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その木を伐らなければいけない理由

先日に私のフェイスブックの方でシェアしたのでご存知の方も多いかと思いますが、今日も少し振り返りたいと思います。

木を伐ることは必ずしも悪いことではないのですよ。
そうやってお話する機会も多い最近ですが、今回は木を伐ることが悪かったのではなく、そうなるように追い込むきっかけとなった周囲の状況が悪かった、という複雑になるお話。

皆さんは北海道というとどのような景色を想像されますか?
どこまでも続く一本道、地平線をずっと眺めたくなるような平野、雪深い銀世界の丘、感じ方は人それぞれかもしれませんが、私はそのような自然の風景を思い浮かべます。

セブンスターの木 10


それらの自然の風景は、様々なコマーシャルによって有名観光地になり、例にもれず多くの観光客が押し寄せているというのですが、商業施設ならいざ知らず、その土地の方の生活の中に一部の観光客や撮影者が足を踏み入れ、残念なことにそこにあるとても美しい景色を形成していた一本の木を伐り倒す(正確にはなぎ倒した?!)結果になってしまった、というお話なのです。

その場所はこれこそ北海道!というイメージにぴったりの、写真撮影の名所が多い場所である美瑛町。
以前、このブログでも紹介したことのあるセブンスターの木親子の木があるのもここです。

幹線道路や空港からもほど近い場所で、イメージ通りの北海道を満喫できる場所のために、観光や写真撮影で訪れる人は多く、私がいた時も幾人もの方が物見と写真撮影に来られていました。
中には立派なカメラを持っているセミプロ?!と思しき方もおられて、普通乗用車では入っていきたくないような雪の積もる農道?!を進み風景を撮る方、少しでも木の近くで撮影しようと雪をかき分けて入っていかれる方がありました。

「ビュースポット」と明記された看板には、「畑には絶対に入らないでね」と書かれています。

セブンスターの木 1

そうです、その看板の場所から眺めるのが正しいのですが、どうしても近づきたくなる上に、いい写真がほしくなるのは私も同じ。
しかしながら、綺麗な看板には「畑には」とある通り、雪で分かりづらいかもしれませんが、周辺は農家の方の畑になっている部分がほとんどの様で、もちろん私有地であり手入れされている場所。

そこへ、興味で近づいたり写真を撮るために入り込んだりすることが、以前から問題になっていたそうです。
私が訪れた時の看板にもあるということは、その時からすでにそうだったんでしょうが、その問題がついに解決することなく、結果として観光スポットになっている木のうちの一つである「哲学の木」と称される一本が、ついに切り倒されたというのです。
正確には重機で押し倒されたとか・・・

一握りであろう心無い人たちによって繰り返されてきた行為によって、その土地の方に大きな迷惑をかけ、それとともに美しい景色を見せてくれていた木をなくすことになるとは、なんとも悲しい結果です。
いくら呼びかけても、畑に無断で入って撮影する人などが絶えなかったようで、やむを得ない措置?!となったようですが、おそらく「美しい写真を撮影できた人」にとっては、それほど重要に感じられていなかったのかもしれません。
ただ、翌日に見た別の記事によれば、その木自体が弱っていることもあり、倒れないうちに伐採するかどうか検討されていたというお話も乗っているので、一概に訪れる人が悪いと決めつけるのもいけませんが、自然のものにとって、周りに人が増えすぎるというのは、やはりそうそういいものではないのかもしれません。

私のライフワークの一つである巨樹巨木巡りにおいても、最低限のマナーである柵で囲われた中には入らない、私有地に勝手に侵入しない、傷つけたりしない、といったようなことはお伝えしている通りです。
私だって近くへ行きたいですし、いろいろな角度で接したいものですが、一人のわがままは許されません。
いい写真が欲しい、もっと近づきたい、という気持ちは十分わかるのですが、それによって、一本の木が倒されて美しい景色が失われるという悲しい結果を引き起こしたということは残念で仕方ありません。

今後は、どの場所においてもマナーを守り美しい自然と対峙していただきたいものです。
とってもとっても残念で、みんなに考えてもらいたいニュースでした。


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