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樹木は厄介者か、それとも都市鉱山か・・・2


あぁあ・・・・
そりゃ、こんな状態になってたら「危険」とかいわれるわな。
よく電柱があったもんですな。

倒木2

前回、このような倒木などの危険性が「問題だ」と書きましたが、捉え方によってはきちんと対処できれば、材の活用のチャンスかもしれない。
いや、この様な状態はもちろん改善し、危険を拭わなければならないと思いますが、それにしても、どちらにせよこの様な状態になる前に伐採せよ、もしくはなったらすぐに伐採!となるのが定石だと思いますが、伐採した後はどうなるのか。
あぁ、やっと危険がなくなった、めでたしめでたし・・・

いや、それで終わりじゃありません。
伐採されたものはどこへ?!
お決まりなのは、産業廃棄物か良くても燃料用に出されるのみ。
それも、扱いにくいもんだから伐採してからも短い丸太状に長さをカットされてしまう。
これがモッタイナイ。
山も都会もそうですが、いったん不必要!となれば折角そだった丸太もぶつ切りにされてしまう。
もちろん、薪や廃棄物としてならそれでいいかも知れませんが、実は中には結構珍しい樹種が存在したり、捨ててしまうには惜しい様な丸太もあるのです。
特に、ほったらかしにされていて直径が60cmを超える様な状態になったものなどが、廃棄物処理場の土場で廃棄処理待ちの状態を見ると涙が出そうになるのですが、いったん廃棄と決まったものは引っ張り出すことが困難である場合が多く、「救出」出来ないのです。

チップ土場1

この様に、何かに生まれ変わることができるくらい立派に育った樹木が、実は私たちの身近に増えていて、そしてそれらがしっかりとした根を張れない様な土壌で育っていたり、周辺の環境の変化で枯れることになってしまったりしたものが増えているのです。
これをしっかりと求められる形に変えることができれば、廃棄処分される丸太達は活躍の場ができ、しかも邪魔モノとされてきた都市の樹木たちが貴重な存在へと変わるのです。
まさしく、廃棄予定の古携帯電話などからレアアースをとりだす「都市鉱山」と同じ原理!!

それらの樹木を欲する人がいて、その人にわたる手段ができていれば、「用途のない廃棄物」が「活用できる樹木」のままでてくるということ。
そういったミスマッチは、なにもこの「都市鉱山」に限ったことではなく、山からきちんと伐採された木材もそうです。
このような用途で求められる、となると正しい循環価格が付きやすいですが、用途もわからないし求められているのかわからないとなると、途端に扱いが低くなってしまう。

仕分けして出荷することや、値段が付くかどうかわからない製品にするための管理をすることを考えると、チップなどで廃棄したほうが手間がかからない、ということもわかります。
廃棄予定の山積みされた丸太の中からこれは使える!!と思っても、「今更この中から出すの?」と嫌がられたり、転がっているものを引き取ってもいいかと尋ねても、業者の引き取り量が決まっているからダメだ、とか勝手に販売されると困る(そのままじゃ、捨ててしまうのに!!)という理由で譲ってもらえないことも日常あり・・・
もちろん、引き取るにも費用がかかりますし、そのあとも様々な費用がかかるのですが、それらを負担できるのであれば、活用していきたいではありませんか。


このミスマッチを解消するために、私も木材コーディネーターとして街の要望を山に反映し、そして山の声を街に届けようと活動しているわけですが、微力いまだ及ばず・・・

もちろん、山のひとにとっては面倒なことも言いますし、製材には過剰ととられる要望もします。
半面、街からは価格に関しての要望も強いですし、搬出のむつかしい樹種の希望を多くもらうこともある。
それぞれの希望にこたえられないことの方が多い現状ながら、「都市鉱山」に向かって少しづつ前進するしかない。


自分たちが植えた街路樹が、必死に大きくなったのに危険な邪魔者だ、なんて私は言いにくい。
人間に成長するな、なんて言えないもの。
だから、最低限伐採の後のことを考えたいもの。

間伐という名前が通った森林や林業に話題が集まるようになりましたが、街に眠る「都市鉱山問題」も、そろそろ注目時期なのかもしれません。

チップ土場2



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