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「材料」としての欠点 −胴折れ(胴打ち)・もめ−


今回はあんまり良い題名ではありませんね・・・
私も大好きな木に「欠点」という言葉は出来るだけ使いたくないのですが、今回の写真はさすがに材料としてみるならば欠点です。

これだけはっきり見えるものもなかなかありません。

胴折れ5














杉の板材の久しぶりにまとまった数の加工だったのですが、その中で目につくくらいはっきりしていましたから、この種の例としては珍しいくらいはっきりと出ています。

胴折れ3


 その名の通り、材を折る様に横断線が走っています。










胴折れ4



 横から見ても同じ場所にあります。

 破壊線が丸太の時に走っている証拠です。






これ、私のところでは「胴折れ」と言っていました。
まだまだ住宅の構造材の手加工が当たり前だった時代、和室の柱にする桧の角材を弊社にて選定するわけですが、その時の大工さんとのやり取りが何ともいえず楽しかったものです。
どちらも真剣で、「この材はどうだ、これはこの部分を見せたいなぁ・・・」とか。
そんな事を話しながら桧を触るのは、ほんとに心地よい時間でした。時代とともにそんな時間も少なくなりましたが、その桧の柱にたまに見られたことで記憶に残るのが、今回の例です。


通常は、荒挽きした柱を大工さんが加工し、ツルピカの柱に仕上げるわけですが、その加工の段階までわからない位にパッと見た感じには区別しにくいです。

胴折れ柱




 これが桧の柱に入ったもの。うっすらと引っかき傷の様なものが見えますか?







正確には、「胴打ち」や「もめ」と言われています。
そのうち、伐採時に岩石などに衝突して木の繊維が破壊されて生じるものを「胴打ち」、また、風や雪などの圧力により幹が曲げられた場合や、樹木が生長するときの応力などにより木材の繊維が切断されてしまっている破壊線を「もめ」と呼ばれるのが一般的です。

木の細胞壁に生じた座屈線です。


胴折れ1




 拡大すると、本当に折れてしまっているようですが、材としてはつながっていて、触って分かる亀裂はないのですが・・・





胴折れ2















加工前は外観にも分かりにくい場合があるのですが、今回の様に仕上げると比較的はっきりする場合もあるので、美観上好まれないですし、何より細胞が破壊された座屈という状態であるので、強度が落ちている場合があるので注意が必要です。

これがあるから廃棄!!というわけではないのですが、やはり強度や美観に問題のない所に使うなどという配慮は必要です。
こういった材も、自然を生き抜いてきた木材だからこそ見られる現象。
わたし達人間も、生きていく過程でいろいろな事があり傷つく事もあるでしょう。それらの傷を受けながらも生きていくというのは、木も同じ事です。
細胞が切れながらもしっかり育った杉を活用できるようにするのも、木の、自然の恩恵を受けている私たちの義務です。
単純な「欠陥」ではなく、それを如何に使うかを考える為の知識として覚えておきたいものです。

追記:2014年、更にわかりやすい状態の記事を追加しています。そちらもご覧ください。


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