薪が売れると風呂屋が無くなる?!
風が吹けば桶屋が儲かる・・・
子供の頃は、なんで?!風がふいて桶屋さんが?!とおもった語呂もいいフレーズですが、現在の材木屋風に言うと「薪が売れれば風呂屋が無くなる」というような感じかな、とふと思った出来事が先日。
つい一昔ちょっと前まで、材木屋にはたくさんの木っ端と鉋屑がたまり、その「処分」に困るのが常識?でした。
家を建てる建築構造材の加工の端材や、室内の木を見せる部分に使う部材を仕上げたりするときにでる鉋屑です。
弊社でもっとも多かった時期は、倉庫の作業場に本当にうずたかく積まれた鉋屑と、パレットに積まれた木っ端が10パレットほどが常時残っているほどの勢いでしたので、「処分」は焼却とお風呂屋さんの燃料行きがお決まりでした。
そのため、お風呂屋さん行きの木っ端は毎回お風呂屋さんが取りに来てくれていた(無償提供なので)ものです。
しかしながら、住宅構造部材も工場で全て加工仕上げして納材されるプレカットという形態が主流になり、木っ端はみるみる減少しました。
現在、一般的な建築ではプレカット加工は当たり前のように普及し、さらに室内に木を見せる部分はほとんどなくなったために、鉋屑すらまず出なくなりました。
そんな状況なので、「処分」にはそう困ることはなくなったのですが、反対に今まで一般の方に無償でお渡ししていた「薪やたきもの」などの燃料用にされる木っ端が集まりにくくなってきました。
先日も久しぶりに特殊用途の薪を分けていただくために、懇意にしてもらっている製材所さんに行ったのですが、すでにそこは有料で薪を販売されていました。
キャンプファイヤーや薪ストーブの燃料用などです。
少し郊外に行くと薪ストーブ用の需要も多いらしく、すぐに売れてしまうそうです。
本当に一昔前は、木っ端を引き取ってくれるというと、いくらでも持って行ってくれていいよ!!という感じだったのが、えらい違いです。
一般の方が有料でも薪を求めておられるのです。薪集めも手間のかかる時代になりましたが、昔では薪の一番の消費者だった「お風呂屋さん」の姿はもうそこにはありません。
そう、薪が「販売されるほど貴重?!」になってきた現在までに、街のお風呂屋さんはほとんどなくなってしまいました。
街中に少し背の高い煙突が見え、入口にのれんのかかった佇まいは本当に一昔前までの景色。
もちろん、広葉樹の薪は昔から販売されていますが、現在では針葉樹の薪さえも販売されています。
冷静に考えればそうでしょうね。
有名になった「バイオマス発電」などの燃料としても求められる木材ですから、「無償で」入手できる木々はほとんどなくなってきているのかもしれません。
薪が売れれば風呂屋が無くなる・・・
街のお風呂屋さんが無くなっていったのは決して薪のせいではないと思いますが、針葉樹の薪さえも集めにくく、販売されるようになってみると、「あぁ、そんな時代になってるんやなぁ・・・」と昔のお風呂屋さんの顔を思いだしたのでした。
ウチもそろそろ薪、販売しよっかなぁ・・・・・・・・
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