本物の無垢木材　～茨木市戸田材木店・セルバの木の虫ブログ～:2021年11月

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2021年11月

2021年11月28日

13年でできたこと　③ エインシェントアッシュ幅広無垢一枚物・つなぎ目V溝フローリング

床暖房・・・
無垢フローリングとは相反するとも言いたくなるほどの存在ですが、それでもそのシステムのもたらす快適性は確かに大きい。
材木屋としては、「無垢材はあたたかいので」とか、「杉のフローリングなら、床暖房無しでもいいと思いますよ」と言ってしまいそうなところかもしれませんが、私は言いません。

なぜなら・・・無垢フローリングでも環境によっては冷たいから・・・
残念ですが、本当です。
特に、無暖房の北向きの部屋なんて、硬質な広葉樹のウレタン塗装ならばひんやりです。

いや、正確には周りの空気が冷たいんだから当然なのですが、どうしても無垢材はあたたかいという先入観を持ってもらいたくない為に、わざわざそのように言うのです。

じゃぁ、どうすればいいのか・・・
それが今回のコラムのテーマでした。

せっかくつかう無垢材。風合いを感じるために無塗装かオイル塗装を使いたい！と思われるのは当然。
しかし、床暖房向けのフローリングの多くはウレタン塗装。
ここでも相反する条件なのですが、思い切って床暖房を採用するならばフローリングはこれで如何ですか？！

無垢材には珍しい、ちょっとくすんだ茶褐色と灰褐色。
チョコレートモカ？！と勝手にイメージしていますが、無垢フローリングの中ではブラックウォールナット以外ではなかなか見ることのない色合い。

エインシェントアッシュ幅広無垢一枚物フローリングです。

無塗装の状態の写真ですが、この色合い。
一枚ごと、又は一枚の中でも色の差はあるのですがそれが無垢材の表情として印象を大きくしていますよね。

表情と言えば、アッシュ（タモ）材特有の大きくはっきりとした木目が特徴。
これぞ広葉樹！という印象をうける、環孔材と呼ばれる部類に属しますから、どんな方向から見ても十分に無垢材のフローリングであることを見て取れます。

床暖房といえども無垢材を採用するんだから、まったく木目を楽しめないのでは意味がない。

エインシェントアッシュはその心配が殆どありません。

そして、いつも通りですがその木目をいかすのが幅広150mmサイズ！

この伸びやかな木目。
150mm幅広なうえに、1820mm一枚物をご用意しています。

一般的には、印刷のシートフロアーでしか実現しようがない、150mm幅で1820mm長さの一枚物を無垢材で、それも床暖房向けでお届けするのです。

通常、床暖房向けのフローリングのサイズは75mm幅の1820mmのUNI（たて継）。
幅サイズは倍！、長さ方向もつなぎ目無しという驚き。

もちろん、印刷シートフロアーと比較しても素材感は抜群。見間違うことはありません（笑）。

無塗装商品ですがおそらく、皆様オイル塗装を施されることと思います。
オイル塗装をすると、一層濡れ色となり深みが出ますので何とも良い雰囲気になります。

いや、幅広の一枚物で床暖房向けであるだけでとってもすごいことなのは、床暖房と無垢フローリングの間で迷われた方ならば、とても共感して頂けるはず。
しかし、それだけではありません。

エインシェントアッシュは、各樹種で好評の「つなぎ目V溝フローリング」をラインナップしているのです。

近年では、ロシアンバーチとノルデストウォールナット、そしてカスクオークの出荷が続いているつなぎ目V溝フローリング。

1820mmのUNIタイプ（たて継）なのですが、通常はフローリング表面にそのつなぎ目がうっすらとラインになって見える部分にV溝を作ることにより、無垢フローリングの施工で目にする自然なはめ合わせ部分に見える為、UNIタイプであることが目立たないばかりか、乱尺一枚物にみえるという優れもの。

弊社では「一枚物いらず」なんて呼んだりしていますが（笑）、1820mmにつなぎ目がない「ずらし施工」という方法での貼り上がりを希望される場合以外は、これで十分と思えるほどの貼り上がりです。

貼り上がりの質感がよく、そのうえ一枚物よりもはるかにリーズナブル！とくれば、多くの方がこちらを選ぶかもしれません（汗）。
しかし、一枚物にはその良さがありますしつなぎ目V溝にもその個性がある。
だから、両方あってもいいのです。

選択肢が広がりますよね。

床暖房向けの無垢フローリングは決して容易に手が出せるものではありません。

そこに一石を投じるのがつなぎ目V溝フローリング。

無垢フローリングで幅広で、無塗装で床暖房向けで、一枚物とつなぎ目V溝が選ぶ事ができる。
広葉樹のしっかりとした質感を持っていて、雰囲気十分の色目と木目が楽しめる。

幾つ特徴があるのかと思うほど！

床暖房は機械のシステムですので、決して推奨したいわけではありませんがニーズがあることは事実。
そう、実は弊社のショールームにも敷設されているのです！！

弊社の場合は試験場を兼ねていることと、年代物の建物なので（汗）冬が冷えることもあり、ショールームではほんのりとお客様の足元を温め、無垢材そのもので心を温めるべく、採用している次第。

10年を経過していますが、現在のところフローリングには特別不具合はありません。
もちろん、冬にご来店いただくと床暖房＋無垢フローリングを体験いただけます。

広葉樹だけではなく、針葉樹のフローリングの下にも採用していますので、どのようになっているのかがわかります。（あ、針葉樹はやはり痩せています。）

無垢フローリングは伸縮を繰り返す素材です。
その伸縮を最小限にしたうえで、無垢の風合いと木目を活かしながら床暖房と共存できるようにとの思いで販売するエィンシェントアッシュ。

迷った末の選択肢として、床暖房と無垢フローリングの双方あきらめない答え。

その一つとして、エインシェントアッシュ幅広無垢一枚物・つなぎ目V溝フローリングをご用意して、ショールームにてお待ちしています。

一枚物　貼り上がりイメージ

つなぎ目V溝　貼り上がりイメージ

（写真はフローリング現物ですが、時期や原木によって表情がことなりますので、ご注意ください。）

エインシェントアッシュの他にもつなぎ目V溝フローリングがございます。下記も是非ご覧ください。（樹種によっては、グレードの限られるものがございます。）

・ホワイトアッシュ幅広無垢一枚物フローリング
・カスクオーク（ナラ）幅広無垢V溝フローリング
 ・ブラックウォールナット幅広無垢V溝フローリング
・ロックメープル（カエデ）幅広無垢V溝フローリング
・ブラックチェリー幅広無垢V溝フローリング
・ノルデストウォールナット（クルミ）幅広無垢V溝フローリング
・欧州楓（ヨーロピアンメープル）幅広無垢一枚物フローリング
・ロシアンバーチ（カバ・樺）幅広無垢つなぎ目V溝フローリング

＊エインシェントアッシュ無垢フローリングを採用頂くにあたって

・非常に寸法安定性の高い製品ですが、無垢材ですので多少の伸縮があります。床暖房仕上げ材とし
　ていただけますが、床表面が30°以上になるような運転での使用は避けてください。

・エインシェントアッシュは、特殊な乾燥処理方法を採用しています。
　そのため、施工当初は若干くすぶったような甘い香りがすることがあります。
　換気の状況により次第に弱まりますが、香りに敏感な方は事前にご確認下さい。

・施工当初の濃い色合いは日光により変化褪色してく場合があります。
　色合いの変化については、こちらをご覧ください。

・材質の粘り気が少ないため切削や切り欠きなどの加工には注意をお願いします。

・製品の木目に、仕上削りの細かな粒子が入りやすい為、塗装前段階では乾拭きをおすすめします。

・エインシェントアッシュは無塗装で使用すると、靴下や衣服に素材の色がうつる場合がありますので、上記の粒子を軽く拭いてからオイル塗装での仕上げをおすすめします。

エインシェントアッシュ幅広無垢一枚物・つなぎ目V溝フローリング（寸法表記はすべてｍｍ単位）

・寸法

15×150×1820

・形状

一枚物
UNIつなぎ目V溝加工

・エンドマッチあり

・品番と価格

AA-13P　OPC一枚物　無塗装　15×150×1820　プルミエ　床暖房向け
￥29,600（税別）/6枚入り（1.63㎡）

AA-33VP　UNIつなぎ目V溝　無塗装　15×150×1820　プルミエ　床暖房向け
￥17,600（税別）/6枚入り（1.63㎡）

・運賃

別途地域により、お問い合わせください。

・グレード

プルミエ：材の特色を活かしたトップグレード

・納期

無垢商品の為、該当年度の原材料が限られている都合いつでも生産するということができませんので、余裕を持って確認ください。

＊ご検討の前に弊社からのメッセージを必ずご覧ください。　

お問い合わせ・ショールームのご予約はこちらから

表情の特徴

軽微な補修　1

軽微な補修　2

軽微な補修　3

軽微な補修　4

軽微な節　1

軽微な節　2

軽微な節　2

軽微な節　3

軽微な節　4

材質による一枚ごとの色違い　1

材質による一枚の中での色違い　

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＊2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

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タグ：: 無垢フローリング; 無垢フローリング選び; 幅広; 一枚物; つなぎ目V溝; 無塗装; エインシェントアッシュ

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2021年11月25日

13年でできたこと　②　～みんな気になっていること　床暖房～

いい夫婦の日に向けてご案内したかった巨樹の記事を挟んだこともあり、少し間隔があいてしまいましたがその前に書いていました、弊社へお尋ねいただける有難さについて。
少しづつ目にしてもらえる機会が増えたおかげで、いろいろとお話を頂く機会も少し増えました。

普通の材木屋さんや輸入商社さんと違い、コラム以外のところでもディープな木の事を中心に木材製品を紹介している材木屋へ問い合わせようとおもっていただけるのですから当然ではあるものの、皆さん迷っておられたり疑問に思っておられることが多くあるようです。

特に、無垢フローリングを検討されているときに多いのが床暖房。

分譲住宅に標準採用されるようになり、一気に広まった感のある床暖房ですが、いわずもがな無垢フローリングには不向きです。
その理由は様々ですが、人間がずっとサウナにいられないのと同じように、無垢の木もずっと高温のお湯（もしくは熱線）にさらされているとつらいのです。
つくりは違っても、おなじように細胞という組織をもつんですもの。

しかし、冬に足元から冷えてくるのはつらい。特に女性はそうなんではないでしょうか。最近は私も・・・
そんな理由で、無垢フローリングにしたいけれども床暖房を設置したい。
でも、床暖房は無垢フローリングには不向き・・・対応するフローリングもほぼ限られる・・・
どうする、どうする・・・

そうやっていろいろと探しているうちに、弊社を見つけて頂くこともしばしば。
これだけ木の事をいろいろと書いているんだから、何か解決策があるのかも！！、いや床暖房に使える無垢フローリングの販売があるのかも？！と期待してもらっていることと思います。

さて、実際はどうなのか。
皆さん、気になるところ。

結論！、無垢フローリングに対応という商品はありません！

語弊がありますが、対応しているかどうかと聞かれれば、はいとは答えていません。
しかし、弊社でも床暖房向けの無垢フローリングや挽板フローリングをラインナップしています。
その違いはここでは割愛しますが、先ほどの答えとの違いは何か？！

床暖房対応、ということを気にされる方は隙間や床鳴りもとても気になる方が多いのが、今までの経験です。
床暖房を使用すると、必ず木はやせます。
そして、梅雨や秋の長雨で膨れます。
やせて隙間が出来る事、膨らんで突き上げてしまうこと。
双方、必ずとはいえないまでも起こりうることですから、「床暖房対応」として伸縮せず安定しているという意味では弊社はお伝え出来ません。

いや、そんなこといろいろとみてきて分かっている。でも、捨てがたいんだ！床暖房。

そうだと思います。
床があたたかい（と感じる）のは意外と快適。
じゃぁどうすれば？！
ウレタン塗装ではなくて、もちろん合板フロアーでもなくて無垢フローリングでの選択肢は？！

そんな問いの答えの一つが、次回に紹介するエィンシェントアッシュ幅広無垢一枚物フローリングです。

タグ：: 無垢フローリング; 無垢フローリング選び

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2021年11月22日

久しぶりの山アテンドの用意

コロナ禍。
本当に長くつらいトンネルの様でした。
わざと過去形にしておきます。

昨年、今年と何もできませんでした。
出張授業も勉強会も。
ですが来月、久しぶりに少人数での山から街へと続く木材の勉強会を開催することになりました。
といっても、今回はクローズドなメンバーでの開催なので一般的には告知するようなことではないのですが、様々な畑の方がおられて今後に向けて非常に有意義になりそうなので、気合が入っています。

今回は、いつも以上に山と木材の関係をフィーチャーします（使い方、あってる？！(;'∀')）。
というのも、いつも勉強会に来ていただく方たちとは若干異なる層だから。
木を使うことには興味があるものの、普段は異素材に接しており、素材として認知はしていても詳細がわからない（用途や使い方他）場合や、さらに木材となる前は山で樹木であることは理解できても、そこからどのように四角くなり、その過程でどのような課題や制約があるのかということを知る機会がない場合。

どんな木をどのようにして判断して素材とするのか。
そしてその判断が出来る良質な木材のもととなる、山の木はどのように生え手入れをされているのか。
そこにある丸太はスギなのかヒノキなのか？！どうやったら判別できるのか。
初歩的と思われるかもしれませんが、私が異素材の規格や見た目での品質などの判断基準を知らないことと同じように、その素材を利用する機会があっても知りえない情報は多い。

特に自然素材である木は、その情報量は膨大。
知らずに利用することも可能であるものの、知って利用することが求められる時代。
そこにむけて、木材コーディネーターである私のアテンドの出番。

単なる角材に見えるこれも、現地で見て触れば情報量は非常に多い。
良し悪しから関わった人の事まで見えてくることがある。

知れば知るほど深い、木と森と関わる人たちの世界。
私も偉そうにご案内できる範囲は非常に狭いものの、材木屋である木材コーディネーターだから説明できる部分をふんだんに散りばめて、来月の勉強会に備えています。

企画参加を募集した折、早くもいろいろと質問をもらいましたが、その中には普通の木材業の人には説明できないのではないかと思うような、非常に簡単なのに知られていない分野の質問もありました。

そういったことを、立場の違う人が集い議論しあう。
とても濃い勉強会となる事必至！！

現地にては、また別の山の住人（笑）も参加してくれそうな気がする足跡も見つけ、環境と生物のお話も出来そうな予感。
とにかく久しぶりの山ツアー。
頑張って準備しています。

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タグ：: 無垢材

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2021年11月19日

今月は是非、ご夫婦でドライブへ・・・～大山白山神社の女夫杉（めおとすぎ）～

冷たい空気と暖かな日差し。
とっても心地のいい季節になってきました。
冬も夏も嫌いではないです（特に冬は・・・）が、やはり春の陽気と秋の紅葉の印象が強く感じます。

緊急事態宣言も解除になり、騒ぐことや不特定多数での移動などは別として、家族での移動や限られた範囲での行動はできるようになったため、ご夫婦で久しぶりに秋の空気を吸いに出かけてはどうでしょうか？！

わざわざ「ご夫婦」としたのには理由があります。
それは、今回ご紹介するドライブの行先が「めおと」だからです。

ここは岐阜県加茂郡白川町の山の上。
広い駐車場と立派な参道が迎えてくれる、大山白山神社です。

ここに、写真の様に妙な名称表記のスギがいるのです。
女夫杉・・・の表記で「めおとすぎ」なんです。
全国に「夫婦杉」は数あれど、「女夫」と書いて「めおと」と読ませるのは初めてです。

案内板には確かに、「仲の良い夫婦のよう」と記載されていますので、その由来が非常に気になるところ・・・

というのも、私も目的が別で尋ねたのですが、たまたま駐車場で停車した位置がこの看板のすぐ近く。
え？！目的と違うんだけど面白い名称！！、と興味をそそられ矢印の示す85m先へと足を運びました。

するとそこで待っていたのは、見事に仲睦まじい姿を見せる「女夫」の姿でした！

大山白山神社の女夫杉（めおとすぎ）１

分かるでしょうか？！写真上部の状態が。

二本の大きな杉が、まるで抱擁を交わそうと抱き寄せあっているかの如くに見えるではありませんか！！
それも、株近くには枝なく上部でしっかりと太い幹を絡ませている。

人間はついつい、森の中の樹木たちはみんな仲良く過ごしていると思いがちです。
自然は優しく、包み込むような雰囲気を持っている。そう思ってはいませんか？

しかし、現実はそんなに優しくはないと思います。
同じ樹種でも生存競争は苛烈ですし、芽吹いた場所の優劣で大樹になれるか枯れてしまうかを左右される場合もあるうえ、隣同士などは競争以外の何物でもないはず。

それなのに、このような形で存在することが非常に興味深いところです。

樹齢は三百年以上とされていますので、巨樹としても十分に大きく立派なうえにこの姿です。
どちらが女でどちらが夫なのかと、ついつい考えてしまいます。

樹皮やその姿からすると、私には向かって右が夫ではないかと邪推するのですがいかがでしょう？

ただ、夢の無いことを言うとすれば杉は雌雄同株。
つまり、男も女もないのです。

あら、現実的・・・
そんな樹木の現実を超え、見る者に仲睦まじい姿を印象付ける女夫杉。

彼らが立っているのは実は、そこそこ急な斜面。
そして、その周囲は細い木々に囲まれています。

彼らを残して皆伐されたからなのかは不明ですが、先の姿を見てしまうと写真の細い幹たちがどうしても、彼らの「子どもたち」に見えてきて仕方ありません。

人間では考えられないほどの子だくさん、ということになりますか・・・

乳の出が良くなるといって全国的に多い、「乳イチョウ」というものがあります。
多くのひこばえを出し、子宝に恵まれるとする「子持ちカツラ」というものも存在します。

双方とも、生きていくことや子孫を残すことを大切に考え、今の様に簡単に子供を育てられる環境になかったことを示しているのかもしれません。

そんな環境の中で、数百年前からこのような姿を維持してきたとすると、昔の人たちはさぞ縁起の良いものとして大切にしてきたことでしょう。
しかも、東海から北陸にかけての霊峰「白山」の名を冠した大山白山神社の境内の杉です。

今でこそ、少し長い石段さえ昇れば奥の院へ到達できる気軽さですが、車などない時代の参拝は困難だったことでしょうから、参拝の前後にこの女夫杉に手を合わせることもあったのかもしれません。

もちろん、それにしてもどうして夫婦ではなく女夫なのかが気になって仕方ありません。
私が邪念の塊だからなのか、様々な想像が膨らんできてしまいます。

まぁ、手を合わせられる敬虔な皆さんには、名称の表記など関係ないのだろうと推察することにします。

大山白山神社の女夫杉（めおとすぎ）７_ks

さて、本当であれば様々なアングルで女夫杉をとらえたいところなのですが、先の様に通路以外は急斜面。
それに、その通路もこの女夫杉に向かうためのものなので、アングルを変える余地はありません。

特に、単独で訪問している私にはこのアングルしか撮れないのです（涙）。

通路から撮影しようとするも、ちょうど通路が折れた部分に位置している為にそれも無理。

変わり映えのしない記事となってしまいますが、この見上げるアングルが非常にいいのです。
崇高なものを見上げるように、つながっている部分を見上げていると非常に有難い気持ちになるのは、女夫杉の幸せなパワーなのでしょうかね。

是非、心地の良い風を受けて女夫杉へのドライブは如何ですか？！
いい夫婦の日にでも奥様を誘い出し、久しぶりのデート！
女夫杉の姿に触発され、久方ぶりの甘い一日を堪能できるやもしれませんぞ、殿方たち！（笑）

さて、パワーと言えば、私を眼前に引き寄せたのもパワーなのかもしれません。
私が大山白山神社を訪れた本当の理由は、実は他の巨樹目当てだったからです。

参道の長い階段を上り、奥の院までの途中に堂々とした姿を誇示する巨杉。
それが本来の目的地。
次回、１２月にその様子をご紹介したいと思いますが、もしお時間が許すなら是非、女夫杉へお出かけください。

しかしながら万一、奥様に拒まれたとしても私は一切責任を持てませんが・・・・(^^;)

大山白山神社の女夫杉（めおとすぎ）所在地

岐阜県加茂郡白川町水戸野1097-7
大山白山神社駐車場より参道階段をみて、右手奥の杉林（↓写真）を進んだ先にあります。

大きな駐車場あり。

タグ：: 巨樹; 巨木; 所在地; 岐阜県; 杉; スギ; 大山白山神社の女夫杉

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2021年11月16日

13年でできたこと　①

実は、これを書いている今が弊社がこのブログを開設してちょうど13年と1日。

今振り返ればあっという間。
いや、実際はいろんなことがあって悩み苦しみ、そんな中でも笑顔をもらい。

「数ある記事の中から、弊社を見つけて頂きありがとうございます。」

頂いたお問い合わせメールに対して返信する際に、必ず付け加えている言葉です。
いつも感謝するのが、いくらインターネットの普及が進んでいるからとはいえ、検索対策もしていないうえに広告宣伝費も全くかけていない大阪の材木店を、数多ある記事の中から見つけて頂けること。

見付けて頂いただけではなく、商品のことや考え方、私自身のことについても非常にご理解を深めて頂き感謝感激です。
商売する気があるのかないのかわからないような、商売っ気の少ないホームページとブログですが、そこに掲載される木材達を魅力的だと言っていただき、是非うちに！と言って下さる。
本当に有難い限りです。

昨日も、そんな有難いお客様よりご連絡を頂きました。

お尋ねいただくことに、できるだけ分かりやすく用語を使うことなく答えようとしている私に、『「必ずご覧ください」のところも読んでいますから。』と、事前に弊社の事とその製品に関してのことを見ていてくださっている。

お尋ねを頂くだけでもありがたいのですが、それ以上に弊社の事を深く理解して頂いているお言葉は、本当に有難いと思います。
未だに、検索でどのようにして弊社にたどり着いていただけるのか不思議で仕方ないところがあるのですが、会ったこともない担当のことや会社の事を信用して相談や商品を発注して下さる。

その信用を出来る限り損なわない様に、できるだけ細かなことも伝えようとしすぎて時間がかかったり、「それならやめておきます」ということもしばしば。
説明を尽くしても、商品到着後に納得を頂けなかったのは今まで一度だけ。

忘れもしない、ブログ記事を開始して2年目のこと。

「欠点」と言われる部分を十分にお伝え出来なかったことが原因（イメージ先行で疎通が不十分）でした。

他社からも納品されていますが、戸田さんのところが一番悪い商品です！
こう言われたのは記憶に新しい。12年前でも。

他社さんの物は、樹種もグレードも全く異なるもの。
商品の規格自体は劣ってはいないものの、弊社からはネイキッドグレードで他社さんは当方でいうプルミエグレード。
そりゃ、見た目は違うはず。
こんなイメージじゃなかった・・・

悲しくなるお言葉でした。

自分もお客様も、そして届けた木材達もそんな想いはしたくない。
そう思い、13年ブログを続けてきました。

そんなときに頂いたお電話。
是非、弊社の商品を検討したいと・・・

お話を聞くと、本当にいろいろと考えていらっしゃるようで・・・

そのお話で出てきた中に、もう少し記事にしておかねばと思うこともあり、次回以降に少し続きます。

↓最近お気に入りのブビンガ天板。この存在感で、さらにカリンの様な香りがすればいうことないんだけど・・・

ブビンガ幅広無垢一枚板

muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2021年11月10日

1mmでも、無垢そのもの・・・挽板フローリング S1シリーズ　カスクオーク

人に伝わる魅力ってなんだろう・・・
そう思います。

人によって感じ方は様々だし、求めるものも異なる。
だから、提案は難しいところもあり採用してもらったときの喜びは大きいものです。

無垢材大好き、おうちの足元だけでも無垢材のフローリングに！とおススメしている弊社ですが、「良いもの＝必ず採用」とはなりません。
商品が思ったものに合わなかったり、予算上の都合が合わなかったり。若しくは、床暖房と併用される場合など。

いろんなケースがありますが、その「いろんな」を高次元でバランスさせるとこうなる、というのが挽板フローリングなんだと思います。

今回も使ってもらいました、挽板フローリングS1シリーズカスクオークのセレクショングレードです。

巷では、オークというと節やパテのあるネイキッドグレードのUNIタイプフローリングが人気です。
節のある部分は木目が表情豊かで、いかにもオーク！という雰囲気があると思います。
しかし、高騰するオーク材の節の無い部分だと予算が厳しい・・・という理由もあったりして・・・

しかし、挽板フローリングは節やパテなどが殆どないセレクショングレードが非常に人気です。

セレクショングレードが人気のある秘密は、やはりコストパフォーマンス。
表面に1mmという挽板を採用することで、無垢フローリングそのものの表情を見せながら、合板基材であるため非常にコストパフォーマンスに優れているのです。

そう、表面の1mmが無垢材であるために、UNIタイプのフローリングに比較しても貼り上がりの表情が異なるからです。
UNIタイプの多くは90mm幅であるために、木目の表情が分かりづらい部分がおおいものの、挽板フローリングS1シリーズは127mm！の幅広です。
オークの木目の特徴がはっきりと見える幅広タイプだから、貼り上がりは無垢材そのもの！と言っても過言ではありません。

幅広であるということは、施工手間ももちろん楽！

そしてなにより、コストパフォーマンスよく、一枚物フローリングの見栄えを手に入れる事ができる！ということです。
長さは909mmとなりますが、つなぎ目のない一枚物の挽板を使用していますので、UNIタイプできになる不自然な木目の繋がりがありません。

無垢フローリングで一枚物を得ようとすると非常に予算が厳しくなる中で、挽板フローリングならば「幅広。一枚物」の貼り上がりを楽しむ事ができる、というところが最大のポイントでしょうね。

その上、床暖房向けでもあるところも採用の多い理由です。

挽板フローリング S1シリーズカスクオークS　1

無垢フローリングは使いたいけども、床暖房を採用したい。
まようところです。
ウレタン塗装の床暖房向け仕様の無垢フローリングも用意しているものの、やはりUNIタイプであることと90mm以下の幅であること。
もちろん、予算的にも厳しいもの。

それに比べ、オイル塗装なので無垢材そのものの質感をもち、909mmの一枚物でありなおかつ幅広127mmであること。
そして非常にフレンドリーな（笑）価格設定であること。

これらの理由で、採用が非常に多くなり有難い限り。

無垢材そのものではない。
けれど、いろいろな状況を考えたうえでのベストな選択肢が挽板フローリングである場合が多くなってきました。
住まわれる方にとっての条件は様々。

もし、無垢材の表情や貼り上がりに憧れがあるならば、それに少しでも近づけられるものを提案できること。
もちろん、無垢の幅広一枚物のプルミエグレードが素晴らしいことは当然です。
しかし、原木の中で僅かしかない部分を全ての人が使うことはできません。

また、床に求められるものも様々。
突板の合板フロアーも、印刷シートの合板フロアーも、そして無垢材のUNIタイプから一枚物まで扱っているからこそ分かることがあります。
また、一部の人から求められているものも分かります。

その一部の人の選択肢のひとつとして、挽板フローリングは存在します。

挽板フローリング S1シリーズカスクオークS　７

無垢材だからこその持ち味と、挽板だからこそできること。
それらを双方提案できることが、私の持ち味。

選んでもらい、判断できる材料をお伝えすること。
無垢かそうではないかは、その次だと考えています。
それは、幸いなことに挽板フローリングを採用してもらう場合も、価格だけではなく無垢材の事もしっかりとお施主様や工務店さま、設計者さんが考えて頂いた末の最良の選択肢の一つとして使ってもらえるからです。

あ、挽板フローリングには節やパテのある（といっても無垢材のネイキッドグレードよりははるかに少ない）ネイキッドグレードもラインナップしているものの、そちらにならないことだけは価格の問題かもしれません（汗）。
価格差が少なすぎて、セレクショングレードの出荷が大半なのです。

まぁ、この貼り上がりならそれも納得なんですが・・・

こんな杢の部分もあったりします。
これこそが、無垢そのもの！を感じるところ。

1mmとはいえ、無垢材ですから木目から反射する光具合による「てり」や虎斑の見え方も、無垢材そのものなんです。

そこに、辺材部分の白色や若干の変色など、自然な差が含まれている為にいつまでも飽きることのない無垢材と同じような存在感を発揮してくれるのです。
挽板フローリングに関しては、無垢であるかどうかではなく生活スタイルや重視する部分に、より一層無垢材に近いものを取り入れる入口、という想いがあります。

いろんな条件や注意事項が気になる無垢材ではなく、その質感を感じ取れる素材としての存在。
その役割を十分に発揮してくれる先方、S1シリーズ。

床の素材としての選択肢を広げ、比較できる素材を用意できることも弊社の強みと考え、その役割を挽板フローリングシリーズに託しています。

もし、フローリング選びに迷ったら一度寄り道してもいいかもしれません。
無垢材が大好きな材木屋の扱う挽板フローリング。

そこからまた、無垢材の魅力を感じてもらえれば幸いです。

＊カスクオーク無垢フローリングを採用頂くにあたって

カスクオークフローリングの原材料のホワイトオークは、ケヤキやタモと同じように環孔材広葉樹であり、キクイムシによる白太（辺材）の食害を受ける可能性があります。
全てがそうではありませんが、採用にはその可能性がある事を含みおき頂きますようによろしくお願いいたします。

！！挽板フローリングの特徴とご注意事項！！

1.
挽板フローリングシリーズは、合板や積層板の表面に数mmの無垢材を貼り合わせた商品ですので、稀に接着材の成分が表面の挽板に変色となって表れる事があります。（特にオークは黄色変色部分が出ることがあります。）
2.
床暖房向けに使用可能ですが、主暖房とする使用方法や床材表面温度が高温になる場合は、フローリングのすき間の発生や床鳴り、反りを生じますので、使用環境には十分配慮下さい。
3.
オークは稀に、フローリングの周囲部分に黒色の変色が現れる場合がありますが、湿度と反応するなどして起る現象ですので、ご留意ください。
4.
挽板フローリングも日焼けをします。顕著な差のあるロックメープルの日焼けとブラックウォールナットとブラックチェリーの2カ月での変化の試験結果を各記事でご確認ください。
5.
チークは、ロットによっては含まれる成分が析出し、見る角度によっては表面が若干白っぽくくすんだように見える場合がありますが、樹種の特性ですので異常ではありません。（一部、樹種特有の研磨状態の差による見え方の違いも出ることがあります。）
チークフローリングについては、ネシアンチーク幅広無垢一枚物フローリングを選ぶにあたって知っていただきたいことも併せてご覧ください。

・挽板フローリング S1シリーズはこちらから
・挽板フローリング S1 シリーズバーチセレクショングレード、編込みのおうち施工写真はこちらから
・挽板フローリング S1 シリーズカスクオークセレクショングレード、無垢そのもののおうち施工写真はこちらから
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＊2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
＊消費税10％への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。（ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。）

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2021年11月06日

材木屋が個人的に行う、非公式試験でみえてくる無垢材のこと　②

前回、非公式ながらもオリジナルの曝露試験をしている様子を少しだけお伝えしましたが、今回はその中でも実験するまでもなく優秀な結果を予想していた樹種の経過を、お伝えしたいと思います。

前回の流れでは、大方の予想通りに劣化の進む樹種がはっきりと変化が見えたことをお伝えしました。
そしてそれが、「天然乾燥だから」とか「赤身（芯材）を使っているから」という理由で耐朽性が高いと信じすぎないようにしたい、ということもお伝えしました。

もちろん、虫害や雨水等の劣化要因に対しては樹脂分がある方が有利なので、天然乾燥で樹脂分を残している方がいいはず、という考えや赤身は芯材物質があるので腐朽などに抵抗できると考えることは当然。
間違いではありませんが、物理的に柔らかい樹種などでは、それらの効能だけでは表面の劣化を完全に防ぐ事ができるわけではありません。

そう考えると、屋外使用には高級素材過ぎるケヤキなどは硬質なだけに表面の劣化は遅い様子。
もちろん、デッキ材として販売されている熱帯産の硬質木材も、表面の退色は見られるものの、前回の様な変化は全くなし。

とはいえ、室内の装飾にでも使いたいケヤキや熱帯産木材を気兼ねなく採用できるケースは稀。
そんな中で、弊社がおすすめしているのがクリ！！

非公式試験場７

他の材と同じくグレーに退色しています。

しかしながら、木目がはっきりと見えると思いませんか？
比較して実物を見れば一目瞭然なのですが、クリはこのシルバーグレーというか銀鼠色（ぎんねずいろ）となっても、特有の木目はなくなるどころかはっきりとしてくるので、経年変化のあとも木の質感を視覚的に非常によく感じ取れます。

そこが私のおすすめポイント。

もちろん、古くから耐久性の高さはお墨付きがある材ですが、なによりもこの木質感です！
外壁材などの垂直面では、木目が見えにくいシルバーグレーも他の素材との印象で独特ではあるものの、ウッドデッキで木目が見えないとどこか味気なく感じてしまいます。

特に、熱帯産木材は木目が出るような印象にはなりづらいので、耐久性は抜群ですが「ウッド感」が薄れていきます。

以前から、土台やウッドデッキなどの記事を公開していますが、クリももちろん高級素材であり仕上がりの美しさから装飾材として多用されます。
それをウッドデッキなんて！！と思われるかもしれません。

しかしその特性を活かすため、そして多くの木材としてクリを使いたい人に向けて、節や虫穴や割れがあっても日本で産するクリの無垢材を使ってもらいたいという思いで、弊社は継続販売をしています。

単純な耐久性ではなくおすすめする理由。
この写真でお分かりいただけるだろうか。

さて、この曝露実験室。
一般的に使われる材と、それに対する比較材を試験的に用いていますが、実は中には非現実的な樹種もあるんです。
私が、木材の中では世界で最も有用ではないかとさえ考える樹種。

非公式試験場５

これでは全く分かりませんが、それはチーク。

説明する必要もないかもしれませんが、宮殿建築から船舶まで、室内から屋外まで、木材で考えられる用途の殆どに対応するのではないかと思われる万能エリート。

超高級樹種ですので、これを屋外に放置なんてするの？！と思われるものですが、こちらも海水にも耐え耐久性は非常に高い樹種として有名なものだけに、どのような変化が起こるのかが知りたいところでした。

注目したいのはその艶。

写真では分かりづらいでしょうけども、木目の交錯している部分とその他の部分も含めて、本当に銀色と形容したくなるような渋いツヤを感じます。
いぶし銀！とでも言えばいいのか・・・

このようなチークの変化を見る事ができるのは、一部のセレブか若しくは、私の様な病木の方で懐の余裕のある一部の方だけでしょうけども、退色しても美しいと感じてしまいます。

年齢を重ねて白髪になっても、しわが出ても内面から美しく溌剌としている女優さんのよう・・・

偏見かも知れませんが、そう例えたくなります。
先日、テレビで拝見した草笛光子さんが美しかったですね～。
御歳を正確に知り、驚嘆するほどにお美しかった。内面からあふれるような感じ。
失礼ながら、すぐにこのチークの変化を思い浮かべてしまいました。

広葉樹には珍しく、非常に多くの樹脂分を含み仕上がりも美しく耐久性がある。

そして経年変化に光沢とツヤがある・・・

さすがの私も、いかに実験とはいえチークを曝露するなんてもったいない！と、すごく控えめな大きさのサンプルにしてしまったのですが、これが大きな面積だとどれくらい迫力があり美しいかを想像する良い材料になりました。

非公式試験場４

その上、クリでおすすめする理由とした木目がチークでも見えるのです！
これは大きなポイント。

普段は、木目のはっきりとしにくい散孔材的な環孔材である「半環孔材」と称されることもあるチーク。
予想では、退色すると木目は見えなくなるものと思っていたのに、しっかりと濃淡として年輪模様が視認できる。

それもクリの時とは少し異なって、薄い墨を流したような特徴的な木目。

あぁ、またチークを好きになってしまった。

クリの優位性を伝えるべく行っている（全体の劣化もですが）試験なのに・・・

どうぞ、懐の温かなかたはチークを屋外使用の木材に(^^♪

いや、うちはチークなんて要らないよ！クリがいいよね！という方もどんどんお待ちしていますので、日本のクリ材もしっかりと活用していきましょう！
（結局どっちやねん！！・・・いや、両方です。実験ですから・・(;'∀')）

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muku_mokuzai at 13:30│コメント(0)

2021年11月03日

材木屋が個人的に行う、非公式試験でみえてくる無垢材のこと　①

少し前に、反感を買うようなお題にて投稿をした「天然乾燥至上主義からの脱却」のシリーズ記事。

実験を伴うものではなく、権威ある識者のことばでもない、ちいさな街の材木屋のたわごとにすぎませんが、材木屋として無垢の木に接している中でわかる事や、無垢材以外の素材や薬品注入された木材など、様々扱うからこそ見えてきたことからわかることをまとめたつもりです。

もちろん、自身が研究施設にて行った実験結果のお話は自信をもってお伝えできるところを含んでいますが、それとともに、疑問に思ったことで試すことができることは非公式であっても試してみる事から見えてきたことも、少なからず含んでいるのです。

その理由の一つ、自分で試す。

非公式試験場３

正式な形では全くありませんが、だからこそ自分なりの解釈ができる形で個人的な実験をしています。
論文を書くようなイコールコンディションではなく、様々な材が様々な方法で用意されている違いを一斉に確認する。

今回の写真はその一部。
木材の屋外曝露試験です。
簡単にいうと、湿気や日光や虫に弱いとされる木材を、あえて雨と風と埃と日光にさらすのです！

どうしてわざわざそんなことをするのかというと、専門書籍に載っていないことや書かれていることと異なる状況の時は如何なものかという自分なりの疑問の解決、そしてなにより自身が納得できる形でお客様へ無垢材の事をお話しする為に知っておきたいから、です。

その中には、一般的なイメージで信じられていることや言い伝えが誇大表現となり、皆が信じていることなどが含まれます。
そう、冒頭の天然乾燥材のテーマなどです。

曝露しているものの比較で見えてきているのは、やはり一部の樹種は劣化が早いということ。

非公式試験場６

これは、超一流有名産地の天然乾燥の芯材部分のみから作り出したサンプル材です。
腐りにくく湿気にも耐え、美しい材面として非常に人気があるもの。

しかしながら、少し残念な結果・・・いや想像と同じ経過をたどっています。
実験としては順調、という印象です。

樹種の性質としては、このような状態になることが当然なのです。
悪い状態ではなく、通常の経過です。
因みに、最初の写真の右側の材も樹種は同じなので、この試験体のみがこんな変化をしているわけではないことが分かります。

しかしながら、この状態を見ずに他と比較することなしに「芯材部分なので腐りにくく・・・」としてはいけない、ということを言いたいのです。

なぜかと言うと、他の樹種ではこうだから。

非公式試験場２

これらも、天然乾燥の芯材のみの試験体です。
樹種は前者とは異なりますが、違いは一目瞭然。

この違いが生まれる理由も、樹種の特性からすると想像出来ること。
その上、「赤身と芯材、白太と辺材 2021シリーズ」でもお伝えした通り、「芯材だから・・・」という理論だけでは語れない状況だということが見て取れます。

一般的に伝えられている特性や性質の情報もとても大切です。
でも、全てを無条件で受け止められるものではありません。
自然素材、無垢材だもの。

一つ一つの違いや産地、状況の違い。
沢山の違いがあり、そしてその中でもちょっとした誤解から飛躍した性質として語られてしまう場合が多くある事。

木は、卓越して長期間同じ状態を維持するような、そんなとびぬけた性質は持っていません。
少しづつ変化をしたり、もしくは劣化をしながら土に還る素材です。

だから、他の素材と同じ性質や性能を追求するのではなくて、また、同じ素材どうしで優劣を語るために「天然、人工」をやりだまにあげるのではない、現実的な木のお話をしたいと思います。

そのための、非公式の実験場。
お金では買えない、時間という評価のなかで木材がどのように変わっていくのか。
そんなことをしていると、「20年は腐らない」と言われるハードウッドが土中で20年経過するとどうなるか、も見ることができるようになります。
それも非公式ですが（笑）。

でもそれでいい。
メーカー商品のように、それを広告として使い効果を謳うものではないから。

無垢材を愛する材木屋が、無垢材が本当にどうなるのかを語るためだから。
劣化と言われる割れや腐朽の姿を見て、ニコニコと経過を眺める姿は変態そのものでしょう（汗）。
木を見るには山を知り樹木を知る事、そして実験する事！

もし、木材のことや無垢フローリングのことを真剣に考えたいと思われているならば、一度「木の変態」の意見を聞いてみるのもいいと思いますよ。
一応、山の木を街の木材としてつないでいく認定木材コーディネーターですから・・・（笑）

非公式の実験結果、そこで全てお伝えします(^^♪

あ、次回にもう少しだけ非公式屋外曝露実験が続きます。

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木ぃクン