2012年03月19日
木造住宅にしたい人が大半?!
少し前に見た記事を思い出しています。
内閣府の調査によると、「どんな住宅を選びたいか」という問いに対して80%超の回答が「木造住宅」という結果だったそうです。
これは、昨年の12月に実施された「森林と生活に関する世論調査」の結果だそうで、調査対象は全国の20歳以上の3000人に対して行われ、有効回答数は1843人だったそうです。
また、「森林に期待する働き」についての回答は、「山崩れや洪水などの災害を防止する働き」が48.3%、「二酸化炭素を吸収することにより、地球温暖化防止に貢献する働き」が45.3%(前回2007年調査より8.9%低下しているらしい。)、「水資源を蓄える働き」が40.9%という結果だったということです。
他にも「休暇を緑豊かな農村で過ごしてみたいか?」という調査もあったようですが、そこは割愛して、次に大事な質問「今後住宅を建てたり買ったりする場合、どんな住宅を選びたいか」という質問に対しての答えは、木造住宅(在来工法)が56.0%、在来工法以外(ツーバイフォーなど)が24.7%、非木造住宅(鉄筋、鉄骨、コンクリート造など)が15.4%だったそうです。
結果をみて、木造志向の高さを伺えると締めくくっています。
さらに、「木造住宅を選ぶときに、価格以外で重視する点」という問いに対して、品質や性能が良く耐久性に優れていることが68.4%、健康に配慮した材料が用いられていること、が66.7%、国産材が用いられていること、が39.8%という回答だということです。
この調査の原本を見たことはありませんが、おそらく選択回答制でしょうね。そうでなければ、一般の方々が詳しく「水資源云々や、二酸化炭素吸収」という言葉を発せられることはないと思う(ということは、もっと啓発しないといけないということなのですが・・・)のですが、そのあとの木造住宅嗜好が伺えるというところの理由を聞いてみたいものです。
なぜ、お客様が木造を望むのか、そこに何を希望されているのか?!鉄やコンクリートなどでも優れたものはたくさんあります。そこを何故木造なのか?!
また、木造住宅を価格以外で重視する点については、「品質や性能」という言葉が出てきます。
木造住宅の品質や性能とは何を指すのでしょうか?!
仕上がりの美しさ?綺麗さ?それとも、計算ではじき出された耐久性数値でしょうか?!
どれもわかりやすい点かもしれません。
しかし、木造住宅の本質は、もっと違うところにあるのではないかと思います。
当然仕上がり仕事の美しさは必要です。構造的な強さや耐久性も大事です。
が、あまりにもそれを求めすぎる事によって、木の持つ本質を犠牲にしている部分が多くあります。
名前は木造住宅ですが、内部はビニールクロス仕上げで床も合板、構造材は計算数値を満たす集成材、柱も当然集成材。
木質材料で出来ているかもしれませんが、木を使った家には程遠いです。
私は、今まで様々な住宅を見ていますが、建築当時の品質はよく、美しい仕上がりであっても、10年、20年の経過で「化粧」がめくれ「汚れ」と呼ばれるようになる仕上げを見てきていますし、構造的に数値が優れていても経験のある大工さん達が、「こんなんでえぇんか?!この梁の大きさで大丈夫か?」という言葉を多く聞いています。
また、メンテナンスせずに耐久性を高くできると考えてはいけません。ましてや、木の建物を選ぶのですし、木造以外にも家のメンテナンスはつきものです。
そこに続いて「健康的な材料を使用していること」とあります。私はどうしても「無垢材」の事を考えてしまいますが、今、無垢材を使っている住宅がどれくらいあるでしょう・・・・
また、無垢材を使って仕事のできる大工さんの減少は、日々肌で感じるところです。
お客様にとっては、ある程度漠然とした上記の様な答えしか出しにくい所もあると思います。
だからこそ、イメージだけではなく良いと言われる特徴も、欠点といわれがちな特徴も含めて、本当の木造住宅を知っていただく必要があると思います。
全てが木であり無垢である必要はないと思います。できる範囲内、生活しやすい範囲内ででもできることを少しずつ取り入れてもらえればと考えます。
それが、本当の意味での木を活かした木造住宅につながるのではないかと思っています。
そこで、この記事を思い出すきっかけとなった木造住宅が先日完成しました。
見学に行ってきましたので、上記の記事内容を考えながら、次回の見学写真をご覧いただきたく思います。