木材表面に塗膜を作る、樹脂系塗装のめくれ
木材を使用する環境は様々です。
屋内でも、水かかりのある場所や、床などの摩耗の多いところ、また屋外のデッキやフェンス、外壁などその用途によって、それにあった塗装が必要になります。
弊社は以前から無公害塗料の「オスモカラー」を様々なシーンでお勧めしてきましたが、その理由もお伝えしてきたとおりです。
詳しくは記事をご覧いただきたいのですが、木材保護と木材の風合いをいかすこととを両立させることは、簡単なようでなかなか難しいものです。
一般的には樹脂で木材の表面を覆ってしまう塗装が多く使用されています。
簡単ですし、塗料で覆われたその木部は一見、とても厚い膜で覆われて耐久性が高そうに見えますが、そうではないのです。
オスモカラーの事をご説明するときに、木材の呼吸(と称されている吸放湿の事)をお伝えしながら進めるのですが、この吸放湿ができるかできないかで、数年後?の木材の状態や塗装の状態に大きな違いが出ます。
当然、塗装した表面は、樹脂の厚い膜があるので木の手触りはなくなることも樹脂塗装の大きなポイントですが、それは塗装直後にわかります。
時間が建った時にどうなるのか・・・
これが五感に触れられない塗装面の質感とともに、お勧めできない理由の大きな部分である、「塗装のメクレ」です。
これは、5年ほど前に樹脂塗装完成品として購入した、オークの無垢上り框(玄関の上がり口に取り付ける部材)なんですが・・・・・
不自然に塗装が浮いて、見事に剥離しています。
それも数か所あちこちに・・・
こんなのが一杯、てんてんと・・・
気泡をつぶすと、パリパリといいながら、剥がれていきます。
寸法加工しての出荷依頼でしたので、段ボール梱包を開けてびっくりです。
こんな感じでまぁーるい気泡になっているところも多々あります。
周辺も白く濁ってきています。
更に剥がれてくるんだろうか・・・・
この材は暴れも出てきていることから、まだ乾燥していない状態でコテコテに塗装されたのではないかと推測します。
それに加えて、取り付けた際に見える2面部分しか塗装していないので、余計に未塗装の部分との吸放湿バランスがとれずにねじれを助長したものとも考えます。
お客様のところに渡っていなくて良かったものの、こんなものを素知らぬ顔で売る材木屋がいる(弊社がこの材を購入したところですね・・・・弊社も段ボール梱包だったので、中身確認していませんでした。)ことが、お客様の信頼を落とし、また、材木屋の信頼を失うことになると何故わからないんでしょうか・・・・
悲しくなります。
今回の材でもわかるとおり、木は水分を持っています。
その水分の出入りがあるため、木の表面に塗膜を作ってしまうと、一時は綺麗に仕上がるのですが、後々に写真の様に膨らんできたり、または剥がれてきたりするわけです。(原因としては、塗装工程不良ということも十分にありえますが・・・)
当然、塗膜があると吸放湿できないので、木の大きな欠点とされている(特徴であり、欠点ではありませんが…)収縮による寸法変化などは抑えられるでしょう。
しかし木の風合いは失われますし、経年変化によっての変化や材の古びていく姿を見ることもなく、美観を損なってしまいます。
この違いを知らずに塗装してしまうから起こることがほとんどですが、それとは違い、早く商品化するために今回の様に、生木(水分の残った状態の木、未乾燥材)にコテコテに塗装して出荷するといった事も稀にあります。
受け取ったお客様が、このような塗装の劣化が原因で、木材は劣化するからとか、後で手間がかかるとか、といったような悪いイメージが木材に定着している一つの要因なのではないかと思います。
樹脂の塗装が必要な場面もあるでしょう。
ですから、適材適所であり、その材やその状況によって塗装なども変えていかないといけません。
だからこそ、いろいろな話を通じて木材を扱うべきだと感じます。
そうすれば、塗装のお話や木のお話もできますし、よりその物の価値を引き出せるのではないかと思います。
今まで、時間短縮や削りに削った部分を少しずつ取り戻していかないといけない時代だと感じます。
必要性の低い部分から削っていくのではなく、その部分も含めて必要とされる様に時間をかけないといけません。
削っていって、はたして想いのこもった良いものができるのか・・・
課題となる部分ですが、今回のような事は、いくら安くても早くても、一時綺麗でもあってはならんことですから、減らしていく様に努めていきたいところです。
それにしても、残念な商品です。
これから、バリバリ削っていく作業に入ります。もったいないなぁ・・・・・・・・・・