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陽疾

ビブリオ通信から続く、久しぶりに「陽疾(アテ)」のお話 

さて、シリーズ冒頭にて針葉樹と広葉樹のアテ材の形成の違いに少しふれました。
いや、アテ材の前に針葉樹と広葉樹は樹木という時点では変わりありませんが、その組織や成長方法には大きな違いがあることにも触れておかねばならないのですが、今回はそこはとばしてアテに「全集中!!木の呼吸!!」(笑)


基、アテ材においても現れる針葉樹と広葉樹に違いですが、まぁ見事に正反対というか、仲が悪いのか?!と思ってしまうような違いがあるのです。
一般的に言われる違いは以下ですね。

針葉樹

・圧縮アテ材(compression wood)
・斜面の下側にできる

広葉樹
・引っ張りアテ材(tension wood)
・斜面の上側にできる

です。
これは分かりやすくするために、斜面の傾斜を例にとって説明していますが、前回もお伝えした通りすべてがこの通りではありませんし、植物が動くことのできない体を臨機応変に対応させるための手段なので、あくまでも一概念です。

それでも、「圧縮と引っ張り」というようにまったく異なる力が作用することで形成されているのが面白いところ。
そしてその違いは材質にも非常に大きな違いをもたらしています。


針葉樹

・細胞遷移を構成する仮道管は短くその断面形状が円形に近いゆえ、細胞空隙が大きい。
また、正常材では低い値を示す軸方向収縮率が、アテ材になると3〜10倍以上になると言われています。
そして細胞壁に螺旋状の亀裂があるということも踏まえると、強度を保持できないということは理解できると思います。
・そして、細胞を形作るセルロースが少なく、細胞固定等の作用をするリグニンが多いことが原因である、あの着色された特有の木目が出るのではないかと思います。

アテ 2


広葉樹

・道管組織が少なく、正常材に比べて道管径が小径な傾向にある。これが乾燥時の裂けや材面の落ち込みなどに関係していると言われます。
針葉樹とは異なり、広葉樹のあては材質面では分かりにくいのですが、乾燥後に稀に見る材面が凹凸をつけたように落ち込んでいるものはきっとアテなのだと思っています。
・繊維の亀裂がある事や縦方向の収縮が大きいことは針葉樹と同じですが、正反対なのはセルロースが多くリグニンが少ないということ。


対比するとこのような感じです。

そんなことを言ってもやっぱりわかりづらい。
ということで、私は出来る限りその現物を見てもらうことにしています。
幸い、今までに多くのアテ材を扱ってきました(=不良在庫)ので、サンプルは十分!(汗)
そうすると、文章よりも早く上手に理解する事が出来ます。
特に、針葉樹アテ材においては先の光るような木目だけではなく、その特異な色調とともに年輪にも明らかな差が出てくる場合がおおいのです。

アテの木口


針葉樹でははっきりと出やすい年輪。
それがアテ材の部分は不明瞭になり、くっきりとした年輪ではなく薄〜いゴムバンドのようなものやひも状にも見えるような年輪になってしまいます。
これは、年輪の中の柔らかい部分が硬くなり、リグニンという成分が多く沈着する為に色も濃くなるために、年輪の境目となる部分との差が分かりにくくなるからだと言われます。

これらの作用により、密度は大きいものの脆くて乾燥収縮が大きいという性質になる傾向があります。
しかしながら、人間の感覚的に密度が大きなものは強度が高いという無意識的な認識が、大きな誤解を生む結果となります。

アテ材の原動力は成長応力と言われます。
樹木が成長するときに作用する力ですが、それは木材になってからも残っています。
残っている、というよりもむしろ木材となった場合に潜在するその応力が解放され、あの強烈なアテの状態となるのです。


アテ 6


確かに、これだけ強い力を持っている部分だから強度が高いに決まっている。
そう思いたい気持ちはわかりますが、もう皆さんは間違いませんよね。

木材は人間と同じく、見た目から受けるイメージというものは非常に大きい。
色合いや木目の良し悪しなど様々ですが、見た目だけではわからない違いや性質があります。
思い込みではなく、「どうして?なぜ?」という興味を持ちながら、一層木材の良さを活かせるようにしてもらいたいと思います。

この強烈なアテの個性を活かせる使い方。
一昔前の「アテ=利用価値のない材」ではなく、その個性を考え用途をうったえられる自由な考えが容認される時代になりました。

数年後に、アテ材を使うのが非常にクール!という時代が来るのかもしれない・・・
そんなことも少し思いながら、アテの深堀りは本日でいったん終了!



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ビブリオ通信から続く、久しぶりに「陽疾(アテ)」のお話 

根杢=アテではないことと同時に、必ずしも斜面だけで形成されるものではないということ。
私も以前は斜面に多く形成されると思っていましたが、植物はそう単純なものではないのですね。


積雪地


因みに、皆さんは街路樹などでもそうですが、どうして木の枝は横や上向きになっているんだろうと思ったことはありませんか?
「そんなの、当たり前!光合成したいから太陽に近い方に向いているんやろう!!」、そう思うでしょう。
そうかもしれません。
でも、樹木が枝を伸ばすということはその樹幹から枝の距離が長くなればなるほど、枝を水平もしくは上向きに支えておかねばならない力は強大になります。
巨樹訪問でしばしば見かけるように、巨大な腕のような枝をしたから支えてやらねばならず、支柱が立てられたりしている。
自分の枝の重さに耐えねばならないということです。

これはどんな木でも同じ。

その力のうちの一つもアテが関係しています。
普通であれば垂れ下がってしまう枝を、アテを形成することで上向きか水平に維持している美しい「枝垂れ桜」がありますね。
あれはどうして枝垂れているのでしょう。
人間にその美しさを誇張する為では決してありませんよ。


宝蔵寺の枝垂桜


あの美しい枝垂れにもアテが関係しているのです。
前回にも、アテは樹幹だけに生じるものではないとしました。
枝にもそれは形成され、枝垂れにはアテが関係しているそうです。
本来ならばアテの作用によって上か横方向に保たれるはずの枝が、何らかの理由で形成されないか若しくはされづらく、下向きになってしまう。
どうも、そうやってあの美しさが形成されているようです。

実は、お花見で美しいと眺めている枝垂れ桜にも、アテが関係していたんですね。
それほど樹木とは切っても切れない関係である、アテ。
近年ではその姿を見ることも聞くこともすっかりと少なくはなりましたが、樹木の事を知っていくと必ず興味の出る部分。
そして、情報があるようで実は詳しくわからない部分。
そして誤解のある部分。
そこをほじくっていく今回のシリーズ(笑)。

とはいえ、ほじくっていっても実際のところは現在でも、何がアテ材をコントロールしているのかという詳細は分かっていないようですが、少なくとも人間が持つ「イメージ」とは違う、ということは理解しておく必要があると思います。


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ビブリオ通信から続く、久しぶりに「陽疾(アテ)」のお話 

木の細胞というのは、まさしくその体を形作っているそのものですから、その組織が短いということはおそらく強度が連続しづらいということでしょうし、細胞の間隙が多いというのは、ただでさえストローのように空隙がある状態で構成される細胞なのに、その細胞の間にも空隙があるということは、とにかく隙間面積(体積か・・・)が増えているということだと思います。

木材の材質としての強度や劣化事象である腐朽などに対する抵抗性は、細胞組織の組成やそれらが内包する成分、若しくはその密度などに起因する場合が多いはずですから、それらに欠けている部分が多いということは、正常な状態ではなく本来の性質を発揮できていないということが言えるのかもしれません。


(アテ部分に見える、細胞のキラキラした部分)
アテ 2


特に構造材料として使用される針葉樹のアテの場合は、正常材に比べて重さを感じる上に加工性に劣る硬さを感じるために、通常であればそれらの性質を持っていると強度があり耐久性がある、と木を使ってきた人ほどに勘違いさせてしまうのです。
もちろん、正常な材においても上記の法則が全て当てはまるほどに植物は単純ではありません。
辺材と芯材による差、含水率による差、育った土壌による差、そして晩材部分と早材部分の比率による差など、いくつもの違いによって人と同じく千差万別の様相を呈するのです。


脱線しますが、木は人と同じく様々な外的要因による影響を受けます。
しかし一度根づいたら、よほど特殊な場合を除いて(移動した巨樹の様に・・・)その場を動くことはできません。
芯材を形成し死細胞が多くなると、その形状すら容易に変えることが出来なくなります。
そのため、形質を変化させられる部分にアテを形成し、幹や枝を正しい位置にしようとするとも定義されているようです。

そのため、強度で勘違いされるのではなくアテだと思われてしまうこんな部分もできます。


根杢 2


板材の全体がキラキラと光るような、またさざ波の様な模様が見えます。
これがもし、トチやカエデなんかだと非常に嬉しい杢になるのですが、そうではありません。
一見すると、針葉樹アテ材の特徴である光るような木目を持ち、揺らめきと不均等且つ幅の広い年輪を呈しているために、アテそのものだと思われてしまう材。

しかし、この場合はアテではありません。
アテは初回の定義でもふれたとおり、「風や雪などで曲げられた部分をもとに位置に戻すために形成される」ので、山で見られる斜面の傾斜に対して根際が大きく曲がっているもの等も、全てがアテだと思われがち。
確かに、斜面での積雪によって曲げられた幹を立て直すためにアテが形成されることがあるのだと思います。

でも、この場合はアテほどの「力」はなく弊社では根杢と呼ばれていましたが、地面の際などで何らかの原因で幹に成長の偏りや襞を形成するような成長となった場合に出来たと思われる模様なので、材木屋の嫌う分類のアテではなかろうと思っています。

近年では、広葉樹の杢の様に美しい模様として、「○○杢」という名称をつけられていたりして高値で取引されているものもあります。
ものは考えよう。
アテとされて売れないよりも、付加価値を高めて販売できることは木の価値や山の価値を高めることでの資源や環境、投資の循環を促すために良いことだと思います。
ただ、適度な価値観で見てほしいですし、いかに美しくとも数百年の樹齢のみが形成する杢の様な価値はないと思うので、あまりに高騰はしてほしくないと思います。


根杢 1



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ビブリオ通信から続く、久しぶりに「陽疾(アテ)」のお話 

製材所や材木店以外の方にとっては、アテと言われてもどのような性質でどんな特徴があるからどうなのか?ということはなかなか知る方法が無いと思います。
もちろん、今どきは検索すればいくらでも情報として出てくるものの、なかなか分かりやすいものがないというか、学術的な説明は多くても実際に木材に関わっている人が思っているものとは異なりますし、そのイメージが先行することによる誤解が多くあるのです。


アテの部分は、前回の定義にあったような曲がった幹を矯正する為だけの物ではなく、枝にも形成され樹木の動的な刺激に対する反応であって、植物ホルモンの偏りが原因ではないかと考えられているもの。
そのためだと思いますが、アテ自体は英語では reaction wood とされています。
リアクションする、とか言ったりしますが、まさに樹木が刺激に対してリアクションしているということなんですよね。
針葉樹と広葉樹の違いはあるもののそのリアクションがあまりにも強いもんだから、木材としての利用を考えた時に非常に問題になる部分であるということ。
その問題というのが、強烈な反りや曲がり。

アテ 4


あてではない部分でも、樹木の成長応力や製材方法の違いによる異方性(伸縮率の差)によって、曲がりや反りが生じますがアテは全く異なります。
針葉樹のアテの多くは「弓なりに」反っていたり、「ブーメランのよう」にまがっていたりするのです。
上の写真の様に、2段階右折的な曲がりの物もあります。
それらは、削ったり切ったりして修正しようとしても全くの無駄。
削り取った所からすぐに元の通りの方向に曲がってしまいます。
その力といったら文章では説明しきれません。

アテの材を製材機にかけると、帯鋸が通っていく最後のあたりで破裂するように割れることがあります。
驚くほどです。
その上、比重が大きく加工しづらい硬さをもっている。

そんなアテ材だからこそ、誤解されるのです。

それは、「重く硬い材は一般的に強度が高い、そしてそんな材が非常に大きな曲がりを生じるほどにクセが強いんだから、建築の強度を求められる部分に使うと効果的!」というもの。

アテ 5


写真の様に、まるで反り橋の様に沿っているものを梁材として荷重のかかる部分に使いたくなる。
これだけの反る力があるんだから、十分な荷重に耐える力があるはず!

分からなくもありません。
材木屋さんならば、あのクセの強い曲がりを見るとそう思ってしまいますし、大工さんなどはあの「硬さと重さ」を実感すると「強い」という感覚を持つに違いないからです。
しかし、そこに落とし穴。

こんなにクセが強いんだから、強度があるはず=荷重のかかる部分に使うとよい、という風に思われていることが多々あります。
しかし、針葉樹のアテの木材を細胞レベルで見ると木材の繊維方向(長さ)の強度を保つ仮道管は短くて且つ、その断面積は通常の木材よりも丸くなっている為に細胞同士の間隙が多いという特徴を持っています。

細胞レベルで見ると、正常な組織でないこと分かりその重さや硬さが強度に寄与しないことを理解できるのです。


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ビブリオ通信から続く、久しぶりに「陽疾(アテ)」のお話 

前回、私が対面でお届けしている不定期の通信誌である「木のビブリオ通信」で取り上げた「陽疾(アテ)」のお話を紹介しているときにふと、そういえばもうかなり永い間「陽疾(アテ)」について取り上げていないな・・・、とおもったことと、近年は大工さんの年齢層も若くなっていて(私が老けたということ・・・)「陽疾(アテ)」というものを御存知ない方も増えてくると同時に、設計士さんやお施主さんには特に知られない情報となってきているものの、無垢の木について知ってもらいたいその存在を、久しぶりに取り上げよう!!と思ったわけです。

IMG_20201206_0004

ということで今回から少しの間、最近語られることのなくなった「陽疾(アテ)」のお話をしたいと思います。
実は、それについては弊社の2010年の記事で取り上げているのですが、もう10年も前のお話!それだけ永くこの記事も続けてきたのだと、若干感慨深いところですが、早速本題に!

現在でも、弊社の過去記事の閲覧数で上位を維持するのが「陽疾(アテ)」について。
その理由はわかりませんが、知る機会が少ないことが大きな要因ではないかとも考えています。

昔は大工さんや木材業者同士のやり取りでは普通に聞かれた言葉であるアテ。
近年では、構造材も加工工場から出来上がり状態で納入されるプレカットになったことや、木をそのままの状態で見せる仕上である化粧材ですらも、仕上げ加工工場で材料から手配してもらって現場に届くことで建築をされている工務店さんも多い為に、既に加工工場によってアテを含む材料が排除されているために、アテを気にすることがなくなっていることが大きい様に思います。

昔は木材を仕入れると、産地や製材所によっては数十本の梱包の中に数本以上のアテ材が含まれていて、それらをどのようにして利用してもらうか、というのが材木屋の仕事?!でした。
あからさまに曲がっていて、重たくて、一見広葉樹の杢の様なキラキラとした表情なのですが、まっすぐに加工しようとしてもあっという間に曲がりが戻ってしまう、手に負えない材。
しかし、毎回毎回売れずに残すわけにはいかないので、利用できる用途のある所に利用してもらうように大工さんと話すことが仕事の一つであり、それができるかどうかも手腕の一つでした。

アテ 1


もちろん、上記のお話は杉や桧などの針葉樹のお話しですが、同じ木材として流通している針葉樹と広葉樹では、アテの形成される部分や性質も異なるので、以降は分けてお話しする必要があります。
基本的な針葉樹と広葉樹の違いはここでは割愛しますが、同じ木材ではあるものの成長から組織から、まったく異なるものですから、違いがあるのは当然。

少しずつ難しい話に入っていく前に、アテ材の分かりやすい定義説明を引用したいと思います。
木材・樹木用語によると、風や雪などで曲げられた樹幹をもとの位置に戻すために形成される、やや特異な組織、とされています。

なんとなく、曲がったところを矯正するものなのかなぁ・・・ということですが、おそらく材木屋さんはそういう理解ではありません。
もっと否定的というか(笑)・・・
でも、実は凄い力を秘めている部分だと思っているというか・・・

そこに間違いが潜んでいるとは知らずに・・・ね。


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不定期更新、木のビブリオ通信 14

以前にも一度紹介したことがありますが、私が発信しているのはこのブログ記事だけではありません。
対面でのショールーム接客から木材産地や製材所を絡めたツアー企画、そして紙媒体でお渡ししているプレゼンまで。

いろんな形で、木の事や木材製品のことをお伝えしています。
その紙媒体の中で、商品プレゼンよりもある意味力を入れているのが「木のビブリオ通信」。
日頃お会いする工務店さんや大工さん、そして設計士さんを中心に手渡し(又はメール配信)している不定期更新の通信誌。

意外と知られていない木の性質の事や木材のこと、そして知ってほしい木のあれこれや、なかなかじっくりとは話が出来ない細かなことなど。
私が取り上げたい小さなテーマを少しづつ紹介しているのですが、まれに「これ、(インター)ネットで見られないの?!」とお声を頂きます。
今までの通信も見てみたい、というお声です。
いや、有難い。
でも、今のところは一般公開していません。深い意味はないのですけど(汗)。

なので、たまにブログ記事にアップロードしておくことにします(笑)。

今回は、みんな大好き「陽疾(あて)」のお話。
結構、昔に投稿している弊社のそれに関する記事も、いまでもアクセス数が多いのです。
それだけ関心があるということ。

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今回は建築、特に古くから大工さんや材木屋さんで信じられてきた、あての強度のお話。
眼からウロコとはこのことか。

ぜひ、ご覧ください。

そうだ、記事で次回以降にと記している続きやもう少し掘り下げた「あて」についてを、次回以降にお話しできれば面白そう。
紙面の続きはネットで!!
よし、そうしよう!!


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陽疾(あて)の話

*陽疾については、後の記事にて再度取り上げていますので、そちらの記事もご覧ください。

「陽疾」。
読み方わかります?!

普通は使いませんね。
木材業界の言葉です。

これは「アテ」と読みます。(おそらくあて字です。)
アテのある木は癖があり、木が通直ではないことがほとんどです。

大概の材木屋サンはこれを聞くとドキッとするんではないでしょうか。
私もまだまだ若い時に(今でも若いですが・・・)、「このアテ木はここには使えんなぁ。」といわれて交換に走ったもんです。
あ、最近の材木屋サンは集成材がほとんどだから、アテなんていわれることないかな・・・
とはいっても材木屋にとっては、曲がりや反りが出て「あかん(ダメ)な木」の代名詞のような印象で受け取られることの多い言葉です。
それを利用?!して、曲がり材などをすぐに「アテだ!」といって使おうとしない方もいらっしゃいますが、ただの曲がりとアテは違いますから、混同しないように・・・
混同する方に会うと、3月の記事の様に一方的に木が悪い!としか言わなくなってしまいますので注意が必要です。


さて、本題の陽疾・あて(ややこしいので以下はアテとします。)ですが、これらは製材や乾燥で起こる曲がりや反りとは違い、生育途中の要因によって起こるものです。

木は生き物、いつも申し上げている通りです。
ですので、生育場所や環境により木にも癖や性格があります。
法隆寺宮大工棟梁の西岡常一氏も、木は癖を見て適材適所に。木組みは木の癖組みだ、というようにおっしゃっていたそうです。(完全にアテのみをさしておられるのではないと思いますので、ご注意ください。)


その「アテ」なんですが、それはどうやってできるのか。

想像してみてください。

木の生えているところは主に山ですね。当然里などの平坦なところもありますが、天然では基本斜面に芽吹くはずです。
すると、芽吹いた木は斜面であるにもかかわらず、地球に対して垂直に伸びようとします。
そうすれば当然、斜面に面する根元は湾曲し、その部分に「アテ」の元ができます。
因みに、植木鉢に生えている木を植木鉢ごと横に寝かしていると、鉢の中の木は幹や枝を正しく維持しようと少しずつ、植木鉢の向きとは違った方向、つまり重力に反して空の方へ向いて伸びていくそうです。
私も実験したことはありません。どなたか実験お願いします。


つまり、アテは重力の作用で成長素が斜面の谷側に偏り、そちらが肥大成長するためにできるということがいわれます。
その肥大成長で、垂直に伸びるために、自分を支えているのです。
また、アテは太陽光の刺激でも生じるといわれることから「陽疾」でアテといわれています。

光によってもアテが生じるといいましたが、そのことを考えると、本当は自分の使う木が山のどの方向に生えていたか、どちら向きの山かということで日照などを考慮しないといけないのが本当のところですが、現実はそこまでの追及は難しいかもしれません。
が、昔から、「木を買わずに山を買え」というようにいわれますから、科学的根拠というよりも、生き物として扱った場合の心構えとしておいた方がよいのも事実ですね。
山一つを見て、その中で生えている場所や環境の違いを見極め、伐採後もなるべくその育った環境から異なる条件にならないように使う。
位置や方角などですね。

以前に、お寺の新築後すぐにお邪魔した時に、本堂の大屋根の部分の化粧柱が割れているのを見ました。
皆さん、太陽があたりすぎる様な方向ではないのに、どうしてか?と言っておられましたが、もしかすると先に述べたその木の育った方角と、加工後取り付けられた方角の相性が合わなかったのかもしれません。

今年話題になっている「平城遷都1300年祭」の会場で、復元されて有名な朱雀門も、柱がバッリバリに割れていたのが残念なところですが、それにも、もしかしたら上記の様な理由が少しは作用しているのかもしれません。


また、一口にアテといっても、杉や桧などの針葉樹とタモやナラなどの広葉樹では、アテの出来が違っています。
難しく言うと、「針葉樹は圧縮側、広葉樹は引っ張り側」にアテが生じます。
つまり・・・

アテ生成の違い














下手な絵ですが、右が針葉樹で左が広葉樹の場合です。
斜面に向かってのアテのできる方向が違います。
同じ植物である樹木ですが、針葉樹と広葉樹とは細胞組織などからして異なりますから、これくらいの違いは出来て当たり前かもしれません。


組成がわかったところで、アテの性質ですが、以下の様になります。
まぁ、優れた材ではないことは確かなので、欠点といえばそうなります。嫌われてしまうのも仕方なしでしょうか・・・

まず針葉樹は

・細胞壁にらせん状の亀裂が入る
・縦方向の収縮が大きく、正常材の3〜5倍また最大25倍にもなる
・重く硬い割に強度が低く、加工しにくい
・セルロース少なくリグニン成分が多く、パルプには不向き

というような性質です。

広葉樹は

・繊維に亀裂
・縦方向の収縮大(横方向は比較的少ない)
・針葉樹の場合と同じく強度は低い
・広葉樹は膠質繊維の為、カンナ加工でケバが出やすく、ノコも受け付けにくい
・セルロースが多く、リグニンが少ない

ということです。
一般に色艶や木目が特徴的なので、判断できることがあります。

細胞云々や、成分については顕微鏡の世界かと思いますがここで材木屋さんですら誤解しているのが

「アテは重硬だから強度が高い」

と思いがちだということです。

一般的な考えとして、重い木材は強度も高い傾向にありますが、アテ材は先に述べたように繊維や細胞に亀裂があるからでしょう、重厚な割に強度は低くまた加工しにくい上に、狂いやすいのが特徴です。
曲がりや反りを削り取ってもすぐに同じ方向に曲がってくるくらい、すごい性質をもっています。

そんな欠点材として排除されがちなアテ材ですが、人間にも癖があるように、その木材の癖アテもそれ相応の使い方、「適材適所」に使わないといけません。
たとえば、強度の求められない様な所や、装飾性の関係のないところで使うなどです。

これからは、アテという言葉を聞く機会も更に減っていくかもしれませんが、これも木の性質として理解していただかないといけないことの一つであり、誤解の多い事でもあるので、この機会に覚えてください。
くれぐれもどこぞの職人さんみたいに間違えて使わないようにしてくださいね。



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