琉球黒檀 〜日本産の唐木〜
いつもいつも前置きが長くなってしまうのは癖のもの。
話始めると、細かいところまで喋りたくて仕方ありません。ご勘弁を。
さて、前回の黒檀材の整理に引き続き本題に入って和製黒檀である「琉球黒檀」のお話。
私、個人的にもこの響き好きです。
すごく格式高く感じるのは私だけでしょうか?!
王朝の黒檀というイメージと、私の勝手な沖縄のイメージがリンクしてまた勝手な黒檀のイメージが膨らむわけです。
しかしそれにも理由があって、先に紹介した通常の黒檀類はある程度は現在でも入手し利用されることがありますが、この琉球黒檀ないし八重山黒檀と称される物に関しては、伐採されていないと聞きますしあるところにはあるけれども、夢の様なお値段で、とても手が出ません。
特に、利用価値の高いものとして三線の棹材としての用途がありますが、その道に精通していて価値が理解できてその音色を奏でることのできるような方ですと、購入の動機になるでしょうけれども、私の様にほぼ「コレクション」の様な人間には手が出ないわけです。
まぁ、香木の伽羅(きゃら)や沈香(じんこう)程ではないかもしれませんが、その貴重さは変わらないでしょう。
といいつつも、沖縄にいくと結構生えてます。
正直びっくり。
え?!こんなに生えてんの?!もっと厳重に管理されてるものと思ってたのにー、と変な期待を裏切るかのように「琉球黒檀 カキノキ科」という看板がぶら下がっています。
もしかすると、沖縄の人にとっては、こんなコラムをつくること自体「へんなやっちゃなぁ」とおもわれているのでしょうか?!
そう思いたくなるくらいに、簡単に立木を発見できました。
葉は厚く少し光沢があり小ぶりですが、しっかりとしています。
幹はというと、その材の色を想像させるように黒っぽいもので、割裂した肌にも風合いを感じますね。
今すぐぶった切って材として確認したい悪魔の誘惑と、しっかり育てよと望む天使の心が、カメラを構える私の胸で競り合っています。
まぁ、もちろんぶった切ることはありませんが、それ位材として入手したかったことは間違いではありません。
材料としての琉球黒檀は、さきほどの様に三線の棹用材をはじめとする楽器類や家具、象嵌や細工物に使われるということで、おそらくずっと昔から大切にされてきたことでしょう。
重硬なことで共通する材、イスノキとともに三線の材料としては有名な様ですね。
因みに、この琉球黒檀(八重山黒檀)とイスノキ、そしてウバメガシにオノオレカンバを加えた4種が日本産材に置いて、最重量の木と言われています。
実物を持ってみるとわかりますが、さすがにどれもかなり重たい。
リグナムバイタといい勝負かと思ってしまうくらいのものもありますし、オノオレカンバにいたっては、明るい材色でなんでそんなに重たくなるの?と聞きたくなります。
私の琉球黒檀
因みに琉球黒檀、データ的には比重0.74〜1.21(!?)と少しバラつきがあり、重硬さのわりにはすこしもろいところがあるそうです。
学名をDiopyros ferra
八重山の方言ではクルキ、沖縄ではクルチというそうです。
んー、なんか南国の雰囲気です。
クロガキもそうですが、カキノキ科は不思議な模様を呈するものです。
まるで墨を流した水墨画の様に。
これだけ綺麗な材で、しかも有用性も高いとなると貴重なのは当たり前ですね。
しかも黒檀の仲間、成長が極端に遅いはず。
成木になってから、黒檀材として使えるようになるにはそれなりの永い年月が必要になってくる事を考えれば、今大切にしていくのは当然のことですね。
稀少材を手にするといつも感じますが、私の次、また次の世代もこれらの材を手に取り感じ、感動できるように材を残していきたいものです。
黒き材に、明るい未来を信じて!!