2024年12月15日
材木屋、天然林に学ぶ 追記〜人がかかわる天然林とは?〜
前回の芦生天然林の様子、少し伝わったでしょうか。
針葉樹人工林材の扱いが一般的な街の材木屋さんが、およそ100年は人がかかわることのなかった天然林を歩き、学ぶこと。
当日は、人工林との違いというところまではお話できませんでしたが、弊社がほかのメンバーに見てほしかった部分は、歩くことができたのではなかったかと思います。
その数日後、実はまた異なる天然林に行っていたことを、補足としてご紹介します。
どうして、前回の芦生天然林に行く必要があったのかということ、紅葉狩りや観光ハイキング目的ではなく、繰り返しになりますが材木屋さんが針葉樹人工林以外を学ぶため。
今では、人工林=森であり利用促進が叫ばれています。
しかし、人工林だけが森でも山でもありません。
人がかかわった人工林と、人がかかわることのなかった天然林の違いをみることで、新しい森林や森への見方ができるのではないかということが、狙いの一つでした。
そして、今回の森はまた違って「人がかかわっていた天然林」です。
天然林、というと全く人の関りがないと思われるかもしれませんが、そうではない場合がほとんど。
ここも、人がかかわってきた後に自然の力で現在の姿になっている場所です。
11月下旬の日本海側ですが、やはり紅葉がきれい。
でも、着目するのはそこではなくて、近畿の日本海側の山林の一部で、このような広葉樹林が「育って」いること。
そして、そこは人がかかわってきた場所であること。
人がかかわるというと、どうしても植林でスギやヒノキを一生懸命に植えて、間伐して育て上げられた場所、という印象を持っていませんか?
イメージというのは非常に重要でありながらも、見方を左右してしまう大きなファクター。
ここの場合は、人と森の関りが深かった時代の森のその後です。
古くは薪をいただき炭を焼いていた場所。
町を見下ろすほどの標高の場所なのに、こんなところで行われていたのかと思ってしまうほど。
そして、一見すると雑草もなく美しい広葉樹林と感じるかもしれませんが、そこが敢えての見どころです。
岩がごろごろと転がる地表面。
肥沃な土地、という場所ではありません。
雪も積もるため、木々の根際はおおむね大きく曲がっています。
それだけじゃありません。
木々以外に、低木やそのほかの草木がないことがわかるでしょうか。
この状態をきれいに整備されている、と思うこともあるでしょう。
日本で規定されている林業としては、しっかりと下刈りがされていて美しく補助金もきちんともらえる山、と見えるかもしれません。
しかし、本当はそうではありません。
この「きれいさ」の原因はシカが作ったもの。
一見見通しが良いものの、木々の次の世代が育ちにくい状況である場所です。
マツが残っていたり、数種の広葉樹がゆっくりと育っている、興味深い森なのですが人の関りがなくなったことから、現在ではシカの関りが大きな課題になっている場所。
天然林というのがいつも良い場所、正しい場所ではなくて、人がかかわった後放置された場所がどのようになるのかの一つの答えで、天然更新はしているものの、この次の時代にはシカが好まない木々しか見えない森になるかもしれない。
針葉樹人工林しか見ていないと、気が付かない場面。
そこは、芦生天然林と同じような視点で見てもらいたい場所。
でも実は、ここに行くことができたのは関わる人がいるからです。
今、一所懸命にこの場所を活かしていこうとされている方がいらっしゃって、皆さん笑顔でこの場所を見ていらっしゃる。
大きな木材を生産できるわけでも、道があって原木を出してくるわけでもない場所ですが、広葉樹薪を生産したりしながら、この場所に思いをもって通っていらっしゃる。
お話して、とてもいろいろな考えを持っていらっしゃって刺激をもらいました。
50年で伐期だとか、育ててきた材が安すぎるとか、針葉樹人工林の考え方一択が当てはまらない、広葉樹の森。
今後どのようになるのか楽しみですが、人工林だけではなくこのような天然更新の森にも人がかかわり、森づくりをされている。
こういった森にも視点を得て、材木屋さんも自身が扱う木材のことや森林のことへの新しい目線が得られればと思うので、いずれここも皆で学べればいいな、と思うところでした。
もうそろそろ、材木屋さんも針葉樹人工林以外の話をしないとね!
・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ
*2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
*消費税10%への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。(ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。)
木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。
・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html
・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp
・無垢材と樹木が大好きな材木屋が配信する、きのむしラジオ | Podcast on Spotify
https://open.spotify.com/show/6HBMrFR3UFHaNLNfgdFE8l?si=ff6525ab5d0f464a
針葉樹人工林材の扱いが一般的な街の材木屋さんが、およそ100年は人がかかわることのなかった天然林を歩き、学ぶこと。
当日は、人工林との違いというところまではお話できませんでしたが、弊社がほかのメンバーに見てほしかった部分は、歩くことができたのではなかったかと思います。
その数日後、実はまた異なる天然林に行っていたことを、補足としてご紹介します。
どうして、前回の芦生天然林に行く必要があったのかということ、紅葉狩りや観光ハイキング目的ではなく、繰り返しになりますが材木屋さんが針葉樹人工林以外を学ぶため。
今では、人工林=森であり利用促進が叫ばれています。
しかし、人工林だけが森でも山でもありません。
人がかかわった人工林と、人がかかわることのなかった天然林の違いをみることで、新しい森林や森への見方ができるのではないかということが、狙いの一つでした。
そして、今回の森はまた違って「人がかかわっていた天然林」です。
天然林、というと全く人の関りがないと思われるかもしれませんが、そうではない場合がほとんど。
ここも、人がかかわってきた後に自然の力で現在の姿になっている場所です。
11月下旬の日本海側ですが、やはり紅葉がきれい。
でも、着目するのはそこではなくて、近畿の日本海側の山林の一部で、このような広葉樹林が「育って」いること。
そして、そこは人がかかわってきた場所であること。
人がかかわるというと、どうしても植林でスギやヒノキを一生懸命に植えて、間伐して育て上げられた場所、という印象を持っていませんか?
イメージというのは非常に重要でありながらも、見方を左右してしまう大きなファクター。
ここの場合は、人と森の関りが深かった時代の森のその後です。
古くは薪をいただき炭を焼いていた場所。
町を見下ろすほどの標高の場所なのに、こんなところで行われていたのかと思ってしまうほど。
そして、一見すると雑草もなく美しい広葉樹林と感じるかもしれませんが、そこが敢えての見どころです。
岩がごろごろと転がる地表面。
肥沃な土地、という場所ではありません。
雪も積もるため、木々の根際はおおむね大きく曲がっています。
それだけじゃありません。
木々以外に、低木やそのほかの草木がないことがわかるでしょうか。
この状態をきれいに整備されている、と思うこともあるでしょう。
日本で規定されている林業としては、しっかりと下刈りがされていて美しく補助金もきちんともらえる山、と見えるかもしれません。
しかし、本当はそうではありません。
この「きれいさ」の原因はシカが作ったもの。
一見見通しが良いものの、木々の次の世代が育ちにくい状況である場所です。
マツが残っていたり、数種の広葉樹がゆっくりと育っている、興味深い森なのですが人の関りがなくなったことから、現在ではシカの関りが大きな課題になっている場所。
天然林というのがいつも良い場所、正しい場所ではなくて、人がかかわった後放置された場所がどのようになるのかの一つの答えで、天然更新はしているものの、この次の時代にはシカが好まない木々しか見えない森になるかもしれない。
針葉樹人工林しか見ていないと、気が付かない場面。
そこは、芦生天然林と同じような視点で見てもらいたい場所。
でも実は、ここに行くことができたのは関わる人がいるからです。
今、一所懸命にこの場所を活かしていこうとされている方がいらっしゃって、皆さん笑顔でこの場所を見ていらっしゃる。
大きな木材を生産できるわけでも、道があって原木を出してくるわけでもない場所ですが、広葉樹薪を生産したりしながら、この場所に思いをもって通っていらっしゃる。
お話して、とてもいろいろな考えを持っていらっしゃって刺激をもらいました。
50年で伐期だとか、育ててきた材が安すぎるとか、針葉樹人工林の考え方一択が当てはまらない、広葉樹の森。
今後どのようになるのか楽しみですが、人工林だけではなくこのような天然更新の森にも人がかかわり、森づくりをされている。
こういった森にも視点を得て、材木屋さんも自身が扱う木材のことや森林のことへの新しい目線が得られればと思うので、いずれここも皆で学べればいいな、と思うところでした。
もうそろそろ、材木屋さんも針葉樹人工林以外の話をしないとね!
・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ
*2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
*消費税10%への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。(ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。)
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