2010年09月11日
屋久の巨木、翁杉たおれる
今朝の新聞並びにインターネットニュースにて写真付きでとりあげられていました、御存じの方が多くいらっしゃるであろう、世界自然遺産に登録されている屋久島は屋久杉の巨木の一つ「翁杉(おきなすぎ)」が10日、高さ3mのところから折れて倒れているのを、観光客(登山者?!ではないのか・・・)が発見したそうです。

私が入山した当時の翁杉。
手前の人でも幹から3〜4m離れてます。で、このサイズです。
私も離れて撮影し、やっと上の方まで映るかなという感じです。
翁杉は幹回り12.6m、樹高23.7mで、樹齢は2000年といわれている巨木で、枯死していない屋久杉の中では幹回りは有名な「縄文杉」に次ぐ太さとして知られていました。
私も数年前に宮之浦岳をのぞみ、屋久の森へ入山し出会ったことのある、とても立派な木でした。
倒れた原因までは詳細に記されてはいませんが、いずれにせよ、樹齢2000年、西暦10年!!頃に芽を出し現在の2010年までずっと生き続けてきた命が倒れたと考えると、とても切ない思いがします。
が自然界、こと屋久島においては、巨木の倒れることは、必ずしも悪いこと、悲しい事ではないのです。
というのは、樹齢1000年以上や2000年以上といわれる巨木が今もかなりの数残るその島においては、巨木の下では、日の光も受けにくく若木の成長は難しいのです。
ですが、巨木が倒れ、日が差し込むことによって、土からや又はその倒木の株から次の世代の屋久杉候補たちが芽を出すのです。
これを「倒木更新」といいます。
自然界には様々な世代交代がありますが、屋久島でのこの倒木更新もかなり古くから続いてきたそうで、実際森の中には倒木更新によって次世代が育っている例が多々見られます。
写真の三大杉は、実に3世代に渡って倒木更新・切り株更新を続けて、今も生きているのです!!


世界にはまだまだ長寿の木々が存在しますが、私にとっては屋久島の屋久杉はまたそれらとは違い特別に感じます。
森に入り、出会った経験から感じるものですが、出来ることならばもう少し永い間、その巨躯を見ていたかった様に感じるのは私だけではないと思います。
もし、次に入山する機会があれば、翁の子、若しくは孫?!が時代を担う芽を出しているか、見に行きたいと思います。
また近い将来、翁が倒木材として外界へ運び出されるならば、第二の樹生を大切にしてくれる方の元に届けられるように祈ることとしたいと思います。