に。

しかし、そこに少しだけ「木のビブリオ」のお話を加えると、途端に他の樹種の個性が光りだすのです。

今回採用いただいたのは、超おすすめのノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢つなぎ目V溝フローリングオイル塗装。

今までにも、新築から改装現場までいろいろなおうちに採用いただきましたから、それらの施工記事も参照して頂きたいところですが簡単にご紹介。

先ずは幅広130mm！
木目の見え方がやはり美しい！
90mm幅ではなかなかこの景色は見られません。

その上、UNIタイプですがその際に気になる、フローリング表面に見えてくるたて継部分にV溝加工をすることで、長さの違うピースの無垢材を一枚ずつ丁寧に貼り上げられたような、とってもリズミカルな空間に仕上がります。

特にこのプルミエグレードは、大きな節や変色などが全くないため、味が無いように思われてしまうかもしれませんが、それは全くの誤解。

写真のように、一枚ごとのピースの色合いは不思議なほどに異なります。
少し赤みがかった部分もあれば、グレーに近い部分もある。
大きくは違わないけれど、確かに全く違う。

この無垢材独特なバラつきが、自然なリズムになっている一つの要因。

これも、ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）フローリングが作り出す空間の妙なのです。

さて、そんなノルデストウォールナットですがまず、無垢フローリングの候補に挙がることは珍しいです。
知名度の問題（弊社の・・・）もあるのですが、ネット記事などをみてもオークとの違いが判らない上に、その性質や質感を正しく伝える情報が無いからでもあります。

弊社では、よほどのオーク好きな方以外には必ず、一度はノルデストウォールナットの選択肢を投げるようにしています。

その理由は、「程よい広葉樹」だから。

何が程よいのか・・・

ひとつには木目です。

木目がはっきりと表れる環孔材の表情があり、オークにも近いところがあるものの、どこか柔らかい。
柔和な表情を持っています。

大きな面積を貼り伸ばしても、「どうだ！！」という存在感よりもほっこりとするというか、無垢材の温かみを味わえる感覚になるというか。

主張しすぎないんですよね。
オークは完全に主人公タイプ。
そりゃ、全能の神ゼウスの木ですからね！

対してノルデストウォールナットは、殻は硬いものの中身は優しさを持っている、その性質そのものです。
きちんと知ると、とてもあたたかな生活空間をもたらしてくれる、それがノルデストウォールナット。

そう、程よい理由の二つ目は「程よく柔らか」なこと。
オークの場合は質実剛健なため、硬質さをその足で感じます。
しっかりとしていて、古くから床に求められる性質にはもってこいなのですけど、現在の様に硬さだけを求めない時代には、それ以外の選択肢があってもいい。

それがノルデストウォールナット。
広葉樹は硬質なハードウッド、というイメージが強いかもしれませんが、ノルデストウォールナットはその中でもかなり軽軟な部類。
モノによっては、ヒノキより軽軟？！と思えるほどといえば少し身近でしょうか。

その理由は単純な重さなどではなく、熱伝導。
ヒノキは重硬ではないものの、全体的にも木目の部分である晩材部分もすこし硬さを感じます。

それに比べると、非常に均一にぬくもりを感じるのがノルデストウォールナット。

触れた感じが既に、オークなどのそれとは全く異なります。

現代の疲れやすくストレスのある毎日といわれる現代人にとっては、この質感は非常に大切だと思います。
家にいる間はほどずっと触れている床。
その床と、体重を支える足腰との接点は柔らかな方が、体への負担は少ない。
気分的なものです。
でも、その気分的な違いが快適かどうかの差でもある。

個人差もあります。
だから、オークの方がいい時も多い。

でも、オークにはない大きな特徴を持っているのがノルデストウォールナット。

ここが、これをおススメするポイント。

そして、何よりも粗さなくしっとりと納まるプルミエグレードが非常にフレンドリーな価格設定である事も、大きなポイント(笑）。

だって、表面にV溝のないレギュラー商品のUNIタイプのプルミエグレードにオイル塗装をすると、こっちの方がお手頃になるんだから。
それは、弊社がプルミエグレードが沢山できたことで、少しでも多くの方にこの表情を味わってもらうための設定にしているから。
つまりは、良いものが沢山できたから、なのです。
決して安売りではなくて（笑）。

だから、使わないと損！なんですよ。

節やパテの表情が欲しい方は、ネイキッドグレード！なんですが、そんな方にも一度はおすすめしてしまう、そんなものなんです。

使ってほしい気持ちを表情にしました(^^♪

フローリングの施工後には必ず探してしまう、この顔。
オークは比較的現れやすいのですが、今回はなかなかなかった。
でも見つけたぞ！

どんな表情といえばいいのか・・・
喜んでるよね！絶対。

だって、ここは眺望の良いマンションの上階。
訪問日は遠くまできれいに見える景色が、大阪のど真ん中なのを忘れさせてくれます。

マンションは、構造体がコンクリートなのでそれに対して感覚的にも肌触り的にも温かい素材を求められる場合が多くあります。
スギももちろんいいですが、ノルデストウォールナットもいいですよ！
広葉樹の表情と、柔らかな足触りの良いとこどり。

それに、スギなどの針葉樹の様に「ザ・木材！！」という雰囲気でもないところも人気の一つ。

もし、いまオークか否か？！と迷われているならば、戸建てかマンションかに関わらずノルデストウォールナットを選択肢に入れてみませんか？

きっと優しい気持ちになれる、そんなフローリングですよ。

・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングワイルドグレードオイル塗装はこちらから（好評につき、売り切りました。）
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングワイルドグレードオイル塗装、旧家改修現場施工はこちらから
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングワイルドグレードオイル塗装、T市設計者の家改修施工はこちらから
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングワイルドグレードオイル塗装、古民家の「ケ」施工記事はこちらから

ワイルドグレード以外のノルデストウォールナット無垢フローリングは以下をご覧ください！

・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢つなぎ目V溝フローリングプルミエグレード 130mm幅オイル塗装はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢つなぎ目V溝フローリングプルミエグレード 130mm幅オイル塗装の施工写真はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢つなぎ目V溝フローリングプルミエグレード 130mm幅オイル塗装の和室改修施工写真はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢つなぎ目V溝フローリング150mm幅の記事はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢つなぎ目V溝フローリング150mm幅の施工写真はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢一枚物フローリングネイキッドグレード、150mmオイル塗装の和室改修はこちらから
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングネイキッドグレードオイル塗装、手仕事の大工さんのリフォームの記事はこちらから
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングネイキッドグレードオイル塗装、「奏でる家」の記事はこちらから

＊ノルデストウォールナット無垢フローリングを採用頂くにあたって

ノルデストウォールナットフローリングは、水分や油分などでケバの立ちやすい樹種です。
それが樹種の特徴ではあるのですが、無塗装でも楓などの樹種とは手触りの風合いが異なりますので、必ずご覧になっていただいてから検討頂くことをお勧めします。

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2022年10月18日

今年も入荷、120本　～日本のクリ　土台用角材～

今年も来ました！（というか、来ていました。既に・・・汗）

弊社が取り組んでいる日本の広葉樹利用の一つ、「日本のクリ、土台角用材」。

広葉樹山に訪れた時、山土場で仕分けされた大量の広葉樹の丸太を見て疑問に思いました。
「右と左は何が違うの？！」

針葉樹の様に、ほぼすべてが通直で整然と積み上げられている光景とは全く異なる、どういった選別なのか少し分かりにくい仕分け。

いや、私が分かりにくかっただけでそれは単純に、「細い、曲がり、節」で分けられていただけでした。
「だけ」としたのは、原木市場へ出荷されるもの以外に分類されたものでも、どうしてこちら側に？！と思うものが多かったから。
つまりは、使う側にすれば「ここで切れば・・・」とか「これなら節があっても・・・」という、掘りだして帰りたいようなものが、バイオマスやチップ工場へ運ばれるというからです。

中には、立派に太っていながらも大枝が出ていたからと通直な幹を「不適格」としていたものもあり。
そして、一般的には受け入れられなくても私の様なものには非常に響く、美しい曲線を描く曲がり広葉樹の数々も、「不適格」だったのです。

殆どの人は知らないことと思いますが、広葉樹の曲がりは芸術です。
命の曲がり。生きざまそのものです。
マツもそうですが、ヒノキやスギの様に通直なものが外的要因（斜面や負荷）によって生じるものではない場合が多くあります。

それらは変な癖があるものではなく、生きていくために自らの生きる道の方へ伸びたものたち。
もう、見とれる曲線なのですよ。

基。

針葉樹の造材に慣れてしまうと、とにかく節や軽微な曲りも選別ではねられてしまう。
そんな状況を、伐採現場と山土場で目にしてから目覚めるように私の木材への取り組みが変わりました。

小径木のきれいなものは自社オリジナルのフローリングに。
曲り材は、曲りなりを活かしたいと共感してもらえる大工さんに。
そして、今回の様に特殊な用途に賞用されてきたものは出来る限り、元の用途として活用できるようにしていく。

腐りにくく耐久性が高いクリ材は、土台やウッドデッキとして。

本来の適材適所。

その上有難いのは、短くカットすることが慣例の広葉樹丸太を、4mや5mなど長いままで山から出してくれる環境があり、そこで決断したのが土台でした。

例え細くても、少々曲がっていても、辺材の少ないクリという樹種の特性を利用し、じっくりと天然乾燥をさせて土台にする。
こだわりの大工さんに使ってもらうため。
そしてそのおうちが100年、もっと大切にされるため。

そうすれば、数十年～100年育ってきた広葉樹も循環し、伐採現場に意味が生まれる。
チップやパルプに破砕せずとも、広葉樹は様々な特殊用途を持っている。

そこにあて嵌めるプレーヤーがいないだけ。
儲からないから・・・・

ここが大きなポイント。
儲かるならだれでもやっているし、大きな投資がある事でしょう。
儲からないからしない、そこには木の好きな材木屋の関わりしろが、いやそれしかないのですよ。

弊社がしなければ！！つたえねば！という使命感に勝手に駆られて今年もできました、120本。

有難いことに3mや4mの長尺を多く造材してくれましたので、いろいろな現場に対応できそうです。

生木の状態ですので割れは少ないですが、乾燥が進むとクリはバリバリに割れます。

また、節あり材ですので節や洞を含みます。
中にはこんなものもありますが、これをはねてしまうからいつまでも安定した製材品などできやしないのですよ。

和室の化粧材や、欠点一つない無垢材のおうちにはそぐわないかもしれない。

でも、節や洞や割れを許容できる木の家にとっては、心強い適材適所の材です。
特に、長尺材120mm角仕上がりとして使うことのできる広葉樹はなかなかありません。

どこにもないから作る。

無駄なく利用できる用途に使う。

山で頑張ってくれる人が長尺を出してくれる限り。

街の材木屋は頑張ります。

今年も数年後の出荷の為に、丁寧に桟を入れて眠りにつくクリ材たち。
次に目を合わせるのはいつの事か・・・

ゆっくりと休んで出番を待ってもらいます！！

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2022年10月15日

地域の人と1100年　～根岸の大いちょう～

もう今年もあと2ヶ月。
あぁ、そんなこと言わないで（汗）。
そう思う方も多いのでは？！

担当もその一人です。
冬が近づくことで、「銀色のシーズン（スキー）」が到来する楽しみも大いにあるのですけども、時間のすぎるスピードが早すぎて自分の感覚が追いつきません。

樹木はどうなんだろう。

人間の様に、歳を重ねて時間が過ぎていくスピードが早くなるということがあるのだろうか。
もっとも歳を重ねていると言われる、この樹に聞いてみたいものです。

弊社としては、ふるくから繋がりを感じる場所、青森県。
もちろんそれは、当地の貴重な財産である青森ひばで、担当の自宅も土台に青森ひばを使用していますし、毎日の風呂には青森ひば油での「ひば風呂」ですので、毎日青森を感じていると言っても過言ではありません（笑）。

そんな青森県で、同樹種での樹齢一番の存在がこの「根岸の大いちょう」なのです。

イチョウは、各地に巨樹が存在し伝承樹齢が千年と言われるものも存在します。
当地のイチョウは、推定樹齢1100年。

1100年前の青森県はどんな様相だったのか。
寒さの厳しい当地で1100年を生き抜いてきた中で見た景色はどのようなものだったのか。

どうしてもその、時の流れが気になるところ。

実は1100年どころか、およそ30年ほど前にとても大きな出来事がありました。
それは、当初日本一の幹周りのイチョウの巨樹の称号を受けていたものの、その後の調査でその座を譲ることとなったのです。
そのいきさつがあってかどうか、先の案内板には「東北・北海道では一番目で、イチョウの木としては日本一」と、何が日本一なのかが濁されているような感じがしなくもない。

しかし、残念な対面にはなりません。

幹周り15mとされる巨さは、巨樹中の巨樹。
1100年の月日のためか、カツラの巨樹同様に主幹があった？！中央部分が欠落しているようで、その上真冬の訪問のために葉がないことから、広がりは感じにくい写真ではあるものの、十分に迫力があります。

1100年の月日の過ぎ去る力は、想像よりも大きいのでしょう。
ひこばえを形成して入るものの、大枝や太い幹は悉く枯れたり折れたりしている模様。

枝の欠損部分も目視で多く見られますし、イチョウを囲む柵のすぐそばには切り落とされたものだろうと推察できる、中心が枯れた大枝（幹？）が横たわっていることからも分かります。

それでも、命を繋いでいっているのだろうと思わせることがあります。

それは若干歩きにくい、大いちょうそばの参道の足元にあります。

鳥居から大いちょうに向かって右手。
細いイチョウがスクッと立っています。

樹木の事や、状況を観察することがなければただの単体の細いイチョウ。

しかし、よく見ると大イチョウから根が伸びている様子！

柵の下を潜るかのように根をあらわにしている大いちょう。

そしてその先には別個体であるかのような、もう一つのいちょうが・・・

これは大イチョウの後ろ側から撮った写真ですが、この写真の右側がそうです。
完全に別個体に見えます。
確定ではありませんが、おそらく大イチョウのDNAを持ったクローンであると思われます。

そう考えてみると、大イチョウの方には枝を伸ばしていないのは本体に対しての忖度？！

このような現象は、西日本最大のイチョウともいわれる「常瀧寺の大公孫樹」でも見られたもの。

植物の生命力の偉大さを感じるところです。
1100年生きてきたことも驚きなのですが、このような形でさらに先の数百数千年への布石を打っていると思うと、言葉がありません。

ちなみに当イチョウは、見る位置によって大きく印象を変えます。
鳥居側から見ると少しスリムに見えますが、90°転換するとものすごい太さなのです。

元日本一もうなずけるそのスケール。

景色に同化して少し分かりづらいですが、左にいる私がわかるでしょうか。

この角度が最もいいアングル。
もし、主幹が残っていれば更に迫力がましたに違いない姿。

そんな大いちょうですが、何よりも印象に残るのは地域の人たちとのつながり。
離れたところからの巨大さや、近づいてぽっかりと口を開けて見上げることももちろんいいのですが、その幹やひこばえをよく見てみると、至る所にお賽銭があるのです。

ある意味、どこかに引っ掛けることに意味があるのか？！と思ってしまうくらいに皆さん引っ掛けている。
だから、ほとんど5円玉なんだけど、稀に50円も！

それらは、ずっと置きっぱなしにされているような様子ではありませんでした。
きちんとお賽銭として管理されているのか、そして場所が開いたところに継続的に新しい「御縁」を求めた5円が収まるのかもしれません。

これだけ多くの地域の方が、このいちょうに逢いに来ているのかと思うと、物凄くこころが温まる気がしました。

多くは子宝や乳の出の願掛けなのかも知れませんが、きっと他にも様々な想いや願いが込められているはず。

巨樹は、ただ巨な存在ではありません。
その生育には多くの地域の人が絡み、歴史があり、いわくがある。
その場所に根付いて動かないからこそ、土地とともに歩んでいく。

私が好きなワインもそうですが、地域の個性を活かすことや土による大きな違いが如実に表れることを考えると、当地はイチョウの生育条件が非常にいいのかもしれません。
そう、ここ青森県には巨樹巡りでは外すことのできない、押しも押されもせぬ日本一がいるのですから。

その姿は、いつかまたお伝えすることにします。
今回は、地域に御縁深い大いちょうの雪の姿で、もうすぐ来るであろう冬の訪れをお届けしました！

(左下が担当です・・・小さい・・・)

根岸の大いちょう

青森県上北郡おいらせ町東下谷地6

駐車スペースは雪で確認できませんでした。

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2022年10月12日

材木屋で遊びの中から学び、つながる　～遊学酒席　第一回～

担当のなりたかったもの。

実は、学校の先生でした。
もちろん、それは恩師が私を導いてくださったからなのは明白です。
自分の知識や教養で子供を導いていくこと。
とても大きな影響を受けました。

それとともに、近年やりたかったことの一つが、ワインバー。

これはもちろん、現在の弊社の業態の中ではできないことではありますが、それとおなじようなことができればいいなぁ・・・と思っていたこと。

この2つの想いを合せ、業として行うのではなく私の好きなワインを通して、とっつきにくいワインの事や木材の事を、楽しく学びそして参加者の交流の中からそれぞれの得意分野のお話や知見を学び、つながりを作ることができる！、と始めたのが「遊学酒席」です。

社内への門のそばに、ひっそりと置かれるメニューボード。

普段はショールームのウェルカムボードですが、この時だけはメニューボードに早変わり！！
この日は5本のワイン！と、2品の御料理。

ワインは、担当が情熱をもって伝えたいと思うワインたち。
安い、とか話題になっている、というよりもそれらを通してメッセージを感じてもらえると思うものを、優先的に選んでいます。

一方の御料理は、先月テレビでも放送された「数年予約が取れない」と話題のお店のもの。

これがさすがにめちゃ美味しいんですよ！！
どれくらいかって？
今回の御料理のうちの一つで例えますよ。

子持ち鮎と秋茄子の南蛮漬け！

旬の食材を使って下さる御料理で、秋茄子。
私、もともとはお茄子そんなに得意ではないんです。
でも、そんな私が鮎よりもお茄子お代わり！！と思ってしまうほど、といえばわかるでしょうか。
とにかく美味しいのです。

そして、お酒を邪魔しない。いや、本来は逆か（笑）。

おっと、そんな美味しいお料理なのですが、実はその器にも非常にこだわりがあるのですよ。

実はこの遊学酒席で使用する器やカップの全ては、弊社でオリジナルで作成されたもの。
もちろん、土から練り轆轤をひき、そして焼き上げた完全なオリジナル！

オリジナルの陶の器に、数年予約の取れないごはんやさんの御料理、そして店主（と言わせて！）のチョイスしたワイン。
物凄くこだわりの交流会！
こんなことする材木屋、他にありますか？！
（そりゃ、ないね。業務とは全く違うもの・・・）

さて、それ等を準備ののち開始時間となり、ゲストの皆さんに入って頂いてから、担当のワインの説明でスタート。

ここでどうしてワインなのかですが、単純に好きだからではないのです。

ワインの原材料はブドウ。
そしてブドウの木は土に根差す。
木材である樹木も同じ。

そこに、私の材木屋として伝えたいことがあります。
単なる飲み会ではなくて、材木屋が忘れかけている樹木という本質を、ワインを通じて伝えたい。
そんな想いです。

この日も、話題のオレンジワインからビオディナミ採用のワイン、そして古典的なワインやニューワールドまで、様々な土地や土の事が語れられる内容にしたつもりです。

でも、難しいワインのうんちくや品種の話ではない、身近な例に例えたお話にし楽しんでもらえたのではないかと思います。

ワインと土の関係については、先日のお酒の熟成と木材の関係を探るの記事でお伝えした通り。

それに交えて、様々立場の皆さんが自身の知見や想い、得意分野の話題が広がる。
それが、私がしたかったこと。

遊びの中から学ぶこと。
昼の真剣な仕事とは違う、自由に語り合いながら楽しい話や昔話、そして同じ話題でも感じることの違いの共有など、いろんな話題が出てきます。

参集のゲストそれぞれが、いわば先生で仲間。
そこに、場を盛り上げる土からできたワインというお酒と、旬の食材を用いたお料理がある。

業で行うワインバーではなく、材木屋が場を提供する「土にこだわる交流会」。

これから、二回三回と続けていくことで、様々な輪と和をつなげていこうと思います。

そのうちはお客様とも一緒に・・・も楽しいかもしれません。
遊学酒席第一回、終了。

タグ：: 遊学酒席

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年10月09日

ミャンマーチーク超幅広！300mm無垢一枚物フローリング施工と、ウールアッシュの階段飾り壁

古い旅館なんかでたまにある、あの木目のきれいな幅の広～い床板。
あんな感じやねん。

最初のご依頼はこんな感じ。

旅行の際に目にした、ケヤキ（と思う）の幅広材の床板が黒光りしてものすごい存在感を示している、その姿をご自宅の一番大切な玄関ホールに、ということでした。
ケヤキでも不可能ではありません。
不可能ではありませんが、実現させるには時間が必要です。

幅広材は、木材の必定である寸法変化の影響を大きく受けます。
特にフローリングの様な薄板となると、その影響は顕著。
例え数年～十数年乾燥させていたとしても、原材料がフローリングの仕上がり寸法とほぼ同じ位で乾燥されていなければ、製材した時には乾燥材として考えることはできません。
だから、その安定した状態の材料が無いことで時間がかかる、のです。

このご依頼、最適な材料はこれしかないのですよ。

ミャンマーチーク超！幅広無垢一枚板。

厚み30mm、幅は300mm～350mm！。
もう、新規でこんな寸法で数量をそろえることは難しいでしょう。
上記のように、作ろうと思えば数年以上かかるものを、希望の時に提案できる。
もう、在庫のありがたさを痛感する瞬間です。
近年の材木屋さんは在庫を嫌い、保管に費用の掛かる土地を有効活用しようとします。
物凄く賢い選択ですが、そうなると数年～数十年の乾燥期間を作る事ができません。

もちろん、その時間は価格に転嫁は出来ないのだけれど、そうすることでしか提供できない木材がある。
それは、弊社のレギュラー化商品の日本のクリ土台角でも然りです。

おっと、物凄いものが出来ただけに前置きが長くなってしまいます・・・

おそらく、今まで私が携わった中で最も贅沢なフローリング。
それが今回の、ミャンマーチーク超！幅広無垢一枚物フローリングです。

実は以前、製作前の打合せにて採用決定の記事で150mmと比較している様子をお伝えしていたあれなんですよ。

そう、当時比較していたように無垢フローリングのレギュラー幅は最大で150mm。
一般的には90mmだから150mmでもすごい迫力。
しかし、今回はその倍の300mmです！
あり得ない幅（笑）。
いや、本当のことを言うとホールで使われたものは、幅275mm。
30mmほど幅を切り詰めているのです！！なんで？！！！

実は、一枚ずつを貼る場所に合わせて1mm単位で幅寸法を変えていて、微妙なホールの寸法の違いなどに合わせようという、工務店さんの意図。
300mm幅だけど、贅沢に切り落とす。
その方が、仕上がりを見た時に均一に見えるから

物凄いこだわり。
私にはできないこと（汗）。
もったいない贅沢。

でもね、廊下だけはほぼそのままの幅ですから、更に迫力があります。
だって、本間（関西間・かんさいま、一般よりも大きな柱間ピッチ）の邸宅なのに、フローリングが3枚で廊下が貼れるんですよ・・・・

もう、普通のフローリングがウソみたいに小さく見えてしまう。
この貼り上がりこそ、おそらく求められていたものでしょう。

因みに、壁の巾木は「モアビ」。
もちろん、弊社在庫品。
昔に、「南洋桜」と呼ばれ専ら敷居に使用されたもので、こちらの現場には巾木として使われていたものに合わせました。

古い既存の材に色や木目を合わせられるそこももちろん、弊社の数十年の在庫あってのこと。
有難い在庫です。

もどって、廊下以外の場所はその圧倒的な幅をカットされているわけですが、しかし、それをするからこそ仕上がりが違和感なく納まるのです。
日本家屋の美しさの一つである、寸法がきちんと計算された美しさ。

そうやって、部屋の寸法に合わせて貼り始める床の寸法を調整したり、均等になるように振り分けることは基本なのですが、それをぴったりの寸法に割り付けてしまう凄さ。
口では伝わりません。

そこにあるのは美的感覚です。
ただそこにある、ではなく全てに調和のとれた計算された美しさ。

その美しさが、素材のすばらしさを一層強くしていることは言うまでもありません。

私の広げた手が、およそ23cmほど。
こうやって比較すると大きさが分かりますよね。
巨樹での人間スケールみたいなものです。

寸法に驚いてもらいたいのは伝わったでしょうか。

では、素材に行きますよ（笑）。

これも、私の未熟なカメラ技術ではお伝えしきれないこの艶！

オイル塗装がされていることもあるのですが、それが無くてももう、うっとりするような深い艶があるんですよ。
既にオイルを塗ったのか、と思うような。

ヒノキを鉋で仕上げた時の様な、鏡面的なものとはちょっと違います。
艶があるんだけどピカピカしすぎていないというか、しっとりしているというか。

昔の社長室とか、高級な応接室の壁にはこんな柄が続いていたものですね。
懐かしの銘木合板。

今でも、キッチンや家具などの造作において、オークやチェリーなどの突板合板が使われますよね。
昔は、ローズウッド（今考えると勿体ない？！）とかビルマ（ミャンマー）チークだったんですよ。

でも、本当にそれらがとても重厚感を感じさせて、「社長！！」っていう雰囲気だしてたなぁ・・・なんて思います。
そう、今回は新築ではなくて玄関ホールの改修。

そしてとっても良い仕事のしてある日本建築。
敷居なんてもう、杢がギラギラのサクラで色もいい感じの飴色。
もちろん、縁側は松のコテコテの縁甲板。

だから、中途半端な材は合わないんですよね。

そこにきて、やはり本物のチークは違いますね。
しかも超幅広。

周囲のいい感じになった色合いの針葉樹たちにも無理なくマッチング。
もう、すすめた自分をほめてあげたいほど、美しい仕上がりになりました。

また、チークとともに和風にも対応でき、尚且つ手仕事を感じられるものとしてウールアッシュ一枚物無垢フローリングを、壁に採用頂きました。

普通の羽目板を貼る、という選択肢はなくて普通には無いもので、尚且つ値打ちのあるものでなければならない。
単に高価であるとか、奇をてらったものではなくて素材と仕事の良さを、見た瞬間に感じられるもの。そういう意図で採用いただいたのがこれです。

今どきの住宅の様に、スポットライトやダウンライトで照らす、などということは敢えてされていません。

だから、物凄く目立つことはないものの、それでも本物の木目の陰影は木の建築の中でも存在感を出しています。

実は、細かな見切りのシャクリ加工やここでも寸法の割り付けなど、細かな気使いが沢山されているのですが、完成されると分かりません。
残念ではありますが、それが美意識。

現在の建材の様に、いいところばかりを主張しない、感じさせない美学。

もう、ばっちりです。

ヒノキやスギの建築で、こだわりの仕上げを見かける機会はまだ残っています。

しかし、このような稀少材や銘木を今後も大切にしてもらえる、価値のある建築への利用機会は大きく減少しているように思います。
確かに、価格は相応に大きくなります。
でも、木材となっているものを活かさねばなりませんし、加工し納めることによって大工さんの技術と技法も後世に残る。

もちろん、建築物としても今後百年以上は残っていく。

現在、そんな材料や技法の残った建築が大切にされているはずです。
将来の人たちに、この時代にこんなに良い建築を残したのだ、と大切にしてもらうために安い無垢材を良く見せるのではなく、価値のある無垢材がそこにあることが当然のように調和する建築を残したい、と思います。

他にはまずない、ミャンマーチーク超！幅広無垢一枚物フローリング。
いろんな想いを込めて、数十年数百年の古民家として歴史と技法と木材をつないでいってくれることと思います。

・ミャンマーチークについてはこちらから

・稀少なミャンマーチークの切り落としで作る、弊社オリジナルのノック式木製ボールペン「木輪～kowa～」二期製作分はこちらから

・弊社が通常取り組んでいる、サスティナブルな政府認証材チークを使用したネシアンチーク幅広無垢一枚物フローリングとネシアンチーク幅広無垢UNIフローリングプルミエグレードも注目です！

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2022年10月06日

お酒の熟成と木材の関係を探る　～「入れるだけ」で変わるのか？！～ ③

だって、私の一番好きな木・・・の中の一つはオーク（ナラ）なんだから、ちょっと贔屓に見たくなる気持ちも出てきます。
ということで、変わり始めた試験体をさらに長期観察することにして3カ月。

毎日の疲れを癒してくれる手酌晩酌（忙しい家内の手を煩わせない為の・・・）で、幾度となく試験結果を見るために！・・・という「悪魔のささやき」に挫けてその封を開けそうになること数回。
誘惑に負けることなく日々観察のみを続け、ついに3カ月。

その時がやってきました！

ついに「お酒の味わいと木材の関係」の個人試験のその結果が明らかになります！

さぁ、先ずはその外観から！！

うひょー！！！！！！

そんな感想でしょ？
どうです、この変化。
そりゃ呑みたくなるでしょ、3カ月のうちに（笑）。

かなり色合いが濃くなり始めてからは、微妙な変化は分からなくなりましたが、原酒と比較するたびにその違いを噛み締めていました。

色合いで意外なのはやはりサクラ。
当初の予想では、ナラの方が濃くなると想像していたのですが、サクラの方が赤茶色が濃いように感じます。
そういえば、サクラの樽で熟成させたものは色が深いように思いますから、個体差ではなくやはりそうなのかもしれません。
その違いを見ることも含め、今回は木片を大小使用しています。

因みに、原酒比較でこちらはナラ。

そして、こちらはサクラ。
黄色みが強いというか、より黄金色だと思いませんか？

やはり、色味に関してはサクラの方がより影響があるようです。

そして、前回若干予想外の結果であった味わい。
ここが肝心なところですが、先ず香りは意外なほどに両者いい感じ。

正直、どうしても「木材臭」というか木の香りは残っています。
それをマイナスにとらえるかどうかですが、今回はその香りが付くのかどうかを見る実験ですので、そういう意味では大成功。

ナラに関しては、当初の気になる香りは影を潜め甘いバニラ香が付いています。
もしかすると、早い段階では十分にバニリンの生成が出来ずに、特にレッドオークでは不快とされる脂肪酸臭のような香りに感じたのかもしれません。

その辺、どこかの大学や研究機関、若しくは酒造メーカーと研究してみたいなぁ・・・・
声、かからないかなぁ・・・

どういう経緯か、どのような変化かというのを感覚以上の理論と結果でまとめたい！
そんな気持ちです。

いや、そうじゃないと単なるアルコール好きなアホ材木屋の「のんべぇ日記」になりそうですし・・・

写真は、向かって右がナラ。そして左がサクラです。
この色合いの違いも知りたくなりませんか？

サクラの方も、ナラのような強い芳香ではないもののサクラの持つクマリンを想起させるような、まろやかな甘みを感じますし、確かに口当たりもまろやかで、原酒のボタニカル香を邪魔せずにアルコーリックな刺激をやわらげてくれています。

そう、双方ともアルコールの刺激が和らいでいます。

熟成、とまではいわないまでも確かに木材成分とアルコールの作用によって、酒質が大きく変わることが確認できた結果といえます。

今回は、このように視覚的な部分も含めて紹介する為に、色合いの変化がすぐわかるようにと無色なお酒を題材にしました。
本来は、ウィスキーやワインで試したい。

ウィスキーは視覚的にお伝えしにくいし、ワインも時期的に保存方法を考慮しないといけない上に、よほどのナチュラルワインでもない限り、リリースされたワインの抜栓後の1カ月単位以上の放置が難しい。

お酒好きとして、木材好きな材木屋として、延長線上に無垢材がつながる話題としての自己経験ではありますが、本来は理論と結果が結びつけば、得るものはもっと大きい。
しかし、本業の粋を出ては「ミイラ取りがなんとやら・・・」。

嗜好品ですから、面白い範囲で止めておくべきなのかもしれません。

しかし、今回の事で言いたいことはそれではないんです。

自社の instagram や facebook などの SNS 媒体ではたまに投稿していますが、「木もお酒も土から」なのです。
無垢材のもとである樹木は土に根差し、そしてワインブドウも木になり、酒米やボタニカル類も全て土から。

木材も、その性質を知るには気候や土壌は非常に大切。
その生育に大きな影響を与えるのは明白です。
木材の生産地ブランドは、その一つでもあります。

しかし、現在は木材業界ではその意識は遠く昔の話の様に感じます。
大量消費は木材の生育地や性質に関係なく量を重んじ、消費者の多くは単なる木材の利用量や炭素固定量という数字や意識づけに目を向けられ、質や本来の価値から遠ざけられていませんか？！

ラピュタが地上（土）を離れ、空中楼閣となってから衰退したように、特有の性質や土から得るものの大切さを忘れるときっと、大事な何かが衰退していくように感じます。

科学や技術が進歩すれば、一度絶えても「同じようなもの」は出来るかもしれません。

しかし、絶えることなく伝え続けていくことと同じようなものが出来る事では大きな違いがあるように思います。

木材業界も林業も、環境や森林の事を大きく語る前に、土の事を知ることも非常に重要だと思います。
もちろん、そういったことを考えた林業や木材生産も行われているはずだから、光は無いわけではありません。

弊社も試験的にですが、土に負荷をかけない馬搬（ばはん）に取り組んだ年もありました。

お酒の変化から、とてもスケールの大きな話に飛躍してしまいましたが、そうやってすべてがつながり、その中に自然素材があるんだという意識を持つこと。
そして、その自然素材をモノではなく、土からできた産物として扱っている意識持っているかどうか。
木材業界よりも、アルコール飲料業界の方がはるかに木材への関心や土や気候への関心が強いはず。

無垢材にこだわる材木屋が、土を知らずにどうしますか！

工場生産の規格品を販売すれば儲かる材木屋ではなくて、土を知る材木屋でありたい。
いや、弊社はその二足の草鞋です。
規格建材の全否定だけではなく、全てを知る事。

文章で帰結するのは非常に困難ですが、西岡棟梁の様な道を究める生き方にまで踏み込めない材木屋だから、迷いながら考えながら、今回の実験からも少しづう伝えられることは伝えよう、と手段を探っています。

今回、駄文で伝えられない想いは弊社ショールームでの勉強会や、不定期開催のワイン交流会にてお話しますので、機会があれば聞いてやってください。

ひとまず、木とお酒の関係を探る実験、第一段階終了とします！

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年10月03日

お酒の熟成と木材の関係を探る　～「入れるだけ」で変わるのか？！～ ②

十数年ブログを続けていると、以前にこのお話書いてなかったっけ？いつ投稿したかな？ということが少なくありません。
今回のお酒の話でも、必ず関連して記載せなべならないオーク（ナラ）との関係も、どこまで記載しているかを覚えていなくて、検索はできるものの時間がかかってしまうので、検索機能によって記憶が衰えることを感じてしまいます・・・

えっと、記憶ではなく記録です。
変化の記録。
前回、6月に開始した「お酒に木材を投入して変化があるのか？」を知る実験の記録ですが、今回その結果をお届けします。

皆さんは結果、どうなると思います？
何か変わる？！色？味？！香り？！？

私は、ワインやウィスキー、そして焼酎でも樽熟成というものがありますから、大きな変化に期待をしていました。
結果はどうかというと・・・

試験開始7日後。

お？！変わってるやん！色。
正確には、4日後位から次第に変化しているように見えたものの、自身の「変わるはず！！」の先入観かと自重していました（汗）が、確実に変わっている。

既に、樽熟成されたかのような色合いを呈しています！

この段階での味や香りはどうかというと、ナラとサクラでは評価が分かれると感じました。

ナラは、期待通りのオーク（樽）香を放つようになってはいるものの、まだ「ナラの木材の切れ端」的な粗野な香りも同時に存在し、それが元のお酒の香りと交じりあって若干不快。
香りのない醸造アルコール的なものだといいのですが、今回の実験は視覚的な変化を優先してジンを使用しています。

もともとボタニカルな芳香の強いお酒であるがゆえに、オークの香りが邪魔をしたのか・・・
行く末が若干心配に・・・

しかしながら、視覚的な変化は十分で一つの目標は達成。
以降は、数カ月でどのような変化があり、最終的にどの時点を着地点とするかなのですが、実は先の評価が分かれたというお話は、この時点でサクラが非常に印象が良かったからなのです。

色合いの変化はナラの方が早かったように感じるのですが、味わいと香りに関しては、もともとが若干まろやかで甘い香りを持つサクラが有利だったのかもしれません。
ジンのさわやかな香りとすっきりとした飲み口に、高アルコール飲料であることを忘れさせるような、まろやかさと若干の甘い香りを加え、尖った部分が丸くなったような印象を受けました。

樹種による違いが期待通りに出ている結果は、自身としては満足できるのですがどうしても、ナラの変化はこんなものじゃない！と思う私。

変化が確認できたところで、今度はもう数ヶ月おいてみよう！と、3カ月の熟成（？）期間を設け変化を見守りました。
するとどうでしょう・・・・

次回に続く。

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木ぃクン