2013年08月21日
想像したことがありますか 見えない部分の事
どこでも目にする樹木。
よほどの都会でない限りは、街路樹や公園などで目にしている事と思いますが、目に映るその緑や紅、黄色や茶色の葉は認識していても見えない部分である「根」の事は考えた事があるでしょうか?!
少し前に巨樹の記事で紹介した、切越の夫婦ヒノキや夏山の大スギがそうですが、あのように根上がりのような状態になっていれば根っこを意識しますし根の状態がわかると思うのですが、通常は土の下にある部分ですので、見えない部分はあまり気にかけないことでしょう。
先の2例の場合は異様な程の根の張り具合でしたが、では通常見えていない部分の根はどうなっているのでしょうか?!
皆さんはどう想像しますか?!
急に言われてもわからない事だと思います。
実は樹木の根は地上の枝葉の4〜5倍以上、大きいものでは10倍以上の広がりがあるとも言われています。
聞いた話では杉の樹齢30年の木の、主根から毛根までの全てをつなげた全長が3kmにもなっていたものもあったそうです。

ただし、基本的にはそんなに深いところまで根を伸ばしているわけではありません。
というのは、一般的には地表近くで水分を摂取しミネラルなどの養分も取ることができ、深く進む必要がないからだといわれます。
先の2例も地表から養分や水分を摂取しやすい環境なのかもしれませんね。そう考えると納得です。
根の深さを平均すると、桧や杉などは1.97m、ケヤキやナラなどの広葉樹は1.44mくらいだそうです。
それでよく、地表の幹や枝葉を支えられるものだと感心します。
とはいえ、やはり養分や水分が得られない場合は深く伸びていかなければなりませんから、もちろん深く根を張っている物もあるということです。
根は樹木の重さの20〜30%ほどだそうですが、これも一般的な話で熱帯雨林などでは15%、乾燥地では50%と大きな開きがあります。
それでも、幹自体を除けば地表部と根はほぼ同じ重さだといわれています。
地表に出ている部分は幹が大部分、ということですね。
それでも根は、枝や葉と同じようにそれだけの面積を占める重要な部分だということの証ですね。
もう一つ、根といえば地面やブロックなどを持ち上げているものを見かけたりしますが、あれは根の勢いがすごいというよりも、根が進んでいく時に何かの間に入り込んだりした場合に、進む力とともに側面に押し広げる力が強く働くそうで、たまたまブロックや舗装の間に入り込んだ根が、その押し広げる力で隆起させているものだそうです。
どちらにしてもすごい力です。

浅く広がる根だけを考えてもまだまだ深い話が多いのですが、こういったことだけでも知っていれば、巨樹に出会った時もむやみに根を傷めるような事は少なくなるでしょうし、見えないところにまで気を配れるようになれば、見えているところがもっとはっきりと見えることと思います。
何かを下から支えている力や、見えない力というものはあまり気にかけないもの。
しかし、そういったところにこそしっかりと立っていられる秘訣があるのかも知れません。
まだまだ木に学ぶところは大きいですね。