これからの木材
先日、倉庫で探し物をしているときに、40年ほど前のむかぁ〜しの材がゴロっと出てきました。
といっても、見えなかったところからゴロっと出るくらいですからそんなに大きなものではないのですが、ピーラー(高樹齢の木目の細かい松材)の1mの盤やら朴の板やら。
その中の朴の板が見事にプロペラ(飛行機のプロペラと同義で想像してください。)の様にねじれていたので、
「ここまで癖が出たらこれからはそんなに暴れないだろう。よし、いっそのこと切ってみて、短くして使ってみよう。」
と思い、1m×3.6cm×16cmの材の長さを切って、もう何の木かわからないくらいに変色したところを、ねじれをとる意味もあり削ってみました。
するとでてきたのがこんな感じでした。
赤身の色が深い、すべすべの木肌をもったもので、削り落していくのが勿体ないようなものでした。
昔話ですが、弊社では桂や朴などの彫刻やまな板の材をかなり大量に在庫していたそうです。
おそらくその時の名残でしょう。
昔は趣味から生活用品まで、結構一般の方が木材をお求めになられていたそうです。
私もかろうじて、数回彫刻用の朴の大きな板を製材所に持ち込んで機械挽きしてもらったのを覚えていますが、今は昔です。
最近も朴や桂などの木はあるにはあるんですが、なかなか良材には会う機会が少なくなってきました。
こんな色艶木目のいい材はやはり減ってきているようです。
因みに昨年製材の朴ではこんな感じです。
写真の左側が昨年の材ですが、同じ朴とは思えないくらいに色が浅いです。
旧材の色が通常よりも深い事もあるのですが、それでも新材の色合いは浅いです。
色だけでは判断できませんが、やはり木目やその他の材質は一目瞭然、旧材の方が優れています。
加工性や仕上がりの美しさが違ってきます。
同じ樹種でもまったく異なるものです。
が、現実今では材質の良い木材は絶対数としてはかなり限られてきているのが実情です。
木を売る材木屋がいうのもなんですが、木も限りある資源です。
大切にしないと、どんどん良い材がなくなってきてしまします。
これらの朴の木のように、数十年後には良い木がなくなってしまっていてはいけません。
ただ、木は限りあると同時に、適切に維持し、守れば持続的に利用可能であるものでもあります。
だからこそ、木を売る材木屋ができること、しっかりと木材の長所短所を伝え、適切に、また大切に使っていき豊かなバランスのとれた森林資源を有効に活用していけるような状態にしないといけないと思っています。
これから先また40年後?!には、「まだまだ日本にはよい木材があります。」と報告できるようにしていきたいものです。