時間を超えた、会長の声　②

会長には心配をかけたと思います。
今になってわかる事ばかり。
もっと一層真剣に、話を理解できるようになれればよかったと、いまさらに思います。

そんな私であることを分かって、多くの切り抜きを残してくれたのでしょう。
私も銀行の封筒に入れておくくらいですから、大事にしまいすぎていたわけですが、それがなぜか今出てくる。
ウッドショックと言われる、材木屋が材木を販売したくても販売出来ない時代に・・・
会長ならば、今何をしているだろう・・・

「慌てたらあかんぞ！、よぅ、考えぇよ・・・・」

きっとそう言うだろうなぁ。

concept1

その昔、今の様に幾度か木材不足になったときのこと。

いや、そもそも今よりももっと木材は貴重であったときのことです。
弊社会長は、地元の木材市場からの仕入れももちろんありましたが、各地方の産地の製材所さんや山主さんとの交流があったため、市場に製材品が入荷しなかったときも、弊社にだけは地方から直接船が来たから、市内の材木屋さんが当方に買いに来ていた、とよく祖母が言っていました。

今の様に移動手段も優れておらず、通信環境も満足ではなく、さらには車を運転しなかった祖父が、どのようにして地方の山々との繋がりを作っていたのかは不明です。
が、その証拠に亡くなる数か月前まで必ず、各地の生産者さんとの電話連絡は欠かしませんでした。
事務員さんが帰った後位しか事務所に座ってはいなかったのですが、座っているときと言えば新聞か地方製材所さんへの調子を伺う電話でした。

そうやってコツコツと人脈をつくってきたのでしょう。
現在、各地に自由に移動している私にも、まだまだそんな徳はありません。畏れ入ります。

そんな会長が、現在の私の様子を見越していたかのように切り抜いていてくれた新聞記事がありました。
記事の中にすぐ目についたのは「ワイン」の文字。
会長存命中には、そんなにワインの話などしたことなかったのに・・・

そう思っていると、先に見えたのは「こだわり」の文字。
その記事は2003年のもの。

勤め始めてからはそこそこ経過していたものの、まだまだこだわりというものは無かった頃。
おそらく、記事は読んでいたものの、まったく頭に入っていなかったのでしょう。
それが今になって、ものすごく沁みてくる・・・

こだわりを持つこと、それは・・・・

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