空を見上げて
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2011年01月

西岡棟梁のお話


いきなりですが担当戸田昌志、読書が大好きです。

どれくらい好きかというと、以前調子を崩し入院していた時のことですが、忙しい毎日で読書の時間がとれずにいた為に、この機会逃すまじ!!とばかりに家内に頼んで、書架の肥やしになっている未読の本たちを病床まで連れてきてもらったのですが、「ルパン三世 カリオストロの城」の負傷後のルパンが食べ物をむさぼる様に(わからない方はぜひ見てくださいね。私の一番好きなルパンです。)、片っぱしから本たちを貪り読んでいたわけで、その量が半端なく、雑誌サイズもあったからなのですが、その本の入れ替えにいつもなにやら重たそうな紙袋を下げてくる家内が不審に見られていたくらいの、大量の本を読みました。

それくらい好きです。(伝わりにくいか…笑)
昔、本を購入した時のブックカバーにありました。

「本は知識と教養の泉」

出会った人たちからもそうですが、本からもたくさんの事を学んできました。
しかし、その後退院してからはまた読めない日々が続いていますが、先の出張の折、いつもは車での移動なのですが遠方だったため電車を使っていたこともあり、久しぶりにゆっくりと本と向き合うことができ、一人で「ウン、ウン。その通りです!」と変に頷いたりしながら読書していたわけです。

そしてその時に読んでいたのは、大工棟梁としてあまりにも有名な、故西岡常一氏よりの聞き書きの本でした。
ずっと前から読みたくてしょうがなかった本です。

読んだ感想は、受け取る方の考え方次第ですので、私から申し上げることは差し控えますが、一つだけ、どうしても記事にしておきたいものがありましたので、したためる事にしました。
それは、

「住む人の心を離れ住居なし」


一読瞭然ですね。
個々の考え方や思想、社会通念などはそれぞれあると思います。
その時代の事情があると仮定して、建築や工法、材料もそうでしょう。
しかし、この言葉はいつの時代も変わらないものであり、個々の考え方以前の物の様に思います。

住む人の事を考えず儲けに走る人、住む人の事を考えずに見た目の奇抜さを優先するデザインで遊ばしてもらおうとする人、材料の適材適所を考えずに使う人。
この人たちはもう、住む人の心を離れているわけです。
自分たちの為にしてるわけです。
それぞれ仕事ですから異論はあるでしょうが、そういう問題ではなく、やはり住む人の心を組み入れて建てる家でないと、それはもう「住居」ではないのかもしれません。


基本的に、西岡棟梁の様な宮大工(昔は寺社番匠と呼ばれていたそうです。)の方は、民家などの住宅建築は手がけません。
けがれる(失礼ながら、聞き書きの通りに…)といわれて、民家などを建てることはないそうです。
西岡棟梁の自宅も、よその人にしてもろた、と書いてありました。
ですので、この言葉は住居を手掛けることはないのでしょうが、そういった気持で仕事せい!という意味の訓なのでしょう。
私の経験では深い意味までは想像に及びませんが、一般建築とは遠い存在の西岡棟梁ですが、本の最初から最後まで、終始頷き倒しの出張の移動であり、こんな時代だからこそ、記事にしておきたいと思う、心動いた言葉の一つでした。




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松の油に感激


先日、お客様のご要望材を倉庫から放り出している時に、5年ほど前に製材したまま乾燥させていた、国産赤松が出てきました。
出てきたといっても、丸太や大きな板材ではありません。
板をとる製材をしていた時に、とてもよい原木があったのです。
その原木の中で、残しておきたい部分のみを切り取ったものなので、小さい板ですが、これが普通の板ではないんですねぇ。


こんな感じです。


国産赤松 油木 1















うひょ〜!!
削る前はここまでとは思っていなかったのですが、存在を忘れていたことも手伝って、この「油木(あぶらぎ)」の出現には心躍りました。
掃除してて、ベッドの下から10,000円出てきたみたいな(ちっちゃい額やなぁ・・・)、そんな喜びに似たものがありました。

みなさん、松は「松ヤニ」というくらいですから、油っけたっぷりだとおもわれているでしょうが、外観でここまで油が出ている物はなかなかなく、普通の赤松としてではなく、銘木の「肥松(こえまつ)」としてや、油の塊になったものは「神(じん)」などと呼ばれ、大変稀少なものなのです。
ここまで来ると、木質部の空隙が樹脂でふさがれ少なくなるため、飛躍的に重たくなり、水に沈むようになります。


この様な肥松材の油の部分を太陽に透かして見ると、とても綺麗に透けて見えます。


国産赤松 油木 2



 この部分を光の方へかざすと・・・










国産赤松 油木 3



 ほらね。端っこが光を透過しているのが見えますよね。









国産赤松 油木 4


 光らせているのではなく、太陽光を透過しているんです。

 これが肥松の醍醐味です。








肥松を薄く削り込んで製作した器などは、その向こうの景色が映るんではないかというくらいに、赤く光をとりこんでとても美しいものです。



普通はヤニが出てるというとこんなイメージです。(写真は米松=ダグラスファー=アメリカトガサワラ。)
可愛いもんです。


ヤニ















因みに、国産赤松で油の薄い部分(柾板ですが・・・)はこれ。


国産赤松 柾















至って普通の柾板で、ちょっと赤いか?くらいです。
外国産で、油の多いラオス松というものが、一時期床板材として大量に販売されていた時期がありました。
今はそれもなかなか入手しにくい貴重材になっていますが、そのラオス松でこんなのです。


ラオス松柾



 これでもコテコテとした触感があります。










ここまで来たので、ついでに?!倉庫に眠っていた他の肥松ちゃん達も削ってみることにしました。


ロシア赤松 油木 2



  ロシア産赤松の油木です。










ロシア赤松 油木 1




 横を見るとこれくらい滲んでいます。
 ずっしりと重量を感じます。









ロシア赤松油木


 これも削ろうかとおもったのですが・・・・コテコテすぎます。

 同じロシアの赤松ですが、木質部がないくらいに油の塊になっています。

 銘木でいうなら「神(じん)」ですね。




なんやかんやと油木を触っていると思いだしたのが、屋久杉の油木とラオス桧(正確には桧ではありませんが、通称名)。


屋久杉油木














屋久杉も、樹脂を多く蓄える木の一つです。
香りをかいでも、屋久杉独特の杉の樹脂の香りがします。
室内の高級部材には油の少ない、杢の良い部分が賞用されますが、私はこの油木が何ともいえず好きです。
生命を感じるというか・・・・
香りにもとても癒されます。


ラオス桧















こちらはラオス桧。
中央は塗装してありますから色が濃くなっていますが、これも油の多い木です。
そのため、高級スーパー銭湯?!や旅館の桧風呂などによく使われています。
ラオス桧は、その油もさることながら、屋久杉の様に美しい杢と、樹齢の高さから来る細かい年輪、また大径木が供給できたことから、台桧(たいひ)が少なくなってからは社寺建築にも用いられていましたが、ラオス松同様、近年の入荷はかなり少なくなっています。
どちらもとても有用で優秀な木材だと思います。

松の油は昔からロジンとしてや、松明(たいまつ)のあかり、貴重な燃料として私たちの生活を支えてくれていたものです。
古い木造建築の床などは油を含んだ松の板を磨き込んでいくので、艶が出て新品の時よりも味わいのある輝きになっていくものです。


国産黒松(雄松)無垢一枚物フローリング無節 光る表面国産黒松(雄松)無垢一枚物フローリング無節 拡大

 国産黒松無垢フローリング





そんな国産松も国産黒松無垢フローリングのところでお伝えしたように、松くい虫の影響でだんだんとその数が減少してきているようです。
海外からも松の良材の入荷は減る一方です。
それに、似てはいますが、やはり香りや木目が違いますし、油があろうが無かろうが自国のあの美しい松を守りたい気持ちもでてきますね。


この貴重な油木、どうしようかな。
削って加工して、コースターにでもしてみようかな・・・・






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発見!!神代イス(ユス)


念ずれば通ず

以前に紅木紫檀を入手したときに実感した言葉ですが、やはり何でも心に決め思うことが大切だと、また改めて感じました。
それはこの出会いです。


神代イス(ユス)原木2














この原木、みたところ神代木だということはすぐにわかったのですが、杉などの針葉樹ではない・・・・広葉樹です。
でも、いままで見てきたような神代樟神代欅などとはどう見ても違います。


神代イス(ユス)原木1














なんだろうと土場の方に聞いてみたところなんと、「神代イス(ユス)」だというではありませんか!!
正確には土埋木(どまいぼく)で川から出たんです、ということでしたから、いつくらいのものかはわかりませんが、神代などの埋もれ木に見られる灰緑褐色の変色具合がありそうなので、材になったときが楽しみですが、それにしても、手頃なイスノキ(ユスノキ)を探していたところに、なんと言うタイミングで現れるんでしょう!!
ほんと、念ずれば通ずです。
でっかいものに通じましたね。

イスノキ(ユスノキ)については、近日入荷する予定ですので、そのときに詳しくお話したいと思いますがさてさて、この神代イス(神代ユス)の丸太。実はこれから競りなんですねぇ・・・
がんばって入手に勤めたいところですが、おそらくいい値段がつくだろうし、神代ですから材にした時のロスを考えるとあんまり高いと手が出ないし。強敵が現れないことを祈っています。
通常のイスの木以外に、もし入手できればまた、神代イス(神代ユス)についてのお知らせをしたいと思います。

皆さんも願い事、念じ続けてくださいよぉ!!




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白樫・赤樫・一位樫


建築に使われる広葉樹木材で、今も昔も変わらぬ人気を保っているのが通称「森の王様=オーク(ナラ)」です。
、その大きく美しい木目から住宅の内部枠材や入り口などのドア、また、フローリングは当然中心となる用途ですが、ヨーロッパでは家具用材としてテーブルや椅子の材料として賞用されてきました。

ただ、以前の「オークって樫の木?!」や、先日の外国籍のお客様との会話の上でのお話にある様に、オークを語る上で説明しないといけない樹種があります。
以前の記事をご覧になっていただくとわかりますが、それは「樫(かし)」です。

ここでもう一度樫と楢(ナラ)の違いをみてみましょうか。

まず、どちらもブナ科のドングリのなる樹種です。材の外観にも似たところがあり、どちらも「斑(ふ)」といわれる組織を持っています。
ただ、木の外観から葉、そしてドングリも異なりますし、材質や材観も異なります。

ややこしい表現の「オーク」というのは、もともと北米や欧州で落葉性のコナラ属(約400種!!)の総称として使われていたものだそうで、その言葉が日本に入ってきたときに、最初に「オーク=樫(かし)」と訳してしまったんでしょうね。
外国産オークには、ホワイトオークとレッドオーク(これらも多種な材の総称)という分類がありますから、日本の白樫・赤樫と対比されて余計に混同したのではないかと思います。


ホワイトオーク



 ホワイトオークの挽き材










楢(なら)の落葉性に対して樫(かし)は基本的に常緑ですから、その点で既に異なっています。

世界にはブナ科だけで7属850種あるそうです。
そこまで細かくはできないので、せめて材質の違いが明らかな、樫と楢の違いだけはしておいた方がいいかもしれません。(他の樹種はいまのところ混同されていない様に思います。)


さて前置きが長くなりましたが、今回はその有名なオーク=楢の話・・・・ではなく、もう一方の樫の話です。
ブナ科の仲間、楢やぶな、栗やくぬぎと同じようにドングリのなる木なのですが、その材質には大きな違いがあります。
それは、それらより明らかに重硬であり堅牢であるということです。
比重と呼ばれる基準重さの数値は材によって違いもありますが、0.74から1.02といわれていますから、1.0を超えるものは水に沈むので、それほど重硬だということです。

そのため、古来よりもっぱら強度や硬さを要求される用途に用いられてきました。
だんじりなどの車軸材としてや、木槌材、また昔は所持に届け出の必要があったらしい木刀などです。
また、船の櫓羽根や舵として柾板がかなりの量を供給されていたそうですが、近年は他の木材製品と同じように、その用途に使われているのを見かける機会も少なくなってきました。
他には三味線の棹材としてや、拍子木としても有名でやはりそれも比重の高い材質によるものでしょう。
どれも今ではそんなに需要のない物の様に思われますが、性質上樫でないといけないとして、その用途に供されてきた物ですから、これからも大切に使い続けてほしい樹種であります。

そんな樫材の中でももう少し分類があり、白樫・赤樫・一位樫(いちいがし)などが用材として有名なところでしょうか。
ワインなどの栓をするコルクを作る「コルク樫」や、最高の炭材とされる「備長炭」で、時に日本産材中で最も重い木とされていることで有名な「ウバメガシ」は特殊な用途でしょう。
(木材の重さについては諸説あり・・・また次の機会に。)


白樫は赤身(芯材)と白太(辺材)の区別が不明瞭で、全体的に灰褐色のような色合いですが、ところどころに虫害による「偽芯材」と呼ばれる黒っぽい縞が出ることがあるのが特徴です。


白樫牡丹材

 黒筋の入った白樫。
 木口から見てみると、どこか黒柿の様な雰囲気です。










これらを縞模様ととらえ、牡丹材と称する場合もあるそうですが、白から灰色がかった薄い色合いに不均等な縞の為、一般的には敬遠されますしその部分は比重は健全材と変わらないのに、耐衝撃性は劣り力がかかった場合にポッキリと折れてしまうことがあるそうですので、用途によっては注意が必要です。
それ以外の場所は重硬で堅牢な割には弾力性があるため、専ら道具の柄やカンナ台として重用されています。

一方赤樫も、道具の柄やカンナ台として使われていますが、それらの用途としては白樫よりもよいとされているようです。


赤樫




 赤樫材。名前のイメージほどは赤くありません。








近年ではその材がなかなか入手しづらく、道具の柄にしても赤っぽく塗装して赤樫としているものもあるので注意が必要です。といっても、白樫と赤樫のその違いまでわかる職人さんは、塗装品は購入しないでしょうけども。
また、先にあげた木槌としての用途では柄は白樫で頭を赤樫とするのが最良だそうです。
その理由は赤樫の方が割れにくいからだそうです。
すごいですね、昔の人はそんなことまで考えて木を使っていたんです。


また、代表的なこの赤白の樫以外に一位樫(いちいがし)があります。
中には、その材色が赤いからか、赤樫と混同されている場合もあるようですが、必ずしも赤樫が赤いというわけでもないのが木なので、材色だけで判断はできないのと、針葉樹の「一位(いちい・別名アララギ・オンコ他)」と混同されそうですが、それとはまた違い、樫の中でも材が最も均密であることから「一番=いちい」の名がついたとか、樫類で一番長寿で巨木になるからだとかいわれていますが、定かではないそうです。


一位樫 2





 一位樫の斑。









一位樫 1





 柾目面ではこんな感じの樫目です。









ただ、樫類は乾燥が難しいことから、注意が必要なのですが綺麗に仕上がった材面は、楢(なら・オーク)の虎斑やぶなの燃えるような斑とも違う「樫目」を見せてくれます。


白樫柾 樫目


 白樫正柾の樫目













白樫 樫目




 ゴマの様な斑が並びます。











楢(なら)正柾虎斑



 因みに楢の正柾虎斑はこんな感じ。

 ね、まったくちがうでしょ?!







白樫 1




 正柾以外はこんな表情です。









いつも特殊な用途に使われてきた樫ですが、その音の良さを利用した町の防災用の拍子木や、重さを利用し小さな文鎮としたりすることもできますし、木工用の木のダボ(二つの木材をつなぎ合わせるのに使う部材)としては重要な役割を果たします。
特殊材ですので、どんな寸法でもというわけにはいきませんが、樫をお探しの時、一度お声かけ頂ければと思います。
小さな材はいくつか在庫もございます。

永年、オーク(なら)の陰に隠れていた良材「樫」に、もう少しスポットを当ててみたいと思っています。


樫材
















お問い合わせはこちらから


・ご注意:

文中にある様に、偽芯材が入る場合がありますので、必ずしも参考書籍類の様な真っ白で斑の通ったものばかりではありません事をご理解ください。


白樫



























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見事な幹回り ~弥栄の樟~


車で移動していると、どうしても興味のあるものも見落とすことがあります。
ほぼ毎日通っていてもです。

昨年、用事があり珍しく電車に乗って出かけた時の事です。
いつもならば、車中では読書ときまっているんですが、たまたまその時は本から目を離し、外の景色を眺めていました。
じっと眺めていると、いつもの景色の中にいろんなものをみつけることができます。
本に目を戻そうかとした時です。
ちらっと大きな緑が見えたのです。
「んん?!」
とのぞいたのですが、その緑はマンションの陰に隠れてしまっていました。

気になって次の日の配送の帰りに、その場所に向かってみるとなんとも立派な巨樹がそびえていたのです。


弥栄の樟 8





 道路からの全景です。

周辺が住宅に囲まれているために、はっきりとその体躯をとらえることが難しいです。















道路から少し離れているとはいえ、こんな立派な木を見逃していたなんて。


弥栄の樟 4






 「弥栄の樟」というのだそうです。
立派な石碑です。
















車では近くに行けませんから、徒歩でその懐に飛び込むことにします。


弥栄の樟 1





  見てみると「大阪緑の百選」とあります。
そういえば、何かの本で見たような・・・
















弥栄の樟 2




 近くで見てみるとやはり大きい。

 木の周辺が広場になっているんですが、その隅からでも木の先の方まではカメラにとらえきれません。














落雷か、自分の枝の重さが支えきれなかったのか、枝の部分や幹の途中に発泡材が塗られています。
ただでさえ、その大きさに畏敬の念を抱かずにはいられませんが、その発泡材がなんとも今にも流れてきそうで、異様な雰囲気です。


弥栄の樟 3


 











これだけの巨躯ですから、どこかに「いわれ」があるはずだと探したところ、ありました。
なになに・・・・


弥栄の樟 5


 テッカテカでめちゃくちゃ読みづらい。

 詳しくは現地でご覧になった方が・・・です。








じっくり見ると・・・


弥栄の樟 6





 植樹の文字が・・・









よく見てみると、「聖武天皇の天平年間729〜748年に植樹という伝承がある」と記されています。
ということは樹齢1260年くらいでしょうか・・・
おぉ、立派ですね。
しかも、植樹されたものがここまで巨樹に成長したのは、この案内板にもありますが、人々が大切にしてきたからでしょう。


緑の葉を付けて生命力を見せてくれていますが、一つ気になるのが樟の広場の廻りをブロックで囲ってあるのです。
これだけの巨樹ですから根も相当なものではないか思うのですが、住宅建築の為なのかどうかは定かではないですが、根は横に伸びることができない様に見えます。
下に伸びた方が、水や養分の補給には良いのでしょうが、コンクリートとアスファルト舗装に独り取り残された巨人のようで、こんな状態で大丈夫だろうかという一編の邪推が残りました。


それにしても、立派な樟です。弊社にお越しの際は少し足を延ばしてお立ち寄りになってはいかがでしょうか?!
どんな時でも大樹を眺める余裕を持ち続けたいと思います。



弥栄の樟 7















・「弥栄の樟」所在地

摂津市千里丘東5丁目4−20近辺

摂津市千里丘東5丁目5の住居表示のある電柱の狭い路地をはいると見つかります。
JR千里丘駅と、岸辺駅の中間地点くらいの線路東側の府道142号線路地(車不可)に入れます。



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桧が社寺仏閣に用いられる理由


皆さんは古寺名刹を探訪した際、その建築物に使われている木がどんな木か、見ることはありますか?!
私は、建築物とともに、そこに使われている木材を見ることがいつも楽しみにしていることです。
大門の柱や門扉の一枚板、またその製作手法、本殿の大きな梁やそれを支える柱など。

そういえば、以前京都大学にお邪魔した時に、法隆寺だったか?の解体修理によって取り出され、年代等の観測に使用された後の木片を見た事があるのですが、見るからに素性がよくまた、年輪が細かく綺麗で見とれていたのを同行していた友人の材木屋さんに「戸田クン、ヨダレでてるでぇ。」って言われたっけなぁ。
それくらい見てしまうということです。

さて、何の話かというと、木材の使用期限!!?と、使用材料の理由を古寺名刹を例に挙げてみようというわけです。
では、さっそくですが、お寺や神社などは一般的にはどんな樹種が使われていると思いますか?!
ひねくれて、青森ひばで作っているところもあるぞ!最近は総米ヒバ(べいひば)つくりも多いし、その方が美しいぞ!といったような答えはご勘弁を。
素直に考えて、「日本の桧」ですね。
ま、例外・・・というか、材の不足から台桧(たいひ、たいわんひのき。)や米桧(べいひ)などが使われていた時もありますが、それらは一応例外としてください。

では何故桧なのか?!

当然、白木で美しく、耐久性も高く優れた材であることからなのは言うまでもないですね。
でも、それだけではないんですね。


その理由とは、先ず一つに「昔は加工できる大径木が限られていたから」です。
有名社寺の建造された時代は今のように、製材機械や電気のこぎり等のない時代です。
初めはどうしていたか。
丸太材料をそのまま使うか、はつり取って(削って)形を整えて使っていたわけです。
そんな時に、桧以外でよく見かける社寺建築用材である広葉樹の欅材などは、硬くてきれいに割りにくいので使いにくいわけですね。
当然、重量も相当重いですから、運搬も大変だったからでしょう。
加工がしやすく大径の美しい材がとれる桧が好まれたのでしょうね。

そして二つ目。
使用期限というと語弊がありますが、木にも強度の上下があるんです。
桧は伐採後、200年間は強度を維持しつつ強くなっていく(厳密にはおそらく材がしまっていくということでしょう。)からです。
こんなことを書くと、「えぇ?伐採してから強度が上がる?200年も?!」と訝しがる声がきこえてきそうです。
実際、近年では「強くなる=強度が上がるということではないのでは?!」と研究がされていますので、科学的な証明根拠ではないですが、先人たちの知恵です、全てが嘘であるとも言いがたいのです。
じゃぁ、その200年を過ぎるとどうなるのか?!
徐々に、緩やかに下降していき、伐採後の新材とほぼ同レベルに落ち着くそうです。
先の「強くなる」というのも、飛躍的に強度が増すのではないですが、今度の下降線も伐採後1000年経過して、新材と同じレベルになるということなのです。
当然、乾燥による材のしまりや、粘りの違い、やはり生き物ですから細胞組織の安定などの要素もあるのでしょう。
そのことから、1000年以上現存する木造建築は桧でないと難しい、ともいわれているようです。

一方、先にも例示した欅の場合は、大木は調達しやすいのですが、やはり桧のような傾向はみられないようです。
欅の場合は、使い始めて徐々に強度が下がり、600年後には新材の約6割ほどに下がるそうなのです。
これらの差は桧と欅だからというか、樹種ごとや針葉樹と広葉樹との違いなどもあると思われるので、一概にはいえませんが、こういった傾向にあるようです。

また、丸太以外の欅が使われるようになったのは、木挽きさん(こびきさん)が現れてからですから、それ以前の建築に加工した形で使われていることは稀なようです。


それに、理由とまではいかないかもしれませんが、桧は昔から「真木(まき)」と呼ばれます。
それに対して他の木、特に広葉樹は「雑木(ぞうき)」と称します。
雑木林の雑木ですね。
その呼び名が示す通り、日本人が優良木といえば桧であり、神聖な建築にはもちろん「真木」を使っていたのです。
といっても、雑木=広葉樹は優れたものばかりですけど、やはり大昔は扱いづらかったんでしょうね。


また、蛇足ですが桧での社寺建築の優良材は「木曽桧」です。
当然、そおでない場合もありますし、それ以外の桧も優良なことに変わりはありませんが、昔の木曽桧のように何百年、千年という樹齢の条件を満たすことができないことでもやはり木曽桧は別物なんですね。

では、住宅はというと、木曽桧ではないんですね。
そりゃ一般的に木曽桧は高価ですから価格の問題もありますが、基本的には木曽桧は材質が柔らかであり、単純な建築強度としては他の桧と比較するとそんなに高くないからであるとという理由をきたことがあります。
また、木曽桧は大径の化粧材(その材の美しさを見せる材)としての用途が主であるからでしょうね。
わざわざ社寺のような高樹齢の木曽桧の大径木を「木をみせて」使うような邸宅もないでしょうしね。

彫刻で、木曽桧が使われるのはこういった材質の理由もあるからで、同じ樹種でも適材適所というわけですね。


こうやって考えると、どうして先人たちはこれらの事を知りえたのか、または、きちんと理解して使っていたのか(おそらく根拠があったんでしょう・・・)、いつも感心しきりです。
現在の建築や造作は、木の性質まで考えて造られていないことがあります。
今形があればいい、安くできることが最良、というようなこともあるでしょう。
やはりそれではいけませんね。
木の正しい用途を考えただけでも、こんなに理由があるんです。
今後もきちんと正しく木を利用していく上で、その性質にももっと着目する必要があるのだと、私は思います。

皆さんは、きちんと用途に合った木、使ってくださいね!!





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出張します。


明日は近畿の平野部でも雪が心配されるほど冷え込むという予報になっていますが、さてどうなることやら。
冬らしいといえばらしいのですが、やはり交通機関が乱れると(特に道路)業務に支障がでますので、できればチラホラするくらいであればいいのになぁ。
子どもの頃はあんなに嬉しかった雪も、大人になると変な心配の種にしかならず、それはそれで淋しいですね。

さて、そんな寒い中ながら来週の20日から22日まで担当は出張いたしますので、不在中のお問い合わせご連絡は戻り次第順次回答させていただきます。
また、ご来店予定のお客様は不在につき、申し訳ありませんが、以降のご予約を頂きますようにお願いいたします。

ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。




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初のご来店、外国籍のお客様に学ぶこと


「1月14日には●○●○(国名)に帰国予定なのでそれまでに伺いたいです。」
そうおっしゃって、2011年の年始早々にお電話を頂いたお客様が昨日ご来店されました。

どういう意味だろう?外国に移住されている方が、国産樹種を探していらっしゃるのだろうか?!と邪推しながらお待ちしていましたところ、いらっしゃいました。
お電話いただいた女性と、外国籍の男性。
お話を聞くと、男性が箱を作りたいということなのですが、折角今日本にいるので日本の木を使いたい、というご希望でした。
また、ご購入いただき、(外国へ)帰国後に製作をされるということでした。


ご希望を伺った材料はある程度ご用意していたのですが、いつもながらに「帯に短し、たすきに長し」。
なかなか選定は難航。
というよりも、寸法だけではなく、きちんと材を見て説明を聞いていただき、その後またご希望を出してくださり、次々と取り出す材に私が喋り過ぎ、余計に選定しにくかったのでは・・・・と思ったり。
お客様にお願いです。くれぐれも、木の話については変人ぶりをご理解の上ご来店くださいね。でないと、うっとうしいトークが続くこと(?!)になります(笑)。

その迷われているところで困ったのがやはり言語。
いや、英語会話力ということではありません。特に今回は女性が通訳してくださいましたから・・・
いやいや、そうではなく、「木の表現」についての意思疎通の言語や語彙についてです。
以前、外国の知人が日本に来たときに、桧や杉の英語名を聞かれた際に答えられずに、後になって調べた経験上、樹種名は少しは覚えているのですが、それだけではなく、たとえば「杢」とかいう専門用語。これがわからない。

「いい杢でしょう!!」

といいたくても、杢ってなんぞや?!で、日本語でも丁寧に言うと難しくなるところを外国語なんて・・・
という、歯がゆいところがありました。

また、良く使われる「オーク」の呼称も、てこずります。
今回、弊社倉庫で見ていただいた中に、ナラと白樫(しらかし)、一位樫(いちいがし)があったのですが、白樫をご覧になって「ジャパニーズオークですね?」とおっしゃるんですが、正確には樫はオークというよりもナラで、じゃぁ、樫の英名は?!・・・・と答えづらい難題に発展し・・・・


いつもお客様に説明している時にも「何と説明したらいいんだろう?」ということもあるくらい、日本語でも説明があいまいになることもあるのに、外国語も交えて木について語るとなると、想像以上に一筋縄ではいきませんでした。
そう思うと、やはりより多くのことを簡潔にお伝えできるようにしておかないといけないなぁと、痛感いたします。
もっと語彙を増やして、難しい呼称や名前も簡単に咀嚼して伝えられるように。
また違った意味で勉強させていただいた、貴重なお客様でした。


O様、帰国前のお忙しいところご来店、ご購入頂きありがとうございました。
また出会いがあることを期待しております。




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お客様からのご質問 -木材販売の難しいところ-


最近少しずつ増えています。
記事の閲覧をしていただくお客様。
有難いです。

それとともに、商品のお問い合わせ以外の事をご連絡いただくことも増えています。
といっても、会社としての仕事内容とは少し離れる「木についての質問等」が多いのです。
ご質問頂くお客様も十分にお気遣いいただき「仕事には関係ない様なことなんですが・・・・・」と、こちらが申し訳ないくらいに遠慮してご連絡くださいます。
材木屋ですし木が好きなものとして、商品以外の事も無垢の木材についてのご相談には快く乗るのですが、近頃は少し回答が難しい場合があるのです。


実は昨年の末、「無垢フローリングについて・・・」とお問い合わせをいただきました。
その内容がフローリング取り扱い商品について、ではなく既に購入し、貼りあがっているフローリングについてでした。
とある樹種のフローリングをご希望での住宅改装だったそおなのですが、いざ施工してみるとお施主様の思っていらっしゃった樹種とは雰囲気が違うように感じ、希望の樹種に間違いはないのかどうか、正しいのかどおかを知りたいということをおっしゃってのご連絡でした。

その材料は赤褐色っぽい外国産の有名な樹種でした。

外国産の樹種には、正式名称以外に通称名があったり、似たような樹種と混同されていたり、近縁種を代用されていたりということが普通にあります。
また、同じ樹種でも港によって名前を変えることもあります。
当然産地によっても違います。

近縁種が代用されていたりするのは、「タガヤサンとウェンジ、パンガパンガ」をご紹介したことがあります。
詳しくはそちらを参照いただきたいのですが、これも一般のお客様だけでなく、材木屋でも区別を知らないところもあるくらいに見分けのつきにくいものもあります。

また、こちらは私も疑問に思っていたことがあり整理した、「ローズウッド」の名称も産地や通称名、代用種が混ざり合ったものです。

これらを見てもわかるように、外国産樹種については必ずしも正式名称でばかり取引されているわけではないということです。
中には近縁種や、同じ名前を名乗れるものが50種ほどあるという場合もあります。
これらにさらに、港による呼び方の違いや、通称名のやり取りが介入し、樹種の特定を難しくしている場合が殆どです。
だから、正確にお答えすることは困難なのです。


また、名称だけでなく木材の外観についても、同じ樹種でも産地や樹齢、製材部分などにより違いが見られます。
日本の桧でも、産地によって油の出具合や硬さ、色合いが違いますから、当然のことですが、日本産の樹種よりも色鮮やかであることの多い輸入樹種の場合は、しばしばその特殊な色調で表現される場合があり、誤解を招く場合もあります。
フローリングではブラックウォールナットも色調で例えられることがあったので、代用の樹種がたくさん出現したことも記憶に新しいです。
もっとも、こちらの場合は近縁種などではなく、全く別の黒っぽい樹種だったりするものの通称名を●●ウォールナットとしていたため、混乱を招いたことはいうまでもありません。


同じように木目のイメージなどもそうです。
先に挙げたタガヤサンだと思っていた木目が、実は似た樹種だったということがあります。
というか、似た樹種をタガヤサンだと思っているところに、本物のタガヤサンを持ってきたところで、イメージと違う、となるのもわかるような気がします。
実際、弊社の本鉄刀木(ほんたがやさん)木製名刺ケース(名刺入れ)も、同じくムラサキタガヤ木製名刺ケース(名刺入れ)の方が、木目も立派に見えるし、よりタガヤサンっぽく!見えるのです。

今回の様なフローリングにしても、殆ど輸入されていないような稀少な「唐木」といわれる木材の名前を冠したものが、現在までいろんなところで見かけられます。
原木は当然ながら、作品製作用の木材一本すらも入手しにくいのに、どうしてそれがフローリングとして提供できるのか不思議でなりませんが、見てみるとこれも大抵は似た木材や、代用材の場合がほとんどです。


こんな例はまだまだあります。
だから私たちは勉強しないといけないわけですが、プロでもそんな感じです。
そりゃ、お客様は迷われますよ。

そして、だからこそ、きちんと説明をして、木を見てもらって、違いを知ってもらっていれば、誤解は少なくなると思います。
私たちのような建築業者にありがちな、色やイメージだけを説明するのではなく、そのものの持つ特徴や長所短所を含めてお互いに理解出来るようにしないといけないのだと思います。
だからできる限り、時間をとっていただき、ショールームなどでお話をし、お渡ししたいのです。

木材が本物・偽物なのではないのです。
人間が本物・偽物として扱っているだけです。

今回のお客様にもお伝えしましたが、もしご希望の樹種とは違ったとしても、その木の持つ特有の良さがあるはずですから、特別な用途ではない限り、使う方もその樹種の良いところを見て使っていく方法を考えていただきたいのが天然素材ですし、巡り合ったその木材を大切にしていただきたい想いもあります。
もちろん、表記と違う樹種を販売することが良い事ではないのは言うまでもありませんから、販売するものがきちんとした知識を持ってお客様に説明しないといけないと感じます。
が、それでも、上記の様に天然素材であり、植物であり、海を渡ってくるうえでのグレーゾーンが存在することも事実としてお伝えしなければいけないのです。


弊社は木材鑑定業ではないので、樹種を同定することはできませんが、私自身が疑問に思っていたことと同じようなことは、できるだけご説明し悩みを取り除ければと思います。
工業製品や機械のように画一化できないのが天然素材ですが、だからこそ、扱う私たちができる限りしっかりと取り組むことが一番かと思います。
それをもって、頼れる材木屋でありたいと、そう思う今回の一件でした。







木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ! 

店頭展示 2011年の年始は「東北産 朴柾無節平角材」です


本日より、2011年の営業を開始いたします。
また一年よろしくお願いを致します。

さて、いつもいろいろとご紹介しているこの記事面以外に、実店舗・倉庫を持つ材木屋ですので、店頭展示をしていることもご案内してきましたが、2011年の最初の店頭展示はコレです。


朴無節角材1







 朴(ほお)の木の(まさ。木材面を見たとき、木の年輪が平行に並んでいる状態のもの)角材です。














皆さんは朴の木ご存知でしょうか?!
弊社の記事をご覧になってくださっている方ならば、おそらくご存知だと思いますが、その優れた性質の為有名でありながらも、木の蓄積自体は決して多くないので、一般的にはどこでも見ることの出来る用途には使用されないものです。

昔は朴歯の下駄が有名でしたし、いまでも俎板(まないた)の素材としては桧に並んで良材の一つに数えられます。
その他には、製図版であるとか版画版、工作用の木材としての用途のほかに特殊なものでは「刀剣の鞘(さや)」としての需要があり、この用途には今でも良材を求められる為、おそらく現在においての朴の良材需要の殆どはそちらに消費されているのではないかと思います。
それくらい、重要な役目を果たしているといえますから、朴の木の良さを物語っている一つのお話といえるでしょう。

話は少し戻りますが、朴の木(ほおのき)は、モクレン科という仲間に所属していますが、この科には他には一般的に有名な樹種がありません。
朴の一人舞台というところです。
英名はjapanese cucumber tree といいます。
別名に「ほおがしわ」とも呼ばれています。
その名の由来は食器の代わりにその葉に食物を包んだ「包(ほう)の木」であると伝わっています。
朴葉味噌などでも有名ですよね。
他に食器の代わりとされてきたものには「栃(とち)」、「槲(かしわ)」、などもしられていますが、それくらい葉が大きいことも特徴の一つです。
樹皮は乾かして生薬とされ「和厚朴(わこうぼく)」と呼ばれています。


朴の木の芯材(木の中心部分。赤身。)の色合いは、他の樹種では殆ど見ることの出来ない灰緑褐色をもっていることで有名です。
辺材(木の皮に近い部分、白太。)も灰色がかった黄白色で、特殊な色合いを持った木材ですので、象嵌といって木の独特の色合いを用いての作品造りに重宝されています。
色合いでいうと、神代木にかなり近いところがあるでしょう。
特に、茶神代杉や神代桧などとはよく似た色合いですし、私の持つ神代朴の木製名刺ケース(名刺入れ)の材と比べても、神代であるか否かの違いがそんなに大きく感じられないくらいに緑褐色であるものもあります。

勿論他の樹種同様、生育環境や産地などによって材色も材質も異なることはいうまでもありませんから、一般的なものをさすものです。


朴無節角材2

























材は専門用語で散孔材(さんこうざい)という材質に属し、欅やタモの属する広葉樹(こうようじゅ)に分類されるものの中では軽軟で、また粘り(柔らかくともポッキリと壊れないような)があり、緻密な材質と年輪間(正確には早材と晩材または夏目と冬目という*成長輪間)の固さの差が均質である為、刃物の使用にはもってこいの材料となっており、これが、前述の俎板や刀剣の鞘、彫刻材には欠かせないものである理由であります。
*成長輪といっても、晩材部は木の肥大成長によって得られるものではないとされています。


また、朴の木自体は北は北海道から南は沖縄まで、また朝鮮半島や中国中部にも分布しているほど生息域は広いのですが、材として良質かどうかはまた別の話ですし、やはり優良材は北海道産です。
用途も特殊な木材の為、どうしても良材が求められますので、余計に集材が困難になりつつある樹種です。

特殊な用途の中には「裁ち板」も含まれていることを忘れてはいけません。
朴の木の用途を語る際、どうしても下駄歯や俎板に集中してしまいがちですし、現在では、裁ち板という用途自体あまり知られていないからだと思いますが、裁断用の板材には一般的に桂(かつら)材が使われますが、最良材は実は朴の木です。
材の確保が難しい為一般的には桂材で代用されていますが、聞くところによると、ある宗教施設では「裁ち板は朴の木の赤身のみの60cmでなければならない」と決まっているところがあるそうで、現在では集材が困難な為、使用している物が古くなった時の為の材(スペアですね)を、2枚ほどは常にストックするようにしているそうですが、それでも数年、または10数年以上は捜し求めるそうですから、その材の貴重さは推して知るべしです。
材としては当然「節無し」ですし、傷や欠点があってはいけないわけで、木材ですから使っているうちにどんどん減ってくるから、現在のものがあるうちに次に備えないといけないわけですね。

一般的な朴の木の直径は60cm位といわれています。
最大径でも1mくらいだそうですので、1mの材からやっと60cmの板が取れるほどでしょう。
なぜなら樹皮に近いところは辺材といって白太がありますし、中心部分の赤身で取ろうと思うと節に会う可能性が大きい。
節なしで取るにはそれ位の径からさらに選別しないといけないということです。


とはいえ実際、生活に身近なところでの用途はやはり俎板であり、彫刻用材です。
弊社にはよく彫刻用として朴材をお求めになるお客様がお見えになりますので、今回ご紹介のものも彫刻やねつけ製作用などの小物製作用としてご用意しているものです。
先ほど材質が緻密だと書きましたが、それ以外に木材としては収縮率(伸び縮みの差の比率)が小さいために素性がよく狂わない為に、定規や箱物、炬燵の櫓としても昔から生活の中に取り入れられていました。
また木炭も均質な為、漆器や金属などの研磨に使われてきているのと、眉墨としても使用されていたそうです。

ただ、いいところばかりではなく、耐久性は高いほうではないのと芯材と鉄材との愛称が悪い為、用途によっては気をつけないといけません。
人間も木も万能ではなく、長所短所があるということですね。

難しい話となりましたが、朴の木は手触りが最高です。
何ともいえません。
材面も仕上がりがよく「ツルツル」、しかもピカピカになりますし、経年後も艶は落ちにくいので、眺める楽しみがあります。
また、柾目面には栃の木などに見られるような「縮み杢」のような輝きを見ることができたりします。

小物を作って手触りを楽しむのも良し、彫刻作品を飾っても明るい部屋のワンポイントとして、落ち着いた色合いを見せてくれると思います。
勿論、白太も活用して、そのコントラストを楽しむのも良いでしょう。

その他サイズもございますので、一度お問い合わせください。
なお、現品写真の裏側には白太が多く入っていますので、上手な使い方で赤白のコントラストを作品に反映させてください。


東北産 朴の木柾角無節(展示現品)


・寸     法 :長さ1m×幅11.5cm×厚み7cm
          
・形     状 :無垢角材、赤身白太込み

・価     格 :¥4935/本(税込)

・運     賃 :別途 地域によりお問い合わせ下さい

・状     態 :2007年製材後天然乾燥、仕上げ加工別途。

*ご検討前に、下記ご注意と弊社からのメッセージをご覧ください。


お問い合わせはこちらから


・ご  注  意 :
                   
無節材表記ですが、削り加工をしますと若干の葉節(不成長の枝跡)や節かげ(節がもうすぐあらわれる手前の杢)が出ることがあります。



朴無節角材3



























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恭賀新年 お休みには・・・


新年おめでとうございます。
本年も一年間、よろしくお願いいたします。

といっても、本格的な業務は7日からスタートですので、今日はまだお正月休みです。
昨年からは、残務整理や研修、休日出勤などが飛躍的に多くなり、ゆっくりと休むという習慣がなく、何度か調子が悪くなった時もあり、お正月はしっかりと休んでおきたいところなんです。


そのお休みのお楽しみの話です。


ジュブ・シャン

























何かないと開けることができないこんな代物。
そりゃ、ポンポン開けている人たちがたくさんいる事も承知ですが、私にはそんな余裕ありませんので、年に2回位のお楽しみ(お正月以外はいつか・・・想像にお任せします。)です。

今回これを選んだのには理由があります。
昨年の12月に友人の材木屋サンにお食事を誘っていただいた時に、飲ませて頂いたのが、この「DENIS MORTET」という作り手の物だったからで、しかも相当な価格だったのですが(いやらしい話ですけど・・・)、1999年ヴィンテージで11年熟成されていただけあって、もう、あの開けた瞬間の香りと、全て飲みほしてからのボトルの残り香が忘れられなかったからです。

忙しい毎日と金欠(こちらの方が大半)により、この手の高級ワインにはかなりご無沙汰だったため、どうしても飲みたくなり、同じ生産者の物を一本出してきた次第です。

味はご想像にお任せします。
なにせ、この手のお話はただのウンチクと、わけのわからない表現の羅列になる恐れがありますので、差し控えたいと思います。
が、よく使われるワインの味や香りの表現の中に、オーク材(広義)の香りと表現されることがありますし、確かに、私の中では「カリン」という木材または、ローズウッドの類の木材を製材した時の様な甘い香りを感じ、「あぁ、木の樽で熟成してるんだなぁ・・・美味しいなぁ。」と味わうわけで、ちょっと木材と関係あるような・・・・・


以前に少しお話していますが、ワインの熟成には木の樽が使われています。
よく言われるオークの樽です。
もちろん全てではなく、ステンレスのタンクでの熟成もあり、そちらも当然素晴らしいものをうむことを忘れてはいけません。
しかし、材木屋だけに「オーク材の樽で熟成した・・・・・・」と書かれると、ホントに「オーク=ナラ」なのか?とかどんなオークなのかとか、いろいろと考えてしまったりするわけです。
因みに、同じブナ科だからかどうかはわかりませんが、「栗(チェスナットですね。)樽熟成」というのも、見たことがありますし、未だに某ワイン誌にて日本語訳で「樫(かし)樽熟成」と書かれていることもありますから、やはり、材木屋としては、関わりたくなるわけです。

と理由を付けながら楽しく飲んでいます。
実際のところは、個人の感覚になりますが、私はナラ材やカリン、ローズウッドのような香りを感じますので、ワイン好きの方は、一度材木屋サンで木材の香りをきいてみてください。
私の鼻が確かか、ご意見を頂ければ?!と思います(笑)。






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