男の子の日には鯉より刀兜 〜ナラに隠れたカシ アカガシ〜
今年は冬が短かった(これを強調したい・・・)代わりに春が永く、桜を楽しむ時期が2週にわたり、季節を満喫できました。
そうこうしているうちにやってくるのが鯉のぼり。
うちでは昔から鯉のぼりをあげています。
最近ではなかなか「屋根より高い」鯉のぼりを見ることがなくなりましたが、だからこそ弊社の前を通るご近所の子供たちは「あ、あったぁー」と、毎年のその光景を楽しみにしてくれていて、こちらもうれしいのです。
さて、その鯉のぼりもただの飾りではなく端午の節句の一つの意味あるものですが、鯉だけではなく兜を飾るところもありますね。
私はあまりなじみがないのですが、男の子の節句ということであれば、そちらのほうがより勇壮な感じがして、古来の男の子のイメージからくるものにはあっているように思います。
兜といえば鎧があり刀を携えるのが武士ですが、もちろん明治以降の廃刀令により刀自体を持ち歩くことなどできませんが、剣の道である剣道は現在も盛んですし、剣士の出で立ちや構えを拝見していると、こちらの身も締まるような感じがします。
剣士の持つ刀の中で木刀がありますが、読んで字のごとくで木の刀。
木の刀であるその木刀の樹種、じつはよく知られています。
なぜかというと、特殊用途で「これが一番!」という性質を利用されているからです。
一番の理由で使われているその樹種は「樫(カシ)」です。
樫(以下カシ)はかなり重硬な木材で、だからこそほかの樹種にくらべても用途もかなり限定的な木材です。
その限定的な用途のうちの一つが木刀で、ほかの樹種の木刀もありますが、有名なのはやはり赤樫(以下アカガシ)。
赤み(実際は赤茶色)を帯びたその材色が重硬感を相手に想起させる上に、もちろんのことながら重く硬いことと、やはり樫類の特性である「手になじむ」性質から振りかざす用途に用いられたことと思います。
木刀でいうと、ビワの木も木刀としての特殊用途をもっていますが、こちらはちょっと物騒なお話で、ビワの木刀でうたれると折れた骨が腐る、と言われています。
これは木材の性質というよりも魔法のようなお話ですが、アカガシもビワも木刀として所持する場合は、警察への届け出をしなければならない時代があったといいます。
そりゃ、アカガシのずっしりとした材を知っているものならば、あんな材の木刀を振りかざされる怖ろしさは、届けが必要なのも納得しますが、相手のいるものではなく、精神を統一し己を見つめる剣士のもつ木刀としてならば、これ以上に身の引き締まるものはないと推察します。
戦国の世では、若い男子が刀を携えることで、男子としての成長と心構えを自身に植え付けていったのかもしれません。
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