15cmのカットサンプルの注意
こわい、というと語弊がありますがあえて言います。なんども「こわっ!」と思う経験をしているからです。
だって、弊社から出荷するカットッサンプルの大きさは、樹種にもよりますがだいたい15cm位です。
商品そのもの、グレードそのままをカットしているものですが、前回の通りその物によってはグレードの見分けが非常につきにくいものや、同じグレードでも全く表情のことなるものもあります。
こんな具合です。
これはネシアンチーク幅広フローリングのUNIタイプネイキッドグレードのカットサンプル。
右側は丁度白太の部分が混在し、UNIジョイントのつなぎ目の部分で木目の変り具合も良くわかり
ます。
しかし、左はどうですかっ?!
もし、長さの都合でUNIジョイントの部分が含まれていなければ、真っ白なフローリングのサンプルになってしまいます。
チークって、こんなに白いの?!!そうなってしまいます。
これがネイキッドグレードで気をつけないといけないところなのですが、ネイキッドグレードは基本的に、フローリングとして問題の無いキャラクターは全て含みますので、「チークというのは茶色いものだ!」と思われていると、白い部分のまじったフローリングが届いた瞬間に、「チークを頼んだのに、違う材料がきた!!!」となるわけです。
見てくださいよ。
UNIタイプではない一枚物フローリングの場合、同じくネシアンチークネイキッドグレードのカットサンプルですが、見事にさっき言ったとおりでしょ。
一部分だけを切り取ると、こういうサンプルも出来るんです。
しかし、嘘じゃないんです。
こんな部分も実際にあるんですから。実物その物なんですから。
白太、なんていうもんだから「白い部分」と思われていても、薄茶色の白太もあります。
今度は幅違いのUNIタイプですが、右側はオイル塗装でもしたかのように薄茶色になっています。
しかし、これも左の幅広サンプルと同じく、ネイキッドグレードの無塗装のカットサンプルです。
もちろんこれらは、お施主様に連絡を頂きカットサンプルをお送りする場合には、様々な注意事項とともに、各無垢フローリングや木材の記事において、特徴や表情を確認していただくようにお願いしていますし、特に上記の様な連絡を受けやすいネイキッドグレードに関しては、そのグレードを御依頼頂いたその時に、特徴をお伝えするようにしているので、お施主様から連絡を頂くことは少ないのですが、うまく大工さんと意思疎通出来ていない場合などには、「色が均一ではない、パテがある、変色してる」から不良品だ!と現場から電話がかかることがあります。
これを危惧しているわけです。
特に、至急!と言ってこられる場合には、兎に角商品として現場に納めなければ!!という意識が先行し、表情の違いや特徴は二の次になり、材が到着したその時に初めて「こんなイメージではなかった!」というパターンに陥ります。
また、カットサンプルでわかることもあります。
これも各無垢フローリングの記事でも書いていますが、幅広フローリングや幅広一枚物フローリングを少しでも多くの方にお届けできるように、また原木丸太を有効活用できるように、フローリング表面の美観に関わらない部分は、ある程度の事を許容しているものもあります。
一例をあげますとこんなところ。
これは「実(さね)」と呼ばれる、フローリング同士を嵌め合わせる為に施されている加工部分です。
数枚重ねているサンプルの下の方は綺麗なのが見えると思いますが、私が指している部分は少し黒っぽく、ざらつきがある。
白さ際立つ、ヨーロピアンメープル(欧州楓)無垢フローリングなので余計に目立つんですけど(汗)・・・
これは、フローリングの元となる原板の端っこの部分であったり、できる限り加工によって削って木くずになってしまう部分を減らすために、必要最小限の板幅で製材された部分で、実加工機にわずかに掛からなかった部分です。
こういったものも、実際のフローリングには含まれています。
これを施工しても、嵌め合わせ部分で隠れてしまうので、この様に表面上の美観には問題はありません。
ね、どれが先程のサンプルかわからないですよね。
もちろん、隠れる部分はどうでもいい、というわけではなくこの様な部分を許容しないのであれば、幅広材や一枚物のフローリングの出来上がり量は大幅に減少して、捨ててしまう木材部分が多くなり、非常にモッタイナイばかりか、生産量が減少するためにフローリングのお届けする価格の価格を値上げせざるをえません。
しかし、やはりこういった部分も指摘を受ける事があります。
御社のフローリングには加工不良が含まれている、とかB品を出荷しているんですね、などなど。
以前に本当に頂いたご意見です。
いつも、完成現場の報告写真にてウソみたいにほめられているアンケートを掲載していますが、それも本当で、その上で上記の様なお怒りを受けたことも本当です。
しかし、そういった部分が含まれる理由は先に書いた通り。
欠陥品でも、B品でもなく、少しでも無駄なく幅広で一枚物で良いものをお届けしようと思いながら含まれるのです。
現在、単板貼り合板フローリングや印刷シートのフローリングであっても、無垢の自然な表情を表現している商品には、白太や節、そしてパテまでも再現しているので表面仕上げにバラつきがある事をアピールしています。
今までは、均一であることが美しく、小さなサンプルで着色された「色」だけをみて、その色品番を伝える事で商品決定出来ていた建築業界の時代の流れの転換のためでしょう。
まだ、無垢材のバラつきに慣れない方が多くいらっしゃるから。
無垢の木材を扱う私が、日々発信していても先の様なお言葉を頂く位ですから当然ですけど。
そろそろ、無垢の木材という素材を知る時間を十分にとって頂く時代になっているとおもいます。
たったの15cmに凝縮される情報。
良くも悪くも色々見えてきます。
私なら、こんな木目嬉しくて仕方ないんだけど、やはり実の部分がひっかかるだとか、木目がおかしいとかおっしゃる場合も・・・
たかだかカットサンプル。表情の違いというよりも質感を見ていただく事が重要ではありますが、稀にそれ以上の情報が詰まっている場合もあります。
そんなお話もいたします。
至急!カットサンプル!!!ではなく、ゆっくりとお話する時間を「至急」つくってくださいませ・・・・・・
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