2012年05月11日
森から崩れる、我が国の危機
皆さんは知ってらっしゃるのでしょうか?日本が日本で無くなっていくのを・・・
私自身は物凄くおそろしい事態だと感じていることですが、それが私の扱う木材に関係する「山」の話となると、更に人ごとではなく感じます。
昨年の晦日にもテレビにて関連の特集があったのですが、少し前の新聞にも同じ様な内容の記事が出ていましたので、まだ夏には早いですが、おもわず涼しくなってしまいそうな少し恐ろしい話をしたいと思います。
私が中国に視察に行った時、整然と整備された住宅の群れの前を通りました。
冗談交じりに、「中国でも儲かるとえぇとこ買えるんやねぇ。」と話したのですが、よく聞いてみると日本の住宅事情とは少し異なる事実を知ることが出来ました。
それが、今回の「日本で無くなっていく」事態に大きく関係しているようです。

数年前から、日本人が見向きもしない様な山林や山深い広大な場所を、外国人が購入しているという話はきいたことがあるのですが、それは、日本の山々から豊富に湧きだす水資源の確保の為ではないか・・・という見方が大半で、確かに、その下流には山林からの水を待っている人たちがたくさんいるわけですが、現在の「蛇口からいつでも綺麗な水の出る」日本の人たちには、山が水を運んでくれるということまで気がつかないのか、大切な水資源に関しての話題だったにも関わらず、そんなに大きく取り上げられていなかったように思います。
当然、そこには林業も関係してきます。
担い手の高齢化や手入れしきれない植林地、下落した木材価格による「搬出しても赤字」のような状態の林業地では、山をもっているより誰かに売った方がまし。
そういった窮地に立たされているのが日本の一部の森林の現状です。

そこに近年、山や土地を売りたい日本人と、日本の土地を欲する外国人の利害が一致し、大きく土地売買が行われているそうです。
その理由は先の水資源だけに限ったことではないのが、今回大きく取り上げられる元になったようなのですが、その理由というのが、私が数年前に視察先で聞いたことと、大きく関係している事に驚き、おそろしくなりました。
というのは、中国(など)は、基本的に土地には自身の所有権はないそうです。
つまり、物件を購入はできても日本の様に「土地(所有権)つき」の住宅ということはできないのです。
だから、いくら望んでも、「自分の土地」というものが持てないのです。
もうおわかりですね。
そう、自分の土地=形のある所有財産を残す為に、所有権の持てる日本の土地を購入しているようなのです。
テレビの中では、「コレクション」のように各国に土地を所有しているという話も出ていました。
自分の子どもの為に土地を残したい、そう希望する富裕層もあるそうです。

つまり、冒頭の「日本が日本で無くなる」というのは、数世代先には否数十年後には様々な土地が、日本の国でありながら所有者は外国人であり、日本の国自体が関与できない部分になってしまいかねないということです。
大袈裟かも知れませんが、水資源の確保とともにとても重要な「日本の国土」を守る手立てと、生活の為に所有地を売りに出さなくてはいけない現状の山林を何とかする手立てを急速に考えないといけない時代のようです。
当然、材木屋が木を有効活用することで達成できる部分も大きくあると思いますが、それも皆さんの購買という協力が必要ですし、やはり大きな意識改革が必要です。
なかなか日々の生活では見えない事かも知れませんが、木を使うことの先には森や山の事があることも知っていただき、その山が様々な役目を果たしてくれていることを知っていく必要があります。
考えさせられることが深く、深く考えるとおそろしい様なお話ですが、もうそこまで来ています。
私たちがするべきことを、今改めて考える機会ではないでしょうか・・・・