空を見上げて
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2010年03月

「よく似た樹木」にムラサキタガヤの写真を追加


以前記事にした「よく似た樹木-タガヤサンとパンガパンガ、ウェンジの違い」にムラサキタガヤサンの写真を追加しました。


ムラサキタガヤ 1
ムラサキタガヤ 板目拡大















これも、タガヤサンの名前は付いていますが、本タガヤサンとは違う種類の木材です。
詳しくは上述の記事を参照いただきたいのですが、実際はとてもよく似ていますし、「ムラサキタガヤ」といわれると言葉通り「ムラサキに発色しているタガヤサンのことだ」と思うのが普通です。


本タガヤサンとムラサキタガヤの比較


 本タガヤとの比較。

 確かに似ています・・・








ただ、木材の場合は「○○タガヤ」とか「●●ウォールナット」などという場合は、似た樹木を塗装したり、名前を似せて販売している場合がほとんどなので、注意が必要です。

その辺を勉強していくとそれぞれの個性などもわかり楽しいところでもあるのですが、逆に木材をややこしくしているところでもあり複雑ですが、やはり表示はきっちりとするべきですよね。

また機会をみて、他の似た木材も紹介していきたいと思っていますので、ご期待ください。






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無垢木材のリピート 〜玉椿材と北海道産栓〜


先日は半日で面白い木材が動きました。(出荷しました。)
御二方見えられたのですが、どちらの方も日曜大工とおっしゃりながらも、素人ではなかなかできない様なものを、少し変わった材料で拵えられるということでご案内しました。
その材料というのは、まずは欅を所望のお客様。
ドアの取っ手を既存の製品から木に変えたい、ということで材料を探していらっしゃったということでした。
寸法や材質の再検討、価格のご提案などを数回やり取りさせていただいて、最後はご来店いただき直接木を確認いただいてからご購入頂いたのですが、木取りできる分の価格や寸法の点から欅ではなく、「玉椿」という材で決定しました。

玉椿材2









この「玉椿(たまつばき)」。
椿とついていますが、あの立派な花を咲かせる樹木の「椿(つばき)」とは全く異なる樹種なのです。
本来の樹種名としては、ハマセンダンが正式な名称とされています。
ではなぜ玉椿という名になったのか・・・

それは、昭和天皇の皇后さまの入内の折の調度品を、その作者が「玉椿の木をもって・・・」と箱にその材を記したことからその名がついたそうです。
それにしてもとても雅な呼び名を付けられたものですね。

材質もその名に恥じぬ良質なもので、材面は芯材の方は桑材の様に少しこげ茶色に近い茶褐色に、黄白色の辺材が入るというような状態です。
表面もツヤ、というか光るような仕上がりが美しい材です。
木目としては、桑や欅と同じような環孔材(導管という組織が年輪のように規則的に配列しているもの)としての特徴をもっていて、大らかな雰囲気を持っています。
手で触ってみるとわかるのですが、硬さも硬すぎず柔らかすぎずのとても扱いやすいもので、桐と桑の中間くらいの硬さと表現されます。
手触りも心なしか柔らかな様な・・・
その為、彫刻用途にも重宝されます。
入荷の少ない稀少な木材ですので、彫刻等で所望される方はご連絡をお願いしますね。

玉椿材1玉椿材赤白
















木の香りが好きな私にはとてもよくわかるのですが、香りもとてもよく、少し甘く優しい芳香があるのも特徴といえるでしょう。

おそらくこの玉椿材を使って、とてもいい取っ手ができていることだろうなと思っています。


そして、続いてお見えになったのは前回、蘗(キハダ)の板材と木曽桧の耳付き板をご購入いただいたお客様が、その時の材の残りを活用して椅子を造りたいとお電話を頂き、ご来店くださいました。

前回のお買い上げの時に、いろいろと木のお話をし、じっくり見ていただいたので今回もある程度材に照準を合わせていただいていたのか、一通り見ていただいてすんなりと「栓の幅広板」を選んでくださいました。

最近は、皆さんもホームセンターなどでよく見かける「フリー板」と呼ばれる集成材の登場で、60cmくらいの幅まではこれを使えばほとんどの物は安く製作できるのですが、このお客様はとても木がお好きで、ご自分の製作にもとても喜びを持っていらっしゃっるので、集成材ではなく無垢の一枚板でというのが前回からおっしゃられていたことでした。

普通に考えると、60cmくらいはなんなく出来そうなものですが、それが「素直で、室内の造作材として使えて、乾燥したもので、ジャストサイズ!」となるとなかなかないものなんです。
が、今回はほぼジャストサイズの「栓の幅広板」がありましたので、一発で決まり!!となりました。


道材栓 杢板

これです。






以前に記事として紹介した「栓幅広板」のうちの一つです。
北海道産で、貴重な幅広板です。
木目もよく素直で、これこそ「自慢の娘を嫁入りさせるような気持ち」でしたよ。

木の香りや手触りをとても好まれていて、木の長所短所を含む特性や、天然材の傷の一つの虫穴なども、切ってしまうには勿体ないし、ついていてもなんら問題はないですよ、とおっしゃるようなお気に入り様です。
そこまでいっていただくと本当に嬉しく、材木屋の喜びを引き出していただいたような気分です。

御二方とも、高級材を購入くださりありがとうございました。
そして、これからもこんなに喜んで頂けるような出会いを増やしてどんどん弊社のファンになってもらえるようにしていきたいなぁと思っていますので、よろしくお願いをいたします。

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文化財級の贈り物〜数百年前の香木、白檀〜


昨日、雨の中外出から戻ると何やら雨の滴った封筒が机の上に置かれていました。
ふくらみがあるので、いったい何が・・・と思い開けてみるとこんなものが入っていました。


文化財級の贈り物











むむ・・・・・・薪の焚き付けか、流木アート材か・・・



違うんです。

メールにてご連絡いただいていたのですが、代々とある神社の神官を務めていらっしゃった家系にある東京のお客様が送ってくださった「白檀」です。
とても由緒のある材でして、話せば永くなるので割愛しないといけないくらい、半端でない歴史のある白檀の原木をわけあって移動されるときに切ってくださった物です。

もともとは神社の鳥居材として原木が使われていたそうで、数百年は前のものであろうということでした。
先祖代々、守ってこられたわけです。

縁あって、やり取りをさせていただいていたのですが、こうして貴重な材を送っていただきました。
材は、現在販売されているような白檀の少しあたりの強い香りとはまったく違い、どこか懐かしい「昔、祖父と訪れた社寺仏閣の澄んだ境内の香り」とでもいいましょうか・・・・
私には、そんな風に感じる、なんとも例え難いですが素晴らしい香りを持っています。

はっきりとした歴史がある材なので、正倉院の宝物とまでは言いませんが、本当に文化財級の価値のあるものでしょう。
是非とも後世に材とともに、歴史を語り継いでいかれることを願ってやみません。

そんな素晴らしい送りものでした。




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昭和42年のアピトン上柾無垢フローリング


先日、古い文化住宅(標準語でいうところの昔のアパート)の改装の現場にお邪魔しました。

聞くところによると、42年前に建築された建物だそうです。
当然外装は老朽化しますので手を入れられていましたし、内部も間取りに至るまで、時代に合わせ少しづつ改装されていた様子でした。
それを今回は一部分のみ、床から天井、間取りまでそっくりと改装しておられたところだったのですが、興味深いものを発見してしましました!


これです。


42年前のアピトンフローリング

  なんだかわかります?!
 今はなかなか使いません。








答えはこれ。

アピトンフローリング 上柾上無節




  アピトン上柾上無節フローリング(当然無垢)

  ちゃんと刻印が残っていました。
  








最近あまり見ないアピトンの懐かしさと、ほかされる(大阪弁、捨てるの意)ということで、この場でご紹介したく、解体の切れ端を数枚頂戴してきました。


昔は合板フローリングの普及もなかったですし、住宅内が畳から洋風なフローリングへと変わっていった過渡期でもあり、このアピトンフローリングはとてもよく使われたものです。
弊社ももちろん在庫していました。

が、現在は合板カラーフロアーの普及と、無垢特有の曲がりや反り、そしてアピトン特有の樹脂分の滲みだしなどの理由で、トラックの荷台などの特殊用途くらいでしか見かけないようになってきました。

しかし、材の特性としてはとても優秀なものです。
実際その文化住宅は築42年で、当然床下はコンクリートで覆われておらず土がそのままなため、床下の湿気は相当なもので、しかも近くに昔は川が流れていたということもあり、地下の水量も少なくはないと思うのです。

もしそんな場所に、現在の住宅の仕様の合板フローリングで建てていたならどうでしょう。
42年もすれば、おそらく2回は張り替えをしないとフローリングは持たなかったでしょう。
当然、床下からの湿気による腐食や、接着層の剥離が原因です。
いままでそんな住宅のリフォーム現場をたくさん見てきました。

ですが、先ほどの写真のアピトンフローリングは違います。
42年経過しているというのに、裏面にカビは出ていますが、表面の傷を除くとまったく劣化した部分がなく、そればかりかまだヤニを吹いているではありませんか!!


アピトンフローリング裏側アピトンフローリング裏拡大

















アピトンはとても耐久性の高い木材ですので、たとえ洗面所の床にしても少なくとも30年はびくともしません。
実際、私の実家の洗面所はアピトンですが、もう30年もまったく問題なくすごしていますし、こちらも40年近くなる弊社事務所の床もアピトンですが、毎日モップでどっぷりと水拭きしているにもかかわらず、今も現役です。


戸田材木店事務所床 アピトンフローリング


  いつも朝はボトボトです・・・・
  ですが、剥がれることもありません。
  当然腐れもありません。












どうでしょう。
これをそのまま住宅にあてはめるのはかなり乱暴かもしれませんが、今までの住宅の改装を見てきたことからも思うのですが、アピトンとまではいかなくともせめて木の床を使ってもらいたいです。

合板も表面の耐傷性や意匠性はとても高く、購入時の価格も手頃な物があります。
が、住宅はその一時の買い物でもなく、10年、20年のサイクルで考えるものではありませんよね。
もっと永く住み続けることを考えないといけないものですよね。

新築して10年、20年経ってから、バリバリと床をはがし、接着剤のコテコテとついた下地の木材やベニヤもはがして床の骨組みから取り替えますか?!
たとえ合板であれ、貴重な外国産の丸太から造られている点では資源としても貴重ですし、また出費を考えてもそんなことはしたくないものです。


合板フローリング断面



 この積層接着層からはがれてきます。
 





アピトンフローリング 木口拡大


 アピトンはまだまだ元気。






改装現場にて毎回思いますが、やはり永く使える木材を選んでいただきたい。
初期コストは少しあがるかもしれません。
木材の長所短所を理解して付き合っていただかないといけません。

が、それ以上に木材はたくさんの物を提供してくれると思うのです。
お金や、見た目以上の何かだと思います。

久しぶりに出会ったアピトンフローリングを見て、そんなことを考えていました。




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紀州産 神代樟の杢


今回はあまり多くを語るより、見ていただくほうがいいでしょう。

超稀少で、超貴重材です。

神代樟(じんだいくす)の板材です。


もともと、数年前に紀州は有田川の川底から引揚げられて、ニュースにもなったくらいに有名なクスノキで、樹齢は1000年以上といわれていますし、その樹齢もさることながら土中・水中に、これまた1000年単位で埋もれていたものですから、ひょっとするとこの木が芽吹いたのは、紀元前!かもしれません!!

紀州有田川神代樟1紀州有田川神代樟2紀州有田川神代樟3







紀州 有田川神代樟4紀州有田川神代樟5


ほんとに、神代という呼称にふさわしいものです。




直径が3m超、長さ12m、重さは60tと言われていました。
(写真下段、右側小さい丸太で径が1m程ですから大きさがわかると思います。)


近づくものを圧倒する、威圧感があるくらいの大木で、幹の大きな穴には人が入れるくらいの空間があったのですが、夏にそこへ登ると不思議にひんやりしていて、目を閉じると外気と遮断された「神代(かみよ)の昔」に行ける様な、そんな涼やかな風が流れていたのを今でも昨日のことのように覚えています。

もともとクスノキは、樟脳(しょうのう)という精油成分を活用して、防虫や防臭などの目的で使用していたもので、箪笥の裏板などにも虫除けとして使用されていたものもありました。
古くは日本書紀にも「杉とクスノキは船に・・・・」というように用途を示して記載されていたくらいに、日本人には古くからなじみの深い木材の一つです。


さて、今回その神代樟が製材され・・・・・・・・

いや、正確にいいますと「木挽き」されて販売されることになったのです。
木挽き(こびき)とはなんぞや・・・


木挽き。
大鋸(おおが。大きいのこぎり)を使って、丸太から木材を切り出していく職人さんの事。

製材機が発達するまでは、小さな材木から大きな材木まで全て木挽きさんが挽いておられました。
近年では製材機の発達と、古挽きさんが木を見て、ここならどんな杢がでるかやどうすればいちばん効率よく木取りできるかと考えて挽いていくような、そんな仕事も丸太もめっきり減ってしまい、木挽きさんの数は減少し今に技術を伝承する方がいらっしゃらなくなることが危惧されるような現状です。

今回の神代樟を挽いた木挽きさんがお弟子さんだった頃は、仲間というか弟子さんも35名ほどいらっしゃったそうですが、現在はおそらく残っていらっしゃらないのでは…(関東では木挽きさんは、東京は新木場にいらっしゃるのですが、私は面識がありません。)

そんな木挽きさんですが、今回のような超弩級の大径木などの場合は製材機に通すというわけにもいかないので、当然出番となるわけです。

といっても、もう相番さんがいないため、残念ながら昔のように大鋸で挽くのではなく、チェーンソーでの木取りということでした。
本当に残念です。

が、昔の技術の伝承者である木挽きさんが製材を手がけた神代樟です。
それだけでもワクワクしませんか?!

しかも、その巨躯のうねりから想像できるように、製材した原木からは縮みや玉杢というとても美しい杢目の材がとれ、あたりに立ち込める「1000年の樟脳の香り」とともになり、なんとも言えない雰囲気を醸し出していました。


神代樟丸太 切断後神代樟1








弊社トラックとの比較。
大体トラックのてっぺんが2.1mですから、大きさがわかりますよね。

その神代樟の丸太からの製材分が若干ですが入荷しました。
杢もとても美しく、惚れ惚れします。

こんな感じの杢が取れています。(一部は弊社仕入れ分以外のものもあります。)


神代樟 杢盤神代樟4神代樟5














神代樟2神代樟3













数年前に陸に上がり鎮座していた状態だったにもかかわらず、製材された原板はまだまだ水分を多く含み、表面はズブズブと水分が滲んでいましたので、すぐに何かに使うということは当然できませんし、何といっても神代木、しっかりじっくり乾燥させないととんでもない暴れが出ます。
以前にご紹介した「神代欅(ボグケヤキ)生材」や、乾燥材でありながら羽のように反り繰り返っている「神代樟」の薄板を想像すれば、どんなことになるかが少しは想像できるかと思います。


巨木の暴れはどんなものか、現状では知る由もありませんが、皆さんに製材品としてお渡しできるまで、しばし弊社にて永年の疲れを癒して?もらう休眠期間を取りたいと思います。


ご覧になりたい方、香りをきいてみたい方はご一報いただければ、ご案内いたします。
伽羅とまではいいませんが、白檀などの香木に伍するような風格のある木材であることには違いないと思います。


弊社ご予約はこちらまで



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出張します


ご連絡です。

来週末の3月26日・27日の両日は出張のため、担当者留守になります。
ご来店いただく予定をしていただいているお客様は、ご注意頂きますようにお願いいたします。
また、3月22日は振り替え休日のため、休業日となっておりますのでご注意のほどよろしくお願いいたします。



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木材自給率50%へ


「食糧自給率」という言葉はかなり聞くようになってきましたが、その次はどうも「木材自給率」だそうです。


日本政府は昨年の12月に「森林・林業再生プラン」の検討を始めています。
弊社にも木材の組合などから「地方の小規模な庁舎や学校施設で、低層(階数の低いもの)建築物を木造とする努力義務」が通達として出ているということを聞いていますが、それらも含め、日本の木材自給率を上げていきたいという考えです。

では、基本的に現在の日本の木材自給率は何%なのか・・・・
わかります?!
こんなに緑豊かで、森林が多い国である日本。
それでいて、なんと国産材を活用している比率、木材自給率は20%!!だそうです。

20%ですよ。2割。
それだけしか使えていない。
いかに輸入に頼っているか・・・・その辺は食料と同じかも知れません。

数年前に米不足になったことはまだ記憶されていると思います。
その時に、国産米が足らないと言っておきながら、そのあとは流行り物がすたれていくかのように国産米が余っているという状態だと聞きました。
さらに、私の田舎でもお米を作っていますが、食料自給率が下がっている、且つお米を安定して供給できないにもかかわらず、国から減反の通知が来るのです。
無理やり強制的に減らされるのです。

なんじゃこの国は・・・・

現在は減反も少しは緩くなっているんだと思いますが、生死にかかわる食糧ですらそんな状態です。この国は。
なのに今度は木材の自給率を上げるのです。

20%から一足飛びに50%にです。

もともとは、戦争利用での樹齢300年クラスの大径木の乱伐から始まり、その後の未来の計画のない(いや、間違った知識による計画)植林のせいで、植えた当時は成長が早く、急成長する復興日本の建築に必要な材として供給できる、賄える又はそれによって山にもお金が戻る、というもくろみがあっけなく崩れ、1960年に解禁となった「輸入材の安さと、買い手のニーズに沿った商品」によって日本の木材はどんどんその利用の場を無くしていくこととなりました。

自業自得というところがあるのですが、山や植えた木はそんなことは言ってはおれません。なんとかせにゃ。

ということで、やっとこさ木を使いましょうというわけです。

近年、建築数の伸びは下降しています。それも急下降です。
が、2008年までで見ると、減っていながらも1960年水準約7000万㎥より多く、8000万㎥を超えています。
1990年代の12000万㎥に届かんとする勢いはありませんが、まだこれだけあるんです。

が、内容が問題。

1960年には国産材は7000万㎥のうち6000万㎥を超えていましたが、2008年でみると国産材は2000万㎥を割り、輸入材が6000万㎥を超えています。

これを何とかしたいわけです。

こうやって言うのは簡単ですが、なかなか難しいんです。

山の問題。コストや人不足、林道の整備の問題。
製材の問題。技術や乾燥、管理のレベルの問題。
販売の問題。いつも言うように、知識のない、木材についての思いのないものが販売する「ただの仕事」として木材を扱うという問題。
消費者の問題。無知識で流行やデザイン性、一時の外観でのみしか判断できない情報の乏しさ(これは販売する側の問題でもあります。)からくる木材を敬遠する風潮。

これらすべてを改善しないと、到底達成できません。

どうすればいいのか。

みんなまじめにやることですかねぇ・・・・

先を見据えた森林整備から、大切に製材された木材製品を知識を持った販売スタッフが、価値のわかるお客様に販売する。

これを実行するだけなんですが・・・

なかなかできません。いろんな障壁があります。
ですが、近いうちに、本当に50%とはいかなくても、それに近いくらいにまで上げていかないといけないと思っています。
そのために知識をためて、皆さんに解放できる機会を作るとしましょう。
ここへこれば、木材のことは一通りわかる、商品だけでなく木の根本的なことについて、語り合いながら見ることができる。
木を買い、生活に取り入れることで喜び多い人生になるとすれば、当然木材自給率はあがるでしょう。国産も、外国産もバランスよく知識を持って使えばいいんですから。

弊社はそのためにある材木屋です。

みなさんで、木材自給率50%達成しませんか?!



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事前ご予約のお願い


昨年は住宅着工戸数が約78万戸で、一時は120〜130万戸という数字が普通だったころに比べての落ち込みの激しさがこの数字からだけでもよく分かると思います。

ただ、とにかく建てればよいという様な勢いで建築が進んでいたところもあり、全てがよい住宅であったかというと疑問の残るところでありますし、それに比べれば現在の方がもしかするとお施主様にすれば、建築コストの面からも、建築内容からも良い時期なのかもしれません。

そういった状況ですが、私たちのような建築に携わる職業全般の仕事の絶対量は、建築数が減れば当然減るわけで、厳しい状況は他業種と同じです。
ですが、あり難い事にお得意様のおかげで弊社自体は何かと日々忙しくさせていただいております。
今週も上棟(じょうとう。むねあげともいう。住宅の骨組みが屋根まで組みあがること。)現場が続いており、業務が非常に込み合っている状態です。
本当に有難いことです。

そこでお願いです。

本日より1週間ほど受注やご予約が集中しておりますので、弊社へのご来店を頂く場合には必ず事前のご予約をお願いいたします。
事前に頂かないと、折角のお話の時間が取れないばかりか、木材も展示スペースもご覧いただけない場合がございます。
特に木材は保管の都合上、すぐにご覧になれない場合が多々ございます。
そういった状況にならない為に、是非事前のご予約を頂くことをお願い致します。


皆様に、少しでも多くの時間をとってご説明し喜んでいただけるような環境を維持していくために、ご協力をお願いいたします。


無垢木材ショールーム 木志庵 内装










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大阪万博の夢の跡・・・


3月12日の新聞記事に、〜廃墟から「自然」へ回帰〜というものがありました。

3月12日の大阪万博の記事













何の話かというと、大阪府吹田市にある万博記念公園の緑地についての事でした。
内容を抜粋いたしますと以下のようなものです。


公園は200種を超す鳥や小動物を育む。中略、大阪万博の跡地だと知らなければ人工の森だとは気付かれないだろう。まして、この公園の地下に瓦礫に姿を変えたパビリオン群が埋まっていることは、ほとんど知られていない。

とあります。


表題の〜「廃墟」から「自然」へ回帰〜とは、高度成長期に開催された未来都市「大阪万博」のパビリオンを解体した後の瓦礫をならした「廃墟」の様だった跡地を、現在の緑が茂り、鳥獣やホタルまでが飛び交う「自然」緑地にするという、想像しただけでも出来そうにない計画を成し遂げたもので、私の様に万博公園に比較的近い場所に会社のあるものとしては、今緑が生い茂っている「そこにあって、本当に自然な」緑地の風景からは考えられない様な内容です。

特に私の様に、直接万博を知らない世代にとってはお花見やホタル狩り、新緑の中での運動の絶好の緑地の地下にまさか瓦礫が埋まっていようとは・・・
それも、「捨てる場所がない」という理由で、万博後、未来都市の夢の跡であるパビリオンの瓦礫はその場所に残されていたそうです。
いつもテレビで見る華やかな万博の夢の跡が、そんな形だったとは・・・
ショックです。

ですが、コンクリートで固められた土地を森林に再生するという難題に幾度もぶつかりながらも、樹木の生命力にも助けられたことで達成できたことで、今では森林療法プログラムを運営されるグループが活用されるまでの森林になっています。
人の残したものを人が綺麗にする。
言葉では簡単なものですが、本当に永い年月をかけ苦労をされたことと思います。

次に行くときは、しっかと瓦礫の上に根付いた芝生を踏みしめ、排水管が通っているであろう場所にも根をのばす木々たちの生命力を愛でながら散策することにしたいと思います。

大阪万博の桜









記事本文は以下の様に締めくくっています。


「人類が目指すべき未来都市の姿は、パビリオンや摩天楼群ではなく、緑豊かな森林なのかもしれない」と・・・・






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木がどっちに曲がるかわかるのか?


先日あった驚いた出来事をドキュメンタリーとしてお届けします。
「こんなのでいいのか、日本の大工!、日本の建築!」です。
(口語そのままでお伝えするため、不適切な表現や言語があり一方的な表現で意見が偏って聞こえるところもあるかと思いますが、ご勘弁いただいて
ご覧くださいますようお願いいたします。)

私が木材の配送の為に現場で荷降ろしをし、荷物の確認をしていた時のことです。
監督様よりお声がかかりまして、材料をおろさせてもらったところへいきましたら、納品させていただいた商品(このときは建築用語で根太と称される床組みの下地に使われる角材でした。)の寸法や加工の品質にバラつきがあるので、どうしたものか・・・というお話でした。

商品を再度見せていただきましたら、確かに一部加工機による削り加工のかかりが甘いところがあったり、節(枝部分です)が集中していたりするものが含まれていました。


削り加工の甘かった原因は、機械乾燥機での人工乾燥材ですので、まず製品規格寸法よりも大きいサイズで製材(オーバーサイズといいます)し、釜から出てきて木材の癖や部分部分による収縮の違いによるデコボコや寸法違いを削り加工機にて平滑に近い状態にし寸法をそろえるのですが、ご指摘を受けた部分は、乾燥の後に痩せが大きくなり、削り加工の基準値よりも小さくて加工の刃があたらなかったものです。

これは、たとえ端のほうであっても規格としては通してはいけないものなので、加工チェックが行きとどいていないことによるもので、品質の問題点ですとお伝えし、注意するように努める旨をご説明させていただきました。
まだまだ品質チェックが甘いところがあり、反省点です。

もうひとつは節の集中ですが、こちらは確かに大きいものや小さいものが点在してはいるんですが、どうしても問題な点があるというような状態ではないような感じを受けるものでした。
監督さんには
「確かに少し節の多いものもありますが、下地材であるのと木の芯材近くからも無駄なく製材しますので、どうしても節の多い部分が入ってしまいます。」
と伝えました。

その時です。

現場内にいらっしゃった大工さんが出てこられました。


    大工さん   「おい、おまえとここれなんや?根太ちゃうんか?!」
(以下大工。) 
          私  「はい、根太を納品させてもらいました。」

    大 工 「これ根太か?こんなんどうやって使うねん。」      

       私 「すみません、節の件は今うかがいました。確かに少し 
                集中していますが、どうしても木の芯近くからも木取り
                するため、全部ではないですが、若干は入ってしまい
                ます。」   

    大 工 「はぁ??!木の中心でなんで節出んねん、そんなわ
                けないやろ。こんなんあかんで。」

       私 「節が集中していることは確かです。が、施工上完全
                に使用できない状態ではないように思うのです。先ほ
                ど申し上げたように木の中心部は成長の加減で節が
                多くなってしまいます。」

    大 工 「よその材木屋でこんなん見たことないわ。」

       私 「申し訳ありません。弊社の材料のグレード基準が甘い
                のかもしれませんし、他社さんがいつも良いグレードの
                ものをご提供されているのでしょう。至らぬところがあり
                すみません。」

    大 工 「ちゃうわ。よそのが普通や。こんな悪いのあるわけない
                やろ。(ほぼ節のない木の皮に近い部分である辺材分か
                らの木取りのものを示しながら)普通根太いうたらこんな
               んのことや!」

          私  「すみません、正直申し上げて弊社の根太材の基準では、
                一束のうち全てがそういった辺材挽きというものは別に仕
               上げ材としての化粧材で注文しなければいけませんが、単
               価もまったく違い、根太として供給するのは難しい状況です。」

      大 工 「なんでやねん。よそのはなぁ、こんな材料(辺材挽きの節
         のない四方柾-角材の四面の木目がまっすぐに通っている
         物のこと-を示しながら)やからどっちに反るかわかるけどな、
         こんなアテ(陽疾。木の成長による癖のある部分。)ばっかり
         の材料、どっちに曲がるかおまえわかんのんか!?」

      私 「これらアテですか・・・え?!反る方向ですか・・・」

    大 工 「そうや、アテやろ。反ってきたら床鳴りするからあかんやろ。
         その方向がわからんかったら使えるわけないやろ!」

      私 「・・・・・・すみません。ですが、弊社の根太としてはおっしゃって
         おられるような木取りばかりではとることはできないと思います。」

    大 工 「ほぉぉ、おまえのとこはえらい強気やんけ!こんなもんか、
         もうええわ!!」



これが一部始終です。

この後、監督さんには別に下記をお伝えしました。

・加工機のあたりの甘さは改善しないといけないところです。ご迷惑をおかけします。
・節の集中については、確かに多いと思いますが、木の裏側(木裏)や、芯材に近い部分は木が大きくなるために必ず節のある部分ですので、根太で節のないものは難しい状態です。
・木材ですので、鉄やアルミのような均一な品質を節などが含まれる一般材(下地用材)に求めるには、難しい面があります。

ということです。


ここからが本題。

今回、私が怒られながら(決して叱られたのではないと解釈しています。違いわかります?)驚いたのは、大工さんなのに
1.木の中心である芯材部に節がないと思っている
2.木の目や、製材された部分によっての反りの出方、動き方の基本を知らない
3.アテの意味を知らない。
4.木裏、木表での違いもわからない
という点です。


ここで皆さんにもお伝えします。

まず、「木の中心である芯材部には必ず!!!!!節があります。」


DSCF0641

 胡桃の芯材部よりの無垢フローリング
 芯材部はコレくらいで普通です。
 黒い筋、「髄」も入ります。




どうしてか。
みなさん、木はどういう風に成長し伸びていっているかわかりますか?
木の中、中心部から太っていっていると思いがちですが、実は違います。

木は、帽子をかぶるように外から外から、一枚ずつ皮をかぶるような格好で成長しています。
木の先端から根元に向けて、皮をかぶっていくというイメージでしょうか。
ですので、最初の小さい木の時は成長する光合成の為に、たくさん枝をはり伸ばす必要があります。
細い径に、多くの枝がついた状態です。それが生長するにつれ、枝部分が木の上の方に上がり、小さい枝などは皮がかぶっていきます。
こういったサイクルの為、当然木材にした場合木の中心部分は幼樹のころの部分の為、最初に茂っていた枝の後が集中して残る形になります。
これが一つ。


そして次に、木の目や、製材された部分によっての反りの出方、動き方の基本を知らないこと。(木表と木裏の使い方も含め)

昔の大工さんは、木の目や持っている癖を見て加工や施工をなさっていました。
それは成長の加減で「こう曲がる」とか、「ここに節が出そうだ」とか・・・
それが基本でした。
そらそうです。木の加工をするのに、木の事がわからないと加工なんかできないですから。
だから、中途半端な材木屋よりも木を知っている方がほとんどでした。
当然、こちらも木を見て考えて出荷するわけで、昔は「これはここでは使えんけどこっちなら使える」とか、「こっち方向の反りなら使える、使えない」などで
大工さんと話をしながら木材を売っていたものです。
が、近年は現場の要望やコスト面での急速なプレカット技術の普及と加工済み仕上げ材の採用などで、木を見る必要がなく「組み立てればよい」状態の
「木質部材」といった方がよいような物ばかりが流通するような時代になりました。
時間と手間をかけて加工をしないので、木の癖はおろか、木の目についてや基本的な性質まで知ることができない方が増えています。

今回の大工さんのように、木の反りの方向が分からないということで、鉄のような超直材を木材に求める方が少なくありません。
というか、鉄も熱などで曲がりますし、変形しますが・・・

基本、木は木表に反ります。(次講のアテは除く)
詳しくはこちらのコラムに譲りますが、同じ木材でも裏と表の収縮の違いや、赤身(木の中心部)と白太(木の辺材部)でも収縮はちがいますが、基本は木表に反ります。
ですので、基本的な反りの方向は予測できます。
それに、木の目を知らないと、柾目(木の目がまっすぐと通っている材)と板目(木の目がタケノコ状の模様にでているもの)の違いがわからず、特に根太の施工の場合などは曲がり方向に気を取られ、柾目面にくぎ打ちをして施工したりする場合がありますが、これは完全な知識不足です。
というのは、柾目面は幅方向は収縮しにくい性質がありますが、厚み方向には板目面よりも収縮が大きいという性質があります。

柾目と板目 釘打ちしたら・・・

 へたくそですみません。
 柾目と板目での釘打ちした場合の違いです。





ですので、いくら柾目面がまっすぐでもそこに釘を打てば、何年後か(いや、もっと早く)に収縮して釘が浮いてしまう場合があるのです。
こんなこと、知らないのかなぁ・・・今の大工さん。



次にアテです。

漢字で書くと「陽疾」。太陽に疾く(はやく)です。
つまり、太陽に早くあたりたい幼樹が一生懸命伸びるときの成長による癖であったり、山の斜面に対して垂直に伸びようとする時に、斜面の傾斜に踏ん張る力が生じ、その踏ん張る力の固まった部分だったりするところです。
アテの部分は、製材しても立木の時の踏ん張りや伸びていく力が残っているため、かなり曲がりや反りが多く出ますし、強度的にも劣ります。
が、アテ材も反りの方向や癖を見て使うのが通常ですし、そもそも今回の大工さんのおっしゃっていたのは、木材の通常の曲がりの部分であり、とにかく「まっすぐ以外の板目の物ははすべてアテ」といっておけばいい、というような論理でしたので、木も可哀想ですし本来の意味を知らないでその言葉を使っている方の技量も知れるところだと思うんですが・・・・


今回は、こちらの材料のグレードやレベルの問題もあり、一方的にいうことはできませんが敢えて言います。


「ほんとに大丈夫か?日本の大工、日本の建築」


鉄骨造などならまだしも、木造建築を木を知らない大工さんが建てているんです。
建築基準法上の用語でいえば「建築物の建築」が、そのままの意味である建築工事。
ですが、そこに人が入るんです。
家が建ってりゃいい、ってなもんではいけません。

最低限の知識をもって家を建ててもらわないと、お施主様は人生一度(たいていはそうですね・・)の大切な財産にお金を支払うわけです。
何十年も住み続ける住宅を建てるのです。
もっと、しっかりとしていかないといけないんじゃなかろうか・・・

こんなことでは、木材を使った住宅が普及するのは当然時間がかかりますし、技術もいずれは絶えるかも知れません。
ですが、私は最後まで木が語れる材木屋であるために努力したいと思っています。

そんなことを新たに思った今回の出来事でした。



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神代欅(ボグケヤキ)の持つ水分 〜ひと目でわかる、木が呼吸することを知る実験〜


先日記事にしてお知らせした「神代欅(ボグケヤキ)」ですが、その加工した板材の小さく切ったものができましたので、ちょっとした実験をしてみることにしました。


「木が呼吸しているのが見える」実験です。

といっても、正確には生命活動は停止している状態の木材ですから、実際に光合成の過程を踏んでいるわけではないので、ここでいう呼吸とは「木材の吸放湿性」についてという事になります。

では実験開始です。(開始から約一日スパンでの様子を追ったものですので、同日での状態の記録ではありません。)

神代欅(ボグケヤキ)実験 1

 既に反りがコレくらいでています。





まず、白い紙を用意します。(裏紙ですみません・・・)
そしてその上に先ほど用意した神代欅(ボグケヤキ)の切れ端角を木裏を下に向けて置きます。
そしてそのままの状態で、ここから一日放置です。
場所は弊社事務所、私のデスクの上です。

環境としては、30年以上前の断熱なんていう言葉が通用しないような時分の建物で、当然シングルガラスであり、約13坪ほどの空間が一間(ひとま)になっていてよく風が通りますので、冬の今の時期は室内でもジャンパーのような状態です。
エアコンはエコの観点から・・・というわけではないですが、一台のみ25度設定で動いています。

こんな状況の事務所にて一日放置後の様子を見てみます。


さて、放置後一日経ち二日目。

板を動かしてみましょう。
どうなっているかな・・・

神代欅(ボグケヤキ)実験 2神代欅(ボグケヤキ)実験 3







おっ!!!
板をのけてみるとすぐに変化を発見。
わかるでしょうか、下敷きにしていた部分の紙が、板を置いていた部分のみ湿気でぶよぶよと波を打っています。

そして板の方はどうか・・・


神代欅(ボグケヤキ)実験 4神代欅(ボグケヤキ)実験 5








おおっ!!
こちらも変化あり。
紙に接していなかった方の木表側が反ってきています。開始時よりも反りが大きくなっています。

なぜでしょう・・・


少し話はそれますが、原因は吸放湿のメカニズムによります。


テーブルの天板などで、一枚物の無垢板を使用される場合に、傷や汚れを気にかけられて、表面(表面)のみにビニール製透明のシートをかける方がいらっしゃいます。
ですがそうすると、本来は木材の全ての面から行われるはずの吸放湿の動きが一面だけ遮られてしまい、一方へとどんどん反りが進んでしまうことがよくあります。
ビニールが透湿性がない為ですが、一度反ってもそのカバーを外せば元に戻る場合が多いです。


もうひとつは、最近増えてきたおしゃれな飲食店のカウンターです。


外装も和風からモダンまでとてもおしゃれに飾られ、店内も照明計画に至るまできっちりと美しく統一されているようなお店でもみかけます。

テーブルやカウンターの反り。

とてもいい雰囲気でカウンターに肘をかけた瞬間、「んん?」と何か変な感じ。
見てみると、天板が反っています。
当然、お客様には無垢の一枚板なので反ります旨はお伝えされていると思うのですが、見事に店内の板が一様にそっているではありませんか。

そこでおもむろにカウンターの裏面を手で触ってみますと、「案の定」です。
表面にはきっちりと造膜性(塗料で材の上に保護膜を形成するもののこと)が塗布されているにもかかわらず、塗料の節約か無知から来るものか何かわかりませんが、裏は何の細工もされておらず、捨て塗り(仕上げではなく、反りなどを防ぐための塗膜造り塗装。)さえもされていない場合が9割以上です。

先に書いたように木材はあらゆる面から呼吸しているために、どこか一部のみが吸放湿できなくなると、一面のみ収縮率が大きく変わってくるのでその部分だけが反ることとなってしまいます。


実験の材もこのように、紙に接していない一面のみから乾燥している室内に湿気を放出しやすく、もう一方は紙の部分を見てわかるように材の中にある水分はでていますが、行き場がなく紙を濡らしていることがわかります。

乾燥した木材だとここまでの目視可能な違いがすぐ出るわけではありませんが、材中の水分の一つの目安にはなるかもしれません。


因みに実験を続けてみましょう。

今度は反対で、木表側を紙に接するよう下向きに配し、放置してみます。


神代欅(ボグケヤキ)実験 6神代欅(ボグケヤキ)実験 7













神代欅(ボグケヤキ)実験 8神代欅(ボグケヤキ)実験 9








いかがでょう。

見てとれますか?
今回も紙が濡れて波打っています。
ということは、前にはわからなかった木表側からもきちんと放湿されているということですね。

それに、反りを見てみましょう。
ややっ・・・・


神代欅(ボグケヤキ)実験 10神代欅(ボグケヤキ)実験 11








木表側に大きく反りあがっていた面が、少し落ち着いているではありませんか。
ただひっくり返しただけですが、今まで放湿を遮られていた方からも湿気が放出され、もう片面との放湿の差が少なくなったからだと推測されます。
収縮のバランスが取れてきているということです。

ただ、もともとの木材の癖は関係なく残るので、完全にまっすぐには戻りません。


では最後にもう一回だけ、木裏を下向けにして状態を見てみましょう。
変化がでるかどうか・・・・


神代欅(ボグケヤキ)実験 12神代欅(ボグケヤキ)実験 13








じゃん。
小さくて見えにくいと思いますが、木裏を下にして一日おいてみると、なんとまた逆方向に反ってきているではありませんか!!
前の写真と見比べてもらえばすぐに分かると思いますが、反りの納まってきていたところが再度反りあがってきています。

何も外的要因はなく、一日おきに板ひっくり返していただけでこの違いです。


神代欅(ボグケヤキ)実験 14








最終的に実験終了時にはこんな感じになりました。
丁度板の真ん中に定規をあてたのですが、両端が見事に反っているのが分かります。
自然の力、生きている力とはいかにすごいものなのか・・・

ただの木材がこんなに動くんです。湿気を入れたり出したりするんです。

そらぁ、こんな小さな木片でもこれですから、フローリングや天板でも症状が現れるのはむしろ当たり前です。
強制的な人工乾燥や、ウレタンなどの多量の造幕製塗料を用いて癖も個性も殺してしまって、「動けない状態」の木質建材とは違います。
いつもながらいいますが、木は人間と同じ生き物です。

きちんと付き合っていく為の知識と、気持ちがあればこれ以上に恩恵を与えてくれる素材はありません。


これから木材を選ばれるお客様には、もし木材が反りや曲がりという状態になった場合も、「おっ、そってきたなぁ・・・どこまでいくかなぁ」というくらいの余裕を持って接していけるような状況で付き合っていただけることを望みます。
今回の実験が木材の特徴を知る一助になるように・・・



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山桜(やまざくら)の珍種発見の新聞記事


いやぁ、まだまだ知らないことだらけ・・・
こと、立木(現在樹木として植わっている状態のもの。製材後の木材とはちがいます。)に関しては、まだまだわからないことや、勉強不足のところが多いです。

まだ未開なぶぶんの一つに、同属種などの立木での区別があります。

たとえば、一番身近なところでは「ドングリ」。

材木屋さんでも「ドングリの木」と言っている人がいらっしゃいますが、一言に、「ドングリ」といっている方の方が圧倒的に多いですが、実はドングリの中にも区別があって、ナラのドングリやブナのドングリ、カシワのドングリなどなど・・・
基本、ブナ科の木材にはドングリができるので(栗もドングリの一種です。)、ブナ科の木材の種類だけドングリがあることになるでしょうか・・・

そういったことでみていくと、ホント樹木も人間と同じく千差万別・十人十色であることが理解しやすいかと思います。


そんなことを踏まえていろいろとみているとあるもんですね、ご当地物。
以前に「美松(うつくしまつ)」という、珍しい松をご紹介しましたが、今回は「桜」です。


3月3日の読売新聞さんの記事を切り抜きました。


容保桜記事








読んでみると・・・(以下抜粋)


「桜守」として知られる佐野藤右衛門さんが京都府庁旧本館の中庭でヤマザクラの珍種を発見、幕末、このあたりに上屋敷があった京都守護職で、会津藩主の松平容保(かたもり)にちなみ、「容保桜」と命名した。

高さ7メートル。
普通のヤマザクラよりも花が大ぶりで、幹はオオシマザクラの特徴があるという。
樹齢は不明だが、旧本館が完成した1904年当時の記録に桜の木を植えたとある。


と綴られています。

私も、木材に足を踏み入れる前は「桜とはソメイヨシノのこと」と思っていましたし、桜に種類があるとは知らなかったものです。

以前に、「本物のサクランボ-桜材とは-」という記事で桜に関してはお伝えしていますが、同じ桜でも様々な種類があり、それぞれに個性があります。

そのなかに、先にあげた「容保桜」も加わることになるんでしょうかね。

小さな写真記事でしたが、一度は訪れてみたいなぁと好奇心をそそられました。
近畿にお住まいの方は一度ご覧になってはいかがでしょうか・・・





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宝探し!!


今から思えば子供のころは、その辺のしょうもないものや、使い捨ててあるようなものなどを見つけて宝物のように大事にしていたことがありましたが、大人からすればゴミや不用品ばかりだったのかもしれません。

しかし、そのゴミだと思っている物の中にももしかしたら見方次第で宝物があったかもしれません。

これ、なんでしょう。


ゴミの山!?







はい、ゴミ(チリ)の山です。

木材加工の跡、綺麗に掃除したところです。
普通ならこれがごみ袋に入って、収集車にひきとられ焼却処分です。

では、これがなんなのか?
答えは宝探し!です。

子供のころ、いろんなものを隠しておいて「宝探しゲーム」をしたことがある方もいらっしゃると思いますが、これがほんとの!?宝探しなんです。
見ててくださいよぉ・・・




ゴソゴソ・・・・






ゴホゴホ・・・・








出てきましたよぉ、宝物!!


ここに何か?宝 その2







なんだかわかります?!(映りが悪くて申し訳ないです。)

無垢の黒檀とカリンの切れ端です。
それに、30年近く前の、「良い色に焼けた」杉の磨き丸太(皮をはいで、綺麗に磨いた装飾用丸太の総称)の切れ端もあります。

これ、宝物だとは思いませんか?!
小さくて使い道がないのに、と思われますか?

確かにそうだとおもいます。
大きなものは製作できません。
が、反対に小さなものを作る時に重宝しますし、大きな材料はいらないから、小さい切れ端がないかなぁ・・・という時にこそ役に立ってくれます。
特に黒檀やカリンなどは、必要な時に必要な大きさだけ!というような使い方のできる樹種ではありません。
製作必要寸法よりも大きくとも、その時にあるサイズを加工するしかないのです。

仮に、ほんの数十グラムくらいの大きさしかいらないのに、綺麗に木取りされた角材を削ってしまわないといけない場合などで、とても重要な物になってきます。

一つの大きなものを作成した後のゴミの山かもしれませんが、見方によってはこういうこともあるんです。

宝物は大袈裟かも知れませんが、貴重な木材を大切にしないといけない心は持ち続けないといけないもんです。
皆さんの身の回りには、見過ごしている宝物はありませんか・・・?!





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