屋外使用の木材の劣化から取り換えまで 〜米松から日本のひばへ〜
弊社記事でも、今年一年をそのまま表すような投稿になってしまうんだなぁ、と変なところで今年一年を振り返る機会を得ています。
いつもは、何やかんやといいながらも今年一年の(見えている部分の・・・)片づけをして新年の用意をするものですが、連続記事の最終投稿を、この大みそかにしなければいけないところに、一年の総決算の結果が現れてしまいました・・・
さて、その屋外デッキシリーズ最終回ですが、米松デッキからの交換作業に入りますよ。
腐朽の進んだ米松材の代わりとして提案するのは、お得意の「日本のひば」のデッキ材です。
こうやって見ると、ほとんどその特徴的な色がわからないために、桧だと思われてしまう事でしょう。
作業場に充満する特有のひばの香りをお届け出来ないのが残念なところではありますが、桧と見分けがつきにくいところにも材木屋のこだわりがありまして、分かりにくくとも、その特徴的な耐久性に期待するとともに赤身勝ち材を使用することにより、辺材と言われる木材の栄養素がたくさん詰まっている腐朽しやすい部分を少なくすることで、より永く使い続けられるようにという配慮をしています。
この辺は、桧であってもできることで、「桧だからなんでもいい」のではなく、多少費用と時間はかかっても桧の赤身勝ち材を使うことによって、期待する本来の桧の耐朽性を得る事が出来るはずです。
そして、今回はそれとともに耐朽性を高めるために「手刻み加工」を施しています!!
え?!なんで手刻み加工が耐朽性に関係するんだ?と思うでしょう。
そうです、大きな意味はなさそう。
普通に電動のこぎりとビスを使って「カットする→ビスでつなぎ合わせて固定」で十分デッキは出来ます。
特に、ハードウッドと言われるようなデッキ材、つまりはバツやイペなどに代表されるような屋外使用にたえる硬い木材の場合は、ビス留めによる固定で施工される場合も多いですが、そこは加工性に勝る針葉樹の利点。
ハードウッドにはない木質としての柔軟な加工性を活かして、木材に極力湿気をためない工夫をするために、わざわざ手刻みで加工をしているのです(いや、私の自己満足かもしれない・・・)。
何気ない加工の様に見えますが、水がたまりにくくするような接合にするべく加工をされているのですよ。
もちろん、今回は化粧柱があるために、このような加工が必要なこともありますが、そこは大工仕事。
そこまでは想定外、というところにまでこだわり始めるところが刻みのできる大工さんでして・・・
こういった部分は、私も大好きなところ。
この足つぼ刺激棒のような物体(笑)。
別にツボをグリングリンするわけではないのですよ。のちに出てくる重要な部材なのです。
こんなものを使う加工をする自体が、こだわる大工さん。
曰くは、こうやってしてきた建物(たてもん)が昔からずっとのこっとんじゃ。これが一番腐らんわい!
ごもっとも。
もう、科学的な根拠や実証実験などどうでもいい、気概で耐朽性を上げる!!!うん、それでいきましょう(笑)!!!
そんなこともありながら、米松デッキ材から日本のひばのデッキ材へと更新作業が進んでいきました。
さぁどうだ!!
前回の記事と比べてみてください。
稀に、お客様から木材の経年変化した様子を知りたい!というお声をいただきます。
そうですね、いつも木材は経年変化があり生きているので云々・・・と言っているからには、どのような形になるかという事をお伝えしなければならないのですが、その瞬間に「それでは!!」と出すことが出来ないので、なかなかお答えすることが出来ないのですが、今回は交換前後の様子が一目瞭然!!
劣化状態からの新品状態をしっかりと確認して下さい。
それとともに、塗装してしまって既にひばかどうかすら確認が困難になってしまっていますが(涙)、日本のひばの赤身勝ちデッキ材の表情もしかとご覧くださいまし!
うーん、やはり節のある木材というのはいいですね。
木質感満載!
材木屋でもそう思ってしまうのですから、やはりお客様であればなおのこと「木製デッキ」の視覚的完成度としては、この節の表情も重要なポイントでしょう。
もちろん、赤身勝ちですから芯材に近い部分に多い「大きな節」や「横に流れている節」、そんなものが多いですし中には「皮を巻き込んでいるもの」や欠けているものなどなどありますので、高級木材と言われるものと比べた美しさのようなものはありませんが、まぎれもない天然素材の魅力が詰まっています。
そしてここにきて登場!
先ほどのツボ刺激棒!否、肝心な接合部材。
これが先ほどの部材の使用後。
そう、こうやって差し込んで使うのです。
もともと、この部分は金物接合でした。
それでもいいのですが、雨のよくかかるぶぶんではやはり金物周辺は腐朽が進んでいましたので、今回はこのような形になったのです。
別にお客さんがもとめているわけではなく、これが一番腐らんわい!、の一言がこの仕上がりです。
もう、こだわり以外のなにものでもありません。
こんなことまでしてるデッキ、あんまりないでしょうなぁ・・・
ということで、今回の米松デッキ材の劣化による一連の取替工事は終了。
いや、肝心の「屋根」を新品と交換復旧して完了。
20年ぶりに新しくよみがえった木製デッキが、次は日本のひばの力をかりて、20年経ってもまだまだ取替しなくてもいい!というくらいの状態を保っていてくれていることを期待して完了としたいと思います。
はぁぁ、これで2016年の記事も終了。
お伝えしきれなかったのは、新年にお伝えいたしますので、くる年もなにとぞよろしくお願いたします。
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