空を見上げて
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2014年10月

スローウッドな材木屋に必要なのは、スーパーなエンジンとシルエット・・・


仕事人間の様な私でも多少は趣味があるもんですが、その中で年々仲間がいなくなる様に感じるのが「車」。
車に関しては全般的に好きなのですが、特に自分で愛車を操る事が好きなもので、自車でのクローズドサーキット走行には今でも年に2回のペースで参加しています。
スーパーカーブームの影響もあり、もちろんそれらも大好きですが所有して眺めるよりも、やっぱり人車一体の喜びが大きいのは言うまでもありません。(イヤ、単に所有できないだけか・・・・とほほ・・・涙)

サーキット走行というのは外から見ていると、車を走らせているだけでとても楽に思えるかもしれませんが、一般車両とはいえども、カーブを曲がる時の重力(いわゆるG)に対しての踏ん張りや、ステアリングを保持する腕力、ブレーキを踏みつける踏力などに、周回を重ねるごとに年々衰えを隠せなくなってきているのが近年悲しくてならないのです。
それとともに、若い時に共通していた知人も年々(といいますかだいぶ前から)車から離れてしまい、なかなか普段車の話題を口にすることが無くなってきました。

10年前位までは、年に6回ほど通っていた「聖地 鈴鹿サーキット」もすっかりご無沙汰になってしまっていますが、近頃は自車でサーキットのコースに入るのではなく、専ら一般のお客さんと同じく併設されている「モートピア」という遊園地に子供たちを連れていく機会の方が圧倒的に多くなりました。
普通はそうなんですけど、独身のころから「鈴鹿サーキット=走行会」なので、遊園地というとピンとこないものでした。

スーパーカー 3


その鈴鹿サーキットの遊園地「モートピア」には、他の遊園地にはない独特な乗り物やイベントがあり、中でもサーキット併設(遊園地併設が正しいか・・・)である為にできることである、レース開催日のコラボイベントやサーキットのピット(作業場)ウォーク、グッズの販売など、他の娯楽施設には無い面白さがあふれています。
そして、さらに子供には大きな特典があって、鈴鹿サーキットのマスコットのファンクラブに入会すれば、レースイベントへの招待や様々な割引、オープン前の施設への招待などを受ける事が出来ます。

今回は、そのイベントの一環でF1も走るあの国際レーシングコースを、夢のスーパーカーに乗って(助手席)走る事ができる!というお楽しみが用意されていて、車大好きな我が子達が、フェラーリやランボルギーニなどといった普段は乗るどころか触れることもない様な「走る不動産」に会えることに心躍らせていたのでした。
このイベントは、小学生まで入会できるファンクラブのイベントなので、残念ながら未就学児や大人は参加できないのです!!羨ましぃー。
ただでさえ、モートピアを楽しみにしている子供達が、ミニカーでしか触れることのできないモンスターマシンたちに乗れるとあって、出発まではみんなとってもお利口さん。

そんな理由から鈴鹿サーキットへ行ってきました。

あぁ、やはり凄い!
欲しい!乗りたい!走ってみたい!!

スーパーカー 1

こちらは展示専用とはいえ、まぁ先ず普段は見られない車です。
興味の無い方には、本当にどうでもいい情報ですが、メーカー市販状態で1000馬力を発揮する車(写真上)であったり、世界に5台?!しかないと言われる日本円2億9000万円(!!)で800馬力という車(写真下)も来ています。
私、もうしびれまくり!!

昔は380馬力や400馬力という今ではそう大して凄いとは思わない様な数字にも、当時はとても驚きを感じ、最高速度300km/hという想像もできない世界の扉を開けるマシン達に震えたものです。カタログ数値とはいえ、最高速度300km/hと301km/hのライバルマシン同士の争いなども、ファンにはたまらない要素です。
そうそう最高速度といえば、記録を追及するために片方のドアミラーをつけていないバージョンなどもあり、たったそれだけのことですが子供心に感動したもんです。
あぁ、ディカプリオの出演している近年の映画タイタニックでも言ってたっけなぁ。
「なぜ男性がサイズ(大きさ)にこだわるのか・・・」みたいなセリフ。
確かに、実用性の無い馬力の大きさや最高速度の速さなんて非実用的な自己満足的な要素は、なかなか女性には理解しがたいのは、今も昔も同じ様ですね・・・(もちろん、理解してくれる方もいらっしゃることは前提で、)

スーパーカー 2


そしてそんなマシンに乗りこんでいく息子たちを羨望の眼差しで見送る私・・・涙
(先着順で上写真のフェラーリF40エヴォルツィオーネ(ルック?!かな)とランボルギーニカウンタック25thをゲット。)
はたからみると、きっと私はヨダレを垂らしていたことでしょう・・・
たった1周とはいえ、聖地をスーパーカーで走ることができるという体験は、子供達の心に響いたようで、体験を終えて降りてきた満面の笑みは、乗れない私の気持ちを抑えてくれるに十分なものであったことはお伝えしておきましょう。

そうして夢の様な一日を過ごした子供達を連れて、鈴鹿にいくと決まってココ!という場所に向かいます。
鈴鹿サーキットに以前から親しんでいる人には超有名な中華料理店「楼蘭」。
本格四川料理を楽しむことができる上に、ちょっと変わったレイアウトの店内、そして何よりも美味しい上にボリュームたっぷりな事が、一日遊んだ体にはたまりません。(以前は遊園地レストラン街に入っていたのですが、改修に伴い現在は稲生駅のすぐそばに移転。)
辛さに自身のある方は、是非美味しい坦々麺を・・・結構しびれますから、弱い方は通常の辛さマークの無いメニューにしましょうね。
美味しいけど辛いという、食べたいのにガツガツ食べられないあの感じは何とも言えません。
その為、私はいつもこのガーリックライスで満腹になって帰ります。

スーパーカー 4

中華料理で必ずガーリックライスというのもおかしな話ですが、1日遊んだ体(昔は走行した体・・・)にはスタミナになるのです。
堪能しました。
皆さんは、本格中華を堪能して下さいね。


私がまだ自動車免許を取得する以前、あるメーカーから「our dreams come true」と銘打った車が発売されました。
その車は、カタログすら有料でした。でもカタログで夢を見ました。そこから更に車が好きになりました。
現在は、みんな車に興味がなく所有欲も無いという様な事を言われますが、やっぱり子供が夢を見られるような車が欲しいなぁ・・・別にスーパーカーでなくてもいい。
現実的に購買層に訴える車も必要だけど、いつか僕はこの車が欲しい!と思えるような車。
室内が豪華でもいい、他車より馬力があってもいい、これ以上無いほどにかっこよくてもいい、夢を見たいですね。

やっぱり、冒頭と同じく「凄いもの、大きいものや夢」を追い求めるのは男の性であり浪漫、そして最高の原動力。
日頃スローに大切な木材たちを扱う私を動かしているのは、スーパーカーをはじめとする子供のころからの「夢」の原動力なのかもしれません。
しかしながらそれでは、男ばかりのうちの家族の将来が心配ですが、やっぱり夢の無い男は値打ちなし!!と、胸を張ることにしましょう。
大丈夫、ウチには現実をしっかり捉えてくれる舵取り役の家内がいてくれますからぁ・・・

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きちんとした施工には、きちんとした施工準備が大切


お施主様は、無垢材の選定にはとても時間を費やしている場合が多く、弊社に来ていただく方も、夜中に数時間ずっと記事を読ませていただきました、とおっしゃっていただき嬉しいのですが、あぁとっても大変な時だなぁ・・・、とちょっと恐縮してしまうこと度々なのですが、いざ商品が決まってしまうと後は大工さん任せ、というケースがあることも事実。

折角悩みに悩んで選定した材料ですから、施工の方もきちんとしてもらわないといけません。
合板フローリングに慣れている大工さんや、無垢の扱いが初めての大工さんも中にはいらっしゃるので、できる限りお施主様も時間をつくって現場に向かっていただきたいものです。

現地打合せ1


腕組されているのはお施主様。
無垢フローリングの仮並べ&貼り方の割り付けを大工さんと打ち合わせ中です。

現地打ち合わせ 3

今回は、じっくりじっくりと決めていただいたフローリングの施工のため、私も現場まで召集。
お施主様を交え、大工さんと施工に関することやフローリングの事をお話させていただきました。
無垢のフローリングの施工は、合板フローリングなどに比べるととても手間のかかることをお願いしないといけない場合が多い(というよりも、合板フローリングの施工が容易になりすぎた?!から?)ので、嫌がられる場合があるのですが、今回は商品選定の時からお施主様同伴で弊社ショールームにお越しいただいていたこともあり、私が到着したころには既に、フローリングの割り付けや施工の準備、フローリングを汚さない為の手袋までしっかりとしていただいていて、気持ちよく施工準備の打ち合わせをする事が出来ました。

無垢フローリングは、色合いや木目のバランス、そして貼り方の割り付けによって、仕上がった時の見た目に違いが出るものです。
その為に、きちんと現場にてしていただきたいことがあります。
弊社の施工説明書にも記載されています。
よい商品も良い施工があってこそ、活きてくるものです。

決して面倒に考えず、担当大工さんと無垢の木材を楽しみながら施工していただく事をお勧めします。

現地打ち合わせ4


木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp



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秋は企画の秋、でしたっけ?!


今日もお客様のところへ向かっていると、街路樹のケヤキがところどころ色づき始めているところがあり、並木の美しさにしばし見とれてしまいました。
秋は夜長といいますが、日中の美しい景色こそしっかりと目にしておきたいところが多くなる季節。
外に出たくなりますよね。
暑い夏を乗り切って、限られた心地よい季節を味わいたいところですが、どうしてこんなにイベントや勉強会、研修、会議、その他仕事も含めて諸々用事があふれてくるのか不思議で仕方ありません。
先週、スーパーハードなスケジュールをこなしたと思ったら、昨日から新たな勉強会や会議、イベントやお誘いをいただいて・・・・・
こりゃ、景色を楽しんでいる余裕はなさそうです。


そんな中で、一般の方にも参加していただけるイベントと勉強会のお話が2点ありますので、お伝えします。

親子で木と遊ぼう 1

親子で木と遊ぼう 2


一つ目は「親子で木と遊ぼう 木のぬくもり♪森のママまつりin大阪」です。

木製のおもちゃの展示販売や木の素晴らしさを学べるメインステージ、普段は触れる機会はまず無いと思われる「カンナくずプール」、そして勿論木工作のワークショップもあります。
また、私の知人も参加している「カホン」という木の箱に孔の空いた打楽器の演奏会なども企画されています。
お子さんは夢中でしょうから、時間に余裕を持ってもらうことをおすすめします(笑)。


そして2つ目は木材研修会「木材の本当の魅力を考える」というお題目。

私たち材木屋も含め、一般の方に浸透しつつある「バイオマス発電」や国の認定をもらった材と工法で建てることのできる木造高層建築物については、いろいろなところで、木材のコマーシャルとして語られていますが、それだけではなく、使う人が本当に求める木材、そして木材の使い方とは何か?を問い直すという、とても大きな課題が出るようです。

環境にとても優しいイメージのあるバイオマス発電ですが、実は視点を変えるとまた違った問題に直面することも、もしかすると話に出るかも知れません。
全体をよいバランスで保つということが如何に難しいことかも垣間見ることができるかも・・・
講師はなんと、私も様々な書籍を読ませていただいている田中淳夫氏。
これは楽しみ。
こちらは大阪ではなく神戸開催ですから、夕刻に南京町やハーバーランド散策、夕食の予定なども立てながら、木が好きなご友人を誘ってみてはいかがでしょうか?!
なんと、参加費無料です。
下記をプリントの上faxか、丹波年輪の里までお問い合わせください。

あぁー、予定がどんどんとつまるぅ〜・・・・・

木材研修会 2

木材研修会 3



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割れる木材は強くなる!


あぁ、先週は色々な予定が多重に訪れる超無理なスケジュールでした。
想像通り、パンパンな予定はこなせどもこなせどもすべてをこなすことができず、少しづつ先送りにして何とか乗り切った(それでもほぼ無睡眠が2日・・・つらい。)のですが、先送りの影響が大きいのがこの記事となってしまいました。
まったく触ることができずに来てしまいましたので、更新がすっかりと遅くなってしまいました。

さて、それでは前回からの続き。お待たせしました。

割れ

木材にとっては切っても切れない関係にあるものですが、美観的にも印象的にもあまり歓迎されるものではありません。
人間の頭の中では、「割れ=強度の低下」というような図式が作られることは簡単で、私もはっきりと知るまでは「割れてても大丈夫なの?!」と思っていたものです。

周りの大工さんは割れて強くなるんや、といいますが何の根拠も無しにそんな事言われても、今一つピンときません。
そこで、すこし言葉は難しくなりますが、木材が割れる事によってどの様な変化が起こるかを、少しづつ追っていきたいと思いますので、少々お付き合いください。

そもそも木材は、伐採された時にはそれ自身の中に多量の水分を含んでいることは想像できると思います。成長する為に必要な水分を吸い上げているわけですが、いざ木材として利用しようとするとこの水分がとても大きな壁として立ちはだかることとなります。
伐採されて以降の木材は次第に材の乾燥が進み、表面・内面共に水分が少なくなってくるわけですが、その水分が少なくなっていく過程は単調ではなく、途中大きく変化するところが出てきます。

木材に含まれる水分には、細胞壁と言われるいわば「ストロー状の細胞の柱」の内部に吸着している「結合水」と、細胞の内孔などに自由に動くことのできる状態で存在する「自由水」があります。
(下の図参照。円柱が木材の細胞だと思ってください。次男画)

一番左が水分を多く含んだ、乾燥されていない状態。濃い青色が自由水、薄い青色が結合水を表しています。
そこから乾燥が進むにつれて、徐々に水分が抜けていく様を表しています。

木材の含水細胞イメージ図


先に出た、水分が少なくなる過程が変化する点というのが、この自由水が全て出ていってしまった時で、その点を「繊維飽和点」(Fiber Saturation Point)といい、樹種に関係なく含水率(木材の中の水分量と考えましょう)が(25〜)30%くらいのところが丁度その点に当たります。
木材関係者や、大切に乾燥させている木材をお持ちだった方はわかるかもしれませんが、水分の多い時は木材は意外と割れてきません。
どころか、少しづつ乾燥していくのがわかるような気がするので、期待に胸が膨らむのですがいざ、乾いてきたと実感するようになるころには急激に割れが始まったりする経験をお持ちではないでしょうか?!

含水率30%を切る頃というのは、丁度そんな時です。
「おぉー、割れずによくがんばっとるなぁ・・・」といいたくなるんですが、この時が一番気をつけないといけない時。
そして、信じがたいことですが、割れ始めると同時期に木材の強度特性は大きく変化し始めます。
自由水という水分が存在している間は、細胞壁の内部の状態は変化しませんが、自由水の次に結合水が減少し始めると、次第に木材の強度は上昇を始めるのです。

結合水というのは、木材組織の大きな構成要素であるセルロース分子に引き寄せられるように存在しているために、自由水のように簡単には動かないのですが、それが動き出すのが丁度この点なのです。

ここからは、含水率が下がれば下がるほど強度は増します。(ただし例外有り。)

この現象は、木材の細胞内の結合水をはじめとする水分が減っていくにつれて、水素結合がより強くなり外部からの力に対して変形しにくくなるためです。
とはいえ、木造住宅の構造材や細かい細工部分などの接合部が割れている場合や、割れの亀裂部分を引き裂くように働く力には当然抵抗できませんので、「強くなる」の言葉の意味に注意してくださいね。
また、一般的に想像するような「水分がなくなるとスカスカになる」ような印象は、適度に乾燥した状態の木材には当てはまらず、水分が少ない方がより強度があるといえますが、さらに水分を無くしていったり、細胞壁を破壊してしまうほどに急激な乾燥スケジュールなどを行うと、もちろん変形の力に耐える以外の外力に抵抗しづらくなりますので、これも誤解のない様にしないといけません。

それに、乾燥することによって木材の強度があがる「だけ」であれば、材木屋はどんどん乾燥させるでしょうし、そのための土地をたくさん用意するはずですが、そうは問屋がおろしません。
そうです、ここで出てくるのが「割れ」なのです。

話をぎゅっと凝縮すると、強度が高くなるにつれて割れも出やすくなる。そんな話に聞こえますね。
これが、昔から言われてきた「木は割れて強くなる」と言われている部分なのだと思います。
または、締まってきて強くなるともいわれます。
パシパシやピシピシと言ってはじけるような木材が割れる音は、何も知らなければ「家が割れていっている!!」と驚かれることもありますが、実は「繊維飽和点」に達して木材が「強度を増している音」だったんです。

木材の割れ 3


もちろん、今日では人工乾燥材がほとんどですので、屋根の材料以外ではそんな割れの音を聞く機会も少なくなりましたが、一昔前は必ず聞かれたものでした。

つまりは、木材の割れを敬遠するということは、引き締まって強くなっていく木材を敬遠するのと同じこと。
日頃目にする部分が大きく割れてくると気になってしまいますが、構造材などが少しづつ割れるというのは、貫通割れなどの一部を除き気にしなくても良い場合が多いという事です。

因みに、先日タイムリーに得た情報によれば、この木材乾燥中の水分移動による割れを防ぐ「割れ止材」に応用されているのが、水分子がいなくなることによってできた隙間(例えです)のために木材の細胞が収縮し、割れてしまうところに薬剤を浸透させて、水分子の代わりに木材の細胞とお手てをつないで割れを防いでくれるという優れものもあるのだとか・・・
さっそく使ってみたくなりました。

話は戻って割れによる強度変化ですが、割れと乾燥についての話はとても奥が深い話ですし、乾燥と切り離して割れを考えても、木材の伸縮の異方性という材面による伸縮率の違いを説明しなければいけません。
それにいまだに乾燥方法なども研究しつづけられていますから、一つのコラムで伝えきれるようなものではありませんので、最後に心配の種だけとって締めくくりましょう。

先にも書いた通り、木材の割れは貫通割れなどのような大きな割れや、割れ部分を引き裂くような力がかからない限り、表面割れ程度では木材の強度を表す「曲げ強度」や「圧縮強度」の低下は殆どないと言われます。
また、割れの深さが材厚の50%以内のものは、材の曲げ剛性の低下も5%程度の低下でとどまるとも言われています。

割れる物は弱い、のではなく割れるからこそ強くなるという木材。
内部割れや、精油まで絞り出してしまうような無理な乾燥をしなければ、割れている材も安心して使えるということです。
昔の人は、こういった木材内部の作用を知ってか知らずか、きちんと使いこなしているのが普通だったんでしょうね。
そんな中で、知識を交えて木材について自信をもって語れる大工さんや材木屋が少なくなり、いつのまにやら「割れる=弱い」というイメージが定着してしまったのかもしれません。

ただ安易に大丈夫、ではなくて乾燥途中で起こる木材と水分の引き起こす作用を知ってもらうことで、より木材が安心して使ってもらえて、木材の割れで裁判、なんてことにならないことを祈ります。

木材の割れ 1



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木材は割れて大丈夫?


木造住宅の入居者から、昔から心配ごととしてきかれるのが「パシパシ、バリっと音がするけど、大丈夫ですか?!」とか、「急にピシッとかいう音がするんですけど、家に影響ないんですか?!」などといったこと。
それは気になることでしょう。小さな床鳴りすら許容しなくなり始めていたころからですから、いきなり家のどこからかそんな音が聞こえるとしたら、「柱が割れてる?!梁にひびが入ってきた?!」と心配するのも無理はありません。
因みに、私は「鴬張りの廊下に、お化け屋敷のような音のする階段」の家で育ってきましたから、始めは床鳴りや木材の割れの音の何が気になるのかということすら理解できませんでした。

木材の割れ 1


特にマンションから一戸建ての木造住宅を購入された方は、「その音」にとても敏感で心配になるとおっしゃっていたっけな・・・

近年記憶に新しいのは、新築の木造住宅に使われた梁材が割れたことで補修をすることとなった住宅会社が、納材した木材会社を訴えたという訴訟があったこと。

木材割れで訴訟?!

材木屋や木を知るものにとっては「木材が割れること」が自然なことであっても、その理由や作用を知らず、割れるとどういったことになるのかという事をお伝えしていなければ、やはり心配なのは無理もないことなのだろうと思います。
いや、実際のところは材木屋でもよっぽどの事がない限り「木は割れるもんや!」位の事しか知らず、「仕方ない」でかたづけてしまってはいないだろうか?!

ふた昔前までは、冒頭のようなお話があったときには「木は割れるもんやから、そのうち落ち着きますわ。」とか、「乾くと仕方ないんですわ。大丈夫、潰れへんから。」というような、どうも納得しにくいような回答も聞かれていましたし、ちょっと小ましな回答(?!)になると「割れていって強なるさかい、大丈夫ですわ。」という事も聞かれました。
「割れて強くなる?!なんで?」、「割れたらあかんやん!!」
まったく心配を払拭する答えにはなっていなかったと思います。

柱材に施されている「背割り(背割れ)」という事に関しても、割れにくく狂いにくい集成材全盛期においては、正確に説明できる人は少なくなってきていることでしょう。

木材の割れ 2

だからこそ、木材を利用する方が知らなくても当然で、むしろ事前も事後も、正確に説明してあげることが必要であり、木材を使う上では利用者もそれを理解する必要があることはわかっていただけることだと思います。

では、その気になる「割れ」はどうして起こるのか?!
パシィーー、と裂けるような音が聞こえても、家自体に問題はないのか?!(少し語弊がありますが・・・)
その疑問を理解していくには、木材の根本的な性質に迫っていく必要があります。
実際のところ、水分を多く含んでいる木材(生木・なまき)よりも、程よく乾燥させた木材は強度が高くなることは知られていますし、それを踏まえてもやはり割れは伴うもの。
それでも強度が高くなるというのはどういうことなのか?!
木材と水分の関係や木材を小さな視点で見た時の変化のお話、また、木材の中の水分が移動することによって起こる現象の関係。
最近、少しむつかしい話ばかりで申し訳ないのですが、できるだけ平易に進めたいと思いますので、次回の「割れる木材は強くなる!」を読んでみてくださいね。


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山に入れた人の手には人の手で・・・言い切れない書き切れない想い


いろんなところを廻っていると、色々な話を聞けます。
山や製材所、加工所など木材に関わるところどころで、自分が関わっている事に対しての想いを持っておられるからですが、全て画一的に話をまとめることは不可能であるにしても、やっぱり一般的に言われるように「山の担い手」の事情は厳しいようで・・・・

山で考えること 2


私が色々と訪れるときには、その地に行くのだからできる限りその地の周辺を廻っておくこと、を信条に、周辺の製材所や加工場などを廻るのですが、山間部の場合は稀に目的地が巨樹のほど近くだったりすることがあるので、仕事帰りに寄ってみたりするのですが、どうしても「戸田材木店」の看板をかけている車で向かいますので、いぶかしがられるケースもしばしば。

先日訪れた先でのこと。
製材所へ廻るついでに近くの山にある巨樹に会いに行きました。
たまたま道を間違えて入った道の傍らに、おじぃさんとおばぁさんが下草刈りと、林の掃除をされていました。
丁度よいと巨樹への道を尋ねたところ「何しに行くんじゃ。教えやせんぞ!」と語気を少々荒げて答えられました。
原因にピンときた私が釈明する暇もなく、「あんたも伐りに来たんじゃろが。神さんのとこへは行かせんぞ。」と睨まれてしまいました。
ここまで来るとお分かりでしょうが、つまりは材木屋がめぼしい巨木を切るための下見に来たと思われたようです。
仕方ないでしょう。
私の記事でも取り上げましたし、ニュースでも頻繁に報じられていたように、山中や社寺にある巨木に薬剤を注入し枯れさせてしまい、倒壊しないように伐採しましょうと持ち掛けるお話。
各県で実際に被害にあわれたそうですが、私が訪れた先でも同じような話があったそうです。
それで余計に敏感になっているところ、こんな山中に「材木店」のデカデカとした看板の車が来るわ、道を聞いてくるわ。そりゃ怪しいわな。

90年生杉

(樹齢90年の植林木)


一通り話を聞いた後(聞くことが大切)、本当に巨樹に会いに来ただけで、巨樹探訪が趣味な変わった材木屋だという旨を一生懸命説明し、ようやく表情が柔らかくなったところから、少しおじぃさんのお話を聞くことにしました。

そんなに敏感になっていたのは他にも理由があり、ついこの春先にも、大木のある山を案内してほしい、と一人の人間が来たそうで、山を愛し地元の山はどこにどんな木があるかも覚えているというそのおじぃさんは、親切に案内したそうです。
実はこのおじぃさん、後から聞くと山主さんでありながら、ほかの所有者の山も管理を任されているという方で、どこからともなくおじぃさんの事を聞いて、その男はやってきたそうです。
その男が来て数週間後、おじぃさんは自分の好きな地元の山歩きに出かけたそうです。
するとどうでしょう、今まで見守ってきたケヤキやトチなどの大木が、あるはずの場所にない。
先に行ってもない。所有者は違っていても、大切に思って見守ってきた大木が消えている。それも、自分の案内したものばかり・・・

実は、その男は大木の話を聞きつけ、正確な場所を特定するためにおじぃさんに案内を頼み、下見を付けた後に所有者に会いに行き、その大木を買い取り、伐採したのだそうです。
もちろん、購入して伐採しているのだから悪いわけではないですが、おじぃさんはとっても悔やんでいました。自分が案内しなければ伐られることはなかったのに・・・・と。
それぞれの大木は、その所有者が代々売らずに守ってきたもので、最近も伐採の話があったそうですが、先祖より大切に受け継いできたものを伐るわけにはいかん、と言っていたものも伐られている。

おかしいと思えば、その所有者はついこの間に亡くなり、相続をした世代は山の手入れはおじぃさんに委託しているものの、守っていくと言うほどの気はなく、売れる物ならば伐ってほしいと、伐採許可を出したそうです。
その地方では有名だった栂の大木も伐ったと言います。

おじぃさんの話は続きます。
今の世代はみんな無関心じゃ。山にも人にも。物の価値も崩れてしもうた。わしらの自分はまさしく宝の山で、子や孫の時代には大きな財産になると思って大切に育ててきたが、このありさま(間伐されて綺麗な山を見て)じゃ。
わしら頑張って手を入れてもそのまま捨てんならん。出せんのじゃ。出しても売れんのじゃ。
手を入れとるところはまだえぇが、手も入れんとそのままのところもたくさんあるわ。
子や孫の世代は、山なんぞには関心がないでの。どうでもえぇんじゃ。管理だけしといてくれというもんや。
山も木もかわいそうじゃ。世の中は変わってしもうたわ。

都会でよく言われる間伐材の利用とか、手入れされていない人工林のお話とダブる部分が多くありますが、見た感じとても美しいところなのにそんな状況だとは。

山で考えること 4

わしはもう、83じゃ。わしで終わりだわ。
このあと、この森はどうなるんじゃ・・・

そういうこのおじぃさんの子供の世代も、山の仕事にはついていないそうです。
それが余計に嘆かせるのでしょう。
確かに最近手入れされたと思われる山を見ても、間伐された立派な幹がゴロゴロと転がり、逆に墓場のように見えてきます。

これは、山の努力とか流通方法を考えるというだけのような話ではなくて、やっぱり山を手入れしてもらっているところから最終的に木材製品になるまでのすべてを見えるようにして、より身近に木材も、木材と森を取り巻く状況を知って考える必要があります。
もちろん、様々なやり方で成功しているモデルはあるにせよ、宣伝やマーケティング戦略にたけていない森林はだめになってしまいます。
そんなのは嫌です。やり切れません。

元々は3世代を通じての財産として植えられた木。
今からがとても大切な時期なのに、だめになるのを見ているなんて…

自然の森は異なると思いますが、人が手を入れた森はやはり人が面倒を見て管理していかなければいけないという現実と、手を入れようと思う森にしていくには、木や森の魅力をもっと掘り出す必要性も感じます。

いつも木を扱う仕事をしているだけに、おじぃさんのお話は何ともむずがゆく、対処法が一言では絞り出せないものでしたが、これが一つの現実。
狂っているのは世の中の流れか、物の価値か、それとも物を扱う意識か?!
巨樹訪問を前に、むつかしい問題に直にぶち当たり何とも言いきれない想いになりました。

山で考えること 1

最終的には、やはり担い手を引き継いでくれる方を探すのが先決なのだと思いますが、私はそんな状況を街で少しでも切実に伝え、木材の価値の向上とその意味をはっきりさせることによる山へのフィードバックをしたいと、ますます思った次第です。
課題重過ぎですが、森を守るというととにかく植林!のようなイメージですが、私は私ができる木材の道を進みたいです。

決して低質材ではない間伐材の有効な出口が作れるように・・・
言い切れない書ききれない想いは今この瞬間も続いています・・・
是非、皆さんも人の関係してきた森に入ってお話を聞いてください。決して木材の価格が高いとかこの木材はダメだなんて、言えなくなりますよ。
人の手ではぐくまれた宝の山を活かすために、今日も一日動いています。

山で考えること 3

注)本文のおじぃさんの山と写真の山は別のものです。


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木を見て森も見る 山へ行こう そして話を聞こう

 

ちょっと前に案内が来ていたのに、告知が遅れてしまいました・・・
来る10月25日(土)に、奈良県の川上村において山と製材所の見学が一日でできるというバスツアーが企画されているそうです。
通常、木というと町の材木屋さんに行ったり、ホームセンターで角材や板を購入するという場面が多いはずですが、今回は川上村において美林の見学と、製材所にてその美林が木材になるまでを見ることができるようで、まさしく一石二鳥ならぬ、「一日二木」のような企画です。

因みに、訪れる製材所は私も存じ上げている吉野中央木材さん。
杉に情熱を傾ける貴重なお話を聞けるのではないでしょうか?!

大阪駅前ビル集合のバスツアーで、しかもお子様歓迎ということで家族でお出かけされて、材木とは一味違った「木々」を満喫されるのもいいでしょう。
もちろん、リフォームや建築の際は弊社も忘れないでいただきたいですが、よっぽどの事がないと行くことのない川上村の森を堪能できるツアーですから、是非申込みされることをお勧めします。
因みに、どうやら抽選ですので、当たることを祈りましょう。

こちらの当日はイベントシーズンの為に申込みできませんので、指をくわえています。

奈良県川上村


そしてもう一つ、11月14日(金)に、住之江区にて「木育が世界を変える」と題した講演会があります。
ここで催される講演会等には毎年多くの方が出席され、木材業界人以外の一般のかたも多数おられるのが特徴で、特に一般のお客様となる方にこそ聞いていただきたい、なるほどのお話を聞く事が出来ます。
今回も木材が持つ魅力や、力を存分に聞く事が出来るのではないかと期待しています。
少し時間が遅めの開催ですが、参加無料です。お早めに申し込みを。


木育 1


木を見て森を見て、製材まで見て講演を聞く・・・・
さぁ、後は使ってもらうのみ!!
ご来店お待ちしています(笑)・・・



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別名多き名付け親と和製オリーブオイル 百面相ホルトノキ番外編


木材や樹木の話を始めると、どうしても派生してお伝えしたい事や本文が異様に長くなってしまうことがあったり、終わるつもりが思い出したことを書き足したくても文脈が定まらず、別段として次回に持ち越すことは多々あります。
毎日更新していないのだから、できる限りその回で完結させる様にはしている(最初から区切った方がいいものは別として)つもりですが、今回も少しスケールオーバーで、仕方なくもう一人の主役も引っ張りだして前回のホルトノキの補足を行いたいと思います。

鳥飼八幡宮のホルトノキ 2


補足、いや、実はこちらを先にお話するべきであろうということは容易に想像がつきます。
ホルトノキという耳慣れない樹木の事を、少しでも予備知識として頭に放り込んでから、前回の千草のホルトノキを見てもらえば良かったものの、ちょっと先走ってしまった感は否めません。
まぁいいです。
お金をとる書籍であるまいし、ましてや私の木材&巨木馬鹿っぷリを承知で見ていただくマニアックな方しか読者はいないと勝手に想像してお届けしているんですから、大丈夫の筈・・・

それでは、本題。
和名 ホルトノキ
別名 モガシ、その他(後述します。)
学名 Elaeocarpus sylvestris
この属の英名を oil fruit tree 又 pigeon plum

ホルトノキ科の植物で、千葉県以西の本州、四国、九州、沖縄に分布し、台湾や中国、インドシナにも同科の仲間のある常緑高木で、暖地の雑木林に生えている場合が多いといいます。
今回の様に大木が見られるのは佐賀県、高知県、香川県、静岡県にそれぞれ知られていますが、同じ県内でほど近い場所に2本他存在するというのは、やはり島国「ホルトアワジシマ」だからこそではないかと思います。

鳥飼八幡宮のホルトノキ 5


もともと、淡路島(兵庫県)においては、今回紹介する鳥飼八幡宮のホルトノキが最大とされていて、樹齢600年、幹回り4.24m、樹高25mというスケールでずんぐりむっくりのスタイルの足元は、根周り8.2mという重みのある巨体で、珍しく感じる方が多かったのでしょう。
前回の千草のホルトノキは、ムキムキの腕っ節ながらもとっても紳士的ゆえに、表舞台には出てこなかったのでしょうね。

鳥飼八幡宮のホルトノキ 9

ホルトノキの果実は食用となり、樹皮や葉は染料として大島紬の鼠色系統の染色につかわれているそうですが、材としては耐朽保存性は低く割れやすいため、薪用材や建築雑用材にするという用途が記載されていますが殊、しいたけの榾木には良材とされているそうで、通常は庭木として存在している場合が殆どなので、これらの様な巨樹にはなかなか出合えないはずです。

そしてここで聞き慣れない名前、ホルトノキの名称についてのお話に移りましょう。
前回のお話の締めに、私がしょうもないシャレを残した事に嘲笑したそこのあなた!まだまだ木材に対する愛情が足りないようですね、フフフ。
変った名前、「ホルトノキ」の由来というのは「ポルトガルの木」からきているのです!!信じられない様な本当のお話・・・私の面白くないシャレではなかったのですよ。
ホルトノキの由来については、かの有名な平賀源内の物類品隲から始まります。

鳥飼八幡宮のホルトノキ 4


当時、ポルトガルの油と言えばオリーブ油の事を指すほどに有名な時代。
源内は紀州にて見た方言「ズクノキ」(現在のホルトノキの和歌山での呼び名)の実が、本場のオリーブの実と同じと考え、さらには紅毛人に問いかけ「真物」という回答を得たのでこの木はポルトガルの木、すなわちオリーブであるとしたことに始まる。
しかしながらもちろんそれは別物であったのだが、それ以来一般的な名称として現在までホルトノキが用いられているという、真面目な間違いから発生した植物名がホルトノキの名称の正体。
平賀源内、エレキテル他で名をはせたのだと思っていたけれども、植物の命名まで首を突っ込んでいたとは意外や意外。
やはり一般人とは見ているところが違ったのでしょうね。

思いこみはやはり強く、ホルトノキからオリーブと同じように油が取れるということを信じていたそうです。
現在でも、源内が紀州から持参した種・苗から育ったと思われる大木が高松、栗林公園にあるといいます。

そんな由来を持つホルトノキは、怪人百面相ならぬ怪木百面相でもあります。
なぜかというと、やはりその名称に理由があります。
木材には別名や方言名、通称名や外国名など様々ある場合が多いですが、このホルトノキほど地方地方によって呼び名の異なる木も珍しいように思います。
まるで、その地ごとに名前を変えて忍びこむ怪盗の様・・・
一般的な別名の「モガシ」の他に先の和歌山では「ズクノキ、ツギノキ」、御蔵島の「アカツグ」、鹿児島の「クロツグ」、奄美大島の「ナリツグ・ツンギイ」など、ズクの意味は不明だそうですが、ツグはシュロの琉球方言で、ホルトノキの果実をシュロノ果実になぞらえたものだといいます。

その他も激しく多い地方名が存在し、九州「シラキ」、山口の「ミズノキ」、高知の「ミツガシロ」、大分の「イヌヤマモモ」、西表島の「ビーマツマヤ」などなど・・・・
この中で少し想像できるのは、ヤマモモに葉の形が似ている事からと推測される大分位です。
その他は、なんじゃそりゃ、です。

こんな百面相的なキャラは、名前の由来となっている平賀源内に通じます。彼も様々な別名を使い分けていたといいますから、似たものどうしなの?!
しかしながら、庭木にしろ雑木林の中にしろ、これだけの別名地方名を持っているということは、それだけ地方で愛されてきた証拠ではなかろうか?!

鳥飼八幡宮のホルトノキ 6


巨樹の記事で、その木の材質の事についてはあまり触れたくはないのですが、最後に材についてもう少し。
木材としてのホルトノキは、比重が0.57で中庸な重さを示す散孔材で、黄白色から淡黄色の材面を持っていますが、先の様に何かの用途に賞用されるというほどの知名度も供給量もありません。

せめて、シャレではない変った名前と変った風体を見て、平賀源内が勘違いした背景を想像してみてください。

鳥飼八幡宮の隣は鳥飼小学校です。
その境界の柵を越え、太い二の腕を伸ばすまるで「四股をふむ力士の様」な風貌は、この土地の守り神なのでしょう。
太いながらもやさしく手を差し伸べているようで、少し可愛く感じますね。
きっとこれからも子供たちとその風土を見守ってくれることでしょう。

鳥飼八幡宮のホルトノキ 7


鳥飼八幡宮のホルトノキ所在地

兵庫県洲本市五色町鳥飼中317−2
周りを見られなかったのですが、道路に駐車してもホルトノキはすぐそばです。

 鳥飼八幡宮のホルトノキ 1


ホルトノキより石段を登り、鳥飼八幡宮境内の門をくぐるとすぐ右手に見事にねじれたイブキもあります。
そのひねくれ様は、個性的こそ生き残り!と言わんばかりの迫力です。一カ所で二度美味しい鳥飼八幡宮です。

鳥飼八幡宮のホルトノキ 8



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ! 

ホントの木?! いやいや島国のホルトノキ


やっぱり人間、その目標に向かっていかないとなかなかたどり着けないもんですね。
いや、今回は目標というほどのものではないですが、私としたことがこんなに近くにある珍しい樹木に会いに行かずに10年以上そのままだったなんて・・・

今年の夏は、昨年までの永い永い缶詰状態を打破できたことから、強行スケジュールながら海水浴のために淡路島に家族で行ってきました。
以前はよく行っていたのですが、その「缶詰」になってからはすっかりご無沙汰でしたので、純粋な夏の遊びに絡めて近場の巨樹を廻ろうと欲張ったわけです。
今までは、夜に到着してから宴会(笑)をして、次の日は日暮れまで海で遊ぶ日々だったので行くことができていませんでしたが、今年は夏の日の出が早い事を良いことに、宴会をそこそこに控え早朝からの巨樹巡りを企んだのですが、欲ばってはみたものの、二兎は追えず・・・・


実は淡路島には冒頭の「珍しい樹種」の大木があるのです。
もちろん、スギやクスの巨樹のスケールと比べれば全く巨樹とは言えないのですが、その樹種自体が珍しいとなると会いに行かずにはいられません。
そうして向かったのがここ。

ホルトノキ 2

密林ではありません。
しかしながら、道路際であるにもかかわらずこの様に茂みになっている事から、このすぐ先にあるお目当てにはなかなか気がつきません。
淡路島は神戸と徳島を結ぶ高速道路も整備され、一般道もそんなに車が多いわけではなく走りやすいのですが、そこからそれて山道に入ると結構な酷道(車で茂みをかき分けないといけない様なところや、対向できないところ)もありますが、ここはその少し手前。この先は少し細くなりそうだ、という直前ですがまさか、ここにそんなに珍しい樹種があるとは夢にも思いません。

案内板や、天然記念物の指定板なども無い茂みの先にはこの様な姿が待っています。

ホルトノキ 3

見事な株立ちのこの樹木は「千草のホルトノキ」。
熱帯産の木材に多く見られる、木の根元が板状に広がる「板根」と呼ばれる状態に近い印象が興味深いものです。

ホルトノキ 4


ホルトノキ?!なんじゃそりゃ?!
普通はそんな第一印象でしょう。
スギやクス、ケヤキやイチョウなどは巨樹巡りを始めると頻繁に出会うのですが、ホルトノキというのは聞き覚えがありませんよね。
私も樹木の本では見るものの、このような成木でしかも立派なものには初めて出会いました。

文献によれば、このホルトノキは2004年に神戸大学の武田義明教授が発見するまで世に出ていなかったそうです。
十数年前は頻繁に遊びに行っていた淡路島でしたが、その時にはまだその存在が一般に知られていなかったということなので、私が訪れていなかったのも無理無いなぁ、と一人納得。
また、幹回り4.82mというのはその他の樹種に比べれば巨大さは無いものの、この個体はホルトノキとしては兵庫県下最大のものだそうです。
ホルトノキは兵庫県下では淡路島南部のみに分布しているそうで、中でも五色町には個人宅も含め数カ所に点在しているとのこと。

頭上の枝ぶりも太いという驚きではなく、その木肌が力強い男性の肉体美を思わせるかの様にムキムキっと伸びている様はまるでボディービル。
異形の巨樹というのは数多く存在しますが、凛々しくも力強い巨樹というのはなかなかありません。
巨樹!というスケールには若干不足感はありますが、上記の意味でも珍しい存在だと思います。

ホルトノキ 7


千草のホルトノキは、「山の神さんの木」と言われていたそうです。
日本各地には山の神さんと言われる神木や霊木が様々存在しますが、その多くは巨大さや神話の言い伝えに由るところが大きいですが、千草のホルトノキに関してはおそらく、異形であるわけでもなく巨大でもなく、また聞こえの高い伝説を持っているわけでもない中で、地域の住民の方に愛され古くから身近な守り神の様な存在として「神さん」と呼ばれてきたのではないか?!
私はそう想像しました。


ホルトノキ 9


この立派なホルトノキ、実はインターネットの他の写真を見た時はもっと大きく枝を広げて空を覆っていたように見受けられたので、少し圧倒的なのかと思っていましたが、訪れる前に刈り込みをされたのか、若しくは直前の大雨強風によって枝葉が落ちたのかは不明ですが、土にも日が入りこむ位に上空が開けていて、どちらかというと清々しい位でした。

しかしながら、大雨でしかも真夏の早朝、6時。さらに茂みな為にコンパクトデジカメのシャッタースピードがめちゃくちゃ遅いので、大粒の雨からカメラを守りながらアングルを決めるも殆どの写真がブレていたり、雨粒で見えなかったりで全くダメ。
しかも夏の茂みだけに大量の蚊!!
耳元ブンブン、足も腕もサワサワと近寄られて制止していることができません・・・
この状態でゆっくりと巨樹との対面に感動せよ、といわれても流石の私も四苦八苦。

なんとか三脚を設置し撮影したうちの一番良い写真がこれ。

ホルトノキ 8


私の格好が少しだらしないですが、真夏の海水浴に期待していた気持ちの現れとご理解ください(恥)
前日が曇りだった為に、この日もなんとか雨が止んでくれることを期待して早朝5時起きたてで朝食もとらずに走ってきていますので、期待を裏切りそうな雨粒にうたれて元気が無く少し猫背気味・・・・
実際、この日も雨はやむことなく、どころか四国に大雨による大きな被害を残すことになるほどの雨量のため、海どころか外に出ることもままならずで何のための旅行だったのか・・・

やはり海水浴と巨樹巡りという2兎を追うことに対する期待が大きかったのか、この旅行ではずっと大雨で外には出られず、メインイベントの海水浴をせずに、早朝に巨樹を巡るのみという本末転倒な旅行になってしまいました。
2つの楽しみを同時に味わおうという欲張りは実りませんでしたが、近いうちに島内の他の木々も巡ってみたいと思いました。

ホルトノキ 5


島国というと、大陸から離れて独自の文化や種が存在する場合が多く、地域を問わずに注目される場合が多いですが、ここ淡路島はどうしても「玉ねぎ」が念頭に先んじるために、その他の印象がかすんでしまっているのは私だけでしょうか?!
テーマパークや海水浴で賑わいがあり、高速道路が整備されるまではフェリーの発着場まで伸びるサンセットロードと呼ばれる海岸線沿いの道をよく走ったものです。
そんな時分でも、耳目を集める巨樹や今回の様な珍しい樹木ならば立ち寄っていたかもしれないのですが、そのあたりの情報は島からはあまり発信されていないように感じます。

実は、淡路島にはこの木の他にももう一つホルトノキが存在します。
鳥飼八幡宮(洲本市五色町鳥飼中317)の参道にあるそちらは、今回紹介したような株立ちではなく、ずんぐりむっくりのマッチョさんですが、通常の幹回りが1.8メートル程の所が八幡宮のホルトノキは4.1m、樹齢600年を数えると言われる巨樹です。
また門の右手にはイブキもありますから、一か所で2度美味しい場所です。

珍しい樹種のホルトノキ、しかも立派に成長している個体を観察できる淡路島はテーマパークで言うところのポルトヨーロッパならぬ、樹木観察のテーマアイランド、ホルトアワジシマやぁぁ〜!!・・・・おあとがよろしいようで・・・



おっとっと、待って下さい。しょうもないシャレで締められない理由があるのです。
もう少し深いホルトノキのお話と、今回の千草のホルトノキに抜かれるまでは「県内一」を誇った上記の鳥飼八幡宮のホルトノキを交え、もう少しホルトノキのお話を次回に持ち越させてください。

ホルトノキ 6


千草のホルトノキ所在地

兵庫県洲本市千草丙

正確な地番というものがでないので言葉になってしまいますが、洲本市の国道28号線の南に洲本ゴルフクラブがあり、その東に県道481号線が猪鼻第2ダムに向けて伸びています。ゴルフクラブとダムとの中間より少し北の県道沿いに下写真の公会堂がありますので、その端です。
インターネットのマップで上記住所検索すれば公会堂近くが表示されると思います。

ホルトノキ 1

茂みの脇に2014年現在新築すぐだと思われる猪鼻公会堂なる建物があり、その前は広い駐車スペースになっていましたが、道路に駐車しても対向は可能な道幅があります。

因みに淡路島には他にも色々と見どころがあります。見事な株立ちのイブキや、自称?!日本一のソテツもあります。そのうち紹介できるかなぁ?!



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ! 

ヒノキ神話崩壊・・・?!


ちょっと私もショックです。

今までにヒノキを使っている木材製品やフェンスなどが10年もせずに腐朽(劣化含む)している所をたくさん見てきている為に、自分でも先日「ヒノキだからと油断できない」木材の耐朽性についての記事を書いたところですが、今回メディアにも日本人のヒノキ神話を覆すような記事が掲載されているのを見つけましたので、一度見ておくといいかもしれません。

こちらの日経BP社の建築関係記事の一つに「ヒノキは芯材でも腐朽する」という記事がありました。
木材の耐朽性を考えるときは、芯材を基本として考えなければならないことや、日光や風雨から極力木材を保護する必要性はお伝えした通りですが、その芯材で、しかも神話的に信頼度の高いヒノキが腐朽するという記事です。
簡単な会員登録(簡単なもの)をすれば見ることができますので、詳しくは記事を参照してください。

実際のところ、環境的な面や材料のバラつきまでも考慮されて信頼できる実験かと思うのですが、これを見て、過度に「ヒノキもだめなのか?!ではやはり木材はだめなのでは・・・」という短絡的な結論に至ってほしくはありません。
鵜呑みで偏るのではなく、これを機にさらに木材の保護の方法や使用環境を考えることを行ってほしいのです。

実際は必ずしも研究のように、適度な状態で腐朽菌が繁殖するわけではありませんし、そういった状態が永く、最初から続くわけではありません。
それに、防腐防蟻注入材を使用したとしても、その薬剤の効果が薄くなれば結果は同じ、いや薬剤注入処理が容易な材ということは、材自体に油分(前回の精油のお話の中の抽出成分などです。)などが少ないという事ですから、効果が薄くなれば如何に注入材といえどもあまり安心はできません。

だから今回の記事は木材は、腐らせる環境を作れば腐るものだ、ということを知る機会としていただき、私のように樹種の性質だけに期待しすぎず(汗)に様々な角度からの対策を講じてもらいたい、という参考にしてください。

 



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!