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木を使うことの意味


前回の記事で、木を使って二酸化炭素を固定する、旨の内容をだしておきながら、説明が不十分であったことと、一度ではお話ししきれない部分があることから(というか、私が納得できないので・・・)今回に持ち越しさせていただきます。
今回は、数字や専門的な事が少し多くなるかもしれませんが、是非おつきあいください。

さて本題に入る前に、現在の日本の森林の割合は世界の国々と比べて多いでしょうか、少ないでしょうか?また、世界何位くらいでしょうか?

正解は、68.2%で世界第2位といわれています。
1位はフィンランドの73.9%なんですが、それでも日本も大きな森林面積を持っていることがわかると思います。
が、ココからが要点で、その森林の中のおよそ40%ほどが人工林です。
しかも、これだけの森林がありながらも、日本の木材自給率は現在27%ほどで殆どが輸入に頼っています。
決して輸入材が悪いというのではなく、自国の山の有効活用を考えないといけないということです。

その理由は、「貯めるために伐るから」ということです。

先の記事で、木は光合成により二酸化炭素を固定化し、酸素を作り出すことはかいていますが、よりその過程を活発にするために木を伐るのです。
何か矛盾しているように感じるこのテーマですが、実はココに大きな誤解の元が生じる要素が点在するのです。

実際、熱帯雨林やその他の原生林を切り拓いていくことは良いとは言えません。
皆さんも、山がはげている様子が目に見えるように浮かぶと思います。
さぞかし環境に悪いとかんじることでしょうが、実は伐った方が良い場合もあるのです。
それは、先にも書いたように日本において40%をしめる人工林です。
今話題になる温室効果ガス、二酸化炭素の量は地球上ではいつも一定です。
何が違うのかというと、それが固体であるのか気体であるのか、ということです。
どちらであれ、その総量は変わらないといわれているのですが、今は固体と気体のバランスが崩れているということです。
空気中にたくさんの二酸化炭素が放出され、おそらく今まで固定されていたであろう分、そう、何千年、何万年、いや、もっと昔に固体になった二酸化炭素であるガソリンなどの油の消費が著しくのびたことで、固定化されていた二酸化炭素が放出されているのも、バランスが崩れている理由の一つです。
ずっと昔に蓄えてきたものを、じゃんじゃん現代で放出しているということです。
因みに、私が愛用している神代朴の名刺ケース(名刺入れ)も、数千年以上前の炭素の塊なんですから、タイムスリップしてきたようなものですね。

つまり、固体の炭素が気体にかわり温暖化ガスとして放出されているところを気体に戻せば、バランスが改善されるというわけです。
そこで木の出番です。

木は気体である二酸化炭素を固定化します。
そしてさらに、燃やしたり腐らせたりしない限りずっと固定化してくれます。
だからこそ、炭素をため込んでいる木を使わないといけないのです。
森林による二酸化炭素の吸収量は26億トン/年といわれており、一年間に排出する二酸化炭素量32億トンの殆どを森林が吸収できる計算になります。

といっても、その吸収量は適切に整備された森林の吸収量を含めて、ですから一定の樹齢に達し成熟した森は、計算にはほぼ入れられていないといいます。
一定面積の森林でいうと、成長が最大限になってくるとその一面積においては、もうほとんど吸収しないとみなされます。
吸収しないというか、吸収分とその森からの排出分がイーブンになるといった考え方になるのです。
もちろん、老齢木や巨木も成長しないわけではないし、反対にもしかすると肥大上長成長だけではないエネルギーの為に、「成長」しているのかもしれないし。
簡単に考えると、倒木し腐っていくもの、若干の成長による吸収がほぼ等しくなってくるという考えです。
プラスマイナスゼロ、ということですね。これは吸収していないとみなされるのです。

それならば、そう、人工林ならば、人間が植え管理している森ならば吸収量がイーブンになる前に伐りだし、そして又そこに新たな苗を植えることで、その面積一面は、又新たに炭素を蓄えることができ、その山から出た木は炭素を蓄えたままなので、それを活用することで温暖化も防ぎ資源としても有効に利用することができるようになるということ。

未だに木を伐ること、使うことは山を破壊すると信じていらっしゃる場合がありますが、残念ながら学校においてもそうなので、上記のような理由をきちんと説明できないといけないということですね。

すぐに理解しづらいことですし、目に見えにくいことですが私たちの身近にある木というのは、そういった大きな役割を担ってくれるものです。
ただ森を木を守ればいいというわけではなく、伐って有効に活用する方法を考えるのが、本当は一番温暖化防止に役立つのかもしれません。
皆さんも、弊社の無垢木材、を有効に活用し二酸化炭素の排出防止に是非ご協力くださいね。

ただもちろん、人工林でもなんでも伐ればいいというわけではありません。
その山の状態や将来性、そして植生のこと、そして伐った後の森の事を考えていかなければいけないのです。
こういったことも考えると、更に複雑になりますが・・・・・・・


人と木が合わさると「休む」となり、木が囲われると「困る」のです。
いくら木を使っても、現在の住宅のようにビニールや石膏で木が囲われてしまっては、木が泣いているでしょう。
やはり、生活の一部分として無垢の木を取り入れ安らぐ、休める家にしてもらいたいものです。
どんどん、いろんな話に波及していきそうなので、今回はこの辺で。



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