空を見上げて
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2015年11月

割れは克服するものか理解するものか・・・

今の季節であればそんなこともないですが、一昔前の夏場であれば倉庫は木材たちのにぎやかな「乾燥音」があちこちで聞かれました。
前回の写真にあるように、一見驚くような割れが入るのが普通の光景でした。

それが普通ではなくなったのが乾燥材の普及。
今では乾燥材というと人工乾燥材を想起するくらいに当たり前になったのは、やはり「驚くような割れ」が原因の一つになったのは間違いないと思います。
もちろん、割れが入るということは木材が自身の変形収縮によって力の逃げる場所がなくなり、割れとなって現れるわけですから、収縮によって構造材の隙間ができるために緊結しているボルトが緩むこと、ぴったりくっついていた部分に隙間ができる事などの点も、普及のポイントになっています。

構造隙間


昔はこうだった、というのはあることを批判的に例える場合に用いてしまう表現ですが、確かに昔は日本の住宅では一般構造材においては乾燥材というものはほぼ無く、それが当たり前であって割れることも割れて音がすることも普通に起こることで、生活の中で慣れていたもの。
階段はミシミシと音のするもの、床は傷つき経年変化のあるもの、それとともに構造材は乾燥が進んで収縮変化するものでありました。
そんな環境の中で、木造住宅においての木の事を多少なりとも自然に学んできたんだと思います。

その「普通の光景」は、生活スタイルの変化や建築様式の変化で木の性質ができる限り現れないようにする建築が多くなり、木の性質が現れないために「音や割れ」に対することを学ぶ機会もなくなりました。
生活の中で自然に学んでいたことを学ぶ機会がなくなったのです。

それは、山に行くことがなくなり林業の事がわからなくなることや、木材がきれいな梱包とともにいつでもどこでも入手できるようになったことから、自然の産物であるという意識が薄くなったことにもつながると思います。
しかしそれも、木材を利用する側である消費者の求めた結果のこと。
それは決して間違いではないと思いますが、やはり木の事を学ぶきっかけが遠くなったことに変わりはありません。

木と人の関係が遠くなってしまった今では、できるだけ木の持つ性質が表に出ないようにしなければ、「こんなはずではなかった・・・」ということで、「割れがあることは問題」になってしまいます。
木は生き物。乾燥材であっても水分を含むもの。
水分を含むことができるからこそ、周りが乾いた時には水分を吐き出して、反対に湿気の多い場合には吸い込んでくれるのです。
木材を利用する側は、この木材が持つ自然の調湿作用を期待しているにもかかわらず、調湿作用の途中でも起こる割れを許容しようとしないのです。

隙間


また、木材を販売する側もその特徴をきちんと説明できないがために、割れを防ぎたくなるのです。
それが高温乾燥材になり、集成材になり現在の多くの住宅に見られる様式につながっていきます。
背割りの柱の場合は時間をかけて、木の性質のお話から進めないといけないということです。
そんなことなら集成材で十分、高温乾燥材のほうがいい。
それもいいでしょう。
しかし、基本的にはその特徴を理解だけでもしていなければ、「割れてはいけない」という結論になってしまいます。

木を扱う側はしっかりと情報提供すること、木を使う側は理解すること、それは木を通してお互いが理解を深めることにつながります。
木造住宅を建てたい、木を使っていろんなものを作りたい、という場合にはお互いが信用して理解しあえる環境が必要です。
そうなれば、割れは「あってはいけないもの」ではなくなるはずです。
割れは、決して克服するだけではなく、理解するという選択肢もあるということです。
すでに無垢フローリングや無垢の一枚物テーブルなどでは、乾燥割れや節での割れは、きちんと理解され利用されているものの、構造材その他になると、途端に受け入れられなくなる。
構造材の割れは、建物の強度に影響があると思われるからなのはとても理解できます。
しかしながら、最初から「あってはいけない」とするのではなく、理解することとともに、扱う側から教わる環境も引き出してほしいのです。

木の事を知り尽くした大工さんや材木屋さんだけが正しいわけではありません。
曲がりをそのまま利用できる人ばかりではありません。
だから、その利用方法と求める品質に合わせてお互いの考えをきちんと伝えあうことが大切。
一方的に割れを恐れて割れの無いものを求めることでも、割れが仕方ないと押し付ける事でもない、木材が本当に活きる方法がそこにあると信じています。
割れを理解することから始まる木とのいい関係。

割れは、克服するだけのものではありません。自然の産物が教えてくれることを理解することが、とっても重要だというメッセージなのかもしれません。



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割れは許容されないか?! 現実には・・・

つい先日、木材組合の勉強会にてこの業界ではとても有名な弁護士さんを講師に迎えた勉強会に参加してきました。

弁護士さん?!とちょっと壁を作ってしまいそうになるのは私だけではなく、やはり参加者の方もそうだったようですが、弁護士さんというとどうしても「即裁判!」というイメージを持ってしまうからだと思うのですが、昨今は木材や木造住宅をめぐる裁判も耳にするので、できればお世話になりたくないものだ、と思ってしまいます・・・

少し前には、木造住宅の構造材(梁や桁)が割れたことを巡っての法廷論争が報じられたのですが、現在マンションや非木造住宅にお住まいの方が木造新築住宅へ移られた場合や、木造住宅からの住み替えでも若い世代の方にはその「割れ」とそれに伴う現象には理解をしてもらいにくい場面が多々あります。

割れ1

以前に背割り柱のことを書いたことがありますが、表面に割れが生じないように施すのが背割りだというお話でしたね。
しかし、今の住宅の建築現場を見てくださいよ。背割りのある柱を目にすることがありますか?!
まぁ、ほとんど無いですねぇ。
ヒノキの柱はあっても、背割りの柱というのはないですね。
弊社の在庫の背割り柱が動くことも、年に一回もないくらいになりました。人工乾燥材が普及するより昔は、ちょっといいお宅といえば背割りの柱でしたし、和室の現しになる化粧柱にはもちろん背割り柱でした。
節の無い和室の柱に割れがあると、さすがに驚きますが背割りを入れて乾燥させることによって表面に割れが出てこないように木の力を逃がしてあげるわけですから、それはあらかじめ施す「理由のある割れ」だったわけです。

背割り

しかし、その割れを逃がしてあげる「背割り」も、現在の大工さんや住宅にしてみればかすかであても「背割りが開くことでクロスが割れる」とか、「ドアや引き戸などの角度が悪くなって開閉や取り付けがむつかしくなる」などの理由で敬遠されてしまいます。
ご存じのとおり、それらの「欠点」(と、あえて言おう)を解決するのがEW(エンジニアリングウッド)と言われる集成材や、KD(キルンドライド)と言われる人工的に乾燥させた木材です。

木材が乾燥することによって生じる割れや、木材の癖によって生じる曲がりやねじれが起こりにくい材として、現在はほとんどがこれらの木材になっています。
そのために、木材が割れることや曲がること、それぞれに癖があることや割れによって生じる「音」はなかなか理解されにくくなっています。

そう、割れることも意外と知られていないのですが、未乾燥の木材が割れた時の「ピシッ、パシィー」という破裂音は、聞きなれない人にとってはとても「恐ろしい」音に感じてしまうようで・・・

割れ2




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今日もどこかで戸田先生・・・

昔は結構、えぇ漫画あったなぁ・・・

アニメが好きな方はそんなこと思う?!かな。
いや、単純に自分が年をとっただけなのか・・・
今でも、妖怪ウォッチなんかは好きなんですけどね。よくできてて。
でも、そうじゃなくて、もっと生きていく苦悩とか問題とか人間関係とか、そんなことを子供向けの漫画にも盛り込んでいるものもたくさんあったような気がして、妙に大人心に懐かしくなるのかもしれない。
そう思ったりします。

どうみても怪しく危険な妖怪が人間になろうと努力するとか、悪魔と同化したヒーローを描いたものなど、いま考えると結構設定が結構衝撃的ながら、子供の時分には熱中していたものです。

いや、アニメの話ではなく今日もどこかに現れる、という話です。
そう、好評をはくしている(!?)戸田先生です!

前回は、ツアーを先導して森でも課外授業を催したり、建築現場にて材料と建築の関係性を歴史を交えてお話したり、そして学校に出向いての出張授業で子供たちに天然の木材というもの、そしてそれぞれの持つ個性のことをお話ししたりしましたが、今回も現れました、戸田先生。

今回もお邪魔したのは小学校。

戸田先生6

今回は「木材」というものだけではなく、仕事についてのお話しであるということもあり、木の話オンリーではないのですが、木と人と、そして木から学ぶ人間のことや人生のこと、そして勉強する意味や感謝する心についてのお話をさせていただきました。


おそらく、子供たちには「すごいこと」や「驚くこと」のほうが印象が強く、びっくりするような関心ごとにしか興味はわかないとは思うものの、ただ「面白い」や「楽しそう」というようなものだけでは、本当の意味は伝わらない!と勝手に信じ込み、木から学ぶ人生感や人とのかかわりについてのお話をさせていただきました。
先生から渡されている生徒がまとめるべきポイントの整理についてのことなど一切無視して(ちょっとあかんかったかな・・・)、これから開けている人生、そしてそれを可能にしてくれている親や周りの人たちを思う気持ちを、木々の成長などに交えてお話ししてきたつもりです。

そんな戸田先生の授業の成果がわかる時がきました。

戸田先生5

あぁ、これが最もうれしい瞬間。
仕事でもそうですが、人から感謝される、喜ばれるという瞬間は何事にも代えられないくらいのもので、心が満たされ体も充実する瞬間であります。
それも、純粋な子供たちの声とあってはなおのこと。

大分前にも、杉の大杉について子供たちがまとめた情報誌について書いたところ、わざわざ返信をいただいた喜びをお伝えしたこともありますし、今年の出張授業の際のお礼状をいただいたこともお伝えしましたよね。
それと同じです。
この手作りの感謝文集が次への原動力になるのです。

戸田先生3

内容としては・・・・
むむ・・・大きい木を探してくださいね、か・・・
うむ、仕事か?!

戸田先生2

そうだね、子供のころの話も用意していたんだけど時間がなくて。ごめんね。
もっともっと伝えたい事いっぱいあるんだけど、まだまだ伝達力不足です。
子供の質問はいつもまっすぐで芯をとらえていて驚くことばかり。

戸田先生1

こうやって、木の絵を描いてくれる子もいてめっちゃうれしい。
木や植物の偉大さや、自然のなかでは人間がいかに小さな存在かということが少しは伝わったかな。
もしくは、巨樹とのツーショット写真の衝撃が大きかったのか?!!

なににせよ、今回も戸田先生節で木と人との関係や自然の教えてくれること、そしてそこから自分と世界、自分と自然のつながりやこれからの人生、なによりも身近な存在であるお父さんとお母さんとの関係を改めて考えてもらえるような授業にしたつもりです。

いつ会っても純粋な子供たち。
私たち大人のできることってたくさんあります。
私は私で、木を通しての考え方の多様性を伝え続けることで、今回の子供たちが自分自身でいろいろな答えを導き出してくれることを期待しています。
今日もどこかで戸田先生、今日もどこかで・・・戸田先生〜!!
ショールームや仕事の場以外でももっともっと、多くの人に思いをとどけていきますよ。

戸田先生4


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新酒の喜びを木材にも

たまには、話題の時期ギリギリではなく、ちょこっと前位のタイムリーなタイミングで出したいと思っていたところ、やっぱりちょっとすぎちゃったな(汗)。

この時期の話題といえば何を想像するでしょう?!
現在はそうではありませんが、ひと昔ちょっと前のこの時期といえば予約しておいたアレを開ける日、なのであります。
お分かりでしょうか?この時期に予約しておいて「開ける」といえば、もうすっかり日本でもおなじみのワイン「ボジョレ・ヌーボー」です。(正式にはボージョレなんだろうけど、覚えた言葉が一番なじむのでこれで・・・)
世界中で、その地域の新酒が解禁されるのがちょうどこの11月の第三木曜日。

ヌーボー


世界中で一斉に解禁されるわけですが、日本のニュースや新聞もこぞって「お祭り」を毎年恒例の報道をし、そしてどこのスーパーマーケットでも予約販売を大きく打ち出すこのワイン。
果たしてお味の方は?!
毎年日照量が云々とか、熟成していて、とか言っていますが日本でもその日を待つ楽しみ+お祭り、という要素で蘊蓄を語りながら飲む印象がなくなったことも、普及に大きく貢献しているのかもしれないと想像しています。
これも、普及に力を入れた成果だと思います。

毎年やってくる新酒のお祭りですが、ふと木のことを思うと、そんなメモリアルなことがないなぁ・・・と気が付きます。
そこには、農作物はほとんどが1年やそれ未満、ながくても数年で結果が出ますが、木の場合は少なくても数十年経たないと結果が出ません。
殊更、木材の場合は推して知るべし。
安価で提供されている木材たちの多くは、40年・50年以上の時間をかけて育ってきたわけですが、新酒ならぬ「新木」のようなお祭りはありません(たぶん・・・)。

新しい木、といえば他社との差別化や目新しい物を使いたいという意向を持つ設計担当者や工務店さんからは、「なんか面白い木ないの?」とか「新しい木提案してよ」と言われることもありました。
つまりは、あまり使われていなくて木目も特徴的で、しかも安いもの(最後は大阪だけかなぁ・・・)のこと。
そういう意味で言えば、一時代を彩った木材や木質材料というものがあるように思います。

例えば、「ラーチ」。

ラーチ

(写真は、とってもきれいなピュアラーチ幅広無垢一枚物フローリング

これは、今になっては木造住宅に欠かせないものの一つになりつつありますが、構造部材に使用される合板の材料になる「カラマツ」のこと。
今までは「ラワンベニヤ」という主に熱帯産の節が少なく直径の大きな木材を原材料にしたベニヤ板が主流だったところを、技術と根性(?!)で節がありベニヤに仕上げにくい針葉樹をラーチ「針葉樹構造用合板」という形で普及させました。
初めて見た時のことは忘れません。

「外国に腐るほど生えてるんですわ。せやから、ラワンベニヤみたいに輸入量を気にしたり相場に左右されることなく安定供給できますわ。」

商社の営業さんからそう聞いていました。
腐るほど生えてるって・・・
大阪特有の「たいそうな」言い回しにしては、自信満々にそう言っていましたが、いまでは輸入ではなく自国の材料で、しかもラーチ以外で賄わなければならないほどに、材料となるラーチの入荷は減っています。
しかも、価格の下落を防ぐために出荷量を調整してわざと流通不安をあおって価格を高騰させようとするような生産調整(はっきり言っていいよね。誰でもわかってること。)もあって、思いっきり相場に振り回されている商材の一つです。
最初の安定供給はどこにいったんやら。
とにかく減っていることに変わりはありません。
腐るほど・・・だったのに。

その他、ロシアンバーチフローリングのところでお話しした、世に出始めた時の「バーチ単板」の反響の大きさや、代替材料として、こちらも「大きなものでも数量があっても誰でも調達できる」と思われるほど有名だった「ブビンガ」、それから「ヒノキの半値がベイヒ(米桧)、ベイヒの半値がタイヒ(台湾ヒノキ)、その半値がスプルース」と揶揄されていたものの、今では中国人や台湾の人まで日本にて探し求めている「タイヒ」など、一時期をまるでお祭りのように彩った木材も、多くが輸出禁止や流通が途絶えるなどの結末になります。

木材で新しいものを求めるとなると、やはり安定供給ということは切っても切れません。
しかしながら、先に書いているように木材になるには数十年数百年かかる木材を常時供給できるようにするというのは、さすがに人類でもむつかしいところ。
もちろん、近年では世界でファルカタやアカシア、ラジアータパインなど、そして日本ではセンダンなどのとても成長の早い樹種を人工的に植えることで、安定して木材の供給をすることに成功しているというものもありますが、反対に、増えすぎて困ることやもともとの植生を乱してまで植え替えているという現状もあり、一つを満たすためにほかのことには目をつむる、というような状況があります。

販売戦略としてのお祭りの必要性は高く評価しないといけないかもしれませんが、やはり私は大切に一つ一つ販売していきたい気持ちが強いことを改めて感じます。
大量に提供できる木材をいつでも同じ価格で提供するだけでは、買ってもらう喜びを見出す部分はありません。
木を手にする喜びを感じてもらうために、大きなお祭りという「花火」ではなく、後から感じる「あぁ、選んで良かった」という家族の喜びが見たいのです。

最近でも、床に汚れをつけてしまった娘さんが、叱られるであろうパパの帰りを泣きながら待つほどに(本当らしい・・・)大切にしてもらっている御宅に伺いましたが、それほどに思っていただく価値をお届けしたいのですね。


そんなこんなで流行とは縁遠くなった私は、この時期にはヌーボーに少し金額をプラスして全く違うワインを買っています。

ワイン1


そう考えると、20代でお祭りを味わっていたころとはずいぶん変わったなぁ、、、なんてちょっと寂しくなったりしますが、まぁ、一時の楽しみではなくとっておきの楽しみに変わったということだと考えて、大切に味わう瞬間を待つのです。
そう、そのとっておきこそが「選んで良かった」です。

大切に育てられた木に初めて触れるときのように・・・


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いろんな要素を含むバイオマスと報道

先日、録画している番組の整理をしていると、まったく覚えのないタイトルが録画リストの中に入っている。
覚えがないので家内に聞いてみると、「あぁ、ちょうどつけたらやってて・・・見るやろなぁ、と思ってさ」とのこと。
さすがはわが家内!!

ということで、気が利く家内の配慮で見始めたニュース番組の特集。
内容は「異業種が参入するバイオマス発電」です。
それも主に「木質バイオマス」のお話。
バイオマスといっても、やっぱり私が気になるのは木質バイオマスです。
もしかすると、いつものように間伐材利用促進と発電が両立できてとってもいい取り組みですね!!とまとめられているのかと邪推してしまっていたのですが、少し内容が違いました。

インタビューされているのは、有名な石油元売り会社と有名な重機の会社。
石油元売り会社だと、まだバイオマスという言葉が注目される以前、バイオエタノールという名前で注目されていた時には、ガソリンなどの代替燃料として普及することで石油価格に影響がでる、と言われたものですが、いまでは、その石油会社がバイオマスを取り入れているという。

それも、国産の木を基にしたものを使えば電力の買い取り価格が上がるにも関わらず海外からもってくるバイオマス燃料で。
その理由は、近くで燃料となる木質資源が手配できる環境ではないことなどが挙げられていましたが、実際日本中のバイオマス発電で必要な量の木質材料は、完全に不足しているといわれていますし、「間伐材の利用」といううたい文句が決まるようなある意味「有効活用」と思わせるような、利用方法ができないことがもうそこに見えてきている証拠なんだと思います。

しかし、家庭用や産業用の太陽光発電が売り文句にする、発電した電力を買い取ってくれる「固定価格買い取り制度」を利用するんだから、有効活用なんかはどうでもいいんじゃないの?!と思われるかもしれません。
しかし、それも利用しない企業がのちに紹介されていました。

こちらは重機の一大メーカーさんですが、年間7000tの木質バイオマス燃料を入れているそうです。
その会社でインタビューを受けていた男性によると、「発電だけを考えると採算に合わないが、重油燃料の削減や本当の意味での地産地消を考えた結果だ」という。
しかも固定価格買い取り制度は利用しない、と。
バイオマス発電について、自身で肌身で感じているわけではないにしろ、発電による先の固定価格買取制度の電力会社の支出の原資が「電気を買う消費者が負担している」状態であることを、太陽光発電の普及の時点で言われていましたが、それでも太陽光発電は売る人の群がる一大マーケットになってしまいました。(買い取り価格はぐんぐん下がっている。)

バイオマス1

それを考えると、とりあえず制度を売りにして機器を販売しまくるという流れになるのは当たり前であって、同じようなことが木質バイオマスでも起こるのは残念でなりません。

しかしながら、木質バイオマスの場合はお題目として「林業振興」が掲げられていますから、簡単に路線変更はしないでしょうが、
無理な設置や急速な普及は、様々な整備や考え方が追い付かないために危険です。

バイオマス2


特集の冒頭に出ていた国産材ではない燃料として紹介されていたのが「パームヤシ殻」。
パーム油を採取した後に大量に入手できて、一見とてもエコロジカルに感じるそれ。
しかし、実はこのバイオマスをはじめそのほかへの利用が見込まれるということで、ある時期から需要が大きくなります。
するとそれにこたえるために増産する、ということになるわけですが、どうやって増産するのでしょうか?!
いつも森林破壊!といって話題になる熱帯やそのほか地域の森林は、実は木材として伐採されたり違法輸出に伐採されているばかりではなく、このパームヤシの生産のために多く伐採されているという実情があります。

現に、マレーシアだけを見ても、5年ごとにおよそ2割ほど増産されていますから、どれだけパームヤシが増えたのかは、ちょっとは想像できると思います。

バイオマス3

未利用材を活用して発電できるとなれば、とても良い取り組みであるものの、そのための制度をいいように利用したり、それによる波及効果が悪影響として出てくる場合もあるので、やはり熟考する必要があります。
邪推のとおりの、めでたしめでたしではなかったものの、異業種が参入してくることで変わることも大いにあります。
いいほうに変わってくれるといいですし、より林業や木材への良い影響が出てくれることを期待しますが、現実のところ問題は山積です。

まぁ、最後に「間伐材が利用できて良い」旨のコメントがあって、まだ少しバイオマス=間伐材=使えない材を利用する、という図式が抜けていないのかとも思いましたが、新しい動きだったことには変わりありません。
樹齢100年の間伐材は使えない材なのか?!バイオマスにしてしまっていいのか?!
いや、バイオマスのためにそんな木を燃やしていく日がもうすぐそこに来ているのかもしれませんよ。
いろんな課題があるバイオマス。少しでも正しい知識で判断していってもらいたいものです。
その先に、お題目通りの林業振興があることを願って・・・


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この時期の楽しみとこの時の残念

皆さんの地域はどうですか?!

この季節、急に寒くなったと思ったら木々たちは少しづつ進めていた冬への歩みを一気に加速させるときがあります。
そう、春の桜は単一樹種(種類はいろいろとありますが)なのに対して、秋には多くの広葉樹と落葉針葉樹(主に外国種)が山や街路を彩る紅葉(黄葉)です。

もちろん常緑もいいもんですが、次第に移り変わる広葉樹の葉がひらひらと落ちる様は、冷たく感じ始める風と共に季節を目で感じる瞬間です。
特にどうしても車での移動が多いために、この時期は街路樹に目がいきますね。
こんな景色を見ると、花見ではないですが樹木の素晴らしさというのを感じるわけです。

紅葉1

特に常緑樹や低木とともにあるのが、さらにその色合いにメリハリをつけています。
こんな通学路いいなぁ。

もともと紅葉(黄葉)は落葉樹が、冬に(葉を維持する)エネルギーを極力消費しないようにするために、いままで使った自分の一部を「お役御免」にするわけですが、理論的にはよくわかるのですが、そこには不思議がいっぱい詰まっています。
もちろん、どんな基準で紅葉(黄葉)が始まるのかということや、紅葉と黄葉の違い、常緑と落葉の違いなど。
中にはこのように、写真の右側(南側)は黄葉が進んでいるのに左側(北側)はほとんどがまだ青々としている状態を見ると、「太陽当たるほうが黄葉早いんか?!」と単純に思ってしまうくらいに見事な違いを見せたりします。

紅葉4

しかしながら、今回はそんな楽しみとは対照的な事実が、毎年ながら落胆させられるというお話。
なかなか紅葉ドライブ、というような行楽にしゃれ込む余裕がないので、せめて仕事中の街路だけでもその木々の個性ある美しさを楽しみたいところなのですが、ことわが茨木市においては、ある日を境に景色が一変するのです。

あぁ、なんということでしょう・・・
市内にあるいろんな場所のケヤキやユリノキ、プラタナスなどの街路樹として代表的な樹種たちがこんな姿になってしまうんです。

街路

あれ?!どこが街路樹なの?!
と思う様な風景。
完全に枝先ごと切り落されています。

殺伐、といえば言い過ぎですがやはり他地域で紅葉する街路樹の美しさをみると、茨木市に帰ってきたときにとてもさみしくなります。
この街路樹たち、市がうえたんでしょう?!意図があって・・・
ほかの地域も使っているから、勧められたから、一般的だから、いろいろと理由はあるでしょうけども、やはり排ガスに強く早く成長し、選定に耐える無難な街路樹として植えられているんでしょうけど、改めて「何のための街路樹なの?」と言いたくなる。

枝葉を切ってしまうなら、アスファルト舗装の街路に木々は必要ないとも言いたくなってしまうくらいに裸ん坊。
がっくりです。
地面が土であれば降り積もっても多少は構わないでしょうが、車の通行や、アスファルトの上でざわざわと舞う枯れ葉は、「ごみ」以外のなにものでもないのでしょう。
もちろん、実がなれば落ちてきて車道を汚すとかいうこともある。
特にイチョウは強烈なにおいを放ちますし・・・

もちろん、先のように車をよく使う私にとってはアスファルト舗装はありがたいのですが、それでも無残な街路の裸姿は気になります。
2016年度から始まる予定の、大阪府の年間徴収額が11億円になるという「森林環境税」をとるならば、山の整備も大切ですが切り捨てるのではない街路の落ち葉の清掃などにも充ててもらいたいくらいに残念です。

いや、実は茨木市に永く住んでいるとこの仕事をして数年後までは、街路が裸になっていること自体「普通」で、違和感がなかったのですが、ほかの市や地域の街路を気にするようになると、美しい紅葉のトンネルになっている街路などを通った時の心地よさがたまらなく、自身の街にそれがないことの残念さを思います。

茨木市がなんとか街路樹を楽しめる街になるようにしたいものです。
自然というからには身の回りの木々にも注意を向けて、皆さんに落ち葉の一つも受け入れてもらえれば、茨木市にも紅葉のトンネルを楽しめるようになるかもしれません。

皆さんの街はどうですか?!

紅葉5


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事後報告ながら・・・

最近はなかなか自分の時間をとることができなくて、休日も子供と一緒にいる時間がなかったので、このあたりで子供を連れていい気候の中外に出たい、と思っていたところにいい知らせ。
実は先週の土曜日、奈良県の森林技術センターにおいて、「森林イベント」が行われたまたまそのことを直近で知った私は、皆様に通知する時間もなく、子供たちと参加した参りました(笑)。

子供たちを一手に引き受け、家内の負担を軽くする!という名目で「木が見たいだけ」で参加することを決めたイベントでしたが、甘かった。

イベント4

この日は森林技術センターでありながら、様々なイベントが開催されていて、当然のことながら木工などは朝から満員。
人気の制作は私たちも間に合わなかった人気ぶり。
どのイベントでもそうですが、工作というのは大人も子供もとても熱中するもので、ひたむきでありながらも活発な声の響く心地よい空間でしたね。

で、実は私の目当てのうちの一つは工作ではなくこちら。

イベント7

ちょっととろっとしたスープがいい感じに絡まるきのこ汁。
山菜、というにはイメージが違いますがとても種類の多いキノコたちで、歯ごたえや味わい、そして何よりもキノコ臭さの無いところがいいところで、キノコをあまり好かない次男でさえも3杯もおかわり(本当は一人1杯・・・)したくらいで、キノコ好きな私にはたまらないメニュー。
隣にあった山菜の浅漬けのコンビネーションで、味覚としての森林を体験!
これはききますね。おいしいってすごい力です。

そして腹のふくれた後は運動!!

イベント1

アスレチック、というには少し小規模ですが実際のそれは「大きさとか種類ではない」森で遊ぶ、という五感の楽しさを感じることのできるもので、背の高いセコイアにかけられたロープでのブランコは頭上を見上げると、まるで緑と黄色のトンネルの中の様で自然に溶け込んだような錯覚に陥る、とても心地の良いものですし、その隣のワイヤーアクションは「森の中を飛ぶ」という、大人も子供も笑顔になる企画。
そして、何気なく置かれている「丸太シーソー」は、単純ながら、ギシギシギーギーきしむ音と、ドスンと落ちてもお尻の痛くない、温かみのあるシーソーでした。
やっぱり森や木が人の心に与える影響って大きい!と一人興奮。
いや、末っ子は周りも見ずに楽しんでましたねぇ。そんな姿もうれしいもんです。

イベント2

いや、名目や実際の楽しさになって、まったくお父さんのお仕事に無理やりついてこさされた感は一瞬でなくなったのでした。

また、それだけではなく普段の職務の内容や研究結果の展示などもあり、職員さんや専門の開設の方もいらっしゃっていろんなお話が聞けます。
特にマニアにはたまらない「一斉展示」もあります。

イベント5


こんな感じでドングリが樹種名と葉っぱとともに展示されています。
すなわち、一目でどの木がどのどんぐりでどんな特徴があるか見られるわけですね。
これ、すごく勉強になるんですよ。
本よりも聞くよりもやはり見て触るのが一番。
で、ここで終わらないのがいいところ。
この展示の隣には「ドングリクッキー」の実演があり、ドングリ入りのおいしいクッキーを味わうことができるんです。
あぁ、やっぱり食べるととても幸せ。
そんなもんなんですね。

ドングリごとの味の違いや大きさの違いも見られてう〜ん、楽しい。

イベント9

もちろん、お目当ての樹木観察も忘れてはいません。
こういうところでないとみられない貴重な樹種や、生きた見本を感じることができるとあって、カメラの充電はすぐに追いつかなくなります。
いつも予備を持ち歩いていますが、何枚とったかな・・・
中には、今まで見えていなかったのか初めてか。お目当ての樹種が見つかったりで、これもワクワク。

さぁ、もっとも意外(失礼)だったのは、想像以上に人が集まり関心が高く、皆さんの納得を得ていたのがこれ。

イベント6

杉の丸太を、製材ではなくそのまま「割って」作る樽用材の実演。
丸い丸太から鋸を使わずに作られていく様と、美しい柾目の現れる様は見ている人から感嘆のため息と感激の歓声を浴び、その中に含まれる欠点の話でさえも、建築においては納得してもらうには難しいようなものも、目の前で出てくるものに関しては「自然のもの」としてスムーズに受け入れられるので、見ている人たちとの一体感もあって杉がいつもよりかっこよく見える。

イベント3

うちの子供たちも、アスレチックとは違い本物の感覚が手から伝わる「割り作業」を体感させてもらうことで、どんどん眉毛があがり口角が広がりテンションが上がります。
見た目に硬い塊のように見える丸太が「スパッ」とカツレツする姿は気持ちよく、さらにそこから出る流れる柾目の「1/fゆらぎ」のリズムは、見る者の視覚に安らぎを届けるように思います。
いつまでも見ていたくなるのは、その技術もさることながら、やはり杉の木目の良さや香りもあるんでしょうね。

実は私が想像していた以上に楽しく面白く勉強になって、しかも子供も退屈しないどころかめちゃ満喫していた今回のイベント。
自身が企画するときにも参考になることもたくさん。

また次年度があるならば、皆さんも是非参加してください。
遊んで楽しんで勉強して作って食べてみて感じられる、充実した一日。
プチ森林浴で気分転換。秋のとってもいいイベントでした。

事後報告、ご勘弁を!


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木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ! 

あぁ、恨めしやデジタル機器・・・

少し前に、長い間更新できずにいたことを悔いたのですが、それよりももっと大事な「ネタ元」が消失してしまった悲しい(私だけ)ことをお知らせせずにはいられません。

今回用の記事にと、少し前にとった写真を当て込んでいて「やっと記事にできる」という段階にして、あとは画像のみ・・・というところで目当ての画像を探すも、あるはずのメモリーに存在しない。
他のメディアやパソコンを探しても移動した形跡もない。むむむ・・・
いろいろと触っているうちに、変なアイコンがあることに気が付く。

消失3

あれ?!
このDCIMのとなりのLOST.DIRってなんだ?!
こんなの作ってないしなぁ・・・・たまに出るときあるよなぁ・・・
と思い開けてみると、なんやらたくさん入ってる。

消失2

あれあれ・・・
めっちゃ重たそうなファイルもあるじゃないの。もしかして動画?!
そういえば、動画もいくつもみあたらないんだよね・・・
はい、もうこの辺で半ば「データ消失」に気がついてはいるものの、認めたくない一心で自分の心を否定するのです。
どこかにあるはず、いや、ぜったいある!!・・・

そう思うのは(信じるのは)とっても貴重な画像や動画がたくさんあって、そろそろ保存しようと思っていたところで、今回のように記事に使うための写真も多く撮りためていたために、なくなってもらっては困るのです。

信じたくない一心で例のファイル名をインターネットにて検索してみる。すると「壊れたデータが入っているファイルです。修復はほぼ不可能です。」という文字が・・・
ガビーーン!!
まぁ、ショックです。普通のショックとは違い、今回は相当ショックです。
なぜなら、、、今年2回目だからです。
そう、2回目。
1回目はパソコンです。

さっきまで使えていたのに、数分後に立ち上げると意味不明な文字列が・・・
購入店舗に持ち込むも、「この状態では中のデータは取り出せませんね。消失ということです。」という言葉。
うそーーーー、これからプレゼンする(10日後)ようなデータがいくつも入っているし、しかも写真や今までの書類などが全てなくなるとあって、顔はなぜか笑っているもののまぁ動揺半端なし!!

消失1

外付けハードに移動していたデータもあったものの、大事なデータが「無くなる」という羽目に出くわしました。
いくらなんでも、購入半年でそんなことになるとも思わず、それにまさか自分に、ということもあり、いつまでも信じられず。
そんな後にです。
今度はSDカードです。あぁ、なんということ。
多くの木材と巨樹の写真が消失・・・

よく、保管や使用の環境によってはデータの消失の可能性があるとか言われるけども、その辺は木材の取扱い説明にもでるような「杓子定規」な説明のはずだと思います・・・いや、絶対にそうだ。
めっちゃ賢い電子機器。削除しても中身のデータを取り出して悪用されるような電子機器。
なのに、復旧できないって・・・
その点植物はすごい。
歩くこともしゃべることも計算もできないけど、ちゃんと自分なりの生きていく戦略を立てて寿命を全うする。
少し前に先輩からいただいたニュースには、「樹齢5000年のイチイがオスからメスへ転換した」とありました。
人間のようなのと違いますよ(笑)。

ホルモンの影響か、環境の影響か・・・人間の考える「オスとメス」だけでは測れないものが作用しているのかわかりませんが、そんなことがあるくらいですから、やはり生命というのはすごいと思うわけです。

それに比べて文明の利器はなんだ!!と八つ当たりしたくなる、大切なデータ。返してほしい・・・
皆さんもバックアップはとってくださいね。
それに、メモリーカードの容量が大きくなっているとはいえ、画像やファイルをためているとこんなことになってしまいます。
くれぐれもご注意を・・・

あーぁ、ちょっとショッキングな報告。せずにはいられませんでした。
自分の脳みその中にある画像や記憶をバックアップにしたいくらいです。

消失4


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木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ! 

秋の名月と月に棲む樹 桂(かつら) 巨樹部

名月のシーズンに始まった桂特集の最期を飾るのは、やはり私の得意分野である巨樹であります。

一口に巨樹といっても様々な樹種、そして多くの見事な樹形を持っているものがありますが、桂はまた特別です。
実は、日本全国の巨樹ランキング60本を樹種別でみると、1位は当然?のクスノキで34本、2位はやっぱりで11本、そして次に桂の5本ということで、桂がランクインしているのです。
クスノキの巨大さや迫力というのは、常緑樹であることも手伝ってかある意味圧倒されるほどの見た目で、それ一本で小さな林のように感じることすらあります。
すぎも「直ぐい木」という割には、ワイルドすぎるやろ?!と言いたくなるような生命感と躍動感にあふれる巨樹があり、幹回りも堂々としたものですから、心に残ります。

それらに比べるとやはり桂は特別。
何せ巨樹の一つのバロメーターである「太さ」というものを言及するにはちょっと違うような気がするのですが、それでも大地から伸び上がるように突き出た萌芽枝に囲まれた、主幹の存在などどうでもいいと思わせるような特異ないで立ちは、木々がすべてみな一様ではないことと、前回までにお伝えした「桂の生きていく戦略」を如実に見ることができるものとして、ありがたくさえ感じるのです。

そんな桂の巨樹で紹介するのはこちら。

古屋敷の千本桂4

久しぶりに大雪での巨樹巡り写真がでましたねぇ〜!
そうです、ごらんのとおり冬真っ盛り?!のため葉がなく、しかもクスノキのような太い幹が見えないことから、若干迫力に欠けますが、これが「古屋敷の千本桂」です。

古屋敷の千本桂1

千本桂というのはしばしばある名称ですが、もちろんそれは、この見た目から由来するのでしょう。
この千本桂のほかにも同じような樹形の桂を見ますが、千本は大げさでもよくニュアンスの伝わる名称であることには間違いありません。
看板に所有者の方の名前があるということは、この一帯を持っていらっしゃるのか・・・
一段高くなった道路から、階段を下りて桂の足元まで行けるようになっているのですが、解放していただいていることに感謝したい気持ちです。

推定樹齢580年。まだまだ老木への到達には時間がありそうですが、樹高が25mということで、杉のような仰ぎ見る迫力というよりは、やはりワンダーランドへの入り口でもありそうな主観の位置を探すしたくなるのが、桂の巨樹なのかもしれません。

古屋敷の千本桂5

巨樹巡りになれる(?!)と、どのポイントに驚くか、というのも楽しみのうちの一つで単純な大きさではなく、やはりその佇まいから感じる空気が特別な雰囲気を醸し出していたりするもので・・・
本当は、千本桂も主幹も伸びた上に密集した萌芽枝があると・・・と思ってしまいますが、実は太く伸びていたであろうと思われる主観はすでに伐採されており、そのために胸高直径の割には「頭が軽すぎる」印象を受けるのです。
それもあり、若干スカスカ感が否めませんが、実はこの古屋敷の千本桂は、環境省の調査で単幹で元日本一の桂と言われていたものです。

古屋敷の千本桂7

看板にも「県内全樹種中第一位」という冠がついていますが、現在は山形県の最上郡にある「権現山の大桂」が日本一とされているようです。
幹回り19.2m、樹高40mといいますから、私はまだあったことはないですが、写真で見る限り立派な桂ですが、おそらくこの千本桂も、グリーンシーズンには印象が一味違うのだろうと感じます。

特に東北には桂の巨樹が多くありますが、やはり樹形はこのような箒型が多く見られます。
桂と言えばこのスタイル!という固定観念ができてしまいます。

古屋敷の千本桂9

こうやって道路から降りて桂のそばに立つとやはり、大きい。
上から目線でいると、どこか神秘さや大きさに対する畏敬の念も薄いような感じがしますが、人間、見上げるという行為に至ったその時点で、心のどこかで自分を超越したものを見るような感覚に陥るのでしょうか。
そうでも感じてしまうような、異なった感覚で、太い主幹がなくとも十分に立派で屹立するその姿は、樹木という生き物の生命力を感じるにも十分な存在感です。
また、雪のせいで根元がはっきりと確認できません(膝まで優に入ってしまうような積雪・・・)が、幹からさらに根が傾斜して伸びていることもあり、雪のないシーズンにはさらに広範囲な桂の肌が目に飛び込んでくることから、単純な胸高直径では語り切れない千本桂の迫力を見ることができるようです。

古屋敷の千本桂8

こんな見事な桂のすぐそばにまで車で寄ることができるというのは本当にありがたいこと。
桂は杉と同じくらいに水の好きな樹種。
ゆえに山中の沢沿いや渓谷に位置することもあるものの、周りには民家も見える中でこの迫力です。
案内看板にもあるように、「水飲みに立ち寄った」という記述からもこの場所に水があふれていた様子がうかがえます。
また、その続きにある「立てたまま忘れていった杖が」の行、どの地方にも必ずある「弘法大師の杖が・・・」と同じく、杖が大樹になる伝説をも持っているのです。

まぁ、この時は水飲みどころか靴に積もる雪で足の冷えることが第一で、その場所、を探すことはできませんでしたが、きっと清水湧き出る環境だったのだと思います。

古屋敷の千本桂3

残念なことに、あまりにもうずもれる雪の堆積により幹周辺での「昌志スケール」の実行はならず、仕方なく上の道路から記念撮影を兼ねた大きさ比較。
うーむ、どうも伝わりにくい。
やはり、広がる根と立ち上がる萌芽枝とともに映ってこそ、迫力が伝わるというものだと思いますが、今回は勘弁してください。
せっかくの元日本一ですが、雪の力に阻まれてしまいました。
もちろん、この時は仕事で訪れた場所もすべてが雪の中で、整地してある場所以外はとても入っていけるような積もり方ではなかったために、やむなしです。

余談ですが、宿泊していた宿のおかぁさんに、「お客さん、明日からすべるの?!」と声をかけられました。
滑る=スキーです。
なんといっても、泊まった宿が悪かった。
学生のスキー部が合宿に来ていて、スキーをしない(できないよ、仕事だもん・・・)客が私一人という環境でしたから、「仕事で泊まっている」と伝えた時の残念そうなおかぁさんの顔。
忘れられません。私も滑りたい!!食事のテーブルの横には、快晴の空にダイブするようなゲレンデの写真・・・あぁ、生殺し・・・

それでも、こんな季節に会う桂もまた格別で、東北の良い思い出になったことは言うまでもありません。


古屋敷の千本桂6

月から始まって雪に終わる。
白銀の世界に棲む桂の存在感は、確かに私の心に刻まれたのでした。


古屋敷の千本桂所在地

岩手県九戸郡軽米町晴山第19地割122

駐車スペースあ特別設けていないように見えましたが、桂に降りる所に止めることができます。


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