2013年11月15日
天然乾燥 杉柾目羽目板の特殊加工開始!!
ずっと試作を続けてきた杉柾目無垢羽目板がいよいよ加工段階に入ります。

なぜ試作を続けてきたかって?!
それはこの羽目板の加工にお施主様の凄いこだわりがあったからです。
写真を見てわかると思いますが、これは4枚の板を重ねている状態です。
影が出来ている事からも重なっている状態が認識できると思うのですが、実はこの単純に重なっている状態を、無垢の木材で、しかも天井面に施工するものとして、更に、曲面を描くように施工できるようにしなければならないという、どうしたらいいんだろうと考え込んでしまうような条件のなか、試作をなんども繰り返しながらたどり着いたものです。
以前にイナゴ天井というのを紹介したことがあるのを覚えていらっしゃいますか?!
杉の無垢天井板を、一枚ずつ重ね代をとって貼りあげるものですが、その一枚ずつを重ねた部分は丁寧に一つづつ竹釘で止められていく職人技で、現在は印刷天井で似たようなものを再現していますが、やはり本物の職人さんの技術を見ると驚くものがあります。
これがイナゴ天井のかさね部分。手仕事です。

そのイナゴ天井のイメージが今回の羽目板(正式には天井板)のコンセプトです。
だから、天井を見上げた時に先程の段差が重なり代のイメージになるような形になっているのです。
しかも、仕上がりは先程の通り、局面に施工する形になりますからそれに沿うような形になる様でなければなりません。
この羽目板はイナゴ天井のイメージですが、イナゴ天井ではありませんので施工の仕方が異なります。ではどうやって施工していくのか?!施工個所にも制約があったりして、加工形状にも頭をひねりました。
それがやっと製作開始の運びとなりました。
杉の羽目板といえば、フローリングとともに節ありで如何にも無垢!と思わせるようなものもあれば、節のない綺麗な板目の並ぶものもありますが、今回は全て柾目を使います。
そう、百年杉柾無垢フローリングを製作する事が出来るからこそ、加工形状からこだわって、柾目の原板を使用した羽目板を製作することが出来るというものです。
昔教えてもらった事があります。
フローリングの場合は、杉や桧で少々節のあるものでも問題はありませんが、こと天井となるとそれではダメ。
人間は、節板が自分の頭上に使われていると、その節がまるで目のように感じて落ち着かなくなる、だから天井板は節ありではダメなんだ、と。
なるほど、昔はビニールクロスなどない時代も含め、特に就寝時はどうしても天井に視線が向きます。
その時に、暗い中でたくさん丸い節があると、何か気になるような・・・・
おっと、節板が決して悪いわけではありません。
しかし、昔の材木屋って、そういった生活の中の木材の用途やここにはこれでないと、というようなノウハウや蘊蓄、それもあんまり馬鹿にできない様な教えを持っていたりしたものでした。
自社でしか通用しない「暗号」(符牒といいます)というのも各お店が使っていたとも聞いています。
弊社にも受け継がれています。
そんなだから、生活にも消費者にも近かったのかもしれません。
段ボールに入って工場から運ばれてくる商品であったり、木材でも出来上がったものだけを扱っていると、次第にそのノウハウが薄れてきてしまいますね。
今回の羽目板を施工される工務店さんはイナゴ天井も経験済みのところ。
だから打ち合わせもイナゴのあのイメージで・・・というような会話でしたが、果たして曲面施工というのが可能になるものか否か・・・
あとは大工さんに頑張ってもらう他ありません。
完成すると、節板の天井板の荒さではなく、スウゥッととおった端正な柾目が織りなす波が、まるで波間に浮かぶボートで昼寝をしている様な、そんな感覚に誘ってくれるやもしれません。
まさしく杉柾目の「ゆらぎ」です。
しかも、いつもながらに百年杉柾や古希杉板目節ありフローリングと同じく天然乾燥の原材料を用いています。
だから杉の香りと美しい色合いは何とも言えません。
安眠効果もある杉の贅沢な柾目羽目板、是非寝室に如何ですか?!
