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巨樹は林業の産物?! 〜山住神社のスギ(山住杉)〜

イレギュラーですが、続けます。

木まぐれコラムが連投になることはいつものことですが、今回は巨樹連投です!
まぁ、木まぐれコラムのおかげで先日の大栃が2か月ぶりの投稿だったのですから、たまにはいいでしょう(笑)。

というよりも、本当のところはここを紹介しておきたかっただけのこと。
というのも、前回の大栃から今回の神社ヘは、同じ道をたどりさらに山頂へと昇った先が目的地だからです。
一日で一筆書き巡りをモットー(?!)にしている担当の巨樹巡りにおいては、ここを紹介せずにはいられませんし、もし拙記事をご覧になり訪問される方には、市街地は抜きにしてもこの場所だけは、同じ苦労で二度上ることのないように、「一筆書き」で訪れてほしいからです。


山住神社のスギ(山住杉) 3


前回のアカクボ沢の大栃から東へ、ファイティングなほどの九十九折れをくぐりぬけて向かうのは、標高1000mを超える峠道。
今までの道路から、うそのように広くなった分岐点に山住神社が鎮座しています。

あれ?こんなに観光の人たちの車があるんだ・・・と少し驚きますが、スーパー林道(担当は昔から「スパリン」と呼んでましたが・・・)や春野町方面からの道の交差する部分であるために、登りで出会うことのなかった人たちが、一気に集まっている状況。

そして、そこにある山住神社がこれまたすごいのですよ。


山住神社のスギ(山住杉) 17


道路からすぐ、開けた視界の先に見えているしめ縄がまかれたスギ。

山住神社のスギ、山住杉です。
一般的には、参道の両脇に鎮座する、というイメージが強いのですが、ここでは参道のど真ん中に居る。
そして、社殿を守っているかのようであり、参拝者をその人間性で選別するかのよう(担当のイメージ)に、太い幹を張り出しています。

静岡県の天然記念物に指定されている、二本のスギ。


山住神社のスギ(山住杉) 7


樹齢、約1300年!
約、ではなく屋久杉並みの樹齢ではないですか!!

スギやクス、イチョウなどの全国に巨樹を見る樹種の中には、1000年という時間を超える者たちが多く存在するのは確かですが、当地との違いは実は、材木屋にも非常に興味深いところなのです。

担当が当地を紹介したかった理由は、大栃に近いということ以外に上記の理由があるのです。

スギという樹種は、非常に歴史が長く人とのかかわりも永いうえに長寿であるがために、伝承は多くあるものの、化石や発掘物以外で史実として残っているものは、思った以上に少ないと思われます。

解説板によると、当地に神社鎮座の頃にご神木として植栽されたものとのこと。
そして、それが伝承ではなくかの有名な伊勢湾台風の折の倒木の年輪で確認できている、というのですから驚き。


山住神社のスギ(山住杉) 12


担当は、その年輪を見たことはないのですが、それにしても1000年をゆうに超える年輪を数えるものとしては、幹の太さが若干足りないようにも見えなくもないのですが、それはそれ。

巨樹というのはロマンのかたまり。

史実と突き合わせる学問や証明ではないのです。
十分に迫力のあるこの姿で問題なし。

いつもならそう思うところです。
しかし、材木屋としての興味はまた別の次元であり・・・

巨樹としての樹齢もさることながら、もう一つ担当が気になるのがこの地域では相当早くから植林が根付いていたのではないか、ということ。
根付く、というのは習慣として行っていたのでは、と思うこと。

境内では、注連縄の二本以外にも社殿から山側を見ても、相当に太いスギが林立しています。


山住神社のスギ(山住杉) 15


上部こそ、既に人の影響も周囲の影響も受けない自由な枝ぶりになっていますが、非常に整った樹形と素直そうな素性を感じる姿。

それらは、同時期に植えられたものと推察するのですが、当地近くにある巨樹の春埜杉が位置する山も、昔の献木植林により大木の森となったと記されていた記憶があります。
植林の歴史は簡単には語れませんが、体系的にまとめ林業とした最古は彼の地ですが、此方でも宗教的な献木植林や一般的な植林は、かなり以前から継続的に行われていたそうですから、当地のこれらの巨樹も、完全なる植林によるものだったのかもしれません。


山住神社のスギ(山住杉) 14


とはいえ、境内の二本は植林での優秀木である母樹などと比較すると、自然の厳しさを知った天然の巨樹の様にも感じる風格がありますから、真偽のほどは想像で楽しむことにしましょう。

歴史とその土地の事を考えることも、巨樹巡りでの楽しみの一つですね。

因みに、当地で治山治水や植林林業に大きく貢献した人物は、一カ月ほど前に残念な事件で有名になってしまったものの、社会的に重要な役割を担って下さっている保護司、という方々の創設にも関わったらしい、非常に功績の多いお方。

本当に、昔の偉人は計り知れないスケールの人が居たものです。
屹立する如くに急峻な山にもかかわらず、立派なスギ巨樹を擁する当地の理由が少しわかる気がします。


山住神社のスギ(山住杉) 18


写真ではあまり太くは見えなかったかもしれませんが、十分な太さですよね?

手前のスギの左に居るのが担当です。
下界よりも清々しい空気の中、しばし日差しの暑さも忘れて木陰に。

先日の大栃の、ザ!広葉樹とは異なり、まさしく!針葉樹という大スギ。
樹高もあり、立派な姿とこの立地は是非、大栃とともに訪れて頂きたいと思います。

訪問時間がかかりますから、きっちりと時間配分されることをおすすめしますよ!

そして、お腹がすいたり喉が渇いた時は道路挟んですぐのここ、山住茶店大杉へ!


山住神社のスギ(山住杉) 19


おそばにおうどん、そしてヤマメの塩焼きまで!あるみたい。
過密スケジュールで道を急ぐ担当は、立ち寄ることを許されませんでしたが、ぜひヤマメの感想を聞いてみたいものです。

食された方はぜひ、コメント下さいませ(笑)。


山住神社のスギ(山住杉)所在地

静岡県浜松市天竜区水窪町山住

緯度:35.13510027
経度:137.91406615

駐車スペースあり


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