空を見上げて
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巨樹巨木、徳島のクス編

いつかはやり遂げたいことの一つに、巨樹巨木の網羅、があります。
もちろん、叶わぬ夢なのですけれど、縁のある(その場所に行ける)時には欠かさず写真に収めています。

そして、本来はその位置関係を一覧にして公開したい!
そう思い弊社のホームページには、日本地図を配し巨樹の位置を少しづつポインティングしています。
いや、し始めていたのですけれどお願いしていたホームページ制作担当が、途中から音信普通になり・・・
ということで、本当ももうかなりの数を日本地図に落とし込めていたはずなのに、未だ全く進んでおりません。

おおよそ月イチで進めている、ブログでの巨樹記事。
それもホームページとリンクさせているものの、ブログでもある程度一覧できればいいのにな・・・と思っていました。
今回は、そんな想いから一部ではありますが一つの場所に絞って、いくつかの巨樹を紹介してみようと思うのです。

紹介するのは、徳島県。そして樹種はクスです。

弊社の位置する大阪府でも、南部では多くのクス巨樹に逢うことができます。
しかし、徳島県も見事なクスが多く存在し、どこを紹介しようかと迷うのです。

だから今回は徳島県のいくつかのクスを、一つの記事で紹介します。一応、関連・・・いや担当なりの連想があるのですよ。
まずは弊社のお付き合いがある製材所のある吉野川市。
吉野川、と聞くと大阪の材木屋さんでは奈良県を思い浮かべるかもしれませんが、徳島県!


徳島県吉野川市 井田の大楠1


住宅街にあり、その根がブロックを突き破っている(凄っ)クス。
井田の大楠です。

太さも立派ですが、上部で分かれる幹も十分に太く、そして横に広がるのではなく上方に伸びていく勢いが、樹勢の強さを感じます。
住宅街、というよりもほぼ近隣の家の下にも根を伸ばしていることが確実で、見えているよりも更に強靭な根が駆け巡っていることは想像に難くないところ。

その姿は、離れた場所からでも十分に確認できます。


徳島県吉野川市 井田の大楠2



そう、この風景が一つの徳島県。
私の勝手なイメージですけれど、神戸市も海から山へかけて急峻なイメージですが、神戸よりも更に山が近く感じるのが徳島県。

平地の住宅街の裏手がすぐに急斜面!というくらいに山が近く感じます。

もちろん、徳島県を隔てる剣山系から離れるほどにその印象は薄くなるのですけれど、担当の印象はこの景色なんですよね。

住宅とこの樹形の比較で、大楠がどれほどのスケールかがおわかりになるでしょう。

これこそが、クスのスケールです。

吉野川市は、その名の通り吉野川という川が流れていて、大阪でいう淀川のようで親しみを感じてしまいます。
その吉野川の堤防沿いに鎮座しているのが、西川田の大クス。


徳島県吉野川市 西川田の大クス1


マップで確認したとき、本当にこんな川べりに?!とおもったのですけれど、ありました本当に。

堤防から一段下がったところに鳥居とともにたたずむ巨躯。
その枝は、きちんと堤防を越えたところから上部へ伸びています。

植物が、空間を認識したり感覚のような知覚を持っていることは近年科学的にも知られ始めていますが、いつ見てもこのような樹形には植物の命を感じずにはいられません。

JR徳島線の川田駅からほど近い場所ですが、堤防への道沿いなので駐車スペースは十分ではありません。
しかし、鳥居があるだけのことはあり、クスの周囲は開かれています。


徳島県吉野川市 西川田の大クス2


立派な社殿があるわけではないのですが、守られ信仰されてきたのだとわかる配置になっています。

空に明るさがあっているために暗くなっていますが、担当の比較からわかる通り、こちらもこの立派な巨躯に近づくことができます。

できることならば、やはりそのそばに寄って見上げてみたいのが巨樹。
迫力を感じることができますし、一層観察することができますからね。

離れた場所からもよいものですが、カメラとは異なり人間の目が優れているのは、周囲が少しぼやけるようなピントだとしても、全体を頭の中で組み立てながらも近くに焦点をあわせることで、そのすべてを脳裏で認識できることだと思います。

見えていない部分まで認識できる、そんな感覚というか。
担当の個人的な感覚ですけれど。


さて、吉野川市で忘れてはならないのはここです。


徳島県吉野川市 壇の大クス3


推定樹齢、950年の大クス。
指定年月日が昭和40年(1965年)!
ということは、現在令和5年(2023年)ですでに1008歳!?
千年巨樹の世界です!

1000年の巨樹に、車でひょいと会えるのがここ。
はっきり言ってすごいですよ。
想像以上でした。
写真というのは、良くも悪くも想像とは異なるものだと痛感したのが壇の大クス。

だって、これですもの。


徳島県吉野川市 壇の大クス1


わかります?この幅広さ。

それに、前記のように若干逆光の出来損ない写真のように見えます(そうかもしれない・・・)けれど、当地はクスの大枝に覆われて、昼なお暗いのです。

いや、開けている部分とのギャップが大きいためかもしれませんが、気分的にも大クスに圧倒されているために、暗く感じるのかもしれません。

大きすぎるその主幹は当然注目してほしいのですけれど、ここで材木屋として(いや、樹木の生態を学ぶものとして?!)見てほしいのは右の大枝。

その大枝から垂直に伸びる枝。
ハープツリー状態。
水平な枝から、垂直にお枝が伸びている状態をそう呼びますが、これこそ樹木の生長を表している形状。
巨樹には異形のものは少なくありませんが、このように樹木の性質そのものを見られると、一気に親近感がわくものです。
1000歳の大先輩なんだけれど・・・


徳島県吉野川市 壇の大クス2


眼下に見える方向へ北上すると市街地なのですが、逆に南下する(といっても山を登るから上がる?!)と急峻な山道から名西郡神山町に入ります。
その手前に八大龍王社のクスもありますが、当地の迫力にはさらに500年ほどかかりそうかな。

神山町も実は、弊社がおすすめする材を生産しているところなのですけれど、それとともに巨樹の多いところ。
イチョウやスギ、ケヤキなど多くの巨樹がある中にクスももちろんあるのですよね。

神山で印象に残ったのはここともう一つ。


徳島県名西郡 辰ノ宮のクス(門前)



巨大な鳥居に驚くこと間違いなしの、辰ノ宮のクス。
鳥居に驚いていると見過ごしてしまいますが、手前左のクスは、正面から見えている部分も立派なのですが、さらにその下には川がありそこに向けて倒れこむように太い幹があるのです。

さすがに柵なしなので踏み込むことができないのが残念で仕方ない、立派なもの。

クスの巨樹は一本が立ちもいいものですが、このように広がっているものや群生している場合もあり、様々に楽しめます。

そう、当地も境内にも2本のクス大木があり、しかも美しく保たれた境内に心あらわれるようです。


徳島県名西郡 辰ノ宮のクス(拝殿前)


これが、拝殿隣のクス。
更に後ろにも見えますよね。

右後ろが山なのが、やはり徳島(笑)。
こんな感じで、一つの場所に多くの巨樹があるとどれをどのように撮影しようか迷ってしまいます。
嬉しい楽しいなのですが、時間との闘い(汗)。

撮影に迷う上に、山道に移動時間はどうしてもかかってしまうため、なかなか多くは回れないものの、運転好きには良いドライブかもしれません。

さて、巨樹めぐりにおいて時にはその姿に感動するだけではありません。


徳島県名西郡 福原のクスノキ2


あれ?!どれが巨樹?
そうおもってしまいますけれど、これが巨樹。

事前の情報を元にその場所を目指しているのですが、目的地を行き過ぎてしまう。
どう探しても見当たらない。
あ、そうか・・・もう自然の中に還ろうとしているのか・・・

巨樹本体はその姿を維持しているものの、周囲の樹木が育っていき覆い隠されてしまっているのです。


徳島県名西郡 福原のクスノキ1


上部の枝のみが見えるのが福原のクスノキ。
この光景は、残念でしょうか?

私は全くそうは思いませんでした。
もちろん、立派なことが想像できる印象だからこそ、その姿を拝みたい気持ちになるのですが、巨樹の中には枯死して伐採されるものや、枯死寸前で倒壊するもの、そして元気に生きていても風倒する場合などがあります。

もちろん、人間都合で伐採されることもある。

そう考えると、もう一見してわからない位に姿を隠した巨樹は、周囲の変遷で再度姿を現すかもしれませんが、おそらくこのまま山の一部分になっていくのでしょう。
そんなところも、巨樹巡りのうちの一つ。

伐採されてしまい、往時の姿を想像するものですが中には、上部のみ伐採されるものもあります。
その場合でも、生長旺盛な樹木であれば萌芽更新が進みます。
そうすると、上部をなくしたことなど想像できない姿になるものもあるのです。


若宮神社のクスノキ 1


こうしてみると、見事なクスですよね?
しかし、このクスは以前頂部をバッサリとカットされているのです。信じられませんが。

その後に残った幹からの萌芽更新で、このような美しい円形の樹幹を持つようになったのです。
樹木は不思議ですが、このような美しい円形になるのは、周囲に全く遮蔽物や障害物がない状況で生長を優先させられる場合に起こるようですね。

それを推察できるのは、同じく徳島県にある満月イチョウでしょうね。


満月イチョウ
(徳島県名西郡神山町神分中津178 中津の満月イチョウ 緯度 33.93797384、緯度 134.27156769)


こちらも山間部の中腹で、周囲に何もない場所にたたずんでいますから、同じように「満月型」をしています。

どの方向からも光合成を均等にできた結果、なんでしょうかね。

樹木の勉強になる一本です。


若宮神社のクスノキ 2


この写真では、上部の枝が異様に細いのが見て取れるでしょうか。
萌芽の証です。

それにしても、夫婦クスに改名したほうがいいんじゃないの?!と思えるほどに睦まじく寄り添う二つの幹。
合体木なのかどうかは定かではありませんが、街中の神社で遮蔽物なしの光景は、なかなか見ごたえがあります。


ここまで、徳島県のクスのいくつかを紹介してきましたが、もちろん過去に紹介した岡の宮の大クスや、全国的に見ても誇るに値する巨大さと美しさの加茂の大クスを有する徳島県。
その他にも魅力的な巨樹を多くはぐくんでいますが、弊社の業界ではスギ一辺倒のイメージなのです。

そんなイメージを一蹴するクスたち。
是非、今回紹介しただけでも回ってみてもらいたいと思います。

あ、徳島県で難儀なのは市街の渋滞。
大阪からでも嫌になる(逃げ道がない)渋滞が、庵幹部のドライブの帰り路に待ち受けていると思うと、若干憂鬱に・・・
何とかならないものかなぁ・・・
少し離れると、建物も低くていい景色なんだけれど。


岡の宮の大クス1


朝日を背に輝く岡の宮の大クス。
是非、徳島周遊は早朝から。

こんな景色を眺めながらの一日の巨樹巡りのスタート。
いいと思いませんか?
史上最多の7か所の紹介記事になりました。

年末年始、朝日を拝む巨樹巡りもいいかもしれませんね!
是非、徳島県へ(^^♪


写真の徳島県のクス巨樹所在地(紹介順に)

井田の大楠
徳島県吉野川市山川町井上
駐車場なし、少し離れた場所に駐車して徒歩です。
緯度 34.04148891
経度 134.22506392

西川田の大クス
徳島県吉野川市山川町川田
駐車場なし
緯度 34.06246519
経度 134.2067159

壇の大クス
徳島県吉野川市鴨島町森藤566
駐車場はないですが邪魔にならないところに駐車可能
緯度 34.05499278
経度 134.36709389

辰ノ宮のクス
徳島県名西郡神山町下分西寺22
駐車可能
緯度 33.96157739
経度 134.31121141

福原のクスノキ
徳島県名西郡神山郡阿野25
駐車場はないですが、ほとんど車の往来はありません
緯度 34.00691601
経度 134.37747017

若宮神社のクスノキ
徳島県吉野川市鴨島喜来396-3
駐車可能
緯度 34.07412232
経度 134.36096438

岡の宮の大クス
徳島県板野郡板野町大寺岡山路5
駐車スペースはないですが、邪魔にならないように駐車可能
緯度 34.14315754
経度 134.45804894

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