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新・大阪木材仲買会館完成


遂に完成、大阪の木材のランドマーク!新・大阪木材仲買会館です。

ついに、とはいったものの正直なところはそんなに大きくは期待していませんでした。
というのは、建築中の見学もさせてもらっていたのですが、印象はコンクリート造の上にでっかい集成材がのっかっていく、という迫力はあるのですが、木造といわれてもなぁ・・・木やけども中にはモルタルはいってるしなぁ・・・・ってな具合で、自分の中ではそんなに「木」という部分を取り上げるような雰囲気ではなかったのですが、完成した建物を見学にいったところ・・・・・

木材会館 11














今年の桜は本当に早咲きで、咲き始めたかと思えばまだ肌寒い中散っていってしまいそうな勢いだった為、満開?!と疑問符は付きますが開いた桜の花が美しい正面玄関がはえるのが新・大阪木材仲買会館です。

大阪木材仲買会館 1










真ん中の電柱がどうしても視界に入ってしまうこのポジション。
関係者も道行く一般の方もこのアングルから写真に収めていらっしゃいましたが、どないかならんかったものか・・・
それでも、一見して木の雰囲気が伝わる建物になっているなぁと感じたのが正直な第一印象。

そして建て物内部へ・・・おっと、ちょっと待ってください。
皆さんはもしかしたらスルーしているの?!
殆どここから撮影している方はいません。いや、皆無です。こんなアングル興味ないのかな?ふと見上げた時に脳裏にその姿を連想させるこの姿。

大阪木材仲買会館 2




 正面玄関に向かって少し左に進むと建物の隅の部分の真下になり、そこから上を眺めるとこのように見えます。

 これを見て、何か感じるでしょうか?!

 私は、あ!?これ、もしかして狙って建ててるの?!と思わず感心してしまいました。

 









それは、この風景を思いだしたから。

大阪木材仲買会館 10




 そうです、「塔」です。五重塔や三重塔などという塔。

 この塔の屋根の墨の部分の下に入り上を眺めると、先の会館の下から眺めたような格好になるんです。














くうぅー、やられた。さすがは設計・施工 竹中工務店(敬称略)。
実は、後の説明用VTRにて知ったことですが、やはり最初からこの部分は塔を意識して造られたようです。
たまたま持っていた本と、解説ビデオを重ねると・・・

大阪木材会館 13



 ほらね。







私は外観の柔らかさと広がりを出すための曲線処理がもたらしたデザインだと、単純に理解していたつもりだったのですが、実際は狙っていたディーテールだったのです。
完全に一本取られてしまいました。
ここは、もしかすると隠れた見どころナンバーワンかもしれません。


さて、そんな事に驚きながら内部に侵入・・・いや、入館したのですが、内部も期待以上の木質感を感じます。
先に書いた様に、この建物は1階をRC造(鉄筋コンクリート)、2階と3階を「燃エンウッド」と呼ばれる耐火集成材を使った大断面木造となっていますが、建築中は1階は殺風景で冷たいイメージ、その上も集成材が目立つような印象だったのですが、そのイメージは内装仕上げによって見事に覆されました。

大阪木材仲買会館 4


2階から階下を望む。







床にはオークの塗装フローリングが敷き詰められていますが、白太や色むらなどを含む為、本物感を盛り上げ、吹き抜けの大空間を通して見る桧の天井板や細かい部分の木の仕上げなどは、全く押しつけを感じない仕上がりの様に思いました。

大阪木材仲買会館 8



 オークのフローリング。






大阪木材仲買会館 6



 すっきりした天井面の羽目板。





気になりそうであったRC部分の仕上げも、これは予想通りといえば失礼ですが、木目があしらわれているだけで、調和がとれている様にも感じます。
エレベーターホールの小さな部分にも木が使われています。

大阪木材仲買会館 3











流石に床や天井などの仕上げ材以外の部分(つまり構造材)はもちろん燃エンウッド集成材現しなので、工業製品的な部分も否めません。

大阪木材仲買会館 5











が、それでもこの燃エンウッドは中心部から、「荷重支持木部・燃えどまりモルタル層・燃え代木部層」からなる3層構造の耐火集成材という形式を用いて、都市部において課題とされる大規模木造建築を進めていく上で欠かせない部材になりそうな性能をもったものですから、無垢の木と建築物を守る耐火性との融合という意味で、大きな存在意義を持っていると感じます。

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木材の使用量としては相当なものですが、内部にいても食傷気味にならないのはやはりバランスでしょうか。
光の入る明るい空間と、そこから足を踏み出してももうひとつ木製デッキが広がり、内部とはまた違った展望が開け、涼しい空気を肌に感じながら談笑できるスペースがとられているのはとても有難いと思います。

大阪木材仲買会館 7










もちろん、仲買会館の案内資料にもあるのですが、このデッキは建物のひさしになっていて、木部を上手く見せると同時に太陽による木部の紫外線劣化を防ぎそれとともに、メンテナンスをしやすくし、また災害時の避難経路としても有効に使えるという段取りです。
流石ですね。
デザインと実用性を兼ねています。

期待の低さを大きく覆してくれた、新・大阪木材仲買会館。
これは、木材業界の方はもちろん、一般の方や見学などにも開放して木造の可能性とともに、その温かさを感じる場所にしていただければと思っています。
一時話題になった東京新木場の木材会館の木の使い方に負けていないのではないでしょうか?!?
私も実際、新木場の会館の内部には入った事がないので何ともコメントしようがありませんが、東京と大阪のこの両2大都市に「木材が見える」建て物があるというのは、どちらも素晴らしい事ですね。


ながながジロジロと見まわしているうちにいつの間にか日が落ちて、会館の昼に見せる顔とはまた一味違った顔を見ることもできました。
夜に薄着では少し肌寒い中、会館の木部に浮かび上がる光は、都市の中においてひと際柔らかく温かかった事を最後に報告して見学記を結びたいと思います。


大阪木材仲買会館 9











大阪木材仲買会館:大阪府大阪市西区南堀江4−18−10


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