2021年05月19日
他に類を見ない巨樹の一つ 〜下横場の大グミ〜
巨樹巨木の記事を書くとき、いつも気になるのは「見た目の迫力や存在感」があるかどうかと、「ストーリー」があるかどうかです。
単純に大きな木だというだけでは、私の稚拙な写真記事では魅力など伝わりませんし、記事にするわけだからそれなりの魅力的なお話もお伝えしたいところ。
そんなことを考えていると、やはり前者の巨木感が優先されてしまい(出逢った時の印象も大きいし)、ついついサイズの大きくない物は忘れがちになってしまいます。
スギやクスノキ、イチョウのように見た瞬間の驚きが無いのは、損をしているなぁ・・・とさえ思ってしまう。
そんな樹木のうちの一つを今回取り上げます。

広場の片隅に、しっかりとした柵を設けられている一本の?!樹木。
巨樹巨木を求めていると、視線は自然と空に向かっていくのが必至ですが、周囲を見ても大きな存在は全くない。
下調べ無しに向かったため、「これが巨樹?!」という印象になってしまいましたがそれもそのはず。
もともと巨樹という風体にはならない樹種が、数百年という年月を生き抜いた姿が眼前のそれなのです。
その名は、下横場の大グミ。

グミ、という植物の名を聞いたことがありますか?!
材木屋さんではもちろん扱わない樹種ですから、普通の材木屋さんは絶対しりません。
御存じなのは、植物好きな方かマニアックな大工さん位でしょうか・・・
どうしていきなり大工さんが出てくるかというと、グミは稀に大工さんの鑿や玄能という道具の柄として使われるからです。
今でも時々見かけます。
休日に山に出かける習慣のある人から譲ってもらったグミを使って玄能の柄を自作されている大工さん。
グミは比較的重硬で、手触りが良く粘り強いため、それらの用途に適していると言われます。
しかし、決して多く目に出来るものではない稀少性と、特有のクリームかかった色合いなどが所有欲を掻き立てるのかもしれません。
但し、グミは種類が多く上、それらの間において材質に差があるためにすべてが用材として称揚されるわけではないことに注意が必要です。
さて、今回のグミはどうかというと、解説板によるとナツグミに属するとあります。

植物図鑑によると、一般的な高さは3〜5m。
そしてよく枝分かれする、という特徴が記載されている通りに地上すぐから分岐しています。
巨樹のサイズではないと言ったこのグミですが実は、もしかするとグミの中では日本で三本の指に入るものかもしれないのです!
巨樹関連の書籍を見ていると、今回の下横場の大グミがある茨城県(弊社がある茨木市がよく勘違いされる・・・)には偶然?!日本一のグミがあるのです。
同じ県内に日本一、二を争う樹木があるというケースは非常に珍しい様に思います。

実はその茨城県。
巨樹にならない巨樹の宝庫?!の様なもので、このグミ以外にも、(シマ)サルスベリやヒサカキ、ハリエンジュというマイナー(失礼!)な樹種の巨樹を擁する稀有な県なのです!!
私の中での茨城県は、つくば市なのです。
ネタバレすると、もちろんこの大グミを訪れた日の主な目的も、つくば市にある森林総合研究所へ向かうため、でした。
弾丸旅でしたので、下調べも十分でなかったことが悔やまれる、日本一を近くにして訪問できないというミスを犯したわけですが、そんな珍しい土地に座する大グミ。
しかしながら、どうして公園の様になっているのか?!と不思議に思ったのが第一印象。

現地の解説によると、もともとここは個人所有の林の中に位置していたとのこと。
広い敷地をお持ちなものだ・・・と思っていましたが、このグミの樹齢はおよそ500年と伝承されているそうですから、もともと林として所有されていた方は相当な資産家では!!(驚)
もしかすると、相続で土地を分割される折に寄贈され公園になったのか?!、、、、
そんな失礼な邪推を巡らせてしまうのですが、おかげで普通に立ち入ることができ、このように枝に触れることもできるのですから、有難いということです。
解説板には「現在も樹勢は旺盛です」、とある(表記は平成元年!)ものの、私が訪問したのはあいにく冬。
そのため残念ながら、葉の無い状態では「枯れた」印象が否めませんでした。

目的とするグミ以外の緑が目に付くこともあるかと思いますが、地上付近で分岐し水平に伸びた大枝からさらに、細い枝が伸びるハープツリー的なところも見せているもののやはり、かろうじて天に手を伸ばしているという印象でした。
その印象はもしかすると、これが大きいのかもしれません。

まるで、SF映画の魔法界に生きている樹木が、言葉を発しようとしている瞬間の「くちびる」さながらに口を開けた分岐幹。
傷がついた部分を巻き込んだのか、それとも・・・
生き抜いてきた500年の間には様々な事があったでしょうから、何らかの外的要因かと思いますが、よくぞこの状態で幹を維持していると感心してしまいます。
この分岐幹もグミの特徴。
巨樹というサイズではないものの、この種としては非常に珍しいサイズですから古木ですね。

昔は、木材市場にも若干はグミの材がでていたものですが、近ごろでは殆ど見かけません。
今回思い出したのを機に、倉庫を探してみなければなりません。
どこかに眠っているはずなんだけど・・・
意外と見かけることのない樹種、グミの巨樹。
若い枝が風格を出すためにあと100年?以上、元気に生きてほしいものです。

下横場の大グミ所在地
茨城県つくば市高野台3-6-1
交通量は多くないものの路上駐車です。邪魔にならないように。
・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ
*2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
*消費税10%への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。(ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。)
木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。
・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html
・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp
・戸田材木店・セルバのフェイスブックページ:無垢の木材を愛し語る「木のビブリオ」がいる材木屋、合資会社戸田材木店 から!
・同じく、、、 インスタグラムページ: toda.zaimokuten も随時更新中!
#幅広#無垢フローリング#無垢フローリングショールーム#無垢材#無垢テーブル#無垢カウンター#自然素材
#天然素材#一枚物#無塗装#大阪府材木店#茨木市材木店#戸田材木店#カスクオーク
単純に大きな木だというだけでは、私の稚拙な写真記事では魅力など伝わりませんし、記事にするわけだからそれなりの魅力的なお話もお伝えしたいところ。
そんなことを考えていると、やはり前者の巨木感が優先されてしまい(出逢った時の印象も大きいし)、ついついサイズの大きくない物は忘れがちになってしまいます。
スギやクスノキ、イチョウのように見た瞬間の驚きが無いのは、損をしているなぁ・・・とさえ思ってしまう。
そんな樹木のうちの一つを今回取り上げます。

広場の片隅に、しっかりとした柵を設けられている一本の?!樹木。
巨樹巨木を求めていると、視線は自然と空に向かっていくのが必至ですが、周囲を見ても大きな存在は全くない。
下調べ無しに向かったため、「これが巨樹?!」という印象になってしまいましたがそれもそのはず。
もともと巨樹という風体にはならない樹種が、数百年という年月を生き抜いた姿が眼前のそれなのです。
その名は、下横場の大グミ。

グミ、という植物の名を聞いたことがありますか?!
材木屋さんではもちろん扱わない樹種ですから、普通の材木屋さんは絶対しりません。
御存じなのは、植物好きな方かマニアックな大工さん位でしょうか・・・
どうしていきなり大工さんが出てくるかというと、グミは稀に大工さんの鑿や玄能という道具の柄として使われるからです。
今でも時々見かけます。
休日に山に出かける習慣のある人から譲ってもらったグミを使って玄能の柄を自作されている大工さん。
グミは比較的重硬で、手触りが良く粘り強いため、それらの用途に適していると言われます。
しかし、決して多く目に出来るものではない稀少性と、特有のクリームかかった色合いなどが所有欲を掻き立てるのかもしれません。
但し、グミは種類が多く上、それらの間において材質に差があるためにすべてが用材として称揚されるわけではないことに注意が必要です。
さて、今回のグミはどうかというと、解説板によるとナツグミに属するとあります。

植物図鑑によると、一般的な高さは3〜5m。
そしてよく枝分かれする、という特徴が記載されている通りに地上すぐから分岐しています。
巨樹のサイズではないと言ったこのグミですが実は、もしかするとグミの中では日本で三本の指に入るものかもしれないのです!
巨樹関連の書籍を見ていると、今回の下横場の大グミがある茨城県(弊社がある茨木市がよく勘違いされる・・・)には偶然?!日本一のグミがあるのです。
同じ県内に日本一、二を争う樹木があるというケースは非常に珍しい様に思います。

実はその茨城県。
巨樹にならない巨樹の宝庫?!の様なもので、このグミ以外にも、(シマ)サルスベリやヒサカキ、ハリエンジュというマイナー(失礼!)な樹種の巨樹を擁する稀有な県なのです!!
私の中での茨城県は、つくば市なのです。
ネタバレすると、もちろんこの大グミを訪れた日の主な目的も、つくば市にある森林総合研究所へ向かうため、でした。
弾丸旅でしたので、下調べも十分でなかったことが悔やまれる、日本一を近くにして訪問できないというミスを犯したわけですが、そんな珍しい土地に座する大グミ。
しかしながら、どうして公園の様になっているのか?!と不思議に思ったのが第一印象。

現地の解説によると、もともとここは個人所有の林の中に位置していたとのこと。
広い敷地をお持ちなものだ・・・と思っていましたが、このグミの樹齢はおよそ500年と伝承されているそうですから、もともと林として所有されていた方は相当な資産家では!!(驚)
もしかすると、相続で土地を分割される折に寄贈され公園になったのか?!、、、、
そんな失礼な邪推を巡らせてしまうのですが、おかげで普通に立ち入ることができ、このように枝に触れることもできるのですから、有難いということです。
解説板には「現在も樹勢は旺盛です」、とある(表記は平成元年!)ものの、私が訪問したのはあいにく冬。
そのため残念ながら、葉の無い状態では「枯れた」印象が否めませんでした。

目的とするグミ以外の緑が目に付くこともあるかと思いますが、地上付近で分岐し水平に伸びた大枝からさらに、細い枝が伸びるハープツリー的なところも見せているもののやはり、かろうじて天に手を伸ばしているという印象でした。
その印象はもしかすると、これが大きいのかもしれません。

まるで、SF映画の魔法界に生きている樹木が、言葉を発しようとしている瞬間の「くちびる」さながらに口を開けた分岐幹。
傷がついた部分を巻き込んだのか、それとも・・・
生き抜いてきた500年の間には様々な事があったでしょうから、何らかの外的要因かと思いますが、よくぞこの状態で幹を維持していると感心してしまいます。
この分岐幹もグミの特徴。
巨樹というサイズではないものの、この種としては非常に珍しいサイズですから古木ですね。

昔は、木材市場にも若干はグミの材がでていたものですが、近ごろでは殆ど見かけません。
今回思い出したのを機に、倉庫を探してみなければなりません。
どこかに眠っているはずなんだけど・・・
意外と見かけることのない樹種、グミの巨樹。
若い枝が風格を出すためにあと100年?以上、元気に生きてほしいものです。

下横場の大グミ所在地
茨城県つくば市高野台3-6-1
交通量は多くないものの路上駐車です。邪魔にならないように。
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*2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
*消費税10%への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。(ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。)
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・戸田材木店・セルバのフェイスブックページ:無垢の木材を愛し語る「木のビブリオ」がいる材木屋、合資会社戸田材木店 から!
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