隠れ家はそれ全体が隠れているもの 〜古希杉浮造りフローリング施工完成〜
想像できない。
しばしば、「できない」ことはよい場合もある。
いつもそう思うのは工事が完成した現場を見せていただくとき。
そうです、想像できないことが目の前にあったり、想像以上だったり、いい意味で思っていたのと違っていたりすると、想像できないことが逆に楽しくなったりする、変な感覚です。
今回もそうでした。
材料を納めさせていただいてから少し時間が経っていたので、早く訪問せねば!と焦っていたお宅のうちの一つです。
しかも材料選定の時からずっと連絡を取らせていただいていたことと、弊社の杉フローリングへのこだわりをとっても期待してくださっていただけに、その貼りあがりが気になっていたこともあったのです。
で、これです。
きれいな留め加工!
フローリング同士がかどっこでお互いに合わさる部分できれいに斜め加工がされています。
しかも、4m材がのびのびと活きる、縁側型施工です。
思わずうっとり、自画自賛!
もちろん、こだわりを持ってお届けしている材なので当然ではあるのですが、そうはいっても無垢の木材。
写真やサンプルとは異なる色合いや木目が入ることは当たり前。
赤身勝ちではあるものの、まったく白太がないわけでもないし、ましてや均一なものでもない。
だから、イメージで出している弊社の写真を気に入ってもらっていたとしても、原木の違いなどからくる表情の違いを気に入っていただけるか、ちょっと気になるところもあるのです。
杉という樹種は、辺材の白太と芯材の赤身のコントラストや、純白と赤身のピンクと例えられる色合いが特徴ではありますが、杉も生き物。
育ってきた環境や伐採時期、乾燥工程などによって色合いも表情の濃さも変わります。
そのために、赤身がほんとに赤いものから黒っぽいものまで、白太が少しくすんでいるものなどもさまざまある中で、この美しい色合いがそろっていることは、本当に自慢の一つです。(また自画自賛。)
まるで桜のような「薄紅色」と申しましょうか(^^♪
優しく漏れる電球の温かみのある光と、ものすごくぴったり合ってませんか?!?
妙にしっくりくることの一つに、その色合いとお互いに引き立てあっているのが、畳の間があること、でしょう。
この明かりの先は畳の間。
やわらかい色合いと、温かみのある光、それがふんわりとした杉の木目とともに、目に優しく入ってくるのですよ。
そのふんわりとした木目を作り出しているのが、弊社自慢の浮造り(うづくり)加工!
杉は柔らかい樹種だといわれますが、晩材と呼ばれる一年の成長の終盤期にできる部分(いわゆる木目と称している部分)は意外と硬いのです。
そして、元気に成長した早材と言われる柔らかな部分を優しく削り取ると、晩材のみが浮き立つように残ることで浮造りは完成します。
その浮造り加工は、巷にあるものとはちょっと違います。
この表情を見てください。
きれいに硬い木目の部分が浮き立っているのがわかりますか?
浮造りの加工はむつかしいものではありません。
削り取っていけばいいんですから。
機械に突っ込んでバリバリと・・・・
それが普通。
しかし古希杉浮造りはそんなことはしません。
バリバリ擬音を使いたくないくらいに、そぉっと柔らかなタッチで少しづつ「撫でとっていく」ようなイメージです。
だから、深い削り取り傷がつくことがなく、色つやを犠牲にせず「イカツク」なりすぎない木目が生み出せるのです。
気持ちいいですよぉ!この感触。
ショールームでも、感触はダントツのナンバーワンです(笑)。
好評の百年杉柾浮造りフローリングも同じ加工ですが、まっすぐに流れる柾目よりも、規則的でいて不規則な板目の古希杉浮造りは、触れている足の裏からホッとするフローリングだと言いたくなります。
無垢フローリングでは定番の広葉樹フローリングでは、針葉樹のように木目の目立つものも少ないことと、なにより4mも途切れずに木目が伸びているものも珍しいので、古希杉浮造りのこの伸びやかな木目は針葉樹フローリング、特に杉の特権といえるところではないでしょうかね!
それにしても、古希杉浮造りフローリングは「節あり」のネイキッドグレードの設定なのですが、なんとも節が少ない。
紹介する側からすれば、ある程度の節を見てもらわないと「節なし」のグレードと間違われかねないところですが、これも、少し前の160幅の仕様から原木と木取りを変更した結果のこと。
節なしではなく、大きな節が少ない、それもパテではなく埋め節加工のフローリングですので、お間違いなく!
そしてもう一つ!
古希杉浮造りの大きな特徴は、天然乾燥の杉フローリングであるということ。
しかも、葉枯らし乾燥という手法で原木の段階から丁寧に乾燥させることで、色つやがよくさらに、杉とは切っても切れない「しぶ」と言われる変色を極力少なく抑えられるために、一層色合いが美しく見えるのです。
曇りのない美しさ。
そんな感じ。
日本全国に杉はたくさんあります。
また、産地にも生産者によっても様々な個性がありますが、色つやのよさと「しぶ」の少ないこの表情は、古希杉特有です!
杉は安いもの、杉なんてどこで購入しても同じ、そう思っているととてもお高い買い物のように思われますが、ほかにはこんな杉のフローリングはなかなかないですから、「杉」という名前だけではきめないでくださいね〜。
さて、私が驚いたのはフローリングだけではありません。
実は工事途中にお邪魔したとき、てっきり更地に建築中の足場に囲われたおうちがあるものだと思っていた想像を打ち破り、「現地」には倉庫風の建物があるではないですかっ!!
どういうこと?!と思っていると、なんと建物はその倉庫風の建物の中。
建物イン建物!!
意外や意外、外観は金属製シャッターが閉まっていると、どこから見ても貸倉庫。
それが一度シャッターを開ければ、巨大な木製の引き戸が現れ「隠れ家」への扉が開くのです!!
この隠れ家が見たい人はぜひ、今回のお客様であるアトリエFUDOさまへお邪魔してください。(こんなの募って良いのか?!?!)
仕事柄、「こんな建具、仕事すんの大変やったやろうなぁ、職人さん」と、その職人泣かせの大きさと下部のルーバー部分が開閉できるようになっている凝った作りを眺めて、隠れ家を散策するのです。
まだ工事の仕上げ途中段階だったため、内観の写真公開は控えますが、土間の広がる空間に、まるでドラえもんのポケットから出てきたようにたたずむ「隠れ家」は、まったく冷たい印象がなく、みるからに倉庫っぽい外観を、まったく忘れさせてしまうようなほっこりとした建物は、建築の妙、まさにそれでしたね。
まさか、隠れ家自体が倉庫に隠されているとは・・・
驚きました。
内部工事の多くも、施主様自身がなさっていたこともあり、とても時間がかかってしまったとおっしゃっていましたが、私自身の経験からしても、その長くかかった時間は決して無駄ではありません。
やはり建物に対する気持ちや入れ込みが増しますからね。
もう少しで、もっと多くの方が感激する「隠れ家」が完成します。
住宅、店舗をお考えの東海地方の皆さま、ぜひ、アトリエFUDOさまの「隠れ家」まで足をお運びいただいて、ついでに(?!)古希杉浮造りフローリングも見てやってくださいませね。
最後に、いつものアンケートを掲載します。
・今回の弊社の対応について(メール、電話回答の内容や対応はいかがでしたか?!)
フローリングの塗装やメンテナンスについてのアドバイスを一般的な事だけでなく経験談もふまえて教えて頂けてとても助かりました。杉の無垢フローリングを無塗装で使ってみる決意ができました。
・担当について(印象はいかがでしたか?適切に対応できましたでしょうか?説明は理解できましたでしょうか?)
フローリングのサイズの関係で特別に工場まで取りにいって頂けたり、直接遠方地である現場まで持ってきていただけたりと、とても親身になって頂けて助かりました。
・インターネット記事について(弊社記事で商品御理解いただけましたか?お探しの物が見つかりましたか?記事内容はいかがでしたか?)
理解できました。写真で見ただけでも興味をひかれましたし、現物も写真同様に素晴らしい物だったので即決しました。
・商品について(この材料を選んで頂いた感想と、貼りあがりの感想をお聞かせください。)
同じ杉浮造りフローリングを他社でも見ましたが、目の細かさや赤身の具合、浮造りの感触などなどとても良い状態です。貼り終えてから半年以上たちますが問題もなく、足裏の感触がとても気持ちいいです。
・弊社を選んで頂いた理由を教えてください。
ブログでとても木に対する思いの強さを感じたのと、扱っている物も、それぞれのフローリングに素敵なタイトルがつけらていて興味がわきました。もちろん最終的な決め手は扱っている物の品質の良さでした。
アトリエFUDOさま、有難うございました。
この隠れ家(勝手に命名・・・)が、とっても楽しい空間でありますように。
*古希杉板目浮造りフローリングは、2017年に木取りの仕様変更をしていますので、下記施工写真の表情と現在の規格とは若干異なることがありますのでご注意ください。
・古希杉浮造り(うづくり)無垢フローリングはこちらから
・古希杉浮造り(うづくり)無垢フローリング、15mmエンドマッチ品の施工写真はこちらから(旧規格品)
・古希杉浮造り(うづくり)無垢フローリング15mm、M様邸施工写真はこちらから(旧規格品)
・古希杉浮造り(うづくり)無垢フローリング30mm、T様邸1年後経年変化の記事はこちらから(本記事の1年後です!)
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