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無塗装品、塗ってもいいとは限らない


コマーシャルに使えそうな五・七・五調の気持ちのいい言葉のような感じですが、これは気をつけてほしい事!なんですよ。

無垢の木材商品は、フローリングをはじめとして塗装品と無塗装品があります。
単純な感覚で行くと、塗装品は塗装して完成されたもの、無塗装品は自分で塗装できるように仕上げてあるもの、という風に理解しがちですが、必ずしもそうではありません。
特に、フローリングや羽目板などの板状の木質材料は、何も考えずに塗装するといろんな事が起こります。
たとえば・・・

1、塗料がモッタイナイ、塗り手間を安くしたい為に、片面のみに塗装をする(塗膜のできるタイプで)
2、入荷したそのままの商品にすぐに塗装をする
3、試し塗りをせずに塗り始める

などなど。

木材を多く使用する場面で、今でも目にするのが1番です。
木材をふんだんに使って、雰囲気良く作られている店内なのに、腰かけた目の前の無垢板テーブルは、飲み物がこぼれるくらいに・・・いや、肘を置こうとするとテーブルの角が腕に食い込んでしまうほどに反り上がってしまっている、もしくは割れが開いているという現象。
いつものパターンでテーブルの下側を触ってみると、やっぱりね。
表面はピカピカにクリヤー塗装や着色塗装されているのに、裏面は無塗装のまま。
もちろん、ピカピカということは塗膜ができているわけで、木が吸放湿できない状態。しかし、裏面は無塗装なので吸放湿するので、伸縮の力の影響で反りや割れが起こります。
まぁ、アンティーク風のお店だと気にならなかったりしますが・・・・・

他には2番の、そのまますぐに塗装するパターンです。
これは、商品に急に塗装するな、というわけではなく塗装するには基本的には「素地こしらえ」が必要だということです。
つまりは、無塗装の商品の中にはそのまま塗装出来ないものもある!!ということです。

出来ない、というと語弊がありますが、塗装はできても仕上がりが変るということなのです。
一例を上げると機械刃物仕上げのフローリングや羽目板の場合、商品にそのまま着色塗装すると、無塗装の時にはわかりづらかった加工刃物の跡が、波模様の様に浮き上がって見える事があります。

塗装にて2


これは、このような表面仕上げで使用するものなので、商品としては間違いないのですが、無塗装=「塗装用のもの」という認識で塗装してしまって、「綺麗に仕上がらない!!」となってしまうわけです。
決して塗装の下地用に加工されたものが無塗装品ではない、ということです。

また、機械刃物仕上げで刃物跡が綺麗なものでも、浸透性オイル塗料をそのまま塗布すると、仕上がりがとてもスリッピーになり、スリッパや靴下で歩くとまるでスケート(大袈裟)のような仕上がりになってしまうことがあります。
だから、無塗装のフローリングだからといってそのまま塗装してもいいですよ!ってわけではないんですよ。
無塗装は塗装の為に非ず!です。

昔の大工さんであれば、機械加工で仕上がってきた商品は必ず、もう一度ご自身で鉋をあてていたものでした。
それが当たり前と考えておられました。
もちろん、無塗装でもです。というか無塗装で見せる=和室などの木味を活かす仕上げが多かったから。
まぁ、機械仕上げのまま取り付ける、というのは大工ではないという考えもあってのことでしょうけども。
塗装する場合は、鉋ではなくてもやはり塗装下地用に表面の素地ごしらえをしてほしいものです。

ついでに言うと、樹種によっては1枚の板の中でも部分的にオイルのしみ込み具合に差が合ってまだらに見えるようになることや、パインなどの脂気の強い樹種は、節の周りなどでオイルをはじいたり妙に光った様な仕上がりになることがあります。

塗装にて1

これらは決して欠点でもクレームでも、材が悪いわけでもなく無塗装の天然素材に塗料を塗っているんだから当然に起こりえる事なのです。

他には、塗料を吸いこんでけば立ちやすくなる樹種などもあります。
天然の素材を理解する気持ちを持ってくださいね、ということです。


Repeat after me!! 「無塗装品、塗ってもいいとは限らない」


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