空を見上げて
トップページ » 令和彩る紫の蝶 〜藤(フジ) 第五話〜

令和彩る紫の蝶 〜藤(フジ) 第五話〜

やはり、フジというと樹木としてではなく「花」として親しまれている場合が多いですね。
私の場合は、立場上林業の人達のお話を聞くことが多いので、巻きついて上がる幹の方への関心も大きくなってしまいますが、通常注目するのは花ですものね。

しかし、自身のものの見方によっては、同じものでも異なった見え方になる。
それなら、いっそのこと考え方を転換して、山で厄介者とされているフジを利用して「山の藤棚」をつくって、その一帯を頭上数メートルから花序が枝垂れる「藤棚シャワーランド(仮称、笑)」にしてしまう。
そうすることで、その一部分はフジの美しさが堪能できて、さらに遠くからでも美しい山の一つの景色として楽しめる。
施設の維持に、地域の人たちの力を借りて雇用を生む。
林業として木材を生産する地域からは離して管理することで、すみわけをする。
林業の山とフジの共生・・・うむ、素人考えはどうでしょうかね・・・

白藤

種類によって異なりますが、花序が20cm〜50cm、または最長2m!!というのもあるといわれるため、街にある、人が仕立てたものとは異なって、意外と人気がでるかもしれません!


さて、そろそろフジのストーリーも終盤ですが、ねじれて巻き付くフジの材ですが、実は使い道があります。
いや、材というより古くから樹皮の繊維を藤布として利用されてきたのです。
紙の原料ともされていたそうですから、花以外も実は有用な樹種なんですね。
もしかしたら、以前は布や紙用にある程度管理されていたものが、使われなくなって山で厄介者扱いされている・・・そんなストーリーではないか?!と思ったりしますが、主要な産業としてなら今でも少しは残っているはずなので、昔のように物の移動がたいそうだった時代のお話なんでしょうね。

それでも、木材利用だけが山の産物ではありません。
環境のことや、このように布や紙の原料として大切にされる。もちろん、花の景観もですが。

それを一体的に行っていくと、もしかしたら林業の面においてもフジと共生できるのかも?!しれませんね。
そういえば、昔弊社の倉庫には、フジかはわかりませんが、巻き付き植物によって螺旋状に幹がえぐれたようになっている変木(変わった木材で魅力のあるもの。銘木扱いされてきた。)がありました。

今思い出したけど、私は結構気味が悪くて嫌いでしたね・・・
今、どこにあるんだろ。
巻き付きの後が残ったものの、考えようによっては銘木になる可能性があるということも言えますね。

野山のフジ2

それと、森林にとってフジが貢献していることもあるのですね。

このように、高い木の樹幹を覆っていくフジですが、こうやって覆うことで森林の水分の急激な蒸散を防ぐとか、温度の急激な上昇を抑えるとか、そんな効果もあるといわれています。
全くの役立たずではない。
やはり最後はその役目をどのように考えるかになってきそうですね。

偏見なく、いろんな考えと意見を許容しながら山と街にかかわる。
そんな人間でいたいものです。
令和の新デザインの紙幣に逢える日はまだ先ですが、少し身近な存在になったに違いないフジを、これから観察してみてくださいね。

次回は、究極のフジ?!
花序が2m!!いや、はるかに超える9尺(およそ2.7m!)の名を関するフジを紹介して、フジのコラムを締めくくりたいと思います!!



木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp


コメントを書く




情報を記憶: 評価:  顔   星