空を見上げて
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2009年07月

ウッドデッキのクリーニング&リフレッシュ 其の壱 ご紹介編


健康志向であったり、環境的な面であったり、実用面であったり、はたまた視覚的に安らげるような印象を与えてくれることから普及が進むウッドデッキ。


日本人は古くから屋外にも木材を使用してきましたが、一昔前まではメンテナンスフリーであることをうたい文句にした住宅が飛躍的に普及したため、ウッドデッキは「木だから反る、変色する、腐ってすぐダメになる。」といって敬遠され、住宅の庭には、木に似せた「合成木材」と呼ばれるようなプラスチックのような木の柄をしたものが好んで使用されていました。


ですが近年、寸法安定性の高い木材の採用や、高耐久性木材の普及から、木製のデッキが徐々に人気を取り戻しつつあります。


リビングからつながるデッキのある風景はとても落ち着きがあり、視覚的にも木の持つあたたかみから広々とした心持ちになれる、そんな気がします。

ですが先述したように、木製のデッキは「反る」、「変色する」、「腐る」という天然材ならではの避けられない点がいくつか存在します。

これは弊社のブログで何度も申し上げていることですが、「木は生き物」ですから、無垢の木材を使用する上では必ず起こりうることです。


そのうち、反るという問題は特殊な乾燥方法を用いた木材の登場や、比較的寸法安定性の高い木材を使用すれば軽微に抑えることが可能ですし、腐るというのも、水湿に対する耐久性の高い木材を採用することや、浸透性塗料オスモカラーなどを塗布することによってデッキに水分を残りにくくすることで解決することが出来ます。


ところが、こと「変色する」ということに関しては、無塗装では当然すぐに材の表面が灰色に変わってきますし、たとえ塗装を施しても永久的に保護できるものではありません。

本当は少しずつ灰色化していくこの変色の具合を楽しむのも、住まい手である方の特権であり、家とともに過ごしていく時間の証であるとおもうのですが、美しい木の風合いを残していきたいのも事実です。


そういった要望のなかで、無塗装のまま変色してしまったものや、浸透性塗料での保護力が低下しているものを、クリーニングし、リフレッシュさせられるのです。


それも水と極少量の酸の力で・・・


その成分は本当に水と‘公害性のない’酸だけなのです。


さぁ〜て、次回の記事ではそのクリーニング方法を公開いたしますよ。

請うご期待です。





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CO2排出量取引と木材


「オフセットクレジット」


新手の信販会社かとおもいますが、れっきとした木材関係の言葉です。

詳しく言うと、‘‘整備された’’森林による二酸化炭素の吸収量を企業などに売却し、山村振興にあてていく制度です。

環境省と林野庁がすすめているようです。


(個人も含む)おもに企業などが、自らの温室効果ガス排出量の、削減をしきれない分を他の場所での排出削減や森林による吸収で相殺=オフセットする制度です。


これを契機に森林を活性化させようとしている地域もあるようです。


そもそも、日本はかの有名な京都議定書で、1990年比で温室効果ガスを6%削減しなければならないんですが、その6%のうち、3.8%を森林で吸収させようとしています。

ですが、吸収に算定できるのは‘‘手入れをされた温室効果ガス吸収可能な森’’のみが対象です。


日本には森林が多いので、簡単に吸収量を計上できると思いがちですが、実際にはそんなに計算どおりにはいかないことになっています。


健全な整備された森が少ないからです。というか、荒廃した森林が増えているのです。

日本は国土の2/3が森林という国です。

そして、そのうち40%が人工林です。

確かにたくさんの木々があるんですが、人工林などでは特に手入れが行き届いてない状態が多く、だんだんと脆弱な木々が増えてきたり、出荷しても売れないことから伐採しても山に放置されていることなどから、本当の意味で機能していない森林が多いのも現状です。


この現状を、今回の「オフセットクレジット」などによって森林が活発に活用されるようになり、もっと森林や、木々に対する理解を深め親しみを持つ機会となれば良いと思うのですが、はたしてどう進むか。


一時の流行で過ぎてしまわないように、しっかりと制度を運用して、森林を活性化し、また温室効果ガスも削減し、その木々を大切に使うことで先々まで豊かな森林を維持できる国になって行けばいいなぁと思います。

その一翼を担う木材業界、もっと皆さんに木のよさと大切さを知ってもらい、森林活性化につなげていきたいものです。




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芸術鑑賞 -ルーブル美術館展- 


先日、やっとこさの休みを使って、ただいま京都市美術館にて開催されている「ルーブル美術館展」に行ってまいりました。


ルーブル美術館展 カタログ 日本語版

  日本語版カタログ 買ってしまいました。

  日仏対訳版ハードカバーも限定販売してましたよ。



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無垢材は手入れが大変でしょう!?


よくいわれます。今日も言われました。

「無垢材って、メンテナンスが大変だし、手入れできないですよねぇ。お金のある人はできるでしょうけど。」


んん?!!ちょっとまてよ・・・・

いつも思います。この言葉の意味が私には理解できません。

そもそも、何が大変で、なぜ手入れできなくて、なんでお金に余裕がないとできないんでしょうか。


まず、比較するものとは何でしょうか。

工業製品の木目調の建材やフローリング、又家具類ですね。

これらは一般的に価格も手ごろでいつでも安定して入手でき、品質が均一で買ったその時から美しいという点があります。

ですが反面、価格の通りに価値もそこそこなものが多く、いつでもどこでも入手できるため、全く個性もなく工場出荷時が最大限に美しく、今後最も大事だとされる長寿命住宅に使用され場合に、10年、20年後でも経年美を出せるかというと不可能です。

つまり、いつでも手に入るのは一時の満足しか生みにくいと思うのです。


古来より、「悪銭身につかず」という言葉があります。

「EASY COME, EASY GO」です。

言葉のニュアンスは違うかもしれませんが、たやすく手に入るものはまた失いやすくもある・・・という意味ですが、まさに工業製品はこれにあたると思います。


いつでも安価で入手可能であるがゆえに、その価値が失われるのも早く、長続きしません。

メンテナンスが楽といって、大切なお宅の床材に合板フローリングを勧めたがる方がたくさんいらっしゃいますが、本当に住まわれる方の将来をおもえば、一時の美しさで住宅を売ってしまうようなことはせず、先々まで手をかけてでも育んでいける、無垢材のフローリングをお勧めするのが本当だと思います。


それに、メンテナンスが楽というのはただの売り文句であって、手を加えられないだけである場合が殆どです。


それに比べ本物の無垢材は、一時の出費は大きいかもしれませんが、住み続けていっても経年変化こそしますが、よほどでない限り激しく劣化はしませんし、その経年変化に愛着が生まれたり、美しさを増したりします。


当然、無垢材と付き合っていくにはその特徴をよく理解する必要があるので、万人に勧めるわけではありませんが、賢明な方ならわかるはずです。

製造する時にたくさんの化石燃料を燃やし、また廃棄サイクルも早いため、廃棄の時にまた償却でエネルギーを使わなくてはならない工業製品より、二酸化炭素を吸収固定しながら成長し、化石燃料を使用せずに土にも還すことが出来る無垢材のほうが、環境的にも優れていることを・・・・


住宅内のドアなどもそうです。


外国の古い家具やドアもそうですし、日本の古い家具なども無垢の木材のものはとても価値が高く、「アンティーク」としてその価値を高めています。

そして、それを求める方がたくさんいらっしゃいます。価値があるからです。


ですが、今の住宅のような紙のシートに印刷された柄のドアでは経年でシートがはがれてきても、決して価値があるとは思えないはずです。

それは何の違いでしょう・・・


本物と、そうでないものの違いです。

本物を使用していない住宅に価値を見出すのは難しいはずです。

紙のシートの住宅でも生活は当然出来ますが、ただそれだけが住宅ではないからこそ意味があるのであって、だからこそ価値が出るものになるように思うのですが・・・


冒頭の無知な質問のように、皆さんも目の前の住宅を物として販売する手法に惑わされず、しっかりと自分の生活スタイルや住宅の価値についての判断をつけてから、購入されることをお勧めします。

当然、本物の住宅の方を・・・ですよ。


その時の一助となれるような材木店を目指しています。

価値ある住宅へ・・・











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コラムの続き・・・


結論から書きます。

昨日の記事でのせていた、白檀材で仏像を・・・という話ですが、7月15日付けの読売新聞夕刊で、結果がでていました。

結論だけをのべると、何度も何度も現地インドに折衝に通った成果で、何とか特別に輸出許可がでて、観音像は完成したそうです。


しかし、最も驚くのは白檀の原木の輸入量です。

重さで23トン!!ですって。

しかもそこら辺の丸太とはわけが違う、輸出入禁止の白檀です。

をれを23トンとは・・・確かに観音像を彫るんですから、普通の彫刻とはわけが違うのですが、それにしても驚きの量です。

そして、これだけのものを輸入できるまでにこぎつけた熱意にも驚くところです。


何事にも熱意を持って取り組んでいかなければ・・・と想い新たにするコラムでした。


今回のお寺は滋賀県の湖東地方の西国霊場32番札所、観音正寺というところです。

皆さんも(わたしもですが・・・)一度機会があればご覧になってみてはいかがでしょうか。

いつも手を合わせるのとは又違った気持ちで観音さまを見ることが出来るかもしれません。




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白檀の香り


昨日の読売新聞夕刊記事で、「お寺を歩く」というコラムがあります。

出だし抜粋・・


「仏像は、向かい合う人の心を映し出すという。ときに笑みをたたえ、ときに悲しみや怒りをにじませる。」

とあります。


ホントにその通りだと思います。

清い心で手を合わせるときもあれば、少し気分が不安定な時もある。

それでも受け止めてくださるのが仏様かもしれません。


さて、そのコラムに白檀の香りについて書かれていたので、少し興味を惹かれました。

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夏の風物詩


梅雨空が続いている、と思いきや晴れ間がのぞき、また雨が降る。

そんな毎日で梅雨らしい季節感を味わっていますが、今年は雨が降るときと降らない時のメリハリ?!があるので、仕事は順調にはかどっているので、とてもいい梅雨であります。


さて、そんな梅雨空のもと、我が家に仲間が増えました。

といっても子供が産まれたわけではなく・・・・大人がうまれました・・・


なんのこっちゃ・・ですが、実は夏を感じさせる「カブトムシ」が、蛹から成虫となって、でてきたのです。



カブトムシ2








しかも連日の4匹。

しかもしかも、みぃーんなメス・・・・

幼虫を飼ってきてはいたのですが、この夏の暑さです。しかもクーラーのない(オン・オフではなく設備がない!!)我が家では、成虫にならないのではないかと思っていましたが、6匹の幼虫のうち今のところ4匹が出てきてくれました。

子供たちは大喜びで、毎日眺めています。


どうして、そんなに成虫になるかどうか心配だったかというと、昨年も外来種のカブトムシの幼虫を飼っていたんですが、夏の暑さが乗り切れず、可愛そうに全員死んでしまったことがあったため、余計に今の国産の4匹が出てきてくれて嬉しいのです。

今はしっかりと餌のゼリーにしがみついています。


元々カブトムシはクヌギなどの樹液に集まります。

栗やコナラ、クスノキにも集まるそうですが、やはりイメージとしてもクヌギでしょう。


クヌギとは「国木」の訛ったものであるとか、「食之木」の訛だとかいう説のあるぶな科こなら属の樹木です。


昔から薪材にしたり、農機具に使ったりして生活に密接に関わってきた木材です。

もちろん、樹液を提供して昆虫を集める樹皮に登った記憶のあるかたも多数いらっしゃると思います。

ぶな科なのでどんぐりがなり、落ち葉は堆肥になるという優れた木材です。

しかも、昆虫を集める魅力は子供たちをも集める力があります。

木をにらめつけて昆虫を探した日々が懐かしいですねぇ。

そういう意味ではとても生活に深く関わっている木材だと思います。


そのクヌギの木によじ登るカブトムシたちを見て、「あぁ、私もこうやって自分に集まってもらえるような人物にならないといけないなぁ。」と考えてしまいます。

魅力ある人間。

難しいですねぇ。

魅力ある木材はすぐわかるのになぁ。

今後も魅力がある材木屋になるために情報発信を続けていきますので、ぜひご覧になってくださいね。


請うご期待!!

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店頭展示、やってます。今は国産ぶな耳付き板です。

国産ぶな片耳付き無垢一枚板店頭展示






戸田材木店・セルバ店舗では、こんな感じで店頭にて無垢の木材の展示即売をしております。(雨天は展示を控えております。)




今は国産のぶなの木の、片側だけ丸太時の皮部分の残った無垢一枚板を展示しています。


今まで、神代杉の杢出し敷板や、クスノキの耳付き板、木曽桧の幅広耳付き板などを展示してきました。

今回のぶなの木は、幅はそんなに広くはないのですが、柾目木取りのため「斑」がでているのが特徴です。

ぶな柾目の斑








ぶな科の木材によく見られるこの「斑」模様。

一番有名なのはオーク(楢・なら)「虎斑(とらふ)」でしょう。


さざ波のようにキラキラと輝くあの虎斑は、いつまでも眺めていたくなる様な美しさを持っています。

ぶなは板目では胡麻のような控えめな斑がでていますが、やはり柾目に挽くと綺麗な斑がでてきます。

そもそも、ぶな科の木材はどんぐりのなることで容易に見分けがつきます。

ぶなの木のどんぐりは、ほかのどんぐりよりも美味しい!??らしく、熊は好んでぶなの木のどんぐりを食べるといわれています。

一時期、熊が一里に下りてきて・・・というニュースをよく目にしましたが、ぶなの木や、その他のどんぐりのなる木が減少しているのも、一つの要因かも知れません。


ぶなの木は漢字で「木では無い木」と書いて「橅」です。

何と可愛そうな木だと思いませんか?!木ではないといわれる木なんて・・・


というのも、ぶなは昔は比較的たくさんの材があったのですが、なにぶん曲がり等が出やすい事と、感想が難しくカビがつきやすかったり、保存耐久性もそんなに高くないことから、木材としての用途があまり期待できないといわれていたそうです。

そこから、こんな用途の無い木は木ではない・・・といわれ、今の漢字「橅」があてられたそうです。

なんかかわいそうですよね。


ですが、そんなぶなの木も最近ではヨーロッパからの輸入のぶな(ヨーロピアンビーチ)が多く出回る様になり、昔のイメージから脱却しつつあります。


オーク材のように曲げ木にしてイスをつくったりする家具や、子供のおもちゃにもよく使われています。
輸入玩具などはかなりの確率でヨーロピアンビーチが使われているはずですから、注意してみてください。


さて、現在弊社で展示しているのは国産のぶなの木です。

しかも天然乾燥材です。

ですから、ぶなでは特に出やすい天然乾燥の印!?である、カビや若干のヤケ(普及の一歩手前の段階)跡があったりします。

急激な人工乾燥ではなく、自然のままに乾燥させた結果です。


少し珍しい材料ですから、小さいおもちゃを作るもよし板のままで控えめなカウンターとしてもらうもよし。

是非一度ご覧になってください。


材木屋というと、少し入りづらい雰囲気もあるかもしれませんが、木材についての疑問にお答えしますので、建材商品以外についてでもお話できればと思います。

お気軽にお立ち寄り下さいね。



*ぶな材の注意点

・ぶな材は散孔材のですが、白太がキクイムシの被害を受ける可能性があります。特に耳付き材ですので、白太部分を含みますので、あらかじめご了承下さいます様お願いいたします。

・カビやヤケのでやすい樹種です。用途によりご検討いただきたく思います。

節



  大きな節の部分






国産ぶな 柾目片耳付き一枚板


・寸     法 :長さ約2m×幅19cm〜28cm×厚み4.5cm
          
・形     状 :無垢柾目一枚板 節、カビ跡、ヤケあり

・価     格 :¥3980(税込)/枚

完売いたしました。ありがとうございます。

・運     賃 :別途 地域によりお問い合わせ下さい

・状     態 :天然乾燥材、仕上げ加工別途です。

展示ポップ









*ご検討前に、下記ご注意と弊社からのメッセージをご覧ください。



ぜひ一度お問い合わせください





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木表と木裏


人間にも表と裏があるように(笑)、木にも表と裏があるんです。

そして面白いことに、表と裏で性格(?!)が違っているのも人間とおんなじです。

木表・木裏とは・・・

木材を板状に製材した時に、木の樹皮側(丸太の外側)に近い方を木表、逆に木の中心(丸太の芯の方)に近い方を木裏と呼んで区別しています。

杉板 上が木表




  写真の板の上側が木表側、反対が木裏側



対面柾目



  

 これも、写真角の上側が木表です。







どうして、そんな区別をする必要があるのか?・・・

それは先にも述べたとおり、木表と木裏で性格が違うため、使い方が異なるからです。


木材を加工したりして使う場合には、いろんな決まり事がありますが、それも木表と木裏に関係していたりしますし、建築の場合でもやはり木表と木裏の使い分けは重視されています。(他に、収縮率の違いや、製材方法の違いなどの要素もありますが、ここではいったん省きます。)

木表は光沢があり、仕上げ面が美しいという利点があります。

木は板状に製材されると、ほとんどが木表側の両端が持ち上がるようにして反ってきます。


上が木表下が木表
 右が木表を上に向けた場合、左が木表を下に向けた場合。

反り方がわかりますか?!



これは、木表と木裏の収縮率の違いからくるものです。
要は、乾燥の時に引っ張られた結果のようなもんです。

そして、木表は木材の年輪部分がめくれるように立ってくる現象が起きにくいということがあります。

杉板 木表側木目



 木表の木目です。




その反対に木裏では、反りは木表に引っ張られますし、木目も木表と違いタケノコがめくれていくようにはがれてくる(逆目)ような現象がおきます。

杉板 木裏木目


 木裏側の拡大です。
 なんか年輪のてっぺん、先の方がめくることが出来そうな雰囲気でないですか?




これを避けるためにも、桧や杉などの針葉樹の場合は特に木表を化粧面(仕上げに使う面)に使用しなければなりません。

ですが、板材やフローリングなどを丸太から木取りする場合には、効率的にいうと木表を化粧面として木取りするより木裏を使うように木取りした方がよいのです。

というのは、丸太はその字の如く、丸い形をしています。

ですから、板を取ろうと思ってもどうしても木の樹皮側、つまり木表側は最終的には丸みといって、丸太の外皮の丸いカーブが板の表面にでてくるので、幅が広くとれないことになります。

ですが、そこを木裏を使うような意図で木取りすると、最後の方の製材の板の木表に丸みがついても、裏側(木裏。木の中心に近い方)はまだ四角く角を残して製品にすることができます。

これが大きな違いでしょうか。


他には、昔の田舎家なんかでは破風板といって、屋根の端っこに取り付ける化粧材を木裏指定で納入したりしていました。

これは、木裏の方が水湿に対して抵抗できるからだそうで、雨の掛かったりする場所に使う先陣の材料の工夫が感じられます。


そして、特殊なものとしては、能舞台には木裏の材を貼り、板材が太鼓状にふくらんだところを役者がふみならすと、とてもよい音響効果がえられるというのと、先ほど述べたように逆目がちになるので足がひっかかり、滑りにくいという利点もあります。

また、舞台の背景である絵を描く板材も木裏で出来ています。

木裏は艶が少なく、油分も出にくいため絵を描いても薪の炎の明かりを過度に反射させず、鑑賞しているお客様が薪の幽玄な雰囲気を味わいつつも、反射光によって背景ををさえぎられることなく鑑賞できるようになっているんだそうです。

すごいですよねぇ。

こんな違いがあるんです。


ただ、ケヤキやナラのような広葉樹は木表と木裏の区別はありますが、針葉樹ほどは神経質に使い分けてはいません。

タモ板タモ木口 

 タモ板材です。
 右写真の上側が木表側です。 




タモ木表タモ木裏

 

 左が木表木目、右が木裏木目。わかりますか?!






針葉樹のように木裏の木目がめくれてくるようなこともほとんどありませんから、よほど表裏を気になさる方以外は、木表も木裏も両方使っています。


また、木材には製材の仕方によって、柾目木取りというのがあります。

杉柾目



 高樹齢 百年杉柾フローリング




四方柾目


  これなら、四方柾(角材のどの面も柾目になる挽き方)がでます。




この場合、木の木目がタケノコ状になっておらず、平行に並んでいるため反りも少なく木表木裏の区別もありません。

例外といったところでしょうか。


こんな感じで、一口に木材といっても種類だけではなく、人間のようにその種類・形ごとの性格があることがわかりますね。

確かに少し話は難しいかもしれませんが、生き物相手のことです!

それくらいじゃないと、付き合いがいがないではないですか・・・・ね?!

もっともっと木のことについて知ってもらえれば、楽しく学びながら環境的にも個人的にも、有意義な生活になるんではないかと思いますので、どんどんご紹介していきたいと思います。

(いいことずくめではありません。天然材ならではの注意点もありますので、詳しくは弊社からのメッセージをご覧ください。)



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黒柿角材


先日のお客様からのお問い合わせの時に出してきた、黒柿角材をご紹介します。


黒柿ナンバー2 片面








皆さん、「パーシモン」って聞いたことないですか?!

ゴルフ大好きな方にはピーンと来る名前ですよね。

木材の知識がなくても、ゴルフ好きには分かってしまう英語名、「パーシモン」こそが、「柿」という意味です。

実際、ドライバーのヘッドに珍重されていたものは、厳密にはアメリカ産の同族樹種のパーシモンですが・・・


国産栂(つが)無垢フローリングの材料である「栂材」の「tsuga」と同じく、この柿も学名に「kaki」の字が入っている、珍しい樹種です。

果実の柿はよく目にしますが、木材で柿となるとそう簡単にはお目にかかれません。

それも黒柿です。

実は、あの黒檀もカキノキ科ですから、黒檀の黒さのイメージからすると、黒柿の黒色の濃さを想像できると思います。


さて、木材の柿ですが、比較的重硬ですが一般的にはそんなに大きくは育ちませんので、なかなか、材を見ることは少ないと思います。


黒柿ナンバー2 反対



  裏側はこんな感じです。
  全て黒いわけではありません。




材質としては、木肌がツルッとしていて木目が目立たず、木材らしい表情はあんまりありません。

しかし、重硬な割には刃物の通りがよく、その装飾性の高さから細工などにも用いられています。

元々柿の木の材は黄色から肌色っぽい褐色の材面をしていますが、突然変異的に黒色に発色したものが黒柿で、茶道具や、床材(とこざいとよむ。とこのまの材料)として珍重されているんですが、大きい材がないのと、割れや虫食いが多いことから、なかなかよい部分だけを木取りすることが難しいこともあり、さらにその価値を高めています。

昨年開催された奈良正倉院展に出展されていた、宝物のなかにも、黒柿製のものが多くありました。
それほど昔から珍重されていたという証拠でしょう。

あの、何ともいえない「くもの巣」のような杢は、人為的にもあんなに美しくは出来ないだろうというくらいに素晴らしく、不思議に満ちています。

手で触っているだけでも艶の出る性質があるので、使い込むほどに美しくなるという一面も持っています。


一時、黒柿の代用材として、タイ産のシャム柿がよく流通していました。

黒柿と混ぜて(というか、黒柿として)床柱に加工して売られていました。

今でも、黒柿の床柱は大概がシャム柿か、それに似た樹種であることが大半です。

重くて硬いのですが、黒柿よりは加工性に劣りますので、やはり代用材は代用材です。


殆ど流通しない黒柿、それも比較的小さいサイズでご用意できます。


黒柿ナンバー4 表


  少し大きめの材




もし、お探しならご一報下さい。

彫刻趣味の方も、一度は話のネタに?!黒柿作品にチャレンジしませんか?

お問い合わせお待ちしております。


黒柿










  黒柿角材


・寸     法 :長さ18cm×厚さ12cm×15cmより(一例)
          
・形     状 :無垢角材 割れや虫穴を含む

・価     格 :¥4000(税込¥4200)/個〜大きさにより

完売いたしました。ありがとうございました。

・運     賃 :別途 地域によりお問い合わせ下さい

・状     態 :天然乾燥材、仕上げ加工別途です。


*ご検討前に、下記ご注意と弊社からのメッセージをご覧ください。


・ご  注  意 :
          
1、材には割れや、虫食いの跡があります。ですので、表記寸法のまま使用できないこともあります。材の性質としてご理解下さい。



ぜひ一度お問い合わせください



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