空を見上げて
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2013年12月

2013年の総決算は苦労話 二級建築士合格への道


先日ポロっとお話した、私が受けていた資格試験のお話をしようと思います。
というのは、私のここ数年の大半の時間を費やした大仕事であり、自身の記憶整理という意味と、苦労を忘れないように、そしてもし、木が好きで私の記事にたどり着き、これから受験しようと思っている方に、少しでも参考になればと思っているからです。

ですから、今日は木材の話はありません。
試験ネタ一辺倒ですので、読んでやろうという方は次へ進んでくださいませ。

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春日山にもナラ枯れ被害


私の一年間の予定では、この秋に資格試験に合格した後は仕事の時間をゆっくりと取り、このブログの記事内容も充実させて、さらなるステップアップを!ともくろんでいたのですが、予定は未定。
なんとか資格試験には角番合格を果たしたものの(これ、また整理してアップロードします。すごく苦労したので、これから受験の方に役立つかも・・・)、消費増税や木材利用ポイント、そのほかもろもろのおかげで、とても自分の時間を作ることが出来ず、毎日が言い訳とバタンキューの繰り返しになっていますので、今年は幾度か記事の間隔に穴をあけてしまいました。
時間は自分で作るもの、だから時間の使い方がまだまだ甘いのかもしれませんね。修行が足りません。

そんなこんなで、お伝えしたい内容の記事も予定変更で急遽先延ばしという事態が往々にして起こりまくりますので、お伝えするタイミングがずれてしまっていることをお詫びします。

少し前の新聞に載っていたのですが、国の特別天然記念物指定を受け、周辺の寺社とともに世界遺産登録も受けている奈良県の春日山原始林にナラ枯れの危機が迫っているそうです。

大社 2


こう聞いてもピンとこないかもしれませんね。
木はいつかは枯れるもの。もちろんそうですが、この「ナラ枯れ」というのは、松に対する松枯れと同じように、生きている木が虫の被害を受けて枯れていく、というものです。
ナラ枯れと言っても、ナラの木だけが被害を受けるものではありません。
被害は樫(かし)や椎(しい)の木にも及んでいるそうですから、ドングリがなるブナ科を含む広葉樹には比較的多くみられるものなのでしょう。
松枯れの場合はマツノマダラカミキリが媒介する線虫によって松が枯れていくというものですが、ナラ枯れは、住宅にとってのあの厄介者「キクイムシ」の仲間のカシノナガキクイムシが広葉樹の幹に穴をあけて病原性のカビを持ちこむことで、木の中の通水の役割を果たす細胞が詰まってしまい、枯死してしまう病気です。

ナラ枯れに侵されると、遠くから見ると季節外れの紅葉の様に鮮やかに葉が色づくのですが、これは文字通り紅(赤)信号なのです。
住宅の主に内装に被害を及ぼすキクイムシと同じように、被害木は幹の株に食害跡の粉がたまります。
そして秋を待たずに紅葉のような鮮やかな葉の色を呈していきます。


林野庁によると、平成22年まで増えていた被害は近年では落ち着きつつあるようですが、一方、春日山のような残していくべき山々にも被害が出始めているのは穏やかではありません。
被害を防ぐためにビニールを幹に巻くとか、薬剤でおびき寄せて一網打尽にするとか、色々と手は打たれている様ですが、数十匹という単位ではないので、それこそ、星を集めるようなもの、でしょうか。
んー、なんとか対策が実って欲しいものですが・・・

大社 1



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風にそよぐ粉っぽいコマーシャルはなくなる?! 無花粉ヒノキの発見


ちょっと前の事になりますが、気になる記事が写真付き(白黒)で新聞に出ていました。
その見出しは「無花粉ヒノキ あった!」です。

ビックリマークがついてます。
それ位の発見、という意味でしょう。
その無花粉ヒノキは神奈川県秦野市の山林で発見されたそうです。突然変異で正常な花粉が出来ない個体とみられているとの事で、無花粉のスギは1992年に富山県で見つかっているそうですが、ヒノキでは全国初だということです。

記事の中には予想通り、さっそく挿し木で苗を育てて花粉症対策に役立てる方針、とあります。
考えてみると、無花粉ということはそういった利用が目的になるんでしょうけれど、んー、なんかいいニュースのようななんなのか・・・
人間の方が過敏に反応しているのだから、木は一生懸命子孫を残しているだけ・・・そんな屁理屈を言いたくなりますね。
君は花粉症の辛さを知らないからだ!!と言われそうですが、安心(?!)してください。
私は物心ついた時から極度の鼻炎持ちで、ティッシュはいつも箱で持ち歩き、花粉症という言葉が一般的になるまでは、鼻垂れ小僧のような感じでしたから、花粉症の方の気持ちはわかるつもりです。
今でもその時期は私も大変です。

因みに、県自然環境保全センターが2011年から4074本のヒノキを調べていたそうで、昨年の4月に無花粉ヒノキ(推定樹齢40年、高さ10m)を発見したのだそうです。
花粉のもとになる細胞が不均一で正常な花粉が出来ないということ。
挿し木で増やし、4〜5年後の品種登録を目指し、山林所有者に販売する計画だそうです。

針葉樹の青い葉っぱを見ると花粉の飛散をイメージさせる、あのコマーシャルも無くなってしまうかもしれません。

ところで、無花粉ヒノキの材としての性質は如何に・・・
一通りの無花粉研究が終わったら、次は木材の性質としての研究に移ってもらいたいものです。
もしかして、突然変異でヒノキが持つはずの性質が欠落している!とかいうことになっていないかも、見てもらいたいものですね。植林する前に・・・



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年末年始の営業ご案内


なんやかんやと言っている間に「もう、いくつ寝ると〜」の歌詞が聞こえてくる時期になりました。
あぁ、昨年がつい1ケ月前のようです・・・
昨日耳にしたお話では、自分のスケジュール上数カ月ごとに楽しみにしていることを書いておくと、楽しいことは待ち遠しいので、日々が少し長く感じるらしいです。
そうか・・・僕、楽しいことなかったんやろか・・・
それはそれで問題ですね。

さて、本当に早いもので本年も年末年始の営業案内をする時期になりました。

本年は木材利用ポイントの申請の受付の加減もあり、通常営業の終了とともに窓口業務も本年分は終了となりますので、申請に来られる方はご注意頂きますようにお願いいたします。
本年度は12月28日〜1月6日までが休業となります。
その間は申請受付もお休みになりますので、くれぐれもご注意を。
(木材利用ポイント事務局では年始は5日まで休業となっていますが、弊社窓口は6日までですので、お間違いなく。)
ショールーム受付に関しては別途ご連絡いただければ対応いたします。

それでは、少し早いですが、よいお年を!!
記事はまだありますので、御付き合いを。



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木材利用ポイント申請の方へ御注意


何度か取り上げてきている大型事業「木材利用ポイント制度」ですが、ここにきて申請数が急上昇しています。
弊社発祥の地兵庫県では、少し先に申請数が伸び始めていたようですが、大阪もここにきてグン!と申請数が増え始めています。

業界紙による11月末時点の大阪と兵庫の申請状況は、大阪103件(28.164千ポイント)兵庫205件(56.032千ポイント)となっています。2倍程の申請差がある両県ですが、おそらくこれは有効活用できる森林を多く持つ県とそうではない県の差もあるだと思います。
府県の力の入れようも異なる点もあるでしょう。

少し前にはまだ府全体でも十数件と記憶していたのに、あっという間の申請数増加です。
これからがどんどんと増えていくであろう時期で、全国事務局もかなり忙しくなっているようです。

さて、弊社も地域の申請受付窓口の任務を承っておりますが、申請に来ていただく方にご注意頂きたいこととして、「事前連絡」をお願いします。
受付時間と担当の応対可能か否かの確認のご連絡を頂きたいのです。

お恥ずかしながらも少数の会社ですので、申請受付を受け付けできるスタッフに限りがあります。
代理申請で一度に数件の申請用紙をお持ちの場合や、申請受付以外の業務で長引く場合もあります。(特に即時交換のある場合は講座登録が必要ですので、必ず事前連絡を。頂かない場合は即対応できない場合もあります。)
その場合は、どうしてもお待ちいただくか、承り順になりますので申請受け付けまで受けられない場合も出てきます。
木材利用ポイントのホームページにもある様に、申請窓口にお越しの際は必ず事前のご連絡を頂きますようにお願いいたします。

申請

集中することが予測される受付をできる限りスピーディーに行う為にも、ご京録をよろしくお願いいたします。
それとともに、街の工務店さん!もうちょっとアピールしてください。
弊社が受付している案件のみかもしれませんが、ハウスメーカーさんが殆どです。木を扱ううえで、こんなチャンスありませんよ。
今一度、木材利用ポイント制度を活用して、お施主様も工務店様もニコニコできるおうちを計画してください。



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艶というよりもコッテリ? ミャンマーチーク幅広無垢フローリング 応接間編


前回の松柾縁甲板(フローリング)はどうでした?!
何も塗っていないのに、塗装されたかのようにピカピカでしたよね。表面の平滑性のレベルが高い証拠です。

ちょっと前のテレビで放送していた「和包丁」の回で、よく切れる包丁で切ったお刺身は「角が立っている」と言っていました。
切る時に素材をつぶすことが無く、切断面も平滑に切れているそうです。
人間の味覚はそういったところまで無意識に「美味しい」と感じているのでしょう。
余談ですが、その包丁をうみだしている大阪堺市の包丁鍛冶の職人さんが素晴らしいことをおっしゃっていました。(一部原文ではありませんが。)

「やればやるほど目が肥えてきて、10年前見えなかった上が見えてくるんですわ。生涯勉強ってことです。」

失礼かもしれませんが、その道58年で、まだまだ上が見えるとな。
秀逸な包丁を作るために最適な温度である800度を、炎の中に入れられた鋼をみて、誤差0.1度という信じられない精度でいい当てられたところを見ると、これぞ本当の職人さんだなぁ、と感銘を受けました。
そんな方がまだまだ上がある、というんだから私たちにはまだまだ以上に目指すべきところがあるということです。向上心ですね!

さて、その平滑に仕上げられた松柾縁甲板も、天然の樹脂成分によって艶があり美しいことは言うまでもありませんが、同じお宅の中の洋風の応接間の一室に使っていただいたこれも、艶とレアな事に関しては負けていないかもしれません。

ミャンマーチーク幅広フローリング 1

ミャンマー(ビルマ)チーク幅広無垢フローリングです。

チーク Teak

クマツヅラ科というところに属する、硬く、水に強くそして美しい材。
3拍子揃っていると言っても過言ではないと言えるのは、銘木として世界中で認められているから。
木材は普通、あまり水分との関係が良くありません。
いや、空気が供給される状態の木材は、といった方がいいかもしれませんが、木材の耐久性の記事にもある様に、どうしても腐朽による強度や耐久性の低下の心配が付きまといます。

しかしながら、一般的にこのチーク材は耐水性並びに対虫性(海中で木材に穴をあける虫)が高いため、耐久性の求められる水気の多いところに多様されてきました。
有名な用途が船の甲板。
船内からデッキに出ると広がる青い空と海。
そちらにばかり気が行きがちですが、足元を支えているのがチークです。
もちろん、高級材ですから採用されている船は限られますが、豪華客船に乗船の機会があれば甲板を観察してください。
茶色に少し金色のような輝きが混じっているとチークです。
と言っても、色は変わってしまっているでしょうね。

それ位に昔から信頼されてきた材であるのですが、ただ耐久性だけのことを言えば、今まで紹介したような堅木であるイペバツなどのウッドデッキに使われる木材でもいいような気がしませんか?!
たしか、それらの材も耐久性が高いとお伝えしていましたね。

では、どうしてチークが多様されるのか?!

それは一つに油気。
チークの材に触れたことのある方はわかると思いますが、チークという材はとっても油気の多い木で、木材なのに目隠しをされていると蝋を塗った何かを撫でている様な感覚になる位の手触りです。
もちろん、材により変化はありますが、やはり油気のある材は材面も美しく重厚です。
二つ目の理由は、その材面の美しさ。
先のデッキ材は、材色は鮮やかなれど、どちらかというと木目がはっきりとしていないものが多いのです。
それに比べチークは色合いのグラデーションから油気の部分の金色を思わせるような光沢は、世界から愛されてきた理由ここにあり、という感じです。
そういったことがあってでしょう。堅木では珍しく家具に使われる木材の一つです。

チーク製キャビネット

チーク製のキャビネット。
写真ではわかりづらいかもしれませんが、艶々としていますし、もう設置から10年ほど経った今の方が深みが出てきたような気がします。

チークの産地であるミャンマーを含む東南アジアでは、その耐久性から屋根板としても使われていたそうです。
えー?!多分、細かく切って小さいものを重ね合わせるような形にしてあるのだと想像するのですが、何とももったいないような・・・私ならそのまま他の用途に使いたくなるだろうと皮算用。
どうして小さくと思うかというと、この用途は屋久杉と同じだからです。

屋久杉は決して堅木ではありませんが、極度に成長が遅く、また自身に油気をため込むため、稀に肥松の様な油の塊になる部分がある位です。
これは屋久杉が千年の命を得るために自衛手段として得たものだと思いますが、屋久杉という名前だけを聞くとあの巨躯と流麗な木目ばかりを想像しがちですが、私は屋久杉の神髄はその油気にあると感じています。
屋久杉を製材した時の独特の香りは、この油のせいでしょう。
いくら似た木目の杉でも、あの香りまでは真似できません。
ハマってしまう、木材の魅力全開です!!

屋久杉杢天板 1

おっと、話がそれましたが屋久杉も重機などで搬出できない時代は、山で巨木を小さな木片に小割して、それを何枚も束ねて担ぎおろしていたそうです。
そうしておろされたものが屋根の板にも多く使われていたそうです。
何とも贅沢な屋根板です。
現在のベニヤ板の屋根からすると信じられませんね。
チークも屋久杉も、やはりその油と耐久性を知っていて、雨を防ぐ屋根板に使われていたんですね。

前置きが長くなりましたが、とにかく世界が認める秀逸材であるチークを使っていただいたのが応接間です。
先日の松柾の和風から一転、応接間は洋室になっているので、調度品ともマッチしていました。

ミャンマーチーク幅広フローリング 2

他の樹種もそうですが、チークにも材色のバラつきはあります。
色の濃いところと薄いところ、黒い筋のあるようなところなど、様々含まれます。
もちろんそこが無垢の本質ですが、現在のチーク材は産地によってはかなり色が浅く、先に挙げたような油分の少ないものもあります。
だから●○チークのような名前になっていても、先に挙げた特徴を持っているかどうかは不確かなものがあります。
それが無垢の木材を定番商品として紹介しづらいところではありますが、それはどちらの材が良いとか悪いとかいうことではなく、自分の必要な材はどんなものであるかを考えて決める必要があります。
そして決定の時にはやはり材木屋サンに相談することをお勧めします。

ミャンマーチーク幅広フローリング 3

このチークも年々稀少になってくる材です。
今回は120幅広のユニタイプでしたが、150幅の一枚物も含め少しづつの入荷はあるものの、多くの入荷を見込めるわけではありません。
ですので、なかなか常時紹介できる訳ではありませんが、しっかりと家づくりのスパンをとっておられるお客様にはご紹介できることと思いますので、チーク材もご相談お待ちしています。
稀少材は数十年後にどんな顔を見せているのか、楽しみになります。


木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

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その輝き神々しく・・・松柾無垢フローリング(縁甲板)


あんまり昔話をしたくありませんが、まだ若い(つもりの・・・)私でさえも時代によって使われる材料の変遷と、その原料となる木材の樹種の移ろいにはつい「昔は」という言葉を使いたくなってしまいます。

建築様式も意匠の移り変わりも、そのスピードは驚くほど早く感じます。

先日にお伝えしたばかりのパープルハートの記事の中のラワン類やアピトンフローリングなどもその代名詞だと感じます。
なんかそんな話ばかりで恐縮ですが、今回も懐かしい系の話題です。
私もしみじみとその材が使われていた往時を振り返り、一人感傷に浸りたくなっていたのですが、材がおうちの中で木材として2度目の生を受けたところがまた輝いていましたので、つい我が子をほめるかのような気持ちでお伝えしたくなってしまいますのであしからず・・・

今回懐かしむ材(?!)は、松柾無垢フローリングです。
いや、松の縁甲板(えんこういた)といった方がしっくりきますね。

松柾幅広フローリング 4


広い広い、ちょっとした部屋になりそうな位に広い玄関から奥の間に続く廊下の床板として施工された松柾の縁甲板。

縁甲板とは、建築用語辞典によると縁側等の床板として貼られる無垢の板材、フローリングと同義だが、洋風はフローリング和風は縁甲板と使い分けられる場合がある、というわかりやすい説明がありました。
私も普段無意識に使い分けていますが、確かにその通りです。

つまりは、今回も和風建築の正式な玄関からの床板に使っていただき、その仕上がりが材料の久しぶりとともに見事で、拝見できる日を楽しみにしていたのでした。
10年ほど前は、弊社近くの和風住宅を多く手掛けられていた大工さんがいらっしゃたので、この松柾縁甲板もそこそこと出荷していたものですが、それも当主が御若くなると、趣向が異なることと価値はあるのだけれども床に対して予算をかける事が出来ない、といったような理由で、稀少な松柾縁甲板は採用されなくなるとともに、肝心の松柾材の入荷も細っていったのです。

松柾幅広フローリング 5

見てください、この年輪の細かさ。
この年輪の一本分(白っぽい部分と赤っぽい部分の一対)で一年の成長ですから、元になった原木が成長するスピードがいかほどであったかは、想像する事が難しいような時間の流れだと思います。

成長するスピードが遅いということは、使うスピードが速いともちろん供給不足になります。
だんだんと原木の出荷が少なくなりますものね。
難しいところです。
西岡棟梁の社寺建築の様に、千年の木を使った建築には千年の命がある、といった精神で、使っていかなければ良質な木材というのは循環できませんから、この松柾縁甲板も、これからずっと、この玄関廊下を支えていってくれることだと思います。

因みに、ふと横を見るとまさしく縁甲板、縁側に施工された40年前(とおっしゃっていたと思う。)の松柾に会うことが出来ました。

松柾幅広フローリング 2

黒光り、そんな感じです。
良質な松縁甲板は油分を多く含んでいる部分があるため、その油が材面に滲出し、そこを歩いたり手入れの際に拭きあげたりすることで油分が伸び、深い艶をましていきます。
汚れっぱなしですわ・・・とは当主の御言葉。
いやいや、これぞ無垢材、本物のフローリングの姿です。

いつもいつも経年変化とか、住まう人とともに時を過ごすのが無垢材・無垢フローリングだと言っていますが、まさしくこれこそが数十年の時代を御家族とともにした証です。
もう表面は天然の浮造り(うづくり)になっていて、足裏にも心地よい風合いでした。

今回は漏水がもとで改修をされた玄関ですが、もちろんこの材もこれからどんどん深みを増すこと間違いなし。
現在の姿も美しいものですが、更に年月を経て初めて出る味わいを楽しむことが出来ると思います。

松柾幅広フローリング 3

しかしながら、この縁甲板を施工された大工さんもまたすごかった。
やはり、よい木材にはよい施工者が必要です。
いくら素材が良くても、施工が悪くては素材も活きてきません。

実はこの縁甲板、あらかじめ機械で仕上げ加工まで施されています。
製材したままの状態ではもちろんないのですが、一般的にはそのまま施工しても問題のない程度には仕上げられているのですが、今回の大工さんは違っていました。

納品してから日が経つにも関わらず、施工されていない。
何故かというと、作業場にて一枚一枚木を見て、更に仕上げられている表面を、再度手で仕上げをかけられたそうです。

曰く、どうしても機械通ってきよるとまっすぐにはならんでなぁ・・・最後やっぱりきちんとしたらんと・・・

流石です。どうりですごい艶があるわけだ・・・

松柾幅広フローリング 7

見てください。
室内ですよ。
しかも太陽光が強く指しているわけでもなく、むしろ少し曇りの日だったにも関わらず、一筋の道の様に縁甲板が光り輝いています。

松という樹種は縁起の良い木とされ、神様の依り代と考えられたり、常緑のシンボルは絶えず枯れないことなどを縁起担ぎにされる事がある木です。
この光り輝く一筋の道は、神様が降りてこられる道なのでは・・・・

いやぁ、住宅の玄関には何とも縁起の良いものです。

松柾幅広フローリング 1


なかなか近頃は見る事ができない松柾の縁甲板の美しい仕上がりを見る事ができ大満足です。
縁側の先輩も一緒に見る事ができてラッキーでした。
これから数十年、どんどん深みを増すであろう松縁甲板に期待です。

松柾幅広フローリング 6


因みにもう少し施工続きます。
次回は、縁甲板ではなく洋風のフローリングの部分。これも懐かしの?!材料です。


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たまにくる紫色の滑り台


昔っからたま〜に問い合わせがくることあります。
何かわかります?!これ。

パープルのレーキ 1

紫色のもの珍しい木材の板がくくられています。
これがほぼ完成品の形なのですが、板の表面に少し勾配(こうばい、角度)が付いているのがわかるでしょうか?!
これは、土木関係のお仕事で使われる「レーキ」と呼ばれる道具の先に取り付けて使用するもので、主に整地したりする時に使われるようです。

なので、勾配をつけて作業しやすくしています。
横から見るとこんな感じです。

パープルのレーキ 2

これに持ち手の棒をとりつけて完成になるわけですが、そういえば街中で夜中の作業や高速道路などでもみかける作業の方が使っている、あの道路を作る時にゴリゴリと地面をかいているトンボみたいなものがこれか?!と思うのです。

実は、この通称?!レーキと呼ばれるモノの先端部の相談は昔から忘れたころには必ずやってきていました。
昔はこんなに鮮烈な紫の木材ではなく、ほんと茶色い「木」という色目で名前も通った「ラワン材」(広義)にて使われていたはずで、実際弊社でもいくつか拵えていたもんですが、この斜め加工がうまくいくときといかないときがあり、レーキに限らず、近年は斜め加工は受け付けておりませんでした。

しかし、そこへタイムリーに現れた救世主である先輩材木屋さんが、何気なく普通にこれを作っていることを知り、今回のお客様の要望を伝えたところ、「できるよ。」のお返事を頂いて、安心して発注した次第。
求められる人ってのは、現れるものですねー。私もそういう人間にならなくっちゃ・・・

という経緯だったのですが、ここで昔はラワンだった、としていたのはここでも木材利用の問題点である、一時に利用しすぎて枯渇する、という理由から現在ではラワン材にての製作が減っているからです。
ラワン類を含む東南アジアの木材は、節が無く通直で大径木、という日本人が求める良質な木材の条件にぴったり当てはまるものが多く、大量に利用されてきました。
もともと、このレーキを製作依頼頂いた方も見本で持っていらしたのがいわゆるラワン類でした。
というよりも、ふた昔前までは洗面所の床や台所などへの利用も多かった「アピトン」材でした。
古い大工さんなどはその名を聞いただけでも懐かしくなるかもしれませんが、弊社でも、そのアピトンのフローリングというのは数十坪も在庫していたほどの定番商品でした。
それが需要にも供給にも陰りが出始め、今では殆ど見る事がありません。

少しだけ脱線すると、アピトンは別名クルインという東南アジアのメジャーグループであるフタバガキ科に属する樹種です。
アピトンは主にフィリピン産のもの、クルインはマレー語で Dipterocarpus 属の総称で用いられているようです。
見た目の似ているラワン類との違いは、樹脂道というものが存在すること。
そう、それがあるからこそ耐久性が高く、また耐摩耗性もあり重硬で、洗面所の床などには定番と言っていいほどでした。
しかし、その樹脂道の為、材面に樹脂が滲出することもしばしばで、クレーム扱いされだしたのが供給の陰りの見えだした頃でした。
シリカという成分を多く含む為、加工は優しいほうではありませんが、トラックの床板や車体などにも多く利用されてきた実績がありますから、もしかするとお持ちのトラックの荷台はアピトン製かもしれませんよ。

本題に戻り、その利用だけではないとは思いますが、資源量がへることの一因であったのは間違いないと思います。
そういった観点からも材を選ぶポイントにしていくのも材木屋の使命の一つですね。

さて、そのラワン材の代わりにこの用途で現在活用しているのがこのムラサキ君。
本当に鮮明なムラサキ色をしていて、まるで木材ではないみたいです。
普通木材と言うと、素直なかたは薄いベージュから茶色っぽい色合いを想像すると思うのですが、中にはこんな強烈な個性を持ったツワモノもいるんですねー。
その名はパープルハート。
紫色の心材、そのまま訳してもその通りというような名前を持った、想像通りの材です。
南方に多く自生するフタバガキ科の木材とともに有名で、植物学上ではそれ以上に多くの樹種を抱えるマメ科に属する木材で、この講では peltogyne 属の木材を指します。
というのは、もう御馴染だと思いますが木材は産地や港、国によって呼び名が変わるもの。それに南米には27種ほどあるそうですから、全部を特定するのも難しいものです。
それとともに、パープルハートと言っても全く別の木材を指す地域もありますし、またはこの種をヴァイオレットウッドというかと思えば、ローズウッドにもヴァイオレットウッドと呼ばれるものが存在しますから、ややこしいこと極まりなしです。

さて、その名が示す通り、このパープルハートはその独特な紫色の材色を利用されることも多々あります。
ご覧の通り、桧と比べるとその鮮やかさがどれくらいかお分かりでしょう。

パープルのレーキ 3


その色合いは木象嵌や化粧合板、その他アクセント材として利用されたりします。
だって、着色したような紫色ですもの。珍しがられるのも無理はない。
ただ、その鮮明な色も落ち着いてくる物で、経年の変化は否めません。色ばかりを目当てにしていると、数年後にはあれ?ということもあるかもしれません。

しかし、それ以外に利用されているのはウッドデッキ材です。
重さの目安となる比重は0.8〜1.0という、非常に重硬な材質は以外に乾燥が早く劣化が少ないという観点と、重硬材ならではの耐久性で屋外用途にも使用されています。
木肌は同じ重硬材でもイペの様には精ではありません。

パープルのレーキ 4


たまにはこういう風になることもあります。
そりゃ木材です。人間の削りに合わせて育つわけではありませんから、がっかりしないように・・・

で、何故そんなに重硬材を求めるのか、というと私もはっきりは分かりません。
もちろん、軽いと作業性が悪いことと、軽い材は総じて柔らかいですからすぐに使えなくなるのだろうというのは想像できますが、製作していただいた先輩曰く、桧などで作ると即燃えてなくなっちゃうそうです・・・
なるほど・・・
だからある程度の耐久性をもっている堅木でないといけないんですね。
勉強になります。

パープルのレーキ 6


出来上がった中には、如何にパープルハートといえども劣化した部分があるために加工されなかったものも一部含まれていました。
しかし、それが何とも芸術的。

パープルのレーキ 5


紫に燃え立つ炎の用でもあり、黒い雲を切り裂く稲妻の様でもあります。
自然の芸術ですね。
用途としては使えないけど、捨てません。
装飾に使えないか検討中!

久しぶりに御受けしたこのムラサキ色の斜め加工。
この滑り台でスルスルと作業がこなせたよ、と言っていただけると嬉しいんだけど。
今回は加工していただいた先輩に感謝です。
デッキや屋外用途としてのパープルハートの固定観念を見事に崩してくれました。
活躍することを祈って。



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若き日の想い出の場所 研鑽の場所となる


先日何気なく新聞を眺めていると、見出しより先に目に飛び込んできた一枚の写真。
あれ、ここは・・・

すぐにわかりました。
あぁー、この席ではこんな話したなぁ・・・、そういえば、こんな時間で最後には外が暗くなってたなぁ・・・
今でもすぐにその情景が目に浮かんできます。
私がよく通っていた時期からすると、もうすぐ約10年になります。
その場所とは、大阪の「ふれあい港館」です。

一時期、あまりよくないお話で有名になって以来、今となっては「ほとぼりが冷めた」というような状態に感じますが、情けない事情により閉館してから久しぶりに施設の中の写真を新聞で目にして、一昔前を懐かしく思いだしていました。

実はふれあい港館は、ワインの宝庫でした。
その名前からは想像できませんが、地下のワインショップで選んだワインを1階のレストランに持ち込んで食事とともに楽しむことができるという、今風に言うとイートイン(ドリンクイン?!)のようなシステムになっていました。

1ヶ月に1〜2回、よく通いました。

子供もまだ小さかったですが、レストランのスタッフも親切にしてくださり、美味しい食事とワインを堪能した記憶が鮮明に蘇ります。
自分が今選んだワインと、とても美味しい料理とともに頂く幸せは、通常のレストランとは一味違いました。
そしてレストランの最大のポイントはその内装。

ふれあい港館

全てフランスの建築家の手によるもので、確か現地のレストランの内装をそっくりそのまま模式したもので、材料も同じものを使っていると聞いた覚えがあります。
因みにお手洗の配置までそのまま倣っていたので、地下に豪華なお手洗があったことも記憶に新しいです。

建築に携わっている私は、初めて訪れて以来その調度品と内装の仕上げ、雰囲気に魅了され、ワインと食事以外の憩いの場のような印象で訪れていました。

しかし、その豪奢な内装を維持できなくなるかもしれない閉館時は、その動向が物凄く気になっていましたが、この度そのレストランスペースが声優・漫画家の専門学校になることが決定したそうです。
建築時は78億円かかったそうですから、その建築も楽しんでもらいたいものですが、いやぁ、建物が残って良かったというよりも、あの内装が残りそして私の記憶も残った、という感じで感慨ひとしおです。

こんな感じでいいか、これくらいの材料でないと予算があるから・・・というのではない、とことんこだわった仕上がりを見せられる飲食店は少ないと思います。
次は飲食店ではありませんが、そこに来るであろううちの何人かが、その凝った内装や建築に感心し、漫画や声優道にもこだわりを持ってもらえるといいなぁ、と思います。

あぁ、思い出しているとワインが飲みたくなってきます。
明日あたり、久し振りに想いを馳せてみましょうか・・・




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