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地松を刻むイベント、開催しました!!

昨日、以前から告知していました弊社主催の木材イベント、「松の梁を自分の手で確かめる 〜本当はどうなのか?! 天然乾燥と優しい人工乾燥の違い〜」を開催しました!

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日頃から日本の木材を使いたいと思っている大工さん、人工乾燥材には馴染めないと思っている工務店さん、何よりも地松という日本の松が今でも入手できるのかと思っている大工さん(材木屋サンでも同じかも?!・・・)向けに、疑問を解消するには実際に触れるのが一番!!ということで、企画させてもらった今回のイベント。

実際に、日本の松の平角材を大工さんがのこぎりや鑿(のみ)などを使って、昔ながらの「継手(つぎて)」という部材を作るのですが、ただ作るだけではないのです。

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この隣り合った2本。
同じ日本の松ですが、全く異なるものです。
異なる点は、一つは天然乾燥材、もう一つは人工乾燥材だということ。
どういうことかというと、今回の趣旨の地松の梁を感じるという中でも、大きなテーマである「人工乾燥材は天然乾燥材に劣っているのか?!」ということを実際に手で感じてもらうために、同じサイズのものをそれぞれ用意しているのです。

もちろん、見たくらいではわからない。
では、その違いは手で加工することでわかるのか?!?!!
それを感じるために、いざ刻もう!!

まずは刻み(きざみ)という加工に入る前段階の基準を記す「墨付け(すみつけ)」が始まり・・・

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ある程度基準を作れたら、次はのこぎりと加工機械の出番。

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この瞬間がドキドキです。
本当に私と製材所が自信をもっておすすめしているものではありますが、やはり自分たちは実際に加工をしているわけではないので、手に感覚が染みついている大工さんたちの、本音がどう出てくるのかがとても気になるところ・・・

こうやって、木くずすら感じ取り比較するのです(^^♪

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そして出てきた率直な印象・・・
それは、「ほとんど変わりない」という感想。

つまり、通常はこだわりの大工さんなら嫌がる「人工乾燥材、いわゆるKD材」が天然乾燥材と変わりないと思うくらいの仕上がりだということ!!
普通であれば、KD材は人工的に乾燥させているので乾いてはいるのですが、狂いが少ないもののどうしても加工しづらいところがあったり、それ以上に木の質を重視するかたにとっては、強制的に乾燥させたものに対する不信感を持っておられます。
たとえば、松の場合だと「水分と一緒に脂も抜けて、スカスカになってるんじゃないの?!」という疑心暗鬼。
しかしどうでしょう!それもこの通り!

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うほっ!
のこぎりに松の油がっ!!

通常はこんなこと喜ばないんですが昨日は特別。
だって、わざと脂の多いところを切ったとはいえ、ちゃんと脂気が残っている証拠なんですから。
だから、作業場は地松の油のいい香りで充満!
期待通りの結果です。

そして加工が進み、このような形のものができてきます。

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それから、これを組み合わせていきます。

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するとこうなります。

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大きく段差をつけて加工されていた部材同士が一つになり、まるで一本の木材のようになりました。
これが継手。
中央付近に突起が見えるでしょう。
あの部分に、小さな木材を入れることで釘や金物を使わずに、木材同士を接合しているのです。
すごいです、大工さん。
木材に墨付けをして、それを切って組んでいくとこんなになるんですよ。
もちろん、知っているんですけどやっぱりすごい。

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はじめは、天然乾燥材と人工乾燥材の違いを見極めながら進めていた作業も、次第に「あれ、これはどっちやったかな?!」なんていうように、その差がわかりにくくなるくらいに優秀な人工乾燥材への不信感がうすれていくのが感じられました。

ということで、今回の企画は嘘のように私の期待通りの感想をいただき、私も満足、そして加工された大工さん方も「使える人工乾燥材」の発見に満足で、笑顔のイベント終了となりました。


イベント、というと「楽しく、遊べるスペースや飲食をしながら・・・」なんてイメージもありますが、今回は超硬派(笑)。
普段は手にすることのない日本の松の感触と、それ以上に自分の手で自分の道具で「刻んでみる」という実践的な取り組みを行ったのは、知ってもらうため。
米松ではなく日本の松を、カラカラの人工乾燥ではなく松想いのやさしい人工乾燥材を、それを届けるために真面目に取り組む製材所と材木屋があることを、そしてお施主様にそれらを使ってもらう喜びを知ってもらうため。

「木の家」や「天然素材の家」といった売り文句をどこでも見かけるようになりました。
いろんな捉え方はありますが、やはりこれらの言葉にはそれなりのこだわりの木材を使っていてほしいのです。
単なる材木屋のエゴ、といわれても仕方ないかもしれませんが、自分の大切な木の家。
こだわりが欲しいですよね。こだわりたい工務店さん、大工さんと一緒にそのこだわりを見つけてもらう入り口とするため、その為のイベントです。
まず、第一段階は、実際に材を扱う大工さん達から。

次は順次お施主様に向けても行っていきますよ。
知ってもらうには、地道に続ける活動が大切。
これからも色々と企画していきますので、是非ご参加ください。

今回参加頂きました皆様、有難うございました。
これからも地松をよろしくお願いいたします!!!

(終了後も材を見ながら語り合う大工さんたち。いい風景!!)

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