本物の無垢木材　～茨木市戸田材木店・セルバの木の虫ブログ～:2022年08月

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2022年08月

2022年08月31日

夏といえば日焼け！！　②　～ブラックウォールナットとブラックチェリー、オイル塗装挽板フローリングの場合～

前回は、無垢フローリングのロシアンバーチの日焼け具合を見てきました。
かなり日焼けの進行が遅いと思われる、北向きの窓での実験でしたが直射日光はほぼなくとも、きっちりと日焼けして変色することが確認できましたね。

今回は、同じく日焼け試験ですが樹種は日焼けに関する誤解の多いブラックウォールナットと、建材メーカーさんですらカタログに書き込むほどの驚異の日焼け変化を見せる、ブラックチェリーの挽板フローリングS2シリーズを使用します。

ブラックウォールナットは、日焼けでどれ程色が濃くなりますか？と聞かれることが多いうえ、その色変化で一層深みを増すと期待されているケースが殆どなので、それだけではないことをブラックウォールナットのフローリング紹介記事にも無塗装材のカットサンプルを使用し、ブラックチェリーとともにご注意喚起をしています。

そんな2種で、今回はオイル塗装された挽板フローリングで、少しづつ日焼けを進行させるために前回のロシアンバーチと同じく、北向きの窓辺に「2カ月」放置しました。

こんな感じです。

でも、2カ月でどれ程の変化があるのか？
前回のバーチでも7カ月放置です。

今回も、このように見たところは大きな変化は感じないような・・・
と思いつつ、先にブラックウォールナットの方の覆いをはがしていきますよ。

あ、殆ど変化なし・・・

これはいいのか悪いのか（汗）。
いや、北面や直射日光の影響を受けにくいところでは、当初のイメージを踏襲できるという意味で良い例になったと感じます。

本心は、もう少しだけ変化があって、やっぱり少し変化がありますね！というつもりだったんだけど、無垢材はこんなもの。
とにかく言い切ることはできません。
環境や使用方法によって全く変わるものなのです。

ということで、実は本命はこちらのブラックチェリー。

もう、期待通りの仕事をしてくれていますよ。
どうぞ！

もともとから、少し赤茶色が濃い様な質感でしたが見事に焦げ茶色感を出しつつあります。

原木での色合いの差も大きな樹種（ブラックウォールナットも、茶褐色から黒っぽいもの、紫がかったものまであるけど）で、もっと桃色の部分もあれば濃い色の部分もあるものの、オイル塗装の「濡れ色」が、このように変化するのだということは、見て頂けたのではないかと思います。

ひとつ前のブラックウォールナットが、殆ど変化なしのこの状況でこれです。

北面の窓際で2カ月ですよ。

どれ程紫外線の影響を受けやすいのかと驚くほどの結果。

木を知る材木屋にとっては当たり前に見える光景かも知れません。
でも、今まで木に触れる機会の無かった人にとっては、初めての新居の建築で目にする無垢材が、ネットでの施工写真や謳い文句通りの状況から、数カ月でイメージ以上の変化をするということに対して失望してしまうのではないか。
そう懸念してしまいます。

古民家がいい、安らぐと言われますが、あの雰囲気も建築当初に備わっていたものではないはず。
黒い梁も、鈍くに光る床も、なんとも言えない壁や天井の質感も・・・

人間が日々変化しているように、木材も日々変化するのです。
その、扱うものにとっての当たり前を可視化すること。

それも、現在の材木屋の大事な仕事。
生活の中に無垢材があふれていた時代ではないからこそ。

単純に売る事、を目的としていない材木屋の無垢材のブログ。
ここは、そういう場所だと思っています。

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＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年08月28日

夏といえば日焼け！！　①　～ロシアンバーチ幅広無垢オイル塗装フローリングの場合～

今では想像できないかもしれないけれど、私が小学生の頃は、夏といえば日焼け！
夏休みが終わった最初の登校日に、クラスの中で一番こんがり日焼けをした男子と女子が選ばれて、抱っこちゃん人形（古っ！知ってるかな？！）をもらう。

好きな女の子と一緒に選ばれたくて、一所懸命に焼くんだけど必ず私よりまだもう少し、焼けてるヤツがいる・・・
そんなときに限って、好きな女の子が女子で一番に選ばれてしまって、私と並んで受賞！の夏の夢は破れるのです・・・（涙）

その当時、日焼けは健康のシンボルの様な感じで、外で遊んでいる元気な子！という意味合いでとらえられていたように思います。
もちろん、日焼けしているから健康とは限らないし、今では過度な日焼けは良くないともいわれますから、時代や考え方はいかにも変わるものだと思います。

基、いつも無垢フローリングを検討されているお客様にショールームでお話するのは、木も人と同じように日焼けします、ということ。
木と人間は同じじゃないけど、日光による影響を受けることは確実。
そして、無垢材の場合はインテリアとしての色調を考えて採用される場合も多いので、どのように色合いが変化しますか？と聞かれる場合もあります。

お話はするものの、出来れば変化をその目で見て頂ける方がいい。

ということで、何でも作ってしまうのは当社の当たり前。
前回までに、挽板フローリングの傷のつき方や同じく挽板フローリングの日焼け（白さのメープルがどう変化するか）をご心配の方のために、カットサンプルを「潰し」ました。

上の写真は、弊社ショールームで定番商品のロシアンバーチのプルミエグレードのオイル塗装のカットサンプルを手に取っているところ。
それは、前回の挽板フローリングの日焼け試験と同じように、本来は南向きの窓にするところですが、直射だと急激に変化することと本来の日焼けの色合いを見ることが難しい場合があるので、今回は北向きの窓で7カ月放置！を行ったもの。

と言うは易しで、7カ月も放置しているとモチベーションが・・・じゃなくて変化が待ちきれなくて、多いかぶせているものを取り去りたい欲求に駆られてしまう・・・

いよいよ、それをはがすとき！！
見た目には変わっていないように見えるんだけど・・・

試験材は、白太厳選のプルミエグレードのオイル塗装品。

無塗装での変化を見るのも一つですが、無垢フローリングの場合はほとんどがオイル塗装か何かを使われるはず。
お客様の中には、やはり実際にオイル塗装をした色合いやオイル塗装での日焼け変化が想像できないという方が多くいらっしゃいますので、変化がなさそうなものや、変化の大きなものを実際に見られるようにしよう。

ということで、弊社で人気のつなぎ目V溝フローリングの RB-32VOPを使用しました。

それでは、覆いをとっていきますよ。

フローリングが先の写真よりも若干黄色っぽく見えているのは、カメラのせいもあるのですが角度によっての見え方の違いや、それに同じくして日差しの強弱での色目の差ですが、同一材です。

さぁ、どうなっているのか！！

こんなになってました！

実験成功。
もともと、バーチは初期の変色が早い樹種ですが、ちゃんと日焼けが進行しています。

この違い、こうやって見ると顕著ですがおおわれているときは全く気になりません。
むしろ自然なくらい。
だから、お住まいの場合だと余計に気が付かないと思います。

ラグマットなどがあったりすると別ですが、基本無垢フローリングはマットでは蓋わないでくださいね。

カットサンプルを２枚並べて一目瞭然。
中央が双方ともオイル塗装の初期の色合い。

白いものも良いのですが、日焼け後の色合いも味わいが出てしっとりと非常に良いものです。
艶っぽくなる、とでもいいましょうか。

無垢フローリングの場合はこんな感じ。
では、同じ条件で挽板フローリングの、それも色変化が大きいブラックチェリーと、意外と誤解の多いブラックウォールナットの高級樹種2種がどのように変化するのか？！を見てみたいと思います。

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年08月24日

木の事を聞く人に、やっと出会えた

弊社の特徴、何だと思います？

色々とあるのですけど、担当が思うのは「木材コーディネーターがいるお店」だということだと考えています。
勿論、稀少な銘木もありますし幅広の一枚物のフローリングを扱うショールームもあり、数十年ものの熟成無垢材を在庫している倉庫もあるという、大きなポイントがありますが、それらも含めて、それらをきちんと紹介し届ける事ができるのが木材コーディネーター。

山にも行くし樹木の知識も豊富だから、輸入商社さんの受け売りをそのまま販売文句にしている営業先任者ではありません。

とはいえ、普段の業務ではおうちの構造材を扱い、プレカット加工の打合せや建材商品の規格寸法の打合せ業務などをこなしていますので、そちらは木材コーディネーターらしくないかもしれません。

先日、プレカット加工の打合せに来てほしい、と設計事務所さんから依頼があるので行ってほしい、と得意先工務店さんより連絡を受け打合せに行ったとき、言われました。

「やっと、木の事を聞ける材木屋さんに出逢えた！これからは聞ける！！」と。

当日の案件は、特別無垢材満載！というものではありませんでした。
それでも、そんな言葉が出るわけを聞くと妙に納得。

・材木屋さんは「担当者に電話さします！」➡メーカーに説明させる
・建材問屋さんは「○○らしいですよ」➡自分は知らないが、そうらしいとアピールだけしてくる
・プレカット屋さんは「寸法と納まりのことしか答えない」➡樹種や適材種は分からない

とのことでした。

特に、どの部分にどんな寸法の木材を使うかや、殊更その樹種などは誰に聞いてもわからなかったとか。
もちろん、その設計士さんは非常に繊細な図と仕様を記入されていたので、記載の理由までを知りたいのだろう、と思い木材の規格寸法の事やそこに至った理由、建築の中での木材の変遷などを簡単にお話したところ、「やっと、出逢えた」ということなんだそうです。

仕舞に、「こんなすごい材木屋さん使ってて、予算あうんか？！」とニコニコと同席の担当者さんにお話してらっしゃいました。

やっぱり、必要とされることはうれしいですね。
無垢フローリングの問い合わせなどで、疑問の解消から実際に施工して喜んでもらったり、そんなパターンもありますが、本当に材木屋として必要としてもらえることはやりがいがあります。

近年は、熱心な工務店さんも多くそれに反比例するように街の材木屋さんは衰退したように思います。
今まで胡坐をかいてきた分、工務店さんが求める要望や木をそろえることが出来なかったり、疑問に答えられなかった分、仕事が減ったと言えます。

消費者にとっては意外なことかもしれないけれど、木の事を知っている材木屋さんは非常に少なくなっています。

材木屋も商売だから、売らねばなりません。
それなら、無理やり買ってもらうよりも、求められる人のところに行かないとダメだと改めて感じました。
弊社を、そして担当を求めている人のところへ。

インターネット環境で多くの人とつながる事ができています。
これからも一層、よろこんでもらえる人と出逢いたい。
一層、木の事を伝える木材コーディネーターとして活躍しよう。

そう思った、決意新たな打合せでした。

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2022年08月21日

挽板フローリング S3シリーズ・S2シリーズオークブラッシュド

弊社の無垢フローリングのラインナップで好評をいただいているものの一つに、浮造り（うづくり）があります。
百年杉柾浮造りフローリングと古希杉浮造りフローリング、そして純白羽目板の高樹齢杉シリーズです。

浮造りは、木材の中で年輪の硬い部分と柔らかい部分の差があることを利用し、柔らかな部分を削り取って硬い部分を浮き立たせる加工です。

足触りが良いこと、丁寧に加工されたものは経年変化が美しいことが利点ですが、本当の意味でこの加工が向いているのは上記のスギです。
先の通り、木材の硬い部分の年輪と柔らかい木質部分の差を活用した加工方法なので、そもそもその硬さの差が大きな樹種でこそ活きる加工だということ。
でも、いつの間にか表面に凹凸がある加工が浮造りと称されているようで、弊社にもスギじゃない浮造りの無垢フローリングは無いですか？！というお尋ねを頂いていました。

浮造りではなくて表面に凹凸をつけることはできますが、それはもう浮造りではないので天邪鬼的に巷で言う「浮造り加工」の商品は有りません、とお伝えしてきました。

しかし、やっぱり浮造りの「広葉樹フローリング」がいいというお声は絶えません。
ということで、無垢フローリングではなく挽板フローリングでご用意しました浮造り、ではなくブラッシング加工の「挽板フローリング S3シリーズ・S2シリーズオークブラッシュド」！

ブラッシング加工と浮造り加工の違い。
浮造り加工もブラシ加工と言われる場合もありますが、広葉樹の場合はその木質部分の性質上、年輪を浮き立たせるような加工にはならないので、表面にブラシ加工をして凹凸を付けたもの。

無垢フローリングではないけれど、合板フローリング表面材である突板の0.2mmではできない凹凸のある加工。

表面が3mmと2mmの挽板フローリングだからできるブラッシング加工。

オークの年輪模様の部分にある道管が、少しはっきりとしているように見えるでしょうか。
通常のオークの場合だと、この道管の模様がもう少しぼんやりとしています。

道管は木材の組織ですが、針葉樹の仮道管などよりもはっきりと細胞の孔（あな）を目視できる場合があります。
道管を目視目視しやすいのは、ケヤキやオークなどの環孔材。

はっきりと孔に見える木目の部分の表面（というか、先の方）が削られているため、道管が少し伸びたような見え方になるために、木目がはっきりとして浮き出ているような印象を受けるのだと思います。

このフローリングの長手方向の嵌合部分を見てみると分かりやすいでしょうか。
通常でも、少しは孔の部分は凹凸になるのですがブラッシング加工は、はっきりと溝になっていると思います。

一般的な浮造りは、硬い部分が残ることで木目が浮き立つように見えますが、オークなどの広葉樹のブラッシング加工は年輪模様が削れた部分がはっきりと見えることで、同じような印象を受けるという不思議な現象（笑）。

さて、ブラッシング加工について知っていただいたところで、もう少し全体の表情を見ていきましょう。
今回のラインナップは主に3種類。

ひとつは、挽板フローリングで好評な1820mmの一枚物、S3シリーズ。
こちらは若干の小節や白太、小さな補修、軽微な変色などの表情を合わせたミックスグレードと、原木時点からの変色や節、大きな色違いとパテ補修が混在するネイキッドグレードの2グレードを用意しています。

ミックスグレードも大きな節や補修は有りません。
自然なオークの色差や、絶妙に入る白太が無垢フローリング感を存分に発揮しています。

もちろん、足触りに感じる凹凸感は通常のオークフローリングとは全く異なります。

そして、オークフローリングでは非常に要望の高い「節、変色許容！」のネイキッドグレードもありますよ。

ネイキッドグレード、といっても無垢フローリングの物とは少し異なります。
無垢フローリングは大きな節や、その補修、大きな変色も含まれているのですがそれに比べると若干大人しい。

もちろん、それは製作時の原木によるため一概には言えませんが、そんな印象を受けます。

そしてもう一つのラインナップは、こちらも非常に好評なS2シリーズ。

長さは909mmと短くなってしまいますが、その分価格はリーズナブル！
こちらはミックスグレードのみになりますが、貼り上げ方によっては空間をリズミカルにしてくれます。
S2シリーズは、レギュラーはミックスグレードですが時期によってはネイキッドグレードも入荷します。

実際は、1820mm一枚物のS3グレードでもケースの中の1枚分は乱尺品が入っている場合もありますので、全てが1820mmではないことをお伝えせねばなりませんが、実際の施工では完全に一枚物で同じ間隔で施工できる場合は多くありません。

いろんな障害物であったり部屋の形であったりで、必ず長さをカットする部分が出てきます。

そこに使ってもらうもの、と考えてください。
いや、あえて目立つところに入れておけば「あれ？乱尺？本物？無垢なの？」と、見るものを錯覚（笑）させるかもしれませんよね。

各グレードの表情ももちろん大切なんですが、今回の主役はブラッシング加工。
広葉樹無垢フローリングの特徴的な表情と、独特の足触りの一挙両得。

担当にすれば正直なところ、針葉樹よりもそのままの状態でも非常に個性的な表情を見せる広葉樹だから、そのままを味わってほしいところはあるのですが、確かにこういう表情は一般的ではない為に、特徴的な貼り上がりを求められるニーズにはちょうど良いところだと思います。

また、挽板フローリングは通常オイル塗装が標準ですが、オークブラッシュドは、無塗装でお届け！
ご自身の好みで塗装仕上げする事ができます。（必ず浸透性のオイル塗装を使用下さい。）

無垢フローリングの多くは無塗装をラインナップし、ご要望に合わせてオイル塗装を施して出荷したりしています。
しかし、挽板フローリングの標準はオイル塗装済で、喜ばれることが多い中でやはり「室内の印象に合わせて着色塗装をしたい」という声も頂いていました。

オイル塗装はクリヤーですので、その上に着色塗装をできないわけではないのですが、顔料の浸透が少ないので色の乗りは良くありませんでした。

そういったニーズにも応えることのできるオークブラッシュド！

勿論、他の挽板フローリング同様に床暖房の仕上げ材(＊)にもOKです！
（＊）床暖房は、フローリング表面温度が30℃未満推奨です。

そして、もう一つ。
S3シリーズは15mm品が通常商品ですが、オークブラッシュドはS3シリーズもS2シリーズも双方12mm厚となります。

ただし、表面の挽板の厚みはS3シリーズが3mm、S2シリーズが2mmと、表面挽板の厚みは異なりますのでご注意下さい。
といっても、そんなことは貼り上がりを見ても決して分かりません。

さぁ、オークの様々な表情を楽しみながら、足触りの特殊な感覚も味わえるオークブラッシュドフローリングを使ってみたくなりましたか？！
そんな皆さんには、特殊な加工だからこそ必ず含まれる下記の特徴をご理解頂いて、上手にお付き合いを頂く準備をしてから、お問い合わせを頂ければと思います。

どうぞ、よろしくお願いします。

＊挽板フローリングオークブラッシュドを検討いただくにあたってのご注意

1,
オークブラッシュドフローリングは、オークの道管部分に加工を施していますので、表面がけば立つように感じられる部分もあります。
また、オークの繊維が短く切れて、摩擦の大きな部分や歩行頻度の多い部分では、年輪部分がぽろぽろと小さく欠ける場合があります。
2,
無塗装での出荷が可能ですが、フローリング表面にのみ塗装をされる場合は浸透性オイル塗装でも、基材の関係で反りが出ることがあります。
また、塗装の際は特有の加工により表面は平滑ではありませんので、コテ刷毛など繊維質な塗装用具は絡まることがありますので、試し塗りをしてからの使用をおすすめします。
3,
挽板フローリングシリーズは、合板や積層板の表面に数mmの無垢材を貼り合わせた商品ですので、稀に接着材の成分が表面の挽板に変色となって表れる事があります。（特にオークは黄色変色部分が出ることがあります。）
4,
床暖房向けに使用可能ですが、主暖房とする使用方法や床材表面温度が高温になる場合は、フローリングのすき間の発生や床鳴り、反りを生じますので、使用環境には十分配慮下さい。
5,
オークは稀に、フローリングの周囲部分に黒色の変色が現れる場合がありますが、湿度と反応するなどして起る現象ですので、ご留意ください。
6,
挽板フローリングですが、オークはキクイムシの食害を受ける場合があります。

その他、ブラッシング加工による表情の違いは下段の「表情の違い」を参照ください。

S3シリーズミックスグレード　貼り上がりイメージ

S3シリーズネイキッドグレード　貼り上がりイメージ

S2シリーズミックスグレード　貼り上がりイメージ

・挽板フローリング S2シリーズオークブラッシュド、落ち着いたブラウン塗装のマンション施工はこちらから

・挽板フローリング S3/S2シリーズオークブラッシュド以外の無垢フローリングの記事はこちらから
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ

挽板フローリング S3/S2シリーズオークブラッシュド（寸法表記はすべてmm単位）

・寸　　　　法　

S3シリーズ : 12(3)×150×1820(ケースに1枚分の乱尺を含む場合があります)
S2シリーズ : 12(2)×125×909

・形　　　　状

表層3mm（S2シリーズは2mm）挽板貼一枚物

・エンドマッチあり

・品番と価格（表示価格全て税別表記です）

BO-53BM　表層3mm挽板一枚物　無塗装　12×150×1820　ミックス　

￥14,800/8枚入り⇒8枚の内1枚分は乱尺品が入ることがあります（2.18㎡）

BO-53BN　表層3mm挽板一枚物　無塗装　12×150×1820　ネイキッド　

￥13,500/8枚入り⇒8枚の内1枚分は乱尺品が入ることがあります（2.18㎡）

BO-573BM　表層2mm挽板一枚物　無塗装　12×125×909　ミックス　

￥10,800/14枚入り（1.59㎡）

・運　　　　賃
別途、地域によりお問い合わせください。

・グレード　
ミックス　　　軽微な変色や若干の小節、自然な白太などを含むミックスグレード
ネイキッド　　節やパテ、原木時点での変色等、その樹種の持様々な表情を含むキャラクターグレード

・納　　　　期
無垢商品の為、該当年度の原材料が限られている都合いつでも生産をするということが出来ませんので、余裕をもってご確認ください。

＊ご検討の前に弊社からのメッセージを必ずご覧ください。　

お問い合わせ・ショールームのご予約はこちらから

・表情の違い　参考

ミックスグレードの白太

ミックスグレードの小節1

ミックスグレードの小節2

ミックスグレードの小節3

表面の加工による毛羽立ち

加工による組織の欠け

加工後に出る組織の木部（ケース内に含まれていますので、清掃後に使用下さい）

ネイキッドグレードの節

ネイキッドグレードのパテ補修

ネイキッドグレードの変色1

ネイキッドグレードの変色2

ネイキッドグレードの変色3

塗装によって目立つブラッシング跡

塗装によって目立つ原木の変色部分

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年08月18日

ディスカラードアッシュ！≠神代タモ

担当にとっての木材の魅力。
それは、その樹種が持つ無垢な個性であり、そのもののそのままの香りや色や木目や手触り。

オイル塗装さえしたくないと感じるものもあります。

塗装や加工が嫌いなわけではないけれど、樹種の個性を味わいたいというおかしなこだわりの為に、着色などで出荷する場面は殆どありません。
しかし、現実は使われる場面によっては着色塗装が必要だったり、その方がその場の雰囲気にあっていたりします。
こだわりの材木屋のエゴだけが、木材用途の全てではありません。

そんななか、今回のディスカラードアッシュは担当の心に響く、「あれ」を彷彿とさせるワクワクな色合いを見せています。

平柾目なので目立ちませんが、木端面の板目の具合で想像できますか？

この灰緑から茶褐色の色合い。
晩材部分の微妙な色調。

私の大好きな神代木にそっくりではありませんか。

これは、神代タモと言って販売してもいいのでは？！・・・なんて思いませんけども、着色したものを販売していたりする木材業界では、ありえないとも言い切れない。

沈香や白檀などの香木は、重さが非常に重要な判断基準になるために木材の内部に金属を埋められている場合もありますから、偽りの商売はしたくありません。
いや、しませんけど本当によく似ているんですよ。

そう思って、在庫の本物（笑）と比較しても手もこんな感じ！

ん～・・・
ちょっと茶色っぽいし深い色合いが無いか・・・

でも、塗装とは異なるこのなんとも言えない色合いは、その木材が持つ本来の成分を滲みださせたものなので、着色ではありません。
だから、材によっても微妙に色合いが異なるのがいいところ。

もちろん、部位によっても異なるので、一様な着色とは異なる質感と木の持つ本来の木目の風合いをなくすことなく、自然のままでは見られない雰囲気を出す事ができます。

この質感を気に入ってもらって、既におしゃれな美容院のミラーの化粧額縁材であったり、こちらも雰囲気のあるネイルサロンの入り口ドアの建具材として、好評いただきました。
追加で鋸引き加工を施した、ラフソーン仕上げで！

これがまた、物凄くいい雰囲気なんですよ。
特に、ドアの場合は少しワイルドな雰囲気でラフソーンを見せ、部屋に入ると落ち着いた空間のフラット仕上げとすることで印象ががらりと変わります。

単純な色合いを考えた場合も、無垢そのままでこんなに雰囲気のある色合いの木材はなかなかありません。
それを、寸法バリエーションも豊富で素直な広葉樹であるタモ材をベースにしていますから、いろいろな仕上げを考えてもらうことができます。

アンティーク仕上げやオーセンティックな仕上げなど、見せ方次第ではとっても楽しめる素材だと感じています。

神代木、とはいきませんが風格のある無垢材の一つとして、これから様々な場所で活躍する予感！
ディスカラードアッシュ！です。

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2022年08月15日

夏の宿題の続き・・・

小学生、中学生の頃はお盆のこの時期、毎年同じようなことを言い聞かせていました。

「まだお盆。あと2週間以上残ってるぞ。」と。

もちろん、夏休みのことでそんな希望もすぐ焦りに変わるのですけど、毎年終わってほしくない休みの事を考えていました。
小・中学生はもう宿題は済んでいるのか、もちろんまだなのか分かりませんが今日は、夏休みの初めにお届けした工作の話題の続きをお話したいと思います。

夏の終盤に工作の余裕ないよ！！という小・中学生は、この記事を見て考察しました！的な論文発表を宿題にした見てもいいのでは？！（笑）。

好評の、出し入れできないビー玉。

バルサという木材の性質を利用した、非常に簡単で面白い工作です。
世界で一番、と言われるくらいに非常に軽軟な木材であるバルサ。
その中にガラス玉であるビー玉を入れ込んであるのですが、先日記事を書いていてふと思いました。

この世界で一番軽い木の中にガラスが入っていると、この出し入れできないビー玉は水に沈むのか？！

木材が水に浮かぶイメージを持っている方も多いかと思います。
反対に沈む木材もあるのですが、世界で一番軽いならガラスが入っていると沈むんだろうか？！

早速実験！！

出し入れできないビー玉を、お風呂のおけに浮かべてみます。
さて、どうなるか。

結果の前に、皆さんはどう思います？！

浮かぶか沈むか。
世界で一番軽い木材は当然そのままだと浮かびます。
が、中に入っているのはガラス玉。

答えを導く予備知識として考えられるのは、質量ではなく比重。
水の比重は1。
これより大きいと沈み、小さいと浮く。

バルサの比重は0.1～0.26！、そしてガラスは2.5！

おぉ？！バルサも非常に軽いけど、ガラスも重い！
足して2で割ると1.3位？！
ということは、十分沈む！！
1.3というと、ほぼ世界で一番重いリグナムバイタ！！！

こら、沈むよね！？・・・・・・・・・

はい、結果。
余裕で浮きました。

えぇ？どうして？
比重で想像すると沈むのに・・・
そりゃそうかも知れません。

バルサはその昔、救命胴衣の役割を果たしていたそう。
それを確かめるために、自身の身を投じて（笑）実験した時も、60kgを超える私の体を十分支える浮力でした。
つかまっているだけなら、大人2人でも余裕で浮かびます。

この浮力は、体験せねば分かりませんがビーチで恥ずかしい視線をあつめる覚悟も必要です。

比重2.5のガラスさえも浮かせるバルサ。

その秘密を、このお盆期間以降に調べてみる、なんてどうですか？
いや、逆に難しくなってしまうか・・・

でも、こんなところから木材や素材に興味をもってくれると嬉しいです。
夏の宿題の続きとして、いろいろな考察の一つとして、心に残る夏でありますように。

タグ：: バルサ; 木材に関する素朴な疑問

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年08月13日

無垢フローリングにスチーム洗浄

コロナウィルスの蔓延がいつまでも続く、というよりも第７波の大きさが予想以上？！に大きな昨今。
木材への影響がなさそうに感じていた2年前。
そこからウッドショックがやってきたわけですが、材木屋が想像していなかったコロナウィルスの影響が木材に出ているようです。

影響、というよりも心配、といった方がいいのかもしれませんがウィルスの蔓延が叫ばれ始めて少しした頃から、抗菌や除菌が非常に話題になり、生活空間でのウィルスや菌を出来るだけなくすことに対する商品や製品が話題になりました。

その話題の中で、フローリングも除菌殺菌！という話題をネットで見つけました。
その一つが、高温スチーム洗浄！

高温の蒸気で殺菌しながらフローリングをきれいにできるとして、非常に重宝されている場面があるとか。
材木屋にとっては、無垢フローリングに高温スチーム、となると手放しで賛成はできないところ。
木材が吸湿したり乾燥したりで伸縮変形するから、という理由が想像できますがそれだけではありません。

もう一つの懸念は表面処理を劣化させることがある、ということ。

無垢フローリングの仕上げは、無塗装からオイル塗装（たくさんの種類がありますが）、ウレタン塗装にガラス塗装などと様々ですが、もっとも多く採用されるオイル塗装の種類によれば、表面が染みになってしまう場合もあるからです。

スチームの蒸気で無垢フローリングが膨張収縮してフローリングに問題が出やすいのは、比較的柔らかい木材に多いので、硬質な木材は問題ないことが多い、というネット表記もありますが確かに伸縮するほどに部分的な加湿をすることは問題ですが、そうなった場合に伸縮よりも先に問題になるのが、上の写真の様な染み。

染み、というかオイル塗装の表面の劣化です。

オイル塗装と一言で言ってもいろいろな種類がありますが、表面を保護している成分が変質して固まることで染みの様に見える。

フローリングの汚れ落としとともに殺菌作用もある、と期待されているらしいスチーム洗浄。
合板フローリングや硬質な塗膜のある無垢フローリングは別として、やはり使う前にスチームの使用法とフローリングの塗装仕上げには注意が必要です。

コロナウィルスの流行後、合板フローリングの多くは抗菌作用をうたうものが増えました。
工業製品ならではの利点です。
無垢フローリングにも同じような処理をすることもできます。

でも、無垢フローリングに求められるものは何でしょう。
菌を殺したり菌を寄せ付けない性能でしょうか。

私は違います。

人間自体、体内にも皮膚にも多くの菌を有しています。
その作用が良いか悪いかという違いや、体調によって変化があるかどうかということもありますが、無垢フローリングに求めるものは、心地よさではないかと思います。
殺菌抗菌されている安心感、を求めるのであれば「ひば」が良いかもしれません。
強力な精油の力で、多くの菌やウィルスを寄せ付けず殺菌するほどの力を有しています。

でもその反面、強い精油成分は過敏な人にはアレルギーを引き起こします。

自然だからよいものばかりではありません。
菌やウィルスを殺すほどの力ということは、その強い力は他にも影響する場合があるということ。
柑橘類のしぼり汁でも強烈な湿疹が起る場合があります。

これだけウィルスの蔓延が止められなくなると心配になる気持ちも分かります。
でも、無垢フローリングに求めるものは何なのか。

人により様々だと思います。
が、スチーム洗浄される場合は少なくとも、目立たない場所で試しながらをおすすめします。
綺麗に殺菌したつもりが、まだらになってしまったフローリングにがっかりとすることの無いように。

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タグ：: 無垢フローリング; 無垢フローリング選び

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年08月10日

木のこととワインのこと。分かりやすいのはどっち？

先日、ものすごく久しぶりに趣味のワインについてネット検索をして驚きました。

どのサイトも、基本的に全く同じ内容が記載されている！！！
一言一句同じものもたくさん。
畑のことや、近年どのような状況で、味わいはこう・・・

調べていくと、それは全て輸入元の商社さんのページに記載されているもののコピーでした。
私は特段詳しくも無ければもちろんワイン関連の資格もなく、ちょっと頑張った日にワインでも・・・位の愛好家ですから、コアな愛好家ほどの情報もないので、自身の持っている情報とのすり合わせをすべく検索したものの、すり合わせるほどの情報を得られず、がっかりとしました。

こんなに情報があふれるインターネット時代。
それなのに、一本のワインの銘柄に関する情報は、一部のマニアが試飲ブログなどを掲載しているくらいで、造り手やそれに精通する人からの信頼できる情報というのが、自身の検索では殆ど見当たりませんでした。

その時、ふと思いました。
あぁ、木材も同じかもしれない。と。

○○科の木材で、比重は0.○○、辺材と芯材の区別は明瞭で・・・・家具や建築用材に利用される・・・

木材のことを詳細に検索するとだいたい、こんな感じかな。

私も、樹種紹介の拙記事においては同じようなことも記載していますから、偉そうなことは言えません。基本的で重要な情報です。

でも、一般の木材利用者からすると知りたいことはそうじゃないんですよね、多分。
私がワインで知りたかったような、その木が育った環境や関わった人、その土地のことやそこだから生まれる特徴や違い、そして他の木との違いはいったい何なのか、そしてどのように優れている（おすすめできる）のか・・・

ワインも木材も、概論は必要だと思います。
しかし、どれを見ても同じでは情報としての役割を果たせません。

だから拙記事では、その樹種にまつわる神話や伝説、生活に関わる事や実際に感じた事、製品にした場合の見た目や印象、そして重要な注意ポイントや欠点とされるところをピックアップしてお伝えするようにしています。
コカ・コーラのような香り・・・など、自分にしかわからないけど誰でも想像できるような表現も使って・・・

おそらく、情報量としての分かりやすさはワインの方が上でしょう。
単純な情報量では嗜好品であるワインの方が充実している。
でも、「どれくらい優れているか！」という宣伝文句や科学的根拠のない位の性能をかかげて、商品としてのPRが打ち出されているのは、圧倒的に木材の方だと思います。

双方が歴史や嗜好などによって深い世界観を持つと思う両者。分かりやすいのはどちらか。

考えて手が伸びるのは、もちろん味わえるワインだけども、自身の経験からもっと木材の事を分かりやすく興味をもって、そして、いま必要としている人に知りたい情報としてお届けできるようにしたい！、と思った先日。
でも、本当のことを言うとやはり書籍は凄い！
情報量もそしてその信頼性も、検索よりも遥かに優れていると思います。
ワインに関しては、リアルタイムに発行されているリアルワインガイド誌もその一つ！

その書籍を所有するか、頭の中で記憶しておくかの方法しかないものの、手軽に検索できる以上の情報量が詰まっています。

私の夢の一つは、本を出すこと。

それはどんな形になるか分からないけど、読む人が「ここからしか得られない」と思うような情報か、若しくは高揚感を得られる書籍。
音も発せず動画も無いけれど、見ているだけで想像を掻き立てるような、図鑑じゃない専門書籍。

いまやりたいのは、ワインの事を論ずる書籍は私には無理だけど、木のことを自分なりのアプローチで論ずる書籍は出来るかもしれない。
もやもやする検索じゃなくて、ワクワクする邂逅の瞬間を掌に。

そんな日をつくれればいいなぁ…とおもっていますけど、そんな書籍買ってもらえるかなぁ・・・・・どうでしょう。

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年08月07日

良い木の基準とは？　～時代と求められるものと価値観と～

良い木ってなんだろう。

節の無い木？巨樹大木？、いや、林業的には真っ直ぐな木というのも入れておかないといけないかな。

他にもいろいろな意見があるはずですが、果たして良い木とは何でしょう。
答えは、一つじゃない。

本末転倒支離滅裂。
投げかけておきながら、なんの話にもならない。
せめて、弊社が販売している無垢フローリングではこの樹種が、という説明でもあれば分かりやすいかもしれません。
でも、今回はそうじゃありません。

先日、弊社ショールームに来られた工務店社長さん。
私がショールームでの授業用兼コレクション（積極的に売らないもの・・・汗）としてフローリングの奥に立てかけていた、これを見て「これ、えぇやんか！！！」のお声。

何が「えぇやんか！！！」かわかりますか？
木材業界ではない方であれば、節が無くてきれいな板だ、と思っていただけるでしょうか。
幅は50cmほど。

確かに、節は有りません。が、それ以上に材木屋的なポイントなのは板の真ん中に「細い板目」が通っていること、なんです。
こんなのを、中杢（なかもく）と言ったりします。
板に木目があるのは当たり前。
そうなんですよ。
その当たり前が美しい理由が中杢で、その社長さんもそこを非常に評価されたのです。

普通はもっと真ん中の木目が幅広く、端っこの柾目の部分が少なかったりもっと柾目が板の垂直方向に対して傾斜しているはずなんですよ。
でも、板の端っこまでまっすぐに柾目が伸びている。

特に、和室天井板などで高級品とされる木目の一つでもあります。
日本の美しい銘木木取り、ともいえるのではないかと思います。

私もこの板を見た時に、これは美しい！！とおもってショールームでの見本用途に供していたわけですが、でも最近はこのような材に驚いてくれるお客様もめっきり少なくなりました。

価値観や木材に求めるものの変化であり、どれが正しいわけでもないのですけども、このような木材の価値というものがどのようなところにあり、そしてそれが木材となって手にすることができるのがどれだけ貴重な事かということを知ることは、非常に重要だと思います。

それはただ貴重だ、ということではなくて自然の産物としての美しさとそれがどうして貴重なのかということをしることで、木材のことだけではなく森林の事や林業の事、そしてそこから木材に携わる製材や市場や加工や材木屋さんの情熱や技術や伝統など、一つの産業や嗜好を超えた世界を知る事ができるからだと思います。

無節の木材至上主義でなくてもかまいません。
でも、無節の美しい柱があるから節ありの柱もあり、全てが成り立ちます。
一本の木を伐採し、山から木を出すと節ありばかりではありません。

節の無い部分もあるんです。一本の木でも。

だから、自分たちは節ありの木材を沢山利用して林業や環境に貢献している、じゃなくてもっと広い視野で、「高いから節なしは要らない」じゃない、木の使い方をしてほしい。

白いものは、ある木材の切れ端です。
もったいなくて捨てる事ができず、ずっと自分のロッカーに眠っているもの。
黒い印は、年輪10年分。
数えて見えみると、25本。

250年です。
木の幅はおよそ18cm。
柾目板なので、その倍少々が元の丸太の直径ですから、およそ40cmくらいの丸太。
直径40cmに育つのに250年ですよ。
正確には、木の中心の部分が含まれていないので270年生位かな。

もちろん、超高級材です。

だから、そうそう使うものじゃない。

でもね、価格と270年という時間は比較できないし、その時間は価格づけでは決して買うことのできない価値を持っています。
お金を出しても、270年の木を今すぐに木材として無から現実のものとすることはできません。

高いから。そこまでの物は必要ないから。
確かにそうかもしれません。
でも、ウッドショックとはいえこれだけ物の価値が下がっている日本で、未だに数百年生の木材や杢のある銘木を使うことができるのは、今までに大切にしてきた歴史と先人の価値基準があったからだと思います。

この250年輪を数える事ができるのも、この木を大切に木材としてくれた製材さんのおかげだし、弊社が売れもしないのに数十年も在庫しているからです。
もちろん、少しづつは売れることもあるのですが、そのペースは鈍化の一途。

だから、私が伝えていかねばならないと思っています。
値段の高いもの、じゃなくて価値のあるものを。

高級材を一世代で終わらせるのではなく、何代も引き継げる家だったり、昔は木材の枯渇でよい材を使えなかった古民家の改修などにこそ。

そうすることで、ずっと先まで自然も林業も山主さんも、木材に関わる全ての人がきちんとしたものの価値の中で生きていけるように。

早く太らせて燃やすための木材生産ばかりが、木材でもなければ林業ではないはず。
デフレ脱却、とかインフレがどうのか金利がとかよりも、ちょっと立ち止まって材木屋の「良い木の話」を聞いてみませんか？

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タグ：: 木材に関する素朴な疑問; 年輪; 天然林; 銘木; 木曽桧

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年08月04日

神秘の姿はイザナギとイザナミ　～大地主神社の夫婦杉～

巨樹巡りをしていると、慣れてきたころにミスをすることがあります。
いや、その可能性は少し前の時代のことかもしれません。

私が巨樹巡りを始めた時は、現在の様にインターネットのサイトも充実していなかったですから、もっぱら書籍の情報をもとにしていました。
書籍には住所の地番が無い場合や、簡単な地図すぎて分からないときも多くあって、意気込んで向かっても幾つもの巨樹にたどり着けないことがよくありました。

また、比較的容易につくことが出来た場合も注意が必要でした。
それは、目的地に同じ樹種の巨樹が複数本ある場合です。

確かに目的地で間違いないものの、神社（など）の入り口にある標識つきの巨樹の姿を、目的の巨樹と思い込んでしまい、本来の目的とする社殿奥の巨樹を拝せずに帰ってしまうというケースです。
以前に紹介している日本一のシイノキ、志多備神社のシイノキがまさにそれ。

今回も同じようなケース？！、ではないものの同じスギの巨樹があり、私にとっては社殿奥にあるスギに逢わずに帰るのはもったいないとおもうような、そんな場所なのです。

朝霧が立ち込める、静謐な雰囲気満載の高倉神社。

こちらでの目的は「スギとシラカシ」。
巨樹としては、シラカシの方が貴重なのでスギは相当太くない限りは驚かないもんね～、なんて思いながら社殿鳥居をくぐります。

するともう、いきなり目的のスギ登場。

生き生きとし、武骨に伸びあがる太い幹を誇っているかのようなスギ。
幹周り5.7m、樹高33mという綾部の古木・名木100選に選ばれたスギです。

確かに、大木で立派。
今後も更に元気に育つだろうと思う姿ですが、スギで幹周り6m弱というのはここ綾部市のある兵庫県でみても、決して太いわけではありません。

写真では結構太いと思うのですけど、現地では「うん、これくらいだろうな・・・」というのが正直なところ。
もう一つの目的は、シラカシ！
広葉樹の巨木で、ケヤキやクスとは異なりなかなか珍しいカシ。

それも、このスギのすぐそばにあります。

後ろにスギが見えるこの位置。
参道から少しそれた場所に立っているシラカシ。

カシのイメージから期待する剛健な幹とは異なり、既に幹の内部、というかほとんどが朽ちている状態。
もちろん、樹木としては周囲の形成層が健全であれば、人間が思うほど弱っているということではないのかもしれませんが、見た感じはやはりちょっと残念に感じるものですね。

見あげる、というよりもそっと手をあてて話しを聞きたい。
そんな印象でした。

さて、ここまで終わり普通であれば、次の目的地を目指すところなのですが事前情報において、社殿の奥にも手前のスギほどの大きさではないものの、スギの大木があるということ。

冒頭、入り口の巨樹だけを見て奥の巨樹に気付かないケースがある、としましたが今回は手前の巨樹ほどではない、との情報。
それに、昔はその巨樹の情報も写真をみることがなかったので、目的の巨樹を勘違いすることがあったものの、ネット記事に写真が出ている時代。
そんなこともありません。

目的は先のスギとシラカシ。
わざわざスケールの小さいスギを探しに行くべきか・・・他へ回る時間を優先すべき（一日で10か所を周ることは日常だから・・・）かと考えたものの、予定の所要時間よりも早く目的を終えていることもあり、少し時間をとって見に行くことにしました。
でも、後からしみじみと「行ってよかった・・・」と思うんですけどね。

高倉神社の社殿向かって右の、笹が繁茂した小径をすすんでいくとまた小さな鳥居があります。
さっき、大きな社殿を通ってきたところなのに、またこんなはずれに鳥居？！と思いながらも、小径が続いている通りに鳥居をくぐり、更に奥へと歩を進めようと思ったとき。

鳥居にかかるその文字に、「伊邪那伎神社伊邪那美神社」と見えます。

ん？！この奥に、神話で有名なあの二柱の神様が祀られているということなんだろうか。

そんなことを考えながら少し進んで目に入ったのはまさしく、その二柱・・・
否、その拠りどころと思しき巨樹の姿。

おぉ・・・

なんと神々しい！
鳥居を従え、朝霧にかすむ空に並び立つ二本のスギ。
これを夫婦スギとせずなにを夫婦スギとするのか・・・

先の鳥居の二柱が、このスギを依代に我らの世界に降り立つ。
あの鳥居のすぐ後ろに。

周囲には神聖な場所であると言わんばかりに他の樹種もなく、空からすっぽりと、いや天空からの神の梯子がかかる場所であるということを暗示しているかのようです。

鳥居の奥のお社は、大地主神社とされています。
解説板には、隣接する夫婦スギがパワースポットである、とも。

もちろん、そんなことを言われなくとも注連縄で結ばれたこのスギたちと、高倉神社の鳥居をくぐった時よりも一層静謐な空気に感じるこの場所からは、パワースポットという言葉が今一つ馴染めない私でも、神のお力を感じる心持になるのです。

少し現実的な話に戻ると、二本のスギは幹周りそれぞれ4.9mと4.7m。
先の入り口のスギの幹周りが5.7mであったことを考慮すると、まったくの迫力不足、と思いませんか？
先ほど、6m弱の幹周りでは驚かない、などとのたまう場面があったところですよね。

前言撤回（汗）。

何と美しいのか。
伊邪那伎と伊邪那美という、日本人の多くがその御名のみは知っているであろう神。
その御名がある上に、夫婦神であった二柱になぞらえるように天に伸びるスギ巨樹をみて、その神秘性を感じない方がおかしいというものですよね？

とくに暴れるようなそぶりも無く、枝も巨樹の生命力というよりは「あるべくして最低限のものがそこにある」かのように、競うでもなく自然にそこにあるのです。

普通ならばここで、夫婦神に肖って「夫婦円満」とお願いをするところなのかもしれません。

でも、ウチは十分に夫婦円満。
これ以上仲良くなってしまうと、家内にうっとおしがられかねない（汗）のでそれは無し。

というか、古事記などに造詣が深い方は夫婦神がどのような物語を辿るかを御存じでしょうし、ここにきて夫婦円満と素直に思わない私の心中もお察しの事と思います。

とはいえ、この二柱は日本の歴史や神話にとって非常に重要な存在ですから、やはり有難い存在と感じます。

周囲に木々が無い、といっても夫婦スギを含めて自身も画角に納まろうと思うとぜんぜんアングルがありません。

結局、参道のこの位置。
実際に人間がそこにいると、巨さはもちろん神聖な場所に人一人・・・という感じに見えませんか？
余計なもの、のように自分でも見えてしまいます。

巨さ比較で入っているだけなんですけど、まったく余計。
少し離れて眺めていると、このスギが指す先は高天原で今こうしているときにも、天の浮橋から伊弉諾と伊邪那美の夫婦神が私たちを見下ろしておられるのかもしれない、という気分にも感じます。

事前情報では、その数値から侮っていた夫婦スギ。
しかし、朝霧に包まれるその姿は、神々しくも美しく存在感にあふれるものでした。

入口のスギでは淡々としていた私も、思わず「おぉ・・・」と声を発した夫婦スギ。

神秘の姿はやはり、先を急ぐ心ではなく気持ちの余裕がどこからかの誘いを受けて、この場所へと足を運ばせたのかもしれません。

巨樹を事前情報とその幹周り数値だけで判断するべからず。

もう、いい加減理解しているつもりなのですが、このような意外な出逢いがあるからこそ、思い込みも楽しくそして、思い込みで出逢いを逃すことが無いように訪問の時間をしっかりと満喫できるように心がけているつもりです。

是非皆さんもゆっくりと、できれば朝霧が出る時間に夫婦スギに逢いに出かけてください。

きっと神秘的な空間を感じる事ができると思いますよ。

高倉神社内大地主神社の夫婦スギ　所在地

京都府綾部市高倉町奥路6　高倉神社本殿奥大地主神社

駐車スペースあり

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タグ：: 巨樹; 巨木; 所在地; スギ; 夫婦スギ; 京都府綾部市

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年08月01日

古民家リノベに、無垢フローリングの「ハレとケ」を・・・～ロックメープルのハレ～

無垢フローリングの至高の領域。
それは言うまでもなく、幅広無垢一枚物のプルミエグレード。

近年では、挽板フローリングや合板フロアーでも、同様の貼り上がりになるタイプも見られるものの、だからこそなお貴重で、誰でもが手にすることのできないもの。
それが、一枚物のプルミエグレードです。

白く美しい、つなぎ目の無い一枚のメープル無垢材。
ふんだんに差し込む日差しによって、その柔和な表情は更に明るく光るようです。

古民家特有の長い縁側スペースには、やはり一枚物が似合います。

昔であれば、松の縁甲板であったのかもしれませんが、今回はリビングなどのスペースから回遊できる仕組みの為、縁側もメープル一枚物フローリング仕上げ。

前回の2階スペースは家族のスペースで、荒々しい丸太組があらわになっているところに、ノルデストウォールナットのUNIワイルドグレードでしたが、1階に使っていただいたのはロックメープルの130mm幅一枚物プルミエグレードです。

もう、美しすぎて真っ白。

一枚物の幅広フローリングでも貴重なのですが、プルミエグレードが貴重な理由は辺材（材によっては芯材）のみ厳選で節や変色などがない、ということ。
どういう意味かというと、選別グレードの中の選別品である！ということです。

材を活かすため、軽微な葉節や自然な色差はあります。
しかし、それ以外の節や赤身（白太）を省いたものばかりを集めたもの。それがトップグレードのプルミエグレードです。

整った良質な原木でも、その一本からわずかにしか取れない貴重なグレード。
そのうえ、近年では一本の原木からではプルミエグレードが産出できない場合も多くあり、一層貴重なものとなっています。

そんなプルミエグレードがふんだんに使われているのが、1階部分。
極太の丸太梁と、こちらも太い差し鴨居が黒く光る室内。
そこに、何事もなく最初からあったかのように違和感なく溶け込んでいます。

そう、貴重なプルミエグレード！という存在感ではなく、そこにあったのが自然であるように。

一般的に、古民家再生というとどうしてもスギの節ありフローリングを想像される場面が多くあります。
古民家自体に節有りの針葉樹が多く使われていることや、古い佇まいには節ありの雰囲気が似合うと思われているから、でしょうか。

私は、それだけではないと思います。

古民家だから節ありの木材で、という安直な考えではなくて、古民家でも節なしや木目の良いものを使う場面も多くあるし、むしろそういった端正な場面が似合うところもある、ということ。

まさしく、今回はその端正な部分は1階が担うところでした。

そして、お施主様も工務店さまも当初は、もう一つの古民家リノベでの人気樹種であるブラッウォールナットを視野にいれておられました。
確かに、古民家カフェに使ってもらったように、非常に落ち着いた雰囲気に仕上がるブラックウォールナットも良いものです。

が、今回は敢えてロックメープルのプルミエグレードをおすすめしていました。

その理由は、単なる売り文句としての古民家リノベではなく、非常にこだわりを持って取り組まれる工事で、想いを大きくもっておられたから。
今どきは、無垢材の家という宣伝文句がどこにでもあるように、古民家リノベもどこにでもある時代。

そんな中で、弊社が関わらせていただいたからこそできる古民家リノベのご提案。
それが、1階部分へのロックメープルの幅広一枚物のプルミエグレードのご提案でした。

もちろん、ブラックウォールナットのご提案もできましたが、見た目だけならどこかでUNIタイプを使って似たように仕上げることができるかもしれません。
見た目の良い化粧シートも多く使われる昨今。

それに対して、近くでも遠くでも「無垢材に違いない！」という圧倒的に視認できる存在感を持つ深い照りの表情且つ、それでいて主張しすぎないナチュラルな木質感をもつメープルにこそ、他にない古民家リノベを任せられる！！と思ったのです。

その考えは間違っていなかった、そう思います。
針葉樹にも、古民家の部材にもケンカすることなくすんなりととけこんでくれる違和感のなさ。

天然素材を愛して下さるお施主様にも、気に入って頂けたようで私も非常にうれしいリノベとなりました。
特別な物件に、とびきりの「ハレ」のフローリングを！という思いでの当初の提案でしたが、いざ完成してみるとすべてが「本来あった姿に戻ったかの様」にしっくりと馴染み、特別な存在であるプルミエグレードも、明るいご家族とおちついた古民家の一員になり、日常の中のプルミエグレードになっているのを感じました。

住まう人の足と毎日接する無垢フローリング。

これから少しづつ、その色合いを深めていくことでしょう。

・ロックメープル（カエデ）幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・ロックメープル（カエデ）幅広無垢つなぎ目V溝フローリングはこちらから
・ロックメープル（カエデ）幅広無垢つなぎ目V溝フローリングを玄関ホールに施工！の記事はこちらから
・ロックメープル（カエデ）幅広無垢UNIフローリング 150mm ネイキッドグレードの natural cafe はこちらから

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

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