本物の無垢木材　～茨木市戸田材木店・セルバの木の虫ブログ～:2022年07月

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2022年07月

2022年07月30日

古民家リノベに、無垢フローリングの「ハレとケ」を・・・～ノルデストウォールナットのケ～

昔から、古民家の工事にはいろいろと納材させてもらってきました。

とても魅力的な物件が多いものの、やはり築年数相応に痛んでいたり、当たり前ですが柱の根元が腐っていたりするところも多く、「仕方ないもの」という認識もありました。
それくらいで古民家の価値が落ちるわけでもありませんし。

しかし、今回関わらせていただいた古民家は非常に状態がよく、立地もよくて「こんないい場所があったんだ！」と驚いたのが最初の印象。

とはいえ古民家ですから、埃っぽい古びた印象はそのまま。
それを、現代の感性を入れながら古民家を活かす、一層住みたくなる古民家リノベーションとされるところに無垢フローリングをはじめ、無垢材を納品させてもらいました。

古民家として珍しいと思われる、改築された2階スペースにおしゃれな洋風の窓が付いていたり、古民家では低い２階（小屋裏）が非常に広々で、部屋にいれば2階建ての状況ながら、外観が古民家の良さを崩していないところが、まずグッド！！

そこに採用して頂いたのは、ノルデストウォールナット。
（事情あって夜の撮影の影響で、白く映っていますが。）

大節やパテの多いグレードですが、歴史を感じる古びた梁や、昔の柱などの荒い材面とのバランスが非常によく、自然素材リフォームの王道。

ノルデストウォールナットは、ネイキッドグレードにもオークのような大きな節は含みません。
それは樹種の特性で、節の部分はかなり大きな節になるためにネイキッドグレードの基準に満たないから。
その基準外の節や変色をあつめたのが、このワイルドグレードなのですが、本来天然素材としては当たり前ですし、現在ではこれくらいの節の表情を望まれるケースが多いものです。

特に、古民家の場合は他のグレードだと表情に乏しいと言われる場合も多く、節が無くて苦労する場合もしばしば。
そういう意味でも、やはりぴったりな素材となりました。

とはいえ、本来の木材利用はそればかりじゃありません。
お客様を迎えるところなどの「ハレ」の場には、無節材や上級材をもちいていて普段の生活の場に要する材料とは分けられていたと思います。

現在の様に、安いから節だらけでもいい、ではなくて節だらけを有効に活用するところとしっかりと木の良さを見えるようにする部分を使い分けることを当たり前にやること。

現在では意識さえていない、本来の木材利用。

そういう意味でも、このノルデストウォールナットの採用は家族のスペースである2階です。
むき出しの武骨な小屋丸太などとも相性がいいのですが、対して1階は「ハレ」の仕様になっているのです。

古民家とそこに住まう人のスタイルに合わせてのリノベーション。
次回は、いよいよ美しいメープルの待つ贅沢な1階に移りますよ！

・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢つなぎ目V溝フローリング150mm幅の記事はこちらから
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・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングワイルドグレードオイル塗装、旧家改修施工はこちらから
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢130mm幅つなぎ目V溝フローリングオイル塗装プルミエグレード S市の施工写真はこちらから。
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢130mm幅つなぎ目V溝フローリングオイル塗装プルミエグレード I市の和室改修施工写真はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢つなぎ目V溝フローリング150mm幅の施工写真はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢つなぎ目V溝フローリングプルミエグレード 130mm幅オイル塗装のあたたかなマンションリノベの施工写真はこちらから
・ノルデストウォールナット（クルミ・胡桃）幅広無垢一枚物フローリングネイキッドグレード、150mmオイル塗装の和室改修はこちらから
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングネイキッドグレードオイル塗装、手仕事の大工さんのリフォームの記事はこちらから
・ノルデストウォールナット（胡桃・クルミ）幅広無垢UNIフローリングネイキッドグレードオイル塗装、「奏でる家」の記事はこちらから

＊ノルデストウォールナットの表面は何度も丁寧な仕上げ工程を経ていますが、材の性質上、若干のケバ立ちのような状態が残っています。
これに塗装を施したり、無塗装で水分が付着するとケバの立ちが大きくなる事がありますが、材の特徴ですのでご理解ください。

　表面拡大です。無塗装の状態でも若干見えているのがわかるでしょうか。

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・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ

＊2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年07月25日

夏休みの宿題は、木の工作！　準備はいいですか？！

さぁ、みんなお待ちかねの夏休みがスタートしましたね！！

みんな、宿題そっちのけでゲーム三昧かな？！(^^♪

中には、もう算数（数学）は終わって次は国語！位の猛者もいると思うけども、意外と悩むのが工作や自由研究（って今は言わない？！）じゃないですか？
担当の時代とは異なり、今はお店に行けばいろいろな工作キットが販売されているし、ネットを駆使すればいくらでもネタは見つかるものです。

しかし、そんな時代だからこそ作って有意義なものを作りたいとは思いませんか？！

そんな少年少女におすすめするのは、これ！

弊社の夏（一部では冬）の自由工作の定番商品である、「出し入れできないビー玉」です。

左に見えているのは、素材。
そして、右に見えているのが素材の中に組み込まれたビー玉。
光が透けたビー玉がきれいです。

青いビー玉が、木の箱の中に入っていますね。
木の箱ですから、入っているのであれば取り出せるはずですが・・・・

ほら、下に向けても落ちません。
なぜ？！

落ちてこないということは出すことができない。
出す事ができないのなら、入れることもできないはず！

ええぇ？！どうして？！

不思議ですよねぇ！
これこそ、木の持つ性質なのです！

わかるかな？
わからないみんなは、タネあかし（じゃなくて、製作編）の記事をぜひ見てね！

先週末に、早速ご注文を頂いた出し入れできないビー玉。

木の工作が宿題に組み込まれているという、非常に良い教育方針の学校（笑）に通われているそうで、何をつくろうかと探されていたそうです。

そこで出会ったのがコレ！
早速作ろうと、材料を県内各所探されたそうです。

しかし、売っていない！
この小さな材料が、どこを探してもない！！

ということで、はるばる大阪にあるこだわりの材木屋へお尋ねを頂いた次第。

大丈夫です！ありますよ！！！（笑）

早速、お尋ねのメール返信をさせて頂いての出荷の運び。
楽しみに待っていただいていることでしょう。
今夏の休み明けには、木の工作作品で学校では人気者になっているはず。

どのような仕組みになっているかや、製作から見える無垢材の性質までを含めての工作学習ですから、作ってすぐ終わりのお役御免ではありません。
そして作った後のオブジェとしてもきれいですし、おうちに遊びに来た友達やお父さんお母さんのお友達にも、「これ、どうなってるか分かる？！」なんてネタに出来ます。

今夏も工作や自由課題に迷っている少年少女たち！
製作課題は、出し入れできないビー玉に決まり！！
キット販売のご依頼、お待ちしていますよ！

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タグ：: バルサ; 木まぐれコラム

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年07月22日

「超えた加工」は、素材の性質を活かせるか？　③

今回のシリーズの冒頭でも言ったように、私も非科学的に感じたり神秘的ですらある樹木や木材の力などを信じたい気持ちは、非常に強くあります。
実際に樹木たちは、驚くほどの力（精油やアレロパシーなど）を保持していますから、信じない方がおかしい位。

それと同じくして、多くの知見を有する識者や専門家が言うのであれば間違いない、と思い込んでしまいますが、実際その意味や効果はどうなのかを試してみる機会は多くはないと思います。
それを見える化してみよう、というのが今回のシリーズの趣旨。

ということで用意したのは、日本の赤松の無垢フローリング。
ひとつは石山赤松、もう一つは昔に某所で入手したもの。
それぞれに、スポイトで水玉が出来るように滴下していきます。

試験に選んだのは、写真左の石山赤松が超仕上げ加工品だから。
対する右は、一般的なサンダー仕上げ。

同じように水滴を作りました。

これが一体どうなるのか。
勿論、双方無塗装です。
樹種は同じで仕上げが異なるだけ。（色味は異なりますが、今回の試験上は大きな違いは生まないであろうと推測しています。）

数時間放置したのちに結果を楽しみにしていよう・・・
そう思って少し見守っていたところなんと・・・

おぉ？！
サンダー仕上げの方は、もうすでに水滴が崩れて吸い込まれ始めている！！
その証拠に水染みが木目方向に広がっているのがみえますよね？

左の石山赤松はというと、まったくその気配はありません。

これ、自社商品をアピールする為に意図的にやっているのではないですよ（汗）。
自分でも驚いているんですから。
想像はしていたものの、ここまですぐに違いが出るなんて。

結果、時間を置くことなくみるみるうちに巣こまれていく水滴。
20分後には、サンダー仕上げのほうにはもう水滴はなくなってしまいました。

その時点では、超仕上げ加工である石山赤松は全く変化なし。
嘘みたいです。

でも、これが仕上げ方法による違い。
そして、鉋仕上げにしなければ腐りやすいとされている一因だと思います。
鉋仕上げは雨水に曝されても、すぐには浸透しにくい。それに対してサンダー仕上げはすぐに水分を吸い込んでしまうため、木材の湿度が高くなり腐朽のリスクが大きくなる、ということ。

サンダー仕上げが完全に水滴を吸い込んだ後、石山赤松の水滴も拭き取ってみることにしました。

どこに水滴があったのか、わからないくらいに染みこみはありません。
右の水染みと比較すれば、その差は言うまでもなく。

表面がツルツルピカピカになるかどうか、ではなくてこんな違いがある仕上げ方法。

もし、この木材の用途が屋外であれば非常に大きな違いになる事でしょう。
屋内使用の場合でも、鉋仕上げの材面は本当に美しくまるで「鏡面」のよう。
木材が内に持つ艶や本来の色味を引き出された、そんな素肌の美しさを感じるのが鉋仕上げ。

柱に屋外の景色が映りこんでいます。

この鉋の大工さん曰く「仕上げちゃいますよ！サッとかけただけです。ほんまの真壁の家ちゃうしね。」
そう、本当はプレナーという機械で大きさをそろえるのみでよい位の場面ながら、ちょっと材面の仕上がりに納得できずに鉋をかけてしまったそうです。

マニアです。
普通はそういった仕上げの手間をかけたくないから、プレナーのままやサンダー仕上げの加工を加工所に依頼するのです。
工務店や大工さんが、他の加工所（専門機械のある）に仕上げを依頼しているんですよ。
現在はそれが一般的。

「無垢材を使った自然素材のおうち」、と言っているところの多くで一般的。

何度も言いますが、サンダー仕上げが間違っているのではありません。
今回は、古くから言われていることがどのような違いを生むのかを見た実験です。
巷で言われることが本当で、どのようになるからだめなのかが少し見えた気がしますよね。
こういうことは、無垢の木を実際に使う人たちは自身で体験してみることはできません。

だからこそ材料もあり、ある程度の知識や経験のある材木屋が、無垢の木を知っている材木屋の本来の仕事だと思うのです。

以前の木まぐれコラムにて、樹木や木材が細胞組織をもっていて、その細胞組織があるからこその様々な恩恵があることを知る初歩として、木の細胞に水を通す事ができる実験をしました。

百聞は一見に如かず。

今回も普段は見ることのできない「仕上げ方法」による違いを見てもらいました。
これから木材の事を知る、使う上で少しでも判断基準として頭のどこかに残っていればいいなぁ、と思っています。

因みに、スギも実験しています。
スギの赤身は腐りにくい伝説とともにもし、その赤身にサンダー仕上げと鉋仕上げだとどうなるのか・・・興味ありませんか？
そんなお話は、弊社ショールームにて！

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2022年07月19日

「超えた加工」は、素材の性質を活かせるか？　②

果たして、鉋仕上げにしなければ木は腐りやすいのか？！

そもそも鉋仕上げではない場合は、どのような仕上げになるんでしょうか。

現在、建築を含め多くの木材の仕上げ方法は「サンダー仕上げ」と言われるサンドペーパーによる研磨仕上げです。
もちろん、それが悪いものでもないしそれが必要な場面もあります。

それに、非常に細かな番手のサンダー仕上げの方が、スベスベの手触り感がありますし、何も知らなければ違和感なくきれいな仕上がりと思うでしょう。
それなのにどうして鉋仕上げなのか・・・

それは、サンダー仕上げの場合は厳密にみれば「木の表面が毛羽立っている状態」と表現されることがあります。
それに対して、刃物である鉋の場合は一方向に木の表面を一枚剥いていくイメージでしょうか。
言葉では簡単ですが、鉋削りはもちろん奥が深い。

それによって何が違うのかは、もちろん表面の艶や経年変化にも現れるのですけども、今回は木と相性が悪いとされる水分について考えてみたいと思います。
木は適度に湿潤な状態が続くと腐朽することは、周知のとおり。

しかし、使用環境によってはどうしても湿潤な環境下になる場合もある。
特に、現在の様に工業製品の建築部材などが無い時代は、木をどのようにして腐朽から遠ざけるかに粉骨されたはず。

その中で、建築技法や樹種の性質以外に普通に当たり前に出来ること。それが鉋で仕上げる事。
しかし、サンダー仕上げと並べて見るとその違いはわかるものの、性質としての違いまでは見えてきません。
じゃぁ、実験してみよう！

ということで、身近な建築無垢材であるフローリングの仕上げ材で比較してみることにします。

流石に、既製品では鉋仕上げというフローリングはありませんから、その代わりに「超仕上げ」という自動鉋機械のようなもので仕上げられた、弊社の幅広フローリング且つ貴重な日本の赤松である、石山赤松幅広無垢一枚物フローリングを使います。
比較対象は、一般的なサンダー仕上げのフローリング。

これにわざと水をつけて、その変化を見てみようではないですか。

それこそ、目で見て分かる違いがあるのか。
さぁ、どう思われますか？

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2022年07月15日

「超えた加工」は、素材の性質を活かせるか？　①

読者のみなさんは、伝統建築は好きですか？
伝統建築、と言わずとも社寺仏閣建築等は素晴らしいものだという意識は持たれているかもしれませんね。

担当の様に木材の仕事をしていると、いったんは辿り着くゴールの様なものがあります。
それが数千年の月日を経た建築物が残る社寺仏閣建築であり、それを成し遂げてきた堂宮建築の棟梁の技法です。

一般建築とは異なった特殊な木材を使っているということを忘れて、大工さんも材木屋さんも一時はのめりこむほどの情報量や知見と、先人の経験から導き出される非科学的・非植物学的でもある説得力のあふれる法則を手放しで信じてしまうほど、素晴らしいものばかり。

そういう私もそんなクチですので言うのですけど、伝えられていることを信じる前に全ての事に対して、自身でも考えることを放棄しないようにしたいと思うのです。

今までの記事でも何度も書いていますが、材木屋さんが使いたがるネタの一つに「法隆寺が千年以上建っているから桧は強い、腐らない」という理論。
そんなわけありませんよ。

先ず、使われている桧自体が全く違う。
現在の数十年生の人工乾燥材じゃない。そして、メンテナンスも違う。
住宅とは建築の方法も違うし、建物自体が違う。
見ればわかるけど、伝統的な建築物の威厳と大棟梁がおっしゃることにばかり気を取られていると、違いが見えなくなることがあります。

私も本当は「絶対に棟梁の言葉が正しいと思う、そう信じたい」と思うものもありますが、中にはそうとは言えないものも多くあります。

よく話題になるお話のひとつは、「木を見れば、生育の方向が分かる」というのもの。

木目や節で、その木の生長した向きがわかるというもの。
そうであってほしいし、製材所さんでも材木屋でも同じように教えられてきたと思います。
中には、その通りの場合もあるのですが、全てがわかるわけではありません。

大棟梁になると、木を見れば産地までわかると・・・

私もそんな風になりたい！！と若いころは意気込んで地域ごとに同じ樹種を並べて見たもんです。
しかし、植物はそこまで単純ではないと思いますし、実際に同じ地域でも山の場所や所有者でも全く異なる木に育ちます（そうじゃないと林業の施業はある意味、優劣つきませんよね？！）。天然生か植林か、も異なります。

もちろん、特徴的なものもありますが中には、とある地域のスギを調べてみるとDNAが屋久杉と同じだったということも聞きました。
どの程度の正確さかは定かではありませんが、離れた地域で明らかに異なるにも関わらずです。

知識と経験によって導かれることや伝統は非常に大切ですが、その情報はアップデートされるべきですし、そういう視点でみていけば自分なりの気づきもあると思っています。

さて、私が聞いてきたそんなお話のネタの一つに「鉋（かんな）仕上げにしないと腐りやすい」というお話があります。
大工さんの持っている、あのカンナ、です。

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2022年07月11日

暑い夏に、アツイ冬のお話　

6月から異常な暑さが続いてきた今年。
まだ8月があると思うと怖ろしくなりますね・・・汗。

そう思いつつも、私の思いはもう冬準備です。
毎年、この時期に次の冬シーズンのスキー場の早割券を購入するからです！
通常料金よりもはるかにお安く購入するのは、家族でのウィンタースポーツでの支出を少しでも軽くするため・・・もあるのですが、今年も行くぞ！！という決心のひと時です。

夏の日差しと気温は暑いものの、実は今年の冬のスキー場もアツかったのですよ！

毎年、ホームグラウンドのあるスキー場まで車でおよそ3時間。
貴重な一日を少しでも長く過ごすために、夜中出発で滑り出す朝の景色。
誰もいないゲレンデは、冷たい空気も相まって非常に気持ちいいものです。

毎年、ほぼ同じゲレンデばかりで過ごしている私。
ただ、今年は諸事情あって久しぶりに違うゲレンデで多くの時間を過ごしました。

コロナウィルスの影響が続く中、若干警戒心が緩くなってきてた冬。
ホームグラウンドとは異なるスキー場では、若者たちはマスクをすることなく楽しそうにはしゃいでいる場面も。
スキー場としては、多くの人が訪れる中で従業員さんが感染するところも多く、気の毒だと思いながらお世話になっていたところでした。

そんな中なので、働いている人たちも少し神経質になってしまうのは理解できるのですが、スタッフさんの数人は「言うことを聞かないヤツは来るな」くらいの勢いで、マスクをしていない若者に接しているのを見て、楽しい雪山での心が非常に痛みました。
若者の行動も責められるところはあるものの、もう少し言い方があるのになぁ・・・と思っていた矢先！
リフトチケット返却の為に並んでいた私、着替えた後で油断してマスクをしておらず緩めのネックウォーマーを口元にかけていました。
すると、「マスクしてからならんでもらえますーーー！！！」と20歳そこそこの女性従業員さんにすごまれる私。
そりゃそうだ、とポケットのマスクを探していると「次の人！してる人からきてくださいよ！」とすでに私以外にも怒りを振りまいていく。

マスクをしてからもう一度並んでリフトチケット返却。500円の預り金が返却されるのですが、渡されずに軽く放り投げられる始末・・・
流石にこれは社員教育が！！とも思ったものの、そりゃ毎日いうことを聞かない人を相手にしているとこうもなるのかなぁ・・・と感じたものの、せっかくの雪山での楽しい気分もしぼんでしまいました。

しかし、その1週間後。
その気持ちが雲一つなく晴れました。

場所は若者の姿などほぼない、スキーリゾートとは異なる地域のスキー場。
今年初めてながら、今まで行ってみたいと思っていた場所。

高速リフトなどなく、しかも私が行った日は3月後半の融雪で上部のリフトが動いていない状況で、いつものホームグラウンドからするとスケールが小さく、そして一週間前のスキー場が広すぎて、一日滑っていられるのかな？！と思ったのですが…

写真はお昼の画像です。
日曜日です。

大きなスキー場に慣れてしまっていた私には、驚きの光景。
リフト待ち以前の状態。
いや、これがうれしいのではありません。
このリフトに乗る時です。

乗車時は「おはようございます！お気をつけて！」。
降車時は「ありがとうございました！」

の一声。
完全に地元のおっちゃんですが、頭を下げてくれるんです。
それも乗車毎回！

おっちゃん、もう朝から数十回乗ってる（コース距離短いし）し、顔覚えてるやろうし挨拶いいのに・・・と申し訳なく思うも、結局終わるまで挨拶してくれました。もちろん、私も毎度「ありがとう！行ってきます！」の応酬（笑）。

挨拶一つで、なんとも心地よく晴れやかに滑走できる。
いくら広いコースで高速リフトやスノーボードパークがあっても、人から受ける印象が悪ければ一つもいいことが無い。
都会と田舎、という比較をしますがやはりどこか、普段の人間関係や社会の形成自体が違っていたり、時間の流れすら違うのではないかと思うほどの人間性の違い。
同じ県、でですよ。

心は温まりまくりで、一日ほっこりとゆっくりと滑走して、当初杞憂するも満足する事ができました。

やはり商品も体験も、最終的には人間。
関わる人がどのような人かによって印象は大きく変わると思います。
昨シーズンは、非常に温かいスキー場を発見してしまったので、今年も必ず行きます。
ファンになってしまいました。

私も見倣ってファンを作りたい！！そう思ったアツイ冬。

皆さんも、暑い夏のあとはこんなアツイ冬を体験してみてください。

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年07月07日

割り箸は一体何のために・・・

ウッドショックが続く森林林業、そして木材業界。

誤解してはいけないのは、日本の木が足りないのではないし、これを機会にもっとたくさん日本の木を使おう！と安直に考えてほしくもないところ。
一昔前には、草の根運動的に「マイ箸を使うことで割り箸否定論」が多くあったものの、そんな話はどこへやら。

建築用木材の原木も不足していると言われるんだから、割り箸も不足している？！というわけでは決してないんだけれど、おそらく割り箸を宣伝しなくてもある種の木材利用や森林の事が、ある意味一般的になったと理解していいのかもしれません。

そんな概論から入るとどんどん話が長くなるので割愛して、今回は久しぶりに割り箸。

今週末の弊社イベントの為に新しいものを用意しました。

今回のイベントは、飲食を伴った交流会的なものなので、お箸が必要。そこには安価なものではなくて、やっぱり材木屋らしいストーリーの詰まったものが必要。
ということで、王道のスギのお箸を用意しました。

一般的なイメージのパシっと割るタイプではなく、ちょっといい感じの割烹などで使用されるようなタマゴ型タイプです。

イベントで一度きりの使用を考えると、いくらでも安いものはありますが本来の割り箸の性質を考えると、やはり良いものこそを使い切りたいと思うのです。
無駄使いではなく、「良質な原木の小さく残ったもったいない部分」で贅沢に造られた良質なもの。
それを、きちんと日本で消費する。
日本のスギで造られたものを、です。

その意味は、今日や明日では分からないかもしれない。
でも、今日かもしれないし明日かもしれない間に、一軒、また一軒と割り箸製造に限らず木材産業の事業所が無くなっていっています。
それは、他の素材で作るよりも高価だからという理由もあれば、日常的に使われないからということや、もちろん海外の安い商品に入れ替わってしまったから、という理由もあります。

高いものが全て良いわけではありません。
しかし、理由のある価格や価値のあるものはしっかりとした価格が維持されるべき。

一昔前は、無垢フローリングでも同業者がノルマを抱えて弊社に売り込みに来るのもしばしばでした。
怖ろしく安い価格で。
植林木（伐採処理しなければいけない）のUNIタイプの、使い切りのイレギュラー商品を・・・

そんなときも、その商品がわるいのではなくてそんな価格で売り切ってしまおうというビジネスモデルが、以降にも影響すると感じるのです。
今では、そんなUNI品すら特価営業が無くなりました。

もともと特価販売などで出回らない、オークの一枚物などはいうまでもなく、です。

一枚物かUNIなのか、ではなくて価値と理由のある価格があるということ。

割り箸にしても、袋を開封したとたんにうっすらとサンディングの粉が立つ（凝視しないとみえないんだけど）ようなものは、いくら安くても「環境に配慮した・・・」と書かれていても使いたくありません。

ましてや自社の、材木屋でのイベントには。

今回使わせてもらうのは、正規品から外れた若干の傷や節のあるもの。
本来は正規品を使わせてもらわねばならないところを、製造所のご厚意で分けて頂きました。
（本当は、通常よりも高く買うべきところを・・・感謝。）
正規品と今回の傷品のこと。
価格差じゃない、もっとその奥にある「割り箸からみえる木材の事」を考えてもらう素材にしたいと思っています。

ウッドショックのこんな時だからこそ、もう一度「割り箸は良いのか悪いのか」という以前の論争を再考してみるのもいいかもしれません。
同じ割り箸でも、良いものを作って廃業されるところもあれば、良いものを売って高い利益を得ている（それだけで善悪言えませんが）ところもあります。
さて、どちらが正解でしょう・・・

細い木材の切れ端からできる製品にも、多くの森林林業や木材、ひいては私たちの生活や環境や生き方の沢山の問題が詰まっています。

単純に環境に良い、とか端材の利用（あまり好きな言葉ではありませんが）とは言いません。
一つの事を深く掘り下げて考えてみる機会。

それも、今回のイベントの一つの目的としていますので、少しでも理解を深める機会としたいと考えています。
割り箸は誰の何のために生産しているのか・・・
そんなことを考えられる機会になる交流会、今週末です。

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2022年07月04日

たまには潰す、時もある　第二弾　～お客様の為の、商品の使い方～

少し前に、挽板フローリングのサンプルを「潰す」実験をお伝えしました。

挽板フローリング、特にS1シリーズは表面が1mmであることで「めくれないか？！」とか「傷がついて基材が出てこないか？」などという質問を頂きます。

はっきり言って、そのように心配されるならば保証付きの有名合板フローリングメーカーさんの商品をおすすめします。
巨大な資金でいろいろな実験をされているので安心です。

弊社の無垢材商品は、完全無欠な工業製品としての完璧品を目指しているのではありません。
自然素材であることや、それに近い商品を出来るだけ高いレベルでお届けすることに注力しています。
だから、絶対に問題ないものを扱っているのではありません。

でも、本気で検討されるうえでの心配は必ずある。
その不安と心配を払拭するために、サンプルを潰す実験をしてきました。
今回はサンプルにとどまらず、商品を「潰す」ことにしました。

2枚の並べられたフローリング。
今回は挽板フローリングのS2シリーズのロックメープル。

今回の試験の目的は、変色！

特にメープル系は、施工当初のこの白い色合いを好まれる場合が多いので、必ず変色する旨を伝えると、イメージが変わると心配される場合があります。
そして、その進行を抑えるためにホワイトオイルを塗装しておく方法を提案される場合もあります。
たしかに、そんな方法もあります。

しかし、木目がつぶれるほどの塗膜があれば差はあるであろうものの、その効果とは？！と疑問でした。
そこで実験

上記の右側はホワイトオイル塗装、左は通常のクリヤーオイル塗装です。
わざわざ実物のフローリングの半分を覆い隠し、「北面の窓」のそばに半年放置。

早速、クリヤーオイルの方の囲いをはずしていきますよ。

おぉ、期待通り。

蓋っている部分が無ければ、日焼けした色が普通に見えていますが、こうやってみると当初の色合いの白いこと！

そりゃ、こうやって比べると白さを維持したいと思うのも自然なことだとも思います。

きっちりとマスキングテープの部分もちょびっとヤケ・・・

紫外線が如何に強い影響力があるかがわかります。
そのために、厚紙で覆っているんですが、このテープの部分も予想通りの変化で、ある意味思うつぼ。

そしてこうなると気になるのが、もう一方のホワイトオイル塗装の方。

ホワイトオイルでコーティングされた効果はあるのか？

もちろん、顔料がある分紫外線対策としては有効なはず？！ですが結果は・・・

むむ・・・

むむむ・・・

そうですよね、剥がさなくてもわかること。
焼けている部分を見れば、双方違いが無いんですよね。
だから、結論ホワイトオイルを塗っていても変化はする、ということです。

しかし、それをあえて変化後に目が慣れている状態で元の状態と比較する。

少しアングルが変わりましたが、奥がホワイトオイルです。

こうやって見ると、ホワイトオイルはきれいに白粉されたように見えますね。
メープルは白いというよりも、ベージュがかっている印象ですので、白さを求める場合はホワイトオイルもあり。

しかし、冒頭の通り日差しの多くない「北面」の窓際に放置していたものですら、このように変化するのです。

だから変色は避けられません。

でも、元の色合いと比較しなければ違和感はないと思います。

ではどうして、このような実験をするかというとお客様に最初に「覚悟」してもらうため。
理想ばかりで、当初の色合いや表情にばかり集中していると、せっかく一緒に時を過ごす無垢材の変化にがっかりしてしまうときもある。

だから、これくらい変わる！ということを知ってもらうのです。
傷がつくことも同じ。

こういうことが起きる、こうなっても完全に破損することはない、というような判断基準を自身で持ってもらうため。
若しくは、検討している無垢材がどのように変化するかを知りたい、とおっしゃる方も多くおられます。
きちんと受け止めてらっしゃるということです。

そんなお客様へ向けて、いろいろなサンプルを作ってお待ちしています。
綺麗なところだけをお見せする「売り方」はしません。

数年後のことやもっと先の事を考えてほしい。
家族の事はそう考えますよね。
おうちも一緒。無垢フローリングも。

また機会を見て、他のサンプルも紹介したいと思います。

売り込みも宣伝もしない、真面目な材木屋のサンプルと商品の使い方。
如何でしたか？！

タグ：: 無垢フローリング; 無垢フローリング選び; 挽板フローリング; S1シリーズ; ロックメープル; カエデ; オイル塗装

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2022年07月01日

清涼楢（せいりょうなら）幅広無垢一枚物フローリングと、いろどりの広葉樹のおうち

最近気が付いたことがあります。
ナラ材（オーク）って、やっぱりカッコいいと・・・

今頃か？！ではなくて、一周して戻ってきた感じに近いです（笑）。

名刺もオークになったし、パソコンのそばにある事務用ボールペンは弊社オリジナル木製ボールペンである、「kowa ～木輪～」のオーク。
そしてフローリングでも、いつの時でもオークやナラは必ず建築にフィットしてくれる。

今回のおうちもそうでした。
マンションリノベーションですが、近年多いのは杉を多用した天然素材リノベーション。
それに対して、このおうちはほぼ針葉樹はありません。

フローリングは、日本の広葉樹幅広無垢一枚物フローリングの清涼楢（せいりょうなら）です。
節、パテありのネイキッドグレードですので、様々な表情が混在。

辺材も多く含まれているし、木目の荒れた部分もあり変色のあるものも含みます。
中にはものすごくきれいな虎斑が出ているにもかかわらず、大きな節があってネイキッドグレードになっている部分もあったりして、非常に豊かな「森」というような印象。

オイル塗装がされていることもあり、表情が一層はっきりしていることもあるうえに色調も若干濡れ色になっているので、赤白の差もくっきりと出ています。

今回の貼り方は、ちょっと珍しいすだれ貼。
しかも、幅方向で2寸ズラシ！！

4寸幅（120mm）の半分の2寸です。

これって、結構大変だと思うのです。

加工精度は非常に気を使って仕上げられているものの、一般的な貼り方だと若干の幅方向の寸法違いや長さ違いなども許容できるものの、すだれ貼の場合は非常に目立ちやすくなります。

その上で、幅方向で2寸ズラすなんて・・・
設計士さんの意図だと思うのですけども大工さん、喜んだやろうなぁ・・・（笑）

いや、冗談ではなくてこういう難しい納めや加工の大好きな、マニアックな大工さんの施工だからなんですよ。

この現場は、造作材の無垢材全てはもちろんの事、家具に至るまで全て大工さんの手仕事仕上げ。
マンションリノベなので、刻み作業はほぼないですがそれでも切削仕上工程や、家具製作工程は非常に時間もかかる上に、図面からいろいろな情報や設計士さんの意図をくみ取らねばなりませんから、一般的な施工大工さんではこなす事ができません。

そんな仕事を、「いやぁ、大変よ・・・」と言いながら普通にこなしていく仕事内容に関心。

もちろん、広葉樹が沢山あって・・・というより広葉樹しかなくてフローリングも節ありなのに、針葉樹のような「木材です！！」という感じも「和風」な感じもそんなに受けません。

こんな表情があっても、他の部分が「シュッと」してるから全然野暮ったくないんですよねぇ・・・府不思議です。

材の印象と設計のバランスですね。

話はもどって2寸ズラシですが、一部はボーダーとなるブラックチェリー材を入れてジョイントされていたり、そこで貼方向を変えたりされていて、立体的な遮蔽物はないのに無意識のうちに、空間の識別というか場所を認識しているというか、部屋を区切られていないのに部屋があるように感じてしまうというか・・・

そんな印象まで演出する見せ方は本当に勉強になります。

あ、それで2寸ズラシです。

均等な寸法でずらしていくということは、幅方向が長くなればなるほど少しづつの誤差が蓄積されて大きくなって、大きなずれになる恐れもあるということ。

それもしっかりと計算されて、若干は製品や現場でのずれがあるはずのところを全く感じさせない施工。
美しすぎます。

こういう大工さんの仕事、好きです。

構造材を刻むような仕事も好きですが、微に入り細を穿つような心と気持ちのこもった仕事。

住まい手さんには、そう多くは伝わらないかもしれないけど、こういうところは見失ってないけないのが工務店ではないかとも思います。
材木屋も同じですね。

施工現場は、タワマンでもなければ特別高級なマンションブランドではありません。
でも、そんなことではなくて住む事と居心地に価値を感じる住まい。

それを形にしていると感じます。
ベランダにでるんじゃなくて、窓際のフローリングに座っていたくなる。

日差しの傾きによって表情を変える木目を一つ一つ見続けたくなる。

昨日は気付かなかった虎斑模様や色調の変化に気付く日がある。

そんな毎日を過ごせる。そう思う場所。

日本で育った日本の広葉樹のフローリング、清涼楢（せいりょうなら）幅広無垢一枚物フローリングのしっとりとした木質感と周辺の広葉樹、そしてそれを活かしきる設計と大工さんの仕事で出来上がったマンションリノベ。
忘れてならないのは、これを普通に完成させた工務店さんの総合力あってのこと。

広葉樹の可能性を、表情だけではなく使い方で見せるおうち。

ご協力できて非常にうれしいです。
住まい手さんの幸せが見える、そんな場所でした。

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